JP3596911B2 - 画像装置の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の利用分野】
この発明は、LEDヘッドやプラズマヘッド,イメージセンサ等の画像装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】
LEDヘッド等の画像装置では、長尺状の基板の長手方向に沿って多数の画像アレイを搭載する。そして画像アレイ自体も横長の長尺状のものである。このような画像アレイは、ダイマウンタでパターン認識しながら基板に搭載するのが常法である。しかし画像装置ではアレイに対して極めて高い搭載精度が要求されるため、ダイマウンタでも搭載精度が不足する。またダイマウンタではパターン認識のため搭載に時間を要する。このため高価なダイマウンタを用いても、満足な搭載ができないという問題が生じる。なお画像アレイの搭載に関して、基板の短辺方向に対するアレイの位置を溝や突起などで位置決めすることは公知である(例えば実開平3−104,767号公報,特開昭64−31,658号公報,特開昭64−34,760号公報)。しかしこのような方法では、基板の長手方向に沿ったアレイの位置を位置決めできない。
【0003】
【発明の課題】
この発明の課題は、
1) パターン認識無しで、基板の長手方向に沿った画像アレイの位置を正確に位置決めし、
2) 単眼レンズを結像に用いる場合のように、画像アレイを隙間を置いて基板上に搭載する場合にも、正確に位置決めできるようにした、画像装置とその製造方法とを提供することにある(請求項1〜2)。
【0004】
【発明の構成】
この発明は、長尺状の基板の長手方向に沿って、多数の長尺状の画像アレイを熱硬化型接着剤も
しくはロウ材を介して固定する画像装置の製造方法であって、
1) 前記基板上に、長さが前記画像アレイの長尺方向の長さよりもやや大きく、かつ幅が前記画像アレイの幅よりもやや大きい穴で、その長手方向端面の一方に長手方向基準面を、短辺方向端面の一方に短辺方向基準面を設けたものが多数、所定配列ピッチで直線状に配列されており、かつ熱膨張率が前記基板と異なる長尺状プレートを配置し
2) 前記長尺状プレートの各穴内に前記画像アレイ及び熱硬化型接着剤もしくはロウ材を収容し、熱硬化型接着剤もしくはロウ材を挟んで基板上に画像アレイを搭載させ、
3) 前記基板とプレートの長手方向の一端を揃えた状態で、熱硬化型接着剤もしくはロウ材に熱を加え、基板とプレートを熱膨張率の差を利用して相対的に移動させることによって画像アレイを基板上の所定位置に位置決めすると共に熱硬化型接着剤もしくはロウ材で固定することを特徴とする。
【0005】
好ましくは、前記画像アレイの使用温度での目標配列ピッチをP、基板と長尺状プレートとの熱膨張率差を△α、長尺状プレートの穴の使用温度での配列ピッチをPx、画像アレイが前記熱硬化型接着剤もしくはロウ材で固定される温度と画像装置の使用温度との温度差を△tとした際に、
Pxをほぼ P・(1+△α・△t) とする。Pxの理論式は
Px=P・(1+α1・△t)/(1+α2・△t) (1)
で与えられ、α1は基板の熱膨張率、α2は長尺状プレートの熱膨張率である。そして
Px=P・(1+△α・△t) (2)
は式(1)を1次の項まで展開したものである。最も好ましいのはPxが式(1)を充すことであるが、近似的に式(2)をほぼ満足すれば良く、許容誤差は例えば±5μm以下、より好ましくは±2μm以下である。
【0006】
長尺状プレートは位置決め後に外しても良く、あるいは導電性のプレートの表面に絶縁処理を施して画像装置のシールド等として残しても良い。熱硬化型接着剤にはエポキシ樹脂等の文字通りの熱硬化型接着剤の他に、これに銀等の金属粉を混合したペースト等を用い、ロウ材には例えば半田を用いる。
【0007】
【発明の作用】
この発明では、基板と長尺状プレートとの熱膨張率の差を用いて、画像アレイを基板に位置決めする。長尺状プレートは例えば金属の薄板のエッチング等で形成し、穴を高精度に設けることができる。次に穴に画像アレイを収容して、基板とプレートの長手方向の一端を揃えた状態で加熱すると、基板とプレートとの熱膨張率差でアレイはプレートに対して相対的に移動する。この移動は主として長手方向の移動であり、例えば基板の熱膨張率がプレートよりも大きい場合、基板上のアレイがプレートの穴の端面に接近してくるように移動する。またプレートの熱膨張率が基板よりも大きい場合、プレートの穴の端面がアレイに向かって接近してくる。いずれの場合も穴の端面と画像アレイの端面とが接近する。両者が接触した時点で、画像アレイの一方の長手方向端面が、プレートの穴の長手方向の一方の端面で位置決めされる。この後、基板等を冷却すると、穴の端面と画像アレイの端面との間には隙間が生じ、画像アレイは半田や熱硬化型接着剤等により基板に固定される。
【0008】
【実施例】
図1〜図4に、実施例を示す。図1,図2において、2はプラスチックやガラス、金属等の基板で、4はLEDアレイで、画像アレイの例である。LEDアレイ4は図2に示すように、基板2の一方の主面上に例えば40個直線状に配置し、各アレイ4が例えば64個の発光体を有している。画像アレイは一般に長尺状で、例えば長さが5.4mm、幅が300〜400μm程度である。実施例ではLEDアレイ4からの光を、アレイ4と1:1に対応させた40個の単眼レンズで例えば2倍に拡大して感光体ドラム等に結像させるので、アレイ4,4間には隙間がある。
【0009】
6は基準プレートで、例えば金属の薄板のエッチングで形成し、ここでは厚さ10〜100μm程度のステンレスの薄板を用いた。8はプレート6に設けた穴で、長さも幅もアレイ4よりはやや大きく、例えば長さが6mm,幅が400〜500μm程度でアレイ4よりも幅が100μm程度大きい。10はプレート6の長手方向基準面、12は短辺方向基準面である。基準面10,12は、穴8の各端面の一方に設ければ良い。14は位置決め治具で、基板2とプレート6の長手方向,短辺方向の各1辺を突き当てて固定する。実施例では図2に示すように、基板2の長手方向をX軸、短辺方向をY軸とし、16は治具14のX方向基準面、18はY方向基準面である。
【0010】
LEDアレイ4は共通電極側を基板2に固定しても良く、逆に個別電極側を基板2に固定しても良い。ここでは図示を単純にするため共通電極側を基板2に固定するものとし、図3にアレイ4の裏面の共通電極20を示し、共通電極20は例えば金の薄膜電極や金メッキ等による厚膜電極、あるいは半田メッキ等による半田電極とする。図4にアレイ4を固定後の基板2の断面を示す。22,22は熱硬化型接着剤でエポキシ樹脂や不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂等やこれに銀粉を混合した銀ペースト等を用いる。熱硬化型接着剤に替えて、半田等のロウ材を用いても良い。24は金等の導電性バンプで、形状は帯状である。そしてバンプ24の両側に熱硬化型接着剤22,22を帯状に形成する。接着剤22の長さはアレイ4の長手方向長さよりもやや短くし、例えば長さ4〜5mm程度とする。これは後にプレート6を基板2に接着剤22で固定しないためである。26はLEDアレイ4の発光体である。なお図には示さないが、LEDアレイ4の駆動用のICも同様に基板2に固定する。また画像装置にはこれ以外に単眼レンズやハウジング等があるが、これらは本発明とは直接関係がなく省略した。
【0011】
図1,図2に戻り、アレイ4の基板2への搭載を説明する。基板2の一方の主面にエッチング等で精密に穴8を設けた基準プレート6を搭載し、各穴8に接着剤22,22を印刷等で塗布し、LEDアレイ4を各穴8に1個ずつ収容する。もちろんアレイ4を各穴8に2個ずつ収容しても良い。収容したアレイ4を図2での右上に寄せて、上側と右側の端面が基準面10,12に接するようにする。しかしアレイ4の位置は後に自動的に矯正されるので、単に穴8にアレイ4を収容するだけでも良い。穴8のサイズはアレイ4のサイズよりもやや大きいので、穴8にアレイ4を搭載することは容易である。これに対して穴8のサイズとアレイ4のサイズを同一にすると、細長いアレイ4を狭い穴8にフィットさせて搭載すること自体が難しく、例えばアレイ4の位置が図2での上下に狂うとアレイ4が横倒れになり、左右に狂うとアレイ4の一端がプレート6上に乗り上げる。また穴8にアレイ4を収容する作業は、例えば人手やダイマウンタ等で行い、パターン認識による搭載位置の決定は不要である。
【0012】
アレイ4を搭載すると、図2に示すように基板2とプレート6の下側と左側の2つの端面を位置決め治具14に突き当てた状態で加熱する。この結果熱膨張率の差による基板2とプレート6の相対的な伸縮は、図2の右側と上側とに対してのみ生じることになる。熱膨張に関する条件として、画像装置の使用温度(使用時の基板2の温度で、例えば室温〜80℃、より好ましくは40〜60℃)をt1、接着剤22の硬化温度(基板2等の最高加熱温度)をt2、室温をt3、基板の熱膨張率をα1、プレート6の熱膨張率をα2とする。またPをアレイ4の使用温度t1での理論搭載ピッチとし、使用温度での穴8のピッチ、厳密には基準面10,10間のピッチをPxとする。ここでは基板2の熱膨張率α1がプレート6の熱膨張率α2よりも大きいものと仮定するが、逆の場合穴8の基準面10,12を図2での穴8の左側と下側に設け、アレイ4の左端面と下端面が基準面10,12に接するように収容して加熱を開始すれば良い。
【0013】
図1の1)は加熱開始時の状態で、温度は室温t3で、アレイ4は位置精度が低いため基準面10に接したり、僅かに隙間があったりする。この状態で位置決め治具14により基板2とプレート6の左端と長手方向の一辺を固定して加熱する。基板2はプレート6よりも熱膨張率が大きいので、基板2はプレート6に対して右側と上側に移動し、基板2上に乗ったアレイ4も右側と上側に移動する。温度を増すとアレイ4は基準面10に近づき、図1の2)の中間温度を経て、最高温度t2に達するまでに全アレイの左端面が基準面10に当接し、上端面が基準面12に当接する(図1の3))。最高温度t2で接着剤22は硬化し、アレイ4は基板2に固定される。アレイ4は当初の搭載位置にばらつきがあるが、これは基板2がプレート6に対して相対的に右側や上側に移動することで補正され、図1の3)に示すように最高温度t2でアレイ4が位置決めされる。次いで図1の4)のように基板2等を冷却すると、熱膨張率の差△α(α1−α2)のためアレイ4は基準面10から離れ、室温t1に戻ると(図1の5))、アレイ4と基準面10の間には隙間△xが生じる。
【0014】
△xは冷却に伴う基板2の相対的縮小によるもので、基準面16からの距離に比例して一定ではない。即ち図1,図2の右側ほど、△xは大きくなる。また仮に穴8のサイズをアレイ4のサイズと一致させても、基板2とプレート6の熱膨張率が一致しなければ、正確な位置決めはできない。両者の熱膨張率が異なると冷却過程でプレート6によりアレイ4が基板2から外れてしまう。例えば基板2の熱膨張率の方が大きい場合、冷却時に基板2が左側に相対移動するので穴8の左端面にアレイ4が衝突する。逆にプレート6の熱膨張率が大きい場合、穴8の右端面がアレイ4の右端面に衝突する。
【0015】
プレート6のピッチPxを考察すると、最高温度t2でアレイ4が理論ピッチから温度差の分だけ膨張したピッチで配列されねばならないため、式(3)が成立する。なおピッチP,Pxは画像装置の使用温度t1でのピッチで、使用温度でのピッチを問題にした方が、室温と使用温度との温度差によるピッチ変化の影響が無いため優れている。このことは単眼レンズを用いた装置で特に重要で、室温で正しいピッチに位置決めすると使用温度ではピッチが狂い、2つの隣接アレイ4,4からの光が重なったり、隙間が生じたりする。
Px+Px・α2・△t=P+P・α1・△t :△t=t2−t1 (3)
この式を解くと、前記の式(1)が成立し、
Px=P・(1+α1・△t)/(1+α2・△t) (1)
となる。そしてこれを1次の項まで展開すると、前記の式(2)となる。
Px=P・(1+△α・△t) :△α=α1−α2 (2)
また2次の項まで展開すると、関数f(a)に対して一般に、
f(a+h)=f(a)+f'(a)・h+1/2f''(a)・h2 :(hは微小量) (4)
となり、1/(1+h)の2階導関数が2/(1+h)3のため、
Px=P・(1+△α・△t)+P・△α2・△t2 (5)
となる。式(1)やこれを近似した式(2)に対するPxの許容誤差はプレート6のエッチング精度で定まり、一般的には±5μm以下、好ましくは±2μm以下とする。なお近似式(2)に比べ、式(1)を用いる方が好ましいのは当然である。またPxに系統的誤差があると、図1や図2の右側で累積誤差となり搭載精度が低下するが、エッチングでは一般に偶発誤差のみで系統誤差は生じない。これに対して従来法に従い、パターン認識を行いながらダイマウンタでアレイ4を搭載する際の精度は一般に±10μmで、実施例では高精度に搭載でき、しかもダイマウンタを用いなくても良く、かつパターン認識は不要である。このため高価な設備無しで、正確にアレイ4を搭載できる。
【0016】
上記の説明は基板2の長手方向への位置決めを中心にしたが、短辺方向でも同様で、基板2のプレート6に対する相対的伸縮でアレイ4の長手方向端面を基準面12に位置決めできる。ただし実用上特に重要なのは長手方向への位置決めである。またプレート6の熱膨張率が基板2よりも大きい場合、基準面10,12を図2の下側と左側に寄せ、アレイ4を当初穴8の左下寄せに収容すれば良い。
【0017】
基板2等を冷却した状態では、接着剤22が硬化して収縮するためアレイ4は基板2に引き寄せられ、共通電極20がバンプ24に押し付けられて、両者の電気的接続が保たれる。そしてプレート6を基板2上に残す場合、プレート6の表面を予め絶縁処理しておき、製造後は例えばシールド用に用いる。またプレート6を取り外して何回も使用しても良い。次に発光体26側の個別電極はワイヤボンディングしたり、あるいは発光体26側に別の基板を配置し、フリップチップ接続で多数の個別電極(実施例では40×64)を一挙に接続したりしても良い。
【0018】
実施例では、熱硬化型接着剤22を用いたが、通常の電気接続用のバンプを最高加熱温度t2での固定に用いても良い。例えばバンプ24を金バンプではなく、半田バンプとし、共通電極20のほぼ全面に接触させて、接着剤22を用いないようにする。最高加熱温度で半田は溶融して、アレイ4は表面張力等で半田バンプに仮止めされ、半田バンプは図示しない下地配線に固定されている。この結果、熱硬化型接着剤22無しでも実施例は適用可能である。しかし最高加熱温度で文字通り正確に位置決めするために、熱硬化型接着剤22を用いた方が搭載精度が高い。次に実施例は共通電極20側ではなく、個別電極側にも適用できる。例えばアレイ4に2列に個別電極が配置され、基板2にはこれに対応した個別電極パッドが2列あるとして、2列の個別電極パッドの外側に熱硬化型接着剤22を帯状に配置すれば良い。もちろん接着剤22無しで、個別電極パッドの最高温度t2での仮止め力を位置決めに用いても良い。
【0019】
【発明の効果】
この発明では以下の効果が得られる。
1) パターン認識無しで、基板の長手方向に沿った画像アレイの位置を正確に位置決めできる(請求項1、2)。
2) 単眼レンズを結像に用いる場合のように、画像アレイを隙間を置いて基板上に搭載する場合も、正確に位置決めできる(請求項1、2)。
3) 大きな穴に画像アレイをおおまかな精度で収容して、プレートにより自動的に位置決めすることができるので、その場合アレイを穴に配置するのが簡単である(請求項1、2)。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例でのLEDアレイの位置決めと固着を示す工程図
【図2】実施例でのLEDアレイの位置決めを示す平面図
【図3】実施例に用いたLEDアレイの底面図
【図4】固着後のLEDアレイと基板を示す断面図
【符号の説明】
2 基板 16 X方向基準面
4 LEDアレイ 18 Y方向基準面
6 基準プレート 20 共通電極
8 穴 22 熱硬化型接着剤
10 長手方向基準面 24 導電性バンプ
12 短辺方向基準面 26 発光体
14 位置決め治具
Claims (2)
- 長尺状の基板の長手方向に沿って、多数の長尺状の画像アレイを熱硬化型接着剤もしくはロウ材を介して固定する画像装置の製造方法であって、
前記基板上に、長さが前記画像アレイの長尺方向の長さよりもやや大きく、かつ幅が前記画像アレイの幅よりもやや大きい穴で、その長手方向端面の一方に長手方向基準面を、短辺方向端面の一方に短辺方向基準面を設けたものが多数、所定配列ピッチで直線状に配列されており、かつ熱膨張率が前記基板と異なる長尺状プレートを配置し、
次に前記長尺状プレートの各穴内に前記画像アレイ及び熱硬化型接着剤もしくはロウ材を収容し、熱硬化型接着剤もしくはロウ材を挟んで基板上に画像アレイを搭載させ、
次に前記基板とプレートの長手方向の一端を揃えた状態で、熱硬化型接着剤もしくはロウ材に熱を加え、基板とプレートを熱膨張率の差を利用して相対的に移動させることによって画像アレイを基板上の所定位置に位置決めすると共に熱硬化型接着剤もしくはロウ材で固定することを特徴とする、画像装置の製造方法。 - 前記画像アレイの使用温度での目標配列ピッチをP、基板と長尺状プレートとの熱膨張率差を△α、長尺状プレートの穴の使用温度での配列ピッチをPx、前記画像アレイが前記熱硬化型接着剤もしくはロウ材で固定される温度と画像装置の使用温度との温度差を△tとした際に、
Pxをほぼ P・(1+△α・△t) としたことを特徴とする、請求項1の画像装置の製造方法。
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JP19092694A JP3596911B2 (ja) | 1994-07-20 | 1994-07-20 | 画像装置の製造方法 |
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1994
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