JP3596569B2 - 型締装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は射出成形機等に用いられる型締装置に関し、特に、直圧式型締装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、直圧式型締装置として、プレフィルバルブを有するブースタラム式型締装置及びディスクバルブを内蔵したディスクバルブ式型締装置が知られている。
【0003】
ここで、図2を参照して、上記のブースタラム式型締装置について概説する。
【0004】
可動金型(図示せず)が装置された可動プラテン11にはブースタラム式型締装置12が連結されており、この型締装置12には油圧装置13が接続されている。型締装置12は、型締シリンダ12aを備えており、この型締シリンダ12aには油圧装置13に接続されたリザーブタンク14が取り付けられている(一体に形成されている)。型締シリンダ12a内には軸方向(図中左右方向)に摺動可能に型締ピストン12bが配置され、型締ピストン12bの一端は可動プラテン11に連結されている。
【0005】
型締ピストン12bによって、型締シリンダ12aは図中左側の室(A室)と右側の室(B室)とに分割される。これらA室及びB室は油圧装置13に接続されている。図示のように、型締ピストン12bはブースタ12cが接続されており、ブースタ12cと型締ピストン12bとによって空間(C室)が形成される。そして、ブースタ12cは油圧装置13に接続されている。
【0006】
型締シリンダ12aは孔部121によってリザーブタンク14と連通されており、この孔部121はリザーブタンク14内に配置されたプレフィルバルブ12dによって開閉される。
【0007】
型締を行う際には、ブースタ12cを介して油圧装置13からC室に油圧が送られる。これによって、型締ピストン12bが図中右側に高速に移動し、これによって、可動プラテン11がタイバー(図示せず)に案内されて右側に高速に移動する。そして、固定プラテン(図示せず)に装置された固定金型(図示せず)可動金型との高速型締が行われる。
【0008】
ところで、図2に示すブースタラム式型締装置では、高速型締の際、A室が真空(負圧)状態となる。この結果、プレフィルバルブ12dを介してリザーブタンク14又はメインタンクからA室内に多量の油を送る必要がある。このように、負圧で多量の油を吸い込む(送る)ためには、プレフィルバルブ12dの開口面積を大きくするとともにリザーブタンクの容量を大きくしなければならない。
【0009】
次に、図3を参照して、ディスクバルブ式型締装置について概説する。
【0010】
図示のディスクバルブ式型締装置21は可動金型(図示せず)が装置された可動プラテン22に連結されるとともに油圧装置23に接続されている。
【0011】
型締装置21は、型締シリンダ21aを備えており、この型締シリンダ21aには油圧装置23に接続されたリザーブタンク24が取り付けられている。型締シリンダ21a内には軸方向(図中左右方向)に摺動可能に型締ピストン21bが配置され、型締ピストン21bの一端は可動プラテン22に連結されている。
【0012】
型締ピストン21bによって、型締シリンダ21aは図中左側の室(A室)と右側の室(B室)とに分割されており、A室は油圧装置23に接続されている。図示のように、型締ピストン21bにはブースタ21cが接続されており、ブースタと21cと型締ピストン21bとによってC室及びD室が形成されている。そして、ブースタ21cは、図示のように、油圧装置23に接続されている。
【0013】
型締ピストン21bには油通過孔211が形成されており、この油通過孔211によってA室とB室とが連絡される。さらに、型締ピストン21bにはディスクバルブ212が装置されており、このディスクバルブ212によって油通過孔211が開閉される。
【0014】
型締シリンダ21a、つまり、B室は孔部213によってリザーブタンク24と連通されており、この孔部213はリザーブタンク24に配置されたプレフィルバルブ21dによって開閉される。
【0015】
いま、ブースタ21cを介して油圧装置23からC室に油圧を送ると、A室及びB室の断面積差分に相当する油量がB室及びリザーブタンク24から油通過孔212を通してA室側へ負圧(バキューム)によって吸い込まれる。
【0016】
型締を行う際には、油圧装置23からA室に高圧油を送る。この際、ディスクバルブ212によって油通過孔211は閉じられる。これによって、型締ピストン21bが図中右側に高速に移動し、これによって、可動プラテン22がタイバー(図示せず)に案内されて右側に高速に移動する。そして、固定プラテン(図示せず)に装置された固定金型(図示せず)可動金型との高速型締が行われる。
【0017】
一方、型開を行う際には、ブースタ21cを介し油圧装置23からD室に油圧を送り、ディスクバルブ212によって油通過孔212を開放して型締ピストン21bを後退させる(図中左側に移動させる)。この際、A室の油は油通過孔211を通してB室及びリザーブタンク24へ戻される。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
上述のディスクバルブ式型締装置では、図2に示すブースタラム式型締装置に比べて、型締の際に吸い込む油量を減らせるという利点があるが、つまり、プレフィルバルブ及びリザーブタンクのサイズを小さくできるが、ディスクバルブが必要となり、また、ディスクバルブ、型締シリンダ、及び型締シリンダを制御するための油圧装置(油圧回路)が複雑となって、この結果、コストアップとなるばかりでなく信頼性が低くなってしまうという問題点がある。
【0019】
加えて、型締の際、負圧から昇圧を行うため、昇圧時間が長くなってしまう。つまり、型開閉サイクルが長くなってしまうという問題点もある。
【0020】
本発明の目的は、安価でしかも信頼性の高い型締装置を提供することにある。
【0021】
本発明の他の目的は型開閉サイクルを短くすることのできる型締装置を提供す
ることにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、固定金型と可動金型とを型締めする際に用いられる型締装置であって、型締シリンダと、該型締シリンダ内に所定の方向に移動可能に配置され前記可動金型を前記所定方向に移動するための型締ピストン部とを有し、前記型締ピストン部には前記所定の方向に延びる中空部が形成されており、前記型締ピストン部によって前記型締シリンダは前記所定の方向に沿って第1の室と第2の室とに分離されており、型閉じの際に、前記第1の室、前記第2の室、及び前記中空部を連結する油圧回路を形成すると共に、前記第1の室に油圧を供給して型締ピストン部を型閉方向に移動させることによって前記第2の室及び前記中空部の油を前記第1の室に戻して前記可動金型を前記所定の方向に移動させて前記型閉じを行う第1の油圧回路形成手段が備えられていることを特徴とする型締装置が得られる。この際には、前記中空部の肉厚は、型締力による圧縮強度に耐え得る範囲で最小の値に設定されてもよい。
【0023】
さらに、本発明によれば、型締力発生の際に、前記第1の油圧回路形成手段は、前記油圧回路の前記第1の室、前記第2の室、及び前記中空部の連結を解消して前記第1の室のみに油圧を供給するようにしたことを特徴とする型締装置が得られる。ここで、前記型開きシリンダと前記中空部及び前記第2の室を連通する連通手段が備えられており、型開きの際に、前記型開きシリンダに油圧を供給して前記型締ピストン部を型開き方向に移動させると共に、前記第1の室と前記第2の室とを接続して、前記第1の室の油を前記第2の室に戻す経路を形成する第2の油圧回路形成手段をさらに有していてもよい。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下本発明について図面を参照して説明する。
【0025】
図1を参照して、図示の型締装置31は、可動プラテン32に連結されるとともに油圧装置33に接続されている。可動プラテン32はタイバー(図示せず)に沿って移動可能であり、可動プラテン32には可動金型(図示せず)が装置されている。可動金型と対向する位置には固定プラテン(図示せず)に装置にされた固定金型が配置されている。
【0026】
型締装置31は、型締シリンダ31aを備えており、この型締シリンダ31a内には型締ピストン部31bが軸方向(図中左右の方向)に摺動可能に配置されている。
【0027】
型締ピストン部31bは、型締ピストン311とこの型締ピストン311に一体に連結された中空の型締ピストンロッド312とを有しており、型締ピストンロッド312は型締シリンダ31aを貫通してその一端(右端)が可動プラテン32に連結されている。型締ピストンロッド312の肉厚は、型締力によって加わる圧縮強度に耐えうる範囲で最小の肉厚とされる。
【0028】
型締ピストン311によって型締シリンダ31bは図中左側に位置するA室と図中右側に位置するB室とに分割されている。また、型締ピストンロッド312内にD室が規定されている。
【0029】
型締ピストンロッド312内には型開シリンダ31cが配置されており、型開シリンダ31cの一端(左端)は型締ピストン311及び型締シリンダ31aを貫通している。この型開シリンダ31cには連通孔312bが形成されており、この連通孔312bによって型開シリンダ31c内はD室と連通している。なお、図示のように、A室、B室、及び型開シリンダ31cは油圧装置33に接続されている。
【0030】
型閉じ工程の際には、油圧装置33において、電磁パイロット切換弁装置33aのソレノイド(a)を励磁するとともに、電磁切換弁33bのソレノイド(b)を励磁する。これによって、油圧源からの油圧が電磁パイロット切換弁装置33a及びパイロット操作逆止弁33cを介してA室に供給され、型締ピストン部31bは図中右方向へ移動を開始する。
【0031】
一方、電磁パイロット切換弁33bのソレノイド(b)が励磁された結果、2ポート切換弁33dはロック状態となって、油の通過を阻止する。この結果、B室は2ポート切換弁33e及びパイロット操作逆止弁33cを介してA室とのみ接続されることになる。D室は電磁パイロット切換弁装置33aのBT接続(BポートとTポートとの接続)によってB室に連通されている結果、A室、B室、及びD室を連結する差動油圧回路が構成され、B室及びD室内の油はA室に戻されることになる。
【0032】
このようにして、A室、B室、及びD室を連結する差動油圧回路を構成することによって、油圧源からは型締ピストンロッド312の肉厚に相当する体積分の油を供給すればよいことになる。つまり、極めて少ない油量で型閉じを行うことができる。言い換えると、外部(例えば、リザーブタンク)から多量の油をバキュームで送る(吸う)必要がない。
【0033】
このようにして、型閉じが行われ、可動プラテン32がタイバーに沿って移動し、可動金型と固定金型との型閉じが行われると、次に型締が実行される。
【0034】
型締の際には、油圧装置33において、電磁パイロット切換弁装置33aのソレノイド(a)を励磁するとともに、電磁切換弁33bのソレノイド(a)を励磁する。電磁パイロット切換弁装置33aのソレノイド(a)の励磁によって、油圧源からの油圧を電磁パイロット切換弁装置33a及びパイロット操作逆止弁33cを介してA室に供給する。一方、電磁切換弁33bのソレノイド(a)の励磁によって、2ポート切換弁33eはロック状態となって、油の通過を阻止する。この結果、B室及びD室は2ポート切換弁33dを介してタンクに接続されることになる(つまり、上述の差動油圧回路は解消されることになる)。
【0035】
このようにして、A室に油圧を供給することによって、型締力を発生させて可動金型と固定金型とを型締する。この際、型締ピストン部31bはいままで上述の差動油圧回路で動作(移動)していたため、A室には油圧力が残っており(つまり、A室は負圧になっていない)、この結果、型締の際の昇圧時間が短縮されることになる。
【0036】
型開きを行う際には、油圧装置33において、電磁パイロット切換弁装置33aのソレノイド(b)を励磁するとともに、電磁切換弁33bを中立状態とする。電磁パイロット切換弁装置33aのソレノイド(b)の励磁によって、油圧が型開シリンダ31cに送られ、連通孔312bを介してD室に油圧が送られる。この結果、型締ピストン部31bは左方向に移動して型開きが開始される。この際、パイロット操作逆止弁33cと2ポート切換弁33d、電磁パイロット切換弁装置33aのAT接続(AポートとTポートとの接続)及び2ポート切換弁33eを介してをA室はB室及びタンクに接続される。2ポート切換弁33dのAポートには絞り抵抗を設けておく。従って、A室の油はB室に供給され、余剰の油がタンクに戻されることになる。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、型締ピストン部によって型締シリンダは所定の方向に沿って第1の室と第2の室とに分離され、型閉じ工程の際、第1の室、第2の室、及び中空部を連結する油圧回路を形成するとともに第1の室に油圧を供給して前記可動金型を前記所定の方向に移動させるようにしたから、従来のプレフィルバルブ、リザーブタンク、又はディスクバルブが不要となって、安価でしかも信頼性を高くできるという効果がある。
【0038】
さらに、型閉じの際、上述のような油圧回路(差動油圧回路)を形成しているから、第1の室が負圧になることがなく、型締力発生の際の昇圧時間を短縮でき、この結果、型開閉サイクルを短くすることのできるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による型締装置の一例を説明するための図である。
【図2】従来の型締装置の一例を説明するための図である。
【図3】従来の型締装置の他の例を説明するための図である。
【符号の説明】
31 型締装置
32 可動プラテン
33 油圧装置

Claims (4)

  1. 固定金型と可動金型とを型締めする際に用いられる型締装置であって、
    型締シリンダと、該型締シリンダ内に所定の方向に移動可能に配置され前記可動金型を前記所定方向に移動するための型締ピストン部とを有し、
    前記型締ピストン部には前記所定の方向に延びる中空部が形成されており、
    前記型締ピストン部によって前記型締シリンダは前記所定の方向に沿って第1の室と第2の室とに分離されており、
    型閉じの際に、前記第1の室、前記第2の室、及び前記中空部を連結する油圧回路を形成すると共に、前記第1の室に油圧を供給して型締ピストン部を型閉方向に移動させることによって前記第2の室及び前記中空部の油を前記第1の室に戻して前記可動金型を前記所定の方向に移動させて前記型閉じを行う第1の油圧回路形成手段が備えられていることを特徴とする型締装置。
  2. 請求項1に記載された型締装置において、
    前記中空部の肉厚は、型締力による圧縮強度に耐え得る範囲で最小の値に設定されることを特徴とする型締装置。
  3. 請求項1又は2に記載された型締装置において、
    型締力発生の際に、前記第1の油圧回路形成手段は前記油圧回路の前記第1の室、前記第2の室、及び前記中空部の連結を解消して前記第1の室のみに油圧を供給するようにしたことを特徴とする型締装置。
  4. 請求項3に記載された型締装置において、
    前記型開きシリンダと前記中空部及び前記第2の室を連通する連通手段が備えられており、
    型開きの際に、前記型開きシリンダに油圧を供給して前記型締ピストン部を型開き方向に移動させると共に、前記第1の室と前記第2の室とを接続して前記第1の室の油を前記第2の室に戻す経路を形成する第2の油圧回路形成手段を有することを特徴とする型締装置。
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