JP3596566B2 - 電子線照射装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子線の照射により発生する架橋・重合反応を利用して被照射物の特性改質を行なう電子線照射装置に関し、特に被照射物が通過する照射ゾーンの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、非走査型電子線照射装置による電子線処理方法は、電子線のエネルギーを利用して高分子化合物に架橋・重合反応を発生させ、フィルムの改質、インキの乾燥、オーバーコート樹脂の硬化を行なうことができるので、印刷やコンバーティングを始めとする種々の産業分野の製造工程に応用されている。
一般的な電子線照射装置は、被照射物が通過する搬送路と、搬送路内の被照射物を移動させる搬送装置と、電子線を発生する電子線発生部とよりなる。
電子線発生部は、搬送路の搬送方向に対して垂直な円筒状の加速管よりなりその内部に円筒状のターミナルが配置され、該ターミナル内には熱電子を放出する線状のタングステンフィラメントがガン構造体により支持され、内部は真空となっている。又、ターミナルの側面には開口部が形成され該開口部にはフィラメントで発生した熱電子をコントロールするグリッドが設けられている。更に、加速管の側面にはターミナルのグリッドに対応して開口部が形成されており、該開口部には照射窓が形成され、かつ該窓には金属箔が被覆されている。
【0003】
電子線発生部にはフィラメントを加熱して熱電子を発生させる加熱用電源と、フィラメントとグリッドとの間に電圧を印加する制御用直流電源と、グリッドと窓箔との間に電圧を印加する加速用直流電源とが設けられている。
又、前記搬送路、搬送装置及び電子線発生部の周囲には電子線照射時に発生するX線が外部に漏出しないように鉛遮蔽が施されている。
更に、搬送路等は装置本体内に収納され、本体の前面には制御ボタンを配置した操作部が設けられている。
そして、運転中は内部を真空とした加速管で加速された電子線が照射窓を通して常圧の大気中に取り出され、被照射物にカーテン状の電子線が照射されるような構造となっている。なお、加速管はステンレス等の円筒管よりなり、照射窓はその円筒管の側面の一部に形成した開口部を閉塞して設けられ、円筒管の軸方向と平行に長方形状に位置している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、電子線照射装置は安定運転を期するために、運転前にあらかじめ電子線を発生させて行なう予備運転、いわゆる慣らし運転が行なわれる。
この慣らし運転は電子線発生部である加速管(真空チャンバー)の各部、例えば照射窓や窓箔に電子線を照射させることにより、発生した放出ガスを真空ポンプにより排気して行なう真空チャンバーのクリーニング作業といえる。
この作業を行なう場合、搬送路内の処理ゾーンに位置する被照射物に対する電子線の過剰照射を避けるために、被処理物を処理ゾーンから取り除く必要がある。例えば、被照射物が紙などの連続巻きされたウェッブである場合はウェッブを切断して処理ゾーンから取り除いて慣らし運転を行なうので、本運転前にウェッブをつなぎ直すか、再度紙通しを行なわなければならず、作業性が悪いばかりでなく、被照射物であるウェッブ等の品質を損なうという問題がある。
【0005】
本発明は前記に鑑みてなされたものであり、電子線照射装置の使用に際し慣らし運転中に、照射ゾーンから被照射物、特に連続巻きされたウエッブを取り除く必要がなく、本運転ヘの移行が短時間でスムースに行なうことができるばかりでなく、被照射物の品質を損なうことがない電子線照射装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明は、フィラメントから放出された熱電子を加速して電子線を発生させる加速管と被照射物に電子線を照射するために加速管の開口部より電子線を取り出す照射窓と該照射窓の下部に配置されたビームダンパーからなり、前記ビームダンパーの背面に前記被照射物が通過する通路を形成し、必要に応じて被照射物に直接電子線が到達しないように構成してなる。
【0007】
【作用】
前記のように、照射ゾーンの照射窓に対して反対側のビームダンパーの背面に通路を形成して、一時的に被照射物を通過させることにより電子線が直接被照射物に照射されないので、被照射物の発熱、焼損あるいは材質劣化等の弊害を防止することができる。そして、被照射物を処理ゾーンから取り除くことなく慣らし運転が可能となり、慣らし運転終了後は被照射物を元の位置(パス)に戻せば、直ちに本運転を開始することができる。
【0008】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1は本発明に係わる電子線照射装置の本運転中の状態を示す要部側面図であり、主として、電子線発生部1と照射窓10と搬送路内の処理ゾーン20とで構成される。
電子線発生部1は、電子線を発生するターミナル2と電子線を加速するための加速管3(真空チャンバ)とを有する。加速管3の内部は電子が気体分子と衝突してエネルギーを失うのを防ぐために図示しない真空ポンプにより1.3×10−4〜1.3×10−5Paの高真空に保持されている。
ターミナル2は熱電子を放出する線状のフィラメント4と該フィラメントを支持するガン構造体(図示せず)と発生する熱電子の量を制御するグリッド5とを有する。
なお、フィラメント4は図示しない加熱用電源により真空中で加熱され熱電子を発生し、発生した熱電子はフィラメント4とグリッド5間に印加される直流電圧の大きさにより発生量が調整される。そして、グリッド5から取り出された電子は真空チャンバー3の側面に形成された照射窓10との間に印加された加速電圧により加速され、高エネルギーの電子線となって照射窓の金属箔11を通過して処理ゾーン20に放出される。
【0009】
前記照射窓10の金属箔11は電子のエネルギー損失を小さくするために密度が小さいことと、真空と大気との圧力差に耐えるための大きな機械的強度が要求され、通常10〜30ミクロン程度の厚さのアルミニウムやチタン等が用いられる。そして、金属箔は銅などの材料からなる窓枠により支持される。又、窓枠は金属箔で発生する電子による発熱を抑えるために、循環水により水冷される。
又、処理ゾーン20の照射窓10の下部にはビームダンパー21が配置され、照射窓から取り出され被照射物に照射され、透過した電子線を受けることにより、照射ゾーンの加熱を防止している。ビームダンパー21はアルミニウムのような熱伝導性の良い金属により製作され、加熱を防止するために内部に冷却水の配管を付設して水冷されている。
【0010】
電子線発生部1及び搬送路の処理ゾーン20は電子線が各部に衝突して発生する二次的なX線を処理ゾーン20の外部に漏洩しないように金属と鉛とで構成した遮蔽構造により外部と隔離されている。
そして、処理ゾーン20の照射窓10の近傍では被照射物30が電子線を受けて種々の処理がなされる。被処理物30が高分子フィルムであったり、印刷インキあるいはオーバーコート樹脂が表面に施された紙などのウェッブである場合、該ウェッブは電子線照射装置の前後に配置された巻き出し装置22及び巻き取り装置23により搬送される。なお、図中24,25はガイドロールであり、ウェッブ30は、図面上矢印方向に搬送される。
【0011】
ところで、このような電子線照射装置は電子線発生部が高真空になっており、真空チャンバー内の各部に吸着されたガスの放出と、照射窓部材に電子線が衝突することによるガス放出が発生することがある。かかるガス放出が発生すると加速電圧による高電界のために加速管内で放電が誘起されビーム出力を不安定にする事態に発展する。
これを防止するために本運転の前に慣らし運転を行ない、放出ガスを充分に除去することで真空チャンバーを安定化することができる。
この作業はコンディショニングとも呼ばれる本運転のための前準備作業であり、電圧と電流を徐々に上げていくことにより徐々にガスが放出されるので、真空度が一気に悪化することがなく、大きな放電による危険を回避することができる。
【0012】
コンディショニングはビーム出力を発生させて行なうので、照射ゾーンに静止した被照射物が存在すると電子線の過剰照射を受け焼損したり劣化したりする。このためコンディショニング時は被照射物を処理ゾーンから取り除かなければならない。
本発明に係わる電子線照射装置は図2に示すように、コンディショニング時には被照射物30はビームダンパー21の背面に形成した通路27内を搬送され、被照射物に電子線が直接照射されることを防止している。
なお、ビームダンパー21の背面を迂回させるためには、照射ゾーンに適数のガイドロール28a,28b,28c,28dを設けて被照射物が迂回して搬送されるように構成すればよい。
従って、被照射物を切断したりする手間が省ける。このため、慣らし運転が容易となり、かつ製造工程におけるダウンタイムを短縮することができる。
【0013】
なお、前記実施例では被照射物の迂回手段として照射ゾーンに適数のガイドロール28a,28b,28c,28dを設けた場合について説明したが、ガイドロールによる搬送によらず、被照射物をビームダンパーの背後に単に退避させるだけでもよく、比較的短時間のコンディショニングであれば、被照射物に損傷を与えることがない。
又、ビームダンパーの背後に被照射物を退避させる作業を容易にするためにビームダンパーを照射ゾーン内に固定するのでなく、蝶番等で上下に若干可動できる構造とすることが好ましい。
【0014】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に係わる電子線照射装置は本運転前の慣らし運転時に、照射ゾーンから被照射物としてのウェッブを取り除く必要がなく、本運転への移行を短時間でスムースに行なうことができるばかりでなく、被、照射物の品質を損なうことがない等の利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる電子線照射装置の要部側面図である。
【図2】同じく慣らし運転中の電子線照射装置の要部側面図である。
【符号の説明】
1 電子線発生部 24,25 ガイドロール
2 ターミナル 27 通路
3 加速管 28a,28b,28c,28d ガイドロール
4 フィラメント 30 ウェッブ(被照射物)
5 グリッド
10 照射窓
11 金属箔
20 処理ゾーン
21 ビームダンパー
22 巻き出し装置
23 巻き取り装置
Claims (1)
- フィラメントから放出された熱電子を加速して電子線を発生させる加速管と、被照射物に電子線を照射するために加速管の開口部より電子線を取り出す照射窓と、該照射窓の下部に配置されたビームダンパーからなる電子線照射装置において、前記ビームダンパーの背面に前記被照射物が通過する通路を形成してなり、必要に応じて被照射物に直接電子線が到達しないように構成してなる電子線照射装置。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP22610495A JP3596566B2 (ja) | 1995-08-11 | 1995-08-11 | 電子線照射装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP22610495A JP3596566B2 (ja) | 1995-08-11 | 1995-08-11 | 電子線照射装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH0954200A JPH0954200A (ja) | 1997-02-25 |
JP3596566B2 true JP3596566B2 (ja) | 2004-12-02 |
Family
ID=16839896
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP22610495A Expired - Lifetime JP3596566B2 (ja) | 1995-08-11 | 1995-08-11 | 電子線照射装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3596566B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5797037B2 (ja) * | 2011-07-14 | 2015-10-21 | 浜松ホトニクス株式会社 | 電子線照射装置 |
-
1995
- 1995-08-11 JP JP22610495A patent/JP3596566B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0954200A (ja) | 1997-02-25 |
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