JP3570076B2 - 電子線照射装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被処理物にカーテン状の電子線を照射する電子線照射装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図5は従来の電子線照射装置の概略断面図である。この電子線照射装置は、電子線発生部210と、照射室220と、照射窓部230と、加熱用電源240と、制御用電源250と、加速用電源260とを備えるものである。
電子線発生部210は、電子線を発生するターミナル212と、ターミナル212で発生した電子線を真空空間(加速空間)で加速する真空チャンバー214とを有する。この真空チャンバー214の外壁は接地されている。また、ターミナル212は、熱電子を放出する線状陰極としてのフィラメント212aと、フィラメント212aを支持するガン構造体212bと、フィラメント212aで発生した熱電子をコントロールするグリッド212cとを有する。
【0003】
照射室220は、被処理物に電子線を照射する照射空間222を含むものである。被処理物は、照射室220内を、図示しない搬送機構により、図5において左側から右側に搬送される。また、照射室220内には、照射窓部230の下方にビームコレクタ224を設けている。このビームコレクタ224は、被処理物を突き抜けた電子線を吸収するものであり、接地されている。
【0004】
照射窓部230は、金属箔(たとえば、チタン箔)からなる窓箔232と、窓箔232を冷却すると共に窓箔222を支持する窓枠構造体234とを有する。窓箔232は、電子線発生部210内の真空雰囲気と照射室220内の照射雰囲気とを仕切るものであり、また窓箔232を介して照射室220内に電子線を取り出すものである。
【0005】
加熱用電源240は、フィラメント212aを加熱して熱電子を発生させるためのものである。制御用電源250は、フィラメント212aとグリッド212cとの間に電圧(グリッド電圧)を印加するものである。また、加速用電源260はグリッド212cとビームコレクタ224との間に電圧(加速電圧)を印加するものである。制御用電源250及び加速用電源260はそれぞれ、昇圧のための変圧器と整流器とコンデンサとを備えている。
【0006】
加熱用電源240によりフィラメント212aに電流を通じて加熱すると、フィラメント212aは熱電子を放出し、この熱電子はグリッド電圧によりフィラメント212aから引き離される。その熱電子のうちグリッド212cを通過したものだけが電子線として有効に取り出される。この電子線は、加速電圧により真空チャンバー214内の加速空間で加速され、窓箔232を突き抜ける。そして、照射室220内を搬送される被処理物は窓箔232下方の照射空間222を通過する際に電子線が照射される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、かかる電子線照射装置では、その運転の初期段階において、真空チャンバー214内壁の微少な汚れや極微な突起によって電界強度が乱れたりすることにより、ターミナル212と真空チャンバー214との間で直接放電が発生することがある。図6は従来の電子線照射装置において放電が発生した場合の加速電圧、電子線の流れであるビーム電流、グリッド電圧の変化の状態を説明するための図である。放電が発生すると、大きな放電電流が流れ、加速電圧及びビーム電流が瞬時に降下する。その後、加速電圧とビーム電流は徐々に上昇していく。しかし、このとき、グリッド212cから取り出した熱電子はビーム電流として流れるが、加速電圧が非常に小さいので、大部分のビーム電流が真空チャンバー214に流れてしまい、エネルギーの無駄となっている。しかも、加速用電源260のコンデンサを充電している際に、ビーム電流が流れているため、コンデンサを充電するのに長い時間を要し、加速電圧の回復に時間を要する。たとえば、加速電圧の設定値が300kV、ビーム電流の設定値が500mAである場合に、加速電圧及びビーム電流が設定値に回復するまでには100msec程度の回復時間を要する。この回復時間内には、被処理物には電子線が照射されないか、又は電子線のパワーが不十分であるため不良製品が生産される結果となる。このため、放電が発生した場合に、加速電圧とビーム電流が設定値に回復するまでの回復時間を短くして、不良製品の発生率を低くすることができる電子線照射装置の実現が望まれている。
【0008】
本発明は上記事情に基づいてなされたものであり、放電が発生した場合に、加速電圧とビーム電流が設定値に回復するまでの回復時間を短縮することができる電子線照射装置を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明に係る電子線照射装置は、
熱電子を発生する熱電子発生手段と前記熱電子の放出量を制御するグリッドとを有する真空チャンバーと、
前記グリッドに印加するグリッド電圧を発生するグリッド電圧発生手段と、
前記グリッドにより制御された前記熱電子を加速し電子線として取り出すための加速電圧を発生する加速電圧発生手段と、
前記加速電圧の値を検出する加速電圧検出手段と、
前記真空チャンバー内で放電が発生したことを検出する放電発生検出手段と、
前記放電発生検出手段からの信号を受け取ると前記加速電圧発生手段を制御して前記加速電圧を一定時間零とし、前記一定時間が経過した後に前記加速電圧をその設定値まで上昇させる加速電圧制御手段と、
前記放電発生検出手段からの信号を受け取ると前記グリッド電圧発生手段を制御して前記グリッド電圧を零とし、前記加速電圧検出手段から送られた前記加速電圧の値がその設定値の半分以上でその設定値以下の範囲内における所定の値に達したときに前記グリッド電圧を供給するグリッド電圧制御手段と、
を具備することを特徴とするものである。
【0010】
請求項2記載の発明に係る電子線照射装置は、請求項1記載の発明において、前記放電発生検出手段は、前記加速電圧の変化に基づいて放電の発生を検出するものであることを特徴とするものである。
請求項3記載の発明に係る電子線照射装置は、請求項1記載の発明において、前記放電発生検出手段は、前記電子線の流れであるビーム電流の値に基づいて放電の発生を検出するものであることを特徴とするものである。
【0011】
本発明によれば、放電が発生すると、加速電圧制御手段が加速電圧を零にすると共に、グリッド電圧制御手段がグリッド電圧を零にすることにより、二次放電の発生を防止すると共に、無駄な熱電子の取り出しを防ぐことができる。また、加速電圧制御手段は放電発生から一定時間が経過したときに加速電圧を上昇させることにより、この上昇している間はまだグリッド電圧が印加されておらず、ビーム電流が流れていないので、加速電圧の回復を早くすることができる。そして、グリッド電圧制御手段は加速電圧がその設定値以下の十分大きな値に達したときにグリッド電圧を供給することにより、ビーム電流の回復を早くすることができる。このため、放電が発生した場合に加速電圧とビーム電流が設定値に回復するまでの回復時間を短縮することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態である電子線照射装置の概略ブロック図、図2はその電子線照射装置の概略断面図、図3はその電子線照射装置のグリッド電圧発生源及びグリッド電圧制御部(又は加速電圧発生源及び加速電圧制御部)の概略回路図である。
【0013】
図1及び図2に示す電子線照射装置は、電子線発生部10と、照射室20と、照射窓部30と、フィラメント加熱用電源40と、グリッド電圧発生部50と、グリッド電圧制御部60と、加速電圧発生部70と、加速電圧制御部80と、交流電源90と、加速電圧検出部110と、ビーム電流検出部120と、放電発生検出部130とを備えるものである。
【0014】
電子線発生部10は、電子線を発生するターミナル12と、ターミナル12で発生した電子線を真空空間(加速空間)で加速する真空チャンバー14とを有するものである。真空チャンバー14の外壁は接地されている。また、真空チャンバー14の内部は、電子が気体分子と衝突してエネルギーを失うことを防ぐため、及びフィラメント12aの酸化を防止するため、図示しない真空ポンプ等により1.3×10−4〜1.3×10−5Paの高真空に保たれている。ターミナル12は、熱電子を放出する線状のフィラメント12aと、フィラメント12aを支持するガン構造体12bと、フィラメント12aで発生した熱電子をコントロールして電子線として取り出すグリッド12cとを有する。フィラメント12aとグリッド12cとは一定の間隔をもって配列されている。また、フィラメント12aとしては、通常、タングステンが用いられる。
【0015】
照射室20は、電子線を被処理物に照射する照射空間22を含むものである。被処理物は照射室20内をコンベア等の搬送手段(不図示)により、図2において左側から右側に移動する。また、照射室20内には、照射窓部30の下方にビームコレクタ24を設けている。このビームコレクタ24は、被処理物を突き抜けた電子線を吸収するものである。このビームコレクタ24は接地されている。尚、電子線発生部10及び照射室20の周囲は電子線照射時に二次的に発生するX線が外部へ漏出しないように、鉛遮蔽が施されている。
【0016】
照射窓部30は、真空チャンバー14の外周の一部に設けられ、金属箔からなる窓箔32と、窓箔32を冷却すると共に窓箔32を支持する窓枠構造体34とを有するものである。窓箔32は、電子線発生部10内の真空雰囲気と照射室20内の照射雰囲気とを仕切るものであり、また窓箔32を介して照射室20内の照射空間22に電子線を取り出すものである。窓箔32に使用する金属としては、電子線発生部10内の真空雰囲気を十分維持できる機械的強度があって、電子線が透過しやすいように比重が小さくて肉厚が薄く、しかも耐熱性に優れたものが望ましい。通常は、機械的な取扱いやすさから厚さ約10μm程度のチタン(Ti)箔が使用されている。
【0017】
フィラメント加熱用電源40は、フィラメント12aに電流を通じてフィラメント12aを加熱するためのものである。フィラメント加熱用電源40によりフィラメント12aを所定の温度まで加熱すると、フィラメント12aから熱電子が発生する。
グリッド電圧発生部50は、フィラメント12aとグリッド12cとの間に印加する直流電圧(グリッド電圧)を発生するものである。グリッド電圧制御部60は、グリッド電圧発生源50で発生するグリッド電圧を調整するものであり、図1に示すように、設定制御部62と、電圧制御部64とからなる。設定制御部62は、グリッド電圧発生部50の出力電圧が所定の設定値になるように電圧制御部64を制御し、一方、電圧制御部64は、設定制御部62からの信号に基づいてグリッド電圧発生部50に送る電力を制御する。図3に示すように、グリッド電圧発生部50は、コンデンサ52と、整流器54と、トランス56とを有し、グリッド電圧制御部60の電圧制御部64としてはサイリスタを使用している。設定制御部62が電圧制御部64に信号を送ると、電圧制御部64は交流電源90を制御してトランス56の一次側に所定の電力を加える。そして、トランス56の二次側に接続された整流器54を介してコンデンサ52に電荷を蓄え、これにより所定のグリッド電圧をグリッド12cに供給する。
【0018】
加速電圧発生部70は、グリッド12cとビームコレクタ24との間に印加する直流高電圧(加速電圧)を発生させるものである。加速電圧制御部80は、加速電圧発生部70で発生する加速電圧を調整するものであり、図1に示すように、設定制御部82と、電圧制御部84とからなる。設定制御部82は、加速電圧発生部70の加速電圧を所定の設定値になるように制御し、一方、電圧制御部84は、設定制御部82からの信号に基づいて加速電圧発生部70に送る電力を制御する。この加速電圧発生部70及び加速電圧制御部80の具体的な回路構成は、上述のグリッド電圧発生部50及びグリッド電圧制御部60のものと同様である。図3に示すように、加速電圧発生部70は、コンデンサ72と、整流器74と、トランス76とを有し、加速電圧制御部80の電圧制御部84としてはサイリスタを使用している。設定制御部82が電圧制御部84に信号を送ると、電圧制御部84は交流電源90を制御してトランス76の一次側に所定の電力を加える。そして、トランス76の二次側に接続された整流器74を介してコンデンサ72に電荷を蓄え、これにより、所定の加速電圧を供給する。
【0019】
通常、フィラメント加熱用電源40と加速電圧発生部70とは予め所定の値に設定され、グリッド電圧発生部50のグリッド電圧を可変することにより、グリッド12cから取り出す熱電子の放出量を制御して、電子線の流れであるビーム電流の調整を行う。一般に、電子線照射装置では、被処理物が吸収する線量はビーム電流に比例する。このため、ビーム電流を変えることにより、被処理物の吸収線量を調整する。
【0020】
加速電圧検出部110は、加速電圧発生部70で作られた加速電圧の値を検出するものである。この検出した加速電圧値は、加速電圧制御部80の設定制御部82と、グリッド電圧制御部60の設定制御部62とに送られる。
ビーム電流検出部120は、グリッド電圧を調整することにより発生した実際のビーム電流の値を検出するものである。検出したビーム電流値は、グリッド電圧制御部60の設定制御部62に送られる。
【0021】
放電発生検出部130は、真空チャンバー14で放電が発生したことを検出するものである。本実施形態では、加速電圧の変化に基づいて放電の発生を検出することにしている。すなわち、加速電圧が急激に低下した場合にのみ放電が発生したとみなしている。これにより、たとえば加速電圧の設定を300kVから100kVに落とした場合と、放電により加速電圧が急激に低下した場合とを容易に区別することができる。放電発生検出部130は、放電が発生したことを検出すると、その旨の信号を、加速電圧制御部80の設定制御部82と、グリッド電圧制御部60の設定制御部62とに送る。
【0022】
また、加速電圧制御部80の設定制御部82は、放電発生検出部130から放電が発生した旨の信号を受け取ると、電圧制御部84に信号を送り、加速電圧発生部70の動作を一定時間(以下、加速電圧休止時間とも称する。)停止させ、加速電圧を零にする。そして、加速電圧休止時間が経過した後に、加速電圧を設定値まで上昇させる。一方、グリッド電圧制御部60の設定制御部62は、放電発生検出部130から放電が発生した旨の信号を受け取ると、電圧制御部64に信号を送り、グリッド電圧発生部50の動作を停止させ、グリッド電圧を零にする。その後、加速電圧検出部110から送られる加速電圧値がその設定値の半分以上でその設定値以下の範囲内における所定の値に達したきにグリッド電圧をその設定値まで上昇させる。
【0023】
次に、本実施形態の電子線照射装置の動作について説明する。ここでは、加速電圧を300kVに設定し、グリッド電圧を500mAのビーム電流に対応する値に設定したとする。
まず、フィラメント加熱用電源40により、フィラメント12aに電流を通じてフィラメント12aを加熱する。また、グリッド電圧制御部60の設定制御部62は、グリッド電圧の設定値に基づいて所定の信号を電圧制御部64に送り、電圧制御部64は、交流電源90を制御して所定の電力をグリッド電圧発生部50に供給する。これにより、グリッド電圧が発生する。設定制御部62は、ビーム電流検出部120で検出されたビーム電流値に基づいて、グリッド電圧値を所定の設定値とするように電圧制御部64を制御する。一方、加速電圧制御部80の設定制御部82は、加速電圧の設定値に基づいて所定の信号を電圧制御部84に送り、電圧制御部84は、交流電源90を制御して所定の電力を加速電圧発生部70に供給する。これにより、加速電圧が発生する。このとき、設定制御部82は、加速電圧検出部110で検出された加速電圧値に基づいて、その加速電圧値が所定の設定値(300kV)になるように電圧制御部84を制御する。
【0024】
上記の制御によって、フィラメント12aが発生した熱電子は、フィラメント12aとグリッド12cとの間に印加されたグリッド電圧により四方八方に引き寄せられる。このうち、グリッド12cを通過したものだけが電子線として有効に取り出される。取り出された電子線は、グリッド12cとビームコレクタ24との間に印加された加速電圧により真空チャンバー14内の加速空間で加速された後、窓箔32を突き抜けて照射空間22に取り出され、照射窓部30下方の照射室20内を搬送される被処理物に照射される。
【0025】
次に、電子線照射装置の運転中に何らかの原因で真空チャンバー14内で放電が発生した場合の動作について説明する。図4(a)は放電が発生した場合の加速電圧の変化を示す図、同図(b)は放電が発生した場合のビーム電流の変化を示す図、同図(c)は放電が発生した場合のグリッド電圧の変化を示す図である。放電が発生すると、加速電圧は、図4(a)に示すように、急激に減少する。そして、ビーム電流は、図4(b)に示すように、急激に増加した後、瞬時に減少する。放電発生検出部130は、加速電圧の急激な変化に基づいて放電が発生したことを検出し、その旨の信号を、加速電圧制御部80の設定制御部82とグリッド電圧制御部60の設定制御部62とに送る。加速電圧制御部80の設定制御部82は、放電が発生した旨の信号を受け取ると、図4(a)に示すように、加速電圧休止時間Tだけ加速電圧発生部70への電力の供給を停止する旨の信号を電圧制御部84に送る。ここでは、加速電圧休止時間Tを10msecとしている。この加速電圧休止時間Tを設けたのは次の理由による。放電が発生すると、放電エネルギーにより真空チャンバー14内では汚れ等がガス化してイオンが生成される。このような状態で加速電圧を印加し続けていると、最初の放電電圧よりも相当低い電圧で後続の放電(二次放電)が発生する。そこで、本実施形態では、かかる二次放電を防止するために加速電圧を零にすることにしたのである。
【0026】
また、これと同時に、グリッド電圧制御部60の設定制御部62は、放電が発生した旨の信号を受け取ると、図4(c)に示すように、加速電圧休止時間Tよりも長い時間(以下、ビーム休止時間とも称する。)Tだけグリッド電圧発生部50への電力の供給を停止する旨の信号を電圧制御部64に送る。これにより、図4(b)に示すように、ビーム電流も流れなくなる。このビーム休止時間Tは、グリッド電圧を零にしたときから、加速電圧休止時間T経過後であって加速電圧がその設定値の半分以上でその設定値以下の範囲内における所定の値(図4(a)におけるA点)に達するまでの時間として定義される。ここでは、前記所定の値を200kVに設定している。かかるビーム休止時間Tを設け、グリッド電圧を加速電圧が所定の値に達するまで零にしておく理由は次の通りである。たとえば、加速電圧が数十kVであるときにグリッド電圧を印加すると、電子線は窓箔32を通過するときに減衰してしまい、照射室30内に電子線を有効に取り出すことができず、また、加速電圧が100kV程度であるときにグリッド電圧を印加しても、電子線は被処理物の所定の深さまで到達しない。このように、加速電圧が設定値よりかなり低い段階でグリッド電圧を印加すると、装置の使用条件を満たせない上に、無駄なビーム電流が流れることにより加速電圧の回復時間が長くなってしまうからである。
【0027】
加速電圧休止時間Tが経過すると、加速電圧制御部80の設定制御部82は、電圧制御部84に信号を送り、加速電圧を零から設定値(300kV)に向かって上昇させる。このとき、グリッド電圧を零にしておくことにより、ビーム電流が流れていないため、加速電圧発生部70のコンデンサ72に電荷を短時間で蓄積することができる。これにより、図4(a)に示す加速電圧の立ち上がり時間が早くなる。そして、グリッド電圧制御部60の設定制御部62は、加速電圧検出部110から送られた加速電圧値が所定の値(200kV)に達した旨の信号を受けると、電圧制御部64に信号を送り、グリッド電圧を設定値に上昇させる。このとき、加速電圧は200kVに達しているため、ビーム電流は瞬時に大量に流れはじめる。こうして、図4(a),(b)に示すように、加速電圧とビーム電流はそれぞれ、設定値に速やかに回復し、電子線照射装置を通常の運転状態に素早く戻すことができる。実際、本実施形態では、加速電圧休止時間Tを10msecとしたときに、回復時間Tは50msec以下となり、従来のものに比べて約半減した。
【0028】
本実施形態の電子線照射装置では、放電が発生したときに、加速電圧制御部が加速電圧を零にすると共に、グリッド電圧制御部がグリッド電圧を零にすることにより、二次放電の発生を防止すると共に、無駄な熱電子の取り出しを防ぐことができる。また、加速電圧制御部は放電発生から加速電圧休止時間が経過したときに加速電圧を上昇させることにより、上昇している間はまだグリッド電圧を印加しておらず、ビーム電流が流れていないので、加速電圧の回復を早くすることができる。そして、加速電圧がA点に達したときにグリッド電圧を供給することにより、ビーム電流の回復を早くすることができる。したがって、本実施形態の電子線照射装置によれば、放電が発生した場合に、加速電圧とビーム電流が設定値に回復するまでの回復動作を確実に制御して、回復時間を短くすることができるので、信頼性が向上する。
【0029】
尚、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内において種々の変形が可能である。
たとえば、上記の実施形態では、放電発生検出部として、加速電圧の変化に基づいて放電の発生を検出するものを用いた場合について説明したが、放電発生検出部としては、ビーム電流の値に基づいて放電の発生を検出するものを用いてもよい。通常、ビーム電流は0〜500mA程度流れるが、放電が発生したときには、非常に大きな電流、たとえば数Aも流れる。したがって、この大電流を検出することにより、容易に放電が発生したことを検出することができる。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、放電が発生したときに加速電圧発生手段を制御して加速電圧を一定時間零とし、その一定時間が経過した後に加速電圧を設定値まで上昇させる加速電圧制御手段と、放電が発生したときにグリッド電圧発生手段を制御してグリッド電圧を零とし、加速電圧検出手段から送られた加速電圧の値がその設定値の半分以上でその設定値以下の範囲内における所定の値に達したときにグリッド電圧を供給するグリッド電圧制御手段とを設けたことにより、放電が発生すると加速電圧及びグリッド電圧を零にして、二次放電の発生を防止すると共に、無駄な熱電子の取り出しを防ぐことができ、しかも、加速電圧を上昇させるときにはグリッド電圧を零にしておくので、加速電圧の回復を早くすることができると共に、加速電圧が十分大きな値に達したときにグリッド電圧を供給するので、ビーム電流の回復を早くすることができ、したがって、放電が発生したときに加速電圧とビーム電流が設定値に回復するまでの回復時間を短くすることができる電子線照射装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である電子線照射装置の概略ブロック図である。
【図2】その電子線照射装置の概略断面図である。
【図3】その電子線照射装置のグリッド電圧発生源及びグリッド電圧制御部、又は加速電圧発生源及び加速電圧制御部の概略回路図である。
【図4】(a)は放電が発生した場合の加速電圧の変化を説明するための図、(b)は放電が発生した場合のビーム電流の変化を説明するための図、(c)は放電が発生した場合のグリッド電圧の変化を説明するための図である。
【図5】従来の電子線照射装置の概略断面図である。
【図6】従来の電子線照射装置において放電が発生した場合の加速電圧、ビーム電流、グリッド電圧の変化の状態を説明するための図である。
【符号の説明】
10 電子線発生部
12 ターミナル
12a フィラメント
12b ガン構造体
12c グリッド
14 真空チャンバー
20 照射室
22 照射空間
24 ビームコレクタ
30 照射窓部
32 窓箔
34 窓枠構造体
40 フィラメント加熱用電源
50 グリッド電圧発生部
52 コンデンサ
54 整流器
56 トランス
60 グリッド電圧制御部
62 設定制御部
64 電圧制御部
70 加速電圧発生部
72 コンデンサ
74 整流器
76 トランス
80 加速電圧制御部
82 設定制御部
84 電圧制御部
90 交流電源
110 加速電圧検出部
120 ビーム電流検出部
130 放電発生検出部

Claims (3)

  1. 熱電子を発生する熱電子発生手段と前記熱電子の放出量を制御するグリッドとを有する真空チャンバーと、
    前記グリッドに印加するグリッド電圧を発生するグリッド電圧発生手段と、
    前記グリッドにより制御された前記熱電子を加速し電子線として取り出すための加速電圧を発生する加速電圧発生手段と、
    前記加速電圧の値を検出する加速電圧検出手段と、
    前記真空チャンバー内で放電が発生したことを検出する放電発生検出手段と、
    前記放電発生検出手段からの信号を受け取ると前記加速電圧発生手段を制御して前記加速電圧を一定時間零とし、前記一定時間が経過した後に前記加速電圧をその設定値まで上昇させる加速電圧制御手段と、
    前記放電発生検出手段からの信号を受け取ると前記グリッド電圧発生手段を制御して前記グリッド電圧を零とし、前記加速電圧検出手段から送られた前記加速電圧の値がその設定値の半分以上でその設定値以下の範囲内における所定の値に達したときに前記グリッド電圧を供給するグリッド電圧制御手段と、
    を具備することを特徴とする電子線照射装置。
  2. 前記放電発生検出手段は、前記加速電圧の変化に基づいて放電の発生を検出するものであることを特徴とする請求項1記載の電子線照射装置。
  3. 前記放電発生検出手段は、前記電子線の流れであるビーム電流の値に基づいて放電の発生を検出するものであることを特徴とする請求項1記載の電子線照射装置。
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