JP3596553B2 - 流下雨水の分流管 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は建物の屋根又は屋上に落下した雨水を下水道管渠に流下する雨水と貯留浸透桝又は貯留槽に貯留する雨水とに分流させる分流管に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
このような雨水の分流管として、本発明者の一人は外管とこの外管の中に設けられる内管とからなる流下雨水の分水管を特許出願した(特開昭64−83738)。この外管には鉛直部が形成され、外管の上端は雨樋に接続される。外管の下端は下水道管渠に連通する集水桝に接続される。内管の上端の外周縁は上記鉛直部の内周面と所定の間隔をおいて配置される。内管の下端は雨水の貯留浸透桝に接続される。この分水管では外管の鉛直部の一部の内径が連続的に変化して形成され、内管の上部の位置を上下方向に移動して上記所定の間隔を調整可能に構成される。内管の上端近傍の外管には開口部が設けられ、この開口部には開閉可能な蓋が設けられる。
【0003】
この分水管では、雨樋から流下する雨水は外管の鉛直部の内周面に付着したまま層状に流下する。降雨強度(mm/時)が下水道管渠及び河川の流下能力を越えない中小規模の降雨時には、鉛直部の内周面上を流下する雨水の層の厚みは内筒上端の外周縁と鉛直部の内周面との間隔より小さいため、外管のみに流下し集水桝を経由して下水道管渠に流れ、内管には流れない。
降雨強度が下水道管渠等の流下能力を越える大規模の降雨時には、鉛直部の内周面上を流下する雨水の層の厚みは上記間隔より大きくなるため、内管にも雨水が流下する。貯留浸透桝に流込んだ雨水は一旦この桝に貯留された後、地中に浸透して拡散される。
この結果、下水道管渠や河川の流下能力を越える降雨強度の時に限り雨樋からの雨水を貯留浸透桝に分流でき、簡単な構造で既存の雨樋の僅かなスペースに設置でき、かつ雨樋から入込む砂や微細な塵埃を除去して貯留浸透桝の目詰まりを防止できるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記流下雨水の分水管の外管に例えば面積が50mの屋根の雨樋を実際に接続し、この屋根に10mm/時程度の通常の降雨強度で雨が降ったときの外管の下端での流速及び雨水流の厚みを測定すると、流速は2〜3m/秒前後となり、外管の内周面に付着したまま流下する雨水の層の厚みは0.5mm程度であった。このため、内管の上部の位置を上下方向に移動させることにより外管の鉛直部内径との間隔を調整して外管の内周面に付着した雨水流を分けようとしても、雨水の層の厚みが小さいため所望の流量ずつに分けることが難しい問題点があった。
【0005】
本発明の目的は、降雨初期の小雨時には屋根や屋上に積もった砂や塵埃を多く含む雨水を下水道管渠に流すことにより貯留浸透桝の目詰まりや貯留槽の汚染を防止でき、降雨強度により自動的に下水道管渠と貯留浸透桝又は貯留槽とに分流でき、かつ下水道管渠や河川へのそれらの流下能力を越える雨水の流入を防止できる流下雨水の分流管を提供することにある。
また本発明の別の目的は、屋根や屋上に積もった砂や塵埃が下水道管渠に流れた後も小雨が降り続いた場合にこの雨水を貯留浸透桝又は貯留槽に導くことができ、また雨水流路と分流管との距離が短くても雨水を外管の内周面に付着させて確実に雨水を分流できる流下雨水の分流管を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の構成を、実施例に対応する図1、図5、図6及び図7を用いて説明する。
本発明の第1の流下雨水の分流管13は、図1及び図5に示すように鉛直部16dが形成され、上端が建物の屋根又は屋上に落下した雨水15を受ける雨水流路11に接続され、下端が下水道管渠に連通する集水桝14に接続された外管16と;上部の外周面が鉛直部16dの内周面と所定の間隔をおいて配置され、下端が雨水15の貯留浸透桝17又は貯留槽のいずれか一方又は双方に接続された内管18と;内管18の上端より所定の距離だけ上方の外管16の鉛直部16dの内周面に設けられたリング状の分流具24とを備えたものである。
その特徴ある構成は、分流具24が外管16の鉛直部16dの内周面に沿って流下した雨水15を受けるリング状の凹溝24aと、凹溝24aの底部に周方向に並んで形成され凹溝24a内の雨水15を集水桝14に導く複数の通孔24bと、下方に向うに従って内径が小さくなるテーパ状に形成され凹溝24aからあふれた雨水15を内管18に導く内周壁24cとを備えたところにある。
【0007】
本発明の第2の流下雨水の分流管53は、図6に示すように鉛直部16dが形成され、上端が建物の屋根又は屋上に落下した雨水15を受ける雨水流路11に接続され、下端が下水道管渠に連通する集水桝に接続された外管16と;上部の外周面が鉛直部16dの内周面と所定の間隔をおいて配置され、下端が雨水15の貯留浸透桝又は貯留槽のいずれか一方又は双方に接続された内管18と;内管18の上端より所定の距離だけ上方の外管16の鉛直部16dの内周面に設けられたリング状の突起51とを備えたものである。
その特徴ある構成は、内管18の上端より上方かつ突起51より下方の外管16の鉛直部16dの内周面にリング状の分流具24が設けられ;分流具24が外管16の鉛直部16dの内周面に沿って流下した雨水15を受けるリング状の凹溝24aと、凹溝24aの底部に周方向に並んで形成され凹溝24a内の雨水15を集水桝に導く複数の通孔24bと、下方に向うに従って内径が小さくなるテーパ状に形成され凹溝24aからあふれた雨水15を内管16に導く内周壁24cとを備えたところにある。
【0008】
また、図1又は図6に示すように分流具24に通孔24bを周方向に横切るスリット24dを形成し、スリット24dに通孔24bの開孔率を調整可能な調整リング26を回動可能に挿入することが好ましい。
また、図1、図6又は図7に示すように分流具24又は突起51の上方の外管16内に外管16の内周面から隙間をあけて整流具27を設け、整流具27が雨水流路11から外管16に流入した雨水15を外管16の内周面に付着して流下させるように構成することもできる。
【0009】
更に、本発明の第3の流下雨水の分流管73は、図7に示すように鉛直部16dが形成され、上端が建物の屋根又は屋上に落下した雨水15を受ける雨水流路に接続され、下端が下水道管渠に連通する集水桝に接続された外管16と;上部の外周面が鉛直部16dの内周面と所定の間隔をおいて配置され、下端が雨水15の貯留浸透桝又は貯留槽のいずれか一方又は双方に接続された内管18と;内管18の上端より所定の距離だけ上方の外管16の鉛直部16dの内周面に設けられたリング状の突起51とを備えたものである。
その特徴ある構成は、突起51の上方の外管16内に外管16の内周面から隙間をあけて整流具27が設けられ;整流具27が雨水流路から外管16に流入した雨水15を外管16の内周面に付着して流下させるように構成されたところにある。
【0010】
【作用】
図1及び図5に示される分流管13では、降雨初期の小雨時には雨水15は屋根に積もった砂や塵埃とともに雨水流路11から分流管13内に、自然に或いは整流具27により整流され外管16の付着流となって流下する。この雨水15は流量が少ないので、全て通孔24b及び集水桝14を経由して下水道管渠に流入する。
中雨になると、分流管13に流入した比較的清浄な雨水15は、通孔24bを通過する雨水15と、凹溝24aからあふれて内周壁24cを伝わって内管18に流入する雨水15とに分流される。通孔24bを通過した雨水15は集水桝14を通って下水道管渠に流入し、内管18に流入した雨水15は貯留浸透桝17に貯留される。
また降雨強度が大きくならず小雨が降り続けたときには、調整リング26を操作して通孔24bの開孔率を小さくすることにより、凹溝24aから雨水15があふれて内管18に流入する。
【0011】
図6に示される分流管53では、降雨初期の小雨時には雨水15は屋根に積もった砂や塵埃とともに雨水流路から分流管53に、自然に或いは整流具27により整流され外管16の付着流となって流下し、更に突起51を乗越えた後も外管16の付着流となったまま流下し、通孔24b及び集水桝を経由して下水道管渠に流入する。
中雨になると、分流管53に流入した雨水15は突起51を乗越えても外管16の内周面に付着したまま流下する一定量の付着流と、突起51でジャンプして外管16の内周面から離脱し内管18に流入する離脱流とに分流される。突起51を越えても付着流となった雨水15は通孔24b及び集水桝を通って下水道管渠に流入するものと、凹溝24aからあふれて内管18に流入するものとに更に分流される。離脱流となった雨水15は内管18を通って貯留浸透桝に一端貯留される。
更に降雨強度が大きくなって豪雨になると、分流管53に流入した雨水15は全て突起51でジャンプして鉛直部16dの内周面から離脱し、内管18を通って貯留浸透桝に一端貯留される。
【0012】
【実施例】
次に本発明の第1実施例を図面に基づいて詳しく説明する。
図1〜図5に示すように、雨樋11は建物の屋根の周縁に沿って設けられ、屋根に落下した雨水15を受ける。雨樋11の下面にはこの雨樋11と一体的に鉛直方向下向きに短管12が設けられ、この短管12には比較的短い第1パイプ21を介して分流管13が接続される。分流管13は上端が第1パイプ21の下端に接続され下端側部が第2パイプ22を介して集水桝14に接続された外管16と、上部が外管16の下面からこの外管16の内部に挿入され下端が第3パイプ23を介して貯留浸透桝17に接続された内管18とを備える(図5)。分流管13はこの例では塩化ビニール樹脂により形成される。
【0013】
図1に詳しく示すように、外管16は上端が上記第1パイプ21の下端に接続された上部ケース16aと、上端が上部ケース16aの下端に接続され下端が第3パイプ23に接続された下部ケース16bとを有する。下部ケース16bの下端側部には水平管16cが突設され、この水平管16cに第2パイプ22の上端が接続される。上部ケース16aと、水平管16cを除く下部ケース16bとにより外管16の鉛直部16dが形成される。内管18は下部ケース16bと一体的に形成された内管本体18aと、上方に向うに従って末広がりに形成され内管本体18aの上端に挿着された漏斗18bとを有する。内管本体18aは下部ケース16b内に位置する内管本体18aの上部外周面が外管16の鉛直部16d内周面と所定の間隔をおいて配置される。即ち内管本体18aの中心線を鉛直部16dの中心線に一致させ、内管本体18a上部の外径が鉛直部16dの内径より小さく形成される。本明細書にて内管18の上端という場合には、内管本体18aの上端に挿着された漏斗18bの上端をいうものとする。
【0014】
内管18の上端より所定の距離だけ上方の外管16の鉛直部16dの内周面にはリング状の分流具24が挿着される。分流具24はその上面に形成されたリング状の凹溝24aと(図1)、凹溝24aの底部に周方向に並んで形成された複数の通孔24bと(図1及び図2)、下方に向うに従って内径が小さくなるテーパ状に形成された内周壁24c(図1)とを備える。凹溝24aは外管16の鉛直部16dの内周面に沿って流下した雨水15を受け、複数の通孔24bは凹溝24a内の雨水15を集水桝14に導き、更に内周壁24cは凹溝24aからあふれた雨水15を内管18に導くようになっている。複数の通孔24bはこの例では6個の円弧状の通孔であり、これらの通孔24bは凹溝24aに沿って所定の間隔をあけて並んで形成される(図2)。
【0015】
上記分流具24には通孔24bを周方向に横切るスリット24dが形成され、このスリット24dにより分流具24は上下に2分割される。このスリット24dには調整リング26が回動可能に挿入される(図1)。調整リング26は上記6個の通孔24bと同形同大の6個の透孔26aと、外周面から外管16の外側に突設された一対の操作レバー26b,26bとを備える(図1及び図2)。一対の操作レバー26b,26bは外管16にその周方向に延びて形成された一対のレバー溝16e,16eから外側に突出し、操作レバー26bをレバー溝16eの一方の端部に当接させると透孔26aが通孔24bに一致して通孔24bの開孔率が100%となり、操作レバー26bをレバー溝16eの他方の端部に当接させると透孔26aが通孔24bに全く一致せず通孔24bの開孔率が0%となるようになっている。上下に分割された分流具24は上下に分割された通孔24bがずれないように接着剤又はビス(図示せず)等により外管16に固定される。
【0016】
また、分流具24の上方の外管16内には外管16の内周面から隙間をあけて整流具27が設けられる。整流具27は比較的容易に撓む軟質のゴム板により形成された整流具本体28と、整流具本体28を支持する支持具29とを備える(図1、図3及び図4)。整流具本体28には所定の角度毎に半径方向に延びる切込み28aが形成される(図3)。支持具29は整流具本体28の中心を保持する軸29aと、軸29aを4本の十字状のリブ29b(図4)を介して保持する保持リング29cとを備える。保持リング29cは外管16の内周面に形成されたリング溝16fに挿着される。整流具27は雨樋11から外管16に流入した雨水15を外管16の内周面に付着して流下させるようになっている。また集水桝14及び貯留浸透桝17はそれぞれ地中に埋設される。集水桝14は図外の下水道管渠に接続され、貯留浸透桝17の下面にはこの浸透桝17に貯留された雨水15を浸透し易くするために比較的粒子径の大きい砂利や土30が配置される(図5)。
【0017】
このように構成された流下雨水の分流管の動作を説明する。
降雨初期の小雨時には、雨水15は屋根(図示せず)に積もった砂や塵埃とともに雨樋11から短管12及び第1パイプ21内を流下する。このとき雨水15は第1パイプ21が比較的短いため、第1パイプ21に付着せずに第1パイプ21の中央を通って流下するが、図1の実線矢印で示すように整流具27の上面に落下してこの整流具27により外管16の内周面に導かれ、外管16の内周面に付着する付着流となって層状に流下する。この外管16の付着流となった雨水15は分流具24の凹溝24aに貯まるが、雨水15流量が少ないので、全ての雨水15が図1の破線矢印及び図5の破線矢印で示すように通孔24b、水平管16c、第2パイプ22及び集水桝14を経由して下水道管渠(図示せず)に流入する。この結果、砂や塵埃を多く含む雨水15は外管16のみに流れて内管18には流れないので、貯留浸透桝17下面の土30粒子の間隙が雨水15に含まれる砂や塵埃により目詰まりすることはない。また下水道管渠への単位時間当りの雨水15の流入量は降雨強度が大きくなるに従って増大する。
【0018】
降雨強度が大きくなって中雨になると、分流管13に流入した雨水15は、図1の破線矢印で示すように通孔24bを通過する雨水15と、二点鎖線矢印で示すように凹溝24aからあふれて内周壁を伝わって内管18に流入する雨水15とに分流される。通孔24bを通過した雨水15は図5の破線矢印で示すように水平管16c、第2パイプ22及び集水桝14を通って下水道管渠に流入し、内管18に流入した雨水15は二点鎖線矢印で示すように第3パイプ23を通って貯留浸透桝17に一旦貯留される。またこれらの雨水15は殆ど砂や塵埃を含まず比較的清浄であるので、貯留浸透桝17下面の土30粒子の間隙が目詰まりすることはなく、貯留浸透桝17に貯留された雨水15はこの浸透桝17の下面の土30に浸透して地下水となる。また下水道管渠への単位時間当りの雨水15の流入量は降雨強度が大きくなっても殆ど変化しない。
【0019】
また降雨強度が大きくならず小雨が降り続けたときには、調整リング26の操作レバー26bを操作して通孔24bの開孔率を小さくする。この結果、小雨であっても凹溝24aから雨水15があふれて内管18に流入し、砂や塵埃を殆ど含まない比較的清浄な雨水15が貯留浸透桝17に一端貯留される。
【0020】
図6は本発明の第2実施例を示す。図6において図1と同一符号は同一部品を示す。
この例では分流管53の内管18の上端より所定の距離だけ上方の外管16の内周面にはリング状の突起51が挿入され、内管18の上端より上方かつ突起51より下方の外管16の鉛直部16dの内周面に上記第1実施例と同一のリング状の分流具24が設けられる。突起51はその上面と外管16の内周面とのなす角度θが120度に形成され、下面と外管16の内周面とのなす角度αが120度に形成され、突起51の断面の外形が略三角形状に形成される。この場合、突起51の先端の角度βは60度となる。突起51の先端は凸状曲面に形成される。上記θ=120度の角度は建物が密集しかつ舗装された道路の多い地域において治水対策を重視する場合に適する。また第1実施例と同様に分流具24にはスリット24dが形成され、このスリット24dには調整リング26が回動可能に挿入され、更に突起51の上方には整流具27が設けられる。
【0021】
このように構成された流下雨水の分流管の動作を説明する。
降雨初期の小雨時には、雨水15は屋根(図示せず)に積もった砂や塵埃とともに雨樋(図示せず)から短管(図示せず)及び第1パイプ21を通って分流管53に流入し、整流具27により整流され外管16の付着流となって層状に流下する。この雨水15は外管16の内周面の突起51を乗越えた後も実線矢印で示すように鉛直部16dの内周面上に付着したまま層状に流下し、分流具24の通孔24a、水平管16c、第2パイプ22及び集水桝(図示せず)を経由して下水道管渠(図示せず)に流入する。
【0022】
降雨強度が大きくなって中雨になると、分流管53に流入した雨水15は、実線矢印で示すように突起51を乗越えても鉛直部16d内周面に付着したまま流下する一定量の付着流と、破線矢印で示すように突起51でジャンプして鉛直部16dの内周面から離脱し内管18に流入する離脱流とに分流される。突起51を越えても付着流となった雨水15は実線矢印で示すように分流具24の通孔24b、水平管16c、第2パイプ22及び集水桝を通って下水道管渠に流入するものと、二点鎖線矢印で示すように分流具24の凹部24aからあふれて内管18に流入するものとに分流される。突起51にて離脱流となった雨水15は内管18及び第3パイプ23を通って貯留浸透桝(図示せず)に一旦貯留される。
【0023】
降雨強度が更に大きくなって豪雨になると、分流管53に流入した雨水15は全て突起51でジャンプして鉛直部16dの内周面から離脱し、内管18にスムーズに流入する。この雨水15は貯留浸透桝に一旦貯留され、この浸透桝の下面の土に浸透して地下水となる。この結果、建物の屋根に落下した雨水15は下水道管渠に全く流入せず、下水道管渠への単位時間当りの雨水15の流入量は急激に減少するので、下水道管渠への単位時間当りの雨水15の流入量はその流下能力を越えない。
【0024】
図7は本発明の第3実施例を示す。図7において図6と同一符号は同一部品を示す。
この例では分流管73の内管18の上端より所定の距離だけ上方の外管16の鉛直部16dの内周面に上記第2実施例と同一のリング状の突起51が設けられ、突起51の上方の外管16内に外管16の内周面から隙間をあけて上記第1及び第2実施例と同一の整流具27が設けられる。
このように構成された流下雨水の分流管の動作は、上記第2実施例の分流具がない場合と略同様であるので、繰返しの説明を省略する。
【0025】
なお、上記第1実施例では内管の下端を第3パイプを介して貯留浸透桝に接続したが、これは一例であって内管の下端を第3パイプを介して貯留槽に接続してもよい。鉛直方向に複数段積重ねられた貯留槽を用いる場合、これらの貯留槽をオーバフローパイプ及び供給パイプにより連通し、供給パイプに逆止弁を設けることにより、雨水が最上段の貯留槽から順に貯まり、かつ貯留槽に貯まった雨水を庭への散水、自動車の洗浄用水、トイレ用水等の雑用水として利用するときに最上段の貯留槽から使用される。この結果、貯留槽に貯まった雨水の位置エネルギを有効に利用できる。また最下段の貯留槽のオーバフローパイプを貯留浸透桝に接続することにより、雨水を更に有効に利用できる。
また、上記第1〜第3実施例では、第1パイプが比較的短いため、分流具又は突起の上方の外管内に整流具を設け、この整流具により外管に流入した雨水を外管の内周面に付着させたが、第1パイプを十分に長くできれば、雨水は自然に外管の内周面に付着するので、整流具は不要になる。
【0026】
また、上記第2及び第3実施例では突起の上下面と外管の鉛直部の内周面とのなす角度θ及びαをそれぞれ120度とし、これにより建物が密集しかつ舗装された道路の多い地域において治水対策を重視するようにしたが、突起の形状はこれに限らず地下水の涵養や雨水の雑用水としての利用を主たる目的とする場合には、角度θ及びαをそれぞれ90度とし、この突起の先端を凸状曲面に形成してもよい。このように構成された突起では、降雨強度が中雨程度になると分流管に流入した雨水の大部分が突起でジャンプして鉛直部の内周面から離脱し、内管を通って貯留浸透桝又は貯留槽に貯留される。この結果、貯留浸透桝に貯留された雨水は土に浸透して地下水を涵養し、貯留槽に貯留された雨水は雑用水として利用できる。また本発明の角度θ及びαは上記角度に限定されるものではなく、角度θは地域総面積に対する建物や舗装道路の面積の割合又はその地域の地形等によって適宜変えることができ、治水対策を重視するときには角度θは大きく、また地下水の涵養や雨水の雑用水としての利用を重視するときには角度θは小さく決められる。
【0027】
また、上記実施例では雨水流路として建物の屋根の周縁に設けられた雨樋を挙げたが、これに限らずビルの屋上の周縁に設けられた雨水用凹溝でもよい。
更に、上記実施例では内管の上端に漏斗を挿着したが、突起でジャンプして離脱した雨水が漏斗がなくても内管に流入できれば、漏斗は不要になる。
【0028】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、内管の上端より所定の距離だけ上方の外管の鉛直部の内周面にリング状の分流具を設け、この分流具が外管の鉛直部の内周面に沿って流下した雨水を受けるリング状の凹溝と、凹溝の底部に周方向に並んで形成され凹溝内の雨水を集水桝に導く複数の通孔と、下方に向うに従って内径が小さくなるテーパ状に形成され凹溝からあふれた雨水を内管に導く内周壁とを備えたので、降雨初期の小雨時には屋根や屋上に積もった砂や塵埃を多く含む雨水が分流具の通孔を通って全て下水道管渠に流れ、貯留浸透桝の目詰まりや貯留槽への汚れた雨水の流入を防止できる。
また、降雨強度が大きくなると、分流具の凹溝からあふれた雨水が内周壁を伝わって内管に導かれ、貯留浸透桝に流入するので、下水道管渠や河川へのそれらの流下能力を越える雨水の流入を防止できる。
【0029】
また、内管の上端より所定の距離だけ上方の外管の鉛直部の内周面にリング状の突起を設け、内管の上端より上方かつ突起より下方の外管の鉛直部の内周面にリング状の分流具を設ければ、外管内を流下する雨水が所定流量以上になると、雨水は突起にてジャンプしてスムーズに内管内に案内される。
また、分流具に通孔を周方向に横切るスリットを形成し、スリットに通孔の開孔率を調整可能な調整リングを回動可能に挿入すれば、分流具の通孔を通過する雨水の量を調整できるので、屋根や屋上に積もった砂や塵埃が流れた後も小雨が降り続いた場合、通孔の開孔率を小さくすることにより、凹部からあふれる雨水が増大し、これらの雨水が内周壁を伝わって内管に導かれ、貯留浸透桝又は貯留槽に流入する。
更に、分流具又は突起の上方の外管内に外管の内周面から隙間をあけて整流具を設け、整流具が雨水流路から外管に流入した雨水を外管の内周面に付着して流下させるように構成すれば、雨水流路と分流管との距離が短くても、雨水を外管の内周面に付着させることができる。この結果、外管内を流下する雨水を分流具又は突起により確実に分流することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明第1実施例流下雨水の分流管を示す図5のA部拡大断面図。
【図2】図1のB−B線断面図。
【図3】図1のC−C線断面図。
【図4】図1のD−D線断面図。
【図5】その分流管の雨樋、集水桝及び貯留浸透桝への接続状態を示す構成図。
【図6】本発明の第2実施例を示す図1に対応する断面図。
【図7】本発明の第3実施例を示す図1に対応する断面図。
【符号の説明】
11 雨樋(雨水流路)
13,53,73 分流管
14 集水桝
15 雨水
16 外管
16d 外管の鉛直部
17 貯留浸透桝
18 内管
24 分流具
24a 凹溝
24b 通孔
24c 内周壁
24d スリット
26 調整リング
27 整流具
51 突起

Claims (5)

  1. 鉛直部(16d)が形成され、上端が建物の屋根又は屋上に落下した雨水(15)を受ける雨水流路(11)に接続され、下端が下水道管渠に連通する集水桝(14)に接続された外管(16)と;
    上部の外周面が前記鉛直部(16d)の内周面と所定の間隔をおいて配置され、下端が雨水(15)の貯留浸透桝(17)又は貯留槽のいずれか一方又は双方に接続された内管(18)と;
    前記内管(18)の上端より所定の距離だけ上方の前記外管(16)の鉛直部(16d)の内周面に設けられたリング状の分流具(24)と
    を備えた流下雨水の分流管(13)であって;
    前記分流具(24)が、
    前記外管(16)の鉛直部(16d)の内周面に沿って流下した雨水(15)を受けるリング状の凹溝(24a)と、
    前記凹溝(24a)の底部に周方向に並んで形成され前記凹溝(24a)内の雨水(15)を前記集水桝(14)に導く複数の通孔(24b)と、
    下方に向うに従って内径が小さくなるテーパ状に形成され前記凹溝(24a)からあふれた雨水(15)を前記内管(18)に導く内周壁(24c)と
    を備えたことを特徴とする流下雨水の分流管。
  2. 鉛直部(16d)が形成され、上端が建物の屋根又は屋上に落下した雨水(15)を受ける雨水流路に接続され、下端が下水道管渠に連通する集水桝に接続された外管(16)と;
    上部の外周面が前記鉛直部(16d)の内周面と所定の間隔をおいて配置され、下端が雨水(15)の貯留浸透桝又は貯留槽のいずれか一方又は双方に接続された内管(18)と;
    前記内管(18)の上端より所定の距離だけ上方の前記外管(16)の鉛直部(16d)の内周面に設けられたリング状の突起(51)と
    を備えた流下雨水の分流管(53)であって;
    前記内管(18)の上端より上方かつ前記突起(51)より下方の前記外管(16)の鉛直部(16d)の内周面にリング状の分流具(24)が設けられ;
    前記分流具(24)が、
    前記外管(1)の鉛直部(16d)の内周面に沿って流下した雨水(15)を受けるリング状の凹溝(24a)と、
    前記凹溝(24a)の底部に周方向に並んで形成され前記凹溝(24a)内の雨水(15)を前記集水桝に導く複数の通孔(24b)と、
    下方に向うに従って内径が小さくなるテーパ状に形成され前記凹溝(24a)からあふれた雨水(15)を前記内管(18)に導く内周壁(24c)と
    を備えたことを特徴とする流下雨水の分流管。
  3. 分流具(24)に通孔(24b)を周方向に横切るスリット(24d)が形成され、前記スリット(24d)に前記通孔(24b)の開孔率を調整可能な調整リング(26)が回動可能に挿入された請求項1又は2記載の流下雨水の分流管。
  4. 分流具(24)又は突起(51)の上方の外管(16)内に前記外管(16)の内周面から隙間をあけて整流具(27)が設けられ、前記整流具(27)が雨水流路(11)から前記外管(16)に流入した雨水(15)を前記外管(16)の内周面に付着して流下させるように構成された請求項1ないし3いずれか記載の流下雨水の分流管。
  5. 鉛直部(16d)が形成され、上端が建物の屋根又は屋上に落下した雨水(15)を受ける雨水流路に接続され、下端が下水道管渠に連通する集水桝に接続された外管(16)と;
    上部の外周面が前記鉛直部(16d)の内周面と所定の間隔をおいて配置され、下端が雨水(15)の貯留浸透桝又は貯留槽のいずれか一方又は双方に接続された内管(18)と;
    前記内管(18)の上端より所定の距離だけ上方の前記外管(16)の鉛直部(16d)の内周面に設けられたリング状の突起(51)と
    を備えた流下雨水の分流管(73)であって;
    前記突起(51)の上方の前記外管(16)内に前記外管(16)の内周面から隙間をあけて整流具(27)が設けられ;
    前記整流具(27)が前記雨水流路から前記外管(16)に流入した雨水(15)を前記外管(16)の内周面に付着して流下させるように構成された
    ことを特徴とする流下雨水の分流管。
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