JP3596449B2 - 熱延鋼板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の圧延スタンドからなる仕上圧延機列を用いて仕上圧延を行う熱延鋼板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
熱延鋼板は、一般に、複数の圧延機が連続して並ぶ圧延装置列において仕上圧延を行う方法で製造される。通常、大気中にて行われる熱間圧延において、圧延ライン上にて、鋼板表面にスケールが生成するのは避けられず、そのスケールが圧延により鋼板表面に押し込まれた場合、その熱延鋼板の表面性状は著しく損なわれる。また、このような熱延鋼板は、酸洗後においても微小スケールや表面凹凸が残り易く、さらに、このような鋼板は冷間圧延、メッキ後も表面欠陥として認識されてしまう。
【0003】
したがって、鋼スラブの表面に生成したスケールは、鋼スラブが各ロールに噛み込まれる直前に除去するのが望ましく、通常、仕上圧延機列の入側や、粗圧延を行う場合には、粗圧延の各粗圧延機の入側で高圧水の噴射などによるデスケーリングが行われる。しかし、仕上圧延機列のスタンド間で生成するスケールに関しては、比較的薄いため一般には除去されていない。
【0004】
しかし、鋼板の仕上圧延では、スケールが生成した状態で圧延を行うので、スケールが鋼板に押し込まれると表面欠陥が発生することになる。そこで、仕上スタンド間でスケールを除去する技術がいくつか開発されている。
【0005】
例えば、特公平8−9057号公報に記載されているように、仕上スタンドの下流側に噴射ノズル型のデスケーリング装置を近づけて配置することで、仕上スタンド間でスケールを除去する技術がある。これは、従来、仕上スタンドの上流側にあったデスケーリング装置を下流側に位置させることで、スケールに点状の膨れを発生させ、デスケーリングを容易にすることを指向したものである。
【0006】
また、特開平7−171610号公報に記載されているように、仕上前段スタンドの入側で、鋼板表面のスケール厚さが10μmを超える場合に、衝突圧0.15kgf/cm2以上でデスケーリングを行い、1s以内に前記仕上スタンドで圧延を行う技術がある。これは、デスケーリングから仕上スタンドまでの間に生成するスケールの抑制を指向したものである。
【0007】
さらに、上述のような仕上スタンド間でスケール除去を指向するだけでなく、圧延温度の低減を指向する技術もある。例えば、特開平10−230314号公報に記載されているように、仕上スタンド間を冷却して、仕上スタンド間の最高表面温度を1000℃以下に規制することでスケール疵を防止する技術がある。また、CAMP−ISIJ,9(1996),p.972にも、デスケーリング前の仕上入側温度を1000℃、仕上出側温度を830℃と低下させることで、スケールが地鉄に押し込まれるのを防止できることが報告されている。
【0008】
さらに,特開平10−180338号公報には、仕上スタンド間の鋼板表面積の50%以上70%以下の範囲において、単位面積あたり100cc/cm2/min以上300cc/cm2/min以下の冷却水を噴射することで、スケール生成を抑制しつつ、鋼板平均温度の低下も押さえる技術が提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
鋼板の仕上圧延では、各仕上スタンドの間隔が短いことかから生成するスケールが薄く、厚いスケールに比べて剥離しにくいため却ってデスケーリングが極めて困難となるという問題点がある。
【0010】
特公平8−9057号公報記載の技術では、点状に膨れた部分のスケールは剥離できるものの、その周囲の密着した部分のスケールは剥離できず、スケールが斑に噛み込んでしまうという問題点がある。
【0011】
特開平7−171610号公報記載の技術では、厚さが10μmを超える鋼板表面のスケールはデスケーリングされるが、スケール厚さが1μm以下であっても、前述のCAMP−ISIJ,9(1996),p.972に示されるように、スケールに膨れが生じた場合には、スケールは地鉄に噛み込まれてしまうという問題点がある。
【0012】
特開平10−230314号公報記載の技術では、スケール疵防止のため仕上スタンド間の最高表面温度を規制するが、このような低温圧延は、材質上、仕上出側の温度を高温にしなければならない場合には適用できない。また仕上圧延機の負荷も高くなることから、能率の低下を招く。また、仕上スタンド間の最高表面温度を1000℃以下に規制するだけでは、長さ数mm程度の微小なスケール欠陥までは防止できないといった問題点もある。
【0013】
特開平10−180338号公報記載の技術では、冷却水を100〜300cc/cm2/min使用するが、これは通常の平方メートル当たりの水量に換算すると1000〜3000 L/min・m2/(リットル/分・m2)という大量の冷却水となる。このような必要以上の冷却により、鋼板の温度低下は避けられず、圧延の負荷を高めるといった問題点がある。
【0014】
このように、従来技術では、微小なスケール欠陥まで防止すると、仕上圧延機の負荷の増加による能率の低下する。従って、熱間連続圧延設備における鋼板の圧延において、長さ数mm程度の微小な散砂状のスケール押し込みを含む、スケール疵の発生がない熱延鋼板を製造することが困難であった。そのため、冷延、溶融亜鉛メッキ、あるいは電気メッキ後、表面良好な薄鋼板を得ることも困難であった。
【0015】
本発明は、上記の問題点を解決し、熱間圧延時の仕上圧延過程において、スケール疵のない表面性状に優れた熱延鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は次の発明により解決される。最初の発明は、複数の圧延スタンドからなる仕上圧延機列を用いて仕上圧延を行う熱延鋼板の製造方法において、仕上圧延機列の入側より少なくとも3スタンドまでの各スタンドについては、各スタンドの入側では、ロールバイトから鋼板長手方向2m以内の範囲でかつ鋼板の長手方向の任意の個所がその位置を通過後4s以内にロールに噛み込むようになる位置までの範囲に冷却水を鋼板へ向けて噴射し、各スタンドの出側では、ロールバイトから鋼板長手方向1m以内の範囲でかつ鋼板の長手方向の任意の個所がロールに噛み込んだ後1.5s 以内に到達する位置までの範囲に冷却水を鋼板へ向けて噴射することを特徴とする熱延鋼板の製造方法である。
【0017】
さらに、仕上圧延機列の圧延スタンド当たりの圧下率を50%以下とし、前記仕上圧延機列の入側より少なくとも3スタンドまでの各スタンドについては、各スタンドの入側では、ロールバイトから鋼板長手方向 2m 以内の範囲でかつ鋼板の長手方向の任意の個所がその位置を通過後 0.3 〜 4s 後にロールに噛み込むようになる位置までの範囲に冷却水を平均水量 5 〜 50L/min ・ m 2 で鋼板へ向けて噴射し、各スタンドの出側では、ロールバイトから鋼板長手方向 1m 以内の範囲でかつ鋼板の長手方向の任意の個所がロールに噛み込んだ後 0.1 〜 1.5s 後に到達する位置までの範囲に冷却水を平均水量 10 〜 100L/min ・ m 2 で鋼板へ向けて噴射することもできる。
【0018】
あるいは、mass%で、P:0.1%以下、Ti:0.2%以下を含有する鋼を用いて仕上圧延するに当たり、デスケーリング前の仕上入側温度を1060℃以下とし、かつ、仕上圧延機列の入側より少なくとも3スタンドまでの各スタンドについては、圧下率をr%、前記鋼のTi,P,Si量をmass%で[Ti],[P],[Si]と表すとき、前記各スタンドの入側での冷却水量を(10+100×[Ti]−0.1×r)L/min・m2以上、前記各スタンドの出側での冷却水量を、(15+500×[P]−10×[Si]0.3)L/min・m2以上かつ10L/min・m2以上とすることもできる。
【0019】
これらの発明は、粗バー等の仕上圧延用の材料にデスケーリングを行った後、仕上圧延中に適切に冷却を行うことにより、スタンド間におけるスケールの生成を抑制する。特に、仕上圧延機列の前半の各スタンドについて、それぞれの入側および出側における冷却水の噴射位置および噴射時間を制御する。本発明が対象とする鋼板は、スケールままあるいは酸洗後に使用される熱延鋼板に加えて、その熱延鋼板を母材として製造される冷延鋼板、あるいは、熱延板、冷延板を母材として製造されるメッキ板を含む。
【0020】
以下、本発明の鋼板の製造方法を限定する理由を説明する。まず、スケールの生成を抑制するためには、圧延スタンドの入出側での冷却を、仕上圧延機列において圧延温度が高く、かつ、圧延速度の遅い前段側で優先的に行う必要がある。これは、圧延スタンドを入側よりF1、F2、F3、・・・としたとき、少なくともF1、F2、F3を含む3スタンド以上とすることが効果的である。また、冷却方法については、以下に説明するように、ロール入出側のごく近傍で行う必要がある。
【0021】
ロール入側(各スタンド入側)での冷却は、圧延によるスケールヘの微小亀裂導入のため行う。しかし、ロールバイトから2mを超え、あるいは4sより長時間行っても効果が飽和するだけでなく、圧延負荷の増大や仕上の最終圧延温度の低下による材質不良を招く。そこで、ロール入側での冷却は、ロールバイトから2m以内の範囲で、かつ、鋼がロールに噛み込む直前の4s以内に、開始することと規定する。
【0022】
噴射する冷却水の量は、ロールバイトから2mの範囲の平均水量として5L/min・m2以上の冷却水を0.3s以上噴射することが望ましい。一方、仕上入側直近にて多量の冷却水を噴射しても、効果が飽和するだけでなく、圧延負荷の増大や仕上の最終圧延温度の低下による材質不良を招くことから、ロールバイトから2mの範囲の平均水量は50L/min・m2以下とすることが望ましい。
【0023】
各圧延スタンドの出側においては、冷却水を噴射してスケールの成長を抑制し、スケールが剥離するのを防止する必要がある。しかし、ロールバイトから1mを超え、あるいは1.5sより長時間行っても効果が飽和するだけでなく、圧延負荷の増大や仕上の最終圧延温度の低下による材質不良を招く。したがって、ロール出側での冷却は、ロールバイトから1m以内の範囲で、かつ、鋼がロールに噛み込んだ直後の1.5s以内に終了することと規定する。
【0024】
噴射する冷却水の量は、ロールバイトから1mの範囲の平均水量として10L/min・m2以上の冷却水を0.1s以上噴射することが望ましい。一方、仕上出側直近にて多量の冷却水を噴射しても、効果が飽和するだけでなく、圧延負荷の増大や仕上の最終圧延温度の低下による材質不良を招くことから、ロールバイトから1mの範囲の平均水量は100L/min・m2以下が望ましい。
【0025】
仕上スタンドあたりの圧下率が大きい場合、スケールに大きな割れが生じ、スケールが押し込まれ易くなってしまう。したがって、各仕上スタンドでの圧下率は50%以下が望ましい。
【0026】
Pはスケールの方位をランダム化することでスケール内の圧縮応力を高めるとともに、スケール/地鉄界面に偏析してスケールの密着性を低下させることでブリスター状スケールの発生を助長する元素である。これを防止するため、Pの含有量をmass%で0.1%以下とすることで、より表面性状に優れた鋼板が製造できる。
【0027】
Tiはスケール生成にともない、TiのままあるいはTi酸化物としてスケール内に固溶することで、スケール内への亀裂導入を抑制してしまう。これを防止するため、Tiの含有量をmass%で0.2%以下とすることで、より表面性状に優れた鋼板が製造できる。
【0028】
仕上圧延機列の各スタンドの入側での冷却水の噴射に関し、スケール亀裂導入に必要な冷却水の量は、そのスタンドでの圧下量が小さいほど多く、圧下率をr(%)としたとき、(10−0.1×r)L/min・m2以上とすることが好ましい。さらに、母材の鋼板にTi元素を含有する場合、Ti含有量が多いほど、スケール亀裂導入に必要な冷却水の量も多くする必要があり、Ti含有量をmass%でTi(%)としたとき、(10+100×[Ti]−0.1×r)L/min・m2以上とすることで、より表面性状に優れた鋼板が製造できる。
【0029】
各スタンドの出側での冷却水の噴射に関しては、ブリスターの発生を防止するため、P含有量が多いほど、冷却水の量を多くする必要がある。また、母材の鋼板に含有するSiが少なくなると、冷却水の量を多くする必要がある。これは、Siはスケール/地鉄界面に偏析してSi−Fe−O系の酸化物を形成し、スケールの密着性を向上させることでブリスターの発生を抑制するからである。
【0030】
そこで、この発明では、PとSi含有量に基づき各スタンドの出側での冷却水の量を制御する。検討の結果、P、Si含有量をそれぞれmass%で[P]%、[Si]%としたとき、(15+500×[P]−10×[Si]0.3)L/min・m2あるいは10L/min・m2のいずれか多い方以上の冷却水を噴射することで、より表面性状に優れた鋼板が製造できる。
【0033】
【発明の実施の形態】
発明の実施に当たっては、通常の熱延鋼板用のスラブを用意して、前述の製造方法を適用する。以下、その詳細について説明する。
【0034】
仕上圧延時のスラブ温度については、鋼板表面温度が高いと、スケール生成が促進されるため、仕上スタンドでのスケール押し込みも助長される。したがって、仕上圧延機列入側でのデスケーリング前の温度は1060℃以下とすることで、より表面性状に優れた鋼板が製造できる。
【0035】
複数の仕上圧延機からなる仕上圧延機列の各圧延スタンドの入側においては、圧延によるスケールヘの微小亀裂導入のため、冷却水を噴射してスケールの変形抵抗を高めておく必要がある。さらに、一旦冷却水で冷却されたスケールが復熱するのを防止するため、鋼がロールに噛み込む直前まで冷却を行うのが好ましい。但し、必要以上に冷却を行っても、効果が飽和するだけでなく、圧延負荷の増大や仕上の最終圧延温度の低下による材質不良を招いてしまう。
【0036】
各圧延スタンドの出側においては、圧延で導入されたスケール亀裂部において、急激なスケール成長にともなうスケール内での圧縮応力の増加を防止して、スケール剥離を防止する必要がある。そのため、冷却水を噴射して、スケールの成長を抑制する。この急激なスケール成長は、鋼がロールに噛み込まれた直後の加工発熱が大きい段階で進行するため、鋼がロールに噛み込んだ直後に冷却を行うのが好ましい。但し、必要以上に冷却を行っても、効果が飽和するだけでなく、圧延負荷の増大や仕上の最終圧延温度の低下による材質不良を招く。
【0037】
このような熱間圧延時にスケールが押し込まれるメカニズムを種々検討した結果、各仕上圧延機の入出側ごく近傍において、同時に緩冷却を行うことで、スケールの押し込みが防止できることを見出した。この理由に関しては、本発明の請求範囲を限定するものではないが、以下のように考えられる。
【0038】
スケールは、Feがイオンとなってスケール中を外表面に向かって拡散移動し、スケール最表層で大気中のO2と結合することで成長する。このとき、スケールにも種々の粒が存在し、各粒ごとの成長速度の違いにより、スケール内に圧縮応力が働く。このスケールに働く圧縮応力がスケール/地鉄界面の密着力より大きい場合には、スケールが地鉄から剥離して浮き上がるという現象が生じる。
【0039】
このようなブリスター状のスケールが仕上圧延過程におけるスタンド間で発生した場合、浮き上がったスケール部分は、もはやロールで均一に圧延することはできず、圧延中にロールバイトで割れが生じ、そのまま地鉄に押し込まれ、スケール疵が発生する。したがって、スケール疵の発生を防止するには、仕上げスタンド間でブリスター状スケールが発生するのを抑制しなければならない。
【0040】
そのためには、スケール成長時にスケール内に発生する圧縮応力を緩和する必要がある。これについては、圧延時、スケールに微小亀裂を均一に導入することで、圧縮応力を緩和することができる。そのため、スケールがロールに噛み込む直前にスケールのみの緩冷却を行い、スケールの変形抵抗を高めることで、スケールヘの微小亀裂の導入を促進させる。
【0041】
しかし、このように亀裂を導入して圧縮応力を緩和しても、ロール出側では、亀裂導入部で急激なスケール成長が起こるため、逆にスケール内での圧縮応力は高くなる。そのため、ロール出側においても、すぐにスケールのみの緩冷却を行い、亀裂部での急激なスケール生成を抑制する必要がある。
【0042】
実施の際は、このような圧延中のスケールの変形挙動を考慮して、ロール入出側における冷却を行うことにより、圧延条件や鋼板の材料特性に応じて冷却条件をより最適化することも可能となる。
【0043】
【実施例】
本発明を実施例によって説明する。なお、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0044】
表1に示す鋼(A〜I)を、板厚30mmに加工し、1050℃に加熱し、高圧水にてデスケーリングを行ったのち、ラボ圧延機にて各パスの圧下率を30%、入側速度1m/s、出側速度1.43m/sとして7パスの圧延を行った。ここで、1〜4パス目において、種々の冷却条件で冷却を行った。
【0045】
【表1】
【0046】
冷却は、各パス圧延前ではロールバイト直近から1.5mの範囲で圧延前1.5sより冷却を開始し、各パス圧延後ではロールバイト直近から0.5mの範囲で、圧延後0.35sで冷却を終了した。また、ワークロールには、鉱物油を用いた潤滑剤を塗布し、その平均粗さを2μm以下とした。 その後、圧延後の表面を目視にて観察し、単位面積当たりの欠陥長さを評価した。表2にテスト条件と結果を示す。
【0047】
【表2】
【0048】
表2より、鋼Aについて見ると、供試体No.21、22のように各ロール入側の水量が75L/min・m2、あるいは、供試体No.10、22のように各ロール出側の水量が150L/min・m2というように冷却水量が多い場合には、圧延による温度低下量が140℃以上と大きくなった。
【0049】
また、供試体No.1のように冷却を行わない場合、あるいは供試体No. 2、3のようにロール入側あるいは出側の片側のみの冷却を行う場合には、単位面積当たりの欠陥長さは1.5m−1(m/m2)以上と長くなった。残りの供試体No.4〜22については、ロール入側および出側の冷却を行うことで、欠陥長さは1.0m−1以下になっている。
【0050】
図1は、上記鋼Aの供試体No.1〜22のサンプルについて、単位面積当たりの欠陥発生長さに及ぼす各ロール入側水量(ロールバイトから2mの範囲での平均水量)と出側水量(ロールバイトから1mの範囲での平均水量)の関係を示す図である。
【0051】
図1に示すように、各ロール出側の水量が100L/min・m2を超える場合には、温度低下量が大きくなっている。また、各ロール入側水量を5〜50L/min・m2で、かつ、各ロール出側水量を10〜100L/min・m2とすることで、欠陥長さは0.1m−1以下(図中、◎○印)となることがわかる。
【0052】
図2に、鋼A、C、E、G、Hの単位面積当たりの欠陥発生長さに及ぼすTi量と各ロール入側の水量の影響を示す。Ti量が0.2%以下で、かつ、冷却水量が5L/min・m2以上のとき、欠陥長さは0.1m−1以下となり、さらに、(10+100×[Ti]−0.1×r)L/min・m2以上(図中、斜めの破線から上の領域)のとき、欠陥長さは0.03m−1以下(図中、◎印)と良好となった。
【0053】
図3に、Si量が0.01%でロール入側の水量が25L/min・m2である鋼A〜D、Iのサンプルの単位面積当たりの欠陥発生長さに及ぼすP量と各ロール出側の水量の影響を示す。P量が0.1%以下で、かつ、水量が10L/min・m2以上のとき、欠陥長さは0.1m−1以下となり、さらに、(15+500×[P]−10×[Si]0.3)L/min・m2以上(図中、斜めの破線から上の領域)のとき、欠陥長さは0.03m−1以下(図中、◎印)と良好となった。
【0054】
図4に、P量が0.01%でロール入側の水量が35L/min・m2である鋼A、F、Gのサンプルの単位面積当たりの欠陥発生長さに及ぼすP量と各ロール出側の水量の影響を示す。ロール出側の冷却水量が10L/min・m2以上のとき、欠陥長さは0.1m−1以下(図中、◎○印)となり、さらに、 (15+500×[P]−10×[Si]0.3)L/min・m2以上(図中、曲線状の点線から上の領域)のとき、欠陥長さは0.03m−1以下(図中、◎印)と良好となった。
【0055】
【発明の効果】
本発明は、仕上圧延機列の前半の各スタンドの入側および出側における冷却水について、噴射位置および噴射時間を適切に制御することにより、スタンド間におけるスケールの生成を抑制する。その結果、スケール疵がなく表面性状に優れた鋼板の製造方法が提供され、工業上有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】欠陥発生に及ぼす各ロール入側および出側の水量の影響を示す図である。
【図2】欠陥発生に及ぼすTi量と各ロール入側の水量の影響を示した図である。
【図3】欠陥発生に及ぼすP量と各ロール出側の水量の影響を示した図である。
【図4】欠陥発生に及ぼすSi量と各ロール出側の水量の影響を示した図である。
Claims (3)
- 複数の圧延スタンドからなる仕上圧延機列を用いて仕上圧延を行う熱延鋼板の製造方法において、
仕上圧延機列の入側より少なくとも3スタンドまでの各スタンドについては、
各スタンドの入側では、ロールバイトから鋼板長手方向2m以内の範囲でかつ鋼板の長手方向の任意の個所がその位置を通過後4s以内にロールに噛み込むようになる位置までの範囲に冷却水を鋼板へ向けて噴射し、
各スタンドの出側では、ロールバイトから鋼板長手方向1m以内の範囲でかつ鋼板の長手方向の任意の個所がロールに噛み込んだ後1.5s 以内に到達する位置までの範囲に冷却水を鋼板へ向けて噴射することを特徴とする熱延鋼板の製造方法。 - 複数の圧延スタンドからなる仕上圧延機列を用いて仕上圧延を行う熱延鋼板の製造方法において、
仕上圧延機列の圧延スタンド当たりの圧下率を 50 %以下とし、前記仕上圧延機列の入側より少なくとも 3 スタンドまでの各スタンドについては、
各スタンドの入側では、ロールバイトから鋼板長手方向 2m 以内の範囲でかつ鋼板の長手方向の任意の個所がその位置を通過後 0.3 〜 4s 後にロールに噛み込むようになる位置までの範囲に冷却水を平均水量 5 〜 50L/min ・ m 2 で鋼板へ向けて噴射し、
各スタンドの出側では、ロールバイトから鋼板長手方向 1m 以内の範囲でかつ鋼板の長手方向の任意の個所がロールに噛み込んだ後 0.1 〜 1.5s 後に到達する位置までの範囲に冷却水を平均水量 10 〜 100L/min ・ m 2 で鋼板へ向けて噴射することを特徴とする熱延鋼板の製造方法。 - mass%で、P:0.1%以下、Ti:0.2%以下を含有する鋼を用いて仕上圧延するに当たり、デスケーリング前の仕上入側温度を1060℃以下とし、かつ、仕上圧延機列の入側より少なくとも3スタンドまでの各スタンドについては、圧下率をr%、前記鋼のTi,P,Si量をmass%で[Ti], [P],[Si]と表すとき、前記各スタンドの入側での冷却水量を(10+100×[Ti]-0.1×r)L/min・m2以上、前記各スタンドの出側での冷却水量を、(15+500×[P]-10×[Si]0.3)L/min・m2以上かつ10L/min・m2以上とすることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の熱延鋼板の製造方法。
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