JP3596185B2 - 空調装置の吹出グリル - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スポット空調に使用される空調装置の吹出グリルに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、スポット空調等に使用される吹出グリルとして所謂目玉グリルが知られている(実開平6−55820号公報参照)。この目玉グリルは、球面部を有するベゼルに吹出通路を有するバレルが回動可能に取り付けられ、そのバレルをベゼルに対して回動操作することにより吹出方向を調節できる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記の目玉グリルは、バレルの吹出通路から吹き出される吹出風が自由噴流であるため、吹出口から吹き出された吹出風と周囲の空気との速度差が大きくなり、その速度差によって吹出風の流れ(気流)に周囲の空気が巻き込まれて風速が減衰する結果、吹出風の到達を妨げてしまう(図4参照)。
これに対し、特開昭59−215533号公報では、主流通路の外側に副流通路を形成し、主流通路を流れる空気より副流通路を流れる空気の流速を遅くして周囲の空気との速度差を小さくすることにより吹出風の到達距離を延ばすことのできる吹出口が提案されている。
【0004】
しかし、この吹出口は、主流通路及び副流通路が形成された吹出ダクトの開口端に吹出方向を調整するためのルーバが取り付けられているため、このルーバの調整位置によっては主流通路を流れた空気と副流通路を流れた空気とがルーバで乱されてしまうため、主流通路と副流通路を形成した効果(吹出風の到達距離を延ばすことができる)が低減してしまう。
本発明は、上記事情に基づいて成されたもので、その目的は、吹出方向が調整可能で、且つ吹出風の到達距離を延ばすことのできる空調装置の吹出グリルを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の手段によれば、グリル本体に三層の吹出通路(主流通路、第1副流通路、第2副流通路)が形成されて、三層の最も内側に形成される主流通路に最も流速の大きい(速い)空気が流れ、三層の最も外側に形成される第2副流通路に最も流速の小さい(遅い)空気が流れる。これにより、流速の速い吹出風の外側を流速の遅い吹出風が流れるため、その流速の遅い吹出風と周囲の空気との速度差を小さくして吹出風の到達距離を延ばすことができる。
また、グリル本体(目玉グリル)が、空調装置の吹出口に回動自在に取り付けられて、その回動位置に応じて空気の吹出方向が調整可能に設けられているので、グリル本体の回動位置に係わらず、流速の速い吹出風と流速の遅い吹出風を得ることができる。なお、グリル本体の吹出通路に流入する空気は、グリル本体に取り付けられた整流ネットにより整流されて略均一な風速分布となる。
【0007】
請求項の手段によれば、内側隔壁に設けられたテーパ部とグリル本体の内壁面に設けられたテーパ部は、主流通路の空気流入口に対する空気流出口の面積比が最も小さくなると共に、第2副流通路の空気流入口に対する空気流出口の面積比が最も大きくなる様に設けられている。これにより、主流通路を流れる空気より第1副流通路を流れる空気の方が流速が遅く、更に第1副流通路を流れる空気より第2副流通路を流れる空気の方が流速が遅くなるため、請求項1の手段による効果(吹出風の到達距離を延ばすことができる)を得ることが出来る。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の空調装置の吹出グリルを図面に基づいて説明する。
図1は吹出グリルの正面図、図2は吹出グリルの側面断面図である。
本実施例の吹出グリル1は、スポット空調に使用される空調装置の吹出口に取り付けられるもので、樹脂製のグリル本体2と整流ネット3から成る。
グリル本体2は、所謂目玉グリルと呼ばれるもので球形状に形成され、空調装置の吹出口に対して回動自在に取り付けられることで吹出方向の調整を行うことができる。このグリル本体2は、中心軸2aと、この中心軸2aを中心として同心円状に設けられた円環状の隔壁2b(本発明の内側隔壁)および隔壁2c(本発明の外側隔壁)と、隔壁2b、2cを保持するリブ2dとを有し、隔壁2b、2cによって三層に区画された吹出通路(以後、最も内周側の吹出通路を主流通路2A、真ん中の吹出通路を第1副流通路2B、最も外周側の吹出通路を第2副流通路2Cと呼ぶ)が形成されている。
【0009】
但し、主流通路2A、第1副流通路2B、及び第2副流通路2Cは、主流通路2Aを流れる空気の流速が最も速く、第2副流通路2Cを流れる空気の流速が最も遅くなる様に形成されている。具体的には、図2に示す様に、内周側の隔壁2bとグリル本体2の外壁内周面の空気流入側(図2の右側)にテーパ部Tを設けることにより、主流通路2Aの空気流入口(図2の右側開口部)に対する空気流出口の面積比を最も小さく、第2副流通路2Cの空気流入口に対する空気流出口の面積比を最も大きくする様に形成されている。なお、テーパ部Tは、通路面積の変化に伴う空気流の乱れを抑えるために、緩やかなテーパ形状(通路面積が緩やかに変化する形状)であることが望ましい。
【0010】
整流ネット3は、例えば樹脂製で、均一な網目状に形成され、グリル本体2の空気流入側端面に熱かしめ等により固定されている。この整流ネット3は、空調装置のダクト内を流れてきた送風空気の風速分布を略一様に調整して空気の流れを整流することができる。なお、吹出グリル1に通じるダクトは、吹出グリル1の上流に曲がり部を有しているため、吹出グリル1へ供給される送風空気は風速分布が一様でなく、且つ空気流に乱れが生じている場合が多い。
【0011】
次に、本実施例の作用及び効果を説明する。
ダクト内を流れて吹出グリル1に到達した空気は、整流ネット3を通過することで整流されて略均一な流れでグリル本体2の各通路2A、2B、2Cへ流入する。各通路2A、2B、2Cを流れた空気は、吹出グリル1から吹き出されて乗員へ供給される。ここで、グリル本体2から吹き出される空気は、主流通路2A、第1副流通路2B、及び第2副流通路2Cを流れてきた三層流となり、最も内周側である主流通路2Aを流れてきた空気の流速が最も速く、最も外周側である第2副流通路2Cを流れてきた空気の流速が最も遅くなる。
【0012】
これにより、最も外周側で流速の遅い空気流(第2副流通路2Cからの吹出風)と周囲の静止空気との速度差を小さくできるため、副流効果(周囲の空気の巻き込みを少なくできる)によって吹出グリル1から吹き出される吹出風の到達距離を延ばすことができる(図3参照)。なお、図3は、吹出グリル1から冷風を吹き出した場合の距離と到達温度との関係を測定したグラフである。この測定結果からも分かる様に、副流通路を有していない吹出グリル(目玉グリル)を使用した場合より、副流通路を有する本実施例の吹出グリル1を使用した場合の方が冷風の到達距離を延ばすことができる。
【0013】
また、本実施例では、主流通路2A、第1副流通路2B、及び第2副流通路2Cが形成されたグリル本体2を回動して吹出方向を調整できるため、グリル本体2の回動位置に係わらず、副流効果を得ることができる。
更に、各通路2A、2B、2Cへ流入する空気を整流ネット3で整流できるため、吹出グリル1へ流入する空気の状態に係わらず、常に理想的な副流吹出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】吹出グリルの正面図である。
【図2】吹出グリルの側面断面図である。
【図3】本実施例の効果を示すグラフである。
【図4】自由噴流による吹出風の速度と温度の変化を示す模式図である。
【符号の説明】
1 吹出グリル
2 グリル本体
2A 主流通路(吹出通路)
2B 第1副流通路(吹出通路)
2C 第2副流通路(吹出通路)
2b 隔壁
2c 隔壁
3 整流ネット
T テーパ部

Claims (2)

  1. 空気の吹出通路を形成すると共に、その吹出通路の径方向中心に中心軸を有し、更に前記中心軸を中心として、前記吹出通路が、同心状を成す主流通路、第1副流通路、および第2副流通路の三層に区画形成された球形状の目玉グリルとして構成され、この目玉グリルが空調装置の吹出口に回動自在に取り付けられて、その回動位置に応じて空気の吹出方向が調整可能に設けられたグリル本体と、
    このグリル本体に取り付けられて、前記吹出通路に流入する空気を整流する整流ネットとを備えた空調装置の吹出グリルであって
    前記グリル本体は、前記中心軸を中心として同心円状に配置された円環状の内側隔壁と外側隔壁とが設けられ、前記内側隔壁の内側に前記主流通路を形成し、前記内側隔壁と前記外側隔壁との間に前記第1副流通路を形成し、前記外側隔壁の外側に前記第2副流通路を形成しており、
    前記内側隔壁には、前記主流通路に最も流速の大きい空気が流れる様に、前記主流通路が空気流入側へ向かって拡がり、且つ前記第1副流通路が空気流入側へ向かって狭くなるテーパ部が設けられ、
    前記グリル本体の内壁面には、前記第2副流通路に最も流速の小さい空気が流れる様に、前記第2副流通路が空気流入側へ向かって狭くなるテーパ部が設けられていることを特徴とする空調装置の吹出グリル。
  2. 前記内側隔壁に設けられたテーパ部と前記グリル本体の内壁面に設けられたテーパ部は、前記主流通路の空気流入口に対する空気流出口の面積比が最も小さくなると共に、前記第2副流通路の空気流入口に対する空気流出口の面積比が最も大きくなる様に設けられていることを特徴とする請求項1記載の空調装置の吹出グリル。
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