JP3596176B2 - 媒体識別装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば自動預金支払機に内部構成されるような媒体識別装置に関し、さらに詳しくは紙幣、小切手等の媒体に記録された表裏の印刷模様を簡単な構成で正確に読取ることができる媒体識別装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
以下、紙幣の識別装置を例にとって説明すると、通常、この種の紙幣の識別装置は透過型イメージセンサ、あるいは反射型イメージセンサを設置して、ここに導かれた紙幣両面の画像データを検出し、この検出した画像データに基づいて真偽や金種を識別している。
【0003】
この場合、透過型イメージセンサを用いて得られた画像データは、紙幣の表裏両面を合成した画像であり、USドル紙幣のように片面にしか金種間の大きな差がない場合は、金種の特定に必要な識別が正確に得られないため、識別が不可能であった。また、反射型イメージセンサを用いた場合は表裏に対応する2個のイメージセンサが必要であるため、部品点数の増加と共に処理回路が複雑となり、コスト高となる問題を有していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこでこの発明は、透過型読取装置によって得られる媒体表裏の合成された画像情報から片面の基準画像情報を差引くことにより、もう一方の片面にしかない特徴を抽出して媒体を正確に識別することができる媒体識別装置の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、媒体の表裏一方に記録されている第1基準識別情報を記憶する第1の記憶手段と、上記媒体の表裏他方に記録されている第2基準識別情報を記憶する第2の記憶手段と、上記媒体表面の識別情報と同媒体内を透過して得られる媒体裏面の識別情報との表裏両面の識別情報を読取る透過型読取手段と、この透過型読取手段で読取った表裏両面の識別情報から裏面の識別情報を上記第2基準識別情報に基づいて差引処理する差引処理手段と、この差引処理手段によって裏面の識別情報を差引いた表裏両面の識別情報を上記第1基準識別情報に基づいて識別する識別手段とを備えたことを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、媒体の表裏を判定する表裏判定手段を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、透過型読取手段を画像読取手段で構成したことを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の発明は、媒体読取面の裏面側から光を照射する光照射手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項5記載の発明は、媒体の表裏両面に記録した模様を識別情報とし、この識別情報を媒体の読取画像情報とすることを特徴とする。
【0010】
請求項6記載の発明は、媒体には紙幣を適用し、この紙幣の第2基準識別情報を金種が印刷されている面の画像情報に設定したことを特徴とする。
【0011】
請求項7記載の発明は、読取った画像の明るさに応じて同画像を補正、または第1基準識別情報、第2基準識別情報を補正する補正手段を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項8記載の発明は、媒体の位置ズレを検出する位置ズレ検出手段と、この位置ズレ検出手段が媒体の位置ズレを検出することに基づいて媒体の位置ズレを補正する位置ズレ補正手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項9記載の発明は、複数種類の媒体の第1基準識別情報を記憶する第1記憶手段と、上記複数種類の媒体に共通する1種類の第2基準識別情報を記憶する第2記憶手段を備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項10記載の発明は、読取った表裏識別情報から第1基準識別情報と第2基準識別情報とを差引いた差引処理結果に基づいて媒体の汚れを検出する汚れ検出手段を備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項11記載の発明は、第1基準識別情報および第2基準識別情報を学習する学習手段を備えたことを特徴とする。
【0016】
請求項12記載の発明は、光の三原色で識別するRGB識別手段を備えたことを特徴とする。
【0017】
請求項13記載の発明は、媒体の識別情報を磁気で形成したことを特徴とする。
【0018】
【作用】
この発明によれば、透過型読取手段で媒体表面の識別情報と、同媒体内を透過して得られる媒体裏面の識別情報との表裏両面の識別情報を読取ったとき、この読取った表裏両面の識別情報から裏面の識別情報を第2基準識別情報に基づいて差引処理手段が裏面の識別情報を差引処理し、この差引かれた表裏両面の識別情報を第1基準識別情報に基づいて識別手段が識別する。
【0019】
また、媒体の識別時に、表裏判定手段によって媒体の表裏を判定する。
また、媒体の識別時に、透過型読取手段を画像読取手段で構成して識別する。
【0020】
また、媒体の識別時に、光照射手段が媒体読取面の裏面側から光を照射する。
【0021】
また、媒体の識別時に、媒体の表裏両面に記録した模様を識別情報とし、この識別情報を媒体の読取画像情報として識別する。
また、紙幣の識別時に、この紙幣の第2基準識別情報を金種が印刷されている面の画像情報に設定して識別する。
また、媒体の識別時に、補正手段が読取った画像の明るさに応じて同画像を補正、または第1基準識別情報、第2基準識別情報を補正する。
また、媒体の識別時に、位置ズレ検出手段が媒体の位置ズレを検出したとき、この位置ズレに基づいて媒体の位置ズレを位置ズレ補正手段が補正する。
また、媒体の識別時に、複数種類の媒体の第1基準識別情報を第1記憶手段が記憶し、複数種類の媒体に共通する1種類の第2基準識別情報を第2記憶手段が記憶する。
また、媒体の識別時に、読取った表裏識別情報から第1基準識別情報と第2基準識別情報とを差引いた差引処理結果に基づいて媒体の汚れを汚れ検出手段が検出する。
また、媒体の識別時に、第1基準識別情報および第2基準識別情報を学習手段が学習する。
また、媒体の識別時に、RGB識別手段が媒体を光の三原色で識別する。
また、媒体の識別時に、磁気で形成した媒体の識別情報を識別する。
【0022】
【発明の効果】
この結果、透過型読取手段で読取った表裏両面の合成画像情報から片面の基準画像情報を差引くことにより、もう一方の片面にしかない特徴を抽出して読取った媒体を正確に識別することができる。特に、透過型の1個のセンサで媒体の表裏両面を検知するため、これに伴って部品点数が削減し、識別構造の簡素化および低コスト化を図ることができる。
【0023】
【実施例】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
[第1実施例]
図1は自動預金支払機(ATM)に内部構成される紙幣識別装置11を示し、この紙幣識別装置11は紙幣挿入口12に挿入される紙幣13を水平方向に挟持搬送する紙幣搬送路14を設け、この紙幣搬送路14の搬送途中に配設した透光型読取装置15で紙幣13の模様、文字、外形サイズ等の紙幣データを読取って識別している。
【0024】
この透光型読取装置15は、水平方向に搬送する紙幣搬送路14の下側に光源となる照射ランプ16を配設し、上側にレンズアレー17とラインイメージセンサ18とを配設し、下側の照射ランプ16から上方に向けて照射した照射光16aの検知位置に紙幣13が突入したとき、これを透過して上方のレンズアレー17で拡大した紙幣データをラインイメージセンサ18で読取って、紙幣13の金種や真偽を識別する。図中、19は搬送ローラ、20は透光ガラス板を示す。
【0025】
図2は紙幣識別装置11の制御回路ブロック図を示し、ラインイメージセンサ18で検知したアナログ出力の検知データをアンプ21で増幅し、これをA/D変換機22でアナログディジタル変換してRAM23に記憶させ、この検知データを正規化させるためにRAM23の入力係数24と、ROM25の基準係数26との差を差引処理部27で差引処理し、この結果を差引出力部28で求め、この差引処理結果に基づいて識別処理部29で検知データを補正して正確に紙幣を識別する。
【0026】
上述のROM25は、識別プログラムと紙幣の真偽や金種を識別するのに必要な基準の画像データを記憶し、例えば紙幣の表裏に印刷されている文字、模様等の表裏の印刷基準データおよび外形基準サイズを記憶している。これにより、差引処理部27では、透過型読取装置15で読取った表裏両面の合成画像データから片面の基準画像データを差引くことにより、もう一方の片面にしかない特徴を抽出でき、この抽出結果から読取った紙幣を的確に識別する。またこの場合、1個の透過型読取装置15で紙幣の表裏両面を透光検知する読取構成のため、これに伴って部品点数の削減、回路構成の簡略化が図れる。
【0027】
このように構成された紙幣識別装置11の識別処理動作を図3のフローチャートを参照して説明する。
今、紙幣識別装置11の透光型読取装置15の位置に紙幣13が導かれたとき、この紙幣の表裏両面は透光検知されてラインイメージセンサ18で読取られた後、アンプ21、A/D変換機22を介してRAM23で記憶される(ステップn1 )。
【0028】
このとき、読取った検知データを正規化するために、検知データの入力補正係数を求める。例えば、明るさレベルを補正する場合は、明るさ基準データと比較するために、レベル合せ用の補正係数を算出する。このときの算出例としては、
補正係数=各画素値×明るさ基準データの総画素の和/各画素の総和
で求められる(ステップn2 〜n3 )。
【0029】
また、識別すべき紙幣の金種および挿入された紙幣の向きを検知する。このとき、識別すべき金種の用途によって検知条件を設定する。
例えば、USドル紙幣の場合であれば、
金種特定時に
(1)入力画像データから印刷された金額の数字を認識して金種を特定する。
【0030】
(2)入力画像データから印刷された肖像の種類を認識して金種を特定する。
【0031】
また方向特定時に
(3)入力画像データから印刷された金額の向きを認識して表裏上下の方向を特定する。
(4)入力画像データから印刷された肖像の向きを認識して表裏上下の方向を特定する。
日本紙幣の場合であれば、
金種特定時に
(1)金種によって大きさが若干異なることから紙幣サイズを認識して金種を特定する。
(2)透かし形成された紙幣の透かし位置を認識して金種を特定する。
また方向特定時に
(3)紙幣の透かし位置から紙幣の向きを認識して表裏上下の方向を特定する。
(4)入力画像データから印刷された肖像の向きを認識して表裏上下の方向を特定する。
【0032】
このようにして識別すべき紙幣の金種と方向とを特定し、またこのとき比較照合する基準データは、この金種と方向を加味した検知データにふさわしい基準データを選択する(ステップn4 〜n5 )。
【0033】
続いて、識別すべき紙幣に応じた正確な識別処理をするため補正係数を用いて入力画像データを補正する。これは補正係数に応じた差引処理をするものであって、紙幣の表裏両面の合成画像データから基準の片面の画像データを差引くことにより、もう一方の片面の画像データを取出すことができ、この片面にしかない特徴を抽出する。例えば、USドル紙幣の場合、表裏両面の合成画像データから基準の表面画像データを差引くことにより裏面の画像データ(建物模様)が残り、この裏面にしかない建物模様を基準の画像データと照合して本物らしさ(差が小さいほど本物らしい)を算出する(ステップn6 )。
【0034】
この算出した本物らしさを基準データのスレッショルダレベル(しきい値)から判定して、読取った紙幣の真偽、金種を識別する(ステップn7 )。
【0035】
この識別結果が真紙幣で識別可能であれば、受付けを許容してATMの入出金取引を開始する(ステップn8 〜n9 )。
【0036】
これに対し、偽紙幣や識別不能と判定した場合は、受付け拒否して顧客に返却処理する(ステップn10)。
【0037】
次に、紙幣を透光検知した表裏画像の表裏の印刷の位置ズレを補正して識別処理した識別処理動作を図4のフローチャートを参照して説明する。
この場合、図3のフローチャートの識別処理と略同処理のため、異処理部分(ステップn13〜n16)を以下に説明する。
【0038】
読取った検知データの正規化を施した後、続いて識別すべき紙幣の金種および挿入された紙幣の表裏および上下の向きを入力画像データから検知し(ステップn13)、
このとき、印刷された紙幣表裏の印刷の位置ズレを算出し、この位置ズレに合わせて基準データをずらせて検知データを差引処理する。例えば、表面の金種数字と裏面の金種数字の位置ズレ度合いを検出する(ステップn14)。
【0039】
このとき、比較照合する基準データは、位置ズレに応じた検知データにふさわしい基準データを選択し、また基準データと比較照合するためにレベル合せ用の補正係数を算出する(ステップn15〜n16)。
【0040】
次に、紙幣の汚れ度合いを識別処理した識別処理動作を図5のフローチャートを参照して説明する。
この場合、図3および図4のフローチャートの識別処理と略同処理のため、異処理部分(ステップn36〜n40)を以下に説明する。
【0041】
照射光が紙幣を透過して得られた表裏データを基準データに設定し、この基準データを紙幣の表裏両面の合成画像データから差引くことで、紙幣の表裏に付着した汚れの大きさ、汚れ濃度等の汚れ度合いを抽出することができる(ステップn36〜n37)。
【0042】
この抽出した汚れ度合いのレベルから流通紙幣の許容限度内か、汚れ限度を超えているかを判定し、汚れ限度内であれば受付けを許容し(ステップn38〜n39)、
汚れ限度を超えていれば、損券と判定して流通規制し、出金取引時の場合であれば、装置内部に回収処理する(ステップn40)。
【0043】
次に、識別毎のデータ結果から基準識別データの識別性能を次第に高める学習機能を持たせた紙幣識別装置の識別処理動作を図6のフローチャートを参照して説明する。
この場合、図3〜図5のフローチャートの識別処理と略同処理のため、異処理部分(ステップn51)のみを以下に説明する。
【0044】
紙幣に応じた最適な処理をするため補正係数を用いて入力画像データを補正した後、差引処理部で差引処理して画像データの片面にしかない特徴を抽出し、これを基準の画像データと照合して本物らしさを算出したとき、この算出結果を元にこの片面の画像データを自動補正し、この自動補正した値を加味して基準識別データを補正して学習する(ステップn51)。
【0045】
例えば、裏基準識別データを学習する場合は、
学習後の裏基準識別データ=学習前の裏基準識別データ+補正係数×(入力データ−表基準識別データ)で求められる。
【0046】
[第2実施例]
図7は用紙に記録された文字を識別する文字識別装置71に適用した場合の一例を示し、この文字識別装置71は用紙挿入口72に挿入された用紙73を水平方向に挟持搬送する用紙搬送路74を設け、この用紙搬送路74の搬送途中に配設した透光型読取装置75で用紙73の文字データを読取って識別している。
【0047】
この透光型読取装置75は、水平方向に搬送する用紙搬送路74の下側に光源となる照射ランプ76を配設し、上側にレンズアレー77とイメージセンサ78とを配設し、下側の照射ランプ76から上方に向けて照射した照射光76aの検知位置に用紙73が突入したとき、これを透過して上方のレンズアレー77で拡大した用紙検知データをイメージセンサ78で読取って、用紙73を識別する。図中、79は搬送ベルト、80は透光ガラス板を示す。
【0048】
図8は文字識別装置71の制御回路ブロック図を示し、イメージセンサ78で検知したアナログ出力の検知データをアンプ81で増幅し、これをA/D変換機82でアナログディジタル変換してRAM83に記憶させ、この検知データを正規化させるために、先ず第1ROM84の基準地紋データ85と照合し、そのときの差引処理結果を差引出力部86で求め、この差引結果から表裏上下の方向を特定して照合方向を合わせた後、続いて第2ROM87の基準文字データ88と照合して文字認識部89で用紙に印刷されている文字を識別する。
【0049】
上述の第1ROM84および第2ROM87は、識別プログラムと用紙に印刷された複雑な模様の地紋およびMCR(マークカードリーダ)やMICR(磁気文字読取装置)用の文字を識別するのに必要な基準の画像データを記憶している。この画像データ例としては、図9に示すように、表面で上下方向が正しい第1基準画像データ91、表面で上下方向が逆向きの第2基準画像データ92、裏面で上下方向が正しい第3基準画像データ93、裏面で上下方向が逆向きの第4基準画像データ94との4種類の表裏の印刷基準データを記憶している。
【0050】
このように構成された文字識別装置71の識別処理動作を図10のフローチャートを参照して説明する。
今、文字識別装置71の透光型読取装置75の位置に用紙73が導かれたとき、この用紙73の表裏両面は透光検知されてイメージセンサ78で読取られた後、アンプ81、A/D変換機82を介してRAM83で記憶される(ステップn61)。
【0051】
このとき、読取った検知データを正規化するために、識別すべき用紙の表裏および上下の方向を入力画像の地紋データから特定し(ステップn62〜n63)、
また、比較照合する基準データは文字識別に適した向きの基準データを選択し、また基準データと比較照合するために照合用の補正係数を算出する(ステップn64〜n65)。
【0052】
続いて、補正係数に応じた地紋データの差引処理を行って、文字データを抽出し、この文字データを識別する(ステップn66〜n67)。
この識別結果が適正用紙で識別可能であれば、受付けを許容する(ステップn68〜n69)。
これに対し、不適な用紙や識別不能と判定した場合は、受付け拒否して返却処理する(ステップn70)。
【0053】
[第3実施例]
図11は光の三原色で識別するRGB(赤、緑、青)識別機能を備えた紙幣識別装置111の一例を示し、この紙幣識別装置111は紙幣挿入口112に挿入された紙幣113を水平方向に挟持搬送する紙幣搬送路114を設け、この紙幣搬送路114の搬送途中に配設した透光型読取装置115で紙幣113の模様、文字等の紙幣データを読取って識別している。
【0054】
この透光型読取装置115は、水平方向に搬送する紙幣搬送路114の下側に色彩に影響を与えない白色光源となる白色照射ランプ116を配設し、上側にレンズアレー117とラインイメージセンサ118とを配設し、下側の白色照射ランプ116から上方に向けて照射した白色照射光116aの検知位置に紙幣113が突入したとき、これを透過して上方のレンズアレー117で拡大した紙幣検知データをラインイメージセンサ118で読取って紙幣113を識別する。図中、119は搬送ローラ、120は透光ガラス板を示す。
【0055】
図12は紙幣識別装置111の制御回路ブロック図を示し、ラインイメージセンサ118で検知したアナログ出力の検知データをアンプ121で増幅し、これをA/D変換機122でアナログディジタル変換してRAM123に記憶させ、この検知データを正規化させるために、この検知した混合色データとしてのグレースケール(RGB混色)データと、ROM124のRGBテーブル125の基準データとを照合し、そのときの差引処理結果を差引処理部126で求め、この差引結果を判定回路127で紙幣に印刷されている文字を識別して金種を判定する。
【0056】
この場合、判定すべき検知データに合わせて三原色の基準データを選択して判定回路に出力する。例えば、Rデータを出力するときは、入力画像のグレースケールデータからGBの基準データを差引いて出力し、Bデータを出力するときは、入力画像のグレースケールデータからRGの基準データを差引いて出力し、Gデータを出力するときは、入力画像のグレースケールデータからRBの基準データを差引いて出力すればよい。このように光の三原色で識別するように構成した場合は、カラー印刷された紙幣等の識別に適した識別処理ができる。
【0057】
このように構成されたRGB識別機能付きの紙幣識別装置111の識別処理動作を図13のフローチャートを参照して説明する。
今、紙幣識別装置111の透光型読取装置115の位置に紙幣113が導かれたとき、この紙幣113の表裏両面は透光検知されてラインイメージセンサ118で読取られた後、アンプ121、A/D変換機122を介してRAM123で記憶される(ステップn71)。
【0058】
このとき、読取った検知データを正規化するために、識別すべき紙幣の表裏および上下の方向を入力画像のRGBデータから特定し(ステップn72〜n73)、またRGB基準データと比較照合するために照合用の補正係数を算出した後、これに基づいて比較照合する光の三原色の各々の画像データを算出し、(ステップn74〜n77)。
【0059】
算出されたデータから判定回路が判定して、読取った紙幣の真偽、金種を識別する(ステップn78)。
この識別結果が真紙幣で識別可能であれば、受付けを許容して入出金取引を開始する(ステップn79〜n80)。
これに対し、偽紙幣や識別不能と判定した場合は、受付け拒否して顧客に返却処理する(ステップn81)。
【0060】
[第4実施例]
図14は磁気インクで印刷されたUSドル紙幣等を識別する磁気識別装置141を示し、この磁気識別装置141は紙幣挿入口142に挿入された紙幣143を水平方向に挟持搬送する紙幣搬送路144を設け、この紙幣搬送路144の搬送途中に配設した透光型読取装置145で紙幣143の模様、文字等の紙幣データを読取り、さらにその後段に配設した磁気読取装置146で紙幣の磁気データを読取っている。
【0061】
透光型読取装置145は、水平方向に搬送する紙幣搬送路144の下側に光源となる照射ランプ147を配設し、上側にレンズアレー148とラインイメージセンサ149とを配設し、下側の照射ランプ147から上方に向けて照射した照射光147aの検知位置に紙幣143が突入したとき、これを透過して上方のレンズアレー148で拡大した紙幣検知データをラインイメージセンサ149で読取って紙幣143の表裏上下の方向を識別する。
【0062】
また、磁気読取装置146は、紙幣搬送路144を挟む上下位置に磁気ヘッド等の磁気検知器150とタッチローラ151とを対設し、ここを搬送通過する紙幣143の磁気データの分布を磁気検知器150が検知し、この磁気データ分布の検知により磁気インクで印刷された模様や文字を読取って紙幣の金種を識別する。図中、152は搬送ローラ、153は透光ガラス板を示す。
【0063】
図15は磁気識別装置141の制御回路ブロック図を示し、磁気読取装置146で検知したアナログ出力の磁気検知データをアンプ154で増幅し、これをA/D変換機155でアナログディジタル変換してRAM156に記憶させ、この検知データを正規化させるために、磁気読取装置146で検知した検知データと、ROM157の基準地紋データ158とを照合して紙幣の表裏上下の方向を特定し、この照合方向を合せた後、差引処理部159で基準の磁気データを差引処理し、この差引結果から文字認識部160で紙幣に印刷されている文字を識別して金種を判定する。
【0064】
この場合、磁気検出レベルは、表面の特徴を表面側から磁気検出した場合と、裏面側から磁気検出した場合とではレベルが異なり、裏面から磁気検出した場合はレベルが若干低下する。これに対し、透過画像では表裏に関係なく一様な出力が得られる。このため、透光型読取装置145と磁気読取装置146とを複合して識別すれば、磁気データを持つUSドル紙幣等の媒体に対し、より一層正確な識別結果が得られる。
【0065】
このように構成された磁気識別装置141の識別処理動作を図16のフローチャートを参照して説明する。
今、磁気識別装置141の磁気読取装置146の位置に紙幣143が導かれたとき、この紙幣143の表裏両面の磁気データは磁気検知器150で読取られた後、アンプ154、A/D変換機155を介してRAM156で記憶される(ステップn91)。
【0066】
このとき、表裏上下方向が未定のため、これを特定すべく読取った検知データを正規化する。これは透光型読取装置145で光学的に読取った入力画像の地紋データに基づいて識別すべき紙幣の表裏および上下の方向を特定し(ステップn92〜n93)、
また、比較照合する基準データは文字識別に適した向きの基準データを選択し、また基準データと比較照合するために照合用の補正係数を算出する(ステップn94〜n95)。
【0067】
続いて、補正係数に応じた地紋データの差引処理を行って、文字データを抽出し、この文字データを識別する(ステップn96〜n97)。
この識別結果が真紙幣で識別可能であれば、受付けて入出金取引を許容する(ステップn98〜n99)。
これに対し、偽紙幣や識別不能と判定した場合は、受付け拒否して返却処理する(ステップn100 )。
【0068】
上述のように、透過型イメージセンサで読取った表裏両面の合成画像データから片面の基準画像データを差引くことにより、もう一方の片面にしかない特徴を抽出して読取った紙幣を正確に識別することができる。このため、紙幣や用紙の表裏両面のデータを同時に検知許容する1個の透過型イメージセンサで対処でき、これに伴って部品点数の削減、回路構成の簡略化が図れ、識別構造の簡素化および低コスト化を図ることができる。
【0069】
また、表裏を判定することで識別すべき表裏データの取扱いが正確となり、また紙幣や用紙の平面的な表裏データを画像で捉えることで、表裏データを正確に検知して識別することができる。また、紙幣読取面の裏面側から光を照射することで紙幣内を透光した透過光により、紙幣表裏の合成データを簡単に得ることができる。また、紙幣に記録されている印刷模様をその基準データと比べて識別することにより、金種を正確に識別することができる。また、紙幣に印刷された印刷面の画像データを基準の識別データに設定することにより、識別毎にこの基準の識別データと比較することによって紙幣の金種を正確に識別することができる。
【0070】
また、紙幣のデータを読取ったとき、この読取ったデータの補正が必要であれば、その読取データに追従して基準データを補正すればよく、この補正された最適な基準データで紙幣を常に正確に読取る。例えば、読取った画像の明るさに応じて同画像を補正すれば、一層正確な検知データが得られる。同じく、紙幣の位置ズレがある場合は、これを補正して位置ズレを解消した正確な検知データが得られる。
【0071】
さらに、複数金種の基準識別データや複数金種に共通する基準識別データを記憶管理していれば、その紙幣の管理および取扱いが明確となり、また実際に読取った表裏識別データから基準の識別データを差引けば、その差引結果によって紙幣の汚れを検出することができる。また、識別毎のデータ結果からその都度基準識別データが適正データになるように補正する学習機能を持たせれば、識別性能を次第に高めることができ、さらに光の三原色で識別するように構成した場合は、カラー印刷に適した識別利用が図れる。また、模様やサイズ等を識別する視認データの識別だけでなく、非視認の磁気データを識別するように構成することもできる。
【0072】
この発明と、上述の一実施例の構成との対応において、
この発明の媒体識別装置は、実施例の紙幣識別装置11,111と、文字識別装置71と、磁気識別装置141とに対応し、
以下同様に、
媒体は、紙幣13,113,143と、用紙73とに対応し、
第1、第2の基準識別情報は、基準地紋データ85,158と、基準文字データ88と、基準画像データ91〜94と、RGBテーブル125とに対応し、
第1、第2の記憶手段は、各ROM25,84,87,124,157に対応し、
透過型読取手段、画像読取手段および位置ズレ検出手段は、透光型読取装置15,75,115,145に対応し、
差引処理手段、補正手段および位置ズレ補正手段は、差引処理部27,126,159に対応し、
識別手段、表裏判定手段、汚れ検出手段、学習手段およびRGB識別手段は、識別処理部29と、文字認識部89,160と、判定回路127とに対応し、
光照射手段は、照射ランプ16,76,116,147に対応するも、この発明は上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施例の紙幣識別装置を示す概略構成図。
【図2】この発明の第1実施例の紙幣識別装置を示す制御回路ブロック図。
【図3】この発明の第1実施例の識別処理動作を示すフローチャート。
【図4】この発明の第1実施例の表裏の印刷の位置ズレを補正して識別処理した読取処理動作を示すフローチャート。
【図5】この発明の第1実施例の紙幣の汚れ度合いを読取った識別処理動作を示すフローチャート。
【図6】この発明の第1実施例の基準識別データの識別性能を高める学習機能を持たせた識別処理動作を示すフローチャート。
【図7】この発明の第2実施例の文字識別装置を示す概略構成図。
【図8】この発明の第2実施例の文字識別装置を示す制御回路ブロック図。
【図9】この発明の第2実施例の4種類の表裏の印刷基準データを示す説明図。
【図10】この発明の第2実施例の識別処理動作を示すフローチャート。
【図11】この発明の第3実施例のRGB識別機能を備えた紙幣識別装置を示す概略構成図。
【図12】この発明の第3実施例の紙幣識別装置を示す制御回路ブロック図。
【図13】この発明の第3実施例の識別処理動作を示すフローチャート。
【図14】この発明の第4実施例の磁気識別装置を示す概略構成図。
【図15】この発明の第4実施例の磁気識別装置を示す制御回路ブロック図。
【図16】この発明の第4実施例の磁気識別装置の処理動作を示すフローチャート。
【符号の説明】
11,111…紙幣識別装置
13,113,143…紙 幣
15,75,115,145…透光型読取装置
16,76,116,147…照射ランプ
25,84,87,124,157…ROM
27,126,159…差引処理部
29…識別処理部
71…文字識別装置
73…用 紙
85,158…基準地紋データ
88…基準文字データ
89,160…文字認識部
91〜94…基準画像データ
125…RGBテーブル
127…判定回路
141…磁気識別装置
146…磁気読取装置

Claims (13)

  1. 媒体の表裏一方に記録されている第1基準識別情報を記憶する第1の記憶手段と、
    上記媒体の表裏他方に記録されている第2基準識別情報を記憶する第2の記憶手段と、
    上記媒体表面の識別情報と同媒体内を透過して得られる媒体裏面の識別情報との表裏両面の識別情報を読取る透過型読取手段と、
    上記透過型読取手段で読取った表裏両面の識別情報から裏面の識別情報を上記第2基準識別情報に基づいて差引処理する差引処理手段と、
    上記差引処理手段によって裏面の識別情報を差引いた表裏両面の識別情報を上記第1基準識別情報に基づいて識別する識別手段とを備えた
    媒体識別装置。
  2. 媒体の表裏を判定する表裏判定手段を備えた
    請求項1記載の媒体識別装置。
  3. 透過型読取手段は、画像読取手段で構成した
    請求項1記載の媒体識別装置。
  4. 媒体読取面の裏面側から光を照射する光照射手段を備えた
    請求項1記載の媒体識別装置。
  5. 媒体の表裏両面に記録した模様を識別情報とし、この識別情報を媒体の読取画像情報とする
    請求項1、2、3または4記載の媒体識別装置。
  6. 媒体には紙幣を適用し、この紙幣の第2基準識別情報を金種が印刷されている面の画像情報に設定した
    請求項1、2、3、4または5記載の媒体識別装置。
  7. 読取った画像の明るさに応じて同画像を補正、または第1基準識別情報、第2基準識別情報を補正する補正手段を備えた
    請求項1、2、3、4、5または6記載の媒体識別装置。
  8. 媒体の位置ズレを検出する位置ズレ検出手段と、
    上記位置ズレ検出手段が媒体の位置ズレを検出することに基づいて媒体の位置ズレを補正する位置ズレ補正手段とを備えた
    請求項1、2、3、4、5または6記載の媒体識別装置。
  9. 複数種類の媒体の第1基準識別情報を記憶する第1記憶手段と、上記複数種類の媒体に共通する1種類の第2基準識別情報を記憶する第2記憶手段を備えた
    請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載の媒体識別装置。
  10. 読取った表裏識別情報から第1基準識別情報と第2基準識別情報とを差引いた差引処理結果に基づいて媒体の汚れを検出する汚れ検出手段を備えた
    請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9記載の媒体識別装置。
  11. 第1基準識別情報および第2基準識別情報を学習する学習手段を備えた
    請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10記載の媒体識別装置。
  12. 光の三原色で識別するRGB識別手段を備えた
    請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11記載の媒体識別装置。
  13. 媒体の識別情報を磁気で形成した
    請求項1、2、3、8、9、10または11記載の媒体識別装置。
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