JPH08180189A - 紙葉類の真贋判定方法及び装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 識別対象となる紙葉類上の画像データに基づ
いて真贋、種別の判定を行っていた従来の識別装置の欠
点であるカラーコピー機による偽造紙葉類に対する対策
のためになされたものであり、紙葉類が有する紙質的な
特徴を予め検出して基本データとして保持しておき、こ
の基本データを、紙葉類から読み取った紙質に関するデ
ータと比較することにより、画像データのみに依存して
いる従来の識別方法を改良した紙葉類の真贋判定方法を
提供する。 【構成】 紙葉類の真贋及び種別を識別判定する方法で
あって、該紙葉類表面の紙繊維構造に起因して形成され
る格子状の濃淡パターンを光学的に取り込んでから電気
信号に変換する濃淡パターン取り込み行程と、該濃淡パ
ターン取り込み行程により得られた濃淡パターンに関す
る電気信号データにＦＦＴ処理を施し周波数スペクトル
を算出する解析行程と、該解析行程により得られた周波
数スペクトルを基本データと比較する比較行程とを備え
た。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は紙幣等の紙葉類の真贋、
金種等を識別判定する為の識別装置による真贋判定方法
の改良に関するものである。

【０００２】

【従来技術】自動販売機、両替機等のように顧客が挿入
した紙幣等の紙葉類を受入れてから物品、金銭、サービ
ス等を提供する機構を備えた装置（以下、紙葉類取扱装
置という）には、挿入される紙幣等の紙葉類の真贋、種
類等を識別判定する為の識別装置が装備されている。こ
の識別装置としては、発光素子から出射した光を紙幣に
照射したときに得られる反射データや透過データに基づ
いて印刷画像を検出する方法等を用いるものが知られて
いる。これらの識別方法に於ては、読み取られたこれら
のデータが予め記憶されている基本データとマッチング
するか否かにより紙葉類の真贋を判断している。

【０００３】図３は従来の紙葉類取扱装置に装備される
識別装置の構成を示す略図であり、投入口１から投入さ
れた紙葉類は、プーリ２により装置内部に引き込まれ、
搬送路上を搬送されて行く。搬送ローラ３やベルト４等
から成る搬送路上には上記した光学的検知方法を用いる
センサ５を配置する。センサ５は紙葉類がセンサ５部を
通過する際に紙葉類上の画像データを読取り、このデー
タを識別部６に出力する。識別部６は、上記データとメ
モリ内に予め記憶してある基本データとを比較し、その
一致、不一致により紙葉類の真贋、種別を判定する。

【０００４】しかし、最近では高精度なカラーコピー機
が一般に出回っており、この種のコピー機により作成さ
れた紙幣、券類等の紙葉類のコピーは、複製の精度が極
めて高い為、上記センサを備えた従来の識別装置では真
贋判定が困難であるという問題があった。

【０００５】

【発明の目的】本発明は、識別対象となる紙葉類上の画
像データに基づいて真贋、種別の判定を行っていた従来
の識別装置の欠点であるカラーコピー機による偽造紙葉
類に対する対策のためになされたものであり、紙葉類が
有する紙質的な特徴を予め検出して基本データとして保
持しておき、この基本データを、紙葉類から読み取った
紙質に関するデータと比較することにより、画像データ
のみに依存している従来の識別方法を改良した紙葉類の
真贋判定方法を提供することを目的としている。

【０００６】

【発明の概要】上記目的を達成するため本発明は、挿入
された紙葉類の真贋を識別判定する識別装置を備えた紙
葉類取扱装置において、紙葉類を構成する紙繊維の微細
な格子状の濃淡模様をＣＣＤカメラで取り込んでから、
この濃淡模様をＦＦＴ処理により周波数データに変換し
てから、該周波数データを予め求めた基本データと比較
することにより、両者のマッチングの有無に基づいて真
贋についての識別を行うようにしたことを特徴としてい
る。

【０００７】

【発明の実施例】以下、添付図面に示した実施例により
本発明を詳細に説明する。図１は本発明の一実施例の識
別方法を実現する装置の概略構成説明図であり、図２は
識別対象となる紙葉類の表面の紙繊維の状態をＣＣＤカ
メラで読み取った状態を示す拡大図である。識別対象と
なる紙幣、券類等の紙葉類の表面には、印刷されたパタ
ーンとは別個に、図２に示した如く、格子状の透かしの
如き濃淡模様があり、紙幣の場合、この濃淡模様は発行
する国毎に共通した特徴を有している。この濃淡模様
は、紙葉類の製造工程中に於て作り込まれる（すき込ま
れる）紙繊維の構造に由来したものであり、日本国にお
ける千円札、千円札、一万円札の紙繊維の濃淡模様は同
一であるが、他国発行の紙幣例えば英国のポンド紙幣の
紙繊維の濃淡模様は日本国の紙幣に共通の模様とは明ら
かに異なり、判別が容易である。このような紙幣の紙繊
維の構造に由来した濃淡模様は、日本以外の多くの国の
紙幣にも見ることができ、この模様を紙幣識別の為のデ
ータとして活用することが可能であることを実験的に確
かめることができた。また、通常のコピー用紙には、上
記のごとき濃淡模様が存在しないこともわかった。本発
明者は、このような実験結果を踏まえて、この濃淡模様
に基づいて、本物の紙幣と、コピーされた紙幣との違い
を識別することが可能であることに気づき、本発明を想
到するに至ったものである。

【０００８】次に、図１に基づいて本発明装置を実現す
る為の識別装置の構成例を説明する。この識別装置は、
紙幣等の紙葉類の投入口１と、紙葉類を装置内部に送り
込む為のプーリ２と、搬送ローラ３及びベルト４等から
成る搬送路と、搬送路上の適所に配置された識別装置１
０を有する。識別装置１０は、搬送路に対面して配置さ
れたＣＣＤカメラ１１と、ＣＣＤカメラにより取り込ま
れた紙葉類表面の画像データにＦＦＴ処理を施し周波数
スペクトルを算出する解析部１２と、該解析部１２から
のスペクトルデータをメモリ１４に格納された基本デー
タと比較して真贋を判定する識別部１３とを有する。Ｃ
ＣＤカメラ１１は周知の様に読み取った画像データを光
電変換することにより電気信号に変換するＣＣＤを備え
たカメラであり、ＣＣＤカメラの構造及び動作について
は周知であるのでここでは説明しない。

【０００９】解析部１２で作出される周波数スペクトル
は、紙葉類表面の紙繊維の構造に基づいて形成される濃
淡パターンが明確な部分では強くなり、該パターンが曖
昧な部分では弱くなる。従って、上記濃淡パターンを解
析して周波数スペクトルにすることにより、紙葉類表面
の濃淡パターンを明確に数値化することができる。上述
の様にこの濃淡パターンは紙幣に用いられる紙質に特有
の周期を有するので、周波数スペクトルにより濃淡パタ
ーンを解析し、基本パターンと比較することにより、当
該紙幣が有するような特有の周期構造の濃淡パターンを
有しないコピー紙等を用いて印刷された贋物を容易且つ
確実に判別することができる。例えば、コピー紙には紙
繊維の構造に起因した濃淡パターンに関する周期構造が
存在しないため、上記識別装置１０によりコピー紙によ
る複製物を識別すると、比較的平坦な濃淡パターン構造
を得ることができる。これに対して、日本の紙幣の表面
を読み取った場合には、金種に関係なく共通の濃淡パタ
ーンをスペクトルとして読み取れるので、真贋を容易に
判定できる。また、複数国の通貨を取扱う紙葉類取扱装
置にあっては、濃淡パターンの違いに基づいて、当該紙
幣の帰属する国、政府の特定が容易且つ確実となる。な
お、画像データに基づく識別センサを併設してもよい。

【００１０】

【発明の効果】以上のように本発明の紙葉類の真贋判定
方法及び装置は、紙葉類等の紙葉類の製造工程で作り込
まれる紙繊維の特有な構造（紙にすき込まれる規則的な
模様）を利用して紙葉類の真贋、種別（国別）等を判定
する様にしたので、多通貨を取扱う装置等に於いて、国
別を特定する上で極めて有効な方法となり、またカラー
コピー機にて作成した偽造紙幣等を真正なものと見分け
る上でも有効となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例としての真贋判定方法を実現
する構成を示す図。

【図２】紙幣等の紙繊維の独特な構造を示す拡大図。

【図３】従来の真贋判定方法を説明する為の略図。

【符号の説明】

１ 投入口、２ プーリ、３ 搬送ローラ、４ ベル
ト、１０ 識別装置、１１ＣＣＤカメラ、１２ 解析
部、１３ 識別部、１４ メモリ、

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 紙葉類の真贋及び種別を識別判定する方
   法であって、該紙葉類表面の紙繊維構造に起因して形成
   される格子状の濃淡パターンを光学的に取り込んでから
   電気信号に変換する濃淡パターン取り込み行程と、該濃
   淡パターン取り込み行程により得られた濃淡パターンに
   関する電気信号データにＦＦＴ処理を施し周波数スペク
   トルを算出する解析行程と、該解析行程により得られた
   周波数スペクトルを基本データと比較する比較行程とを
   備えたことを特徴とする紙葉類の真贋判定方法。
2. 【請求項２】 紙葉類の投入口から投入された紙葉類を
   搬送する搬送路に配置されて紙葉類の真贋、種別を識別
   判定する識別装置において、 上記識別装置は、上記搬送路に対面して配置されたＣＣ
   Ｄカメラと、該ＣＣＤカメラにより取り込まれた紙葉類
   表面の画像データにＦＦＴ処理を施し周波数スペクトル
   を算出する解析部と、該解析部からのスペクトルデータ
   をメモリに格納された基本データと比較して真贋を判定
   する識別部とを有することを特徴とする紙葉類の真贋判
   定装置。