JP3596012B2 - トラクタ - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、車輪を車体フレ−ムに対して移動するトラクタに関し、車輪の車体フレ−ムに対する移動を車輪への駆動力によって行わせるものである。
【0002】
【従来の技術、及び発明が解決しようとする課題】
前後輪を駆動して走行するトラクタにおいて、車輪を駆動する駆動力を利用して前後一方の車輪を車体フレ−ムに対して移動しようとすると、車輪のスリップが著しい。
このため、この発明は、他方の車輪への伝動を切って一方の車輪の車体フレ−ムに対する移動を車輪への駆動力で行うことによって、伝動に無理のない、円滑な車輪の車体フレ−ムに対する移動を行うことを目的とする。
【0003】
【課題を解決するための手段】
この発明は、前後輪1,2を駆動して走行するトラクタにおいて、アクスルハウジング3の端部に、車輪軸4を軸装した車輪ケ−ス5を前記車輪軸4に対してギヤ6,7噛合で伝動する駆動軸8の回りに回動可能に設け、車輪ケ−ス5に対して車輪軸4を制動するブレ−キ9を制動状態と制動解除状態とに切替操作するブレ−キ操作具103を設け、前記ブレ−キ9による制動固定のもとに該駆動軸8からの駆動力によって前記車輪ケ−ス5を回動させて前後一方の車輪1を車体フレ−ム12に対して移動可能とし、前記車輪ケ−ス5の回動終端位置への回動で該車輪ケ−ス5を回動しないように固定する係止具37を設け、車輪ケ−ス5の前記回動終端位置までの回動途中ではブレ−キ操作具103の操作に拘らず前記ブレ−キ9を制動状態に維持し、車輪ケ−ス5が前記回動終端位置ではブレ−キ操作具103によりブレ−キ9を制動解除状態に切替操作できる構成とし、この前後一方の車輪1の移動の操作に連動して前後他方の車輪2への伝動を切るクラッチ10を有してなるトラクタの構成とする。
【0004】
【作用、及び発明の効果】
トラクタの前後一方の車輪1を車体フレ−ム12に対して移動させるときは、まず、他方の車輪2への伝動をクラッチ10により切って、前記車輪軸4のブレ−キ9を制動状態とする。そして、この状態で機体を前進あるいは後進するように走行操作する。すると、他方の車輪2へは駆動力が伝動されない状態で、一方の車輪1が駆動軸8と一体回転するギヤ6の駆動によって、車輪ケ−ス5が駆動軸8の回りに回動して一方の車輪1が車体フレ−ム12に対して移動する。この一方の車輪1の移動途中ではブレ−キ操作具103の操作に拘らず前記ブレ−キ9が制動状態に維持される。そして、車輪ケ−ス5が移動終端 位置まで回動すると、係止具37により車輪ケ−ス5が回動しないように固定されると共に、ブレ−キ操作具103によりブレ−キ9を制動解除状態に切替操作できる。
【0005】
このように、車輪軸4の車輪ケ−ス5に対するブレ−キ9と、他方の車輪2への伝動のクラッチ10による切りとが共に行われることによって、車輪の駆動力を利用して車輪ケ−ス5を回動させるものであるから、車輪1,2の地面に対するスリップが少なく、車輪を車体フレ−ム12に対して移動させるときのタイヤの摩耗を少なくできる。また、車輪1の移動途中ではブレ−キ操作具103の操作に拘らず前記ブレ−キ9が制動状態に維持され、車輪1が移動終端位置まで移動して該車輪1が移動しないように固定されるとブレ−キ9を制動解除状態に切替操作できるので、車輪1の移動途中でブレ−キ操作具103を誤操作してブレ−キ9を制動解除状態にすることにより車輪1が逆方向へ移動したり機体が走行したりすることがなく、車輪1の移動を安全に行える。
【0006】
【実施例】
車体フレ−ム12には、その前部にミッションケ−ス13,油圧式無段変速装置HST、フロントアクスルハウジング3、及びステアリングハンドル16を配し、後部にリヤアクスルハウジング15を配し、前後中間部にエンジンE及び操縦席17を設ける。
【0007】
フロントアクスルハウジング3の左右両端部には、上下方向のファイナルケ−ス18が一体的に設けられ、このファイナルケ−ス18の下端部に操向ケ−ス19が、これら両ケ−ス18,19内に亘って軸装される操向軸20回りに回動自在であり、この操向ケ−ス19には横方向の駆動軸8が軸装されて、該フロントアクスルハウジング3内の伝動軸21から、ベベルギヤ22,22、操向軸20、及びベベルギヤ23,23を経て駆動軸8に伝動される。
【0008】
操向ケ−ス19の駆動軸8回りには、ボス部24が形成され、このボス部24の回りに、前輪1を取付ける車輪軸である前輪軸4をベアリング25,26で回転自在に軸装した車輪ケ−ス5を回動自在に支持させる。この車輪ケ−ス5の前記駆動軸8との対向部にはベアリング28を設けて、この駆動軸8の先端部を軸受する。
【0009】
これら駆動軸8と前輪軸4との間はギヤ6,7で伝動するように設けている。車輪ケ−ス5を駆動軸8回りに回動させて前後一方の車輪である前輪1を車体フレ−ム12に対して移動する車高変更時に前輪1にブレ−キを効かせる車高変更ブレ−キ9は、該前輪軸4側に一体のギヤ7の内側に設けられ、カム軸29によってブレ−キシュ−9a,9aをシュ−支持ピン35(車輪ケ−ス5に固定)回りに拡張してギヤ7の内周面に押しつけることによって、車輪ケ−ス5に対する前輪軸4の回転を制動する構成としている。
【0010】
この車高変更ブレ−キ9は、ブレ−キレバ−103の操作でワイヤ−104を介してロックレバ−31をスプリング105に抗して反矢印A方向へ回動すれば、このロックレバ−31と一体的にブレ−キカム軸29が回転し、制動状態に操作される。また、車輪ケ−ス5が操向ケ−ス19に対して上下に半回転する間は、ボス24に一体的に取付けられたカム32によりブレ−キカム軸29と一体回転するカム30が所定角度回動され、車高変更ブレ−キ9が制動された状態に維持される。そして、カム30が上死点付近或は下死点付近に位置するときはカム30が、カム32による回動作用から解放された状態となり、ブレ−キレバ−103を解除位置に戻せば、ロックレバ−31はスプリング29で矢印A方向へ復帰してブレ−キ9は解放される。
【0011】
カム32は、リング状に形成されて、前記操向ケ−ス19のボス部24の外側端部に一部嵌合させて、ピン33と抜止リング34とで一体的に取付けている。このカム32には、上下二個所に適宜角度域に亘る切欠部が形成されて、この切欠部にカム30が位置されると、ブレ−キカム軸29に一体のカム30が摺接しない状態となり、車高変更ブレ−キ9はブレ−キ解放状態に移行できる。
【0012】
ロックレバ−31は、前記車高変更ブレ−キ9のブレ−キシュ−を開閉するブレ−キカム軸29に一体で、このブレ−キカム軸29で車輪ケ−ス5に対し回動可能となっている。カム30は、車輪ケ−ス5に弾発されて設けられたクリップボ−ル36の係合しうる穴が設けられていて、そのクリップボ−ル36が、カム30をブレ−キ解放位置とブレ−キ制動位置との二個所で係合する。ブレ−キシュ−9a,9aの外周面には摩擦抵抗を増すため、制動面にセレ−ション14を形成している。
【0013】
37は係止ピンで、操向ケ−ス19に設けられて、この操向ケ−ス19のボス部24に嵌合された前輪ケ−ス5のピン穴に嵌合させて、この前輪ケ−ス5の位置を高位置H、及び低位置Lに維持するものである。又、操向ケ−ス19側には前側と後側との前後にストッパ−38,39が突設されて、前輪ケ−ス5に設けられたストッパ−ピン40が、係止される構成としている。
【0014】
又、係止ピン37は、車高変更時には、前輪ケ−ス5に対して係止しない状態にしておく。前輪ケ−ス5が高位置H又は低位置Lに位置するときはばね41に押されて係止ピン37は前輪ケ−ス5のピン穴に係合可能な状態となる。
操向ケ−ス19には、それと一体の操向ア−ム42があり、その操向ア−ム42と前記ステアリングハンドル16が連動ロッド48等を介して連動連結し、ハンドル16により前記操向軸20の回りに、操向ケ−ス19が回動操作され、前輪1が操向連動される。
【0015】
他方の車輪となる後輪2を一体の後輪軸43を軸装したリヤアクスルハウジング15は、左右一対のスライダ−44に一体的に取付けられ、そのスライダ−44は、角筒状の案内筒45内に嵌挿して、斜め上下方向にスライダ−44を伸縮させて車高を変更しうる構成としている。案内筒45は、車体フレ−ム12の後部に固着のロ−リング軸12aにロ−リング動可能に設けられた後輪ロ−リングフレ−ム45aの左右両端に固着されている。スライダ−44の伸縮は、これら案内筒45及びスライダ−44等の前側に沿って設けられる伸縮シリンダ−46の伸縮作動によって行われる。伸縮シリンダ−46の上端部は、案内筒45にピン45bで枢着され、ピストン部47の下端部はスライダ−44に連結している。このスライダ−44の上端、及び下端での安定を保つために、スライダ−44の上下端の前後面にテ−パ−面102を形成し、これに対向する案内筒45の上下端にもテ−パ−面103を形成して、ガタつきを防止している。104は案内筒45のガイドピン、105はこのガイドピン104に案内させるスライダ−44のガイド長孔である。
【0016】
前記エンジンEによる前輪1及び後輪2等への連動構成は、エンジンEから油圧無段変速装置HSTへベルト49で伝動し、この油圧無段変速装置HSTからベルト50及び主クラッチ51を経てミッションケ−ス13の入力軸52が伝動される。
走行系伝動は、この入力軸52から、ギヤ53、変速軸54、変速ギヤ55、カウンタギヤ軸56,57等を経て後輪デフ58のデフ駆動ギヤ59へ伝動している。前記前輪1のフロントアクスルハウジング3の伝動軸21は、デフ駆動ギヤ59からデフ駆動ギヤ60、前輪デフ61等を経て伝動する。
【0017】
又、後輪2への伝動は、該デフ駆動ギヤ59から後輪デフ58、左右の伝動軸62、ベベルギヤ63等を経て、クラッチ軸64へ伝動する。この左右のクラッチ64及び、この後側において同軸上に設けられるブレ−キ軸65は前記ミッションケ−ス13内に軸装されて、これら両軸64,65間に摩擦多板のクラッチ10、及びブレ−キ11を設ける。
【0018】
このようなミッションケ−ス13後部の左右一対のブレ−キ軸65からは、自在継手、及び伸縮軸等を有する伝動軸66によってリヤアクスルハウジング15の入力軸67を連動する。この入力軸67はベベルギヤ68、ギヤ69等を経て後輪軸43へ連動する。
前記左右のクラッチ10、及びブレ−キ11は、シフタ−カム70の回動によって、ばね71に抗してプレッシャ−筒72をブレ−キ11側へ押すことにより、クラッチケ−ス73とプレッシャ−筒72との間に該ばね71によって圧接されて入り状態にあるクラッチディスク74を押圧を緩めて切りにすると共に、ブレ−キ11のプレッシャ−プレ−ト75を押圧して、ブレ−キディスク76を圧接して、ブレ−キ軸65の回転をミッションケ−ス13に対して制動できる。従って、このとき前記ベベルギヤ63、クラッチ軸64、及びクラッチケ−ス73までは伝動されるが、ブレ−キ軸65は回転されない。
【0019】
ミッションケ−ス13前部には、前記カウンタギヤ軸57からギヤ76に伝動されるカウンタギヤ軸77と、変速ギヤ軸78と、カウンタギヤ軸79とを有し、変速ギヤ軸78上の変速ギヤ80,81の操作で各カウンタギヤ軸上のカウンタギヤとの間の噛合を切替えて変速するPTO変速装置が設けられ、このカウンタギヤ軸79からベベルギヤを介して伝動軸82が後方へ出され、ミッションケ−ス13の後部におけるケ−ス83内でクラッチ84、ギヤ85等を経て、PTO軸86を伝動しうる。
【0020】
図例では、車体12の後部に平行リンク87によって昇降自在に苗植機88を連結し、PTO軸86はこの苗植機88の伝動ケ−ス89の入力軸90へ連動する。この苗植機88は、苗植フレ−ム91の上部において苗を収容して左右に往復移動しながら苗繰出を行う苗供給装置92を有し、後部においてこの苗供給装置92から所定本数の苗を分離して土壌面に植付ける苗植付装置93を有し、下側には土壌面を滑走しながら均平するフロ−ト94を有するもので、これら苗供給装置92及び苗植付装置93を、前記伝動ケ−ス89内の伝動機構を経て駆動する。
【0021】
この伝動機構は、前記入力軸90からベベルギヤを介して駆動される伝動軸95、変速ギヤ軸96、苗供給装置92を左右往復移動するリ−ドカム軸97等からなり、伝動軸95は各苗植付装置93の付軸98をチェン99伝動し、変速ギヤ軸96では変速ギヤの選択操作により伝動軸95からリ−ドカム軸97への伝動を変速して、苗植付装置93による苗分離量を調節できるものとし、リ−ドカム軸97はリ−ドカム100を案内して、苗供給装置92に一体とする移動棒101を左右へ往復移動させる。
【図面の簡単な説明】
【図1】トラクタの伝動機構図。
【図2】前輪操向ケ−ス部の正面図。
【図3】その外側面図。
【図4】その一部の内側面図。
【図5】後輪伝動系のクラッチ、ブレ−キ部の拡大平面図。
【図6】リヤアクスルハウジング部の側面図。
【図7】トラクタの平面図。
【図8】苗植機を連結した場合の側面図。
【図9】その平面図。
【符号の説明】
1 前輪
2 後輪
3 フロントアクスルハウジング
4 前輪軸
5 車輪ケース
6 ギヤ
7 ギヤ
8 駆動軸
9 車高変更ブレーキ
10 クラッチ
11 ブレーキ
37 係止ピン
103 ブレ−キレバ−
Claims (1)
- 前後輪1,2を駆動して走行するトラクタにおいて、アクスルハウジング3の端部に、車輪軸4を軸装した車輪ケ−ス5を前記車輪軸4に対してギヤ6,7噛合で伝動する駆動軸8の回りに回動可能に設け、車輪ケ−ス5に対して車輪軸4を制動するブレ−キ9を制動状態と制動解除状態とに切替操作するブレ−キ操作具103を設け、前記ブレ−キ9による制動固定のもとに該駆動軸8からの駆動力によって前記車輪ケ−ス5を回動させて前後一方の車輪1を車体フレ−ム12に対して移動可能とし、前記車輪ケ−ス5の回動終端位置への回動で該車輪ケ−ス5を回動しないように固定する係止具37を設け、車輪ケ−ス5の前記回動終端位置までの回動途中ではブレ−キ操作具103の操作に拘らず前記ブレ−キ9を制動状態に維持し、車輪ケ−ス5が前記回動終端位置ではブレ−キ操作具103によりブレ−キ9を制動解除状態に切替操作できる構成とし、この前後一方の車輪1の移動の操作に連動して前後他方の車輪2への伝動を切るクラッチ10を有してなるトラクタ。
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JP32669493A JP3596012B2 (ja) | 1993-12-24 | 1993-12-24 | トラクタ |
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JP32669493A Expired - Fee Related JP3596012B2 (ja) | 1993-12-24 | 1993-12-24 | トラクタ |
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