JP3595902B2 - ナトリウム−硫黄電池の製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ナトリウム−硫黄電池の製造方法に係り、特に、電力貯蔵用の電池、あるいは電力変換器の直流電源として用いるに好適なナトリウム−硫黄電池の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
夜間の電力を利用して電力を貯蔵するに際してナトリウム−硫黄電池が採用されている。
【0003】
従来、この種のナトリウム−硫黄電池としては、例えば、特開平1−221866号公報に記載されているように、U字管で構成された負極容器及び正極容器を互いに隣接して配置するとともに、負極容器と正極容器との隔壁を、ナトリウム伝導性の固体電解質管で構成し、固体電解質管を間にして、負極容器内に負極活物質のナトリウムを収納し、正極容器内に正極物質の硫黄を収納し、固体電解質管の開口端側に絶縁リングを接合し、絶縁リングの両側に負極容器フランジと正極容器フランジを圧接し、絶縁リングと負極容器フランジ及び正極容器フランジにより正極容器及び負極容器を密閉してなるものが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術においては、絶縁リングに負極容器フランジと正極容器フランジを摩擦圧接するに際して、絶縁リングの上面に負極容器フランジを摩擦圧接し、絶縁リングの下面に正極容器フランジを摩擦圧接にしているため、絶縁リングに負極容器フランジと正極容器フランジを同時に摩擦圧接することが困難である。しかも、負極容器フランジと正極容器フランジの板厚はほぼ絶縁リングの板厚と等しく、負極容器フランジと正極容器フランジの端面が平板状に形成されているため、セラミックス製のα−アルミナで構成された絶縁リングに、金属で構成された負極容器フランジと正極容器フランジを摩擦圧接すると、熱伝導率の違いにより絶縁リングに大きな熱応力が発生する。
【0005】
なお、絶縁リングに負極容器フランジと正極容器フランジを摩擦圧接するに際して、特開昭63−97381号公報に記載されているように、正極容器フランジと負極容器フランジの端部にテーパ部を形成することも考えられるが、正極容器フランジと負極容器フランジの端部に単にテーパ部を形成しても、絶縁リングに作用する熱応力を小さくするには十分ではない。
【0006】
本発明の目的は、絶縁リングと容器フランジとの摩擦圧接時に絶縁リングに発生する温度勾配を滑らかにして熱応力を小さくすることができるナトリウム−硫黄電池の製造方法及び筒体の摩擦圧接方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明は、一部に開口を有する負極容器および正極容器が互いに隣接して配置されているとともに前記負極容器と前記正極容器との隔壁がナトリウム伝導性の固体電解質管で構成され、前記固体電解質管を間にして前記負極容器内に負極活物質のナトリウムが収納され前記正極容器内に正極物質の硫黄が収納され、前記固体電解質管の開口端側に絶縁リングが接合されてなるナトリウム−硫黄電池を製造するに際して、
前記負極容器の開口を閉塞する環状の負極容器フランジと前記正極容器の開口を閉塞する環状の正極容器フランジをそれぞれ前記絶縁リングの板厚よりも薄く形成し、前記負極容器フランジと前記正極容器フランジの一端側に他端側より板厚の薄い圧接部をそれぞれ形成し、前記各容器フランジと前記絶縁リングのうち一方を回転するとともに他方を静止し、この状態で前記各フランジの圧接部と前記絶縁リングを互いに接触させて一方を他方側に押圧することにより前記各フランジの圧接部と前記絶縁リングとの接触面を摩擦熱により溶融圧接することを特徴とするナトリウム−硫黄電池の製造方法を採用したものである。
【0008】
前記ナトリウム−硫黄電池の製造方法を採用するに際しては、絶縁リングの表面に環状の突起を複数個形成し、各フランジの圧接部と絶縁リングの各突起とを互いに接触させて一方を他方側に押圧することにより各フランジの圧接部と絶縁リングの各突起との接触面を摩擦熱により溶融圧接することもできる。
【0009】
また、本発明は、一部に開口を有する負極容器および正極容器が互いに隣接して配置されているとともに前記負極容器と前記正極容器との隔壁がナトリウム伝導性の固体電解質管で構成され、前記固体電解質管を間にして前記負極容器内に負極活物質のナトリウムが収納され前記正極容器内に正極物質の硫黄が収納され、前記固体電解質管の開口端側に絶縁リングが接合されてなるナトリウム−硫黄電池を製造するに際して、
前記負極容器の開口を閉塞する環状の負極容器フランジと前記正極容器の開口を閉塞する環状の正極容器フランジをそれぞれ前記絶縁リングの板厚よりも薄く形成し、前記負極容器フランジと前記正極容器フランジの一端側に他端側より漸次径が小さくなるテ−パ部をそれぞれ複数個形成し、前記各容器フランジと前記絶縁リングのうち一方を回転するとともに他方を静止し、この状態で前記各フランジの各テ−パ部と前記絶縁リングとを互いに接触させて一方を他方側に押圧することにより前記各フランジの各テ−パ部と前記絶縁リングとの接触面を摩擦熱により溶融圧接することを特徴とするナトリウム−硫黄電池の製造方法を採用したものである。
【0010】
前記ナトリウム−硫黄電池の製造方法を採用するに際しては、絶縁リングの表面に環状の突起を複数個形成し、各フランジの各テーパ部と絶縁リングの各突起を互いに接触させて一方を他方側に押圧することにより各フランジの各テーパ部と絶縁リングの各突起との接触面を摩擦熱により溶融圧接することもできる。
【0011】
前記各ナトリウム−硫黄電池の製造方法を作用するに際しては、以下の要素を付加することができる。
【0012】
(1)前記負極容器と前記正極容器のうち少なくとも一方を相異なる複数の金属が接合されたクラッド材で構成するとともに、前記負極容器フランジと前記正極容器フランジのうち少なくとも一方を前記クラッド材で構成し、前記負極容器フランジと前記正極容器フランジに用いられるクラッド材のうち一方の部材の一端側を切削し、前記クラッド材のうち他方の部材の一端側に圧接部またはテ−パ部を形成する。
【0013】
(2)前記クラッド材は、アルミニウムとアルミニウム合金で構成されている。
【0014】
また、本発明は、管の開口端に絶縁リングを接合し、前記絶縁リングの表面に環状のフランジを圧接するに際して、前記フランジの一端側に他端側より板厚の薄い圧接部を形成し、前記絶縁リングの表面には環状の突起を形成し、前記フランジと前記絶縁リングのうち一方を回転するとともに他方を静止し、この状態で前記フランジの圧接部と前記絶縁リングの突起を互いに接触させて一方を他方側に押圧することにより前記フランジの圧接部と前記絶縁リングの突起との接触面を摩擦熱により溶融圧接する筒体の摩擦圧接方法を採用したものである。
【0015】
前記筒体の摩擦圧接方法を採用するに際しては、圧接部の代わりに、フランジの一端側に他端側より電磁径が小さくなるテーパ部を複数個形成し、フランジのテーパ部と絶縁リングの突起を互いに接触させて一方を他方側に押圧することによりフランジのテーパ部と絶縁リングの突起との接触面を摩擦熱による溶融圧接することもできる。
【0016】
前記した手段によれば、負極容器フランジと正極容器フランジをそれぞれ絶縁リングの板厚よりも薄く形成するとともに、各容器フランジの一端側に他端側より板厚の薄い圧接部またはテーパ部を形成し、圧接部またはテーパ部を絶縁リングに接触させて両者の接触面を摩擦熱により溶融圧接するようにしたため、各フランジの圧接部またはテーパ部と絶縁リングとの間に生じる摩擦熱が徐々に高くなって絶縁リングに発生する温度勾配を滑らかにし、絶縁リングに作用する熱応力を小さくすることができるとともに、摩擦圧接時に絶縁リングが割れるのを防止することができる。
【0017】
また、絶縁リングに環状の突起を形成し、各容器フランジのテーパ部または圧接部と各突起とを接触させたときには、摩擦圧接時に絶縁リングに発生する周方向の温度勾配を小さくすることができ、絶縁リングに発生する熱応力を小さくし、絶縁リングが割れるのを防止することができる。
【0018】
さらに、各容器と各容器フランジを相異なる複数の金属材が接合されたクラッド材、例えばアルミニウムとアルミニウム合金(ステンレス鋼)を使用することで、摩擦圧接時クランプによる変形及びアプセット圧力負荷時の変形を防止することができる。特に、容器フランジのテーパ部または圧接部を構成する部材としてアルミニウムを用い、他方の部材をアルミニウム合金、例えばステンレス鋼を用いると、ステンレス鋼はアルミニウムよりも熱伝導率が小さく剛性が高いため、容器フランジをクランプ部材でクランプしたときに、容器フランジのクランプ部分の温度を低温に保つことができ、クランプ操作を容易に行なうことができる。さらに摩擦圧接時のクランプによる変形及びアプセット圧力負荷時の変形を防止することができる。
【0019】
また容器としてクラッド材を使用した場合、ナトリウムまたは硫黄と接触する面をアルミニウム合金、例えば、ステンレス鋼を使用することで、正極及び負極活物質による耐食性の向上を図ることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明が適用されたナトリウム−硫黄電池の全体構成を示す縦断面図である。図1において、正極容器10は、一部に開口を有するU字型の筒体(U字管)として、アルミニウムまたはアルミニウム合金を用いて構成されている。この正極容器10は上部側が開口し、中ほどより上部側には軸方向の変形を吸収する正極べロー12が形成されている。この正極容器10の内側には固体電解質管14、安全管16、負極容器18が配置されている。固体電解質管14はナトリウム伝導性のU字管として、例えばβ−アルミナを用いて構成されているとともに、正極容器10と負極容器18との隔壁を構成するようになっている。この固体電解質管14はその上端が開口し、正極容器10のほぼ中心部に配置されている。そして固体電解質管14の内側には、安全管16が配置されている。この安全管16は、アルミニウムまたはアルミニウム合金を用いてほぼU字状の管として構成されており、上端側が負極容器18と接合されている。すなわち安全管16は負極容器18の一要素として負極容器18に接合されている。また、安全管16の底部側には負極活物質流入出孔20が形成されており、負極容器18の上部には負極端子22が固定されている。そして安全管16と固体電解質管14内にはそれぞれ負極活物質としてナトリウム24が収納されている。安全管16内のナトリウム24と固体電解質管14内のナトリウム24は負極活物質流入出孔20を介して移動できるようになっている。一方、正極容器10と固体電解質管14との間の空間部には正極活物質として、硫黄26が収納されている。
【0021】
固体電解質管14の開口端側には絶縁リング28がガラス半田により接合されている。この絶縁リング28はセラミクス製の筒体として、例えばα−アルミナを用いて構成されている。絶縁リング28の上面には負極容器フランジ30と正極容器フランジ32が摩擦圧接されている。負極容器フランジ30、正極容器フランジ32はアルミニウムまたはアルミニウム合金(ステンレス鋼)を用いて円環状の筒体として構成されており、負極容器フランジ30の上端側は負極容器18の開口端に接合され、正極容器フランジ32の上部側側面は正極容器10の開口端に接合されている。すなわち、負極容器18の開口は絶縁リング28と負極容器フランジ30によって閉塞されて負極容器18内が密閉され、正極容器10の開口は絶縁リング28と正極容器フランジ32によって閉塞されて正極容器10内が密閉されている。なお正極容器10の上部端面には正極端子(図示省略)が接合されるようになっている。
【0022】
上記構成によるナトリウム−硫黄電池は、高さがほぼ30〜60cmの電池として構成されており、充電時には、硫黄26に含まれる加硫化ナトリウムがナトリウムイオンとして固体電解質管14を介して固体電解質管14内でナトリウムとなり、放電時には、固体電解質管14内のナトリウムがナトリウムイオンとして固体電解質管14から硫黄26内に導入され、このナトリウムイオンが加硫化ナトリウムとなる。そして充電によって蓄えられたエネルギーが放電時に直流電力として出力される。この場合、例えば、直流電圧として2Vの電圧を発生し、電力として70〜200Wの直流電力を発生することができる。
【0023】
次に、上記構成によるナトリウム−硫黄電池を製造するに際して、絶縁リング28に負極容器フランジ30と正極容器フランジ32を摩擦圧接するときの実施形態について説明する。
【0024】
まず、図2に示すように、負極容器フランジ30と正極容器フランジ32を絶縁リング28の板厚よりも薄く形成し、負極容器フランジ30と正極容器フランジ32の一端側に他端側より板厚の薄い圧接部として段差30a、32aを形成する。そして各フランジ30、32と絶縁リング28のうち一方を回転するとともに他方を静止し、この状態で各フランジの段差30a、32aと絶縁リング28との接触面を摩擦熱により溶融圧接するに際して、本実施形態では、絶縁リング28を固体電解質管14とともに静止(固定)し、負極容器フランジ30、正極容器フランジ32の上端側をクランプ部材(図示省略)によりクランプし、各フランジ30、32を絶縁リング28と同心円状に配置した状態で回転し、この回転に伴って、段差30a、32aの先端側を絶縁リング28の表面に接触させ、その後各フランジ30、32を絶縁リング28側に押圧することにより、段差30a、32aと絶縁リング28との接触面を摩擦熱により溶融圧接する。
【0025】
すなわち、各フランジ30、32の回転に伴って段差30a、32aが摩擦熱によって溶融していく過程で、各フランジ30、32の回転を止め、各フランジ30、32を絶縁リング28側に押圧して各フランジ30、32を絶縁リング28に摩擦圧接する。この場合、各フランジ30、32のうち段差30a、32aがそれぞれ溶融され、板厚の厚い部分が絶縁リング28に圧接されることになる。
【0026】
本実施形態においては、絶縁リング28よりも板厚の薄いフランジ30、32をそれぞれ絶縁リング28の上面に配置し、段差30a、32aをそれぞれ絶縁リング28の同一の面に接触させて両者の摩擦熱により溶融させ、その後各フランジ30、32を絶縁リング28側に押圧して圧接するようにしたため、各フランジ30、32を同時に絶縁リング28に摩擦圧接することができ、摩擦圧接作業を容易に行なうことができるとともに、摩擦に伴う熱が絶縁リング28で分散され、絶縁リング28に発生する温度勾配を滑らかにして絶縁リング28に発生する熱応力を小さくすることができ、摩擦圧接に伴って絶縁リング28が劣化したり、割れたりするのを防止することができる。
【0027】
次に、本発明の第2実施形態を図3にしたがって説明する。
【0028】
本実施形態は、各フランジ30、32の段差30a、32aの先端側に順次径が小さくなるテーパ部30b、32bを形成したものであり、他の構成は図2のものと同様である。
【0029】
本実施形態においては、段差30a、32aの先端側にテーパ部30b、32bが形成されているため、フランジ30、32を絶縁リング28に接触させて摩擦圧接するに際して、テーパ部30b、32bが絶縁リング28と接触しながら順次溶融していくため、前記実施形態よりも、絶縁リング28に発生する温度勾配をより小さくすることができるとともに、摩擦圧接時に絶縁リング28が劣化したり、割れたりするのを防止することができる。
【0030】
次に、本発明の第3実施形態を図4にしたがって説明する。
【0031】
本実施形態は各フランジ30、32の一端側(先端側)に他端側(基端側)よりも漸次径が小さくなるテーパ部30c、32cを形成したものである。すなわち、図2に示す段差30a、32aの代わりにテーパ部30c、32cを形成したものである。
【0032】
本実施形態においては、各フランジ30、32を絶縁リング28の上面に接触させて摩擦圧接するに際して、摩擦熱が高まるにしたがって、板厚が漸次厚くなるテーパ部30c、32cが順次溶融していくため、図2に示す実施形態のものよりも、摩擦圧接時における絶縁リング28の温度勾配をより小さくすることができるとともに、絶縁リング28が摩擦圧接時に劣化したり、割れたりするのを防止することができる。
【0033】
次に、本発明の第4実施形態を図5にしたがって説明する。
【0034】
本実施形態は、各フランジ30、32の一端側(先端側)に他端側(基端側)よりも漸次径が小さくなるテーパ部30d、30e、32d、32eを各フランジ30、32の軸心を間にして両側に形成したものである。
【0035】
本実施形態においては、各フランジ30、32を絶縁リング28に接触させて摩擦圧接する際、摩擦熱が高くなるにしたがって、漸次径が大きくなるテーパ部30d、30e、32d、32eが順次溶融されていくため、図2に示す実施形態のものよりも、絶縁リング28に発生する温度勾配をより小さくすることができるとともに、摩擦圧接時に絶縁リング28が劣化したり、割れたりするのを防止することができる。
【0036】
また、本実施形態においては、図6に示すように、摩擦圧接終了時に、各フランジ30、32の先端側に形成される金属はみ出し部30f、32fを少なくすることができ、摩擦圧接時に負極容器フランジ30と正極容器フランジ32とが短絡するのを防止することができる。
【0037】
次に、本発明の第5実施形態を図7にしたがって説明する。
【0038】
本実施形態は、フランジ30、32にそれぞれ段差30a、32aを形成するとともに、絶縁リング28の上面に環状の突起28a、28bを形成したものであり、各環状の突起28a、28bの幅は段差30a、32aの板厚よりも僅かに広く設定されている。
【0039】
本実施形態において、各フランジ30、32と絶縁リング28とを接触させて摩擦圧接するに際して、段差30a、32aで発生する摩擦熱が各突起28a、28bを介して分散していくため、摩擦圧接時に、絶縁リング28の周方向に発生する温度勾配を小さくすることができるとともに、絶縁リング28に発生する熱応力を小さくすることができ、摩擦圧接時に、絶縁リング28が劣化したり、割れたりするのを防止することができる。
【0040】
なお、本実施形態においては、各フランジ30、32に段差30a、32aを形成したものについて述べたが、各フランジ30、32としては、図3、図4、図5に示すものを用いることもできる。この場合、突起28a、28bの幅をテーパ部の形状に合わせて狭くすることもできる。
【0041】
次に、本発明の第6実施形態を図8にしたがって説明する。本実施形態は、正極容器フランジ32として、クラッド材を用いたものであり、クラッド材のうち一方のフランジ部材32Aはアルミニウムを用いて構成され、他方のフランジ部材32Bはアルミニウム合金(ステンレス鋼)を用いて構成されている。そして一方のフランジ部材32Aの先端側にテーパ部30cが形成され、他方のフランジ部材32Bの先端側は一方のフランジ部材32Aとの接合面が露出されるように切削されている。この場合、外側に配置されたフランジ部材32Bはアルミニウムよりも剛性の大きいステンレス鋼を用いて構成されているため、フランジ32をクランプ部材でクランプするときに、アルミニウムよりも熱伝導率が低いので、フランジ部材32Bの温度を低くすることができ、クランプを容易に行なうことができるとともに、クランプ時にフランジ32が変形するのを防止することができる。また、フランジ32を絶縁リング28側に押圧するときの圧接時、すなわちアプセット圧力負荷時にフランジ32が変形するのを防止することができる。
【0042】
さらに、正極容器10を正極容器フランジ32と同じクラッド材を用いて構成し、ステンレス鋼で構成された部材を内側とし、アルミニウムで構成された部材を外側に配置することで、正極容器10の正極活物質に対する耐食性を向上させることができる。
【0043】
また、負極容器18や負極容器フランジ30に正極容器フランジ32と同じクラッド材を用いることもできる。
【0044】
また、本実施形態においては、内側に配置されたフランジ部材32Aとして、前記各実施形態に用いられた正極容器フランジ32と同じ形状ものを用いることができる。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、負極容器フランジと正極容器フランジをそれぞれ絶縁リングの板厚よりも薄く形成するとともに、各容器フランジの一端側に他端側より板厚の薄い圧接部またはテーパ部を形成し、圧接部またはテーパ部を絶縁リングに接触させて両者の接触面を摩擦熱により溶融圧接するようにしたため、各フランジの圧接部またはテーパ部と絶縁リングとの間に生じる摩擦熱が徐々に高くなって絶縁リングに発生する温度勾配を滑らかにし、絶縁リングに作用する熱応力を小さくすることができるとともに、摩擦圧接時に絶縁リングが割れるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されたナトリウム−硫黄電池の全体構成を示す縦断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態を示す摩擦圧接時の作用を説明するための図である。
【図3】本発明の第2実施形態を示す摩擦圧接時の作用を説明するための図である。
【図4】本発明の第3実施形態を示す摩擦圧接時の作用を説明するための図である。
【図5】本発明の第4実施形態を示す摩擦圧接時の作用を説明するための図である。
【図6】摩擦圧接後の状態を説明するための図である。
【図7】本発明の第5実施形態を示す摩擦圧接時の作用を説明するための図である。
【図8】本発明の第6実施形態を示す摩擦圧接時の作用を説明するための図である。
【符号の説明】
10 正極容器
12 正極ベロー
14 固体電解質管
16 安全管
18 負極容器
20 負極活物質流入出質孔
22 負極端子
24 ナトリウム
26 硫黄
28 絶縁リング
30 負極容器フランジ
32 正極容器フランジ
30a、32a 段差
30b、30c、30d、30e、32b、32c、32d、32e テーパ部
28a、28b 突起
【発明の属する技術分野】
本発明は、ナトリウム−硫黄電池の製造方法に係り、特に、電力貯蔵用の電池、あるいは電力変換器の直流電源として用いるに好適なナトリウム−硫黄電池の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
夜間の電力を利用して電力を貯蔵するに際してナトリウム−硫黄電池が採用されている。
【0003】
従来、この種のナトリウム−硫黄電池としては、例えば、特開平1−221866号公報に記載されているように、U字管で構成された負極容器及び正極容器を互いに隣接して配置するとともに、負極容器と正極容器との隔壁を、ナトリウム伝導性の固体電解質管で構成し、固体電解質管を間にして、負極容器内に負極活物質のナトリウムを収納し、正極容器内に正極物質の硫黄を収納し、固体電解質管の開口端側に絶縁リングを接合し、絶縁リングの両側に負極容器フランジと正極容器フランジを圧接し、絶縁リングと負極容器フランジ及び正極容器フランジにより正極容器及び負極容器を密閉してなるものが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術においては、絶縁リングに負極容器フランジと正極容器フランジを摩擦圧接するに際して、絶縁リングの上面に負極容器フランジを摩擦圧接し、絶縁リングの下面に正極容器フランジを摩擦圧接にしているため、絶縁リングに負極容器フランジと正極容器フランジを同時に摩擦圧接することが困難である。しかも、負極容器フランジと正極容器フランジの板厚はほぼ絶縁リングの板厚と等しく、負極容器フランジと正極容器フランジの端面が平板状に形成されているため、セラミックス製のα−アルミナで構成された絶縁リングに、金属で構成された負極容器フランジと正極容器フランジを摩擦圧接すると、熱伝導率の違いにより絶縁リングに大きな熱応力が発生する。
【0005】
なお、絶縁リングに負極容器フランジと正極容器フランジを摩擦圧接するに際して、特開昭63−97381号公報に記載されているように、正極容器フランジと負極容器フランジの端部にテーパ部を形成することも考えられるが、正極容器フランジと負極容器フランジの端部に単にテーパ部を形成しても、絶縁リングに作用する熱応力を小さくするには十分ではない。
【0006】
本発明の目的は、絶縁リングと容器フランジとの摩擦圧接時に絶縁リングに発生する温度勾配を滑らかにして熱応力を小さくすることができるナトリウム−硫黄電池の製造方法及び筒体の摩擦圧接方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明は、一部に開口を有する負極容器および正極容器が互いに隣接して配置されているとともに前記負極容器と前記正極容器との隔壁がナトリウム伝導性の固体電解質管で構成され、前記固体電解質管を間にして前記負極容器内に負極活物質のナトリウムが収納され前記正極容器内に正極物質の硫黄が収納され、前記固体電解質管の開口端側に絶縁リングが接合されてなるナトリウム−硫黄電池を製造するに際して、
前記負極容器の開口を閉塞する環状の負極容器フランジと前記正極容器の開口を閉塞する環状の正極容器フランジをそれぞれ前記絶縁リングの板厚よりも薄く形成し、前記負極容器フランジと前記正極容器フランジの一端側に他端側より板厚の薄い圧接部をそれぞれ形成し、前記各容器フランジと前記絶縁リングのうち一方を回転するとともに他方を静止し、この状態で前記各フランジの圧接部と前記絶縁リングを互いに接触させて一方を他方側に押圧することにより前記各フランジの圧接部と前記絶縁リングとの接触面を摩擦熱により溶融圧接することを特徴とするナトリウム−硫黄電池の製造方法を採用したものである。
【0008】
前記ナトリウム−硫黄電池の製造方法を採用するに際しては、絶縁リングの表面に環状の突起を複数個形成し、各フランジの圧接部と絶縁リングの各突起とを互いに接触させて一方を他方側に押圧することにより各フランジの圧接部と絶縁リングの各突起との接触面を摩擦熱により溶融圧接することもできる。
【0009】
また、本発明は、一部に開口を有する負極容器および正極容器が互いに隣接して配置されているとともに前記負極容器と前記正極容器との隔壁がナトリウム伝導性の固体電解質管で構成され、前記固体電解質管を間にして前記負極容器内に負極活物質のナトリウムが収納され前記正極容器内に正極物質の硫黄が収納され、前記固体電解質管の開口端側に絶縁リングが接合されてなるナトリウム−硫黄電池を製造するに際して、
前記負極容器の開口を閉塞する環状の負極容器フランジと前記正極容器の開口を閉塞する環状の正極容器フランジをそれぞれ前記絶縁リングの板厚よりも薄く形成し、前記負極容器フランジと前記正極容器フランジの一端側に他端側より漸次径が小さくなるテ−パ部をそれぞれ複数個形成し、前記各容器フランジと前記絶縁リングのうち一方を回転するとともに他方を静止し、この状態で前記各フランジの各テ−パ部と前記絶縁リングとを互いに接触させて一方を他方側に押圧することにより前記各フランジの各テ−パ部と前記絶縁リングとの接触面を摩擦熱により溶融圧接することを特徴とするナトリウム−硫黄電池の製造方法を採用したものである。
【0010】
前記ナトリウム−硫黄電池の製造方法を採用するに際しては、絶縁リングの表面に環状の突起を複数個形成し、各フランジの各テーパ部と絶縁リングの各突起を互いに接触させて一方を他方側に押圧することにより各フランジの各テーパ部と絶縁リングの各突起との接触面を摩擦熱により溶融圧接することもできる。
【0011】
前記各ナトリウム−硫黄電池の製造方法を作用するに際しては、以下の要素を付加することができる。
【0012】
(1)前記負極容器と前記正極容器のうち少なくとも一方を相異なる複数の金属が接合されたクラッド材で構成するとともに、前記負極容器フランジと前記正極容器フランジのうち少なくとも一方を前記クラッド材で構成し、前記負極容器フランジと前記正極容器フランジに用いられるクラッド材のうち一方の部材の一端側を切削し、前記クラッド材のうち他方の部材の一端側に圧接部またはテ−パ部を形成する。
【0013】
(2)前記クラッド材は、アルミニウムとアルミニウム合金で構成されている。
【0014】
また、本発明は、管の開口端に絶縁リングを接合し、前記絶縁リングの表面に環状のフランジを圧接するに際して、前記フランジの一端側に他端側より板厚の薄い圧接部を形成し、前記絶縁リングの表面には環状の突起を形成し、前記フランジと前記絶縁リングのうち一方を回転するとともに他方を静止し、この状態で前記フランジの圧接部と前記絶縁リングの突起を互いに接触させて一方を他方側に押圧することにより前記フランジの圧接部と前記絶縁リングの突起との接触面を摩擦熱により溶融圧接する筒体の摩擦圧接方法を採用したものである。
【0015】
前記筒体の摩擦圧接方法を採用するに際しては、圧接部の代わりに、フランジの一端側に他端側より電磁径が小さくなるテーパ部を複数個形成し、フランジのテーパ部と絶縁リングの突起を互いに接触させて一方を他方側に押圧することによりフランジのテーパ部と絶縁リングの突起との接触面を摩擦熱による溶融圧接することもできる。
【0016】
前記した手段によれば、負極容器フランジと正極容器フランジをそれぞれ絶縁リングの板厚よりも薄く形成するとともに、各容器フランジの一端側に他端側より板厚の薄い圧接部またはテーパ部を形成し、圧接部またはテーパ部を絶縁リングに接触させて両者の接触面を摩擦熱により溶融圧接するようにしたため、各フランジの圧接部またはテーパ部と絶縁リングとの間に生じる摩擦熱が徐々に高くなって絶縁リングに発生する温度勾配を滑らかにし、絶縁リングに作用する熱応力を小さくすることができるとともに、摩擦圧接時に絶縁リングが割れるのを防止することができる。
【0017】
また、絶縁リングに環状の突起を形成し、各容器フランジのテーパ部または圧接部と各突起とを接触させたときには、摩擦圧接時に絶縁リングに発生する周方向の温度勾配を小さくすることができ、絶縁リングに発生する熱応力を小さくし、絶縁リングが割れるのを防止することができる。
【0018】
さらに、各容器と各容器フランジを相異なる複数の金属材が接合されたクラッド材、例えばアルミニウムとアルミニウム合金(ステンレス鋼)を使用することで、摩擦圧接時クランプによる変形及びアプセット圧力負荷時の変形を防止することができる。特に、容器フランジのテーパ部または圧接部を構成する部材としてアルミニウムを用い、他方の部材をアルミニウム合金、例えばステンレス鋼を用いると、ステンレス鋼はアルミニウムよりも熱伝導率が小さく剛性が高いため、容器フランジをクランプ部材でクランプしたときに、容器フランジのクランプ部分の温度を低温に保つことができ、クランプ操作を容易に行なうことができる。さらに摩擦圧接時のクランプによる変形及びアプセット圧力負荷時の変形を防止することができる。
【0019】
また容器としてクラッド材を使用した場合、ナトリウムまたは硫黄と接触する面をアルミニウム合金、例えば、ステンレス鋼を使用することで、正極及び負極活物質による耐食性の向上を図ることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明が適用されたナトリウム−硫黄電池の全体構成を示す縦断面図である。図1において、正極容器10は、一部に開口を有するU字型の筒体(U字管)として、アルミニウムまたはアルミニウム合金を用いて構成されている。この正極容器10は上部側が開口し、中ほどより上部側には軸方向の変形を吸収する正極べロー12が形成されている。この正極容器10の内側には固体電解質管14、安全管16、負極容器18が配置されている。固体電解質管14はナトリウム伝導性のU字管として、例えばβ−アルミナを用いて構成されているとともに、正極容器10と負極容器18との隔壁を構成するようになっている。この固体電解質管14はその上端が開口し、正極容器10のほぼ中心部に配置されている。そして固体電解質管14の内側には、安全管16が配置されている。この安全管16は、アルミニウムまたはアルミニウム合金を用いてほぼU字状の管として構成されており、上端側が負極容器18と接合されている。すなわち安全管16は負極容器18の一要素として負極容器18に接合されている。また、安全管16の底部側には負極活物質流入出孔20が形成されており、負極容器18の上部には負極端子22が固定されている。そして安全管16と固体電解質管14内にはそれぞれ負極活物質としてナトリウム24が収納されている。安全管16内のナトリウム24と固体電解質管14内のナトリウム24は負極活物質流入出孔20を介して移動できるようになっている。一方、正極容器10と固体電解質管14との間の空間部には正極活物質として、硫黄26が収納されている。
【0021】
固体電解質管14の開口端側には絶縁リング28がガラス半田により接合されている。この絶縁リング28はセラミクス製の筒体として、例えばα−アルミナを用いて構成されている。絶縁リング28の上面には負極容器フランジ30と正極容器フランジ32が摩擦圧接されている。負極容器フランジ30、正極容器フランジ32はアルミニウムまたはアルミニウム合金(ステンレス鋼)を用いて円環状の筒体として構成されており、負極容器フランジ30の上端側は負極容器18の開口端に接合され、正極容器フランジ32の上部側側面は正極容器10の開口端に接合されている。すなわち、負極容器18の開口は絶縁リング28と負極容器フランジ30によって閉塞されて負極容器18内が密閉され、正極容器10の開口は絶縁リング28と正極容器フランジ32によって閉塞されて正極容器10内が密閉されている。なお正極容器10の上部端面には正極端子(図示省略)が接合されるようになっている。
【0022】
上記構成によるナトリウム−硫黄電池は、高さがほぼ30〜60cmの電池として構成されており、充電時には、硫黄26に含まれる加硫化ナトリウムがナトリウムイオンとして固体電解質管14を介して固体電解質管14内でナトリウムとなり、放電時には、固体電解質管14内のナトリウムがナトリウムイオンとして固体電解質管14から硫黄26内に導入され、このナトリウムイオンが加硫化ナトリウムとなる。そして充電によって蓄えられたエネルギーが放電時に直流電力として出力される。この場合、例えば、直流電圧として2Vの電圧を発生し、電力として70〜200Wの直流電力を発生することができる。
【0023】
次に、上記構成によるナトリウム−硫黄電池を製造するに際して、絶縁リング28に負極容器フランジ30と正極容器フランジ32を摩擦圧接するときの実施形態について説明する。
【0024】
まず、図2に示すように、負極容器フランジ30と正極容器フランジ32を絶縁リング28の板厚よりも薄く形成し、負極容器フランジ30と正極容器フランジ32の一端側に他端側より板厚の薄い圧接部として段差30a、32aを形成する。そして各フランジ30、32と絶縁リング28のうち一方を回転するとともに他方を静止し、この状態で各フランジの段差30a、32aと絶縁リング28との接触面を摩擦熱により溶融圧接するに際して、本実施形態では、絶縁リング28を固体電解質管14とともに静止(固定)し、負極容器フランジ30、正極容器フランジ32の上端側をクランプ部材(図示省略)によりクランプし、各フランジ30、32を絶縁リング28と同心円状に配置した状態で回転し、この回転に伴って、段差30a、32aの先端側を絶縁リング28の表面に接触させ、その後各フランジ30、32を絶縁リング28側に押圧することにより、段差30a、32aと絶縁リング28との接触面を摩擦熱により溶融圧接する。
【0025】
すなわち、各フランジ30、32の回転に伴って段差30a、32aが摩擦熱によって溶融していく過程で、各フランジ30、32の回転を止め、各フランジ30、32を絶縁リング28側に押圧して各フランジ30、32を絶縁リング28に摩擦圧接する。この場合、各フランジ30、32のうち段差30a、32aがそれぞれ溶融され、板厚の厚い部分が絶縁リング28に圧接されることになる。
【0026】
本実施形態においては、絶縁リング28よりも板厚の薄いフランジ30、32をそれぞれ絶縁リング28の上面に配置し、段差30a、32aをそれぞれ絶縁リング28の同一の面に接触させて両者の摩擦熱により溶融させ、その後各フランジ30、32を絶縁リング28側に押圧して圧接するようにしたため、各フランジ30、32を同時に絶縁リング28に摩擦圧接することができ、摩擦圧接作業を容易に行なうことができるとともに、摩擦に伴う熱が絶縁リング28で分散され、絶縁リング28に発生する温度勾配を滑らかにして絶縁リング28に発生する熱応力を小さくすることができ、摩擦圧接に伴って絶縁リング28が劣化したり、割れたりするのを防止することができる。
【0027】
次に、本発明の第2実施形態を図3にしたがって説明する。
【0028】
本実施形態は、各フランジ30、32の段差30a、32aの先端側に順次径が小さくなるテーパ部30b、32bを形成したものであり、他の構成は図2のものと同様である。
【0029】
本実施形態においては、段差30a、32aの先端側にテーパ部30b、32bが形成されているため、フランジ30、32を絶縁リング28に接触させて摩擦圧接するに際して、テーパ部30b、32bが絶縁リング28と接触しながら順次溶融していくため、前記実施形態よりも、絶縁リング28に発生する温度勾配をより小さくすることができるとともに、摩擦圧接時に絶縁リング28が劣化したり、割れたりするのを防止することができる。
【0030】
次に、本発明の第3実施形態を図4にしたがって説明する。
【0031】
本実施形態は各フランジ30、32の一端側(先端側)に他端側(基端側)よりも漸次径が小さくなるテーパ部30c、32cを形成したものである。すなわち、図2に示す段差30a、32aの代わりにテーパ部30c、32cを形成したものである。
【0032】
本実施形態においては、各フランジ30、32を絶縁リング28の上面に接触させて摩擦圧接するに際して、摩擦熱が高まるにしたがって、板厚が漸次厚くなるテーパ部30c、32cが順次溶融していくため、図2に示す実施形態のものよりも、摩擦圧接時における絶縁リング28の温度勾配をより小さくすることができるとともに、絶縁リング28が摩擦圧接時に劣化したり、割れたりするのを防止することができる。
【0033】
次に、本発明の第4実施形態を図5にしたがって説明する。
【0034】
本実施形態は、各フランジ30、32の一端側(先端側)に他端側(基端側)よりも漸次径が小さくなるテーパ部30d、30e、32d、32eを各フランジ30、32の軸心を間にして両側に形成したものである。
【0035】
本実施形態においては、各フランジ30、32を絶縁リング28に接触させて摩擦圧接する際、摩擦熱が高くなるにしたがって、漸次径が大きくなるテーパ部30d、30e、32d、32eが順次溶融されていくため、図2に示す実施形態のものよりも、絶縁リング28に発生する温度勾配をより小さくすることができるとともに、摩擦圧接時に絶縁リング28が劣化したり、割れたりするのを防止することができる。
【0036】
また、本実施形態においては、図6に示すように、摩擦圧接終了時に、各フランジ30、32の先端側に形成される金属はみ出し部30f、32fを少なくすることができ、摩擦圧接時に負極容器フランジ30と正極容器フランジ32とが短絡するのを防止することができる。
【0037】
次に、本発明の第5実施形態を図7にしたがって説明する。
【0038】
本実施形態は、フランジ30、32にそれぞれ段差30a、32aを形成するとともに、絶縁リング28の上面に環状の突起28a、28bを形成したものであり、各環状の突起28a、28bの幅は段差30a、32aの板厚よりも僅かに広く設定されている。
【0039】
本実施形態において、各フランジ30、32と絶縁リング28とを接触させて摩擦圧接するに際して、段差30a、32aで発生する摩擦熱が各突起28a、28bを介して分散していくため、摩擦圧接時に、絶縁リング28の周方向に発生する温度勾配を小さくすることができるとともに、絶縁リング28に発生する熱応力を小さくすることができ、摩擦圧接時に、絶縁リング28が劣化したり、割れたりするのを防止することができる。
【0040】
なお、本実施形態においては、各フランジ30、32に段差30a、32aを形成したものについて述べたが、各フランジ30、32としては、図3、図4、図5に示すものを用いることもできる。この場合、突起28a、28bの幅をテーパ部の形状に合わせて狭くすることもできる。
【0041】
次に、本発明の第6実施形態を図8にしたがって説明する。本実施形態は、正極容器フランジ32として、クラッド材を用いたものであり、クラッド材のうち一方のフランジ部材32Aはアルミニウムを用いて構成され、他方のフランジ部材32Bはアルミニウム合金(ステンレス鋼)を用いて構成されている。そして一方のフランジ部材32Aの先端側にテーパ部30cが形成され、他方のフランジ部材32Bの先端側は一方のフランジ部材32Aとの接合面が露出されるように切削されている。この場合、外側に配置されたフランジ部材32Bはアルミニウムよりも剛性の大きいステンレス鋼を用いて構成されているため、フランジ32をクランプ部材でクランプするときに、アルミニウムよりも熱伝導率が低いので、フランジ部材32Bの温度を低くすることができ、クランプを容易に行なうことができるとともに、クランプ時にフランジ32が変形するのを防止することができる。また、フランジ32を絶縁リング28側に押圧するときの圧接時、すなわちアプセット圧力負荷時にフランジ32が変形するのを防止することができる。
【0042】
さらに、正極容器10を正極容器フランジ32と同じクラッド材を用いて構成し、ステンレス鋼で構成された部材を内側とし、アルミニウムで構成された部材を外側に配置することで、正極容器10の正極活物質に対する耐食性を向上させることができる。
【0043】
また、負極容器18や負極容器フランジ30に正極容器フランジ32と同じクラッド材を用いることもできる。
【0044】
また、本実施形態においては、内側に配置されたフランジ部材32Aとして、前記各実施形態に用いられた正極容器フランジ32と同じ形状ものを用いることができる。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、負極容器フランジと正極容器フランジをそれぞれ絶縁リングの板厚よりも薄く形成するとともに、各容器フランジの一端側に他端側より板厚の薄い圧接部またはテーパ部を形成し、圧接部またはテーパ部を絶縁リングに接触させて両者の接触面を摩擦熱により溶融圧接するようにしたため、各フランジの圧接部またはテーパ部と絶縁リングとの間に生じる摩擦熱が徐々に高くなって絶縁リングに発生する温度勾配を滑らかにし、絶縁リングに作用する熱応力を小さくすることができるとともに、摩擦圧接時に絶縁リングが割れるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されたナトリウム−硫黄電池の全体構成を示す縦断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態を示す摩擦圧接時の作用を説明するための図である。
【図3】本発明の第2実施形態を示す摩擦圧接時の作用を説明するための図である。
【図4】本発明の第3実施形態を示す摩擦圧接時の作用を説明するための図である。
【図5】本発明の第4実施形態を示す摩擦圧接時の作用を説明するための図である。
【図6】摩擦圧接後の状態を説明するための図である。
【図7】本発明の第5実施形態を示す摩擦圧接時の作用を説明するための図である。
【図8】本発明の第6実施形態を示す摩擦圧接時の作用を説明するための図である。
【符号の説明】
10 正極容器
12 正極ベロー
14 固体電解質管
16 安全管
18 負極容器
20 負極活物質流入出質孔
22 負極端子
24 ナトリウム
26 硫黄
28 絶縁リング
30 負極容器フランジ
32 正極容器フランジ
30a、32a 段差
30b、30c、30d、30e、32b、32c、32d、32e テーパ部
28a、28b 突起
Claims (8)
- 一部に開口を有する負極容器および正極容器が互いに隣接して配置されているとともに前記負極容器と前記正極容器との隔壁がナトリウム伝導性の固体電解質管で構成され、前記固体電解質管を間にして前記負極容器内に負極活物質のナトリウムが収納され前記正極容器内に正極物質の硫黄が収納され、前記固体電解質管の開口端側に絶縁リングが接合されてなるナトリウム−硫黄電池を製造するに際して、
前記負極容器の開口を閉塞する環状の負極容器フランジと前記正極容器の開口を閉塞する環状の正極容器フランジをそれぞれ前記絶縁リングの板厚よりも薄く形成し、前記負極容器フランジと前記正極容器フランジの一端側に他端側より板厚の薄い圧接部をそれぞれ形成し、前記各容器フランジと前記絶縁リングのうち一方を回転するとともに他方を静止し、この状態で前記各フランジの圧接部と前記絶縁リングを互いに接触させて一方を他方側に押圧することにより前記各フランジの圧接部と前記絶縁リングとの接触面を摩擦熱により溶融圧接することを特徴とするナトリウム−硫黄電池の製造方法。 - 一部に開口を有する負極容器および正極容器が互いに隣接して配置されているとともに前記負極容器と前記正極容器との隔壁がナトリウム伝導性の固体電解質管で構成され、前記固体電解質管を間にして前記負極容器内に負極活物質のナトリウムが収納され前記正極容器内に正極物質の硫黄が収納され、前記固体電解質管の開口端側に絶縁リングが接合されてなるナトリウム−硫黄電池を製造するに際して、
前記負極容器の開口を閉塞する環状の負極容器フランジと前記正極容器の開口を閉塞する環状の正極容器フランジをそれぞれ前記絶縁リングの板厚よりも薄く形成し、前記負極容器フランジと前記正極容器フランジの一端側に他端側より板厚の薄い圧接部をそれぞれ形成し、前記絶縁リングの表面に環状の突起を複数個形成し、前記各容器フランジと前記絶縁リングのうち一方を回転するとともに他方を静止し、この状態で前記各フランジの圧接部と前記絶縁リングの各突起を互いに接触させて一方を他方側に押圧することにより前記各フランジの圧接部と前記絶縁リングの各突起との接触面を摩擦熱により溶融圧接することを特徴とするナトリウム−硫黄電池の製造方法。 - 一部に開口を有する負極容器および正極容器が互いに隣接して配置されているとともに前記負極容器と前記正極容器との隔壁がナトリウム伝導性の固体電解質管で構成され、前記固体電解質管を間にして前記負極容器内に負極活物質のナトリウムが収納され前記正極容器内に正極物質の硫黄が収納され、前記固体電解質管の開口端側に絶縁リングが接合されてなるナトリウム−硫黄電池を製造するに際して、
前記負極容器の開口を閉塞する環状の負極容器フランジと前記正極容器の開口を閉塞する環状の正極容器フランジをそれぞれ前記絶縁リングの板厚よりも薄く形成し、前記負極容器フランジと前記正極容器フランジの一端側に他端側より漸次径が小さくなるテ−パ部をそれぞれ複数個形成し、前記各容器フランジと前記絶縁リングのうち一方を回転するとともに他方を静止し、この状態で前記各フランジの各テ−パ部と前記絶縁リングとを互いに接触させて一方を他方側に押圧することにより前記各フランジの各テ−パ部と前記絶縁リングとの接触面を摩擦熱により溶融圧接することを特徴とするナトリウム−硫黄電池の製造方法。 - 一部に開口を有する負極容器および正極容器が互いに隣接して配置されているとともに前記負極容器と前記正極容器との隔壁がナトリウム伝導性の固体電解質管で構成され、前記固体電解質管を間にして前記負極容器内に負極活物質のナトリウムが収納され前記正極容器内に正極物質の硫黄が収納され、前記固体電解質管の開口端側に絶縁リングが接合されてなるナトリウム−硫黄電池を製造するに際して、
前記負極容器の開口を閉塞する環状の負極容器フランジと前記正極容器の開口を閉塞する環状の正極容器フランジをそれぞれ前記絶縁リングの板厚よりも薄く形成し、前記負極容器フランジと前記正極容器フランジの一端側に他端側より漸次径が小さくなるテ−パ部をそれぞれ複数個形成し、前記絶縁リングの表面に環状の突起を複数個形成し、前記各容器フランジと前記絶縁リングのうち一方を回転するとともに他方を静止し、この状態で前記各フランジの各テ−パ部と前記絶縁リングの各突起を互いに接触させて一方を他方側に押圧することにより前記各フランジの各テ−パ部と前記絶縁リングの各突起との接触面を摩擦熱により溶融圧接することを特徴とするナトリウム−硫黄電池の製造方法。 - 前記負極容器と前記正極容器のうち少なくとも一方を相異なる複数の金属が接合されたクラッド材で構成するとともに、前記負極容器フランジと前記正極容器フランジのうち少なくとも一方を前記クラッド材で構成し、前記負極容器フランジと前記正極容器フランジに用いられるクラッド材のうち一方の部材の一端側を切削し、前記クラッド材のうち他方の部材の一端側に圧接部またはテ−パ部を形成することを特徴とする請求項1、2、3または4に記載のナトリウム−硫黄電池の製造方法。
- 前記クラッド材は、アルミニウムとアルミニウム合金で構成されていることを特徴とする請求項5記載のナトリウム−硫黄電池の製造方法。
- 管の開口端に絶縁リングを接合し、前記絶縁リングの表面に環状のフランジを圧接するに際して、前記フランジの一端側に他端側より板厚の薄い圧接部を形成し、前記絶縁リングの表面には環状の突起を形成し、前記フランジと前記絶縁リングのうち一方を回転するとともに他方を静止し、この状態で前記フランジの圧接部と前記絶縁リングの突起を互いに接触させて一方を他方側に押圧することにより前記フランジの圧接部と前記絶縁リングの突起との接触面を摩擦熱により溶融圧接する筒体の摩擦圧接方法。
- 管の開口端に絶縁リングを接合し、前記絶縁リングの表面に環状のフランジを圧接するに際して、前記フランジの一端側に他端側より漸次径が小さくなるテ−パ部を複数個形成し、前記絶縁リングの表面には環状の突起を形成し、前記フランジと前記絶縁リングのうち一方を回転するとともに他方を静止し、この状態で前記フランジのテ−パ部と前記絶縁リングの突起を互いに接触させて一方を他方側に押圧することにより前記フランジのテ−パ部と前記絶縁リングの突起との接触面を摩擦熱により溶融圧接する筒体の摩擦圧接方法。
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