JP3594831B2 - 画像補正装置および方法、画像補正制御プログラムを記憶した媒体 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、いわゆる多値階調画像を再現するハードコピー機器において用いられる画像補正装置および方法、ならびに画像補正制御プログラムを記憶した媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
画像データが示す画像を再現するためのいわゆるハードコピー機器は、いわゆるデジタル複写機の印刷部、またはプリンタで実現される。近年、ハードコピー機器の画質向上のために、該機器で再現される画像の高解像度化、および該機器で再現される画像の多値階調化のための技術が開発されており、さらにこれら技術に伴う各種の画像処理技術が開発されている。特にいわゆる階調処理技術は、滑らかな濃度変化を有する画像の再現、すなわち該画像のハードコピー化に、欠かせない重要な技術である。滑らかな濃度変化を有する画像とは、たとえば写真または自然画である。
【0003】
一般的なハードコピー機器で再現される画像は、階調数が予め定められた複数の画素から構成される。前記画素の階調数が少ないほど、疑似輪郭と称される濃度段差が前記ハードコピー機器で再現される画像内に現れ易くなるので、再現される画像の画質が著しく劣化する。前記疑似輪郭は、前記再現される画像内の濃度の異なる2つの画素領域の境界部に生じる。前記画素領域は、画像の一部分であり、濃度が相互に等しい少なくとも1つの画素から形成される。
【0004】
論文「中間調ファクシミリ信号の差分ブロック符号化方式−符号化効率と画品質−」(小林誠,鈴木豊,電子通信学会技術報告IE81−69)は、差分ブロック方式を用いた中間調ファクシミリ信号に基づき再生される画像内の疑似輪郭を目立たなくするためのための技術を開示している。前記論文において、前記中間調ファクシミリ信号を受信する受信機は、該信号に基づき画像を再生する場合、該画像の或る画素領域の境界およびその近傍にある画素を、該画素領域の隣の他の画素領域内に、分散させる。また特開昭61−194977号公報において、図11に示すように、前記多値階調画像内の疑似輪郭を目立たなくするために、濃度が相互に異なる2つの各画素領域3,4が、1画素おきに1画素ずつ互いに入込むように、形成される。この結果2つの画素領域の境界5が、凹凸状になる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、論文IE81−69に記載の技術が実現される場合、前記境界近傍の画素を分散させる処理が複雑になり易い。また特開昭61−194977号公報に記載の技術が実現される場合、前記境界5を凹凸状に整形する処理が複雑になり易い。これらの結果、前記疑似輪郭の抑制のための処理を行わない従来のハードコピー機器の画像処理のための負担よりも、上記2つの各技術を用いたハードコピー機器の画像処理のための負担が増大する。これによって、上記2つの各技術を用いたハードコピー機器の前記画像処理の処理時間は、前記従来のハードコピー機器の前記画像処理の処理時間よりも長くなる。また前記上記2つの各技術を用いたハードコピー機器の前記画像処理の処理時間を短縮しようとする場合、高性能な画像処理プロセッサを用いる必要があるので、該ハードコピー機器のコストが増大しやすくなる。さらに前記上記2つの各技術を用いて画像が補正された場合、該画像内の画素領域の境界およびその近傍に、補正前の該画像には現れていない不自然なパターンが生じることがある。
【0006】
本発明の目的は、画像内の疑似輪郭を抑制し、かつ該疑似輪郭の抑制のための処理に伴う不自然なパターンの発生を防止可能な画像補正装置および方法ならびに画像補正制御プログラムを記憶した媒体とを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、複数の画素から構成される処理対象の画像内から、濃度が相互にほぼ等しい複数の画素からそれぞれ構成される複数の隣接する領域に関して領域間の濃度が相互に異なる領域の境界を検出する境界検出手段と、
前記画像内の検出された境界を対称軸として対称となる位置にありかつ複数の画素をそれぞれ含む2つの交換対象領域RE1,RE2内の画素の濃度を、相互に入換える濃度入換え手段とを含み、
前記交換対象領域は、前記境界を幅方向の一端としてかつ前記境界に直交する方向に、予め定める幅の領域であることを特徴とする画像補正装置である。
【0008】
本発明に従えば、画像補正装置は、前記処理対象の画像内の境界近傍にそれぞれありかつ該境界を対称軸として対称な位置にある複数の画素の濃度を、入換える。この結果濃度入換え後の画像内の疑似輪郭は、濃度入換え前の処理対象の画像内の疑似輪郭よりも、少なくなる。この結果前記画像補正装置は、処理対象の画像内の疑似輪郭を抑制することができる。また前記画像補正装置は、交換対象領域が上述のように規定されているので、従来技術の疑似輪郭抑制のための処理を行う画像補正装置、すなわち公報IE81−69または特開昭61−194977号公報記載の技術を用いた画像補正装置と比較して、疑似輪郭抑制のための処理の負担が軽減される。さらにまた前記交換対象領域が上述の形状になっているので、本発明の画像補正装置によって処理された画像は、前記従来技術の画像補正装置によって処理された画像よりも疑似輪郭抑制の処理に起因するいわゆるジャギーの発生、および該処理に起因する処理前の画像に存在しないパターンの発生が低減される。
【0009】
また本発明は、前記処理対象の画像がカラー画像である場合の前記交換対象領域内の画素の数は、前記処理対象の画像がモノクロ画像である場合の前記交換対象領域内の画素の数以上であることを特徴とする。
【0010】
本発明に従えば、該発明の画像処理装置は、前記発明と同様の構成を含み、かつ前記交換対象領域内の画素の数が上述のようになっている。交換対象領域の画素の数が少ないほど、本発明の画像補正装置の疑似輪郭の抑制に関する処理の負担が軽減する。これらの結果前記画像補正装置は、処理対象の画像がカラー画像かモノクロ画像であるかに応じて画像内の疑似輪郭を確実に抑制しつつ、該疑似輪郭抑制のための処理の負担をより軽減することができる。
【0011】
また本発明は、前記処理対象の画像の解像度が大きいほど、前記交換対象領域内の画素の数が多いことを特徴とする。
【0012】
本発明に従えば、該発明の画像処理装置は、前記発明と同様の構成を含み、かつ前記交換対象領域内の画素の数が上述のようになっている。交換対象領域の画素の数が少ないほど、本発明の画像補正装置の疑似輪郭の抑制に関する処理の負担が軽減する。これらの結果、本発明の画像補正装置は、画像の解像度に応じて該画像内の疑似輪郭を確実に抑制しつつ、該疑似輪郭抑制のための処理の負担をより軽減することができる。
【0027】
また本発明は、複数の画素から構成される処理対象の画像内から、濃度が相互にほぼ等しい複数の画素からそれぞれ構成される複数の隣接する領域に関して領域間の濃度が相互に異なる領域の境界を検出する処理と、
前記画像内の検出された境界を対称軸として対称となる位置にありかつ複数の画素をそれぞれ含む2つの交換対象領域RE1,RE2内の画素の濃度を、相互に入換える処理とを含み、
前記交換対象領域は、前記境界を幅方向の一端としてかつ前記境界に直交する方向に、予め定める幅の領域であることを特徴とする画像補正方法である。
【0028】
本発明に従えば、前記画像補正方法が用いられる場合、前記発明と同じ理由に基づき、処理対象の画像内の疑似輪郭を容易に低減させることができ、かつ前記画像補正方法を実行した装置の負担が軽減される。
【0031】
また本発明は、複数の画素から構成される処理対象の画像内の疑似輪郭を抑制するための画像補正制御プログラムを記憶した媒体であって、
前記画像補正制御プログラムは、コンピュータに、
前記処理対象の画像内から、濃度が相互にほぼ等しい複数の画素からそれぞれ構成される複数の隣接する領域に関して領域間の濃度が相互に異なる領域の境界を検出し、
前記画像内の検出された境界を対称軸として対称となる位置にありかつ複数の画素をそれぞれ含む2つの交換対象領域RE1,RE2内の画素の濃度を、相互に入換えさせ、
前記交換対象領域は、前記境界を幅方向の一端としてかつ前記境界に直交する方向に、予め定める幅の領域であることを特徴とする画像補正制御プログラムを記憶した媒体である。
【0032】
本発明に従えば、前記媒体内の画像補正制御プログラムは、コンピュータにインストールされた後、該コンピュータによって実行される。この結果前記コンピュータが前記発明で説明した画像補正装置と同様に動作する。この結果汎用的なコンピュータを用いて、処理対象の画像内の疑似輪郭を容易に低減させることができ、かつ該疑似輪郭の低減のための処理に関するコンピュータへの負担が軽減される。
【0035】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の一形態である画像処理装置24を含む画像形成装置21の電気的構成を示すブロック図である。図2は、図1の画像形成装置21の機械的構造を示すブロック図である。図1と図2とを合わせて説明する。画像形成装置21は、いわゆるデジタル複写機である。
【0036】
画像形成装置21は、画像入力装置23、画像処理装置24、および画像出力装置25を含む。画像入力装置23は、画像処理装置24の処理対象となる画像データを生成する。前記画像データは、画像を示すデジタルデータのデータセットである。画像処理装置24は、前記処理対象の画像データに、該画像データが示す画像の画質を向上させるための各種の処理を施す。前記各種の処理のうちの1つは、画像内の疑似輪郭を抑制するための境界処理である。画像出力装置25は、前記各種の処理後の画像データが示す画像を、再現する。
【0037】
画像入力装置23は、たとえば、読取り装置33とAD変換器34とを含む。読取り装置33は、画像を示すアナログ信号、すなわちアナログ画像信号を生成する。AD変換器34は、読取り装置33で得られた前記アナログ画像信号を量子化する。この結果、前記アナログ画像信号がアナログ/デジタル変換されるので、前記画像データが得られる。画像入力装置23は、画像データを生成可能な装置であれば、読取り装置33とAD変換器34との組合わせに限らず、他の装置、たとえば画像データを直接生成可能なコンピュータで実現されてもよい。
【0038】
画像出力装置25は、たとえば搬送装置36と印刷装置37とを含む。搬送装置36は、前記画像データが示す画像を印刷するべき印刷媒体を搬送して、印刷装置37に与える。前記印刷媒体は、本実施の形態では記録紙である。印刷装置36は、前記各種の処理後の画像データに基づき、該画像データが示す画像を、与えられた記録紙に印刷する。本実施の形態では、印刷装置37はいわゆる電子写真方式の印刷機であり、レーザスキャニングユニット(以後「LSU」と略称する)38を含む。LSU38は、前記処理後の画像データに応じてレーザを断続的に照射する。前記印刷装置は、電子写真方式に限らず、他の方式、たとえばインクジェット方式であってもよい。また画像出力装置25は、前記画像が再生可能な装置であれば、印刷装置36と搬送装置37との組合わせに限らず、他の装置、たとえば陰極線管、液晶表示素子、およびEL表示素子のうちのいずれか1つを用いた表示装置で実現されてもよい。画像処理装置がテレビジョン受信機等の表示装置とともに用いられる場合、濃度に代わって輝度が本明細書で説明する方法と同様の方法で補正される。
【0039】
画像処理装置24は、機能的には、シェーディング部41、視感度補正部42、濃度反転部43、フィルタ部44、出力用γ補正部45、解像度変換部46、中間調処理部47、および境界処理部48を含む。シェーディング部41〜中間調処理部47の具体的構成は後述する。境界処理部48は、中間調処理部47から出力された画像データ、すなわち画像入力装置23からの画像データにシェーディング部41〜中間調処理部47までの各部における処理が施された後の画像データを処理対象として、該画像データに前述の境界処理を施す。
【0040】
画像処理装置24内の全ての各部41〜48は画像処理装置24の機能的構成であるので、画像処理装置24内に備えられる演算回路の演算処理によってそれぞれ実現されてもよく、該各部の処理を実行するための電子回路によってそれぞれ実現されてもよい。勿論画像処理装置24内の全ての部41〜48のうちの少なくとも1つが演算回路の演算処理によって実現され、かつ該全ての部41〜48のうちの残余の部が電子回路によって実現されてもよい。前記演算回路は、たとえばCPU(Central Processing Unit)またはDSP(Digital Signal
Processor)で実現される。
【0041】
前記画像データは複数の画素データから構成される。複数の画素データは、前記画像を構成する複数の画素にそれぞれ対応するデータセットであり、対応する画素の色をそれぞれ示す。前記画像がモノクロ画像である場合、各画素データの値、すなわち階調レベルは、該各画素データが対応する画素の無彩色の反射濃度を示す数値である。前記画像がカラー画像である場合、前記画素データは、該画素の色の明度、彩度および色相の組合わせを表現するため予め定める表色系によって規定される予め定める複数の成分を含む。前記場合に前記複数の成分が前記表色系によって規定される複数種類の色の濃度を示すならば、前記画素データ内の複数の成分は前記複数種類の色にそれぞれ対応し、該複数の各成分の値、すなわち該各成分の階調レベルは、該各成分に対応する色の反射濃度を示す数値になっている。
【0042】
階調レベルと反射濃度との対応関係は、画像形成装置21の仕様に応じて予め定められている。前記階調レベルが取得る範囲、すなわち階調レベルの有効範囲は、画像形成装置21の仕様に応じて予め定められている。本実施の形態では、単一の前記画素データは8ビットのデータセットであり、階調レベルの有効範囲は0以上255以下である。また境界処理部48に与えられる画像データにおいて、階調レベルが大きいほど該階調レベルに対応する反射濃度が大きい、すなわち階調レベルが大きいほど画素が暗くなっている。以後の説明では、特に断らない限り、画像データはモノクロ画像を示すものとしている。
【0043】
境界処理部48における境界処理を、図3〜図7を参照して以下に説明する。図3は、境界処理前の処理対象の画像データが示す画像(以後「対象画像」と称することがある)I1内の、2つの画素領域RD1,RD2の境界Bを含む一部分を拡大して示す模式図である。対象画像I1は、処理対象の画像データを展開して得られ、複数の画素から構成される。本実施の形態では、複数の画素は行列状に配列されており、図面の横方向Xに並ぶ一群の画素を「行」と総称し、図面の縦方向Yに並ぶ一群の画素を「列」と総称する。任意の画素領域は、画像内の一部分であってかつ少なくとも1つの画素から形成され、単一の画素領域内の全ての各画素の反射濃度が相互に等しい、または該単一の画素領域の全ての各画素の反射濃度の差分は0以上で予め定める閾値以下である。すなわち単一の画素領域は、階調レベルが相互にほぼ等しい画素だけから形成される。本明細書では、画像の一部分の拡大模式図において、4辺が点線で描かれた単一の四角形が単一の画素に相当し、かつ該四角形内部に付された斜線の本数が多いほど該四角形に相当する画素の反射濃度が大きいものとする。前記境界処理は、前述したように、対象画像I1の疑似境界を抑制するための処理である。前記疑似境界は、反射濃度が相互に異なる2つの画素領域RD1,RD2の境界Bおよびその近傍に現れることが分かっている。
【0044】
前記境界処理は、概略的には以下の手順で行われる。境界処理部48は、処理対象の画像データが中間調処理部47から与えられた後、境界検出処理を行う。境界検出処理の詳細は後述する。この結果前記処理対象の画像データが示す対象画像I1から、該対象画像内I1の画素領域の境界Bが検出される。境界検出後、境界処理部48は、検出された境界B近傍の画素を処理対象として、濃度交換処理を行う。前記濃度交換処理は、概略的には、対象画像I1内の2つの画素領域RD1,RD2の境界Bの両側にそれぞれ設定される2つの交換対象領域RE1,RE2内の画素の濃度を、該境界Bについて対称に入換える処理である。2つの各交換対象領域RE1,RE2は、巨視的に見て、長手方向が境界Bと平行であり、かつ境界Bを幅方向の一方端とした境界Bに直交する方向に、予め定める幅の領域である。
【0045】
濃度交換処理を具体的に以下に説明する。前述したように画素データの階調レベルが反射濃度と対応するので、2つの画素の濃度の入換えは、実際には、該2つの画素の画素データの階調データの入換えで実現される。すなわち境界処理部48は、境界検出後、2つの画素領域RD1,RD2の境界Bにおいて、該2つの画素領域のうちの一方画素領域RD1内にありかつ該境界Bとの位置関係が予め定められる少なくとも1つの各基準位置関係と等しい各画素の階調データと、該2つの画素領域のうちの他方画像領域RD2内にありかつ該境界Bとの位置関係が前記各基準位置関係と等しい各画素の階調データとを、入換える。各画素領域RD1,RD2内において階調データの入換え対象となる画素は、境界Bに隣接する少なくとも1つの各画素をそれぞれ端として、該各画素から境界Bと直交する方向にそれぞれ予め定める数(以後「基準画素数」と称する)だけ並ぶ。前記基準画素数は1以上の自然数である。また基準画素数が2以上である場合、一方画素領域RD1内の交換対象領域RE1内の任意の1つの画素の階調レベルは、他方画素領域RD2内にありかつ前記任意の1つの画素から境界Bまでの距離と同じ距離だけ境界Bから離れた画素の階調レベルと入換えられる。
【0046】
たとえば図3に示すように、境界Bが画素の列と平行な線分である場合、2つの交換対象領域RE1,RE2は、線分である境界Bを該境界Bの長手方向と直交する方向、すなわち画素の行と平行な方向に前記基準画素数の画素の幅だけ平行移動させた仮想線L1,L2と該境界Bとの間の領域になる。すなわち2つの交換対象領域RE1,RE2は境界Bを挟んで隣合う2本の列に相当する。ゆえに図3に示す画像I1に境界処理を施した場合、図4に示すような処理済画像I2が得られる。また境界Bが画素の行と平行な線分である場合の交換対象領域RE1,RE2の説明は、境界Bが画素の列と平行な線分である上述の場合の交換対象領域の説明と比較して、行および列が列および行にそれぞれ入換えられた点が異なり、他は等しい。
【0047】
処理済画像I2は、2つの各第1画素領域RD3,RD4と境界Bとの間に、該各第1画素領域RD3,RD4とは階調レベルが異なる2つの各第2画素領域RD5,RD6が介在される。2つの各第2画素領域RD5,RD6は、前記2つの各交換対象領域RE1,RE2内の画素の反射濃度の置換え結果である。ゆえに2つの各第2画素領域RD5,RD6は、前記2つの各交換対象領域RE1,RE2と合同でかつ同じ位置にあり、かつ各第1画素領域RD3,RD4からみて境界Bの向う側にある別の第1画素領域RD4,RD3と同じ反射濃度の画素から形成される。またこの結果2つの各第1画素領域RD5,RD6は、処理前の画像の画素領域RD1,RD2から各交換対象領域RE1,RE2を除いた領域と合同である。
【0048】
境界Bは、画素の行または列に平行な直線に限らず、処理前の画像I1を巨視的に見た際に、曲線、閉曲線、ならびに画素の行および列に対して斜めの直線のうちのいずれかであってもよい。たとえば境界Bが巨視的に見て斜めの線分である場合、図5に示すような処理済画像I3が得られる。またたとえば境界Bが巨視的に見て曲線である場合、図6に示すような処理済画像I4が得られる。これら2つの場合、図5,6に示すように、境界Bは画素の境界に沿って伸びる折れ線になる。ゆえに前記場合の処理済画像I3,I4において、2つの各第2画素領域RD5,RD6は、折れ線である境界Bを画素の行または列と平行な方向に前記基準画素数の画素の幅だけ平行移動させた仮想線L1,L2と、境界Bとの間の領域になる。さらにまたたとえば境界Bが閉曲線である場合、図7に示すような処理済画像I5が得られる。前記場合の処理済画像I5において、2つの各第2画素領域RD5,RD6は、閉曲線である境界Bから見て該閉曲線の内側および外側に向かう方向に境界Bを前記基準画素数の画素の幅だけ縮小および拡大させた仮想線L1,L2と、境界Bとの間の領域になる。なお図4〜図7では前記基準画素数を1としている。以上が濃度交換処理の説明である。
【0049】
境界処理部48における対象画像内の境界検出処理は以下のとおりである。前記境界検出処理は、たとえばいわゆるエッジ検出処理で実現される。ゆえに境界処理部48は、処理対象の画像データが与えられた後、該画像データが示す対象画像内の全ての各画素と、該各画素に隣合う他の画素との間に境界Bの一部分があるか否かを、それぞれ判断する。対象画像内の任意の1つの画素と該画素の隣の画素との間に境界Bの一部分があるかどうかの判断は、これら2つの画素の階調レベルの差分を求め、該階調レベルの差分と予め定める閾値との大小関係に基づき行われる。すなわち前記2つの画素の階調レベルの差分が前記閾値を越えているならば、該2つの画素の間に境界Bの一部分があり、前記2つの画素の階調レベルの差分が前記閾値以下であるならば、該2つの画素の間に境界Bがないと判断される。前記境界Bが上述のように判断される場合、単一の画素領域が複数の画素から構成されており、該複数の画素の階調レベルの差分は、常に前記閾値以下である。また境界処理部48は、前記対象画像がカラー画像である場合、前記画素データが複数の色にそれぞれ対応した複数の成分を含む構成になっている。ゆえに境界処理部48は、前記任意の画素と該画素の隣の画素との複数の各成分の階調レベル差分をそれぞれ求め、少なくとも1つの成分の階調レベルの差分が前記閾値を越えた場合、該2つの画素の間に境界Bの一部分があると判断する。以上が境界検出処理の説明である。
【0050】
本実施の形態の画像処理装置21の境界処理の評価のために、以下に説明する実験を行った。前記実験は、概略的には以下のとおりである。処理対象の画像として、図8(A)に示す基準画像IT1が準備された。基準画像IT1は、いわゆるグレースケールパターンチャートである。すなわち前記基準画像IT1は、階調レベルの有効範囲、すなわち0以上255以下の範囲内の全ての各階調レベルにそれぞれ対応する256個の濃度のブロックBL0〜BL255を、対応する階調レベルの大小順に、順次的に隣接させつつ1列に並べて構成されたモノクロ画像である。準備後、上述の基準画像IT1に、本実施の形態で説明した境界処理(以後「本発明の境界処理」と称することがある)と、従来技術で説明した境界処理(以後「従来の境界処理」と称することがある)とを、それぞれ施した。従来の境界処理は、たとえば特開平61−194977号公報で開示される処理であり、具体的には、処理対象の画像内の画素領域の境界を検出し、かつ該境界が凹凸状になるように画像を補正する処理である。
【0051】
境界処理後、処理前の基準画像IT1と、該基準画像IT1に従来の境界処理を施した結果得られる第1の処理済画像と、該基準画像IT1に本発明の境界処理を施した結果得られる第2の処理済画像とを、印刷装置を用いてそれぞれ記録紙に印刷した。この結果3種類の評価チャートが得られる。印刷後、基準画像IT1ならびに第1および第2の処理済画像内において、どの階調レベルのブロックの境界近傍に疑似輪郭が確認されるかを、前記3種類の評価チャートを用いたいわゆる官能評価試験によって、調べた。以上が実験の概略手順である。
【0052】
基準画像IT1の構成は、具体的には以下のとおりである。前記基準画像において、隣接する任意の2つの各ブロックBLm,BLnの境界線が連続している。任意の単一のブロックBLi は、濃度が相互に等しい複数の画素が行列状に並べられて構成された画素領域であり、かつ該ブロックBLi の幅方向および長手方向の画素数W1,W2はそれぞれ6画素および120画素である。前記基準画像内において隣接する任意の2つのブロックの階調レベルの差分は、常に1である。また前記基準画像内の隣接する任意の2つのブロックBLm,BLn間の境界B は、図8(B)に示すように、画素の列に平行な線分になっている。
【0053】
前述の第1の処理済画像は、基準画像IT1と比較して、図8(C)に示すように、ブロックBLm,BLnの境界Bm が凹凸状になっている点だけが異なり、他は等しい。また第2の処理済画像は、基準画像IT1と比較して、図8(D)に示すように、隣合う2つのブロックBLm,BLnの境界Bm と接する部分の画素の反射濃度が相互に入れ換えられている点だけが異なり、他は等しい。なお図8(A)では、各ブロックBL0〜BL255の近傍に、該ブロックを構成する画素の濃度に対応する階調レベルの数値を記載している。また本実験の説明では、iは0以上255以下の任意の整数、mは0以上254以下の任意の整数、nはmよりも1大きい数である。
【0054】
前記基準画像を示す画像データは、アドビ社製の画像作成ソフトウエア「PhotoShop」(商品名)を用いてコンピュータで作成した。また基準画像IT1および前記第1および第2の処理済画像をそれぞれ印刷した評価チャートは、Agfa−Gevaert社製の印刷版下作成用のイメージセッタ「SelectSetAvantra25」(商品名)を用いて、前記画像データが示す画像を、印画紙「PR−H100WP」(商品名)に書込むことによって、それぞれ生成された。書込み時のレーザ解像度は3600dpi(dot per inch)である。また前記評価チャート上において、前記基準画像の階調表現は網点線数が225線の網点を用いて行われている。
【0055】
評価チャート上における反射濃度と階調レベルとの対応関係を調べるために、処理前の基準画像IT1が印刷された第1評価チャート上の各ブロックB0〜B255の光学反射濃度が、反射濃度計を用いて測定された。前記反射濃度計は、マクベス社製であり、型番はRD−918である。図9は、上述の測定の結果得られた階調レベルと反射濃度との関係を示すグラフである。図9に基づき、評価チャート上において、階調レベルが増加するほど反射濃度は増大する。かつ階調レベルが高いほど、該階調レベルにおけるグラフの接線の勾配、すなわち反射濃度の変化量は大きい。この結果、処理前の基準画像IT1内の隣接する2つのブロックBLm,BLnの階調レベルの差分は常に1であるが、該ブロックBLm の階調レベルが大きいほど、第1評価チャート上の該2つのブロックBLm,BLnの反射濃度の差分が大きくなる。これによって処理前の画像が印刷された第1評価チャート上において、ブロックBLi の階調レベルが高いほど、すなわちいわゆる高濃度域のブロックほど、該ブロックBLi の境界およびその近傍に疑似輪郭が生じ易いことが分かる。
【0056】
前記官能評価試験は、具体的には以下の手順で行われた。官能評価試験の被験者数は45名である。複数の被験者が同時に単一の評価チャートを評価することに起因する判断の干渉を避けるため、被験者は1人ずつ個別に3種類の評価チャートを評価した。各評価チャートを照らす光源として、蛍光灯が用いられた。これは、各評価チャートがモノクロ画像であり、かつ試験の簡便性を考慮した結果、光源の分光特性は考慮しなくてもよいと考えたためである。蛍光灯の反射光の影響を避けるために、各評価チャートは、水平面に対して約15度傾けて設置された。被験者の観察時における各評価チャートの表面の照度は、日置電気製のデジタル照度計(型番:3422)で測定したところ、500lxだった。各評価チャートから被験者までの観察距離は、明視距離で300mmである。このような状況下で、各被験者は、上述の3種類の各評価チャートについて、相互に隣接する2つのブロックBLm,BLnの間の境界Bmに疑似輪郭が確認されるか否かを、対応する階調レベルが最大のブロックBL255と該ブロックの隣のブロックBL254との間の境界B254から、ブロックの階調レベルが小さくなる順に、順次評価した。
【0057】
【表1】
【0058】
表1は、上述の3種類の評価チャートの全被験者の評価結果の平均を示す。表1の「弁別階調レベル」は、各評価チャートにおいて、全ての各被験者が疑似輪郭をそれぞれ確認した最小ブロックの階調レベルの平均値である。最小ブロックとは、或る被験者が境界またはその近傍に疑似輪郭が確認された全ブロックのうちの階調レベルが最小のブロックを指す。また表1の「隣接画素濃度差」は、前記弁別階調レベルのブロックの濃度と、疑似輪郭が確認された境界を介して該ブロックに隣接するブロックの濃度との差分である。
【0059】
すなわち前記官能評価試験では、基準画像IT1が印刷された第1の評価チャートにおいて、全被験者のうちの半数の者、すなわち相対累積度数で50%の被験者が、階調レベルが255のブロックBL255 から階調レベルが98のブロックBL98までの全ての各ブロックの境界B255 〜B98またはその近傍に、疑似輪郭を確認した。また前記官能評価試験では、従来の境界処理の処理済画像が印刷された第2の評価チャートにおいて、全被験者のうちの半数の者が、階調レベルが255のブロックBL255 から階調レベルが223のブロックBL223 までの全ての各ブロックの境界B255 〜B223 において、疑似輪郭を確認した。また前記官能評価試験では、本発明の境界処理の処理済画像が印刷された第3の評価チャートにおいて、全被験者のうちの半数の者が、階調レベルが255のブロックBL255 から階調レベルが227のブロックBL227 までの全ての各ブロックの境界B255 〜B227 において、疑似輪郭を確認した。或るブロックの境界に対する被験者の相対累積度数が100%である場合、全ての被験者が該境界に疑似輪郭を確認していることを示す。
【0060】
基準画像が印刷された第1評価チャートにおいて、相対累積度数が10%以上20%以下の被験者は、階調レベルが前記弁別階調レベル以下であり、かつ隣接するブロックとの濃度の差分が0.003であるブロックを、隣接するブロックと弁別することができた。また第1評価チャートにおいて、階調レベルが前記弁別階調レベル以下でありかつ隣接するブロックとの濃度の差分が0.002であるブロックを、隣接するブロックと弁別することができた被験者はいなかった。また従来の境界処理が施された処理済画像が印刷された第2の評価チャートでは、疑似輪郭が認識される境界およびその近傍に、基準画像には存在しない凹凸状のパターンが若干確認された。本発明の境界処理が施された処理済画像が印刷された第3の評価チャートでは、前記凹凸状のパターンは確認されなかった。以上が官能評価試験の試験結果である。
【0061】
本発明の境界処理に関する実験に関し、各ブロックの反射濃度の絶対値および官能評価試験の複数のパラメータおよび基準画像の各ブロックの反射濃度の絶対値を上述の試験条件から変更し、変更後の条件に基づいて上述の手順で評価チャートを作成し、かつ該評価チャートの官能評価試験を行った。官能評価試験のパラメータは、たとえば、官能評価試験の被験者の種類、すなわちいわゆる専門パネルがいわゆる一般パネルであるか、評価チャートの観察距離が予め規定される距離であるか任意の距離であるか、および最小ブロックの絶対濃度が画素の反射濃度が取得る範囲内の低濃度部であるか高濃度部であるか、である。変更後の条件に基づく実験の結果、基準画像が印刷された第1評価チャートにおいて疑似輪郭が確認された最小ブロックと該ブロックの隣のブロックとの反射濃度の差分は0.005であり、第2の処理済画像が印刷された第3評価チャートにおいて疑似輪郭が確認された最小ブロックと該ブロックの隣のブロックとの反射濃度の差分は0.014である。
【0062】
以上の実験の結果、処理前の基準画像では、2つのブロックBLm,BLnの隣接濃度差ΔDが0.005を越える場合、該2つのブロックBLm,BLnの間の境界Bm に疑似輪郭が確認されることがわかる。また上記実験の結果、従来の境界処理を施した処理済画像では、2つのブロックBLm,BLnの隣接濃度差ΔDが0.013以上である場合、該2つのブロックの間の境界Bm に疑似輪郭が確認されることがわかる。さらにまた上記実験の結果、本発明の境界処理を施した処理済画像では、2つのブロックBLm,BLnの隣接濃度差ΔDが0.014以上である場合、該2つのブロックの間の境界Bm に疑似輪郭が確認されることが分かる。これによって本発明の境界処理、すなわち本実施の形態で説明する濃度変換処理を含む境界処理は、従来の境界処理で抑制可能な境界の隣接濃度差よりも、隣接濃度差が大きい2つのブロックBLm,BLn間の境界Bm における疑似輪郭を、抑制することができることが分かる。
【0063】
また上記実験の結果、本発明の境界処理が施された画像において、該処理に起因したパターンが該画像に加えられることが防止されていることが分かる。これは、処理対象の画像に本発明の境界処理が施された場合、該処理に起因して処理済画像内に生じたパターン、すなわち図4〜7における第2画素領域RD5,RD6は、処理前の前記画像内に現れた疑似輪郭および該画像内の輪郭に対して平行に存在するので、人から見て該パターンが判別しにくくなっているからだと考えられる。これによって本発明の境界処理は、従来の境界処理よりも、処理済画像内の境界Bを自然なものにすることができる。さらにまた本実施の形態の境界処理は、境界を凹凸状に整形する従来の境界処理よりも、処理が簡単である。ゆえに本実施の形態の境界処理が用いられる場合、従来の境界処理が用いられる場合よりも、境界処理を実行する装置への負担が軽減される。
【0064】
前記交換対象領域の幅、すなわち該交換対象領域内において前記交換対象の画素が境界Bから該境界Bと垂直な方向に1列に並んだ数、つまり基準画素数は、以下のように規定される。処理対象の画像がカラー画像である場合の前記基準画素数は、前記処理対象の画像がモノクロ画像である場合の基準画素数よりも多いことが好ましい。これは、前記処理対象の画像がカラー画像である場合、画像の解像度が高くなるほど画素の色の変化が識別しにくくなり、最終的には白か黒かの2値判断しかできなくなるからである。たとえば処理対象の画像がモノクロ画像である場合の前記基準画素数は4画素であり、前記処理対象の画像がカラー画像である場合の基準画素数は7画素であることが好ましい。
【0065】
また画像形成装置21の画像出力装置25における画像の解像度が可変である場合、解像度の変化に応じて基準画素数を変化させることが好ましい。たとえば式1に示すように、解像度に対する基準画素数の比率が常に予め定める値Cになるように、解像度に応じて基準画素数を変化させることが好ましい。たとえば解像度が600dpiである場合、基準画素数が5画素であり、解像度が1200dpiである場合、基準画素数が10画素であることが好ましい。
【0066】
【数1】
【0067】
前記基準画素数が疑似輪郭の抑制のための最適な数よりも少なすぎる場合、前記境界処理に起因する画像の変化が人間の目による認識限界以下になるので、該境界処理の効果がなくなる恐れがある。前記基準画素数が前記最適な数よりも多すぎる場合、前記境界処理の補正効果が強調されすぎるので、前記境界処理に起因する画像の変化によって新たな疑似輪郭が発生する恐れがある。ゆえに前記基準画素数はたとえば実験によって求める。前記実験において、予め定める基準画像に対して前記基準画素数を変化させつつ境界処理が複数回実行され、各回の境界処理の補正結果として得られた画像が官能評価試験によって評価され、前記評価結果に基づき、処理前の基準画像内の疑似輪郭を充分に抑制しかつ疑似輪郭が新たに生じない基準画素数が選定される。
【0068】
たとえば上述の実験によって、複数通りの基準画素数が選定された場合、該複数通りの基準画素数のうちの最も少ない基準画素数を選ぶことが好ましい。これは、境界処理の処理速度をできるだけ高速化するため、および該処理を行う部品の処理負荷をできるだけ軽減させるためである。たとえば解像度が600dpiである状況下で、前記実験において前記疑似輪郭が抑制されかつ新たな疑似輪郭が生じない基準画素数が5画素以上10画素以下であると選定された場合、基準画素数として、前記実験で選定された基準画素数のうちの最小のもの、すなわち5画素を、以後の処理に実際に用いる基準画素数として選ぶことが好ましい。以上が基準画素数の説明である。
【0069】
本実施の形態の読取り装置33の構成を、図1,2を参照して以下に説明する。読取り装置33は、原稿台61、光学系62、撮影素子63、および移動部64を含む。光学系62は、露光用光源66と複数の反射鏡67と結像レンズ68とを備える。原稿台61は、たとえば、透明なガラス板で実現される。撮影素子63は、たとえば、複数の受光素子が1直線状に並べられて構成される1次元CCDラインセンサによって実現される。
【0070】
読取り対象の原稿は、原稿台61上に載置される。露光用光源66は、原稿台61上に載置される原稿に、光を照射する。前記光は、原稿表面で反射してから、複数の反射鏡67で順次反射され、さらに結像レンズ68によって撮影素子63の結像面に結像される。撮影素子63は、前記原稿の表面の少なくとも一部分を撮影するために、結像面に結像された光学像を光電変換する。この結果前記アナログ画像信号が得られる。前記アナログ画像信号は、前記原稿の表面が写る画像を示す。移動部64は、前記原稿内の撮影素子63に写される部分を予め定める速度で予め定める方向に移動させる。このために移動部64は、本実施の形態では、露光用電源66と複数の反射鏡67のうちの1つとが組合わされて構成されるユニットを、副走査方向に予め定める速度で移動させる。画像の変倍率が可変である場合、変倍率が大きくなるほど前記速度が遅くなる。以上が読取り装置33の説明である。
【0071】
印刷装置33が電子写真方式の印刷機である場合の搬送装置36および印刷装置37の具体的構成を、図2を参照して以下に説明する。印刷装置37は、LSU38の他に、感光体71、主帯電器72、現像器73、転写器74、清掃器75、および定着器76を含む。搬送装置36は、用紙カセット81、半月状ローラ82、レジスト前検知スイッチ83、一対のレジストローラ84、定着用検知スイッチ85、および一対の排紙ローラ86を含む。
【0072】
感光体71はドラム形状の部材であり、円筒の中心軸を中心として矢印で示す方向に回転する。主帯電器72、LSU38、現像器73、転写器74、および清掃器75は、矢符で示される方向に、この順で、感光体71の周囲に並べられる。主帯電器72は、感光体71の表面を一様に帯電させる。LSU38は、画像処理装置24で処理された画像データに基づいて、レーザ光を感光体71表面に断続的に照射する。この結果、感光体71表面に静電潜像が形成される。現像器73は、感光体71表面の静電潜像を現像して、トナー像を形成する。
【0073】
トナー像の形成と並行して、搬送装置36は、感光体71と転写器74との間に、以下の手順で1枚の記録紙を搬送する。搬送前の記録紙は、用紙カセット81内に収納される。半月状ローラ82が回転すると、用紙カセット81から1枚の記録紙が、印刷装置37に向かって供給される。レジスト前検知スイッチ83は、半月状ローラ82とレジストローラ84との間に記録紙が供給されたかどうかを検出する。レジストローラ84は、レジスト前検知スイッチ83の検知結果に基づいて、感光体71上のトナー像と記録紙との位置合わせを行う。この結果、感光体71と転写器74との間に、記録紙が搬送されるのである。記録紙搬送後、感光体71表面の前記トナー像は、転写器74によって、記録紙に転写される。清掃器75は、トナー像転写後の感光体71表面に残るトナーを除去する。
【0074】
定着器76は、ヒータを備えた一対のローラで構成され、少なくとも一方のローラが加熱されている。トナー像が転写された記録紙は、定着器76の一対のローラ間を通過する。これによって、トナー像が熱によって記録紙に定着される。定着用検知スイッチ85は、記録紙が定着器76を通過したか否かを検知する。排紙ローラ86は、定着用検知スイッチ85の検知結果に基づいて、トナー像が定着された記録紙を、画像形成装置21外部に排出する。以上の動作によって画像が印刷される。以上が搬送装置36および印刷装置37の説明である。
【0075】
画像処理装置24内にある境界処理部48以外の残余の部41〜47、すなわちシェーディング部41〜中間調処理部47の構成を、図1を参照して以下に説明する。なお以下の説明では、前記複数の受光素子が並べられる方向を主走査方向、前記写される部分が移動する方向を副走査方向と称する。前記主走査方向と前記副走査方向とは、相互に直交する。さらに、前記画像内で前記主走査方向に並ぶ複数の画素を、1ライン分の画素と総称することがある。階調レベルの有効範囲内で最も明るい色、すなわち白に相当する反射濃度を、白レベルと称し、濃度の有効範囲内で最も暗い色、すなわち黒に相当する反射濃度を、黒レベルと称することがある。AD変換器34から出力された時点では、階調レベルが大きくなるほど画素は明るい、すなわち階調レベルが大きいほど画素の色が白に近付くと仮定する。
【0076】
シェーディング部41は、AD変換器34から出力された画像データに、シェーディング処理を施す。前記シェーディング処理は、前記画像内の主走査方向に並ぶ複数の画素の白レベルおよび黒レベルを、それぞれ相互に等しくするために行われる。これは、以下の理由からである。撮影素子53の複数の受光素子の光電変換特性がばらついていることがある。このため、前記原稿の一部分を撮影素子53によって撮影する時点で、前記複数の画素の白レベルがばらつくことがある。また、前述の撮影時に、前記原稿表面で反射した複数の光線は、前記撮影素子53の複数の受光領域にそれぞれ受光されるまでに、前記レンズ系内で屈折を起こすことがある。このため、前記複数の光線の前記原稿表面から前記受光領域までの光路の長さに、相互に差が生じる。前記複数の画素の白レベルを比較すると、前記光路の差に起因して、一部の画素の白レベルが他の画素の白レベルよりも低下していることがある。これらのことから、前記複数の画素の白レベルおよび黒レベルは、相互に異なっている。このため、画像データにシェーディング処理が施されて、前記複数の画素の白レベルおよび黒レベルが、それぞれ相互に等しくされるのである。
【0077】
次いで、視感度補正部42は、シェーディング処理が施された画像データに、視感度補正処理を施す。これは、以下の理由からである。撮影素子53の複数の受光領域の光電変換特性は、入射する光線の光量に対してリニアな特性、すなわち、前記光量の増加に比例して前記画素データが示す濃度が増加する特性になっている。これに対し、人間の目の光の感じ方は、入射する光線の光量に対して対数の特性を持っていることが知られている。このため、前記画像データ内の或る画素の階調レベルと前記原稿の該画素に対応する部分の反射濃度との関係を、人間の目の感じ方に近い関係にしておくほうが、画像処理を行う上で便利なので、上述の視感度補正処理を行うのである。
【0078】
視感度補正部42は、前記視感度補正処理として、具体的には、前記シェーディング処理後の画像データを、Log関数を使用してデジタル変換する。前記視感度補正処理に要するコストを低減させるために、視感度補正部42は、いわゆる1次元ルックアップテーブル(1D―LUT)を用いることがある。1次元ルックアップテーブルは、複数の出力値に複数の入力値が1対1でそれぞれ対応付けられたテーブルである。視感度補正処理のための前記1次元ルックアップテーブルにおいて、入力値が画素の濃度であり、出力値が前記濃度と置換えるべき濃度である。前記1次元ルックアップテーブルを用いる場合、視感度補正部42は、前記画像データを構成する複数の画素データが示す濃度を、前記1次元ルックアップテーブルを参照して、それぞれ変換する。
【0079】
濃度反転部43は、視感度補正処理後の画像データに濃度反転処理を施す。具体的には、濃度反転部43は、前記画像データを構成する複数の画素データの階調レベルと画素の明るさとの関係を反転させる。この結果、黒レベルに相当する濃度が階調レベルの有効範囲内の最大レベル、すなわち「255」になり、白レベルに相当する濃度が階調レベルの有効範囲内の最小レベル、すなわち「0」になり、階調レベルが大きくなるほど画素が暗くなる。
【0080】
これは以下の理由からである。一般的に、撮影素子は画素が明るいほど該画素の画素データの階調レベルを大きくするが、印刷装置は画素データの階調レベルが大きいほど画素を暗く印刷する。このように、撮影素子から出力された時点における階調レベルと画素の反射濃度との関係は、印刷装置で印刷される時点の前記関係と逆になっている。このため、視感度補正処理後の画像データをLSU38の仕様に合わせるために、印刷装置に画素データを与える前に、階調レベルと反射濃度との関係を反転させる必要があるのである。
【0081】
フィルタ部44は、濃度反転処理後の画像データに、予め定めるフィルタ処理を施す。フィルタ部44がデジタルフィルタで実現される場合、フィルタ部44は、前記フィルタ処理を、濃度反転処理後の画像データを構成する複数の各画素データにそれぞれ施す。フィルタ部44の入出力特性は、フィルタ部44の目的に応じて定められる。本実施の形態のフィルタ部44は、たとえば画像データが示す画像のMTFの改善を目的としている。
【0082】
出力用γ補正部45は、フィルタ処理後の画像データに、LSU38の階調特性、すなわち画像形成装置21内の印刷装置の階調特性に合わせたγ補正処理を、施す。これは以下の理由からである。LSU38は、その仕様に応じて、前記階調特性および表現可能な反射濃度の範囲が異なる。前記表現可能な反射濃度の範囲は、たとえば、印刷装置36がいわゆる電子写真方式を用いる場合、感光体表面を走査するレーザビームの太さおよび強さ、およびトナーの粒径に起因して定まる。またLSU38がいわゆるインクジェット方式を用いる場合、前記表現可能な反射濃度の範囲は、噴射されるインクの滴の大きさに起因して定まる。このため、LSU38の仕様に応じて、前記画像データを構成する複数の各画素データの階調レベルを、印刷装置で表現可能な範囲内の反射濃度を示す値に変換する必要がある。以上のことから、前記フィルタ処理後の画像データに、前記γ補正処理を施すのである。前記γ変換処理は、具体的には、前記LSU38に応じて予め作成された1次元ルックアップテーブルを用いて行われることが多い。
【0083】
解像度変換部46は、γ補正後の画像データに、解像度変換処理を施す。これは、以下の理由から行われる。デジタル画像形成装置は、読取り装置33の解像度とLSU38の解像度とが異なることが多く、γ補正後の画像データの解像度は、読取り装置33の解像度と等しいことが多い。このため、画像データの解像度を、LSU38の解像度に合わせる補間処理、すなわち解像度変換処理を行う必要があるのである。
【0084】
中間調処理部47は、解像度変換処理後の画像データに、中間調処理を施す。これは、以下の理由からである。シェーディング部41から解像度変換部46まで、前記画像データは8ビットの画素データセットの集合体として取扱われるので、該画像データはいわゆる多値データ、すなわち該画像データを構成する複数の画素データそれぞれが2ビット以上であるデータセットになっている。コストの低減を目的とする画像形成装置21は、印刷される前記画素の濃度を決定するためのレーザの発生源として、レーザを放射するかしないかだけが切換え可能ないわゆる2値レーザ発生源を用いている場合が多い。前記2値レーザ発生源が用いられる場合、印刷される画素の色は、黒か白かのどちらかである。これらのことから、前記画像データが示す画像をできるだけ忠実に記録紙上に印刷するには、前記画像データに中間調処理を施して、前記画像をいわゆる中間調表示させる必要がある。このため、中間値処理部47は、前記解像度変換処理後の画像データを多値/2値変換して、いわゆる2値データに変換する。前記2値データとは、前記画像データを構成する複数の画素データが、それぞれ1ビットのデータになっているものである。前記中間調処理としてディザ法や誤差拡散法が知られている。
【0085】
以上の各種の処理が施された画像データが、境界処理部48の処理対象の画像データとして、中間調生成部47から境界処理部48に与えられる。なお前記濃度反転処理、前記フィルタ処理、前記出力用γ補正処理、および前記解像度変換処理は、上述の順序で行うに限らず、他の順序で行われても良い。以上が、画像処理装置24内の残余の部41〜47の概略的な動作説明である。
【0086】
本発明の第2の実施の形態である画像処理装置(以後「第2画像処理装置」と称する)について、以下に説明する。第2画像処理装置は、第1の実施の形態の画像処理装置(以後「第1画像処理装置」と称する)21と比較して、以下に説明する部分だけが異なり、他は等しい。ゆえに第2画像処理装置内の全部品のうち、第1画像処理装置21内と同じ構成の部品には同じ参照符を付し、説明は省略する。
【0087】
第2画像処理装置は、たとえば画像形成装置の一部分であり、第1の実施の形態で説明した画像入力装置23および画像出力装置25の間に介在される。すなわち第2画像処理装置は、画像入力装置23から出力された画像データに対して、境界処理を含む予め定める処理を施し、処理後の画像データを画像出力装置25に与える。第2画像処理装置は、少なくとも疑似境界抑制のための境界処理を行う境界処理部(以後「第2境界処理部」と称する)と変換データ記憶部とを含む。また第2画像処理装置は、第2境界処理部の他に、第1の実施の形態で説明したシェーディング部41〜中間調処理部47のうちの少なくとも1つを、画像入力装置23と該第2境界処理部との間に備えていても良い。前記変換データ記憶部は、第2画像処理装置が取扱う画像データにおける階調レベルと画像出力装置25が該階調レベルに応じて再生する反射濃度との対応関係を、記憶する。
【0088】
前記対応関係を示す変換データは、階調レベルの許容範囲内の複数の階調レベルと、該複数の各階調レベルに基づき再生される実際の反射濃度を示す数値、すなわち反射濃度データとを、相互に対応付けたものである。前記変換データは、具体的には、たとえば前記複数の階調レベルと反射濃度データとを相互に対応させたLUT(Look Up Table)であってもよく、前記階調レベルを変数としてかつ該階調レベルに対する反射濃度データの変化を示すグラフの近似関数であってもよく、階調レベルを変数としていてかつ該近似関数を用いて階調レベルに対応する反射濃度が算出可能な演算プログラムであってもよい。前記変換データ記憶部は、たとえばROMまたはフラッシュメモリで実現される。
【0089】
階調レベルと反射濃度との対応関係は、画像出力装置25の画像形成プロセスの違いに応じて変化し、かつ該画像形成プロセスの詳細な条件の変化に応じて変化する。たとえば前記対応関係は、画像出力装置25がインクジェット方式のものであるか電子写真方式のものであるかに応じて変化し、かつ画像処理装置25が電子写真方式のものである場合、現像、転写、および定着の各プロセスの詳細条件の違い、およびトナーの種類の違いにそれぞれ応じて変化する。前記トナーの種類の違いは、たとえばトナーが磁性を有するものか非磁性のものであるか、トナーが1成分のものか2成分のものかを指す。ゆえに画像形成装置が設計された時点で、該画像形成装置における変換データが予め求められ、該画像形成装置の変換データ記憶部に記憶されることが好ましい。また変換データは、1回設定された後、必要に応じて書き換えられることが好ましい。この際、変換データ記憶部が記憶内容の書換えが可能な不揮発性メモリ、たとえばフラッシュメモリまたはEEPROMである場合、変換データの書込みおよび書換えが容易なので、さらに好ましい。
【0090】
第2境界処理部における境界処理を、以下に説明する。第2の実施の形態の境界処理(以後「第2境界処理」と称することがある)は、概略的には、疑似輪郭抑制のために対象画像内の画素に施すべき処理を実行するか否かを、該画素と該画素の隣の画素の反射濃度の差分と予め定める許容範囲との関係に応じて、画素毎に定める。前記第2境界処理は、階調レベルと反射濃度との変換タイミングに応じて、以下の第1および第2手順がある。
【0091】
図10は、第2境界処理部における境界処理の第1の手順を説明するためのフローチャートである。境界処理の処理対象の画像データは、画像入力装置23または該装置と第2境界処理部との間にある部品、たとえば中間調処理部47から、第2境界処理部に与えられる。前記処理対象の画像データが与えられた後、ステップA0からステップA1に進む。前記処理対象の画像データは、たとえば第2境界処理部が備えるデータ書込み可能なメモリ、たとえばRAM(Random Access Memory)に記憶される。
【0092】
第2境界処理部は、ステップA1で境界検出処理を行う。前記境界検出処理は、第1の実施で説明した処理と等しい。2つのこの結果前記処理対象の画像データが示す対象画像から、該対象画像内の画素領域の境界Bが検出される。なお図10の説明では、対象画像内の画素領域は少なくとも2つであるとする。境界検出後、第2境界処理部は、ステップA2で、対象画像内において境界Bを介して他の画素領域と隣合う全ての画素領域の階調レベル、すなわち前記全ての各画素領域内において境界Bに隣接する少なくとも1つの画素(以後「隣接画素」と称することがある)の階調レベルを、前記処理対象の画像データ内からそれぞれ検出する。
【0093】
階調レベル検出後、第2境界処理部は、ステップA3で、変換データ記憶部の記憶内容に基づき、検出された全ての各隣接画素の階調レベルを、該階調レベルに対応する反射濃度データに変換する。ステップA3の変換処理において、変換データ記憶部の記憶内容が前述のLUTであれば、前記LUTの中から前記全ての各隣接画素の階調レベルに対応付けられた反射濃度データをそれぞれ選ぶ。ステップA3の置換え処理において、変換データ記憶部の記憶内容が前述の近似関数または演算プログラムである場合、該近似関数または演算プログラムを変換データ記憶部から読出し、前記全ての各隣接画素の階調レベルを代入して該近似関数の演算または該演算プログラムの処理を実行する。この結果前記隣接画素の階調レベルに対応する反射濃度データが得られる。
【0094】
反射濃度データが得られた後、第2境界処理部は、ステップA4で、境界Bを介して相互に隣合う2つの画素領域の反射濃度の差分ΔD、すなわち該2つの各画素領域内において該境界Bに隣接する隣接画素の階調レベルに対応する反射濃度データの差分を、求める。差分算出後、第2境界処理部は、ステップA5で、前記反射濃度の差分ΔDと、予め定める許容範囲の上限濃度差および下限濃度差とを、それぞれ比較する。前記許容範囲の設定手法は後述する。前記反射濃度の差分ΔDが前記許容範囲内である場合だけ、ステップA6に進む。なお図10は、設定範囲の判定に下限値だけを用いる例を示している。さらに上限値を考慮する場合、ステップA5とステップA6との間に反射濃度の差分ΔDと上限値とを比較するステップを挿入し、差分ΔDが上限値以下ならばステップA6に進み、差分ΔDが上限値より大きければステップA7に進むようにすれば良い。
【0095】
ステップA6では、前記メモリに記憶されている画像データに対して、前記反射濃度の差分ΔDが前記許容範囲内である前記2つの画素領域の間の境界における疑似輪郭を抑制するための抑制処理を、行う。前記抑制処理は、境界Bを凹凸状に整形する処理でもよく、第1の実施の形態で説明した濃度変換処理、すなわち境界Bを挟んで対称に設定される交換対象領域内の画素の階調レベルを該境界Bに対称に交換する処理でもよく、他の処理でもよい。抑制処理終了後、ステップA7で境界処理を終了する。また前記2つの画素領域との反射濃度の差分ΔDが前記許容範囲外である場合、ステップA7で境界処理を終了する。対象画像内に画素領域が3つ以上ある場合、全ての画素領域のうちの隣合う2つの画素領域に対して、ステップA2〜A6の処理を、それぞれ実行する。以上が境界処理の第1手順の説明である。
【0096】
第2境界処理部における境界処理の第2の手順を以下に説明する。なお境界処理の第2の手順は、境界処理の第1の手順と比較して、以下に説明する過程だけが異なり他は等しいので、同じ過程の詳細説明は省略することがある。境界処理の処理対象の画像データは第1の手順の説明で説明したものと等しい。前記処理対象の画像データは、たとえば第2境界処理部が備えるデータ書込み可能なメモリ、たとえばRAMに記憶される。前記処理対象の画像データが与えられた後、第2境界処理部は、該画素データ内の全ての画素の階調レベルを、該階調レベルに対応する反射濃度データに、変換する。各画素の階調レベルの変換処理の処理手順は、図10のステップA3で説明した隣接画素の階調レベルの変換処理の処理手順と等しい。
【0097】
変換後、第2境界処理部は、対象画像内の画素領域の境界を検出する。画素領域の境界検出処理において、対象画像内の隣合う任意の2つの画素の反射濃度データに基づき該2つの画素の反射濃度の差分が求められ、該反射濃度の差分が図10のステップA5の比較処理で用いられた許容範囲の上限および下限濃度差と比較される。この結果該反射濃度の差分が前記許容範囲内にある場合だけ、該2つの画素間に境界の一部分があると判断し、該反射濃度の差分が前記許容範囲外にある場合、該2つの画素間に境界の一部分が無いと判断される。ゆえに前記境界検出処理において、隣合う他の画素領域との反射濃度の差分が前記許容範囲内の画素領域の境界だけが、検出される。上述の境界検出処理の詳細な部分は、いわゆるエッジ検出処理と等しくても良い。
【0098】
境界検出後、第2境界処理部は、前記メモリに記憶されている画像データに対して、検出された全ての境界における疑似輪郭を抑制するための抑制処理を施す。前記抑制処理は、境界Bを凹凸状に整形する処理でもよく、第1の実施の形態で説明した濃度変換処理でもよく、他の処理でもよい。抑制処理終了後、境界処理を終了する。以上が境界処理の第2手順の説明である。
【0099】
前述した反射濃度の差分ΔDの許容範囲は、予め定める下限濃度差以上で、かつ画素が取得る最大の反射濃度と該画素が取得る最小の反射濃度との差分(以後「最大濃度差」と称する)以下であることが好ましい。また前記下限濃度差は、理論的には、隣合う2つの画素領域の境界において疑似輪郭が確認可能な状況下の該2つの画素領域内の反射濃度の差分の最小値であることが好ましい。これは以下の理由からである。隣合う2つの画素領域の反射濃度の差分ΔDが0以上でかつ前記下限濃度差である場合、該2つの画素領域間の境界における濃度変化は人間の濃度変化の識別限界未満なので、該境界付近に疑似輪郭は認識されない。ゆえに前記場合、前記2つの画素領域の境界の境界に対して上述の抑制処理を施す必要がない。前記許容範囲が前述の下限濃度差以上でかつ前述最大濃度差以下である場合、前述疑似輪郭が認識されない境界に対する抑制処理が省略されるので、境界処理全体の処理が簡略化される。この結果前記境界処理の処理時間が短縮され、かつ第2境界処理部の処理負荷が軽減される。
【0100】
第1の実施の形態の実験の実験結果に基づき、基準画像が印刷された評価チャートにおいて、隣合う2つのブロックの反射濃度の差分が0以上で0.005未満である場合、相対累積度数で50%以上の被験者が、2つのブロック間に疑似輪郭を確認できないことが分かっている。この結果相対累積度数で50%の被験者は、隣合う2つの画素領域の反射濃度の差分が0以上で0.005未満である場合、該2つの画素領域を弁別可能であると考えられる。これによって、前記隣合う2つの画素領域の境界において被験者の半数が疑似輪郭を確認可能な状況下の該2つの画素領域内の反射濃度の差分の最小値は、0.005である。ゆえに前記下限濃度差は0.005であることが好ましい。また前記実験結果に基づき、基準画像の弁別階調レベルは、官能評価試験のパラメータの違いに拘わらず、常に0.005であることが分かっている。ゆえに下限濃度差が0.005である場合、該下限濃度差は、画像形成装置の詳細の変化に拘わらない普遍的な値であると考えられる。
【0101】
また前記実験結果に基づき、反射濃度の差分が基準画像の弁別階調レベル、すなわち0.005未満の2つのブロックを弁別可能な被験者が存在していることが分かっている。たとえば、相対累積度数で10%以上20%以下の被験者は、反射濃度の差分が0.003である隣接した2つのブロックを弁別可能であり、反射濃度の差分が0.002である隣接した2つのブロックを弁別可能な被験者の相対累積度数は0%である。すなわち前記隣合う2つの画素領域内の反射濃度の差分が0.003以上あるならば、該2つの画素領域の境界において疑似輪郭が確認可能であると考えられる。ゆえに前記下限濃度差は、実用上0.003以上であることが好ましい。
【0102】
前記最大濃度差は、印刷装置の仕様、たとえば印刷プロセスの違いおよびトナー物性に起因する影響に応じて、変化する。たとえば印刷装置が銀塩方式である場合、画素の最大濃度Dmaxは1.9であり、画素の最小濃度は0である。ゆえに前記最大濃度差分は1.9である。ゆえに前記最大濃度は1.9である。なお前記場合の最大濃度Dmaxは、富士写真フィルム製のPictroGraphy3000を用い、第1の実施の形態で説明した基準画像を記録紙に印刷して得られた評価チャートを、官能評価試験にかけて求めた。たとえば印刷装置が電子写真方式である場合、画素の最大濃度Dmaxは1.4であり、画素の最小濃度は0である。ゆえに前記最大濃度差は1.4である。
【0103】
これらの結果、前記許容範囲は、印刷装置が銀塩方式である場合、理想的には0.005以上1.9以下であり、実用上は0.003以上1.9以下であることが好ましい。またこの結果前記許容範囲は、印刷装置が電子写真方式である場合、理想的には0.005以上1.4以下であり、実用上は0.003以上1.4以下であることが好ましい。
【0104】
以上のように第2境界処理部は、処理対象の画像内の全境界のうち、反射濃度の差分が前記許容範囲内にある2つの画素領域間の境界だけに、前記抑制処理を施す。この結果第2境界処理部の境界処理が、処理対象の画像内の全境界に前記抑制処理を施す従来の境界処理よりも、簡略化される。これによって前記第2境界処理部の処理の負担が、従来の境界処理を施す補正部の処理の負担よりも軽減される。これによって第2境界処理部は、処理対象の画像内の疑似輪郭を抑制しつつ、該疑似輪郭の抑制の処理に要する処理時間を従来技術の境界処理部よりも短縮することができる。
【0105】
また前記反射濃度の差分の許容範囲は、上述の下限濃度値以上で、かつ予め定める上限濃度差以下であることがさらに好ましい。前記上限濃度差は、下限濃度差より大きく前記最大濃度差未満であり、かつ前記抑制処理が施された後の画像内の2つの画素領域間の境界およびその近傍に疑似輪郭が確認されない状況下において、該2つの画素領域内の反射濃度の差分の最大値である。また前記反射濃度の差分の最大値は、第1の実施の形態の実験結果から、前記抑制処理に応じて変化することが分かる。ゆえに前記上限濃度差は、前記抑制処理に応じて設定されることが好ましい。
【0106】
上述のように前記許容範囲の上限濃度差を定めるのは、以下の理由からである。第1の実施の形態の実験結果に示すように、処理対象の画像に抑制処理を施した結果得られる処理済画像内には、疑似輪郭が多少確認される。ゆえに処理対象の画像内の画素領域のうち、反射濃度の差分が前記実験における弁別階調レベル以上である2つの画素領域間の境界の疑似輪郭は、前記抑制処理によって抑制することが困難である。前記上限濃度差が上述のように規定される場合、前記抑制処理が疑似輪郭を抑制可能な境界だけに、該抑制処理が施される。この結果第2境界処理部は、処理対象の画像内の疑似輪郭を抑制しつつ、該疑似輪郭の抑制の処理に要する処理時間をさらに短縮することができる。ゆえに前記許容範囲が前記下限濃度差以上でかつ上限濃度差以下であることが好ましいのである。
【0107】
前記抑制処理が、第1の実施の形態で説明した処理、すなわち境界の両側の画素の濃度を該境界に対象に入換える処理である場合、第1の実施の形態の実験結果に基づき、反射濃度の差分が0.014以下である隣合う2つの画素領域間の境界に、疑似輪郭が確認されないことが分かっている。また前記実験の第2の評価パターンの弁別階調レベルは、官能評価試験のパラメータの違いに拘わらず、常に0.014だった。これによって、上限濃度差は、理論的には0.014であることが好ましい。また上限濃度差の実用上の値は、理想的な上限濃度差に0.001の余裕を見て、0.015であることが好ましい。
【0108】
これらの結果、前記許容範囲は、理想的には0.005以上0.014以下であり、実用上は0.005以上0.015以下であることが好ましく、実用上最も好ましい許容範囲は、0.003以上0.015以下である。また第1の実施の形態の実験に基づき、従来の境界処理が用いられた場合、半数の被験者が、反射濃度の差分が0.013以下である隣合う2つの画素領域間の境界に、疑似輪郭を確認していないことが分かっている。したがって前記許容範囲が上述の3つの範囲のうちのいずれかである場合、第2境界処理部は、前記抑制処理の処理手法に拘わらず、該抑制処理によって疑似輪郭を抑制可能な反射濃度差分の2つの画素領域の境界に対して処理を施すことができる。ゆえに前記許容範囲が上述の3つの範囲であることがより好ましい。
【0109】
また前記第2境界処理部が実行する抑制処理は、第1の実施の形態で説明した抑制処理、すなわち濃度交換処理であることが好ましい。前記濃度交換処理は従来の抑制処理よりも処理が簡略化されているので、この結果第2境界処理部は、画像内の疑似輪郭を確実に抑制しつつ、該疑似輪郭の解消のための処理の負担の軽減と該処理の処理時間の短縮とを行うことができる。
【0110】
以上説明した第1および第2の実施の形態の画像処理装置は、少なくとも境界処理部を含んでいればよく、他の部品は適宜省略されていてもよい。また画像処理装置は、画像データを取扱う装置であれば、画像形成装置に限らず、他の装置に備えられていても良い。さらにまた前記第1および第2の実施の形態の画像処理装置は、単独で用いられても良く、画像入力装置23および画像出力装置25のうちのいずれか一方とだけ組合わせて用いられても良い。前記画像処理装置が単独で用いられるおよび前記2つの装置23,25のいずれか一方とだけ用いられる場合、前記画像処理装置内の各種のパラメータは、画像入力装置23および画像出力装置25を含む処理系で用いられると仮定して、調整される。
【0111】
第1および第2の実施の形態の境界処理部は、本発明の画像補正装置および画像処理装置の例示であり、主要な動作が等しければ、他の様々な形で実施することができる。特に各境界処理部が実行する複数の各処理の詳細な構成は、上述した特徴を有しているならば、上述の構成に限らず他の構成によって実現されてもよい。たとえばこれら境界処理部は、コンピュータによって実現されてもよい。このために第1および第2の実施の形態でそれぞれ説明した境界処理を前記コンピュータの中央演算処理装置に行わせるためのプログラムおよびデータを含むソフトウエアを、前記コンピュータによって読出し可能な媒体に記憶させておく。前記媒体には、たとえば、CD−ROMおよびフロッピーディスクが挙げられる。前記コンピュータを前記境界処理部として動作させるには、まず前記媒体を前記コンピュータに装着して、前記媒体内の前記ソフトウエアを前記コンピュータにインストールし、次いでインストールした前記ソフトウエア内の前記プログラムを前記中央演算処理装置に実行させる。これによって、前記コンピュータ全体が前記境界処理部として動作する。これによって、汎用的なコンピュータを用い、容易に第1および第2の実施の形態の境界処理部を実現することができる。
【0112】
以上の画像補正処理は、画像に対して行うことが有効であり、逆に、文字データには施さないことが好ましい。前記画像とは、プリンタにおいては、ビットマップ、JPEG等の画像フォーマットであり、テレビジョンにおいては、通常の表示範囲に相当する映像データである。前記文字データとは、プリンタにおいては、TXT等のテキストファイルであり、テレビジョンにおいては、通常の表示範囲以外に付加される文字放送用データ等である。つまり、文字データの場合には下限濃度差、および上限濃度差ともに条件を満たすので、この場合に本発明の処理を施すと、文字の品位を大きく劣化させ、逆効果となる恐れがある。
【0113】
したがって、本発明の処理を施すにあたり、プリンタにおいては、対象とするデータファイルの種別を判断し、画像ファイルの場合のみに該処理を行うといった制御を行う。たとえば、コンピュータのアプリケーションを例に取れば、フォトショップ等のような画像ソフトウェア、あるいは、プリンタのプロパティ画面等において、現在開いているファイルが画像フォーマットファイルの場合にだけ、画像補正ツールバー中に“疑似輪郭補正”といった名称の項目があらわれて、あるいは該項目の選択が有効になるように表示されて、実行可能となるようにする。あるいは、ディスプレイを参照しながら、全画像領域の中から文字と認識される画像領域をユーザが自ら選択、すなわち範囲指定し、該選択領域は処理対象外とすることも可能である。画像領域が範囲指定される場合、現在用いているデータファイルのデータ種別の判断を行わないようにしても良い。
【0114】
さらに、下限濃度差あるいは/および上限濃度差の値を設定可能にしておき、ユーザが任意に設定できるようにしておくことも有効である。たとえば、下限値として、0.003あるいは0.005、…が選択可能としておく、これにより、画像処理効果と処理時間との兼ね合いから、どちらかを優先させることが可能となる。
【0115】
テレビジョン等の表示装置においては、通常の表示範囲に相当する映像データに対してのみ本発明の画像補正処理を行う。現在では、映像データの中から、静止画と動画部分を抽出し、それぞれに応じた処理を行うことが一般的となっている。したがって、動画部分には本発明の処理は行わず、静止画および動きが遅い部分に関してのみ本発明の処理を行うようにしてもよい。さらに、映像データの中から文字と推定されるデータを抽出することが可能であれば、該文字相当データに関しては本発明の処理は行わないようにする。これにより、文字品位の劣化を防止することができる。
【0116】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、画像補正装置は、前記処理対象の画像内の境界を検出し、かつ該境界を幅方向の一端とする2つの交換対象領域内の画素の濃度を該境界を対称軸として対称に入換える。この結果前記画像補正装置は、疑似輪郭抑制のための処理の負担を軽減しつつ、処理対象の画像内の疑似輪郭を確実に抑制することができる。
また本発明によれば、前記処理対象の画像がカラー画像である場合の前記交換対象領域内の画素の数は、該画像がモノクロ画像である場合の前記交換対象領域内の画素の数以上である。
さらにまた本発明によれば、前記処理対象の画像の解像度が大きいほど、前記交換対象領域内の画素の数が多い。これらの結果前記画像補正装置は、前記処理対象の画像内の疑似輪郭を確実に抑制しつつ、該疑似輪郭抑制のための処理の負担をより軽減することができる。
【0119】
以上のように本発明によれば、処理対象の画像内の疑似輪郭を抑制するための画像補正方法において、該画像内の境界が検出された後、該境界を幅方向の一端とする2つの交換対象領域内の画素の濃度が該境界を対称軸として対称に入換えられる。この結果前記画像補正方法が用いられる場合、処理対象の画像内の疑似輪郭を容易に低減させることができ、かつ前記画像補正方法を実行した装置の負担が軽減される。
【0120】
以上のように本発明によれば、媒体は、処理対象の画像内の境界を検出する処理と、該境界を幅方向の一端とする2つの交換対象領域内の画素の濃度を該境界を対称軸として対称に入換える処理とを、コンピュータに実行させるための画像補正制御プログラムを記憶する。この結果汎用的なコンピュータを用いて、処理対象の画像内の疑似輪郭が容易に低減され、かつ該疑似輪郭の低減のための処理に関するコンピュータへの負担が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態である画像処理装置24を含む画像形成装置21の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】図1の画像形成装置21の機械的構成を示すブロック図である。
【図3】画像処理装置24内の境界処理部48の処理対象となる画像I1の、2つの画素領域RD1,RD2の境界B近傍の部分拡大図である。
【図4】本発明の境界処理が施された処理対象の画像I2の境界B近傍の部分拡大図である。
【図5】処理対象の画像内の境界Bが巨視的に見て斜めの直線である場合、本発明の境界処理が施された画像I3の境界B近傍の部分拡大図である。
【図6】処理対象の画像内の境界Bが巨視的に見て曲線である場合、本発明の境界処理が施された画像I3の境界B近傍の部分拡大図である。
【図7】処理対象の画像内の境界Bが巨視的に見て閉曲線である場合、本発明の境界処理が施された画像I3の境界B近傍の部分拡大図である。
【図8】本発明の境界処理の評価実験に用いられる基準画像、該基準画像の部分拡大図、該基準画像に従来技術の境界処理を施した結果得られる画像の部分拡大図、および該基準画像に本発明の境界処理を施した結果得られる画像の部分拡大図である。
【図9】図8の基準画像における階調レベルと反射濃度との対応関係を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態である画像処理装置内の境界処理部における境界処理の第1の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】従来技術の境界処理が施された画像の境界5近傍の部分拡大図である。
【符号の説明】
48 境界処理部
B 境界
RE1,RE2 交換対象領域
RD1,RD2,RD3,RD4,RD5,RD6 画素領域
Claims (5)
- 複数の画素から構成される処理対象の画像内から、濃度が相互にほぼ等しい複数の画素からそれぞれ構成される複数の隣接する領域に関して領域間の濃度が相互に異なる領域の境界を検出する境界検出手段と、
前記画像内の検出された境界を対称軸として対称となる位置にありかつ複数の画素をそれぞれ含む2つの交換対象領域RE1,RE2内の画素の濃度を、相互に入換える濃度入換え手段とを含み、
前記交換対象領域は、前記境界を幅方向の一端としてかつ前記境界に直交する方向に、予め定める幅の領域であることを特徴とする画像補正装置。 - 前記処理対象の画像がカラー画像である場合の前記交換対象領域内の画素の数は、前記処理対象の画像がモノクロ画像である場合の前記交換対象領域内の画素の数以上であることを特徴とする請求項1記載の画像補正装置。
- 前記処理対象の画像の解像度が大きいほど、前記交換対象領域内の画素の数が多いことを特徴とする請求項1記載の画像補正装置。
- 複数の画素から構成される処理対象の画像内から、濃度が相互にほぼ等しい複数の画素からそれぞれ構成される複数の隣接する領域に関して領域間の濃度が相互に異なる領域の境界を検出する処理と、
前記画像内の検出された境界を対称軸として対称となる位置にありかつ複数の画素をそれぞれ含む2つの交換対象領域RE1,RE2内の画素の濃度を、相互に入換える処理とを含み、
前記交換対象領域は、前記境界を幅方向の一端としてかつ前記境界に直交する方向に、予め定める幅の領域であることを特徴とする画像補正方法。 - 複数の画素から構成される処理対象の画像内の疑似輪郭を抑制するための画像補正制御プログラムを記憶した媒体であって、
前記画像補正制御プログラムは、コンピュータに、
前記処理対象の画像内から、濃度が相互にほぼ等しい複数の画素からそれぞれ構成される複数の隣接する領域に関して領域間の濃度が相互に異なる領域の境界を検出し、
前記画像内の検出された境界を対称軸として対称となる位置にありかつ複数の画素をそれぞれ含む2つの交換対象領域RE1,RE2内の画素の濃度を、相互に入換えさせ、
前記交換対象領域は、前記境界を幅方向の一端としてかつ前記境界に直交する方向に、予め定める幅の領域であることを特徴とする画像補正制御プログラムを記憶した媒体。
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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