JP3594511B2 - 磁気泳動型表示装置の製造方法 - Google Patents

磁気泳動型表示装置の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁界を作用させて表示装置内に封入した磁性粒子を磁気泳動させ、何らかの表示を行う磁気泳動型表示装置の製造方法の改良に係り、特に、カラー表示が可能な磁気泳動型表示装置の製造方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば特開昭53−127032号公報、特開昭52−30196号公報、実開昭55−25934号公報に示す磁気泳動型モノクロ表示装置が従来から知られている。このような磁気泳動型モノクロ表示装置では、表面パネルシートおよび背面パネルシートの間の密封空間を多数のセルに分割し、各セル内に黒色磁性粒子および白色流体を含む分散液体を封入してある。表面パネルシートの外面に記録用磁気部材などを接触させて移動させることにより、そのペンが移動した軌跡に対応するセル中に封入してある分散液体中の黒色磁性粒子が、ペンの磁界作用により底部より表面パネルシート側に磁気泳動する。その結果、透明な表面パネルシートの外面には、白色流体と黒色磁性粒子とのコントラストの差異により何らかのモノクロ表示が行われる。
【0003】
また、特公平8−7532号公報には、表面パネルシートの外面に良好なモノクロ画像表示を得るために、磁気泳動型モノクロ表示装置内に封入する分散液体中の黒色磁性粒子の諸条件が記載されている。
【0004】
また最近では、実用新案登録第3047170号公報に示すように、複数色を表示することができる磁気泳動型カラー表示装置も提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の磁気泳動型表示装置においては、セル毎の境界部(バウンダリー部)での表示切れをなくし、白黒のコントラストまたはカラーコントラストの向上が求められている。
【0006】
特に磁気泳動型カラー表示装置では、色の滲みがなく、色調が鮮明で、カラー表示画像の解像性を向上させることができる表示装置が求められている。
しかしながら、従来の磁気泳動型表示装置の製造方法では、磁性粒子を含む分散液体を各セル内に過不足なく注入する作業が困難であり、各セル毎に分散液体の過不足注入が生じるおそれがあり、それが原因で、セル毎の境界部(バウンダリー部)での表示切れや、白黒のコントラストまたはカラーコントラストの低下などが生じるおそれがあった。
【0007】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、セル毎の境界部(バウンダリー部)での表示切れをなくし、コントラストの向上を図ることができる磁気泳動型表示装置の製造方法を提供することを第1の目的とする。
本発明の第2の目的は、セル毎の境界部(バウンダリー部)での表示切れをなくし、色の滲みがなく、色調が鮮明で、カラー表示画像の解像性を向上させることができる磁気泳動型カラー表示装置の製造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記第1目的を達成するために鋭意検討した結果、透明な表面パネルの凹部に装着してある仕切り部材のセル空間の内部に、磁性粒子を含有する分散液体を注入した後、仕切り部材のセル空間からはみ出た分散液体をスキージングすることで、セル毎の境界部(バウンダリー部)での表示切れをなくし、コントラストの向上を図ることができる磁気泳動型表示装置が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
また、本発明者等は、上記第2目的を達成するために鋭意検討した結果、透明な表面パネルの凹部に装着してある仕切り部材により仕切られたセルの内の選択された特定のセル以外のセルをマスキング部材によりマスキングし、選択された特定のセル内にのみ特定着色磁性粒子を含有する分散液体を注入した後、マスキング部材の上からスキージングを行い、その操作を各着色磁性粒子毎に行うことで、セル毎の境界部(バウンダリー部)での表示切れをなくし、色の滲みを解消し、色調の鮮明さとカラー表示画像の解像性とを向上させることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち、本発明に係る磁気泳動型表示装置の製造方法は、
樹脂被覆された紙で構成されたハニカム構造体であって、多数のセル空間が形成してある仕切り部材を形成する工程と、
内面に凹部が形成してあるポリエチレンテレフタレートから成る透明な表面パネルシートの前記凹部に、前記仕切り部材を装着する工程と、
前記仕切り部材のセル空間の内部に、磁性粒子を含有する分散液体を注入する工程と、
前記仕切り部材のセル空間からはみ出た分散液体をスキージングする行程と、
前記セル空間の内部に充填された分散液体を密封するように、背面パネルシートの外周内面と、表面パネルシートの外周内面とを接合する工程とを有する。
【0011】
本発明に係る磁気泳動型表示装置の製造方法は、
前記分散液体として、第1着色磁性粒子を含有する第1分散液体と、前記第1着色磁性粒子とは異なる着色が成された第2着色磁性粒子を含有する第2分散液体とを少なくとも準備する行程と、
前記仕切り部材により仕切られたセルの内の選択された特定のセル以外のセルを第1マスキング部材によりマスキングし、選択された特定のセル内にのみ前記第1分散液体を注入する行程と、
前記第1マスキング部材の上からスキージングを行う行程と、
前記第1マスキング部材を取り去り、前記第1分散液体が封入されていないセルの内の選択された特定のセル以外のセルを、第2マスキング部材によりマスキングし、第2マスキング部材によりマスキングされていない選択された特定のセル内にのみ前記第2分散液体を注入する行程と、
前記第2マスキング部材の上からスキージングを行う行程とをさらに有することが好ましい。
【0012】
本発明において、マスキング部材としては、特に限定されず、マスキングテープ、マスキングシート、印刷用スクリーン、メタルマスクなどを用いることができる。マスキング部材の材質としては、特に限定されず、金属、合成樹脂、繊維質などが例示される。
【0013】
また、本発明において、スキージングに用いるためのスキージング器具としては、特に限定されず、ゴムや合成樹脂で構成してある弾力性のあるスキージング用ブレード、金属製スキージングブレードなどを用いることができる。
【0014】
また、スキージング器具のスキージング速度も、特に限定されないが、好ましくは10〜300mm/秒、さらに好ましくは30〜100mm/秒である。このようなスキージング速度において、良好なスキージング効果を得ることができる。
【0015】
さらに、スキージングに際して、仕切り部材に対するスキージング器具の押圧力も特に限定されないが、好ましくは、10〜200g/mm、さらに好ましくは50〜150g/mmである。この押圧力が小さすぎると、スキージングの効果がなくなり、押圧力が大きすぎると、仕切り部材にダメージを与える傾向にある。
【0016】
本発明に係る製造方法では、前記表面パネルシートをポリエチレンテレフタレート(PET)で構成することが好ましい。表面パネルシートを、ポリエチレンテレフタレートで構成することで、塩化ビニルから成る表面パネルシートに比較し、廃棄処分が容易であり、地球環境にも優しい。また、表面パネルシートの材質を、PETで構成することにより、パネル表示面でのコントラストが向上することが、本発明者等により見出された。
【0017】
本発明において、前記仕切り部材としては、紙を樹脂で被覆した材質で構成してあることが好ましく、また、略正六角筒形状のセルを多数有するハニカム構造体であることが好ましい。仕切り部材として、樹脂被覆紙が好ましいのは、合成樹脂に比較して、紙は天然の素材であり、薄く形成することができ、しかも透過性がなく、表示面の画像消去時にセル空間底部に存在する磁性粒子の色を完全に隠蔽することができ、画像表示時のバウンダリー部での線の途切れも少ないからである。
【0018】
本発明において、前記磁性粒子は、好ましくは50〜200μm、さらに好ましくは75〜150μmの平均粒子サイズを持つ。磁性粒子の平均粒子サイズが小さすぎると、背色である単一色流体(白色流体)が磁性粒子の影響で汚染され易くなり、また、画像表示の消去の際の磁気泳動の応答性が遅くなる傾向にある。また、磁性粒子の平均粒子サイズが大きすぎると、表示は可能であるものの、表示の解像性が劣化する傾向にある。
【0019】
本発明において、磁性粒子に対する印加磁界が500(Oe)の時の磁性粒子の磁化が、好ましくは20.0emu/g以上、さらに好ましくは22.0mu/gである。磁性粒子は、前記記録用磁気部材または消去用磁気部材が有する低磁界の作用において磁気泳動が行われる磁化を持つ必要があり、上記範囲の磁化率を持つことで、磁性粒子は磁気泳動が十分に行われ、表示装置の表示面での表示および/または消去作用が向上する。
【0020】
前記分散液体が、単一色流体中に着色磁性粒子を分散させた液体であり、前記単一色流体の粘度が、25°Cにおいて、好ましくは200〜800cp、さらに好ましくは300〜600cpである。単一色流体(白色流体)の粘度が低すぎると、パネル上面に表示された磁性粒子を保持することができない。また、単一色流体(白色流体)の粘度が高すぎると、磁性粒子の磁気泳動がスムーズに起こらなくなり、記録用磁気部材や消去用磁気部材の磁束密度を高くする必要がある。
【0021】
前記単一色流体としては、磁性粒子の色に対して高コントラストを有する色であることが好ましく、特に限定されないが、白色流体であることが好ましい。
【0022】
前記白色流体としては、特に限定されないが、イソパラフィンと、複数の白色調無機系酸化物の混合物とを少なくとも含むことが好ましく、
前記白色流体の全重量を100重量%とし、前記白色流体中のイソパラフィンの重量%をAとし、白色調無機系酸化物の混合物の重量%をBとした場合に、重量比A/Bが、10≦A/B≦20の関係にあることが好ましい。
【0023】
また、本発明の別の観点では、前記単一色流体が、分散媒(イソパラフィンに限らず、その他の分散媒をも含む)と、単一色調顔料(白色調無機系酸化物に限らず、その他の顔料、染料、着色剤などを含み、白色にも限定されない)とを少なくとも含み、
前記単一色流体の全重量を100重量%とし、前記単一色流体中の分散媒の重量%をA’とし、単一色調顔料の重量%をB’とした場合に、重量比A’/B’が、10≦A’/B’≦20の関係にあることも好ましい。
【0024】
この重量比A/B(A’/B’)が大きすぎると、白色流体(単一色流体)の白さ(単一色)が弱く、表示画像の消去時に、磁性粒子をパネル表示面から完全に消去することができず、パネル表示面が汚れて見える傾向にある。また、A/B(A’/B’)が小さすぎると、白色流体(単一色流体)の白さ(単一色)が磁性粒子の色調を隠蔽してしまい、鮮明な色調表示が得られない傾向にある。
【0025】
本発明に係る磁気泳動型表示装置の製造方法では、
前記表面パネルシートの外面に沿って記録用磁気部材を配置し、
前記記録用磁気部材として、当該記録用磁気部材を前記表面パネルシートの外面に接触させた状態で、前記背面パネルシートの外面での実効磁束密度が100〜500Gaussとなる程度の磁力を持つ磁気部材を用いることも好ましい。
【0026】
また、前記背面パネルシートの外面に消去用磁気部材を配置し、
前記消去用磁気部材として、当該消去用磁気部材を前記背面パネルシートの外面に配置させた状態で、前記表面パネルシートの外面での実効磁束密度が300〜1500Gaussとなる程度の磁力を持つ磁気部材を用いることも好ましい。
【0027】
記録用磁気部材の磁力が小さすぎると、セル内での磁気泳動作用が弱いために、表示面でのカラー表示が困難である。また、記録用磁気部材の磁力が大きすぎると、磁界が強すぎるために、磁気泳動された磁性粒子がパネル表面に表示されたときに表示物の解像性を劣化させる傾向にある。
【0028】
また、消去用磁気部材の磁力が小さすぎると、セル内での磁気泳動作用が弱く、パネル表示面側から磁性粒子を引き戻すことが困難になり、表示面での表示物の消去が困難になる傾向にある。また、消去用磁気部材の磁力が大きすぎると、磁界が強すぎるために、消去のために磁気泳動された磁性粒子が穂立ち現象としてパネル表示面の内面に残存するため、パネル表示面の表示をきれいに消去することができない傾向にある。
【0029】
本発明において、記録用磁気部材の具体的形状は、特に限定されず、磁気ペン、あるいは磁気スタンプなどのあらゆる形状を採用することができる。
【0030】
前記消去用磁気部材は、前記背面パネルシートの外面に沿って移動自在に配置してあることが好ましい。
【0031】
本発明に係る磁気泳動型表示装置の製造方法では、前記第1分散液体および第2分散液体以外に、前記第1着色磁性粒子および第2着色磁性粒子とは異なる着色が成された第3着色磁性粒子を含有する第3分散液体を用いても良い。この場合において、第1〜第3着色磁性粒子の色は、相互に異なり、好ましくは三原色(赤、緑、青)の内のいずれかであることが好ましい。また、本発明に係る磁気泳動型表示装置の製造方法では、これらの第1〜第3着色磁性粒子以外に、それらとは異なる着色が成された磁性粒子を含む分散液体を用いてもよい。
【0032】
また、本発明において、セル空間の厚さは、好ましくは0.8〜1.5mm、さらに好ましくは1.00〜1.40mmである。この厚みが小さすぎると、セル内における磁性粒子の色調を隠すための単一色流体の単一色色度(たとえば白色度)を調整するために、単一色流体中に単一色微粒子(たとえば白色微粒子)を多く含有する必要がでてくる。この結果、単一色流体の粘度が高くなり、磁性粒子の磁気泳動がスムーズに起こらなくなり、記録用磁気部材や消去用磁気部材の磁束密度を高くする必要がある。また、表示装置の表示面に表示された表示物の解像性や色調についても劣ってしまう傾向にある。
【0033】
また、セル空間の厚みが大きすぎると、セル内で磁性粒子を十分に表面パネルシート側に磁気泳動させるためには、磁気泳動距離が長いことから、記録用磁気部材や消去用磁気部材の磁束密度を高くする必要がある。また、記録用または消去用磁気部材に装着される磁石もコスト的に高いものとなってしまう。また、表示装置の表示面に表示された表示物の解像性についても劣ってしまう傾向にある。
【0034】
【作用】
本発明に係る磁気泳動型表示装置の製造法では、透明な表面パネルの凹部に装着してある仕切り部材のセル空間の内部に、磁性粒子を含有する分散液体を注入した後、仕切り部材のセル空間からはみ出た分散液体をスキージングすることで、各セル毎の分散液体の過不足がなくなり、その結果、セル毎の境界部(バウンダリー部)での表示切れをなくし、コントラストの向上を図ることができる。
【0035】
また、本発明では、透明な表面パネルの凹部に装着してある仕切り部材により仕切られたセルの内の選択された特定のセル以外のセルをマスキング部材によりマスキングし、選択された特定のセル内にのみ特定着色磁性粒子を含有する分散液体を注入した後、マスキング部材の上からスキージングを行い、その操作を各着色磁性粒子毎に行うことで、各セル毎の分散液体の過不足がなくなり、その結果、セル毎の境界部(バウンダリー部)での表示切れをなくし、色の滲みを解消し、色調の鮮明さとカラー表示画像の解像性とを向上させることができる。
【0036】
また、本発明では、以上のように、セル空間の厚み、磁性粒子の粒子サイズ、磁化特性、単一色流体(白色流体)の粘度や組成、および/または記録用磁気部材および消去用磁気部材の実効磁束密度などに、特定領域の規制を設けることにより、パネル表示面での表示、特にカラー表示が鮮明に成され、しかも、消去もきれいにできる磁気泳動型表示装置が得られる。
【0037】
本発明に係る磁気泳動型表示装置の用途は、特に限定されず、幼児用玩具、教材、習字板、各種ゲーム用板、記録用掲示板、メモ板、黒板、ホワイトボード、広告板、携帯用メモ帳などとして広く利用することができる。本発明に係る磁気泳動型表示装置の設置場所も特に限定されず、工場、学校などの建物の内部に限定されず、駅のプラットホーム、改札口、工事現場などの屋外、あるいは水中などであっても良い。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は本発明の1実施形態に係る磁気泳動型カラー表示装置の断面図、図2は磁気泳動型カラー表示装置の単位セルに対応する要部拡大断面図、図3は仕切り部材としてのハニカム構造体の斜視図、図4(A)および(B)はハニカム構造体の製造過程を示す概略図、図5、図6(A)〜(D)および図7は図1に示す磁気泳動型カラー表示装置の製造過程を示す要部断面図、図8(A)〜(C)は本発明の実施例における評価の基準を示す概略図である。
【0039】
磁気永動型カラー表示装置
図1に示すように、本発明の1実施形態に係る磁気泳動型カラー表示装置2は、少なくとも磁気表示パネル20と、記録用磁気部材としての記録用磁気ペン16と、消去用磁気部材としての消去用磁気レバー18とを有する。
【0040】
磁気表示パネル20は、表面パネルシート4と背面パネルシート6とを有し、これらシート4および6の外周は、相互に熱融着または接着してあり、それらのシート4および6の間に密封空間8を形成してある。密閉空間8には、仕切り部材としてのハニカム構造体10が配置してある。図3に示すように、ハニカム構造体10は、略正六角筒形状のセル空間15を多数有する。図1に示すように、シート4および6で囲まれた各セル空間15の内部には、第1着色磁性粒子14aを含む第1分散液体12a、第2着色磁性粒子14bを含む分散液体12b、および第3着色磁性粒子14cを含む第3分散液体12cのいずれかが封入してある。何れのセル空間15に何れの分散液体12a〜12cを封入するかは、任意であるが、後述する方法により、表示面を構成する多数のセル空間15を、たとえば三つのブロックに分け、各ブロック毎に、異なる分散液体12a〜12cを封入することが好ましい。各分散液体12a、12bまたは12cが封入された各セル空間15が、図2に示す単一の表示セル30を構成する。
【0041】
この磁気泳動型カラー表示装置2では、磁気ペン16の先端を、表面パネルシート4の表面である表示面4a上に摺動させることで、磁気ペン16が移動した軌跡に対応する表示セル30内の着色磁性粒子14a〜14cに磁界が作用し、着色磁性粒子14a〜14cの磁気泳動がセル30の内部で生じ、表示面4aにカラー表示が行われる。表示面4aにおける表示の消去については、磁気レバー18を磁気表示パネル20の底部で移動させ、磁気パネル20の表示面4a上のカラー表示を消去する。
【0042】
磁気ペン16の先端には、永久磁石17が保持してあり、磁気レバー18にも、永久磁石19が保持してある。磁気ペン16は、磁気表示パネル20とは連結しておらず、別部材として提供される。磁気レバー18は、背面パネルシート6の外面に沿って移動自在に、磁気表示パネル20に予め連結して配置される。磁気レバー18の操作は、操作者の手により手動で行っても良いが、モータアクチュエータなどの駆動装置を磁気レバーに連結し、操作ボタンなどの操作により、自動的に行うこともできる。
【0043】
なお、図1では図示省略してあるが、磁気表示パネル20の外周および背面は、合成樹脂製ケーシングなどで覆われ保護してあることが好ましい。磁気レバー18は、そのケーシングに対して移動自在に連結してあることが好ましい。そのケーシングには、開口部が形成してあり、磁気表示パネル20の表示面4aが露出するようになっている。
【0044】
記録用磁気ペン16の磁石17は、当該磁気ペン16の磁石17を表面パネルシート4の外面に接触させた状態で、背面パネルシート6の外面での実効磁束密度が100〜500Gaussとなる程度の磁力を持つ。また、消去用磁気レバー18の磁石19は、当該磁気レバー18の磁石19を背面パネルシート6の外面に配置させた状態で、表面パネルシート4の外面での実効磁束密度が300〜1500Gaussとなる程度の磁力を持つ。
【0045】
記録用磁気ペン16の磁石17の磁力が小さすぎると、セル30内での磁気泳動作用が弱いために、表示面4aでのカラー表示が困難である。また、記録用磁気ペン16の磁石17の磁力が大きすぎると、磁界が強すぎるために、磁気泳動された着色磁性粒子14a〜14cがパネル表示面4aに表示されたときにカラー表示物の解像性を劣化させる傾向にある。
【0046】
また、消去用磁気レバー18の磁石19の磁力が小さすぎると、セル30内での磁気泳動作用が弱く、パネル表示面4a側から着色磁性粒子14a〜14cを引き戻すことが困難になり、表示面4aでの表示物の消去が困難になる傾向にある。また、消去用磁気レバー18の磁石19の磁力が大きすぎると、磁界が強すぎるために、消去のために磁気泳動された着色磁性粒子14a〜14cが穂立ち現象としてパネル表示面4aの内面に残存するため、パネル表示面4aの表示をきれいに消去することができない傾向にある。
【0047】
磁石17および19の材質としては、特に限定されず、公知のものを用いればよい。たとえば、フェライト粉(マグネトプランバイト型フェライト)や金属粉(Nd,Sm,Co,Fe,Niなどの単独もしくは合金)よりなる磁石、あるはこれらの材質にゴムや樹脂を加えて成形した磁石より選択すればよい。
【0048】
本実施形態に係る表示装置2の磁気表示パネル20では、表面パネルシート4は、透明シートで構成してあり、その外面が、パネル表示面4aとなる。表面パネルシート4の材質は、本実施形態では、ポリエチレンテレフタレートで構成してある。ポリエチレンテレフタレートで構成された表面パネルシート4を有する磁気表示パネル20は、廃棄処分が容易であり、自然環境にも優しい。また、表面パネルシート4をポリエチレンテレフタレートで構成することにより、表示面でのカラーコントラストが向上する。
【0049】
表面パネルシート4の厚みは、特に限定されないが、好ましくは0.10〜0.50mm、さらに好ましくは0.15〜0.25mmである。表面パネルシート4の厚みが小さすぎると、磁気ペン16の摩擦に対する耐久性が低下する傾向にあり、厚みが大きすぎると、材料の無駄である。なお、表面パネルシート4は、多層シートであっても良い。
【0050】
背面パネルシート6は、必ずしも透明である必要はなく、その材質は、特に限定されされないが、たとえば塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステル、ポリエチレンなどの合成樹脂で構成されるが、好ましくはPETで構成される。背面パネルシート6の厚みは、特に限定されないが、好ましくは0.05〜0.30mm、さらに好ましくは0.10〜0.20mmである。この背面パネルシート6の厚みが小さすぎると、耐久性が低下する傾向にあり、厚みが大きすぎると、材料の無駄である。この背面パネルシート6も、多層シートで構成しても良い。
【0051】
図3に示すハニカム構造体10は、耐水性を持つ特殊紙(樹脂で被覆された紙)で構成してある。ハニカム構造体10における各セル空間15の略正六角形状の横断面積は、特に限定されないが、好ましくは1.0〜5.0mm、さらに好ましくは2.0〜3.0mmである。この横断面積が小さい程、微細な表示が可能になるが、あまりに小さいと、各セル30における着色磁性粒子14のスムーズな磁気泳動が困難になる傾向にあり、大きすぎる場合には、微細な表示が困難になる傾向にある。本実施形態において、このようなハニカム構造体10を用いるのは、表示面4aにおける表示物の解像度を高めることができる構造であり、且つ、強度的にも優れていることからである。また、このハニカム構造体10を紙で構成することにより、磁気表示パネル20の廃棄処分が容易となる。ハニカム構造体10の製造方法については後述する。
【0052】
ハニカム構造体10の各セル空間15を仕切る隔壁の厚みは、特に限定されないが、好ましくは0.01〜0.5mm、さらに好ましくは0.03〜0.1mmである。この隔壁厚みは、表示面4aでの表示物の途切れを無くす観点からは、薄いほど好ましいが、あまりに薄いと強度が低下する傾向にある。
【0053】
このハニカム構造体10の高さH(図3参照)が、図2に示す密封空間8(セル空間15)の厚みTに対応する。本実施形態では、この厚みTは、0.8〜1.5mmである。この厚みが小さすぎると、セル30内における着色磁性粒子14a〜14cの色調を隠すための白色流体の白色度を調整するために、白色流体中に白色微粒子を多く含有する必要がでてくる。この結果、白色流体の粘度が高くなり、着色磁性粒子14a〜14cの磁気泳動がスムーズに起こらなくなり、磁気ペン16や磁気レバー18における磁石17または19の磁束密度を高くする必要がある。また、表示装置の表示面4aに表示された表示物の解像性や色調についても悪影響を与える傾向にある。
【0054】
また、セル空間Tの厚みが大きすぎると、セル30内で着色磁性粒子14a〜14cを十分に表面パネルシート4側または背面パネルシート6側に磁気泳動させるためには、磁気泳動距離が長いことから、磁気ペン16や磁気レバー18における磁石17または19の磁束密度を高くする必要がある。また、これらの磁石17または19もコスト的に高いものとなってしまう。
【0055】
図2に示すように、各セル30の内部に封入してある分散液体12a〜12cは、白色流体中に、それぞれ着色磁性粒子14a〜14cが分散してある液体である。白色流体は、白色顔料(染料含む)と、分散媒とを少なくとも含んでいる。白色顔料としては、特に限定されず、たとえば酸化チタン、アルミナ、酸化亜鉛、シリカ、チタン酸バリウム、ジルコン酸バリウムなどが例示されるが、本実施形態では、酸化チタン(TiO)、アルミナ(Al)、酸化亜鉛(ZnO)、シリカ(酸化珪素:SiO)などの白色調無機系酸化物が好ましく用いられる。また、分散媒としては、特に限定されず、水、グリコール類などの極性分散媒や、有機溶剤、油類などの非極性分散媒などが例示されるが、本実施形態では、好ましくはパラフィン類(特にイソパラフィン)が用いられる。
【0056】
本実施形態では、白色流体の全重量を100重量%とし、この白色流体中のイソパラフィンの重量%をAとし、白色調無機系酸化物の混合物の重量%をBとした場合に、重量比A/Bが、10≦A/B≦20の関係にある。
【0057】
この重量比A/Bが大きすぎると、白色流体の白さが弱く、表示画像の消去時に、着色磁性粒子14a〜14cをパネル表示面4aから完全に消去することができず、パネル表示面4aが汚れて見える傾向にある。また、A/Bが小さすぎると、白色流体の白さが着色磁性粒子14a〜14cの色調を隠蔽してしまい、鮮明な色調表示が得られない傾向にある。
【0058】
また、本実施形態では、この白色流体の粘度は、25°Cにおいて、200〜800cpである。白色流体の粘度が低すぎると、パネル上面に表示された磁性粒子を保持することができない。また、白色流体の粘度が高すぎると、着色磁性粒子14a〜14cの磁気泳動がスムーズに起こらなくなり、記録用磁気ペン16や消去用磁気レバー18の磁石17または19の磁束密度を高くする必要がある。
【0059】
本実施形態では、各分散液体12a〜12c中に白色流体と共に含有される着色磁性粒子14a〜14cとしては、相互に異なる着色が施されているものであれば特に限定されず、種々の着色微粒子を用いることができる。たとえば、着色磁性粒子14a〜14cとしては、フェライト粉や金属粉などの磁性体の外周面を、合成樹脂や着色剤で被覆してある微粒子を用いることができる。
【0060】
着色磁性粒子14a〜14c中の磁性体の材質は、着色磁性粒子14a〜14cに対する印加磁界が500(Oe)の時の着色磁性粒子14a〜14cの磁化が20.0emu/g以上となるような材質から選択される。このような磁性体の材質としては、特に限定されず、黒色マグネタイト、二酸化クロム、フェライト(スピル型フェライト、マグネトプランバイト型フェライト)などの酸化物磁性材料や、コバルト、鉄、銅、ニッケル、またはこれらの合金などの金属磁性材料などが例示されるが、好ましくは金属磁性材料である。
【0061】
着色磁性粒子14a〜14cは、前記記録用磁気ペン16または消去用磁気レバー18が有する低磁界の作用において磁気泳動が行われる程度の磁化を持つ必要があり、上記範囲の磁化率を持つことで、着色磁性粒子14a〜14cは磁気泳動が十分に行われ、表示装置の表示面4aでの表示および/または消去作用が向上する。
【0062】
着色磁性粒子14a〜14cに含まれる合成樹脂としては、公知のものを用いればよく、例えば、スチレン系、ポリエステル系、アクリル系、エポキシ系などから選択すればよい。また、着色剤としては、着色すべき色調に応じた無機系あるいは有機系の公知の顔料を用いればよく、例えば、着色磁性粒子14a〜14cのいずれかを黒色とする場合には、カーボンブラックを用いる。また、着色磁性粒子14aを青色磁性粒子とし、着色磁性粒子14bを緑色磁性粒子とし、着色磁性粒子14cを赤色磁性粒子とする場合には、次のような着色剤を用いることが好ましい。すなわち、青色着色剤としては、Co−Mn系の複合酸化物顔料、などの着色剤が好ましい。また、緑色着色剤としては、Co−Mn系の複合酸化物顔料などの着色剤が好ましい。また、赤色着色剤としては、ヘマタイトなどの着色剤が好ましい。
【0063】
なお、着色磁性粒子14a〜14cにおける合成樹脂および/または着色剤は、磁性体粉を被覆する被覆層を構成することが好ましい。磁性体粉末が被覆層で被覆されていない場合には、摩滅に対する抵抗力が低下し、表示面の着色の原因となる傾向にある。また、着色磁性粒子14a〜14cは、各分散液体12a〜12c中において、ブロッキングしてはならないので、合成樹脂および/または着色剤の種類は、分散液体中で、軟化や膨潤などが生じないものが選択され、架橋剤(たとえばウレタン変性剤)などにより部分的に架橋された合成樹脂を用いることもできる。
【0064】
本実施形態では、各着色磁性粒子14a〜14cにおける磁性体と、合成樹脂および/または着色剤との重量比は、各粒子14a〜14cの色調などによっても異なるが、一般的には、60〜90重量%の磁性体と、10〜40重量%の合成樹脂および/または着色剤との重量比であることが好ましい。
【0065】
本実施形態において、着色磁性粒子14a〜14cの平均粒子サイズは、50〜200μmである。このような着色磁性粒子14a〜14cは、球形であっても、球形以外の異形であっても良く、従来からの一般的な製法によって得ることができる。例えば、先に示した合成樹脂および/または着色剤と磁性体とから成る組成物を溶融混合した後、粉砕し、風力分級して、50〜200μmの着色磁性粒子14a〜14cを得る。あるいは、同様な組成物を溶剤中で混合し、これを乾燥して、分級し、50〜200μmの着色磁性粒子14a〜14cを得る。着色磁性粒子の平均粒子サイズが小さすぎると、背色である白色流体が着色磁性粒子14a〜14cの影響で汚染され易くなり、また、画像表示の消去の際の磁気泳動の応答性が遅くなる傾向にある。また、着色磁性粒子14a〜14cの平均粒子サイズが大きすぎると、カラー表示は可能であるものの、カラー表示の解像性が劣化する傾向にある。
【0066】
本実施形態では、セル30毎に封入される分散液体12a〜12c中における白色流体と着色磁性粒子14a〜14cとの配合割合は、着色磁性粒子14a〜14cの色調によっても異なるが、一般的には、80〜90重量%の白色流体と、10〜20重量%の着色磁性粒子14a〜14cとの重量割合であることが好ましい。分散液体中における着色磁性粒子14a〜14cの含有割合が低すぎると、着色磁性粒子14a〜14cの量が少ないために、表示装置の表示面4aでの表示物の解像性が劣ってしまう傾向にある。例えば、線や文字の太さが細くなり、途切れる事も生じる。また、着色磁性粒子14a〜14cの含有割合が高すぎると、表示装置の表示面4aにおける表示物の濃度は高くすることはできるものの、白色流体を汚染しやすくなるため、消去時の表示面4aでの白色が弱くなる要因となり、カラーコントラストの低下の原因となる傾向にある。
【0067】
磁気永動型カラー表示装置の製造方法
本実施形態に係る磁気泳動型カラー表示装置2を製造するには、まず、図5に示すように、内面側に凹部4bを持つ透明PETから成る表面パネルシート4の凹部4b内にハニカム構造体10を収容する。本実施形態のハニカム構造体10は、特殊紙で構成してあり、図4(A)に示すように、装着前の状態では、一方向に収縮してあり、ハニカム予備成形ブロック10aとなっている。このハニカム予備成形ブロック10aの両端から引張力Fを作用させ、図4(B)に示すように、ブロック10aを広げ、各セル空間15の目開きを行う。
【0068】
たとえばブロック10aの状態では、一方向の長さL1が好ましくは3.0〜5.0cm、さらに好ましくは3.5〜4.5cmであり、引き延ばし後の構造体10の長さL2は、好ましくは40〜60cm、さらに好ましくは45〜58cmとなる。また、引き延ばし後の構造体10における各セル空間15の目開き長L3は、好ましくは2.5〜5.0mm、さらに好ましくは2.8〜4.2mmとなる。このような目開きを行うための引張力Fは、ハニカム構造体10のサイズなどに応じて変化し、特に限定されないが、一例では、50〜100gf程度である。この引張力が小さすぎると、セル空間15を良好に目開きすることができない傾向にあり、大きすぎると、ハニカム構造体10を破損させてしまうおそれがある。
【0069】
各セル空間15における目開き長L3は、ハニカム構造体10の長さL2と共に、時間の経過に従って縮む傾向にあるため、本実施形態では、引張力Fの解除後(たとえば数十秒後)に、ハニカム構造体10に対して、固化剤をスプレー塗布する。固化剤としては、引き延ばされたハニカム構造体10の形状の縮みを抑制することができる固化剤であれば特に限定されず、たとえば酢酸エチルに、スチレン−アクリル共重合体などのアクリル樹脂を溶解した溶液から成る固化剤が用いられる。固化剤中の酢酸エチルとアクリル樹脂との重量割合は、特に限定されず、酢酸エチルを80〜90重量%に対し、アクリル樹脂が10〜20重量%程度であることが好ましい。樹脂の含有割合を増やすことで、構造体10の縮み抑制効果を高くすることが期待できるが、あまりに樹脂の含有割合を高くすると、スプレーによる噴霧塗布が困難になる傾向にある。
【0070】
このようにしてセル空間15が目開きされ、ハニカム構造体10の縮みが抑制された状態で、ハニカム構造体10を所定の大きさに切断し、図5に示すように、内面側に凹部4bを持つ表面パネルシート4の凹部4b内に、切断されたハニカム構造体10を収容して接着する。
【0071】
その後、各セル空間15の内部に、第1〜第3着色磁性粒子14a〜14cのいずれかの磁性粒子を含む分散液体12a、12bまたは12cを、所定の規則に従って、またはランダムに入れ分ける。所定の規則に従って入れ分けるためには、所定の着色毎のパターン開口が形成されたマスキングシートや型を用いる方法や、マスキングテープを用いる方法、スクリーン印刷を応用する方法などが例示されるが、本実施形態では、図6(A)〜(C)に示すマスキングシート50a〜50cを用いる。
【0072】
図6(A)〜(C)に示すマスキングシート50a〜50cには、それぞれ、第1着色用開口部52a、第2着色用開口部52bおよび第3着色用開口部52cが形成してある。これら開口部52a〜52cは、それぞれ重複しないようなパターンになっておりさえすれば、どのようなパターンであっても良く、ランダムパターン、規則パターン、絵柄パターン、模様パターン、キャラクター商品パターンなどであっても良い。
【0073】
各マスキングシート50a〜50cは、本実施形態では、合成樹脂シートで構成してあり、その厚みt1(図5参照)は、好ましくは0.05〜1.0mm、さらに好ましくは0.1〜0.2mmである。この厚みt1が薄すぎると、後述するスキージングの際にシートが浮き上がり、マスキングとしての効果が少ない傾向にあり、厚みt1が厚すぎると、マスキングシート50a〜50cを剥がす際に、開口部52a〜52cに残存する分散液が、本来注入すべきでないセル空間に入り込むおそれがある。
【0074】
マスキングシート50a〜50cは、図5に示すように、ハニカム構造体10に対して位置決めされて設置される必要がある。しかも、後述するスキージングの際に、ハニカム構造体10からずれないことが要求される。そこで、本実施形態では、マスキングシート50a〜50cの背面には、粘着層が形成してあることが好ましい。粘着層の粘着力は、後述するスキージングの際に、ハニカム構造体10からずれず、且つ、マスキングシート50a〜50cをハニカム構造体10から剥がす際に、ハニカム構造体にダメージを与えない程度に決定される。
【0075】
なお、マスキングシート50a〜50cの背面に粘着層を形成する代わりに、多数の突起を形成しても良い。突起の突出高さは、好ましくは0.1〜0.5mmであり、突起を形成することで、マスキングシートとハニカム構造体の密着度が上がるなどの理由から、スキージングの際に、マスキングシート50a〜50cがハニカム構造体10に対してずれ難くなる。
【0076】
本実施形態では、まず、開口部52aが形成してあるマスキングシート50aを、図5に示すハニカム構造体10が収容された表面パネルシート4の内側に位置決めして載せる。次に、マスキングシート50aの開口部52aに相当するパターンに位置するブロック化された複数のセル空間15の内部に、第1着色磁性粒子14aを含む第1分散液体12aを注入する。
【0077】
注入に際しては、マスキングシート50aの開口部52aから分散液が多少はみ出す程度に注入する。その後、スキージング装置60を用いて、マスキングシート50aの表面を、1回以上、好ましくは複数回スキージングする。
【0078】
スキージング装置60は、ゴム製ブレード62を有する。ブレード62は、移動体64により保持してある。移動体64は、レール66に沿って移動可能になっており、その結果、ブレード62の先端は、マスキングシート50aの全表面をスキージングすることが可能になっている。
【0079】
次に、マスキングシート50aを外し、別パターンの開口部52bが形成してあるマスキングシート50bを、図4に示すハニカム構造体10が収容された表面パネルシート4の内側に位置決めして載せる。次に、マスキングシート50bの開口部52bに相当するパターンに位置するブロック化された複数セル空間15の内部に、第2着色磁性粒子14bを含む第2分散液体12bを注入し、前述と同様にしてスキージングする。
【0080】
次に、マスキングシート50bを外し、別パターンの開口部52cが形成してあるマスキングシート50cを、図4に示すハニカム構造体10が収容された表面パネルシート4の内側に位置決めして載せる。次に、マスキングシート50cの開口部52cに相当するパターンに位置するブロック化された複数セル空間15の内部に、第3着色磁性粒子14cを含む第3分散液体12cを注入し、前述と同様にしてスキージングする。
【0081】
その後、マスキングシート50cを外し、図7に示すように、接着剤42が内面に塗布された背面パネルシート6を、ハニカム構造体10の図示上の上面および表面パネルシート4の外周側内面に加圧して接着する。次に、高周波型ウェルダーを用い、表面パネルシート4の外周の一部40を熱溶着して内部を完全に密封し、図1に示す磁気表示パネル20が得られる。高周波型ウェルダーによる熱溶着の条件は、特に限定されないが、好ましくは80〜110°C、さらに好ましくは95〜105°Cの加熱温度で、好ましくは3〜7秒、さらに好ましくは4〜6秒である。加熱温度が低すぎると、PETから成る表面パネルシート4の熱溶着が困難になる傾向にあり、温度が高すぎると、内部の分散液体12a〜12cに悪影響を与える傾向にある。なお、図1と図7とでは、磁気表示パネル20の上下が逆に示してある。
【0082】
このような方法により、図6(D)に示すように、表示面4aの全体を所定パターンの三つのブロックに分け、各ブロックに位置するセル空間15の内部に、それぞれ異なる色調の着色磁性粒子14a〜14cを含有する分散液体12a〜12cを配した複数色表示可能な磁気泳動型カラー表示装置2を製造することができる。
【0083】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
【0084】
たとえば、図1に示す記録用磁気ペン16としての記録用磁気部材は、磁気表示パネル20から完全に分離することなく、紐などの手段で連結してあっても良い。また、記録用磁気ペン16としての記録用磁気部材は、手動で移動させることなく、XYプロッタなどで自動的に移動させることも可能である。
【0085】
また、着色磁性粒子14a〜14cの色調は、三原色に限らず、その他の色調であっても良い。また、着色磁性粒子の種類は、三種類に限らず、二種類、または四種類以上であっても良い。また、これら着色磁性粒子が分散される分散液体の背色となる単一色流体の色調は、白色に限らず、その他の色であっても良い。
【0086】
さらに、上述した実施形態では、磁気泳動型カラー表示装置について説明したが、本発明は、磁気泳動型カラー表示装置に限定されず、白黒などのモノクロ式の磁気泳動型表示装置にも適用することが可能である。
【0087】
【実施例】
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。なお、表中のwt%は、重量%を示す。
【0088】
パネル内封入物の作製
イソパラフィン、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素およびアルミナを、下記の表1に示す組成で、所定に定量した後、ホモシサイザー攪拌機により、4000rpmで5分間攪拌を行い、白色流動液(白色流動体)1〜7を得た。これら白色流動液1〜7の全重量%を100重量%とし、白色流動液中のイソパラフィンの重量%をAとし、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素およびアルミナから成る白色酸化物混合体の重量%をBとした場合に、A/Bの比を表1に示す。また、各白色流動液(白色流動体)1〜7の温度25°Cにおける粘度を、表1に示す。この粘度は、B型粘度計(東京計器製)を用い、各白色流動液を500ccセットして求めた。
【0089】
【表1】
Figure 0003594511
【0090】
また、白色流動液1〜7とは別に、下記の表2に示す組成および磁化特性の着色磁性粉1〜7(図1および図2における着色磁性粒子14a〜14cに対応する)を準備した。
【0091】
【表2】
Figure 0003594511
【0092】
表2において、黒色磁性粉1は、70重量%のFeを主成分とする磁性体を、30重量%のカーボンから成る着色剤およびスチレン−アクリル樹脂から成る合成樹脂で被覆した磁性体粒子であり、その平均粒子サイズおよび磁化特性は表2に示される。
【0093】
青色磁性粉2は、85重量%のFeを主成分とする磁性体を、15重量%のCo−Mn系複合酸化物から成る着色剤およびポリエステル樹脂から成る合成樹脂で被覆した磁性体粒子であり、その平均粒子サイズおよび磁化特性は表2に示される。
【0094】
赤色磁性粉3は、85重量%のFeを主成分とする磁性体を、15重量%のヘマタイトから成る着色剤およびスチレン−アクリル樹脂から成る合成樹脂で被覆した磁性体粒子であり、その平均粒子サイズおよび磁化特性は表2に示される。
【0095】
緑色磁性粉4は、80重量%のFeを主成分とする磁性体を、20重量%のCo−Mn系複合酸化物から成る着色剤およびポリエステル樹脂から成る合成樹脂で被覆した磁性体粒子であり、その平均粒子サイズおよび磁化特性は表2に示される。
【0096】
黒色磁性粉5は、60重量%のFeを主成分とする磁性体を、40重量%のカーボンから成る着色剤およびポリエステル樹脂から成る合成樹脂で被覆した磁性体粒子であり、その平均粒子サイズおよび磁化特性は表2に示される。
【0097】
黒色磁性粉6は、75重量%のFeを主成分とする磁性体を、25重量%のカーボンから成る着色剤およびスチレン−アクリル樹脂から成る合成樹脂で被覆した磁性体粒子であり、その平均粒子サイズおよび磁化特性は表2に示される。
【0098】
赤色磁性粉7は、65重量%のマグネタイトから成る磁性体を、35重量%のヘマタイトから成る着色剤およびポリエステル樹脂から成る合成樹脂で被覆した磁性体粒子であり、その平均粒子サイズおよび磁化特性は表2に示される。なお、着色磁性粉1〜7の平均粒径の測定は、メッシュ番号#83〜#325の各篩に着色磁性粉を載せて振動させ、各篩上に残った着色磁性粉量を求め、重量割合から、平均粒子径を算出することにより行った。
【0099】
次に、表1において準備した白色流動液1〜7を、複数の別容器に移して、表2に示す組成および磁化特性の着色磁性粉1〜7をそれぞれ加え、攪拌機を用い、300rpmで1分間攪拌し、パネル内封入物としての分散液体を得た。分散液体中の着色磁性粉の添加量は、80〜90重量%の白色流動液1〜7に対し、10〜20重量%の着色磁性粉1〜7である。白色流動液と磁性粉との組合せは、下記の表3に示される。
【0100】
【表3】
Figure 0003594511
【0101】
磁気表示パネルの作製
図1に示す表面パネルシート4として、厚み0.20mmの透明なPETシートを準備し、背面パネルシート6として、厚み0.10mmの透明なPETシートを準備し、表3におけるパネル試料1〜15のためのパネルシートとして用いた。なお、表3に示すパネル試料16のみに関しては、図1に示す表面パネルシート4として、厚み0.20mmの透明な塩化ビニルシートを用い、背面パネルシート6として、厚み0.10mmの透明な塩化ビニルシートを用いた。また、図3に示すハニカム構造体10としては、特殊紙製ハニカム構造体を準備し、表3におけるパネル試料1〜16のためのハニカム構造体として用いた。
【0102】
ハニカム構造体10は、図4(A)に示すように、装着前の状態では、一方向に収縮してあり、ハニカム予備成形ブロック10aとなっている。このハニカム予備成形ブロック10aの両端から引張力F=94gfを作用させ、図4(B)に示すように、ブロック10aを広げ、各セル空間15の目開きを行った。
【0103】
ブロック10aの状態では、一方向の長さL1が4.5cmであったが、引き延ばし後の構造体10の長さL2は、57.6cmとなった。また、引き延ばし直後の構造体10における各セル空間15の目開き長L3は、4.2mmであり、引張力Fの解除直後30秒後の目開き長L3は、3.0mmであった。その状態で、ハニカム構造体10に対して、固化剤をスプレー塗布した。用いられた固化剤は、80重量%の酢酸エチルに、20重量%のスチレン−アクリル共重合体を溶解した溶液であった。
【0104】
このようにしてセル空間15が目開きされ、ハニカム構造体10の縮みが抑制された状態で、ハニカム構造体10を所定の大きさに切断し、図5に示すように、内面側に凹部4bを持つ表面パネルシート4の凹部4b内に、切断されたハニカム構造体10を接着した。接着に際しては、酢酸ビニル系接着剤を用いた。
【0105】
この状態において、ハニカム構造体10における各セル空間15の横断面積は、3.0mmであり、各セル空間15を仕切る隔壁の厚みは、0.05mmであった。また、ハニカム構造体10としては、種々の高さH(図3参照)を持つものを準備した。この高さHは、図2に示すセル空間15の厚みTに対応し、上記の表3に示すように、種々の厚さ(表3では、パネル厚さに対応する)のものを準備した。
【0106】
図5に示すように、ハニカム構造体10の下端面を、表面パネルシート4の内面に接着した後、各セル空間15の内部に、パネル内封入物の作製工程で得られた各封入物を攪拌しながら注入した。封入物の注入に際しては、表3に示す各パネル試料1〜16(パネル試料5を除く)において、二色以上の多色表示が可能となるように、同一のパネル試料に対して、二種類以上の着色磁性粉を封入した。この封入に際しては、粘着面を持つマスキングテープ(NITTO TAPE(18mm))を用い、表示面を所定のブロックに分割し、各ブロック毎に、異なる着色磁性粉を含む白色流動液を注入し、その後、ゴム製ブレードを用いて手動によりスキージングを複数回行った。なお、パネル試料5については、単一種類の磁性粉1を含む白色流動液を封入した。
【0107】
その後、図4に示すように、酢酸ビニル系接着剤を塗った背面パネルシート6を加圧しながら表面パネルシート4の外周内面およびハニカム構造体10の他端面に貼り合わせ、外周部40を、高周波型ウェルダーを用い、100°Cの加熱温度で5秒間加熱して熱溶着し、内部を完全に密封し、表3に示すパネル試料1〜16(図1に示す磁気表示パネル20に対応する)を得た。
【0108】
得られた磁気パネル1〜16について、以下の測定および評価を行った。結果を下記の表4に示す。
測定は、次のようにして行った。
【0109】
測定
a.着色磁性粉試料の磁化の測定は、振動試料型磁力計(東英工業製の製品番号VSM−3型)を用いて、着色磁性粉試料をホルダーにセットして、印加する磁界を500(Oe)として測定を行った。
【0110】
b.磁気表示パネルにおける記録用磁気ペンに用いる磁石の実効磁束密度の測定は、表3に示すように、所定のセル空間の厚み(パネル厚さ)を持つ磁気表示パネル1〜16を用い、パネルの表示面に、磁気ペンのペン先を当て、磁気表示パネルの背面パネルシートの外面での磁束密度を、ハンディタイプの磁力計((株)エーデーエス社製の製品番号FS−5型)により求めた。同様に、消去用磁気アームに用いる磁石の実効磁束密度の測定は、表3に示すように、所定のセル空間の厚みを持つ磁気表示パネル1〜15を用い、背面パネルシートの外面に、消去用磁石を当て、磁気表示パネルの表面パネルシートの外面での磁束密度を、ハンディタイプの磁力計((株)エーデーエス社製の製品番号FS−5型)により求めた。
【0111】
c.反射率の測定
磁気表示パネルの表示面における反射率の測定は、反射率計(東京電色製の製品番号REFLECTMETER/TC−6MC型)を用いて、磁気表示パネルの表示面上の表示画像に直接反射率計を当てて測定した。磁気表示パネルの表示面に、白色を表示させた場合(図2に示す着色磁性粒子14a〜14cが背面パネルシート6の内面に近接している状態)について、反射率を求めた。白色表示の場合には、反射率が高いほど好ましい。結果を下記の表4に示す。
【0112】
d.表示物の解像性
表示面における表示物の解像性は、目視により確認した。図8(A)に示す文字のぼやけ方について観察した。下記の表4における表示物の解像性の評価において、○は、10回の繰り返し試験でも、文字のぼやけなどが観察されなかったことを示し、×は、10回の繰り返し試験において、5回以上、文字のぼやけが観察されたことを示す。
【0113】
e.セル毎のバウンダリー部(境界部)での表示物の途切れ
磁気表示パネルでのセル毎のバウンダリー部(境界部)での表示物の途切れは、目視により確認した。下記の表4におけるセル毎の境界部での途切れの評価において、○は、10回の繰り返し試験でも、図8(C)に示すように、セル毎の境界部での途切れが観察されなかったことを示し、×は、10回の繰り返し試験において、5回以上、図8(B)に示すセル毎の境界部での途切れが観察されたことを示す。
【0114】
f.パネル表示面での表示の際の複数色の鮮明さ
パネル表示面での表示の際の複数色の鮮明さは、目視により確認した。色調の鮮明さや色の滲みについて観察した。
【0115】
下記の表4における複数色の鮮明さの評価において、○は、10回の繰り返し試験でも、色調が鮮明で、色の滲みが観察されなかったことを示し、×は、10回の繰り返し試験において、5回以上、色調の不鮮明または色の滲みが観察されたことを示す。
【0116】
【表4】
Figure 0003594511
【0117】
以上の全ての表から理解されるように、本発明の好ましい数値範囲から外れた磁気泳動型カラー表示装置に比較し、本発明の好ましい数値範囲内の磁気泳動型カラー表示装置は、セル毎の境界部(バウンダリー部)での表示切れをなくし、色の滲みがなく、色調が鮮明で、カラー表示画像の解像性を向上させることができる。
【0118】
また、表4に示すように、表面パネルシートおよび背面パネルシートの材質として、PETを用いるか塩化ビニルシートを用いるか以外は、全て同じ条件のパネル試料1とパネル試料16とを比較することで、PETを用いたパネル試料1の方が、パネル白色反射率が向上することが判明した。パネル白色反射率が向上することで、カラー表示におけるコントラストの向上が期待できる。
【0119】
スキージングの効果
次に、スキージングによる効果を確認するために、スキージングを行わない以外は、前記パネル試料1と同様にしてパネル試料17を作製した。パネル試料17には、分散液体の充填に際し、各セル毎の充填バラツキが観察された。
【0120】
パネル試料1とパネル試料17について、複数色の鮮明さ、表示物の解像性、セル毎のバウンダリー部での表示切れ、および画像消去時のパネル白色反射率を試験した結果を表5に示す。
【0121】
【表5】
Figure 0003594511
【0122】
表5に示すように、パネル試料17に比較し、パネル試料1は、消去時の白色度が高く、表示も良好であり、解像性も良いことが確認できた。
【0123】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、透明な表面パネルの凹部に装着してある仕切り部材のセル空間の内部に、磁性粒子を含有する分散液体を注入した後、仕切り部材のセル空間からはみ出た分散液体をスキージングすることで、各セル毎の分散液体の過不足がなくなり、その結果、セル毎の境界部(バウンダリー部)での表示切れをなくし、コントラストの向上を図ることができる。
【0124】
また、本発明では、透明な表面パネルの凹部に装着してある仕切り部材により仕切られたセルの内の選択された特定のセル以外のセルをマスキング部材によりマスキングし、選択された特定のセル内にのみ特定着色磁性粒子を含有する分散液体を注入した後、マスキング部材の上からスキージングを行い、その操作を各着色磁性粒子毎に行うことで、各セル毎の分散液体の過不足がなくなり、その結果、セル毎の境界部(バウンダリー部)での表示切れをなくし、色の滲みを解消し、色調の鮮明さとカラー表示画像の解像性とを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の1実施形態に係る磁気泳動型カラー表示装置の断面図である。
【図2】図2は磁気泳動型カラー表示装置の単位セルに対応する要部拡大断面図である。
【図3】図3は仕切り部材としてのハニカム構造体の斜視図である。
【図4】図4(A)および(B)はハニカム構造体の製造過程を示す概略図である。
【図5】図5は図1に示す磁気泳動型カラー表示装置の製造過程を示す要部断面図である。
【図6】図6(A)〜(D)は図1に示す磁気泳動型カラー表示装置の製造過程を示す要部断面図である。
【図7】図7は図1に示す磁気泳動型カラー表示装置の製造過程を示す要部断面図である。
【図8】図8(A)〜(C)は本発明の実施例における評価の基準を示す概略図である。
【符号の説明】
2… 磁気泳動型カラー表示装置
4… 表面パネルシート
4a… 表示面
6… 背面パネルシート
8… 密封空間
10… ハニカム構造体(仕切り部材)
12a〜12c… 分散液体
14a〜14c… 着色磁性粒子
15… セル空間
16… 記録用磁気ペン(記録用磁気部材)
17… 磁石
18… 消去用磁気アーム(消去用磁気部材)
19… 磁石
20… 磁気表示パネル
30… セル
50a〜50c… マスキングシート
52a〜52c… 着色用開口部
60… スキージング装置
62… ブレード

Claims (11)

  1. 樹脂被覆された紙で構成されたハニカム構造体であって、多数のセル空間が形成してある仕切り部材を形成する工程と、
    内面に凹部が形成してあるポリエチレンテレフタレートから成る透明な表面パネルシートの前記凹部に、前記仕切り部材を装着する工程と、
    前記仕切り部材のセル空間の内部に、磁性粒子を含有する分散液体を注入する工程と、
    前記仕切り部材のセル空間からはみ出た分散液体をスキージングする行程と、
    前記セル空間の内部に充填された分散液体を密封するように、背面パネルシートの外周内面と、表面パネルシートの外周内面とを接合する工程とを有する
    磁気泳動型表示装置の製造方法。
  2. 前記ハニカム構造体を収縮させた状態で提供し、
    収縮してある前記ハニカム構造体を引き延ばして各セル空間を開く工程と、
    開かれたセル空間の状態で、前記ハニカム構造体に固化剤を塗布する工程と、
    固化剤が塗布されたハニカム構造体を、前記表面パネルシートの前記凹部に装着する工程とをさらに有する請求項1に記載の磁気泳動型表示装置の製造方法。
  3. 前記分散液体として、第1着色磁性粒子を含有する第1分散液体と、前記第1着色磁性粒子とは異なる着色が成された第2着色磁性粒子を含有する第2分散液体とを少なくとも準備する行程と、
    前記仕切り部材により仕切られたセルの内の選択された特定のセル以外のセルを第1マスキング部材によりマスキングし、選択された特定のセル内にのみ前記第1分散液体を注入する行程と、
    前記第1マスキング部材の上からスキージングを行う行程と、
    前記第1マスキング部材を取り去り、前記第1分散液体が封入されていないセルの内の選択された特定のセル以外のセルを、第2マスキング部材によりマスキングし、第2マスキング部材によりマスキングされていない選択された特定のセル内にのみ前記第2分散液体を注入する行程と、
    前記第2マスキング部材の上からスキージングを行う行程とをさらに有する請求項1または2に記載の磁気泳動型表示装置の製造方法。
  4. 前記セル空間の厚みを、0.8〜1.5mmに設定することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の磁気泳動型表示装置の製造方法。
  5. 前記磁性粒子として、50〜200μmの平均粒子サイズを持ち、しかも、磁性粒子に対する印加磁界が500(Oe)の時の磁性粒子の磁化が20.0emu/g以上の特性を有する磁性粒子を用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の磁気泳動型表示装置の製造方法。
  6. 前記分散液体として、単一色流体中に着色磁性粒子を分散させた液体を用い、前記単一色流体の粘度が、25°Cにおいて、200〜800cpであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の磁気泳動型表示装置の製造方法。
  7. 前記単一色流体として、白色流体を用いることを特徴とする請求項6に記載の磁気泳動型表示装置の製造方法。
  8. 前記白色流体は、イソパラフィンと、複数の白色調無機系酸化物の混合物とを少なくとも含み、
    前記白色流体の全重量を100重量%とし、前記白色流体中のイソパラフィンの重量%をAとし、白色調無機系酸化物の混合物の重量%をBとした場合に、重量比A/Bが、10≦A/B≦20の関係にあることを特徴とする請求項7に記載の磁気泳動型表示装置の製造方法。
  9. 前記単一色流体が、分散媒と、単一色調顔料とを少なくとも含み、
    前記単一色流体の全重量を100重量%とし、前記単一色流体中の分散媒の重量%をA’とし、前記単一色流体中の単一色調顔料の重量%をB’とした場合に、重量比A’/B’が、10≦A’/B’≦20の関係にあることを特徴とする請求項7に記載の磁気泳動型表示装置の製造方法。
  10. 前記表面パネルシートの外面に沿って記録用磁気部材を配置し、
    前記記録用磁気部材として、当該記録用磁気部材を前記表面パネルシートの外面に接触させた状態で、前記背面パネルシートの外面での磁実効束密度が100〜500Gaussとなる程度の磁力を持つ磁気部材を用いることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の磁気泳動型表示装置の製造方法。
  11. 前記背面パネルシートの外面に消去用磁気部材を配置し、
    前記消去用磁気部材として、当該消去用磁気部材を前記背面パネルシートの外面に配置させた状態で、前記表面パネルシートの外面での磁実効束密度が300〜1500Gaussとなる程度の磁力を持つ磁気部材を用いることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の磁気泳動型表示装置の製造方法。
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