JP3594292B2 - 止水性調節剤およびそれを用いた掘削用泥水安定液 - Google Patents

止水性調節剤およびそれを用いた掘削用泥水安定液 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する持術分野】
本発明は、地盤ボーリング、場所打ち工法、泥水シールド工法、連続地中壁工法などに使用される掘削用泥水安定液およびその廃泥処理に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、石油、天然ガス、土木、鉱山などの掘削の際に用いる掘削用泥水安定液(以下、安定液と略す)は、掘削壁面の崩壊防止、比重調整による泥土および砂礫の運搬等の目的で使用されている。また、安定液は、通常、水−粘土懸濁液を主体とし、目的に応じて、増粘剤、分散解膠剤、保護コロイド剤、逸泥防止剤、止水性向上剤、塩類、界面活性剤、防腐剤、pH調整剤、加重剤等からなり、各掘削条件に合致するように調製した組成物である。
【0003】
一般的に、水−粘土懸濁液にはベントナイトが使用されており、そのベントナイトは、モンモリロナイトを主成分とする代表的な結晶性鉱物の1つであり、通常、正および負の荷電を共有し、比表面積も大きいため、常温で水を吸い込み膨潤するという水和性、水膨潤性が高いことが知られている。よって、掘削後に発生するベントナイトを含んだ水−掘削土砂懸濁液から水を物理的に分離することは非常に難しく、硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウム等の無機系凝集剤、石灰系の粘土改良材、高分子凝集剤等を添加し化学的に処理した後、スクリュ−プレス、フィルタープレス、デカンター等の装置を使用し、物理的に脱水を行わなければならず、廃泥処理は煩雑であった。よって、掘削時には適度な粘性および止水性能を有し、掘削終了時には簡単な手段で水抜けがよい安定液の開発が望まれていた。
【0004】
一方、泥水の耐熱性、耐塩性を改良する方法として、泥水に対し、メタクリル酸10〜55重量%、メタクリル酸メチル10〜80重量%、アクリル酸エチル80〜10重量%からなるアルカリ可溶性三元共重合体をアルカリ存在下で添加する方法(特公平04−61911号公報)が知られている。
【0005】
しかし、この方法は、泥水の耐熱性、耐塩性を改良する手段として、アルカリ下における止水性能のみに着目したものであり、アルカリ可溶性三元共重合体を添加した泥水の各pHにおける泥水性能の挙動、およびその有効利用に関しては何ら記載されていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような従来技術で問題となっている煩雑な廃泥処理を解決するために創案されたものであり、pHによって粘性と止水性能を調節できる安定液を提供し、掘削工事の施工性および廃泥処理にかかる薬品コストを改善するためになされたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、ベントナイト等の粘土、およびまたはシルト、土砂等からなる安定液に対し、掘削作業時には粘性調整作用、および形成した泥壁の止水性能向上作用を併せ持ち、作業終了後には、簡便な操作で粘性調整能、および止水性能を低下させることが可能な添加剤について鋭意検討を重ねた結果、カルボキシル基含有モノマー20〜80重量部、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー10〜70重量部、その他共重合可能なモノマー0〜10重量部を乳化共重合して得られるアルカリ増粘エマルションを安定液に添加することで、上記の性能を満足できることを見い出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
【0008】
即ち、本発明のアルカリ増粘エマルションを安定液に添加すると、アルカリ性領域では粘性を発現し、かつ良好な止水性能を示すが、酸性領域では粘性発現力が低下するだけでなく、止水性能も低下し、廃泥処理しやすい安定液に変化するという特性を利用したものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明に使用されるアルカリ増粘エマルションは、カルボキシル基含有モノマー、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、その他共重合可能なモノマーを重合開始剤、乳化剤および必要により連鎖移動剤、架橋剤等の存在下に、乳化共重合して得られたものである。
また、重合温度は5〜100℃、好ましくは50〜80℃であり、他の条件、方法等は、一般的な重合の条件、方法に従って実施すればよく、例えば、モノマー等の重合系への添加方法については、一括添加法、連続添加法、分割添加法等が挙げられ、これらを採用すればよい。
【0010】
アルカリ増粘エマルションの構成成分であるカルボキシル基含有モノマーを例示するならば、(メタ)アクリル酸、およびクロトン酸、ケイ皮酸、アトロパ酸等のモノカルボン酸系モノマー、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、メサコン酸等のジカルボン酸系モノマーおよびこれらの酸無水物、さらにジカルボン酸モノアルキルエステル系モノマー等が挙げられる。これらの中でアクリル酸、メタクリル酸が好ましく、特にメタクリル酸が好ましい。
【0011】
アルカリ増粘エマルションの構成成分である(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを例示するならば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸イコシル、(メタ)アクリル酸ヘンイコシル、(メタ)アクリル酸ドコシル、(メタ)アクリル酸オクタデセニル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル等が挙げられ、好ましくはアクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチルであり、特に好ましくはアクリル酸エチルである。
【0012】
アルカリ増粘エマルションの構成成分であるその他共重合可能なモノマーを例示するならば、カルボン酸ビニル系モノマー、スチレン系モノマー、ヒドロキシル基含有モノマー、アミド基含有モノマー、シアノ基含有モノマーが挙げられる。カルボン酸ビニル系モノマーとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、吉草酸ビニル、パビリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、オクタン酸ビニル、ノナン酸ビニル、デカン酸ビニル、ウンデカン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、トリデカン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、モノクロロ酢酸ビニル、安息香酸ビニル等が挙げられ、好ましくは酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルである。スチレン系モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン、o−イソプロピルスチレン、m−イソプロピルスチレン、p−イソプロピルスチレン、o−tert−ブチルスチレン、m−tert−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレンが挙げられ、好ましくはスチレンである。ヒドロキシル基含有モノマーとしては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレンモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシブチレンモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシデシレンモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシドデシレンモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシテトラデシレンモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシヘキサデシレンモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシオクタデシレンモノ(メタ)アクリレート、ホ゜リオキシイコシレンモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシトリアコンチレンモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアルコール、グリセリンモノ(メタ)アリルエーテル等が挙げられる。アミド基含有モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−エチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイン酸イミド等が挙げられる。シアノ基含有モノマーとしては、(メタ)アクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エチルアクリロニトリル等が挙げられる。
【0013】
なお、アルカリ増粘エマルションの構成モノマー比は、全構成モノマー100重量部中カルボキシル基含有モノマー20〜80重量部、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー10〜70重量部、その他共重合可能なモノマー0〜10重量部であり、カルボキシル基含有モノマーが20重量部未満だと十分な粘度および止水性能が発揮できず、80重量部を越えた場合は、反応液の粘度が高くなったり凝固物等が発生して重合安定性が不良になるため、好ましくない。本発明において、その他共重合可能なモノマーをアルカリ増粘エマルションの構成成分に加えることで、アルカリ増粘性を向上させる効果があることや、重合安定性が高まること等の理由により、上記範囲内で適宜使用することができる。
【0014】
アルカリ増粘エマルションの製造時に使用可能な重合開始剤としては、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、レドックス系開始剤(過酸化水素−塩化第一鉄、過硫酸アンモニウム−酸性亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸(塩)、ロンガリット等)、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−2−メチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、水溶性アゾ系開始剤等のラジカル供与剤が例示される。また、紫外線、電子線、放射線等による光重合によって、ラジカルを発生させてもよく、この場合、光増感剤等を使用してもよい。
【0015】
アルカリ増粘エマルションの製造時に使用可能な乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン性界面活性剤や脂肪酸石鹸、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸塩等のアニオン性界面活性剤等を挙げることができる。また本発明においては、これらの通常の界面活性剤以外に、反応性界面活性剤と呼ばれるビニル基またはアリル基等の重合性基と、スルホン酸塩基、ポリオキシエチレン基等の親水性基とを併せ持つ化合物も有効に利用することができる。なお、これらの乳化剤は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。乳化剤の添加量は、総モノマー量に対して0.1〜10重量%使用することが好ましい。添加量が0.1重量%未満では重合反応が不良となり目的とするアルカリ増粘エマルションが得られず、また、10重量%を越えると、止水性調節剤として使用するときに泡立ちが激しいため、好ましくない。
【0016】
アルカリ増粘エマルションの製造時に使用可能な連鎖移動剤としては、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ステアリルメルカプタン等のメルカプタン類、テトラエチルチウラニウムスルフィド、ペンタフェニルエタン、ターピノーレン、α−メチルスチレンダイマー等の通常の乳化重合で使用可能なものを、単独もしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。また、使用方法としては、一括添加、分割添加または連続添加のいずれの方法をとっても良い。なお、連鎖移動剤の使用量は、総モノマー量に対して0〜2重量%に設定することが好ましく、より好ましくは0〜0.5重量%である。添加量が2重量%を越えると、アルカリ増粘エマルションが低分子量化するため十分な粘性付与力、および止水能力が得られなくなるため、好ましくない。
【0017】
アルカリ増粘エマルションの製造時に使用可能な架橋剤としては、ラジカル重合性の二重結合を2つ以上持つ化合物であれば、特に限定されないが、あえて例示するならば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ジアリルフマレート、アリル(メタ)アクリレート、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ジビニルベンゼン等が挙げられ、必要に応じて使用できる。
【0018】
その他、pH緩衝剤、キレート剤等を、重合時に使用してもよく、pH緩衝剤としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等が例示でき、キレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロトリ酢酸ナトリウム等が例示できる。
【0019】
本発明において、上記したアルカリ増粘エマルションの添加量は、水−粘土懸濁液100重量部に対し、0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜7重量部である。添加量が0.01重量部未満ではpHを高めてアルカリ側にしても、水−粘土懸濁液に対する増粘効果、および止水性向上作用が見られず、また、10重量部を越えると、アルカリ側における安定液の流動性が低下するため、好ましくない。なお、カルボキシル基含有モノマー20〜80重量部、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー10〜70重量部、その他共重合可能なモノマー0〜10重量部を乳化共重合して得られるアルカリ増粘エマルションであれば、数種配合して使用することもできる。また、本発明における水−粘土懸濁液とは、ベントナイトに代表されるモンモリロナイトを主成分とする水膨潤性の高い粘土、およびまたはシルト、土砂等からなる鉱物を水に分散、懸濁させたものである。
【0020】
さらに、本発明において、水−粘土懸濁液、アルカリ増粘エマルションのほかに、増粘剤、分散剤、防腐剤、pH調整剤、消泡剤等を必要に応じて任意に選定することができる。
【0021】
増粘剤としては、ポリ(メタ)アクリル酸ソーダ、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ソーダまたはその誘導体、ポリアクリルアミドまたはその誘導体、カゼインまたはその誘導体、デンプンまたはその誘導体、グアーガム、ローカストビーンガム、アラビアガム、ザンタンガム等が挙げられる。これらは単独で使用することも、併用して使用することもできる
【0022】
分散剤としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸塩、メタクリル酸塩、フミン酸誘導体、リグニンスルホン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、トリポリリン酸塩等を挙げることができる。
【0023】
防腐剤としては、例えば、無機化合物として、さらし粉、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、有機化合物として、ハロゲン誘導体、二価アルコール誘導体、脂肪族として、スルホン誘導体、シアン誘導体、チオカルバミド誘導体、芳香族として、ジアミン誘導体、イミダール誘導体、イソチアゾール誘導体等を挙げることができる。
【0024】
pH調整剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ソーダ、重炭酸ソーダ、アンモニア、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸などが挙げられる。
【0025】
廃泥処理工程としては、一般的に砂分除去工程、固液分離工程、水処理工程からなる。砂分除去工程では、一般的に使用されるスクリーンや、サイクロン等の装置を用いて砂分を除去する方法が用いられる。固液分離工程では、本発明のアルカリ増粘エマルションを添加した安定液のpHを上記したpH調整剤を用いて、pHを6.0以下、好ましくは5.0以下に調整したもの単独で、または硫酸バンド、硫酸第一鉄、塩化第二鉄、ポリ塩化アルミニウム、塩化コッパラス、アルミン酸ソーダ等の無機系凝集剤、ポリチオ尿素、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、アルギン酸ソーダ等の高分子凝集剤を併用して、化学処理を行った後、スクリュープレス、フィルタープレス、ロールプレス、デカンター等の装置を用いて、固液分離を行うことができる。水処理工程では、従来の方法で、pH調整、SS調整、BOD調整等を行うことができる。
【0026】
【実施例】
以下、本発明の実施の形態を実施例により説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、配合量を示す「部」はすべて「重量部」を示す。
【0027】
[アルカリ増粘エマルション製造例1]
メタクリル酸(以下、MAAと略す)50部、アクリル酸エチル(以下、EAと略す)50部、t−ドデシルメルカプタン0.1部、過硫酸アンモニウム0.2部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2部および水400部を、攪拌装置、還流冷却器、温度計、および窒素導入管を付した反応容器に入れて混合し、窒素雰囲気下にて70℃で7時間攪拌後、30℃まで冷却して共重合体(エマルション▲1▼)を得た。表1に配合組成を示す。
【0028】
[アルカリ増粘エマルション製造例2]
MAA 39部、EA 60部、アクリル酸ヒドロキシエチル1部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2部、t−ドデシルメルカプタン0.1部、水80部を混合して単量体の分散エマルションを作成し、水250部と開始剤として過硫酸アンモニウム0.3部を滴下装置、攪拌装置、環流冷却器、温度計、および窒素導入管を付した反応容器に入れ混合し、窒素雰囲気下にて80℃まで加熱下後、上記分散エマルションを滴下装置から2時間かけて滴下し、この間の温度は80℃に保ち、80℃で3時間攪拌を続けた後、30℃まで冷却して共重合体(エマルション▲2▼)を得た。
【0029】
[アルカリ増粘エマルション製造例3]
MAA 50部、アクリル酸(以下、AAと略す)20部、EA 30部、ペンタフェニルエタン0.1部部、過硫酸カリウム0.2部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2部および水400部を、攪拌装置、還流冷却器、温度計、および窒素導入管を付した反応容器に入れて混合し、窒素雰囲気下にて70℃で7時間撹拝後、30℃まで冷却して共重合体(エマルション▲3▼)を得た。
【0030】
[アルカリ増粘エマルション製造例4]
MAA 25部、EA 60部、アクリル酸ブチル(以下、BAと略す)10部、メタクリルアミド5部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2部、t−ドデシルメルカプタン0.1部、水80部を混合して単量体の分散エマルションを作成し、水250部と開始剤として過硫酸アンモニウム0.3部を滴下装置、攪拌装置、環流冷却器、温度計、および窒素導入管を付した反応容器に入れ混合し、窒素雰囲気下にて80℃まで加熱下後、上記分散エマルションを滴下装置から2時間かけて滴下し、この間の温度は80℃に保ち、80℃で3時間攪拌を続けた後、30℃まで冷却して共重合体(エマルション▲4▼)を得た。
【0031】
[アルカリ増粘エマルション製造例5]
MAA 15部、EA 85部、t−ドデシルメルカプタン0.1部部、過硫酸アンモニウム0.2部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2部および水400部を、攪拌装置、還流冷却器、温度計、および窒素導入管を付した反応容器に入れて混合し、窒素雰囲気下にて70℃で7時間撹拝後、30℃まで冷却して共重合体(エマルション▲5▼)を得た。
【0032】
[アルカリ増粘エマルション製造例6]
MAA 25部、EA 55部、スチレン20部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2部、t−ドデシルメルカプタン0.1部、水80部を混合して単量体の分散エマルションを作成し、水250部と開始剤として過硫酸アンモニウム0.3部を滴下装置、攪拌装置、環流冷却器、温度計、および窒素導入管を付した反応容器に入れ混合し、窒素雰囲気下にて80℃まで加熱下後、上記分散エマルションを滴下装置から2時間かけて滴下し、この間の温度は80℃に保ち、80℃で3時間攪拌を続けた後、30℃まで冷却して共重合体(エマルション▲6▼)を得た。
【0033】
[アルカリ増粘エマルション製造例7]
MAA 85部、EA 15部、t−ドデシルメルカプタン0.1部部、過硫酸アンモニウム0.2部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2部および水400部を、攪拌装置、還流冷却器、温度計、および窒素導入管を付した反応容器に入れて混合し、窒素雰囲気下にて70℃で攪拌中、反応液の粘性が高くなり、さらに攪拌を続けると、凝集物を生じ、安定なエマルションを得ることができなかった。
【0034】
【表1】
Figure 0003594292
【0035】
[安定液調整例1]
清水1000mlに対して、浅間ベントナイト(豊順鉱業製)を50g添加して3000rpmで60分間攪拌後、24時間静置して充分に水和した水−粘土懸濁液を作液し、安定液▲1▼とした。
【0036】
[安定液調整例2]
清水1000mlに対して、浅間ベントナイト(豊順鉱業製)を50g添加して3000rpmで60分間攪拌後、24時間静置して充分に水和した水−粘土懸濁液を作液した。その水−粘土懸濁液にカルボキシメチルセルロースナトリウム塩(TP−30、日本製紙製)0.1%添加し、600rpmで3時間攪拌し、安定液▲2▼とした。
【0037】
[実施例1]
安定液▲1▼100部に対し、エマルション▲1▼ 0.3部を添加し、600rpmで120分攪拌後、まず、pHを1N−水酸化ナトリウム水溶液を用いて、9.0±0.1に調整し、安定液試験(ファンネル粘度、止水性試験)を行った。その後、pHを1N−塩酸を用いて、4.5±0.1に調整し、再度安定液試験(ファンネル粘度、止水性試験)を行った。配合割合及び試験結果を表2に示す。
【0038】
[実施例2〜5]
表2に示す配合割合で、安定液に対しエマルションを添加し、実施例1と同様に調整して安定液試験を行った。結果を表2に示す。
【0039】
[比較例1〜6]
表2に示す配合割合で、安定液に対しエマルションを添加し、実施例1と同様に調整して安定液試験を行った。結果を表2に示す。
【0040】
〔試験法〕
1)安定液試験(ファンネル粘度の測定法)
ファンネル粘度計に安定液500mlを入れて、500ml流れ出す時間(秒)を測定した。2)安定液試験(止水性能の測定法)
安定液200mlをAPI規格による濾過試験器を使用して、室温下30分間、3kg/cmGの加圧を行ったときの濾水量を測定する。即ち、濾水量が少ないほど、止水性能が良好であるといえる。
3)脱液性試験
pH変化による脱液性を調べるために、各pHにおける濾水量を式(1)に代入し、その値から、下記の評価基準に従い、脱液性を評価した。
[ΔFL]= (FL−FL)/(FLB0−FLA0)…式(1)
FL:pH 9.0±0.1における濾水量(ベントナイト水懸濁液+添加剤)
FL:pH 4.5±0.1における濾水量(ベントナイト水懸濁液+添加剤)
FLA0:pH 9.0±0.1における濾水量(ベントナイト水懸濁液のみ)
FLB0:pH 4.5±0.1における濾水量(ベントナイト水懸濁液のみ)
(評価基準)
◎:FL/ FLA0≦0.7 かつ [ΔFL]>1.1、
○:FL/ FLA0≦0.7 かつ 0.9<[ΔFL]≦1.1、
△:FL/ FLA0≦0.7 かつ 0.7<[ΔFL]≦0.9、
×:FL/ FLA0>0.7 または [ΔFL]≦0.7
【0041】
【表2】
Figure 0003594292
【0042】
【発明の効果】
本発明のアルカリ増粘エマルションを安定液に添加することで、粘性調整作用および、止水性向上作用を付与するだけでなく、pHによって、それら性能を調節でき、掘削工事の施工性および廃泥処理にかかる薬品コストを改善することができる。

Claims (4)

  1. カルホ゛キシル基含有モノマー20〜80重量部、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー10〜70重量部、その他の共重合可能なモノマー0〜10重量部からなる前構成モノマー100重量部を連鎖移動剤の存在下に乳化重合して得られ、かつアルカリ領域では泥水に対し止水性能を有し酸性領域では泥水に対し脱液性を示すアルカリ増粘エマルションからなることを特徴とする止水性調節剤。
  2. メタクリル酸および/またはアクリル酸からなるモノマー20〜80重量部とメタアクリル酸エステルおよび/またはアクリル酸エステルからなるモノマー10〜70重量部とで構成される全モノマー100重量部を連鎖移動剤の存在下に乳化重合して得られる請求項1記載のアルカリ増粘エマルションからなる止水性調節剤。
  3. メタクリル酸および/またはアクリル酸からなるモノマー20〜80重量部とメタアクリル酸エステルおよび/またはアクリル酸エステルからなるモノマー10〜70重量部とカルホ゛ン酸ヒ゛ニル系モノマー、スチレン系モノマー、ヒト゛ロキシル基含有モノマー、アミト゛基含有モノマー、シアノ基含有モノマーから選ばれたその他の共重合可能なモノマー10重量部以下とで構成される全モノマー100重量部を連鎖移動剤の存在下に乳化重合して得られる請求項1記載のアルカリ増粘エマルションからなる止水性調節剤。
  4. 水−粘土懸濁液からなる泥水100重量部に対し請求項1から3までのいずれか1項記載の止水性調節剤を0.01〜10重量部添加してなる掘削用泥水安定液であって、そのpHをpH調整剤を用いて 6.0 以下に調整し、泥水の固液分離を行うことができる掘削用泥水安定液。
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