JP3594138B2 - ハロゲンランプ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一対のリード部材と、前記一対のリード部材の間に接合されたフィラメントと、前記一対のリード部材の少なくとも一部と前記フィラメントとを密閉するガラスバルブとを有するハロゲンランプに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、上記のハロゲンランプでは、一対のリード部材とフィラメントとはスポット溶接によって接合されていた。そして、図10に例示するように、従来のハロゲンランプで採用されたスポット溶接では、予めフィラメント52のコイル状の端部を数mmの長さ範囲でリード部材53a,53bの端部に外嵌させることで、リード部材53a,53bとフィラメント52とを予備的に結合し、この外嵌によってリード部材53a,53bとフィラメント52とが互いに重なり合った部位の内でリード部材53a,53bの先端付近を除外する部位で両部材を溶接する必要があった。このため、リード部材53a,53bに外嵌されているだけで溶接されていないフィラメント52の部位(例えば図でxによって示された部位)が点灯時に、リード部材53a,53bに対する接触と離間を短い時間周期で繰り返すために、この部分が断続的に発光する(フリッカー現象)虞があった。因みに、この従来の方法において、リード部材53a,53bとフィラメント52との重複部位の内でリード部材53a,53bの先端付近を除外する部位で両部材を溶接しているのは、リード部材53a,53bから作用する張力や捻り応力が溶接箇所に加わって溶接が外れることを重複部位によって有効に抑制するためである。
上記のフリッカー現象は、特に、写真フィルムの画像データを透過光を受けるCCD等で読み取ってデジタル画像データに変換するスキャニング用の光源としてハロゲンランプを用いる場合は、特にスキャニングが高速で行われる場合、読取データ上のノイズとなって、高精度のスキャニングを阻害する要因となる。
【0003】
また、従来、上記のハロゲンランプの製造方法は、次のような工程で実施されていた。先ず、リード部材53a,53bの脚部の所定箇所(例えば図でy,yによって示された部位)を専用治具などで挟着支持することで、リード部材53a,53bどうしの位置関係を固定し、フィラメント52のコイル状の端部を数mmの範囲でリード部材53a,53bの端部に外嵌させることで、リード部材53a,53bとフィラメント2とを仮止めし、フィラメント52をリード部材53a,53bに溶接する。次に、溶接によって接合されたフィラメント52とリード部材53a,53bの一部を、加熱炉中のガラス筒内に挿入し、ガラス筒の基端部を金型などで両側面から押し潰すことで、ガラスバルブ51の下端を密封する。さらに、ガラス筒内の空気を抜き、ハロゲンガスを封入した状態で、ガラス筒の先端部を閉じる。そして、最後に、このようにして得られたガラスバルブ1のアセンブリーの基端部を金属製などのソケット部20に、フィラメント52がソケット部20に対して出来るだけ好ましい相対位置に配置されるように位置決めし、ソケット部20とガラスバルブ51の基端部の間の空間に耐火セメント22等を充填する。
【0004】
しかし、リード部材53a,53bの脚部の箇所y,yを専用治具で挟着支持していても、上記のガラス筒の基端部を加熱溶融しておいて金属製器具などで両側面から押し潰す操作によって、リード部材53a,53bの先端どうしの相対位置が変化し、ここに接続されているフィラメント52の姿勢や外形が変わってしまい、点灯時の実質的な光の中心位置を予測すること、並びに、ガラスバルブ51のアセンブリーとソケット部20との位置設定操作が困難となり、最終的に十分に高い製品歩留まりが得られないという問題があった。
【0005】
一方、従来のハロゲンランプにおいて、リード部材とフィラメントとの接合に後述するプラズマ溶接を採用することも考えられるが、製造工程に含まれる、リード部材を挟み込みながらガラス筒の基端部を加熱しつつ密閉する操作に際して、リード部材の先端どうしの相対位置が変化し易いため、(リード部材とフィラメントの間に予め仮止め部を設ける等の対策もなく)単にプラズマ溶接したのでは、この密閉操作に際して接合部が外れてしまう可能性が高かったためである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、上に例示した従来技術によるハロゲンランプの持つ前述した欠点に鑑み、フィラメントとリード部材との異常接触によるフリッカー現象が生じ難いハロゲンランプを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係るハロゲンランプは、フィルムスキャナの光源として使用されるハロゲンランプであって、前記フィラメントの端部と、前記一対のリード部材の下端とを熱溶融によって溶接することにより、この溶接位置において前記フィラメントの端部、及び、前記リード部材の下端が突出することのない球状の接合部を形成し、前記一対のリード部材の上部側の脚部どうしを連結固定する不導体からなる支持部材が前記ガラスバルブ内に設けられ、点灯中には、前記フィラメントから蒸発したタングステンが、前記ガラスバルブ内のハロゲンガスと反応してタングステン−ハロゲン化合物を形成し、前記フィラメント付近にて分解されて再び前記フィラメントに戻るハロゲンサイクルが生起され、前記支持部材は、前記化合物の対流領域から外れた位置に配置されていることを特徴構成としている。
【0009】
このような特徴構成を備えているために、フィラメントの端部とリード部材の下端とが熱溶融による溶接によって互いに混合して、溶接位置において球状に接合される。ガラスバルブ内で生じる対流によって、タングステン−ハロゲン化合物或いはタングステンが支持部材に沈着することになり、フィラメントが痩せ細ったり、ガラスバルブ内のハロゲンガスが不足する等の問題が生じ難くなる。
【0010】
さらに、前記フィラメントが小径コイルに成形したタングステン材を更に大径コイル状に成形した形状となる2重コイル状に成形され、前記ガラスバルブが断面形状円形となるチューブ状に成形され、このガラスバルブの中心部に前記フィラメントの大径コイル状部分の中心部を設定しても良い。
【0011】
このように構成することによって、チューブ状に成形されたガラスバルブの中心部においてフィラメントを発光させ、このフィラメントで加熱されたハロゲンガスを対流させることができる。
【0012】
さらに、前記リード部材と前記フィラメントとがプラズマ溶接によって接合されても良い。
【0013】
このような特徴構成を備えているために、前記リード部材と前記フィラメントとのプラズマ溶接による接合が実現された。その結果、前記リード部材と前記フィラメントとは互いの先端どうしで接合され、前記フィラメントのコイル状部を前記リード部材に外嵌させた形態が無くなったので、フィラメントとリード部材との異常接触によるフリッカー現象の生じ難いハロゲンランプが提供された。
【0020】
本発明によるその他の特徴および利点は、以下図面を用いた実施形態の説明により明らかになるであろう。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明によるハロゲンランプ及びハロゲンランプの製造方法の実施形態について、図面を参照しながら解説する。
【0022】
(ハロゲンランプの構成)
図1から図3に示すハロゲンランプHLは、一対の内部リード棒3a,3b(リード部材の一例)と、一対の内部リード棒3a,3bの2つの先端に接合された1本のフィラメント2と、一対の内部リード棒3a,3bの少なくとも一部とフィラメント2とを密閉するガラスバルブ1を有する。フィラメント2は、タングステン製で2重コイル状を呈している。
一対の内部リード棒3a,3bの基端部は、モリブデン箔5,5を介して一対の外部リード棒6a,6bの先端部にプラズマ溶接によって接合されている。他方、外部リード棒6a,6bの基端部は、圧着端子7,7その他の手段によって、可撓性のある被覆電線8a,8bに適宜連結されている。被覆電線8a,8bの基端部は樹脂製のプラグ9に連結されている。
【0023】
尚、ガラスバルブ1の基端部1cは、内部リード棒3a,3bと外部リード棒6a,6bとを接続しているモリブデン箔5,5の全体を包囲する状態で、溶着によって封止されている。ガラスバルブ1の先端部1bもまた、ガラスバルブ1の内部1aにハロゲンガスを封入した状態で、溶着によって封止されている。
このようにして完全に密封されたガラスバルブ1の内部1aに配置された内部リード棒3a,3bの一対の脚部どうしは、ガラス製のロッド10(不導体からなる支持部材の一例)によって一体的に連結固定されている。ロッド10は、少なくとも対向する面が溶融した一対のロッド10a,10bどうしを、内部リード棒3a,3bの脚部に向けて同時に近づけて互いに押付け、内部リード棒3a,3bの脚部を挟み込みつつ一体化させたものである。
【0024】
内部リード棒3a,3bの先端とフィラメント2の両端とは、フィラメント2のコイルを内部リード棒3a,3bの先端に外嵌させた形態を取ることなく、プラズマ溶接によって接合されている。内部リード棒3a,3bとフィラメント2の間には、プラズマ溶接に際して内部リード棒3a,3bとフィラメント2の各成分が同時に熱溶融し、互いに良く混合されることで形成された球状の接合部4a,4bが見られる。
ガラスバルブ1の封止された基端部1cは、アルミニウムダイキャスト製などのソケット20内に充填された耐火セメント22の中に一体的に埋め込まれている。
【0025】
また、点灯中には、フィラメント2から蒸発したタングステンが、ガラスバルブ1内のハロゲンガスと反応してタングステン−ハロゲン化合物を形成し、フィラメント2付近にて高熱で分解されて再びフィラメント2に戻るハロゲンサイクルが生起される。しかし、タングステン−ハロゲン化合物や蒸発したタングステンがガラス製のロッド10に沈着する虞がないように、内部リード棒3a,3bの脚部どうしを連結固定しているガラス製のロッド10は、このタングステン−ハロゲン化合物の対流領域から外れた十分下方の位置に配置されている。
【0026】
(ハロゲンランプの製造方法)
図1から図3のハロゲンランプHLは、一例として、次のような製造方法を介して作製することができる。
〈1〉図4(a)に示すように、既にプラズマ溶接でモリブデン箔5,5を介して一体化された内部リード棒3a,3bと外部リード棒6a,6bとを、治具24A,24Bによって固定する。治具24Aは外部リード棒6a,6bどうしの相対位置と姿勢を固定しており、治具24Bは内部リード棒3a,3bどうしの相対位置と姿勢を固定している。これによって、内部リード棒3a,3bの先端どうしの相対位置と姿勢は略固定される。
〈2〉図4(b)に示すように、内部リード棒3a,3bの脚部どうしを、ガラス製のロッド10によって連結固定する。具体的には、互いに対向する面が十分に溶融した一対のガラスロッド10a,10bを、内部リード棒3a,3bの脚部に向けて両側から同時に近付け、さらに一対のガラスロッド10a,10bどうしを軽く圧接して一体化することによって、リード部材の脚部の一部どうしを、ガラスロッド10に封じ込めつつ連結固定する。これによって、内部リード棒3a,3bの先端どうしの相対位置と姿勢は更に十分に固定される。
【0027】
〈3〉図5(a)に示すように、内部リード棒3a,3bの先端にフィラメント2を接合する。具体的には、フィラメント2のコイルを内部リード棒3a,3bの先端に外嵌させた形態を取ることなく、内部リード棒3a,3bの先端とフィラメント2の各端部とをプラズマ溶接によって接合する。内部リード棒3a,3bとフィラメント2の間には、プラズマ溶接に際して内部リード棒3a,3bとフィラメント2の各成分が同時に熱溶融し、互いに良く混合されることで形成された球状の接合部4a,4bが得られる。
【0028】
〈4〉図5(b)に示すように、内部リード棒3a,3bを支持していた治具24Bを除去し、内部リード棒3a,3bの少なくとも一部とフィラメント2の全体に、両端が開放されたガラス筒1tを外嵌させ、ガラス筒1tの基端部を中心に加熱する。
〈5〉図6(a)に示すように、ガラス筒1tの基端部を、内部リード棒3a,3bと外部リード棒6a,6bとを接続しているモリブデン箔5,5の全体を包囲する状態で、溶着によって封止する。具体的には、ガラス筒1tの溶融軟化した基端部を一対の金型などで両側面から押し潰すことによって封止する。この操作によって封止された、ガラス筒1tの基端部の内部には、モリブデン箔5,5の全体、並びに、内部リード棒3a,3bと外部リード棒6a,6bの一部が密封される。この封止操作は、内部リード棒3a,3bの脚部どうしがガラス製のロッド10によって連結固定された状態で実施されるので、この封止操作用の金型から受ける外力で内部リード棒3a,3bの先端どうしの相対位置や姿勢が変化する虞は少ない。
【0029】
〈6〉基端部のみ封止されたガラス筒1tの内部を必要なレベルの真空状態にした後に、ここにハロゲンガスを導入し、ガラス筒1tの基端部を中心に加熱する。
〈7〉図6(b)に示すように、ガラス筒1tの既に封止された基端部を例えば治具24Bによって把持し直した状態で、ガラス筒1tの先端部を溶着によって封止して、ガラスバルブ1を完成させる。
〈8〉ガラスバルブ1を治具24Bから外し、外部リード棒6a,6bの基端部を、圧着端子7,7その他の結合手段によって、可撓性のある被覆電線8a,8bに連結する(図1と図2を参照)。被覆電線8a,8bの基端部には予め樹脂製のプラグ9を連結しておく。
【0030】
〈9〉ガラスバルブ1の基端部1cがソケット20の内部空間内に挿入され、且つ、フィラメント2の白熱部中心Zがソケット20に対して規定の相対位置に配置された状態を探し、その状態で両部材を固定し(固定には図示されていない適当な治具を用いる)、ソケット20の内部空間とガラスバルブ1の基端部1cの間隙にスラリー状またはペースト状の耐火セメント22を充填し、耐火セメント22を養生硬化させる。これによって、ソケット20内の硬化した耐火セメント22からは被覆電線8a,8bと樹脂製のプラグ9のみが延びた状態が得られるようにすれば良い。
【0031】
因みに、フィラメント2の白熱部中心Zのソケット20に対する相対位置に関しては、少なくとも、主走査方向に延びたライン状CCDに対して写真フィルムを副走査方向にラインスキャンするタイプのフィルムスキャナーの光源としてハロゲンランプHLを用いる場合には、ガラスバルブ1の軸芯(これは内部リード棒3a,3b及び外部リード棒6a,6bの延びる方向と略平行である)から径方向に変移していないことも重要であるが、ガラスバルブ1の軸芯に沿ってソケット20から何ミリ離間した位置にあるか、言い換えれば、図3における上下方向での白熱部中心Zの位置が更に重要である。
【0032】
(ハロゲンランプの使用例)
図7は、銀塩写真デジタルプリンター100の概略ブロック図である。ここに示されたフィルムスキャナー部25の内部に、本発明によるハロゲンランプHLを備えた光源ユニット37が組み込まれている。フィルムスキャナー部25は、照明光学系26、撮像光学系27、CCDセンサーを備えた光電変換部28を備えている。フィルムスキャナー部25で得られたデジタル画像データは、コントローラ29に送られ、デジタルプリント部30によって印画紙Pに画像を焼き付けするために用いられる。コントローラ29には各種処理情報を表示するモニター29aや、各種処理命令を入力するための操作卓29bが接続されている。デジタルプリント部30のエンジンとしては、液晶シャッター方式、CRT方式、蛍光管方式などが知られているが、この実施形態では、液晶シャッター方式を用いたライン露光プリントヘッドが用いられている。デジタルプリント部30によって焼き付けられた印画紙Pは、現像処理部31で現像され、乾燥工程を経て仕上がり駒画像毎にカットされたプリントPsとして排出される。
【0033】
照明光学系26と撮像光学系27の間には、照明光学系26からの照射光の光路上に写真フィルムfを供給するためのフィルム搬送機構32が設けられている。また、ペーパーマガジンPmから印画紙Pを引き出してデジタルプリント部30に供給する印画紙搬送機構33が設けられている。そして、フィルム搬送機構32と印画紙搬送機構33の各操作はコントローラ29によって制御されている。ペーパーマガジンPmから引き出された印画紙Pは現像処理の前または後でカッター(不図示)によってカットされ、一つの駒画像を備えたプリントPsとなる。また、照明光学系26は、光源ユニット37の他に、光源ユニット37からの光ビームの色分布や強度分布を整えるための調光フィルター38とミラートンネル39等を備え、写真フィルムfを照射する。光源ユニット37は、白色光源としてのハロゲンランプHLと、リフレクター36とからなる。図8に示すように、リフレクター36は下向きに開いた椀状の反射面を備えている。リフレクター36には、ハロゲンランプHLのソケット部20が着脱自在に装着される。
【0034】
リフレクター36の中央部には、ハロゲンランプHLのガラスバルブ1(ここではガラスバルブ1の外径は約15〜18mm)を受け入れるための受け入れ凹部44が形成されている。尚、ガラスバルブ1との間に生じる間隙を小さくして、この間隙が照射対象面に影を形成しないように、受け入れ凹部44の内径はガラスバルブ1の外径に近い寸法(例えば約20.5mm)となっている。受け入れ凹部44から径方向外側且つ下向きに延びる反射面を軸芯を貫通する垂直面で切った断面形状は、概して楕円の一部で構成されるが、ハロゲンランプHLの白熱部中心Zと一致するレベルには、垂直に延びる環状の移行面48が形成されている。
尚、ハロゲンランプHLの製造方法に関して前述したように、ガラスバルブ1の基端部1cを耐火セメント22によってソケット20に固定する再には、フィラメント2の白熱部中心Zがソケット20に対して規定の相対位置に配置されるように配慮されているので、移行面48とハロゲンランプHLの白熱部中心Zとはレベルが自ずから一致することになる。
【0035】
この移行面48からは複数(全周で合計24個)の排気用貫通孔48a,48a,...が径方向外側に向かって水平に延びている。排気用貫通孔48aの内径は約2〜3mmであり、長さは約7〜8mmである。その結果、反射面は、受け入れ凹部44から排気用貫通孔48aから径方向内側に受け入れ凹部44まで延びる第1反射面46と、排気用貫通孔48aから径方向外側に外縁部52まで延びる第2反射面50とで構成されることになる。そして、反射面46,50には、排気用貫通孔48aによって照射対象面に形成される低照度領域を照射する補償手段が設けられている。この実施形態では、補償手段を実現するために、前記反射面の径方向の内側から外側に向かって、排気用貫通孔48aを境に白熱部中心Zに対する傾斜角が変化するように構成されている。さらに具体的には、第1反射面46を構成する第1楕円の短軸/長軸比(R1)は、第2反射面50を構成する第2楕円の短軸/長軸比(R2)よりも大きく設定されている。R1とR2の比は、リフレクター36から照射対象面までの距離に応じて設定すれば良い。
【0036】
この補償手段の作用によって、第1反射面46が照射対象面に形成する第1照射領域と第2反射面50が照射対象面に形成する第2照射領域とは、間断ない状態で隣接するので、結果的に、仮に補償手段が無ければ排気用貫通孔48aが形成する筈の影の部分(低照度領域)が補足的に照射されてこの影が作られず、より照度の均一な照射面が得られる。尚、ハロゲンランプHLの白熱部中心Zは、第1反射面46を構成する楕円の焦点と第2反射面50を構成する第2楕円の焦点の双方にほぼ一致している。
従って、ハロゲンランプHLの白熱部中心Zがソケット部20に対して図3及び図8の上下方向に大きく規定の位置から変移していれば、照度が径方向に関して不均一となり、結果的に、CCDの主走査方向での中心部と両端部の間で光量に違いが生じて、高精度の画像データが得られないなどの支障が生じる虞がある。
【0037】
排気用貫通孔48aは、ハロゲンランプHLからの発熱を気流の流れによってリフレクター36の外部に逃がす放熱手段としての役割を果たすが、リフレクター36には、もう一つの放熱手段として、リフレクターヒートシンク部が設けられている。リフレクターヒートシンク部は、反射面から反対側に水平に延びた複数の第1放熱フィン54,54,...からなる。リフレクター36は、アルミニウム合金でできており、ダイキャスト法と研磨仕上げで高精度に成形され、反射面46,50には特に平面度の高い研磨やメッキ等によって必要な鏡面が与えられている。
図1と図9に示すようにソケット部20の背面部には、ランプヒートシンク部が一体的に形成されている。ランプヒートシンク部は、垂直に延びた複数の第2放熱フィン78,78,...からなる。
【0038】
ソケット部20の下端付近には、大径の第1フランジ部76と第1フランジ部76から更に下方に突出した小径の第2フランジ部77が形成されている。そして、リフレクター36に設けられた環状の受け入れ凹部58(水平に延びた上向き面58aと垂直に延びた環状の内周面58bとからなる)が、ソケット部20の第2フランジ部77の水平な下面の最外径部77aおよび垂直に延びた環状の周面77bとを密着状態で受け入れる構成になっている。この構成によって、ハロゲンランプHLのソケット部20は常にリフレクター36に対して所定の相対位置と姿勢を獲得した状態で支持されることになる。
【0039】
また、この構成によって、リフレクター36とソケット部20の間には、これらの水平な面および周面とを介した面接触(水平な下面の最外径部77aと上向き面58aの間の面接触、および、外周面77bと内周面58bの間の面接触)による熱伝達機構が実現される。したがって、ハロゲンランプHL自身の有する熱は、第2放熱フィン78,78,...からリフレクター36外に逃げることができる一方、前記熱伝達機構を介して、一旦リフレクター36に伝達された後に、第1放熱フィン54,54,...を介してリフレクター36外に逃げる放熱経路も有する。同様に、リフレクター36の熱も、排気用貫通孔48aおよび第1放熱フィン54,54,...からの放熱の他に、前記熱伝達機構を介して、一旦ソケット部20に伝達された後に、ソケット部20の第2放熱フィン78,78,...からリフレクター36外に逃げる放熱経路をも有する。
【0040】
尚、リフレクター36の最上部には、ソケット部20を上向き面58aに押し付けた状態で着脱可能に固定するための一対の取付ピン60が設けられている。取付ピン60は、ステンレススチール製の板状部材などの弾性材料で構成すれば良い。ガラスバルブ1を受け入れ凹部44内に挿入し、ソケット部20の第2フランジ部77をリフレクター36の受け入れ凹部58に嵌合させた後で、ソケット部20を受け入れ凹部58に押付けながら時計周りに10°前後回動させれば、ソケット部20はリフレクター36に対して固定される。
【0041】
〔別実施形態〕
<1>上述の実施形態では、ハロゲンランプHLの製造方法に関する記載として、内部リード棒3a,3bの脚部どうしを、ガラス製のロッド10によって連結固定する工程の後で、内部リード棒3a,3bの先端にフィラメント2を接合する手順を示した。しかし、逆に、治具に固定された内部リード棒3a,3bの先端にフィラメント2を接合する工程の後で、内部リード棒3a,3bの脚部どうしを、ガラス製のロッド10によって連結固定する手法を採用しても良い。
【0042】
<2>上述の実施形態では、銀塩写真デジタルプリンター100のフィルムスキャナー部25における光源ユニット37内部に、本発明によるハロゲンランプHLを用いた例を示した。しかし、銀塩写真デジタルプリンター100のデジタルプリント部30に液晶シャッター方式の露光エンジンを採用した場合などには、本発明によるハロゲンランプHLを、露光エンジン用の光源として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるハロゲンランプの斜視図
【図2】図1のハロゲンランプの一部破断正面図
【図3】図2のハロゲンランプの部分拡大図
【図4】本発明によるハロゲンランプの製造工程の一部を示す斜視図
【図5】本発明によるハロゲンランプの製造工程の一部を示す斜視図
【図6】本発明によるハロゲンランプの製造工程の一部を示す斜視図
【図7】本発明によるハロゲンランプを用いた銀塩写真デジタルプリンターの主な構成を示すブロック図
【図8】図7の銀塩写真デジタルプリンターの光源ユニットを示す一部破断正面図
【図9】図7の銀塩写真デジタルプリンターの光源ユニットを示す斜視図
【図10】従来のハロゲンランプの部分拡大図
【符号の説明】
1 ガラスバルブ
2 フィラメント
3 内部リード棒(リード部材)
4 接合部
5 モリブデン箔
6 外部リード棒(リード部材)
10 ロッド(支持部材)
20 ソケット
22 耐火セメント
HL ハロゲンランプ
Claims (3)
- 一対のリード部材と、前記一対のリード部材の間に接合されたフィラメントと、前記一対のリード部材の少なくとも一部と前記フィラメントとを密閉するガラスバルブとを有すると共に、フィルムスキャナの光源として使用されるハロゲンランプであって、
前記フィラメントの端部と、前記一対のリード部材の下端とを熱溶融によって溶接することにより、この溶接位置において前記フィラメントの端部、及び、前記リード部材の下端が突出することのない球状の接合部を形成し、前記一対のリード部材の上部側の脚部どうしを連結固定する不導体からなる支持部材が前記ガラスバルブ内に設けられ、点灯中には、前記フィラメントから蒸発したタングステンが、前記ガラスバルブ内のハロゲンガスと反応してタングステン−ハロゲン化合物を形成し、前記フィラメント付近にて分解されて再び前記フィラメントに戻るハロゲンサイクルが生起され、前記支持部材は、前記化合物の対流領域から外れた位置に配置されているハロゲンランプ。 - 前記フィラメントが小径コイルに成形したタングステン材を更に大径コイル状に成形した形状となる2重コイル状に成形され、前記ガラスバルブが断面形状円形となるチューブ状に成形され、このガラスバルブの中心部に前記フィラメントの大径コイル状部分の中心部を設定している請求項1記載のハロゲンランプ。
- 前記リード部材と前記フィラメントとがプラズマ溶接によって接合されている請求項1又は2記載のハロゲンランプ。
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