JP3593795B2 - プリンタの紙送り装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリンタの紙送り装置に関する。詳しくは、被記録媒体を紙送りローラとピンチローラで押圧狭持し、紙送りローラの回転により、被記録媒体の搬送を行うプリンタの紙送り装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、プリンタなどの記録装置においては、円筒状のゴム製弾性材の紙送りローラを用い、ピンチローラにより被記録媒体を押圧し、被記録媒体を紙送りローラに押しつける事により、紙送りローラのゴムと被記録媒体の摩擦力により被記録媒体の搬送を行っていた。しかし、近年、プリンタの高解像度化、画像情報の出力、また、DTP(デスクトップパブリッシング)の普及に伴い、被記録媒体の紙送り量の高精度化が要求されるようになってきた。
【0003】
ゴム製弾性材で紙送りローラを構成した場合、加工時のゴムの変形により外径精度を得にくいこと、温度での外形寸法変化が大きいこと、また、ピンチローラの圧力により変形してしまうこと等の外径を変形させる要因が多々あり、要求される紙送り精度が得にくいという欠点があった。そこで、例えば、特開昭60−141575に開示されているように、アルミニウム等の表面をブラスト処理してなる紙送りローラや、特開昭60−258050に開示されているように剛性がある円筒部材の表面にセラミックスを溶射した紙送りローラ、また、特開平2−169432に開示されているように、弾性材料の薄膜を被覆してなる紙送りローラが提案されている。
【0004】
これらの紙送りローラは、いずれも、円筒部材を剛性のある部材で構成しているので、加工時の変形が少なく、また、温度による外径変化も少なく、さらに円筒部材が高剛性の材料で作成されているため、ピンチローラの圧力により変形する事もなく、高精度の紙送り装置を提供可能である。前述の従来例の構成を図6、図7により詳しく説明する。
【0005】
図6は、従来例の横断面図であり、図7は、その従来例の平面図である。101は高剛性かつ、高摩擦係数の紙送りローラ、102は紙送りローラ101に対向して設けられたピンチローラである。紙送りローラ101の一端には、同軸に紙送り歯車(図示せず)が固着されており、輪列(図示せず)により駆動源である紙送りモータに連結している。ピンチローラ102は、ピンチローラホルダ103に回転可能に保持されている。
【0006】
ピンチローラホルダ103は回転可能にフレーム104に回転軸120で保持されている。また、ピンチローラホルダ103のピンチローラ102の保持部の他端には、付勢部材であるピンチローラバネ105を掛けるためのフックが設けられている。ピンチローラバネ105は、一端がピンチローラホルダ103に、他端がフレーム104に掛けられており、回転軸120を支点として、ピンチローラ102が、紙送りローラ101に押圧するようなテコを構成している。
【0007】
ピンチローラバネ105の力は、ピンチローラホルダ103を介して、ピンチローラ102に伝わる。被記録媒体である記録紙106は、ピンチローラ102と、紙送りローラ101に挟まれ、ピンチローラ102により、紙送りローラ101に押圧されている。この状態で紙送りモータを回転させると、輪列、紙送り歯車と順次回転し、紙送り歯車に固着された紙送りローラ101も回転する。記録紙106は、紙送りローラ101に押圧されているため、紙送りローラ101と、記録紙107の摩擦力により紙送りがなされる。
【0008】
ピンチローラ102が回転するのは、ピンチローラ102による負荷を下げる為である。111は、記録紙106の上面をガイドする紙案内上、112は、記録紙106の下面をガイドする紙案内下であり、記録紙106は、紙案内上111と、紙案内下112の間をガイドされながら通過していく。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このように構成された従来技術では、以下のような課題があった。
【0010】
図8は、従来例の紙送りローラ101と、ピンチローラ102の接触状態を示す上面図である。紙送りローラ101と、ピンチローラ102の平行度は、紙送りローラ101の軸線BAと、回転軸120の軸線BCの平行度、及び、回転軸120の軸線BCと、ピンチローラ102の軸線BBの平行度で決定される。従来、ゴム製弾性材の紙送りローラ101を用いてた場合、紙送りローラ101とピンチローラ102の平行度がずれた場合でも、ゴム製弾性材の変形により紙送りローラ101とピンチローラ102が均一にあたる事が可能であった。
【0011】
しかし、紙送り精度を高めるため、高剛性の紙送りローラにした場合、平行度がずれると、部分的にしか紙送りローラ101とピンチローラ102が接触しなくなる。この様に部分的にしか接触しなくなると、記録紙の斜行、しわの発生、破れの原因となり、また、ピンチローラや紙送りローラの異常摩耗の原因となり、紙送り精度を低下させ、また、信頼性を低下させてしまう。
【0012】
また、従来例の構成で、紙送りローラの軸線とピンチローラの軸線の平行度を保つためには、各部品の精度を上げる必要があるが、実際には、部品公差を考えると現実的ではない。また、軸線の平行度を調整する方法等も考えられるが、部品数の増加、調整工程の追加、確認等により生産性が低下し望ましいことではない。また、回転軸102をフレーム104の穴、ピンチローラホルダ103の穴に通し固定するため、組立工程が多く、組立時間を長くし、生産性に劣る。
【0013】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、紙送りが高精度で信頼性の高い、また、容易に組立可能な生産性に優れたプリンタの紙送り装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明におけるプリンタの紙送り装置は、被記録媒体を紙送りローラとピンチローラとにより狭持して搬送するプリンタの紙送り装置であって、ピンチローラを回転可能に保持するピンチローラホルダと、ピンチローラホルダを介してピンチローラを紙送りローラへ押圧するための付勢手段とを有し、ピンチローラは、紙送りローラを圧接する圧接部が両端に配置され、ピンチローラホルダは、ピンチローラを紙送りローラの略回転中心軸方向に回動可能とする回動支点部であって、ピンチローラを支持する支持部と付勢手段が係合する係合部との間に溝状に形成された回動支点部を有し、ピンチローラの回転中心軸は、紙送りローラの回転に応じて、紙送りローラの回転中心軸と略平行になるように調芯されることを特徴とする。
【0015】
上記構成によれば、紙送りローラとピンチローラの回転中心軸を平行に調芯するので、被記録媒体は一様に押圧されて搬送されるので直進性がよく、記録紙の斜行やしわの発生や破れは発生しない搬送品質が向上した紙送り装置を提供することが可能となる。また、ピンチローラや紙送りローラの異常摩耗も発生しないものとなる。
【0017】
また、ピンチローラは、紙送りローラを圧接する圧接部が回動支点部の両側に配置されているから、紙送りによる発生するモーメントは互いに反対方向となり、バランスがとれるまでピンチローラは均一な接触が得られるように回動されて調芯される。
【0019】
更に、ピンチローラホルダの回動支点部が溝形状であるため、ピンチローラホルダの取付が容易に行え、生産性が向上するという効果がある。
【0020】
この場合において、ピンチローラホルダは、紙送りローラの回転中心軸方向への回動が所定量以下となるように規制する規制部を有していることを特徴とする。
【0021】
この場合、ピンチローラホルダの位置が安定するので、その位置決めが容易に行え、組立性の向上が図れるとともに、組立ミスによる調心の不具合を起こすことがなくなり、信頼性が向上するという効果がある。
【0022】
更にまた、プリンタの紙送り装置は、ピンチローラホルダの溝部が配置された側とは反対側にピンチローラホルダとは隙間もって配置された被記録媒体の搬送経路を形成する紙ガイド部材を有し、ピンチローラホルダの溝部は、隙間よりも深いことを特徴とする。
【0023】
この場合、ピンチローラホルダが支持部材から離れるように外力が作用したとしても、紙ガイド部材と当接して移動が規制されるが、その移動量が溝深さよりも少ないからピンチローラホルダと支持部材とは係合が外れることなく定位置に保持されるので、振動や衝撃に強く信頼性の高いプリンタの紙送り装置を提供できるという効果がある。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を用いて本発明を詳細に説明する。図1は本発明によるプリンタの紙送り装置の一実施形態によるプリンタの斜視図であり、図2は紙送り部の上面図、図3は、紙送り部の断面図、図4は、紙送り部の正面図である。以下、図面をもとに説明する。
【0025】
1は紙送りローラ、2はピンチローラ、3はピンチローラホルダ、4はフレーム、5はピンチローラバネ、6は記録紙である。
【0026】
紙送りローラ1は、金属のスリーブにアルミナ、チタニア等のセラミックをプラズマ溶射してつくられている。金属スリーブには、ステンレス、ブラス、アルミニウム等が用いられる。溶射された金属スリーブの外周の表面粗さは、Rmax30μmからRmax100μm程度の表面粗さになっており、記録紙に表面の凸凹が喰い付く事により紙送りが可能となる。セラミックを溶射することにより、耐久性の高い紙送りローラが得られる。また、スリーブは金属を加工するため、加工時の変形を押さえる事が可能となり、高い外形精度を得られる。さらに、金属スリーブで作成されているため、ピンチローラ2の圧力で変形することもなく、また、記録紙の負荷による変形もないため、紙送りローラ1の回転角に従った高い精度の紙送りが可能となる。セラミックを溶射された紙送りローラ1は、紙送り軸7に固着される。固着方法としては、接着、圧入等が信頼性が高く望ましい。この他に、金属軸を切削加工し、紙送りローラ部を作成した後溶射する方法も考えられるが、切削加工時間が長くなり生産性に劣る、また、回転軸受部に溶射されないようマスキングが必要になり、生産性に劣る、さらに、溶射時に高温がかかるため、大きな部材の場合、熱による歪が生じ精度劣化を招く、等の問題があり、望ましくない。また、高摩擦係数の被膜を塗装等により形成する方法や、ブラスト処理を行う等の方法もある。
【0027】
この様にして、構成された紙送りローラ軸7は、両端を回転可能に支持され、また、一端には紙送り歯車8が固着されている。紙送り歯車8は、輪列9を介して紙送りモータ10に連結され、紙送りモータ10を回転させる事により、紙送りローラ1も回転する。紙送りモータ10から、紙送り歯車8までは、必要により減速されており、紙送りモータ10の回転角を制御する事により、紙送り歯車8、つまり、紙送りローラ1の回転角が制御可能なように構成されている。紙送りモータ10は、紙送り量を適切に制御するために、ステップモータを使用している。
【0028】
次に、ピンチローラ2は、記録紙を介して、紙送りローラ1を押圧する円筒形状の押圧部2aと、押圧部2aの中央に位置し押圧部2aより径の小さい溝部2bと、押圧部2aの両側に位置し、押圧部2aと同軸であり、かつ、外径の小さい回転軸部2cとで構成されており、左右対称の形状をしている。
【0029】
ピンチローラホルダ3は、ピンチローラ保持部3eとピンチローラバネ3を掛け、テコの力点となるフック部3aと、フレーム4に支持されテコの支点となる支点部3bと、支点部3bの両側に位置しフレーム4と当接して左右方向の回転を規制する当接部3dと、当接部3dに対してフック部3aの逆側に設けられ、テコの作用点でもあり、更には、ピンチローラ2を保持するピンチローラ保持部3eとを備えている。
【0030】
図3の断面図に示すようにピンチローラホルダ3は、支点部3bを支点として矢印C方向に対し回動可能なように、溝がフレーム4の当接部から放射状に板厚より広くなるように形成されている。また、図4の正面図に示すように、支点部3bは、フレーム4の端面に対し、山型形状をしており、矢印A方向の紙送りローラ1の軸線方向である左右方向に対し回動可能になっている。
【0031】
さらに、図2の上面図に示すように、支点部3bは、溝の形状が、中央部では略板厚にその両側はフレーム4の板厚より広く形成されており、これにより、矢印B方向である紙送りローラ1の円周方向にも回動可能に構成されている。当接部3dは、ピンチローラ3の紙送りローラ1の軸線方向(矢印A方向)への回動の妨げをしないようにフレーム4の端面とは所定の隙間を形成して両端に設定され、且つ、紙送りローラ1の円周方向(矢印B方向)への回動の妨げにならないよう板厚より広く形成されている。
【0032】
当接部3dの位置、支点部3bの山型形状、放射状形状は、紙送りローラ1の軸線、ピンチローラ2の軸線の平行度により設定される。支点部3b、フック部3aは、紙送りローラ1の軸線方向に対し、ピンチローラホルダ3の中心になる位置に設けられている。また、ピンチローラ2の回転軸部2cを回転可能に保持するピンチローラ保持部3eは、フック部3aと当接している支点部3bを結ぶ線の延長上に対し対称に設けられている。
【0033】
2個のピンチローラ保持部3eと回転軸部2cは、スナップフィットに取り付けられる形状をしており、ピンチローラ2は、ピンチローラ2の両側に設けられた回転軸部2cを回転可能に、かつ、通常は外れる事無く保持されている。ピンチローラホルダ2の支点部3b、当接部3dは、フレーム4側が解放されているため、組立時は、フレーム4の支持部4bに対し、簡単に取付可能である。また、2個の当接部3dと、支点部3bの溝を、フレーム4に合わせるだけで位置決めが容易に行え、誤って組立する事がない。
【0034】
当接部3dがないとすると、紙送りローラ1に対してピンチローラ2が円周方向にまたがって取り付く場合が発生し、ピンチローラ2のモーメントが生じなくはなはだ不都合である。しかし、本実施の形態では、ピンチローラホルダ3に当接部3dを設けるあるので、ピンチローラホルダ2の位置決めが容易に行え、誤って組立を防ぐことが可能となるものである。
【0035】
フレーム4は、印字ヘッド(図示せず)を搭載するキャリッジ16を駆動するためのキャリッジモータ13を保持し、また、駆動ベルト17の張力を与え、無限軌道の片側の折り返し点となる従動プーリー15を保持しており、さらに、ピンチローラホルダ3の支点部3bを受ける端面4b、ピンチローラバネ5のピンチローラホルダ3と逆側を保持するフック部4aが設けられている。
【0036】
ピンチローラホルダ3の支点部3bを受ける支持部4bは、フレーム4の端面に形成されており、凹形状をしている。支持部4bの凹形状の幅は、ほぼピンチローラホルダ3の支点部3bの幅と等しく、かつ、若干の隙間を有し、ピンチローラホルダ3の調心による回動を妨げないように、また、ピンチローラホルダ3が所定の位置に取り付けられその位置がずれないように形成されている。フック部4aは、紙送りローラ1、ピンチローラ2の軸線方向に対し垂直かつ、軸線の中心を通る面内に設けれている。
【0037】
ピンチローラバネ5は、引っ張りコイルバネであり、ピンチローラホルダ3のフック部3aをフレーム4のフック部4a側に引っ張り、ピンチローラ2を記録紙6を介して紙送りローラ1に付勢する。前述の通り、フレーム4のフック部4aは、紙送りローラ1、ピンチローラ2の軸線方向に対し垂直かつ軸線の中心を通る面内に設けれており、また、ピンチローラホルダ3のフック部3aも同一面内にある。このため、ピンチローラバネ5は、ピンチローラ2に対し、軸線方向に均等に付勢する事が可能となる。
【0038】
ピンチローラ2を紙送りローラ1に均等に付勢するためには、前述の方法の他に、紙送りローラ1、ピンチローラ2の軸線に対し垂直かつ中心を通る面に対称に複数のピンチローラバネ5、フレーム4のフック部4a、ピンチローラホルダ3のフック部3aの対を設けることも可能であるが、部品数が増える、左右のピンチローラバネ5のバネ力がばらつく等の弊害があるため、本実施形態のように、紙送りローラ1、ピンチローラ2の軸線に対し垂直かつ中心を通る面に、ピンチローラバネ5、フレーム4のフック部4a、ピンチローラホルダ3のフック部3aを設けることが望ましい。
【0039】
尚、本一実施形態においては、前述の紙送りローラ1、ピンチローラ2、ピンチローラホルダ3、ピンチローラバネ5、及び、フレーム4のフック部4bにより構成される紙送り部を、記録紙6の平面方向に2組装備している。記録紙6の斜行を避けるために、記録紙6に対し、均等に紙送り力が加わるように設置する事が望ましく、その目的が達成されれば、上述の紙送りローラ1、ピンチローラ2、ピンチローラホルダ3、ピンチローラバネ5、及び、フレーム4のフック部4bにより構成される紙送り部は、1組でも良く、また、3組以上装備していてもかまわない。
【0040】
11は、記録紙6の上面をガイドする紙案内上、12は、記録紙6の下面をガイドする紙案内下であり、記録紙6の挿入時、紙送りローラ1、ピンチローラ2への送り込み、印字ヘッド(図示せず)への案内、排出位置までのガイドを確実に行うために設けられている。
【0041】
組立手順としては、紙送りローラ1、紙送り歯車8が組み込まれた紙送り軸7をプリンタに組み立て、その後、紙案内下12、紙案内上11の順番でプリンタに組み立てる。ピンチローラ2を、ピンチローラホルダ3に組み込む。次に、フレーム4の支持部4bに、ピンチローラ3の支点部3bを合わせ、また、当接部3dでフレーム4を挟み込むがごとく位置決めする。次に、ピンチローラバネ5を、ピンチローラホルダ3のフック部3a、フレーム4のフック部4bに引っかける。
【0042】
ピンチローラホルダ3は、支点部3bとフレーム4bが係合するよう上方に引っ張られるが、支点部が深い溝形状であるため、所定以上は回転されなく、フレーム4に通常状態では外れることなく保持される。この様に、ピンチローラホルダ3の支点部、当接部3dが、上方に解放されているため、容易に組立可能である。
【0043】
次に、ピンチローラホルダ3が組み立てられたフレーム4を紙案内上12の上方より組み立てる。このとき、ピンチローラホルダ3の下面部3cと、紙案内上11の隙間を、ピンチローラホルダ3が回動可能でかつ、ピンチローラホルダ3の支点部3bの溝高さより小さく設定することにより、フレーム4をプリンタに組み込んだ後は、ピンチローラホルダ3の支点部3bが、フレーム4の支持部4bより外れることが無くなり、例えピンチローラホルダ3に下方の力が加わったとしても、紙案内上11がストッパーとして機能しピンチローラホルダ3が欠落するということが無くなり信頼性が向上する。
【0044】
この様に構成された紙送り装置は、図5のように紙送りローラ1の軸線AAと、ピンチローラ2の軸線ABがずれて組み立てられると、ピンチローラ2の押圧部2aの片側のみが紙送りローラ1に圧接した状態になる。つまり、図の下側の押圧部2aのみが、紙送りローラ1と圧接した状態になり、ピンチローラ2の押圧部2aは、均一な力で紙送りローラ1を付勢することができない。
【0045】
この状態から紙送りローラ1が回転すると、片当たりしているピンチローラ2の押圧部2aには、矢印D方向の力が働く。矢印D方向の力は、ピンチローラホルダ3の支点部3bに対し偏向して働くため、支点部3bを中心にして、矢印E方向のモーメントが発生する。ピンチローラホルダ3の支点部3bは、回動可能に構成されているため、矢印E方向のモーメントにより、ピンチローラホルダ3が支点部3bを中心に矢印E方向に回転する。
【0046】
そして、反対側の押圧部3aが紙送りローラ1に圧接し、支点部3bを中心とするモーメントが釣り合った時点、つまり、2個の押圧部2aに加わる力が均等になった時点で回転がとまる。また、ピンチローラ2は軸線方向で対称形状をしているため、均等に紙送りローラ1に圧接可能になる。
【0047】
この様に、ピンチローラ1の軸線AAと、ピンチローラ3の軸線ABが平行でない場合でも、紙送りローラ1が回転することにより、自動的に調心され、均一な送り力を得ることが可能となる。また、当然のことながら、軸線のズレが、図5と反対になった場合も、上述の動作の逆をたどり、ピンチローラ2の2個の押圧部2aは、均等な力で紙送りローラ1に圧接する。
【0048】
ここで、ピンチローラ2の中心に押圧部2aより径の小さい溝部2bを設けるのは、調心するためのモーメントを増大させるためであり、溝部2bがなくても、同様に調心することは可能である。但し、部品製作上、押圧部2aの円筒度の制限があるため、片当たりの発生を防止するためにも溝部2bを設けることが望ましい。当然のことながら、溝部2bは、押圧部2aの外径より小さければ良く、円形である必要はない。
【0049】
次に、印字機構の構成を説明する。印字ヘッド(図示せず)を搭載したキャリッジ16は、紙送り軸1と平行に設けられたガイド軸18に、ガイド軸18の軸線方向に摺動可能に取り付けられている。また、フレーム4に取り付けられたキャリッジモータ13には、駆動プーリー17が同軸に固着されている。キャリッジ14の摺動方向に対し、駆動プーリー14の逆側には、従動プーリー15があり、駆動プーリー14、従動プーリー15には、所定の張力を与えられた駆動ベルト17が巻掛けられている。キャリッジ16に駆動ベルト14の一方が固定されており、キャリッジモータ13を、正逆回転する事により、キャリッジ16がガイド軸18に添って往復移動を行う。駆動ベルト17は、駆動プーリー14と滑りが生じないよう歯付きベルトが通常使用される。また、キャリッジモータ13は、キャリッジ16の位置の制御、すなわち印字位置の制御を行うため、ステップモータであるとか、エンコーダ付きのサーボモータ等が使用される。印字は、キャリッジ16が移動している際に、ステップモータの場合は、相切換タイミングに同期して、また、エンコーダ付きサーボモータの場合は、エンコーダの出力信号に同期して、印字ヘッド(図示せず)を駆動することにより行われる。キャリッジ16の移動、および、印字ヘッドの駆動、その後、紙送りモータ10を回転させ、紙送りローラ1と、ピンチローラ2とに押圧狭持された記録紙6を紙送りし、この繰り返しにより、記録紙6に印字がされ、文書、画像等が記録されていく。尚、本実施形態では、印字ヘッドを移動し記録を行う、いわゆるシリアルプリンタで説明したが、印字ヘッドを固定し記録を行う、いわゆるラインプリンタで実施しても同様の効果を得られる。
【0050】
【発明の効果】
以上述べたように本発明におけるプリンタの紙送り装置は、被記録媒体を紙送りローラとピンチローラとにより狭持して搬送するプリンタの紙送り装置であって、ピンチローラを回転可能に保持するピンチローラホルダと、ピンチローラホルダを介してピンチローラを紙送りローラへ押圧するための付勢手段とを有し、ピンチローラは、紙送りローラを圧接する圧接部が両端に配置され、ピンチローラホルダは、ピンチローラを紙送りローラの略回転中心軸方向に回動可能とする回動支点部であって、ピンチローラを支持する支持部と付勢手段が係合する係合部との間に溝状に形成された回動支点部を有し、ピンチローラの回転中心軸は、紙送りローラの回転に応じて、紙送りローラの回転中心軸と略平行になるように調芯されるので、被記録媒体は一様に押圧されて搬送されるので直進性がよく、記録紙の斜行やしわの発生や破れは発生しない搬送品質が向上した紙送り装置を提供することが可能となる。また、ピンチローラや紙送りローラの異常摩耗も発生しないものとなる。
【0051】
また、ピンチローラは、紙送りローラを圧接する圧接部が回動支点部の両側に配置されているから、紙送りによる発生するモーメントは互いに反対方向となり、バランスがとれるまでピンチローラは均一な接触が得られるように回動されて調芯される。
【0052】
更に、ピンチローラホルダは、ピンチローラを支持する支持部と付勢手段が係合する係合部との間に溝状に形成された回動支点部を備えているため、支持部材に対しピンチローラホルダの取付が容易に行え、生産性が向上するという効果がある。
【0053】
また更に、ピンチローラホルダは、紙送りローラの回転中心軸方向への回動が所定量以下となるように規制する規制部を有しているから、ピンチローラホルダの位置が安定するので、その位置決めが容易に行え、組立性の向上が図れるとともに、組立ミスによる調心の不具合を起こすことがなくなり、信頼性が向上するという効果がある。
【0054】
更にまた、プリンタの紙送り装置は、ピンチローラホルダの溝部が配置された側とは反対側にピンチローラホルダとは隙間もって配置された被記録媒体の搬送経路を形成する紙ガイド部材を有し、ピンチローラホルダの溝部は、隙間よりも深いので、ピンチローラホルダが支持部材から離れるように外力が作用したとしても、紙ガイド部材と当接して移動が規制されるが、その移動量が溝深さよりも少ないからピンチローラホルダと支持部材とは係合が外れることなく定位置に保持されるので、振動や衝撃に強く信頼性の高いプリンタの紙送り装置を提供できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す斜視図。
【図2】本発明の一実施形態の上面図。
【図3】本発明の一実施形態の断面図。
【図4】本発明の一実施形態の正面図。
【図5】本発明の一実施形態の動作を示す上面図。
【図6】従来例を示す断面図。
【図7】従来例の上面図。
【図8】従来例の動作を示す上面図。
【符号の説明】
1 紙送りローラ
2 ピンチローラ
2a 押圧部
2b 溝部
3 ピンチローラホルダ
3a フック部
3b 支点部
3c 下面部
3d 当接部
4 フレーム
4a フック部
4b 支持部
5 ピンチローラバネ
6 記録紙
Claims (3)
- 被記録媒体を紙送りローラとピンチローラとにより狭持して搬送するプリンタの紙送り装置であって、
前記ピンチローラを回転可能に保持するピンチローラホルダと、
前記ピンチローラホルダを介して前記ピンチローラを前記紙送りローラへ押圧するための付勢手段とを有し、
前記ピンチローラは、前記紙送りローラを圧接する圧接部が両端に配置され、
前記ピンチローラホルダは、前記ピンチローラを前記紙送りローラの略回転中心軸方向に回動可能とする回動支点部であって、前記ピンチローラを支持する支持部と前記付勢手段が係合する係合部との間に溝状に形成された回動支点部を有し、
前記ピンチローラの回転中心軸は、前記紙送りローラの回転に応じて、前記紙送りローラの回転中心軸と略平行になるように調芯されることを特徴とするプリンタの紙送り装置。 - 前記ピンチローラホルダは、前記紙送りローラの回転中心軸方向への回動が所定量以下となるように規制する規制部を有していることを特徴とする請求項1記載のプリンタの紙送り装置。
- 前記ピンチローラホルダの前記溝部が配置された側とは反対側に前記ピンチローラホルダとは隙間もって配置された前記被記録媒体の搬送経路を形成する紙ガイド部材を有し、
前記ピンチローラホルダの前記溝部は、前記隙間よりも深いことを特徴とする請求項1又は2記載のプリンタの紙送り装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16127796A JP3593795B2 (ja) | 1996-06-21 | 1996-06-21 | プリンタの紙送り装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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