JP3590885B2 - スイベルジョイント - Google Patents
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Description
【0001】
この発明は、スイベルジョイントに関するものである。
【従来の技術】
【0002】
近年の自動化された製造ラインにはマニュプレータが使用されているが、マニュプレータは手首の正逆回転機能を有することから溶接ガンやハンド等の作業用機器はスイベルジョイントを介して取り付けられる。ここで、スイベルジョイントと作業用機器とは両者のフランジをボルト止めするようにして結合されており、このため作業用機器に故障等が生じて交換が必要となったときには、ボルトを取り外す作業を介して作業用機器を取り外す。しかしながら、ボルトを取り外す際に、作業用機器が落下・転倒しないようにロープなどの保持具で支持したり、複数の作業者が保持するなどの不便且つ危険な作業をしなければならなかった。
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、この発明では、安全で且つ容易な作業により作業用機器を交換することができるスイベルジョイントを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(請求項1記載の発明)
この発明は、回転部と、固定部と、前記回転部に対して作業用機器を仮止めする仮止め部材とを有したスイベルジョイントであって、回転部に、作業用機器の取り付け側に向かって開放する雌ネジ孔を形成すると共に、前記雌ネジ孔の軸芯を回転部の回転軸線上に一致させてあり、他方、仮止め部材は、作業用機器を取り付けるためのフランジに雄ネジ棒を立設させたものとしてあり、雄ネジ棒を雌ネジ孔に螺入させた状態で、フランジを回転部にボルト止めするようにして使用され、雄ネジ棒の雌ネジ孔への螺入量が、所定に達したことを検知するセンサーを具備させてある。
(請求項2記載の発明)
この発明は、回転部と、固定部と、前記回転部に対して作業用機器を仮止めする仮止め部材とを有したスイベルジョイントであって、回転部に、作業用機器の取り付け側に向かって開放し且つ孔底から離れた部分を小径の雌ネジ部とした孔部を形成すると共に前記孔部の軸芯を回転部の回転軸線上に一致させてあり、他方、仮止め部材は、作業用機器を取り付けるためのフランジに挿入軸を形成すると共に、前記挿入軸を、雌ネジ部に遊挿できる小径部と前記小径部の先端側に設けられた前記雌ネジ部と螺合可能な雄ネジ部を有するものとしてあり、雄ネジ部が雌ネジ部を越えた状態で、フランジを回転部にボルト止めするようにして使用される。
(請求項3記載の発明)
この発明のスイベルジョイントは、上記請求項2記載の発明に関し、雄ネジ部が雌ネジ部を越えた状態を検知するセンサーを具備させてある。
【0005】
なお、上記した発明のスイベルジョイントの機能については以下の発明の実施の形態の欄で説明する。
【発明の実施の形態】
【0006】
以下、この発明を実施形態として示した図面に従って説明する。
(実施形態1)
図1は、多極電気回転継手を中心に図面化されたスイベルジョイントJである。
【0007】
このスイベルジョイントJは、図1や図4に示すように、マニュプレータMの手首部Nを構成する回転軸N1に接続される回転部1と、手首部Nを構成する固定部N2に対して回転止め具7により回転不能にされる固定部2と、前記固定部2にボルト止めされたリング板3と、複数のブラシ42を保持したブラシケース4、4と、押さえ板5と、仮止め部材6から構成されている。なお、この実施形態1及び以下の実施形態における回転部1の回転(手首部Nの回転)は、正逆回転及び回動を含む概念である。
【0008】
回転部1は、図1に示すように、外部に開放し且つブラシケース4、4が装着される空間部10を形成してあり、前記空間部10の開放部はコネクタ12により閉蓋された状態となっている。また、この回転部1には、図1に示すように、作業用機器Kの取り付け側に向かって開放する雌ネジ孔13を形成してあり、前記雌ネジ孔13の軸芯は回転部1の回転軸線上に一致させてある。さらに、この回転部1における上記雌ネジ孔13の底部には図1に示すように後述する雄ネジ棒61の雌ネジ孔13への螺入量が所定に達したことを検知する位置センサーSを設けてある。
【0009】
固定部2は、図1や図5に示すように、リング板3の内周部からコネクタ22に至るまでの間に配線案内路20を形成してあり、前記配線案内路20の開放部はコネクタ22により閉蓋された状態となっている。
【0010】
リング板3は、図5に示すように、補強板30の両面に基板31,32を固定して成るもので、図2に示すように、前記基板31,32の表側面には複数のスリップリング33を形成してある。ここで、前記スリップリング33は図2に示すようにリング板3の内周部に集合形成された端子34とそれぞれ電気的に接続されており、前記端子34と上記コネクタ22とは、図1に示すように配線案内路20に挿通された電線35により電気的に接続されている。
【0011】
ブラシケース4は、図3や図4に示すように、ブラシ保持板40と、送電板41と、ブラシ42と、圧縮コイルバネ43とから構成されており、前記ブラシ保持板40と送電板41とはボルト等により着脱可能に一体化されている。
【0012】
ブラシ保持板40は、図3や図4に示すように、ブラシ42及び圧縮コイルバネ43を装着するための貫通孔40aが複数形成されており、他方、送電板41は、同図に示すように、上記貫通孔40aと対応する位置に電極41aを形成してあると共に下端部に集合形成された端子41bとそれぞれ電気的に接続してあり、前記端子41bと上記コネクタ12とは電線41cにより電気的に接続されている。
【0013】
押さえ板5は、ブラシ42の先端部がスリップリング33に確実に電気的に接続されるようにブラシケース4を押し付けるものである。
【0014】
ここで、このブラシケース4,4は図1に示すように、上記リング板3を挟み込む態様で空間部10内に配置されているが、コネクタ12及び押さえ板5を取り外した状態において、空間部10に対してブラシケース4を抜き差しすることにより複数のブラシ42を容易に交換することができる。
【0015】
仮止め部材6は、図1に示すように、板厚面に回転阻止棒63を螺着したフランジ60の片面に雄ネジ棒61を立設させて成るものであり、マニュプレータMの手首部Nの回転を利用して雄ネジ棒61と上記雌ネジ孔13とを螺入状態にするだけで、フランジ60に取り付けられた作業用機器Kを回転部1に仮止めできるものである。なお、所謂本止めはフランジ60を回転部1にボルト62で止着するようにして行われる。
【0016】
この多極電気回転継手は上記のような構成であるから、以下のような機能を有する。
(1)リング板3を両面から挟み込む態様でブラシ42をスリップリング33に接触配置させる構造としてあるから、手首部Nを構成する回転軸N1の軸線方向及び半径方向に大きくならない。
(2)リング板3を両面から挟み込む態様でブラシ42をスリップリング33に接触配置させる構造としてあるから、ブラシ42からのリング板3への力は打ち消しあい、リング板3は曲がりにくい。したがって、ブラシ42がスリップリング33に適正に接触することになる。
(3)上述したように、ブラシケース4、4を抜き差しするだけで複数のブラシ42の交換ができることから、交換作業が容易である。
(4)なお、コネクタ22、12との電気的接続は、コネクタ22→電線35→端子34→スリップリング33→ブラシ42→圧縮コイルバネ43→電極41a→端子41b→電線41c→コネクタ12の経路で行われている。
(5)図1の状態から作業用機器Kを取り外す場合、先ず、回転部1に対してフランジ60を止着しているボルト62を取り外す。この状態では、雄ネジ棒61は上記雌ネジ孔13に所定量だけ螺入した状態となっているから、特別なロープ等の保持具がなくても作業用機器Kが落下したり転倒するようなことはない。次に、人手により作業用機器K(又は回転阻止棒63)をしっかりと固定しておき、この状態においてマニュプレータMの手首部Nの回転を利用して雄ネジ棒61と雌ネジ孔13との螺入を解くと、作業用機器Kを仮止め部材6ごと回転部1から外すことができる。逆に、作業用機器Kを回転部1に取り付ける場合、前記の場合と逆の作業を順に行えばよい。このように、この構造のスイベルジョイントJを用いると、ロープ等の保持具がなくても面倒なボルト62の取り付け及び取り外しができ、また、マニュプレータMの手首部Nの回転を利用して作業用機器Kの回転部1に対する仮止め及び仮止めの外しが容易にできる。よって作業用機器Kの交換が短時間且つ安全に行える。
(他の実施形態)
図6は、ボルト62により仮止め部材6を回転部1に取り付けた状態を示している。
【0017】
この実施形態では、挿入軸64は図6に示すように、インロー部である大径部64aと、小径部64bと、雄ネジ部64cとから構成してあり、他方、孔部14は同図に示すように、前記大径部64aが嵌まり込む孔部14aと、雄ネジ部64cと螺合可能な雌ネジ孔14bと、前記雄ネジ部64cよりも大径の大径孔14cとから構成してある。なお、図6中符号Pで示すものは回転方向位置決めピンであり、符号Sは雄ネジ部が雌ネジ部を越えた状態を検知するセンサーである。
【0018】
この実施形態では、ボルト62により仮止め部材6を回転部1に取り付けた状態では、図6に示すように、雄ネジ部64cが雌ネジ孔14bを越えて大径孔14cに挿入された状態となっている。
【0019】
したがって、ボルト62を外した状態においても、仮止め部材6及び作業用機器Kは回転部1にぶら下がった状態となる。この状態において、雄ネジ部64cを雌ネジ孔14bに螺入状態にし、マニュプレータMの手首部Nを回転すれば、仮止め部材6及び作業用機器Kを回転部1から取り外すことができる。逆に、作業用機器Kを回転部1に取り付ける場合、前記の場合と逆の作業を順に行えばよい。このように、この構造のスイベルジョイントJを用いた場合においても、作業用機器Kの交換が短時間且つ安全に行える。
【0020】
また、仮止め部材6及び作業用機器Kが回転部1にぶら下がった状態では、回転部1に対して仮止め部材6及び作業用機器Kを自由に回転できるから、ボルト孔62Hとネジ孔1Hとの位置合わせは拘束されず、ボルト62の締めつけ作業が円滑に行える。
【発明の効果】
【0021】
この発明は上記のような構成であるから次の効果を有する。
【0022】
発明の実施の形態の欄から明らかなように、安全で且つ容易な作業により作業用機器を交換することができるスイベルジョイントを提供できた。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明の実施形態1のスイベルジョイントの断面図。
【図2】前記スイベルジョイントを構成するリング板の正面図。
【図3】前記スイベルジョイントを構成するブラシケースと押さえ板の斜視図。
【図4】前記ブラシケースと押さえ板の一部断面図。
【図5】前記ブラシケースと押さえ板を取り外した状態のスイベルジョイントの断面図。
【図6】この発明の他の実施形態のスイベルジョイントの断面図。
【符号の説明】
【0024】
S 位置センサー
1 回転部
2 固定部
6 仮止め部材
13 雌ネジ孔
14 孔部
14a 孔部
14b 雌ネジ孔
14c 大径孔
60 フランジ
61 雄ネジ棒
62 ボルト
64 挿入軸
64a 大径部
64b 小径部
64c 雄ネジ部
Claims (3)
- 回転部と、固定部と、前記回転部に対して作業用機器を仮止めする仮止め部材とを有したスイベルジョイントであって、回転部に、作業用機器の取り付け側に向かって開放する雌ネジ孔を形成すると共に、前記雌ネジ孔の軸芯を回転部の回転軸線上に一致させてあり、他方、仮止め部材は、作業用機器を取り付けるためのフランジに雄ネジ棒を立設させたものとしてあり、雄ネジ棒を雌ネジ孔に螺入させた状態で、フランジを回転部にボルト止めするようにして使用され、雄ネジ棒の雌ネジ孔への螺入量が、所定に達したことを検知するセンサーを具備させてあることを特徴とするスイベルジョイント。
- 回転部と、固定部と、前記回転部に対して作業用機器を仮止めする仮止め部材とを有したスイベルジョイントであって、回転部に、作業用機器の取り付け側に向かって開放し且つ孔底から離れた部分を小径の雌ネジ部とした孔部を形成すると共に前記孔部の軸芯を回転部の回転軸線上に一致させてあり、他方、仮止め部材は、作業用機器を取り付けるためのフランジに挿入軸を形成すると共に、前記挿入軸を、雌ネジ部に遊挿できる小径部と前記小径部の先端側に設けられた前記雌ネジ部と螺合可能な雄ネジ部を有するものとしてあり、雄ネジ部が雌ネジ部を越えた状態で、フランジを回転部にボルト止めするようにして使用されることを特徴とするスイベルジョイント。
- 雄ネジ部が雌ネジ部を越えた状態を検知するセンサーを具備させてあることを特徴とする請求項2記載のスイベルジョイント。
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