JP4060085B2 - 電気機器の電線差込口部 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、住宅や工場において、電気の通路にまたは電気の通路として使用される積算電力量計または電磁開閉器、配線用しゃ断器、安全ブレーカー等の電気機器に備えられ、引込線や屋内配線といった電線の接触端部が差し込まれて接続される電線差込口部に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、この種の電気機器は、電線を接続するための電線差込口部が備えられているが、この電線差込口部には、その奥端部に複数の入出力側電線の先端の接触端部が挿入される複数の入出力端子孔と、これらに対応位置してそれぞれ配置され前記各接触端部を複数のネジでネジ止めするためのネジ止部と、が設けられている。そこで、前記電気機器に複数の電線を接続するには、まず、前記各電線先端の被覆層を剥がし、これら接触端部に圧着端子を取り付ける。そして、これら圧着端子を前記各電線差込口部に差し込み、前記圧着端子に前記複数のネジの先端を螺締めして押し付け、前記電線差込口部の内周壁と前記ネジ先端部とで圧着端子をしっかりと挟着し固定するようにしている。また、特に、接点不良などの事故を防止するためには、最後に増し締めが行なわれる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このように、電気機器に電線を接続するには、あらかじめ前記各電線先端の接触端部に圧着端子を取り付け、また、電気機器の電線差込口部では、各圧着端子を複数のネジにより螺子締めし挟着して固定するようにしているので、それら電線の取付作業に面倒な手間と多くの時間が掛かり、作業能率の向上が図られていないのが現状である。また、特に、増し締めするときなど、トルクが強すぎてネジ山が潰れてしまうといったことが起こり、このような状態になると、電線の交換時にその電線が取り外し難く苦労するという課題がある。
そこで、本発明は、前記課題を解決すべくなされたもので、電気機器への電線の取付・取外しが簡単に行なえ作業能率の向上が図られると共にネジ山が潰れるといった事態も起こり得ない電気機器の電線差込口部を提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するため本発明に係る電気機器の電線差込口部は、後壁と両側壁と隔壁とにより囲われて空洞状に成形され、前記隔壁に前記後壁内面に沿って差し込まれた電線の接触端部が挿入される入出力端子孔を設け、前記両側壁間に前記後壁から前側へ所定の間隔離れかつ該後壁の内面と平行な平面内で前記電線が差し込まれる方向に対し直交状に配置される支持軸を設け、前記支持軸には前記入出力端子孔と対応位置して回動自在に軸支される電線固定レバーを設けた電気機器の電線差込口部であって、前記電線固定レバーは、前記支持軸の周囲を囲う押圧板部と該押圧板部を回動させる操作部とからなり、前記押圧板部の外周面は、多角形状を有し、前記電線の接触端部に圧接し得る平坦な押圧面が連続して成形され、その連続する各押圧面と前記支持軸の中心線までの距離は、前記電線固定レバーの前記操作部が前記後壁と垂直な位置から前記後壁と平行な位置に回動するにつれ徐々に長くなるように設定された構成からなる。
【0005】
そして、前記電線の接触端部を前記入出力端子孔に挿入した状態で、前記電線固定レバーを回動させることにより、その押圧面と前記後壁との間で前記接触端部が挟着され電線が抜けないように固定される。このように、電線固定レバーを回動するのみで電線が抜けないように固定されるので、その取付作業が極めて簡単となり、作業能率が格段に向上する。また、ネジ止めのようにねじ山を潰してしまうような事態も生ずることがなく、電線の交換作業も簡単に行なえる。
【0006】
また、他の電気機器の電線差込口部として、後壁と両側壁と隔壁とにより囲われて空洞状に成形され、前記隔壁に前記後壁内面に沿って差し込まれた電線の接触端部が挿入される入出力端子孔を設け、前記両側壁間に前記後壁から前側へ所定の間隔離れかつ該後壁の内面と平行な平面内で前記電線が差し込まれる方向に対し直交状に配置される支持軸を設け、前記支持軸に前記入出力端子孔と対応位置して回動自在に軸支される電線固定レバーを設け、前記電線固定レバーと後壁間には前記後壁内面に沿って差し込まれる電線の接触端部を覆う覆板部材を配設した電気機器の電線差込口部であって、
前記電線固定レバーは、前記支持軸の周囲を囲う押圧板部と該押圧板部を回動させる操作部とからなり、前記押圧板部の外周面は、多角形状を有し、前記電線の接触端部に前記覆板部材を介して圧接し得る平坦な押圧面が連続して成形され、その連続する各押圧面と前記支持軸の中心線までの距離は、前記電線固定レバーの前記操作部が前記後壁と垂直な位置から前記後壁と平行な位置に回動するにつれ徐々に長くなるように設定された構成としても良い。
【0007】
この構成によれば、接触端部の外周面を覆板部材により一括して広く押え付けることができ、電線の抜け止め効果が向上するばかりか、押圧面が接触端部の外周面に深く食い込まないことから電線固定レバーの操作性が良くなる。また、接触端部の外周面を傷めるようなこともなく、電線の寿命を伸ばすことができるという効果がある。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る電気機器の電線差込口部の実施の形態を図面に基づき説明する。本発明が適用される電気機器には、住宅や工場において、電気の通路に使用される積算電力量計、または電気の通路として使用され、主として電動機の起動停止用に使用される電磁開閉器、ハンドルの操作で電流を開閉できまた定格電流を超えた大きな電流が流れた場合に自動的に電流を遮断する配線用しゃ断器、安全ブレーカー、端子台が有るが、これらに限定されるものではない。すなわち、住宅や工場において、電線差込口部を備え引込線や屋内配線といった電線を差し込んで接続できる電気機器であれば、適用できる。
【0009】
本実施の形態では、前記電気機器の内、その一例として配線用しゃ断器について説明する。図1は本発明に係る配線用しゃ断器の一部破断斜視図、図2は同正面図、図3は図2のX−X線断面図、図4は図2のY−Y線断面図である。図中、Aは配線用しゃ断器であり、しゃ断器本体1の一側に電線差込口部2が一体に設けられている。前記しゃ断器本体1は直方体形状をなし、前壁1aのほぼ中央に電気回路を閉路または開路するためのレバー3が装着されている。そして、配線用しゃ断器Aは、前記レバー3で電気回路を開閉できると共に定格電流を越えた電流が流れた場合に自動的に電流をしゃ断して前記レバー3によるスイッチをOFF状態にする構造になっている。
【0010】
前記電線差込口部2は、前面と下面とが開放され、しゃ断器本体1の内部とを仕切る隔壁4と左右側壁1bと後壁1cとにより囲われて空洞状に成形されている。その空洞部は、前記左右側壁1bと平行な一対の仕切壁5によりほぼ3等分に分割され、3個の区画室6が成形される。そして、各区画室6の隔壁4に、後記する電線Dの接触端部d1の先端側が挿入される入出力端子孔7が設けられる。また、各区画室6には、両側壁1b間に前記後壁1cから前側へ所定の間隔離れかつ該後壁1cの内面と平行な平面内で電線Dが差し込まれる方向に対し直交状に支持軸8が配置される。この支持軸8は回動不能に設けられている。各区画室6における支持軸8に電線固定レバー9が軸支されるが、各電線固定レバー9は、支持軸8に対し硬く嵌合しており、外力を強く加えた場合は回動するが、それ以外の状態では回動せずその位置で停止するようになっている。
【0011】
前記各電線固定レバー9は、前記各入出力端子孔7と対応位置してこれらの手前側に配置され、差し込まれる電線Dと合致し、この電線Dを圧接し後壁1bとの間で挟着できるようになっている。また、各電線固定レバー9と後壁1cとの間には、前記後壁1c内面に沿って差し込まれる電線Dの接触端部d1を前後側から挟んで覆う被覆板部10が配設される。この被覆板部10は、弾力性のある金属帯板11aを中央で湾曲して折り曲げられ、その折曲部位11bを前記入出力端子孔7と対向位置させると共に差し込まれた電線Dに沿うようにして配置されている。前記覆板部材10の折曲部位11bには前記接触端部d1が挿通される透孔12が開設されている。そして、覆板部材10の一側板部13aは、その両側を区画室6の両側であって後壁1cから所定の間隔離して設けられた取付枠部14と後壁1cとの間の隙間15に挟着される。また、他側板部13bは、前記電線固定レバー9の内側に配置されてその外周面に接触しており、一側板部3aと他側板部3bがほぼ平行をなすようになっている。
【0012】
前記電線固定レバー9を更に詳しく説明すると、電線固定レバー9は、支持軸8の周囲を囲うと共に前記支持軸8が挿通される軸孔17を開設した押圧板部16aと、該押圧板部16aから一体に突設され先端が開放される筒状の操作部16bとからなる。前記押圧板部16aの外周面には、その外周面に沿って常に支持軸8側に折れ曲がる平坦な押圧面18a〜18dが多面的に成形され、その連続する各押圧面18a〜18dと前記支持軸8の中心軸までの距離は、前記押圧板部16aの外周面に沿って前記電線Dが抜かれる方向と同じ回動方向へ進むにつれ徐々に長くなるように設定されている。操作部16bに開設された操作孔19は、一般のドライバーまたは金属棒の先端部Sが挿入できる程度の大きさを有し、その操作孔19にドライバー等の先端部Sを差し込んで回動させることにより、電線固定レバー9が回動操作し易くなっている。
【0013】
電線差込口部2に電線Dを差し込んで接続しないとき、前記各電線固定レバー9の操作部16bは、図4に示すように前側を向くように配置され、しかも、支持軸8の中心線からの距離の一番短い第一の押圧面18aが、覆板部材10の他側板部13bの外側面を押圧している。この際、操作部16bの先端は、仕切壁5の先端面より内側に位置している。また、いずれの押圧面18a〜18dも、支持軸8の中心線から垂線を引くことができるように成形され、各押圧面18a〜18dが他側板部13bの外側面に接しているとき、他側板部13b側からの反力が前記支持軸8の中心線に向かうようになっている。これにより、電線固定レバー9を回動して接触端部d1に圧接する場合、各押圧面18a〜18dによる圧接状態が安定し、接触端部d1の弾性復帰力による電線固定レバー9の戻りも防止され緩みの生ずることがなくなる。
【0014】
本発明に係る配線用しゃ断器Aは上記構成からなり、その使用方法について説明する。まず、電線Dの先端側の被覆層d2を剥がして接触端部d1を露出させる。この接触端部d1は、その先端側を入出力端子孔7内に挿入したとき覆板部材10まで達する長さにしてある。そして、図4に示すように、電線固定レバー9の操作部16bが前側を向いている状態で、前記接触端部d1を電線差込口部2の下面側から後壁1bに沿って覆板部材10内に差し込み、その先端側を透孔12を介して入出力端子孔7内に挿入する。
【0015】
次に、図5に示すように、外部からドライバーの先端部Sを操作孔19に挿入し、そのモーメントを利用して電線固定レバー9を電線Dが差し込まれる方向と同じ方向へ必要な量だけ回動させる。これにより、押圧面18a〜18dが順次移動して後壁1cと押圧面18a〜18dとの距離が徐々に短くなり、図6に示すように覆板部材10を介し後壁1cと押圧面18cとの間で接触端部d1が挟着され強固に固定される。他の電線Dも、同様な操作を行なうことにより取り付けられる。このように、電線固定レバー9を回動するといったワンタッチ式の操作のみで電線Dが配線用しゃ断器Aに接続される。前記押圧面18a〜18dの数は4面に限られるものではなくそれ以上であっても良く、図5の状態で接触端部d1が挟着して固定されるようにしても良い。
【0016】
また、古くなった電線Dを新しいものと交換する場合または故障のため一時的に電線Dを取り外す場合には、図6に示すように接触端部d1が固定された状態で、操作孔19に前記と同様にドライバーの先端部Sを挿入して、電線固定レバー9を図5矢視方向とは逆方向に回動させる。これにより、押圧面18cが元の位置に移動して後壁1cと押圧面18a〜18dとの間隔が広がり、電線Dを抜いて交換できることとなる。
【0017】
本実施の形態では、押圧板部16aの外周面を多面的に成形して、その外周面に接触端部d1を押圧する押圧面18a〜18dを設けるようにしたが、これは、平坦面の方が接触面積が広くとれ安定すると共にせっかく回動させた電線固定レバー9が無用に逆方向へ回動して接触端部d1に対する押圧力が緩まないようにするためである。しかも、支持軸8の中心線から押圧面18a〜8dの距離を順に異ならせることにより、径の異なる電線Dに対しても十分対応できるようになっている。なお、前記押圧板部16aの外周面と覆板部材10間の摩擦力が向上できれば、その外周面を弧状の曲面に成形するようにしても良く、これにより無段階の調整が可能となる。
【0018】
また、前記覆板部材10を使わず、電線固定レバー9によって接触端部d1を直接圧接することもできるが、本実施の形態のように、覆板部材10を介在させるようにすれば、電線Dの接触端部d1の外表面を一括して押え付けることができて電線Dの抜け止め効果が向上する。また、押圧面18a〜18dによって接触端部d1の外周面が直接傷つけられるのを防止することもできる。覆板部材10としては、金属製の帯板について説明したが、硬質で弾力性があるものであれば合成樹脂製であっても良い。
【0019】
なお、図示は省略するが、前記電線差込口部2の前面に開閉自在な蓋を取り付けることが好ましく、このようにすれば、安全性が確保されると共に電線差込口部2への埃の侵入も減少させることができる。
【0020】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る電気機器の電線差込口部は、電線差込口部に電線の接触端部を差し込み、この状態で電線固定レバーを回動するのみで、その押圧板部の外周面と後壁との間で電線が挟着して固定され、ワンタッチ式に電線が取り付けられることとなり、電線の取付・取外しが簡単に行なえ作業能率の向上を図ることができるという効果がある。
【0021】
また、前記入出力端子孔の手前であって電線固定レバーと後壁との間に電線の接触端部を覆う覆板部材を設けるようにすれば、接触端部の外周面を覆板部材で一括して押え付けることができ、電線の抜け止め効果が向上するばかりか、押圧面が接触端部の外周面に深く食い込まないことから電線固定レバーの操作性が良くなる。また、接触端部の外周面を傷めるようなことが少なく、電線の寿命を伸ばすことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る配線用しゃ断器の一部破断斜視図。
【図2】同正面図。
【図3】図2におけるX−X線断面図。
【図4】図2におけるY−Y線断面図。
【図5】使用状態を示す配線用しゃ断器の側面断面図。
【図6】使用状態を示す配線用しゃ断器の側面断面図。
【符号の説明】
1 しゃ断器本体
1a 前壁
1b 側壁
1c 後壁
2 電線差込口部
7 入出力端子孔
8 支持軸
9 電線固定レバー
10 被覆部材
16a 押圧板部
16b 操作部
18a〜18d 押圧面
A 電気機器(配線用しゃ断器)
D 電線
d1 接触端部
Claims (2)
- 後壁と両側壁と隔壁とにより囲われて空洞状に成形され、前記隔壁に前記後壁内面に沿って差し込まれた電線の接触端部が挿入される入出力端子孔を設け、前記両側壁間に前記後壁から前側へ所定の間隔離れかつ該後壁の内面と平行な平面内で前記電線が差し込まれる方向に対し直交状に配置される支持軸を設け、前記支持軸には前記入出力端子孔と対応位置して回動自在に軸支される電線固定レバーを設けた電気機器の電線差込口部であって、
前記電線固定レバーは、前記支持軸の周囲を囲う押圧板部と該押圧板部を回動させる操作部とからなり、前記押圧板部の外周面は、多角形状を有し、前記電線の接触端部に圧接し得る平坦な押圧面が連続して成形され、その連続する各押圧面と前記支持軸の中心線までの距離は、前記電線固定レバーの前記操作部が前記後壁と垂直な位置から前記後壁と平行な位置に回動するにつれ徐々に長くなるように設定され、前記電線の接触端部を前記入出力端子孔に挿入した状態で、前記電線固定レバーを回動することにより、その押圧面と前記後壁との間で前記接触端部を挟着して固定できるようにしたことを特徴とする電気機器の電線差込口部。 - 後壁と両側壁と隔壁とにより囲われて空洞状に成形され、前記隔壁に前記後壁内面に沿って差し込まれた電線の接触端部が挿入される入出力端子孔を設け、前記両側壁間に前記後壁から前側へ所定の間隔離れかつ該後壁の内面と平行な平面内で前記電線が差し込まれる方向に対し直交状に配置される支持軸を設け、前記支持軸に前記入出力端子孔と対応位置して回動自在に軸支される電線固定レバーを設け、前記電線固定レバーと後壁との間には前記後壁内面に沿って差し込まれる電線の接触端部を覆う覆板部材を配設した電気機器の電線差込口部であって、
前記電線固定レバーは、前記支持軸の周囲を囲う押圧板部と該押圧板部を回動させる操作部とからなり、前記押圧板部の外周面は、多角形状を有し、前記電線の接触端部に前記覆板部材を介して圧接し得る平坦な押圧面が連続して成形され、その連続する各押圧面と前記支持軸の中心線までの距離は、前記電線固定レバーの前記操作部が前記後壁と垂直な位置から前記後壁と平行な位置に回動するにつれ徐々に長くなるように設定され、前記電線の接触端部を前記入出力端子孔に挿入した状態で、前記電線固定レバーを回動することにより、その押圧面と前記後壁との間で前記接触端部を挟着して固定できるようにしたことを特徴とする電気機器の電線差込口部。
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