JP3590782B2 - 木材の処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、木材の前処理方法または乾燥方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、木材の前処理方法または乾燥方法に関する技術として、種々のものが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、木材は水分傾斜があるため、乾燥させるには、非常に長い時間をかけなくてはならない。水分傾斜の大きい状態で木材の乾燥をすると、表面割れ、内部割れ、反り、ねじれが発生し易い。
そこで、水分傾斜を取り除くために、高周波を印加することにより、木材の中心部の温度を上げ、発生した水蒸気の圧力差を利用して水分傾斜を小さくする方法が用いられている。
【0004】
この方法は、高周波発生装置が必要となり、また運転の際には多大な電力が必要とされ、電極板のセットなどの手間がかかり、多額のイニシャルコストおよびランニングコストがかかる。
また、水分傾斜を取り除くために、蒸煮減庄前処理装置が用いられている。この装置は、水蒸気および空気の圧力を変化させ、温湿度をコントロールすることにより、圧力差を用いて水分傾斜を小さくする装置である。
【0005】
しかし、この装置は蒸気式乾燥機の数倍のイニシャルコストがかかり、あくまでも前処理装置であるので、その後の乾燥を行うための乾燥機が別途必要となる。
また、表面割れを抑制するには、乾燥中、常に水分傾斜が小さくなるように、温湿度をコントロールしている。
しかし、木材の表面から蒸発する水分と木材内部の水分移動のバランスを取らなくてはならない。そのため、乾燥に多大の時間が必要である。
【0006】
また、高温で木材表面を軟化させ、ドライングセットをすることにより表面割れを防ぐ方法がある。
しかし、この方法では、表面が本来の収縮をしないまま乾燥させ硬化させているので、木材の内部まで乾燥が進むと内部割れが発生し易い。
また、変色を抑える方法として、乾燥温度を低くすることと、乾燥時間を短縮することが挙げられる。
【0007】
しかし、低温で乾燥させると多大な時間がかかる。逆に高温乾燥による乾燥時間の短縮を図ると、従来の技術では乾燥する前に変色してしまう。
また、反り、ねじれを抑制するには、リグニンを軟化させて内部応力を除去し、圧締した状態で乾燥させる。
しかし、従来の蒸気式の乾燥方法では、木材の中心部まで雰囲気温度と等しくするためには、材の厚さ1cm当り30分かかってしまう。
【0008】
また、乾燥時間を短縮するには、温度を上げる方法があるが、割れ、変色、反り、ねじれ等の問題がある。
このため、品質を保ちつつ時問を短縮しようとすると、高周波発生装置、蒸煮減圧前処理機などの設備が必要となるため、コストがかかる。
従来の乾燥では、木材の中心部と表面では、木材の厚さが厚くなるほど水分傾斜が大きく残る傾向にある。
【0009】
そこで、高品質を保ち木材の中心部まで均一に乾燥させるには、多大なコストと時間をかけてゆっくり乾燥させるか、高周波発生装置や、蒸煮減圧前処理機などを用い、水分傾斜を小さくする方法を取らなくてはならない。
このため、高品質を保ち木材の中心部まで均一な乾燥をするには、多額なイニシャルコスト又はランニングコストがかかる。
【0010】
従って、これらの条件を全て満足する処理方法は現存しない。
なお、前処理においても、その後、乾燥工程を行うので、同様の問題がある。本発明は斯かる従来の問題を解決するためになされたもので、木材の表面割れの抑制を可能とする木材の処理方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、木材の内部割れの抑制を可能とする木材の処理方法を提供することにある。
【0011】
本発明の別の目的は、木材の変色の抑制を可能とする木材の処理方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、木材の反りの抑制を可能とする木材の処理方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、木材のねじれの抑制を可能とする木材の処理方法を提供することにある。
【0012】
本発明の別の目的は、木材の乾燥時間の短縮を可能とする木材の処理方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、木材内部までの均一な乾燥を可能とする木材の処理方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、乾燥設備のイニシャルコストの削減を可能とする木材の処理方法を提供することにある。
【0013】
本発明の別の目的は、乾燥設備のランニングコストの削減を可能とする木材の処理方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、木材を前処理する際に、木材を容器内に収容し、加熱しながら木材に直接振動を与え、木材内の水分または成分を木材内部より外部へ移動させることを特徴とする。
請求項2に係る発明は木材を乾燥する際に、木材を容器内に収容し、加熱しながら木材に直接振動を与え、木材内の水分または成分を木材内部より外部へ移動させることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2記載の木材の処理方法において、容器内を加熱しながら木材に直接振動を与えるとともに加圧、加湿して、木材の中心部の温度が上昇するまで木材を蒸煮し、その後、容器内を大気圧とすることを特徴とする。
【0015】
請求項4に係る発明は、請求項記載の木材の処理方法において、容器内を加熱しながら木材に直接振動を与えるとともに加圧、加湿して、木材の中心部の温度が上昇するまで木材を蒸煮し、その後、容器内を大気圧とし、次に、容器内の温湿度を調節しながら木材に直接振動を与えて木材を乾燥し、次に、木材に直接振動を与えながら容器内を減圧し、次に、容器内を大気圧とし、次に、木材に直接振動を与えながら容器内の温湿度を調節して調湿を行い、次に、木材に直接振動を与えながら容器内を除湿して木材を冷却することを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項1ないし請求項4のいずれか1項記載の木材の処理方法において、容器内に収容される台車上に木材を桟木を介して積載するとともに、各桟木間に高熱伝導率の熱伝達部材を介挿して木材への伝熱を一定にすることを特徴とする。
請求項6に係る発明は、請求項1ないし請求項4のいずれか1項記載の木材の処理方法において、容器内に収容される台車上に弾性部材を介して設けられた固定枠内に木材を桟木を介して積載するとともに、各固定枠の長手方向に振動発生装置をそれぞれ配置し、両振動発生装置の回転方向を相互に異ならせることを特徴とする。
【0016】
請求項7に係る発明は、請求項記載の木材の処理方法において、両振動発生装置の振動数を等しくすることを特徴とする。
請求項8に係る発明は、請求項記載の木材の処理方法において、両振動発生装置の振動数を相互に異ならせることを特徴とする。
請求項9に係る発明は、請求項6または請求項記載の木材の処理方法において、両振動発生装置を間欠運転することを特徴とする。
【0019】
(作用)
本発明においては、木材に直接振動を与えることにより、木材内部の木材の成分および水分の分子運動を活性化することができる。
また、木材内部の水分移動経路を物理的に増大させるものである。この作用により、木材内部の水分傾斜を小さくすることが可能となる。
木材の割れを抑制するには、乾燥中、常に水分傾斜が小さくなるように、温湿度をコントロールし、木材の表面から蒸発する水分と木材内部の水分移動のバランスを取らなくてはならない。
【0020】
従来の蒸気式乾燥では、温度を上げ木材内部からの水分移動を促進させると同時に、表面からの蒸発速度を乾燥機内の湿度を上げて抑制することにより、割れを防いでいた。
本発明では、木材に直接振動を与えながら乾燥させることにより、木材内部の水分の移動速度を増大させ、表面からの蒸発量が大きくなっても内部からの移動がそれに追従し、温度が高く湿度が低い厳しい温湿度条件であっても、表面割れ、内部割れを抑制することができる。
【0021】
このため、乾燥時間の短縮が可能である。
振動によるエネルギーは先ず木材の運動エネルギーとなり、加速度が変化する度に内部エネルギーに変換される。この内部エネルギーは、木材内の水分に熱エネルギーとして供給され、水分の温度上昇、相変化、水蒸気圧の上昇等の現象を起こす。音波やマイクロ波等は同じ原理に基づき、同じ現象を起こすことができるが、波動の減衰が大きいため、木材のように断面の大きいもの、被加熱量の多いものに均一にエネルギーを与えることができない。これに比べ、本発明は木材に直接振動を与えるため、木材の表面から内部、各固体に均一にエネルギーを与えることができる。このため、高周波発生装置や蒸煮減圧前処理機と同じように、木材内部まで直接加熱することができる。木材内部の水分の移動速度は、高いエネルギーを持つ水分の方が低いエネルギーのものより大きい。よって、本発明は、木材に直接振動を与えることにより、木材内部の水分の移動を促進させるものである。
【0022】
また、直接振動を与えることにより、導管などの木材内部の水分の経路を塞いでいる付着物を遊離させることができる。振動により発生した運動エネルギーが、摩擦力および分子間力を断ち切るためである。これは、超音波洗浄機と同じ原理である。これにより、木材内の水分の移動経路が増加し、水分の移動が促進される。
【0023】
地震による地盤の液状化現象は、地震の振動により摩擦力および分子間力より大きな運動エネルギーを与えられ、分離し、比重の差により積層するものである。また、化学実験等で抽出の際に分液漏斗を振り振動を与えるが、これは、水溶性の物質を水に溶かし、水の相と油の相を短時間で分離させるためである。本発明では、これと同じ現象が木材内部で一部発生し、水分が遊離し移動しやすくなる。
【0024】
さらには、熱と振動の相乗効果で表面張力が減少し、濡れやすくなり、木材の毛細管等を移動しやすくなる。
本発明では、木材に振動を与えながら乾燥させることにより、木材内部の水分の移動を促し、厳しい温湿度条件であっても、表面割れ、内部割れを抑制することができる。このため、乾燥時間の短縮が可能である。
【0025】
本発明では、木材に振動を与えることにより、木材内の水分の移動経路が増加し、水分の移動が促進される。
これにより熱伝導率および熱容量が高い水分が熱媒体となり、対流の効果もあるので、木材の加熱およびリグニンの軟化を短時間で行える。これに加え、振動によるエネルギーが熱エネルギーに変換されるため、加熱が更に短時間で行える。
【0026】
特に、反り、ねじれ、割れを抑制するには、乾燥工程に入る前にリグニンを軟化させる方法が効果的である。リグニンを軟化させるには、熱が必要であり、水分が豊富な方が、より低い温度で軟化が起こる。
請求項に係る発明では、コンディショニング、およびイコーライジングの工程で、振動を与えることにより、木材内の水分移動が促進され、調湿がスムーズに行われ、時間短縮ができる。
【0027】
請求項に係る発明では、木材乾燥後の冷却の際に振動を与えることにより、水分傾斜を更に小さくすることができる。
特に、木材の雰囲気が加圧、減圧される際には、木材内部の蒸気圧と外部の圧力差が生じる。この時水分は木材内を移動しようとする力が働く。
請求項3,4に係る発明では、その際に振動を与えることにより、水分の移動経路を物理的に発生させることを促進することができる。
【0028】
請求項に係る発明では、木材に熱を均一に供給することができる。
請求項ないし請求項に係る発明では、長手方向の両側部に設けた振動発生装置によって木材に対し異なる回転方向で振動を与えるので、木材の荷崩れを起こすことなく木材の前処理又は乾燥を行うことができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を説明する。
第一実施形態:
図1は、本実施形態に使用する木材の乾燥装置Aとこの乾燥装置A内にて処理される木材25を搬入する台車21とを示す。
まず、乾燥装置Aは、前面部に球面形状の開閉蓋26を有する容器1と、容器1の外周に取り付けた断熱材2と、容器1内の空気を加熱する加熱装置3と、容器1内を加圧するとともに加湿する加湿装置7と、容器1に設けた除湿装置9と、容器1内の温度を測定する乾球温度計6および湿球温度計10と、容器1内の圧力を測定する圧力計14と、容器1内の熱,水蒸気を攪拌する攪拌装置15と、容器1に設けた減圧装置13と、容器1に開閉弁18を介して設けた結露水排水口17と、容器1に取り付けた振動発生装置19と、容器1に設けた圧力開放弁24と、容器1に開閉弁31を介して設けた注入排水槽27と、容器1の底部に設けた冷却装置29とを備えている。
【0030】
この乾燥装置Aには、台車21に桟木22を介して積載された木材25が搬入される。木材25と桟木22との間には、振動伝達装置20が組み込まれている。
また、桟木22間には、例えば、アルミニウム製の金網やパンチングメタルやラス板などのように、高熱伝導率の材料で構成された熱伝達部材40を介挿してある。
容器1は、加圧減圧が可能で、例えば5気圧に耐えられる密閉式構造になっている。
【0031】
開閉蓋26は、例えばヒンジ等の公知の手段により回動自在に容器1の前面部に取り付けられるとともに、公知の施錠手段により気密状態を確保して取り付けられるように構成されている。
断熱材2は、図2に示すように、底面側の一部を除いて容器1の外周に取り付けられている。
【0032】
加熱装置3として、電気式ヒータが容器1の側面に取り付けられている。この加熱装置3は、容器1外部に設けた制御盤4に取り付けた乾球調節計5に連絡している。乾球調節計5は乾球温度計6に連絡しており、容器1内の温度を乾球調節計5上に表示する。制御盤4に設けた制御装置は、容器1内が乾球調節計5で設定した温度に近づくように加熱装置3をON/OFF制御により制御する。
【0033】
加湿装置7として、高圧蒸気スプレーが容器1の側面および上面に取り付けられている。この加湿装置7は、制御盤4に取り付けた湿球調節計8に連絡している。
除湿装置9として、給排気ダンパー31が容器1の上面に取り付けられている。この除湿装置9は、制御盤4に取り付けた湿球調節計8に連絡している。
湿球温度計10は、制御盤4に取り付けた湿球調節計8に連絡しており、容器1内の湿度を湿球調節計8上に表示する。制御盤4に設けた制御装置は、容器1内が湿球調節計8で設定した湿度に近づくように加湿装置7および除湿装置9をON/OFF制御により制御する。
【0034】
加圧装置11として、高圧蒸気スプレーが容器1の側面に取り付けられている(本例では、加湿装置7と兼用している。)。この加圧装置11は、制御盤4に取り付けた圧力調節計12に連絡している。
圧力開放弁24は、容器1の天井側に取り付けられており、大気側と連絡している。この圧力開放弁24は、制御盤4に取り付けた圧力調節計12に連絡している。
【0035】
減圧装置13として、真空ポンプが容器1の側面に取り付けられている。この減圧装置13は、制御盤4に取り付けた圧力調節計12に連絡している。
圧力計14は、制御盤4に取り付けた圧力調節計12に連絡しており、容器1内の圧力を圧力調節計12上に表示する。制御盤4に設けた制御装置は、容器1内が圧力調節計12で設定した圧力に近づくように加圧装置11、減圧装置13および圧力開放弁24をON/OFF制御により制御する。
【0036】
攪拌装置15として電動式プロペラファンが容器1の後面部に取り付けられている。この攪拌装置15は、制御盤4に取り付けた撹拌装置用インバータ16を介して、図示しない電源にスイッチを介して連絡している。
結露水排水口17は、容器1の底部に設けられており、大気側に結露水排水口開閉弁18が設けられている。
【0037】
振動発生装置19は、台車21が容器1内に収納された時、木材25と木材25の間の桟木22に取り付けられた振動伝達装置20に脱着可能となっている。
また、振動伝達装置20は、各々接続可能となっている。
振動発生装置19は、制御盤4に取り付けた振動発生装置用インバータ23を介して、図示しない電源にスイッチを介して連絡している。
【0038】
次に、このように構成された本実施形態に係る乾燥装置Aを用いて木材乾燥を行う場合について説明する。
先ず、台車21に木材25と桟木22を交互に積み込む。次に、桟木22に取り付けられた振動伝達装置20同士を接続する。
開閉扉26を開き、台車21を容器1内に収納する。そこで、振動伝達装置20の端と振動発生装置19を接続する。その後、開閉扉26を閉じ、ロックする。
【0039】
次に、乾燥装置Aをスタートさせる。全乾燥工程はスケジュールによって異なるが、ここでは、1例を挙げて説明する。
先ず、攪拌装置15を起動する。この際、風量を制御盤4に設けた攪拌装置用インバータ16により調整する。
次に、振動発生装置19を起動する。この際、振動の周波数を制御盤4に設けた振動発生装置用インバータ23により調節する。
【0040】
次に、加圧装置11および加湿装置7により、容器1内の湿度を100%近くに保ったまま加圧および加熱する。
この際、木材25の温度が木材中心部まで上昇するまで、蒸煮する。木材25に振動が与えられているため、木材25内部までの温度上昇に要する時間が短縮できる。
その後、圧力開放弁24を開放し、容器1内を大気圧とする。
【0041】
次に、加熱装置3、加湿装置7、除湿装置9により容器1内の温湿度を調節し、木材25を乾燥させる。
この際、木材25に振動が与えられているため、水分傾斜が小さくなり、通常の木材乾燥の乾燥温度より高く、湿度を低く設定しても、木材25の割れ、反り、ねじれ、変色が発生し難いため、時間短縮ができる。
【0042】
また、桟木22間に介挿した熱伝達部材40は、加熱装置3からの熱により全長に渉って均一に加熱され、その後、対向する木材25に対して均一に熱を放射し、加熱装置3からの熱を木材25に対して定常的に与えることができる。
次に、減圧装置13により減圧を行う。
最後に圧力開放弁24を開放し、容器1内を大気圧とする。減圧時に木材25の内部の温度より、容器1内の圧力下での水の沸点が低くなると、圧力差が生じ、木材25の内部の水分が、外部に出ようとする力が働く。この時振動を加えることにより、より効果的に木材25内部より外側への水分移動を促進する。
【0043】
次に、加熱装置3、加湿装置7、除湿装置9により容器1内の温湿度を調節し調湿を行う。最後に除湿装置9を開にし、冷却を行う。この際に木材25に振動を与えることにより、水分移動を促進させ、時間短縮が可能となる。
第二施形態:
本実施形態では、振動モータを備えた振動発生装置55,55を台車50の長手方向の両側部に設けた固定枠53にそれぞれ設けた点で、第一実施形態とは相違する。
【0044】
図4ないし図6は、振動発生装置55,55を備えた固定枠53を可動自在に配設した台車50と、この台車50上に載置された固定枠53内に収容された木材56を示す。
台車50は、車輪52を介して走行自在に構成された台車本体51と、この台車本体51上にスプリング54を介して載置される固定枠53とで構成されている。
【0045】
本実施形態では、振動モータを備えた振動発生装置55,55が回転し、固定枠53に荷重を与えるように構成されている。
荷重の向きは、固定枠53内の木材56に対して垂直方向となる向きである。荷重は、固定枠53を振動させる目的で固定枠53に与えられる。
振動モータを備えた振動発生装置55,55の回転方向は、互いに逆向きとされている。
【0046】
図7ないし図22は、振動モータを備えた振動発生装置55,55が荷重を加えるある一方向に着目して、時刻〔s〕と荷重〔kN〕の波形を記述したものである。ただし、時刻〔s〕=0は振動モータを備えた振動発生装置55,55を起動して定常状態に入ってからの瞬間である。
一つの振動モータを備えた振動発生装置55が、固定枠53に与える荷重の一般式は下式に示すとおりである。
【0047】
F=Kωsin(ωt+ψ)
F:荷重〔N〕
K:定数〔kg・m〕
ω:振動数〔rad/s〕
t:時刻〔s〕
ψ:初期位相〔rad〕
上式から、振動数が小さくなるほど固定枠53に与える荷重が小さくなることが分かる。ただし、振動モータの起動時に重りの重量や重心などを変えて、定数Kを調節すれば、荷重は増減できる。
【0048】
木材56に与える振動は、単調な波形ではなく、振幅が変化するような波形が適している。その点で、例えば、図14〜図21に示すような種々の波を合成しながら木材56に振動を与えることが望ましい。
特に、2つの振動発生装置55,55の振動数に差を付けると、2つの振動発生装置55,55が互いに振動を相殺し続けることがなくなる。また、振動数に差を付けると、振幅が変化する波形になる。
【0049】
図7ないし図22に示す例は、振動数47.5〔Hz〕、遠心力(荷重)5.39〔kN〕の振動モータを2つ使って場合を示す。
図7〜図13は、振動モータの基準波形とこの基準波形に対して振動数を5%宛少なくした場合の波形を示す。
図7は、振動数47.5〔Hz〕、遠心力(荷重)5.39〔kN〕としたときを基準とする波1を示す。
【0050】
図8は、振動数を基準波形の95%としたときの波2を示す。振動数45.1〔Hz〕、振幅4.86〔kN〕である。
図9は、振動数を基準波形の90%としたときの波3を示す。振動数42.8〔Hz〕、振幅4.37〔kN〕である。
図10は、振動数を基準波形の85%としたときの波4を示す。振動数40.4〔Hz〕、振幅3.89〔kN〕である。
【0051】
図11は、振動数を基準波形の80%としたときの波5を示す。振動数38.0〔Hz〕、振幅3.45〔kN〕である。
図12は、振動数を基準波形の75%としたときの波6を示す。振動数35.6〔Hz〕、振幅3.03〔kN〕である。
図13は、振動数を基準波形の70%としたときの波7を示す。振動数33.3〔Hz〕、振幅2.64〔kN〕である。
【0052】
図14〜図20は、2つの振動モータを互いに回転方向を逆向きとするとともに、一方の振動モータの振動数を固定し、他方の振動モータの振動数を5%宛少なくして合成した波形を示す。
図14は、波1と波2との合成波1を示す。すなわち、振動数100%と95%との合成波である。
【0053】
図15は、波1と波3との合成波2を示す。すなわち、振動数100%と90%との合成波である。
図16は、波1と波4との合成波3を示す。すなわち、振動数100%と85%との合成波である。
図17は、波1と波5との合成波4を示す。すなわち、振動数100%と80%との合成波である。
【0054】
図18は、波1と波6との合成波5を示す。すなわち、振動数100%と75%との合成波である。
図19は、波1と波7との合成波6を示す。すなわち、振動数100%と70%との合成波である。
図20は、波1と波1との合成波7を示す。すなわち、振動数100%と100%との合成波である。
【0055】
図21は、波1と波1との合成波8を間欠的に示す。すなわち、2つの振動モータの回転方向を互いに逆向きにするとともに、振動数を等しくし、かつ間欠的に運転した場合の合成波を示す。
図22は、2つの振動モータの回転方向と振動数を同じにした場合の合成波9を示す。この場合には、木材56に振動を与えることができず、本発明の目的を達成することができなかった。
【0056】
なお、本実施形態で示された振動数、振幅を一例であって、用途目的に応じて適宜変更することは言うまでもない。
また、本発明は、木材の乾燥に限らず、減圧加圧することにより木材に液体、気体を注入する場合に適用できることは勿論のこと、物質の乾燥、分離に適用しても、従来に比して効果的に物質の乾燥、分離を行うことが可能となる。
【0057】
【発明の効果】
本発明によれば、木材に直接振動を与えることにより木材内部の水分移動が促進されるので、乾燥時間の短縮が可能となり、高温乾燥でも変色する前に乾燥を終了することができる。
また、本発明によれば、木材の表面割れを抑制することができる。
また、本発明によれば、木材の内部割れを抑制することができる。
また、本発明によれば、木材の変色を抑制することができる。
【0058】
また、本発明によれば、木材の反りを抑制することができる。
また、本発明によれば、木材のねじれを抑制することができる。
また、本発明によれば、木材内部までの均一な乾燥を行うことができる。
また、本発明によれば、乾燥設備のイニシャルコストを削減することができる。
また、本発明によれば、乾燥設備のランニングコストの削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る乾燥装置Aと台車21とを示す説明図である。
【図2】図1の縦断面図である。
【図3】図1の台車21の要部を示す拡大図である。
【図4】本発明の別の実施形態に係る台車50を示す説明図である。
【図5】図4の側面図である。
【図6】図4の平面図である。
【図7】振動数47.5〔Hz〕、遠心力(荷重)5.39〔kN〕としたときを基準とする波1を示す。
【図8】振動数を基準波形の95%としたときの波2を示す。
【図9】振動数を基準波形の90%としたときの波3を示す。
【図10】振動数を基準波形の85%としたときの波4を示す。
【図11】振動数を基準波形の80%としたときの波5を示す。
【図12】振動数を基準波形の75%としたときの波6を示す。
【図13】振動数を基準波形の70%としたときの波7を示す。
【図14】波1と波2との合成波1を示す。
【図15】波1と波3との合成波2を示す。
【図16】波1と波4との合成波3を示す。
【図17】波1と波5との合成波4を示す。
【図18】波1と波6との合成波5を示す。
【図19】波1と波7との合成波6を示す。
【図20】波1と波1との合成波7を示す。
【図21】波1と波1との合成波8を間欠的に示す。
【図22】2つの振動モータの回転方向と振動数を同じにした場合の合成波9を示す。
【符号の説明】
A 乾燥装置
1 容器
2 断熱材
3 加熱装置
4 制御盤
5 乾球調節計
6 乾球温度計
7 加湿装置
8 湿球調節計
9 除湿装置
10 湿球温度計
11 加圧装置
12 圧力調節計
13 減圧装置
14 圧力計
15 攪拌装置
16 撹拌装置用インバータ
17 結露水排水口
18,31 開閉弁
19,55 振動発生装置
20 振動伝達装置
21,50 台車
22 桟木
23 振動発生装置用インバータ
24 圧力開放弁
25,56 木材
26 開閉蓋
27 注入排水槽
29 冷却装置
40 熱伝達部材

Claims (9)

  1. 木材を前処理する際に、木材を容器内に収容し、加熱しながら木材に直接振動を与え、木材内の水分または成分を木材内部より外部へ移動させることを特徴とする木材の処理方法。
  2. 木材を乾燥する際に、木材を容器内に収容し、加熱しながら木材に直接振動を与え、木材内の水分または成分を木材内部より外部へ移動させることを特徴とする木材の処理方法。
  3. 請求項1または請求項2記載の木材の処理方法において、容器内を加熱しながら木材に直接振動を与えるとともに加圧、加湿して、木材の中心部の温度が上昇するまで木材を蒸煮し、その後、容器内を大気圧とすることを特徴とする木材の処理方法。
  4. 請求項記載の木材の処理方法において、容器内を加熱しながら木材に直接振動を与えるとともに加圧、加湿して、木材の中心部の温度が上昇するまで木材を蒸煮し、その後、容器内を大気圧とし、次に、容器内の温湿度を調節しながら木材に直接振動を与えて木材を乾燥し、次に、木材に直接振動を与えながら容器内を減圧し、次に、容器内を大気圧とし、次に、木材に直接振動を与えながら容器内の温湿度を調節して調湿を行い、次に、木材に直接振動を与えながら容器内を除湿して木材を冷却することを特徴とする木材の処理方法。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項記載の木材の処理方法において、容器内に収容される台車上に木材を桟木を介して積載するとともに、各桟木間に高熱伝導率の熱伝達部材を介挿して木材への伝熱を一定にすることを特徴とする木材の処理方法。
  6. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項記載の木材の処理方法において、容器内に収容される台車上に弾性部材を介して設けられた固定枠内に木材を桟木を介して積載するとともに、各固定枠の長手方向に振動発生装置をそれぞれ配置し、両振動発生装置の回転方向を相互に異ならせることを特徴とする木材の処理方法。
  7. 請求項記載の木材の処理方法において、両振動発生装置の振動数を等しくすることを特徴とする木材の処理方法。
  8. 請求項記載の木材の処理方法において、両振動発生装置の振動数を相互に異ならせることを特徴とする木材の処理方法。
  9. 請求項6または請求項記載の木材の処理方法において、両振動発生装置を間欠運転することを特徴とする木材の処理方法。
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