JP3590624B2 - 位置検出装置およびその位置検出回路ならびにその検査方法 - Google Patents

位置検出装置およびその位置検出回路ならびにその検査方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は位置検出装置、とくに一相励磁二相出力方式のレゾルバと組み合わされてレゾルバの回転角度を検出する位置検出装置およびその位置検出回路ならびにこの位置検出回路の検査方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
回転角度位置を検出する位置検出装置として、従来より一相励磁二相出力方式のレゾルバと位置検出回路とを組み合わせて回転角度を検出する位置検出装置が知られている。この従来の位置検出装置の構成例として、図6に示されるものがある。図6において、符号1は一相励磁二相出力型のレゾルバを模式的に表したものであり、ロータ4、励磁コイル5、二次コイル(SIN)6および二次コイル(COS)7を有する。符号2は位置検出回路を模式的に表したものであり、励磁回路8、入力インターフェイス回路9および信号処理回路12を有する。入力インターフェイス回路9を構成する主なものとして差動増幅器A10および差動増幅器B11を図示している。信号処理回路12は、励磁コイル5への励磁信号と出力コイル6、7からの変調出力信号を処理する例えばR/Dコンバータ(レゾルバ/ディジタルコンバータ)である。符号3はレゾルバ1と位置検出装置2を結ぶ信号伝送回路である。
【0003】
この従来装置では、まず励磁回路8にて励磁信号として周期信号ER1R2(一般的には正弦波信号)を生成する。信号伝送回路3を経て励磁コイル5にこの周期信号ER1R2を入力すると、ロータ4の回転角度θに応じた誘導電圧が変調出力信号として二次コイル(SIN)6および二次コイル(COS)7の両端に発生する。ここで、二次コイル(SIN)6には正弦波状に振幅変調された振幅変調信号ES2S4が、また出力コイル(COS)7には余弦波状に振幅変調された振幅変調信号ES1S3が、それぞれ誘起される。これらの振幅変調信号が、すなわちレゾルバの位置信号であり、以降は信号ES2S4を振幅変調信号(SIN)、信号ES1S3を振幅変調信号(COS)と表記する。振幅変調信号(SIN)及び振幅変調信号(COS)は信号伝送回路3を経て入力インターフェイス回路9に入力される。振幅変調信号(SIN)および振幅変調信号(COS)は入力インターフェイス回路9内の差動増幅器A10および差動増幅器B11にて信号増幅され、励磁回路8からの励磁信号と共に信号処理回路12、すなわちR/Dコンバータへ取り込まれる。R/Dコンバータ12では、例えばトラッキング方式といったレゾルバ/ディジタル(R/D)変換方式により信号処理が行われ、レゾルバ1の回転角度検出値が算出される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の位置検出回路2は、入力インターフェイス回路9を代表としてアナログ回路を用いて構成されており、信号処理回路12から得られる回転角度の角度検出値はアナログ回路の電気特性や回路素子のばらつきの影響を受け易いものである。すなわち、理想的な信号を出力するレゾルバと組み合わせたとしても、位置検出回路2に固有の特性によって角度検出値には誤差が混入して検出精度は粗くなる。このためレゾルバとの組み合わせにおいて、角度検出誤差を正確に見積もり、極めて良好な検出精度を確保した位置検出装置の実現は困難であった。
【0005】
この発明はこのような問題を解決するためになされたものであり、位置検出回路における角度検出誤差を算出し、この角度検出誤差の影響を補償してより正確な角度検出値を得ることのできる位置検出装置を提案することを目的とする。
また、この発明はこのような問題を解決するためになされたものであり、角度検出誤差を算出し、この角度検出誤差の影響を補償してより正確な角度検出値を得ることのできる位置検出回路を提案することを目的とする。
また、この発明は角度検出誤差を算出し、この角度検出誤差を用いた位置検出回路の検査方法を提案することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明による位置検出装置は、励磁信号により励磁される励磁コイルと、SIN成分の振幅変調信号を出力するSIN二次コイルと、COS成分の振幅変調信号を出力するCOS二次コイルとを有するレゾルバ、および信号処理回路と擬似位置信号生成手段とを有する位置検出回路を備え、
前記信号処理回路は、前記励磁信号と、前記SIN成分の振幅変調信号と、前記COS成分の振幅変調信号とを受けて、これらに基づき前記レゾルバの回転角度に応じた角度検出値を出力し、
前記擬似位置信号生成手段は、前記SIN成分の振幅変調信号と前記COS成分の振幅変調信号を、前記レゾルバの特定の回転角度に対応したSIN擬似位置信号とCOS擬似位置信号とするものであり、
前記擬似位置信号生成手段が、前記レゾルバの0度、90度、180度、および270度の中から選択された特定の回転角度に対応して、前記SIN成分の振幅変調信号とCOS成分の振幅変調信号の一方のみを短絡することにより、前記SIN擬似位置信号とCOS擬似位置信号の一方のみを0とした状態で、前記信号処理回路が検出誤差を算出することを特徴とする
【0007】
請求項2の発明による位置検出装置は、請求項1記載の位置検出装置であって、前記位置検出回路が検出精度算出手段を有し、この検出精度算出手段が、前記特定の励磁信号と特定の振幅変調信号とによる前記信号処理回路の出力に基づいてその検出精度を算出することを特徴とする
【0008】
請求項3記載の発明による位置検出装置は、請求項1記載の位置検出装置であって、前記位置検出回路が検出値補正出力手段を有し、この検出値補正出力手段が前記レゾルバの全回転範囲に亘って、前記検出誤差に基づく角度検出値の補正出力を発生することを特徴とする
【0009】
請求項4の発明による位置検出装置は、請求項1から3の何れかに記載の位置検出装置であって、前記擬似位置信号生成手段は、さらに前記SIN成分の振幅変調信号と前記COS成分の振幅変調信号を、前記レゾルバの45度、135度、225度、315度の中から選択された特定の回転角度に対応したSIN擬似位置信号とCOS擬似位置信号とすることを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明による位置検出回路は、励磁信号により励磁される励磁コイルと、SIN成分の振幅変調信号を出力するSIN二次コイルと、COS成分の振幅変調信号を出力するCOS二次コイルとを有するレゾルバに組合される位置検出回路であって、
前記励磁信号と前記SIN成分の振幅変調信号と前記COS成分の振幅変調信号とを受け、これらに基づき前記レゾルバの回転角度に応じた角度検出値を出力する信号処理回路、および
前記SIN振幅変調信号と前記COS振幅変調信号を、前記レゾルバの特定の回転角度に対応したSIN擬似位置信号とCOS擬似位置信号とする擬似位置信号生成手段を備え、
前記擬似位置信号生成手段が、前記レゾルバの0度、90度、180度、および270度の中から選択された特定の回転角度に対応して、前記SIN成分の振幅変調信号とCOS成分の振幅変調信号の一方のみを短絡して、前記SIN擬似位置信号と前記COS擬似位置信号の一方を0とした状態で、前記信号処理回路が検出誤差を算出することを特徴とする。
請求項6の発明による位置検出回路は、請求項記載の位置検出回路であって、さらに検出精度算出手段を有し、この検出精度算出手段が、前記特定の回転角度における前記信号処理回路の出力に基づいてその検出精度を算出することを特徴とする
【0011】
請求項7の発明による位置検出回路は、請求項5記載の位置検出回路であって、検出値補正出力手段を有し、この検出値補正出力手段が前記レゾルバの全回転範囲に亘って、前記検出誤差に基づく角度検出値の補正出力を発生することを特徴とする
【0012】
請求項8の発明による位置検出回路は、請求項5から7の何れかに記載の位置検出装置であって、前記擬似位置信号生成手段は、さらに前記SIN成分の振幅変調信号と前記COS成分の振幅変調信号を、前記レゾルバの45度、135度、225度、315度の中から選択された特定の回転角度に対応したSIN擬似位置信号とCOS擬似位置信号とすることを特徴とする
【0013】
請求項9記載の発明による位置検出回路は、励磁信号により励磁される励磁コイルと、SIN成分の振幅変調信号を出力するSIN二次コイルと、COS成分の振幅変調信号を出力するCOS二次コイルとを有するレゾルバに組合される位置検出回路であって、
前記励磁信号と同じ周波数でその振幅を変えた変換励磁信号を出力する電位変換回路、
前記変換励磁信号に基づき、レゾルバの特定の回転角度における前記SIN成分の振幅変調変調信号とCOS成分の振幅変調信号にそれぞれ擬似するSIN擬似位置信号とCOS擬似位置信号を出力する擬似位置信号生成手段、および
前記SIN擬似位置信号と前記COS擬似位置信号と前記励磁信号とに基づきレゾルバの特定の回転角度に対応した角度検出値の検出誤差を出力する信号処理回路を備え、
レゾルバに接続されない状態で、前記信号処理回路が前記特定の回転角度に対応した角度検出値の検出誤差を出力することを特徴とする
【0014】
請求項10の発明による位置検出回路は、請求項記載の位置検出回路であって、前記擬似位置信号発生手段が、レゾルバの0度、90度、180度、270度の中から選択された特定の回転角度に対応した前記SIN擬似位置信号とCOS擬似位置信号を出力することを特徴とする
【0015】
請求項11の発明による位置検出回路は、請求項10記載の位置検出回路であって、前記擬似位置信号発生手段は、前記変換励磁信号を短絡することにより、レゾルバの前記特定の回転角度に対応する前記SIN擬似位置信号とCOS擬似位置信号の一方のみを0とすることを特徴とする。
請求項12の発明による位置検出回路は、請求項記載の信号検出回路であって、前記擬似位置信号生成手段が、レゾルバの45度、135度、225度、315度の中から選択された特定の回転角度に対応したSIN擬似位置信号とCOS擬似位置信号を出力することを特徴とする
【0016】
請求項13の発明による位置検出回路は請求項12記載の位置検出回路であって、前記擬似位置信号発生手段が、レゾルバの45度、135度、225度、315度の中から選択された特定の回転角度に対応した前記SIN擬似位置信号と前記COS擬似位置信号を出力するときに、前記電位変換回路が、前記励磁信号の振幅を(1/√2)倍することを特徴とする
【0017】
請求項14の発明による位置検出回路の検査方法は、励磁信号により励磁される励磁コイルと、SIN成分の振幅変調信号を出力するSIN二次コイルと、COS成分の振幅変調信号を出力するCOS二次コイルとを有するレゾルバに組合される位置検出回路の検査方法であって、前記位置検出回路は、
前記励磁信号と前記SIN成分の振幅変調信号と前記COS成分の振幅変調信号とを受け、これらに基づきレゾルバの回転角度に応じた角度検出値を出力する信号処理回路、および
前記SIN成分の振幅変調信号と前記COS成分の振幅変調信号を、レゾルバの特定の回転角度に対応したSIN擬似位置信号とCOS擬似位置信号とする擬似位置信号生成手段を備えており、
前記擬似位置信号生成手段が、レゾルバの0度、90度、180度、および270度の中から選択された特定の回転角度に対応して、前記SIN成分の振幅変調信号と前記COS成分の振幅変調信号の一方のみを短絡しすることにより、前記SIN擬似位置信号と前記COS擬似位置信号の一方のみを0とした状態で、前記信号処理回路が検出誤差を算出し、この検出誤差に基づいて前記位置検出回路の検査が行なわれることを特徴とする。
請求項15の発明による位置検出回路の検査方法は、励磁信号により励磁される励磁コイルと、SIN成分の振幅変調信号を出力するSIN二次コイルと、COS成分の振幅変調信号を出力するCOS二次コイルとを有するレゾルバに組合される位置検出回路の検査方法であって、前記位置検出回路は、
前記励磁信号と同じ周波数でその振幅を変換した変換励磁信号を出力する電位変換回路、
前記変換励磁信号に基づき、レゾルバの特定の回転角度における前記SIN成分の振幅変調信号とCOS成分の振幅変調信号にそれぞれ擬似したSIN擬似位置信号とCOS擬似位置信号を出力する擬似位置信号生成手段、および
前記SIN擬似位置信号と前記COS擬似位置信号と前記励磁信号とに基づきレゾルバの特定の回転角度に対応した角度検出値の検出誤差を出力する信号処理回路を備えており、
レゾルバに接続されない状態で、前記信号処理回路が前記特定の回転角度に対応した角度検出値の検出誤差を出力し、この検出誤差に基づいて前記位置検出回路の検査が行なわれることを特徴とする
【0018】
【発明の実施の形態】
以下この発明の実施の形態について説明する。
実施の形態1.
この図1は、レゾルバ1と位置検出回路2を組み合わせたこの発明による位置検出装置の実施の形態1を示す。この実施の形態は同時にこの発明による位置検出回路の実施の形態1でもある。レゾルバ1は一相励磁、二相出力のレゾルバであり、ロータ4、励磁(一次)コイル5、二次コイル(SIN)6および二次コイル(COS)7を有している。位置検出回路2は、励磁回路8、入力インターフェイス回路9、信号処理回路(R/Dコンバータ)12、検出精度算出手段13、擬似位置信号生成手段14および検出値補正出力手段17を有している。レゾルバ1と位置検出回路2は、信号伝送回路3により接続されている。この信号伝送回路3は、信号伝送線R1、R2、S1、S2、S3、S4を有する。
【0019】
位置検出回路2の励磁回路8は、信号伝送線R1、R2によりレゾルバ1の励磁コイル5に接続されている。入力インターフェイス回路9は、差動増幅器A10と差動増幅器B11を有する。擬似位置信号生成手段14は、生成角度指示部15と角度切替部16を有し、角度切替部16は切替スイッチ16a、16bを有する。差動増幅器A10の一対の入力端は切替スイッチ16aを介して信号伝送線S2、S4により二次コイル(SIN)6に接続されている。切替スイッチ16aは、差動増幅器A10の一対の入力端を短絡する第1位置と、その一対の入力端を二次コイル(SIN)6の両端に接続する第2位置とを切替できるように接続されている。また差動増幅器B11の一対の入力端は切替スイッチ16bを介して信号伝送線S1、S3により二次コイル(COS)7に接続されている。切替スイッチ16bは、差動増幅器B11の一対の入力端を短絡する第1位置と、その一対の入力端を二次コイル(COS)7の両端に接続する第2位置とを切替できるように接続されている。生成角度指示部15は、検出精度算出手段13から与えられる角度指示に基づき、切替スイッチ16a、16bを切り替える。
【0020】
信号処理回路12は、例えばR/Dコンバータ(レゾルバ/ディジタルコンバータ)である。この信号処理回路12は、励磁回路8からの励磁信号ER1R2を取り込み、また二次コイル(SIN)6からの正弦波状に振幅変調された振幅変調信号(SIN)を差動増幅器10で増幅した信号と、二次コイル(COS)7からの余弦波状に振幅変調された振幅変調信号(COS)を差動増幅器11で増幅した信号を取り込む。信号処理回路12は2つの出力ポートを有し、1つの出力ポートは検出精度算出手段13に接続され、他の出力ポートは検出値補正出力手段17に接続されている。
【0021】
実施の形態1の動作について説明する。まず、励磁回路8にて周期信号(一般的には正弦波信号)である励磁信号ER1R2を生成し、信号伝送線R1、R2を経てレゾルバ1の励磁コイル5に入力する。この時、ロータ4の回転角度θに応じた誘導電圧が二次コイル(SIN)6、二次コイル(COS)7の両端に発生する。ここで二次コイル(SIN)6には正弦波状に振幅変調された振幅変調信号(SIN)ES2S4が、また出力コイル(COS)7には余弦波状に振幅変調された振幅変調信号(COS)ES1S3が誘起される。ここで、レゾルバ1の理想的な励磁信号ER1R2、および振幅変調信号ES2S4、ES1S3は、それぞれ次の(式1)(式2)(式3)で表される。
【0022】
励磁信号 ER1R2=E・sin(2πfref・t) (式1)
振幅変調信号(SIN) ES2S4=K・E・sinθ・sin(2πfref・t) (式2)
振幅変調信号(COS) ES1S3=K・E・cosθ・sin(2πfref・t) (式3)
ただし Kは励磁コイル5に対する出力コイル6、7の変圧比、θはロータ4の回転角度、frefは励磁信号ER1R2の周波数である。
【0023】
図2は共通の横軸、すなわち時間軸[ms]に対して、レゾルバ1の回転角度θが単調増加している場合の励磁信号、振幅変調信号の波形例を示している。図2(a)は時間軸[ms]に対するレゾルバ1の回転角度θの変化を示し、図2(b)は励磁信号ER1R2の変化、図2(c)は振幅変調信号(SIN)ES2S4の変化、図2(d)は振幅変調信号(COS)ES1S3の変化をそれぞれ示している。
【0024】
励磁信号ER1R2は励磁回路8から直接信号処理回路12に取り込まれる。振幅変調信号(SIN)および振幅変調信号(COS)は信号伝送線S1からS4を経て擬似位置信号生成手段14の角度切替部16を通過し、入力インターフェイス回路9に入力される。続いて入力インターフェイス回路9内の差動増幅器A10、差動増幅器B11にて信号増幅され、励磁回路8からの励磁信号と共に信号処理回路12へ取り込まれた後、レゾルバ/ディジタル(R/D)変換されて回転角度が算出される。ここで、位置検出装置2は入力インターフェイス回路9を代表としてアナログ回路を主体に構成されることから構成回路の電気特性や回路素子の影響を受け易く、角度検出値にはこれらに起因して誤差を含むこととなる。この誤差を含むとした時の振幅変調信号(SIN)E′S2S4および振幅変調信号(COS)E′S1S3は、例えば次の(式4)(式5)のように表すことができる。
【0025】
振幅変調信号(SIN)
E′S2S4=E・[KS2S4_0+KS2S4_1・sinθ]・sin(2πfref・t) (式4)
振幅変調信号(COS)
E′S1S3=E・[KS1S3_0+KS1S3_1・cos(θ+ψ)]・sin(2πfref・t) (式5)
(式4)、(式5)において、
条件1) KS2S4_0=KS1S3_0
条件2) KS2S4_1=+KS1S3_1=K
条件3) ψ=0
の全てが成立する場合には、誤差を含まない理想的な振幅変調信号ES2S4(式2)およびES1S3(式3)となる。
【0026】
さて、条件1)、2)、3)が成立しないことによる角度検出誤差への影響は図3のように表される。図3(a)は条件1)に関し
S2S4_0=0.5×KS2S4_1, KS1S3_0=0の場合を示しており、回転角度θに対して基本波の角度検出誤差を持つ。図3(b)は条件1)に関し
S2S4_0=0, KS1S3_0=0.5×KS1S3_1の場合を示しており、同じく回転角度θに対して基本波の角度検出誤差を持つ。図3(c)は条件2)に関し
S2S4_1=0.5×KS1S3_1の場合を示しており、回転角度θに対して二次高調波の角度検出誤差を持つ。図3(d)は条件3)に関しψ=20度の場合を示しており、回転角度θに対して基本波成分の絶対量様の誤差が重畳している。なお、図3(a)〜(d)において、実線は角度θの真値を示し、点線は角度検出値を示す。
【0027】
ここで、特定の角度θ=0度、45度、90度、135度、180度、225度、270度、315度における理想的な振幅変調信号は図4のようになる。図4において、レゾルバ1の回転角度θは左欄の角度θの欄に示されており、この角度θに対する振幅変調信号(SIN)ES2S4と振幅変調信号(COS)ES1S3が右の(SIN)欄と(COS)欄にそれぞれ示されている。
【0028】
図4から明らかな通り、回転すなわち、レゾルバ角度0度、及び、180度の場合には、振幅変調信号(SIN)=0であり、また、90度、及び、270度の場合には、振幅変調信号(COS)=0である。振幅変調信号(SIN)=0の状態は、切替スイッチ16aによって差動増幅器10の一対の入力端間を短絡し、信号伝送線S2、S4間を短絡することによって模擬することができ、また振幅変調信号(COS)=0の状態は、切替スイッチ16bによって差動増幅器11の一対の入力端間、信号伝送線S1、S3間を短絡することによって模擬できる。
またレゾルバ角度45度の場合には、各振幅変調信号(SIN)(COS)の振幅は等しく励磁信号と同位相であり、角度225度の場合には、各振幅変調信号(SIN)(COS)の振幅は等しく励磁信号と逆位相となる。
さらにレゾルバ角度135度の場合には、各振幅変調信号(SIN)(COS)の振幅は等しく、(SIN)側が励磁信号と同位相で、(COS)側が励磁信号と逆位相であり、また角度315度の場合は各振幅変調信号(SIN)(COS)の振幅は等しく、(SIN)側が励磁信号と逆位相で、(COS)側が励磁信号と同位相となる。
【0029】
この発明は、これら特定の角度における振幅変調信号を用いて角度検出誤差、角度検出精度を算出し、この結果に基づいて角度検出値の誤差を補正して出力する。すなわち、検出精度算出手段13は上記特定角度を適宜選択して擬似位置信号生成手段14へその選択角度を通知する。この実施の形態1では、選択角度をθ=0度、90度、180度、270度の中から選択する。
【0030】
実施の形態1において、擬似位置信号生成手段14は生成角度指示部15と角度切替部16とから構成され、さらに角度切替部16は切替スイッチ16a及び切替スイッチ16bから構成される。検出精度算出手段13からの選択角度は生成角度指示部15へ入力され、生成角度指示部15は選択角度に応じて切替スイッチ16a、16bを切替える。
【0031】
選択角度θ=0度、180度の場合には、切替スイッチ16aが差動増幅器A10の一対の入力端間を短絡する第1位置にあって、振幅変調信号(SIN)が短絡されるようにし、また切替スイッチ16bが第2位置にあって振幅変調信号(COS)をそのまま通過させ、差動増幅器B11の一対の入力端に入力されるように動作させる。この状態は、入力インターフェイス回路9に、レゾレバ1の回転角度θが0度、180度である場合に相当する特定の振幅変調信号(SIN)(COS)を擬似的に与える状態である。
【0032】
また、選択角度がθ=90度、270度の場合には、切替スイッチ16bが差動増幅器B11の一対の入力端間を短絡する第1位置にあって、振幅変調信号(COS)が短絡されるようにし、また切替スイッチ16aが第2位置にあって振幅変調信号(SIN)をそのまま通過させ、差動増幅器A10の一対の入力端に入力されるように動作させる。この状態は、入力インターフェイス回路9に、レゾレバ1の回転角度θが90度、270度である場合に相当する特定の振幅変調信号(SIN)(COS)を擬似的に与える状態である。
【0033】
切替スイッチ16a、16bによって擬似的に与えられた特定の振幅変調信号(SIN)(COS)はそれぞれ入力インターフェイス回路9を経て信号処理回路12に入力され、この信号処理回路12は選択された特定角度を模擬した特定の振幅変調信号(SIN)(COS)に対する角度検出値が算出される。この特定の振幅変調信号(SIN)(COS)から算出された角度検出値と、それぞれの特定の振幅変調信号(SIN)(COS)に対応する特定角度との偏差が、その特定角度における位置検出回路2に固有の角度検出誤差である。検出精度算出手段13は上記選択角度を0度、90度、180度および270度に順次切り換えてそれぞれの選択角度における各角度検出誤差を認識し角度検出精度を算出する。
【0034】
算出された角度検出精度は検出値補正出力手段17へ通知される。検出値補正出力手段17は上記特定角度を含んで全角度範囲(0度〜360度)の角度検出誤差を補間して算出する。補間演算に際しては線形近似、多項式近似等を用いれば良く、あるいは(式4)、(式5)に照らし合わせて角度θの基本波成分誤差、二次高調波成分誤差などに分類して補間すれば、なお好適である。
【0035】
検出値補正出力手段17にて全角度範囲(0度〜360度)での角度検出誤差補間演算が終了すれば、検出値補正出力手段17より検出精度算出手段13を経て擬似位置信号生成手段14へ特定角度を模擬するのではなく、通常にレゾルバ角度を検出するよう通知される。生成角度指示部15はこの通知により切替スイッチ16a、切替スイッチ16bをともに第2位置、すなわち二次コイル(SIN)6からの振幅変調信号(SIN)と、二次コイル(COS)7からの振幅変調信号(COS)がそのまま通過して、それぞれ差動増幅器A10、B11の各入力端に与えられるよう動作させる。この状態において、レゾルバ1からの振幅変調信号(SIN)(COS)は入力インターフェイス回路9を経て信号処理回路12に入力されて角度検出値が算出される。
【0036】
続いて、信号処理回路12からの角度検出値は検出値補正出力手段17へ入力される。検出値補正出力手段17は、補間して得られた全角度範囲の角度検出誤差に応じて誤差を補正して補正後角度検出値を出力する。
【0037】
以上のようにして、実施の形態1によれば、位置検出回路2を構成する主にアナログ回路の電気特性や回路素子のばらつきに起因する位置検出回路2に固有の角度検出誤差を正確に見積もり、さらにこれを補正して極めて良好な精度で位置検出を行なうことができる。
また、実施の形態1における検出精度算出手段13は、特定の励磁信号と特定の振幅変調信号とによる信号処理回路12の出力に基づいてその検出誤差を算出するものであり、この検出精度算出手段13によって、容易に位置検出回路2に固有の角度検出誤差を検出することができる。
【0038】
また、実施の形態1における検出値補正出力手段17は、レゾルバ1の全回転範囲に亘って、検出誤差に基づく角度検出値の補正出力を発生するものであり、この検出値補正出力手段17によって、レゾルバの0度から360度の全角度範囲にわたって角度検出誤差を補償して検出値を算出することができる。
また、実施の形態1における擬似位置信号生成手段14は、特定の励磁信号と特定の振幅変調信号を生成するものであり、この擬似位置信号生成手段14を用いることにより、レゾルバ1から特定の回転角度に相当する特定の励磁信号および振幅変調信号を実際に出力することなく、位置検出回路2に固有の角度検出誤差を検出することができる。このことにより、位置検出回路2の製造後の品質検査やレゾルバと組み合わせて機器に実装した後の特性検査の過程においても、位置検出回路2に固有の角度検出誤差の見積りや、角度検出誤差の補償を容易とする。
さらに、実施の形態1では、特定の回転角度を、前記レゾルバの0度、90度、180度、270度の回転角度の中から選択するものであり、この特定の回転角度の選択により、特定の回転角度に相当する特定の励磁信号および特定の変調出力信号を容易に設定でき、擬似信号位置生成手段を簡単化できる。
【0039】
実施の形態2.
図5はこの発明による位置検出装置の実施の形態2を示す。この実施の形態は同時にこの発明による位置検出回路の実施の形態2でもある。この実施の形態2は、位置検出回路2の検出誤差を算出する場合に、特定の選択角度θを、実施の形態1の0度、90度、180度、270度に加え、45度、135度、225度、315度にも設定できるようにしたものである。このため、実施の形態1に比べ、擬似位置信号生成手段14に改良が加えられ、また新たに電位変換回路18が設けられている。その他の構成は実施の形態1と同じであり、実施の形態1の位置検出回路2と同じ部分を同じ符号で示し、説明を省略する。
なお、実施の形態2では、特に位置検出回路2の検出誤差算出段階では、位置検出回路2をレゾルバ1に接続する必要がないので、図5ではレゾルバ1および信号伝送回路3を省略している。
【0040】
図5において、検出精度算出手段13は特定角度を適宜選択して擬似位置信号生成手段14及び電位変換回路18へ選択角度を通知する。ここでこの実施の形態2では、検出精度算出手段13による選択角度をθ=0度、45度、90度、135度、180度、225度、270度、315度とする。
【0041】
電位変換回路18は励磁回路8に接続されており、変換出力線R1′、R2′を有する。この電位変換回路18は、検出精度算出手段13からの選択角度θ=0度、90度、180度、270度の場合には、励磁信号ER1R2の振幅をレゾルバ1の変圧比Kに電位変換して出力する。また、θ=45度、135度、225度、315度の場合には、励磁信号の振幅を変圧比K/√2に電位変換して出力する。
【0042】
擬似位置信号生成手段14は、切替スイッチ16a、16bに加え、切替スイッチ16c、16dを有する。切替スイッチ16c、16dは、それぞれ3つの固定接点を切替える一対の連動する切替スイッチSW1、SW2を有する。切替スイッチ16cの切替スイッチSW1の左固定接点は信号伝送線S4に、その右固定接点は電位変換回路18の出力線R2′に、またその中央固定接点は電位変換回路18の出力線R1′にそれぞれ接続される。切替スイッチ16cの切替スイッチSW2の左固定接点は信号伝送線S2に、その右固定接点は電位変換回路18の出力線R1′に、またその中央固定接点は出力線R2′にそれぞれ接続される。
切替スイッチ16dの切替スイッチSW1の左固定接点は信号伝送線S3に、その右固定接点は出力線R2′に、またその中央固定接点は出力線R1′にそれぞれ接続される。切替スイッチ16dの切替スイッチSW2の左固定接点は信号伝送線S1に、その右固定接点は出力線R1′に、その中央固定接点は出力線R2′にそれぞれ接続される。
【0043】
切替スイッチ16cの切替スイッチSW1の可動接点は差動増幅器A10の一方の入力端に接続されるとともに、切替スイッチ16aの一方の固定接点に接続されている。また切替スイッチ16aの切替スイッチSW2の可動接点は、切替スイッチ16aの他方の固定接点に接続されている。なお、切替スイッチ16aの可動接点は差動増幅器A10の他方の入力端に接続されている。
切替スイッチ16dの切替スイッチSW1の可動接点は、差動増幅器B11の一方の入力端に接続されるとともに、切替スイッチ16bの一方の固定接点に接続され、また切替スイッチ16dの切替スイッチSW2の可動接点は切替スイッチ16bの他方の固定接点に接続されている。なお、切替スイッチ16bの可動接点は差動増幅器B11の他方の入力端に接続されている。
【0044】
検出精度算出手段13がレゾルバ1の回転角度0度、180度に相当する選択角度を指示する場合には、切替スイッチ16aは差動増幅器A10の一対の入力端を短絡する第1位置となり、また切替スイッチ16bは信号をそのまま通過させる第2位置になる。さらに、選択角度が0度の場合には、切替スイッチ16dはそれらの切替スイッチSW1、SW2がいずれも中央固定接点を選択する状態になる。この状態では、電位変換回路18が変圧比Kで出力K・E・sin(2πfref・t)を出しており、切替スイッチ16dの切替スイッチSW1、SW2の各可動接点には、電位変換回路18からの出力が同位相で現われる。結果として、切替スイッチ16aは、差動増幅器A10の入力端を短絡するので、入力インターフェイス回路9への振幅変調信号(SIN)は0となり、一方切替スイッチ16bは電位変換回路18の出力を同位相のままで通過させ、差動増幅器B11に与えるので、図4の角度θが0度に相当する振幅変調信号(SIN)(COS)が入力インターフェイス回路9に与えられる。
また、選択角度が180度の場合には、切替スイッチ16dのスイッチSW1、SW2がともに右固定接点に切り替わるため、電位変換回路18の出力が逆位相となって差動増幅器B11に与えられ、結果として、図4の角度θが180度に相当する振幅変調信号(SIN)(COS)が入力インターフェイス回路9に与えられる。
【0045】
検出精度算出手段13がレゾルバ1の回転角度90度、270度に相当する選択角度を指示する場合には、切替スイッチ16aは信号をそのまま通過させる第2位置となり、また切替スイッチ16bは差動増幅器B11の入力端を短絡する第1位置となる。さらに選択角度が90度の場合には、切替スイッチ16cはそれらの切替スイッチSW1、SW2がいずれも中央固定接点を選択する状態になる。この状態では、電位変換回路18は変圧比Kで出力K・E・sin(2πfref・t)を出力しており、切替スイッチ16cの切替スイッチSW1、SW2の各可動接点には、電位変換回路18の出力が同相で現われ、これが差動増幅器A10に与えられる。結果として、切替スイッチ16aは、電位変換回路18の出力をそのまま差動増幅器A10に与え、一方切替スイッチ16bは振幅変調信号(COS)を0にして入力インターフェイス回路9に与えるので、図4の角度θが90度に相当する振幅変調信号(SIN)(COS)が入力インターフェイス回路9に与えられる。
また、選択角度が270度の場合には、切替スイッチ16cのスイッチSW1、SW2がいずれも右固定接点を選択する状態となり、電位変換回路18の出力を逆位相で差動増幅器A10に与えるので、図4の角度θが270度に相当する振幅変調信号(SIN)(COS)が入力インターフェイス回路9に与えられる。
【0046】
検出精度算出手段13が選択角度45度、135度、225度、315度を指示する場合には、切替スイッチ16a、16bはともに信号をそのまま通過させる第2位置となる。併せて、これらの選択角度が指示される場合には、電位変換回路18の出力は、K・E・(1/√2)・sin(2πfref・t)となる。さらに切替スイッチ16cは、選択角度45度、135度において、電位変換回路18の出力を同位相で通過させ、選択角度225度、315度において、その出力を逆位相で通過させるように切替られる。また、切替スイッチ16dは、選択角度45度、315度において、電位変換回路18の出力を同位相で通過させ、選択角度135度、225度においてそれを逆位相で通過させるよう切替えられる。これらの結果として、選択角度45度、135度、225度、315度において、図4の角度θが45度、135度、225度、315度の場合に相当する特定の振幅変調信号(SIN)(COS)がそれぞれ入力インターフェイス回路9に与えられる。
【0047】
以降、実施の形態1と同様にして、検出精度算出手段13は選択された各特定角度に対する角度検出誤差を認識し角度検出精度を算出する。また、これに基づき検出値補正出力手段17は上記特定角度を含んで全角度範囲(0度〜360度)の角度検出誤差を補間して算出する。ここまでの処理により、位置検出回路2に固有の角度検出誤差を明確にできる。
【0048】
また、位置検出回路2をレゾルバ1、信号伝送線3に接続して通常に位置検出装置として動作させる場合は、生成角度指示部15は各切替スイッチ16a、16b、16c、16dをレゾルバ1からの振幅変調信号(SIN)、振幅変調信号(COS)がそのまま通過するよう動作させる。切替スイッチ16c、16dの各スイッチSW1、SW2は、すべて左固定接点を選択するようにされる。その結果、それぞれの振幅変調信号(SIN)(COS)は入力インターフェイス回路9を経て信号処理回路12に入力されて角度検出値が算出され、この角度検出値は検出値補正出力手段17へ入力される。続いて検出値補正出力手段17は、各特定角度における誤差を補間して得られた全角度範囲の角度検出誤差に応じて誤差を補正して補正後角度検出値を出力する。
【0049】
以上のことから、実施の形態2によれば、レゾルバ1に接続することなくレゾルバ本体が有する誤差要因を排して、位置検出回路2に固有の角度検出誤差を正確に見積もり、さらにこれを補正して極めて良好な精度で位置検出を行える位置検出装置を提供することができる。本実施の形態によればレゾルバ1、信号伝送線3に接続することなく位置検出回路2単体にて角度検出誤差を算出できるので、位置検出回路2の製造品質を検査するのに適している。角度検出誤差が所定値内に収まらない場合は、これを規格外の製品として検知することが出来る。また、実施の形態2では、特定角度の設定値を実施の形態1よりも増大するので、検出誤差をより正確に検出できる。
【0050】
実施の形態3.
この実施の形態3はこの発明による位置検出回路の検査方法の実施の形態である。この実施の形態3は、実施の形態1による位置検出回路2の検査方法であり、検出値補正出力手段17は特に必要でないので、取り外すことも可能である。
【0051】
この実施の形態3による位置検出回路2の検査では、図1に示す位置検出回路2をレゾルバ1に信号伝送回路3を介して接続した状態で、複数の位置検出回路2の品質検査が順次行われる。この位置検出回路2の検査では、検出精度算出手段13および擬似位置信号生成手段14を用いて特定の選択角度0度、90度、180度、270度における検出誤差、検出精度が算出され、それが規格値に入っている位置検出回路2は良品、それが規格値から外れた位置検出回路2は不良品と判別される。
【0052】
実施の形態4.
この実施の形態4もこの発明による位置検出回路の検査方法の実施の形態である。この実施の形態4は、実施の形態2による位置検出回路2の検査方法であり、検出値補正出力手段17は特に必要でないので、取り外すことも可能である。
【0053】
この実施の形態4による位置検出回路2の検査では、図5に示す位置検出回路2がレゾルバ1に接続することなく、複数個順次品質検査される。この位置検出回路2の検査では、検出精度算出手段13および擬似位置信号生成手段14を用いて特定の選択角度0度、45度、90度、135度、180度、225度、270度、315度における検出誤差、検出精度が算出され、それが規格値に入っている位置検出回路2は良品、それが規格値から外れた位置検出回路2は不良品と判別される。
【0054】
なお、実施の形態1、2において、励磁回路8、入力インターフェイス回路9、信号処理回路12、検出精度算出手段13、擬似位置信号生成手段14、検出値補正出力手段18を別々の要素として構成される様態を示したが、これは、R/Dコンバータあるいはマイクロコントロールユニット等に一体化される様態であっても良い。特定の角度における位置信号を用いて位置検出装置固有の角度検出精度を算出し、これを用いて誤差を補償して正確な角度(位置)検出値を出力するというこの発明の本旨を満たす様態であればいずれでも良い。
【0055】
【発明の効果】
以上述べたように、この発明の位置検出装置によれば、一相励磁二相出力方式のレゾルバと位置検出回路を組み合わせてレゾルバの回転角度を検出する位置検出装置において、レゾルバ本体が有する誤差要因を排して、位置検出回路に固有の角度検出誤差を検出し、さらにこれを補正してより良好な精度で位置検出を行える位置検出装置を提供することができる。また、レゾルバから特定の回転角度に対応する特定のSIN成分の振幅変調信号とCOS成分の振幅変調信号を実際に出力することなく、位置検出回路に固有の角度検出誤差を検出することができる。このことにより、位置検出回路の製造後の品質検査やレゾルバと組合わせて機器に実装した後の特性検査においても、位置検出回路に固有の角度検出誤差の見積もりや、角度検出誤差の補償を容易にできる。
【0056】
また、この発明の位置検出回路によれば、一相励磁二相出力方式のレゾルバに組み合わされる位置検出回路において、レゾルバ本体が有する誤差要因を排して、位置検出回路に固有の角度検出誤差を検出し、さらにこれを補正してより良好な精度で位置検出を行なうことができる。また、レゾルバから特定の回転角度に対応する特定のSIN成分の振幅変調信号とCOS成分の振幅変調信号を実際に出力することなく、位置検出回路に固有の角度検出誤差を検出することができる。このことにより、位置検出回路の製造後の品質検査やレゾルバと組合わせて機器に実装した後の特性検査においても、位置検出回路に固有の角度検出誤差の見積もりや、角度検出誤差の補償を容易にできる。
【0057】
また、この発明の位置検出回路の検査方法によれば、位置検出回路に固有の角度検出誤差を検出することにより、位置検出回路の品質検査を容易に行うことができる。また、レゾルバから特定の回転角度に対応する特定のSIN成分の振幅変調信号とCOS成分の振幅変調信号を実際に出力することなく、位置検出回路に固有の角度検出誤差を検出するこ とができる。このことにより、位置検出回路の製造後の品質検査やレゾルバと組合わせて機器に実装した後の特性検査においても、位置検出回路に固有の角度検出誤差の見積もりや、角度検出誤差の補償を容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による位置検出装置および位置検出回路の実施の形態1を示すブロック図。
【図2】実施の形態1における一相励磁二相出力方式のレゾルバの動作説明図。
【図3】実施の形態1で電気特性や回路素子の影響を受けた場合の角度検出誤差の動作説明図。
【図4】この発明の特定の角度における振幅変調信号の一覧を示す図表。
【図5】この発明による位置検出装置および位置検出回路を示すブロック図。
【図6】従来の位置検出装置の構成を示すブロック図。
【符号の説明】
1 レゾルバ 2 位置検出回路
3 信号伝送回路 4 ロータ
5 励磁コイル 6 二次コイル(SIN)
7 二次コイル(COS) 8 励磁回路
9 入力インターフェイス回路 10 差動増幅器A
11 差動増幅器B 12 信号処理回路
13 検出精度算出手段 14 擬似位置信号生成手段
15 生成角度指示部 16 角度切替部
16a、16b、16c、16d 切替スイッチ
17 検出値補正出力手段 18 電位変換回路

Claims (15)

  1. 励磁信号により励磁される励磁コイルと、SIN成分の振幅変調信号を出力するSIN二次コイルと、COS成分の振幅変調信号を出力するCOS二次コイルとを有するレゾルバ、および信号処理回路と擬似位置信号生成手段とを有する位置検出回路を備え、
    前記信号処理回路は、前記励磁信号と、前記SIN成分の振幅変調信号と、前記COS成分の振幅変調信号とを受けて、これらに基づき前記レゾルバの回転角度に応じた角度検出値を出力し、
    前記擬似位置信号生成手段は、前記SIN成分の振幅変調信号と前記COS成分の振幅変調信号を、前記レゾルバの特定の回転角度に対応したSIN擬似位置信号とCOS擬似位置信号とするものであり、
    前記擬似位置信号生成手段が、前記レゾルバの0度、90度、180度、および270度の中から選択された特定の回転角度に対応して、前記SIN成分の振幅変調信号とCOS成分の振幅変調信号の一方のみを短絡することにより、前記SIN擬似位置信号とCOS擬似位置信号の一方のみを0とした状態で、前記信号処理回路が検出誤差を算出することを特徴とする位置検出装置。
  2. 請求項1記載の位置検出装置であって、前記位置検出回路がさらに検出精度算出手段を有し、この検出精度算出手段が、前記特定の回転角度における前記信号処理回路の出力に基づいて、その検出精度を算出することを特徴とする位置検出装置。
  3. 請求項1記載の位置検出装置であって、前記位置検出回路がさらに検出値補正出力手段を有し、この検出値補正出力手段が前記レゾルバの全回転範囲に亘って、前記検出誤差に基づく角度検出値の補正出力を発生することを特徴とする位置検出装置。
  4. 請求項1から3の何れかに記載の位置検出装置であって、前記擬似位置信号生成手段は、さらに前記SIN成分の振幅変調信号と前記COS成分の振幅変調信号を、前記レゾルバの45度、135度、225度、315度の中から選択された特定の回転角度に対応したSIN擬似位置信号とCOS擬似位置信号とすることを特徴とする位置検出装置。
  5. 励磁信号により励磁される励磁コイルと、SIN成分の振幅変調信号を出力するSIN二次コイルと、COS成分の振幅変調信号を出力するCOS二次コイルとを有するレゾルバに組合される位置検出回路であって、
    前記励磁信号と前記SIN成分の振幅変調信号と前記COS成分の振幅変調信号とを受け、これらに基づき前記レゾルバの回転角度に応じた角度検出値を出力する信号処理回路、および
    前記SIN成分の振幅変調信号と前記COS成分の振幅変調信号を、前記レゾルバの特定の回転角度に対応したSIN擬似位置信号とCOS擬似位置信号とする擬似位置信号生成手段を備え、
    前記擬似位置信号生成手段が、前記レゾルバの0度、90度、180度、および270度の中から選択された特定の回転角度に対応して、前記SIN成分の振幅変調信号とCOS成分の振幅変調信号の一方のみを短絡して、前記SIN擬似位置信号と前記COS擬似位置信号の一方を0とした状態で、前記信号処理回路が検出誤差を算出することを特徴とする位置検出回路。
  6. 請求項記載の位置検出回路であって、さらに検出精度算出手段を有し、この検出精度算出手段が、前記特定の回転角度における前記信号処理回路の出力に基づいてその検出精度を算出することを特徴とする位置検出回路。
  7. 請求項5記載の位置検出回路であって、検出値補正出力手段を有し、この検出値補正出力手段が前記レゾルバの全回転範囲に亘って、前記検出誤差に基づく角度検出値の補正出力を発生することを特徴とする位置検出回路。
  8. 請求項5から7の何れかに記載の位置検出装置であって、前記擬似位置信号生成手段は、さらに前記SIN成分の振幅変調信号と前記COS成分の振幅変調信号を、前記レゾルバの45度、135度、225度、315度の中から選択された特定の回転角度に対応したSIN擬似位置信号とCOS擬似位置信号とすることを特徴とする位置検出回路。
  9. 励磁信号により励磁される励磁コイルと、SIN成分の振幅変調信号を出力するSIN二次コイルと、COS成分の振幅変調信号を出力するCOS二次コイルとを有するレゾルバに組合される位置検出回路であって、
    前記励磁信号と同じ周波数でその振幅を変えた変換励磁信号を出力する電位変換回路、
    前記変換励磁信号に基づき、レゾルバの特定の回転角度における前記SIN成分の振幅変調信号と前記COS成分の振幅変調信号にそれぞれ擬似するSIN擬似位置信号とCOS擬似位置信号を出力する擬似位置信号生成手段、および
    前記SIN擬似位置信号と前記COS擬似位置信号と前記励磁信号とに基づきレゾルバの特定の回転角度に対応した角度検出値の検出誤差を出力する信号処理回路を備え、
    レゾルバに接続されない状態で、前記信号処理回路が前記特定の回転角度に対応した角度検出値の検出誤差を出力することを特徴とする位置検出回路。
  10. 請求項記載の位置検出回路であって、前記擬似位置信号発生手段が、レゾルバの0度、90度、180度、270度の中から選択された特定の回転角度に対応した前記SIN擬似位置信号とCOS擬似位置信号を出力することを特徴とする位置検出回路。
  11. 請求項10記載の位置検出回路であって、前記擬似位置信号発生手段は、前記変換励磁信号を短絡することにより、レゾルバの前記特定の回転角度に対応する前記SIN擬似位置信号とCOS擬似位置信号の一方のみを0とすることを特徴とする位置検出回路。
  12. 請求項記載の信号検出回路であって、前記擬似位置信号生成手段が、レゾルバの45度、135度、225度、315度の中から選択された特定の回転角度に対応したSIN擬似位置信号とCOS擬似位置信号を出力することを特徴とする位置検出回路。
  13. 請求項12記載の位置検出回路であって、前記擬似位置信号発生手段が、レゾルバの45度、135度、225度、315度の中から選択された特定の回転角度に対応した前記SIN擬似位置信号と前記COS擬似位置信号を出力するときに、前記電位変換回路が、前記励磁信号の振幅を(1/√2)倍することを特徴とする位置検出回路。
  14. 励磁信号により励磁される励磁コイルと、SIN成分の振幅変調信号を出力するSIN二次コイルと、COS成分の振幅変調信号を出力するCOS二次コイルとを有するレゾルバに組合される位置検出回路の検査方法であって、前記位置検出回路は、
    前記励磁信号と前記SIN成分の振幅変調信号と前記COS成分の振幅変調信号とを受け、これらに基づきレゾルバの回転角度に応じた角度検出値を出力する信号処理回路、および
    前記SIN振幅変調信号と前記COS振幅変調信号を、レゾルバの特定の回転角度に対応したSIN擬似位置信号とCOS擬似位置信号とする擬似位置信号生成手段を備えており、
    前記擬似位置信号生成手段が、レゾルバの0度、90度、180度、および270度の中から選択された特定の回転角度に対応して、前記SIN成分の振幅変調信号と前記COS成分の振幅変調信号の一方のみを短絡することにより、前記SIN擬似位置信号と前記COS擬似位置信号の一方のみを0とした状態で、前記信号処理回路が検出誤差を算出し、この検出誤差に基づいて前記位置検出回路の検査が行なわれることを特徴とする位置検出回路の検査方法。
  15. 励磁信号により励磁される励磁コイルと、SIN成分の振幅変調信号を 出力するSIN二次コイルと、COS成分の振幅変調信号を出力するCOS二次コイルとを有するレゾルバに組合される位置検出回路の検査方法であって、前記位置検出回路は、
    前記励磁信号と同じ周波数でその振幅を変換した変換励磁信号を出力する電位変換回路、
    前記変換励磁信号に基づき、レゾルバの特定の回転角度における前記SIN成分の振幅変調信号とCOS成分の振幅変調信号にそれぞれ擬似したSIN擬似位置信号とCOS擬似位置信号を出力する擬似位置信号生成手段、および
    前記SIN擬似位置信号と前記COS擬似位置信号と前記励磁信号とに基づきレゾルバの特定の回転角度に対応した角度検出値の検出誤差を出力する信号処理回路を備えており、
    レゾルバに接続されない状態で、前記信号処理回路が前記特定の回転角度に対応した角度検出値の検出誤差を出力し、この検出誤差に基づいて前記位置検出回路の検査が行なわれることを特徴とする位置検出回路の検査方法。
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