JP3590514B2 - 接着剤およびその製造方法 - Google Patents
接着剤およびその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3590514B2 JP3590514B2 JP35256597A JP35256597A JP3590514B2 JP 3590514 B2 JP3590514 B2 JP 3590514B2 JP 35256597 A JP35256597 A JP 35256597A JP 35256597 A JP35256597 A JP 35256597A JP 3590514 B2 JP3590514 B2 JP 3590514B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- adhesive
- polyvinyl alcohol
- mol
- parts
- added
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
- Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、接着剤およびその製造方法に関し、詳しくは、接着強度および耐水性に優れた接着剤および主剤製造時の安定性が高く、しかも、比較的低温において主剤を製造することができるためエネルギーコストが安くかつ生産性の高い、接着剤の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
水溶性高分子,水性エマルジョンおよびイソシアネート系化合物を主成分とする接着剤は、従来のアミノプラスト系接着剤とは異なりホルマリンの発生がなく、常温で比較的短時間圧締するだけで、極めて高い接着強度および耐水性が得られることから、木材用、合板用、各種プラスチックス用接着剤として賞用されている(例えば特開昭48−94739号公報,同50−69139号公報)。
このような状況下で、近年、水性高分子およびイソシアネート系化合物からなる木材接着剤についてのJISも制定されている。
また、近年、この種の接着剤は、接着剤からのホルマリンの発生が実質的にないことから、アミノ樹脂系接着剤よりも人体や環境に優しい接着剤として、特に合板製造用として注目されている。
【0003】
水溶性高分子、水性エマルジョンおよびイソシアネート系化合物からなる接着剤は、従来、水性高分子であるポリビニルアルコールを加熱溶解して得た水溶液を水性エマルジョンに添加したものを主たる成分とする主剤に、架橋剤としてイソシアネート化合物を使用前に添加して使用されていた。ところが、生産ラインの拡充や生産規模の拡大が行われる中で、より効率よく主剤を製造する必要性が高まっている。そこで、比較的低温において主剤を製造することができれば、水溶性高分子を溶解して水溶液とするためのエネルギーコストが安くなり、かつ接着剤主剤の生産性が上がり、効率良く主剤を製造することが可能である。特に、水溶性高分子を水性エマルジョンに添加し、比較的低温で短時間に溶解することができれば、生産性、作業性が顕著に上がるだけではなく、接着剤を使用する場所、すなわち、オンサイトで容易に接着剤を配合できることからさらなるメリットが生じる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の技術における課題を解決し、主剤製造時の安定性が高く、しかも、比較的低温において主剤を製造することができるためエネルギーコストが安くかつ生産性の高い接着剤の製造方法を提供し、さらに接着強度および耐水性に優れた接着剤を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的の下に鋭意研究を重ねたところ、(A)水性エマルジョンに(B)鹸化度50モル%以上でかつ下記一般式(I)で表されるカチオン性基を分子内に0.1〜20モル%有するポリビニルアルコール粉末を添加し60℃以下で主剤を調製し、これに(C)多価イソシアネートを添加して、固形分重量比で(A)/(B)=99.5/0.5〜50/50、{(A)+(B)}/(C)=100/0.5〜100/100の接着剤を製造する方法が所期の目的に適うものであることを見出した。
【化2】
但し X;H または CH3
Y;CONR1R2 または CH2OCH2AB
{R1はH、CH3、C2H5、n−C3H7またはi−C3H7を、R2はH、CH3、C2H5またはCR3R4(CH2)nN+(CH3)3・Z−を、R3、R4はそれぞれHまたはCH3を、nは1〜9の整数を、Z−はアニオンを表し、AはCH(OH)CH2、C(CH3)(OH)CH2またはCH(OH)CH2CH2を、BはN(R5)2またはN+(R5)3・Z−を、R5はCH3またはC2H5を表す。}
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の接着剤を構成する(A)水性エマルジョンは、分散剤として従来公知のアニオン性、カチオン性、両性、非イオン性低分子界面活性剤や各種ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース等の水溶性高分子(保護コロイド)を単独あるいは二種以上含む水溶液中で、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和単量体及びジエン系単量体を乳化重合して得られる乳化重合型の水性エマルジョンやポリウレタンエマルジョンに代表されるポリマーの後乳化法により得られる水性エマルジョンが単独あるいは二種以上併用される。
【0007】
本発明の接着剤を構成する乳化重合型水性エマルジョンの分散質を構成するエチレン性不飽和単量体としては、エチレン、プロピレン、イソブテン等のオレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン化オレフィン類、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ピバリン酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシブチル、アクリル酸ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシブチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド等のメタクリル酸エステル類、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびそのナトリウム塩のアクリルアミド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロライド、3−アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、3−メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類、酢酸アリル、塩化アリル等のアリル化合物、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレンスルホン酸およびそのナトリウム、カリウム塩等のスチレン系単量体類、その他N−ビニルピロリドン等が挙げられ、またジエン系単量体としては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。
【0008】
本発明の接着剤を構成する乳化重合型水性エマルジョンを得るための乳化重合を実施するにあたっては、水、上記の分散剤、および重合開始剤の存在下に、上記単量体を一時または連続的に添加して、加熱、攪拌するような通常の乳化重合法が実施しうるし、また、単量体を予め分散剤水溶液と混合乳化したものを連続的に添加する方法も実施し得る。
重合開始剤としては、特に制限されるものではなく、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、イソプロピルベンゼンパーオキサイド等が単独あるいは重亜硫酸ナトリウム、酒石酸、L−アスコルビン酸、ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシレート、硫酸第一鉄等の還元剤と併用したレドックス系で用いられる。
【0009】
本発明の接着剤を構成する水性エマルジョンにおける分散剤の使用量としては、乳化重合型水性エマルジョンあるいは後乳化型水性エマルジョン共に特に制限はないが、通常単量体100重量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは0.5〜20重量部である。分散剤が0.1重量部より少ない場合は、乳化安定性や重合安定性が低下し、50部を越える場合には接着剤配合における粘度安定性が低下することがある。
【0010】
本発明の接着剤を構成する(B)鹸化度50モル%以上でかつカチオン性基を分子内に0.1〜20モル%有するポリビニルアルコールは、分子内にカチオン性基を有する変性ポリビニルアルコールであれば特に制限はないが、代表的には下記一般式(I)で表されるカチオン性基を分子中、とくに主鎖中に有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
【0011】
【化2】
【0012】
但し X;H または CH3
Y;CONR1R2 または CH2OCH2AB
{R1はH、CH3、C2H5、n−C3H7またはi−C3H7を、 R2はH、CH3、C2H5またはCR3R4(CH2)nN+(CH3)3・Z−を、 R3、R4はそれぞれHまたはCH3を、 nは1〜9の整数を、 Z−はアニオンを表し、 AはCH(OH)CH2、C(CH3)(OH)CH2またはCH(OH)CH2CH2を、 BはN(R5)2 またはN+(R5)3・Z−を、 R5はCH3またはC2H5を表す。
}
【0013】
このような変性ポリビニルアルコールは、ビニルエステル系単量体と下記一般式(II)で表され
る単量体とを共重合し、これを鹸化することにより得られる。
【0014】
【化3】
【0015】
式(II)で表される単量体としては、代表的には、トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロライド、3−アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、3−メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、N−(3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)ジメチルアミンの4級アンモニウム塩、N−(4−アリルオキシ−3−ヒドロキシブチル)ジエチルアミンの4級アンモニウム塩さらにはアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等の4級アンモニウム塩等のカチオン性単量体が挙げられる。
なお、上記のビニルエステル系単量体としては、酢酸ビニル以外に、ギ酸ビニル,プロピオン酸ビニル,バーサチック酸ビニル,ピバリン酸ビニルなどを用いることも可能である。
【0016】
本発明の接着剤を構成する(B)カチオン性基変性ポリビニルアルコールは、本発明の効果を損なわない範囲で、他のエチレン性不飽和単量体を共重合したものでも良い。このようなエチレン性不飽和単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等のオレフィン類、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシル等のメタクリル酸エステル類、メチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル等のビニルエーテル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニル類、酢酸アリル、塩化アリル等のアリル化合物、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸等のカルボキシル基含有化合物およびそのエステル、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホン酸基含有化合物、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシリル化合物、酢酸イソプロペニル等が挙げられる。また、チオール酢酸、メルカプトプロピオン酸などのチオール化合物の存在下で、酢酸ビニルなどのビニルエステル系単量体とカチオン性単量体を共重合し、それを鹸化することによって得られる末端変性ポリビニルアルコールも用いることができる。
【0017】
本発明の接着剤を構成する(B)カチオン性基変性ポリビニルアルコールは、鹸化度50モル%以上かつカチオン性基変性量が0.1〜20モル%であることが必要であるが、鹸化度は好ましくは70モル%以上であり、より好ましくは90モル%以上であり、さらに好ましくは94モル%以上である。鹸化度が50モル%よりも低い場合には、カチオン性基変性ポリビニルアルコールの水溶性が低下し、接着剤の生産性低下や水性エマルジョンとの混和安定性が低下するため好ましくない。また、カチオン性基変性量は好ましくは0.2〜18モル%、さらに好ましくは0.3〜15モル%である。カチオン性基変性量が0.1モル%よりも少ない場合には、ポリビニルアルコールの水溶性が低下するため接着剤の生産性の低下や、溶け残りのポリビニルアルコール粉末の影響で接着力低下をもたらすことがあり好ましくない。また、カチオン性基変性量が20モル%を越える場合には、本接着剤の本来の性能である耐水接着性が低下することがある。さらに、本発明の接着剤を構成するポリビニルアルコールの重合度は、特に制限はないが、溶解速度や接着力の観点から、好ましくは100〜8000、より好ましくは200〜4000が用いられる。
また、本発明のカチオン基変性ポリビニルアルコールは粉末として使用することがより好適である。粉末の粒度は、特に制限はないが、溶解性等の観点から500μm以下が好ましく、300μm以下がより好ましい。該カチオン基変性ポリビニルアルコールの製造時の乾燥条件は特に制限はないが、溶解速度等の観点から好ましくは80℃以下、より好ましくは50℃以下である。
【0018】
本発明の接着剤は、上記(A)水性エマルジョンおよび(B)鹸化度50モル%以上かつカチオン性基を分子内に0.1〜20モル%含有するポリビニルアルコールを主剤とし、これに(C)多価イソシアネート化合物を含む構成からなる。ここで(C)多価イソシアネート化合物は、分子中に2個以上のイソシアネート基を有するものであり、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI);水素化TDI;トリメチロールプロパン−TDIアダクト(例えばバイエル社製,商品名:Desmodur L);トリフェニルメタントリイソシアネート;メチレンビスジフェニルイソシアネート(MDI);水素化MDI;重合MDI;ヘキサメチレンジイソシアネート;キシリレンジイソシアネート;4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート等があげられる。その他、ポリオールに過剰のポリイソシアネートで予めポリマー化した末端基がイソシアネート基を持つプレポリマーを用いてもよい。また、(C)多価イソシアネート化合物はそのまま主剤に配合しても良いが、イソシアネートと実質的に反応しない各種溶剤、例えば、ジブチルフタレートやトルエン等で希釈して配合しても良い。 この(C)多価イソシアネート化合物を配合することにより、優れた接着強度、耐水性が付与される。
【0019】
本発明の接着剤においては、(A)水性エマルジョンと(B)鹸化度50モル%以上かつカチオン性基を分子内に0.1〜20モル%含有するポリビニルアルコールの配合割合は、固形分重量比で(A)/(B)=99.5/0.5〜50/50が通常好ましい範囲として採用される。また、(C)多価イソシアネート化合物の配合割合は、固形分重量比で{(A)+(B)}/(C)=100/0.5〜100/100の範囲であることが好ましく、100/1〜100/80の範囲がより好ましい。多価イソシアネート化合物がこの範囲より少ない場合、接着強度、耐水性が低くなり、また、この範囲を越えて多くなると、多価イソシアネート配合後のポットライフが短くなり実用的ではないという問題がある。
【0020】
また、本発明の接着剤中には、必要に応じて、でんぷん,変性でんぷん,酸化でんぷん,アルギン酸ソーダ,カルボキシメチルセルロース,メチルセルロース,ヒドロキシメチルセルロース,無水マレイン酸−イソブテン共重合体,無水マレイン酸−スチレン共重合体,無水マレイン酸−メチルビニルエーテル共重合体等の水溶性高分子化合物や尿素−ホルマリン樹脂,尿素−メラミン−ホルマリン樹脂,フェノール−ホルマリン樹脂等、一般に接着剤として使用されている熱硬化性樹脂もそれぞれ適宜使用することができる。
さらに、本発明の接着剤には、クレー,カオリン,タルク,炭酸カルシウム,木粉等の充填剤、小麦粉等の増量剤、酸化チタン等の顔料あるいはその他、防腐剤,防錆剤等の各種添加剤を必要に応じて適宜添加することができる。
【0021】
さらに、本発明は、(A)水性エマルジョンに(B)鹸化度50モル%以上でかつカチオン性基を分子内に0.1〜20モル%含有するポリビニルアルコールを60℃以下で添加して主剤を調製し、それに(C)多価イソシアネートを配合することを特徴とする接着剤の製造方法をも提供する。すなわち、本発明の接着剤は、(A)水性エマルジョンおよび(B)鹸化度50モル%以上でかつカチオン性基を分子内に0.1〜20モル%含有するポリビニルアルコールを主剤とし、これに(C)多価イソシアネートを含む構成からなっておれば、その製造方法にとくに制限はないが、その製造方法が(A)水性エマルジョンに(B)鹸化度50モル%以上でかつカチオン性基を分子内に0.1〜20モル%含有するポリビニルアルコールを60℃以下で添加して主剤を調製し、それに(C)多価イソシアネートを配合することを特徴とする製造方法である場合に、特に主剤製造時の安定性が高く、しかも、比較的低温において主剤を製造することができるためエネルギーコストが安くかつ生産性の高い接着剤組成物を得ることができる。
カチオン基変性ポリビニルアルコールの添加温度は、好ましくは50℃以下であり、より好ましくは45℃以下である。また、水性エマルジョンにカチオン基変性ポリビニルアルコールを添加した場合には、速やかに該ポリビニルアルコールが溶解し、溶け残りやエマルジョンの凝集を起こさせないことが必要であるが、目安として、カチオン基変性ポリビニルアルコールとしては、その10重量%の所定温度の水に60%以上溶解するものが好ましく、70%以上溶解するものがより好ましい。さらに、該ポリビニルアルコールを水性エマルジョンに添加する場合、膨潤ポリビニルアルコール粒子同士が凝集するいわゆるママコ状態となり溶解性が低下するおそれがあるため、例えば、ポリビニルアルコールに炭酸カルシウム等の無機物をあらかじめ配合したものを添加する等の手法も好ましく用いられる。
【0022】
本発明の接着剤は、各種の被着体の接着に使用されるが、なかでも木材、合板、紙、繊維、各種プラスチックス等の接着に好適である。塗布量は各種の状況に応じて適宜選定すればよい。
塗布方法としては、ハケによる塗工,ロールによる塗工などが挙げられる。接着剤を塗布した後の乾燥は、室温から200℃での加熱乾燥でも良いが、本発明の接着剤は室温乾燥する場合であっても十分な接着力が発現する。
【0023】
【実施例】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。尚、実施例および比較例中、「部」および「%」は特に断りのない限り重量基準を示すものとする。
【0024】
実施例1
エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン(OM−4200、固形分55%、クラレ製)にポリビニルアルコール(1)(重合度1700、鹸化度95モル%、3−アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド2モル%変性、粒度300μm)をエマルジョン固形分100重量部あたり5部添加し、40℃で1時間撹拌して主剤を調製した。主剤固形分100重量部に、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(日本ポリウレタン社製,商品名:ミリオネートMR−100)を15部添加し接着剤を調製した。これを用いて、以下の条件により試験を行った。結果を表1〜2に示す。
【0025】
〔試験条件〕
1.主剤の状態:
目視観察:主剤をガラス板状に薄く塗りつけた状態を観察した。
○:凝集物、溶け残りポリビニルアルコールなし
△:凝集物、溶け残りポリビニルアルコール少ない
×:凝集物、溶け残りポリビニルアルコール多い
2.接着試験上記接着剤を用いて、以下の条件で接着試験を行った。
被着材:カバ/カバ(マサ目)含水量8%
塗布量:250g/m 2 (両面塗布)
堆積時間:1分
圧締条件:20℃,24時間,圧力10kg/cm 2 (常態強度、煮沸繰返し試験片のみ)
JIS K−6852による圧縮剪断接着強度を測定
常態強度 :20℃、7日間養生後そのままの状態で測定
煮沸繰返し:20℃で7日間養生後、試験片を煮沸水中に4時間浸漬した後、60℃の空気中で20時間乾燥し、更に煮沸水中に4時間浸漬してから、室温の水中に冷めるまで浸し、濡れたままの状態で試験に供した。
【0026】
実施例2
攪拌機、窒素吹き込み口、温度計を備えたガラス製重合容器に、末端にメルカプト基を有するポリビニルアルコール(重合度500、鹸化度88.2モル%、メルカプト基含量4.5×10 −5 モル/g−ポリビニルアルコール)5部とイオン交換水100部を入れ加熱溶解した。それを冷却後、硫酸でpHを3.0とした後、窒素バブリングを行いながら70℃に昇温した。攪拌を150rpmとし、メタクリル酸メチル10部とアクリル酸n−ブチル10部を添加し、さらに、1%過硫酸カリウム水溶液10部を添加し重合を開始した。重合開始1時間後に、メタクリル酸メチル40部、アクリル酸n−ブチル38部、メタクリル酸ヒドロキシエチル2部を2時間にわたって均一に滴下した。滴下終了後、温度を80℃にし、1時間放置した。固形分濃度48.5%のメタクリル酸メチル−アクリル酸n−ブチル−メタクリル酸ヒドロキシエチル共重合体エマルジョン(アクリルEm)が得られた。このエマルジョンに対してポリビニルアルコール(1)をエマルジョン固形分100重量部あたり5部添加し40℃で1時間撹拌して主剤を調製した。主剤固形分100重量部にポリメチレンポリフェニルイソシアネート(日本ポリウレタン社製,商品名:ミリオネートMR−100)を15部添加し接着剤を調製した。これを用いて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1〜2に示す。
【0027】
実施例3
スチレン−ブタジエン共重合体エマルジョン(DL−612,固形分濃度50%、旭化成製)に、ポリビニルアルコール(1)をエマルジョン固形分100重量部あたり5部添加し40℃で1時間撹拌して主剤を調製した。主剤固形分100重量部にポリメチレンポリフェニルイソシアネート(日本ポリウレタン社製,商品名:ミリオネートMR−100)を15部添加し接着剤を調製した。これを用いて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1〜2に示す。
【0028】
実施例4
実施例3において、ポリビニルアルコール(1)の代わりにポリビニルアルコール(2)(重合度550、鹸化度62モル%、3−メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド4モル%変性、粒度400μm)を用いる以外は実施例3と同様に主剤を調製し、主剤固形分100重量部にポリメチレンポリフェニルイソシアネート(日本ポリウレタン社製,商品名:ミリオネートMR−100)を15部添加し接着剤を調製した。これを用いて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1〜2に示す。
【0029】
実施例5
実施例3において、ポリビニルアルコール(1)の代わりにエマルジョン固形分100重量部あたりポリビニルアルコール(1)2.5部とポリビニルアルコール(3)(重合度1700、鹸化度88モル%、3−メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド1モル%変性、粒度300μm)2.5部を用いる以外は実施例3と同様に主剤を調製し、主剤固形分100重量部にポリメチレンポリフェニルイソシアネート(日本ポリウレタン社製,商品名:ミリオネートMR−100)を15部添加し接着剤を調製した。これを用いて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1〜2に示す。
【0030】
実施例6
実施例3において、ポリビニルアルコール(1)をエマルジョン固形分100重量部あたり10部用いる以外は実施例3と同様に主剤を調製し、主剤固形分100重量部にポリメチレンポリフェニルイソシアネート(日本ポリウレタン社製,商品名:ミリオネートMR−100)を15部添加し接着剤を調製した。これを用いて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1〜2に示す。
【0031】
実施例7
実施例3において、ポリビニルアルコール(1)をエマルジョン固形分100重量部あたり1部用いる以外は実施例3と同様に主剤を調製し、主剤固形分100重量部にポリメチレンポリフェニルイソシアネート(日本ポリウレタン社製,商品名:ミリオネートMR−100)を15部添加し接着剤を調製した。これを用いて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1〜2に示す。
【0032】
実施例8
実施例3において、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(日本ポリウレタン社製,商品名:ミリオネートMR−100)を3部を用いる以外は実施例3と同様に接着剤を調製した。これを用いて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1〜2に示す。
【0033】
実施例9
実施例3において、ポリビニルアルコール(1)に炭酸カルシウムを5重量%あらかじめ配合したものを添加する以外は実施例3と同様にした。結果を表1〜2に示す。
【0034】
比較例1
実施例3において、ポリビニルアルコール(4)(重合度1700、鹸化度98モル%、無変性、粒度350μm)をエマルジョン固形分100重量部あたり5部用いる以外は実施例3と同様に主剤を調製し、主剤固形分100重量部にポリメチレンポリフェニルイソシアネート(日本ポリウレタン社製,商品名:ミリオネートMR−100)を15部添加し接着剤を調製した。これを用いて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1〜2に示す。
【0035】
比較例2
実施例3において、ポリビニルアルコール(5)(重合度1700、鹸化度45モル%、3−アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド2モル%変性、粒度350μm)をエマルジョン固形分100重量部あたり5部用いる以外は実施例3と同様に主剤を調製し、主剤固形分100重量部にポリメチレンポリフェニルイソシアネート(日本ポリウレタン社製,商品名:ミリオネートMR−100)を15部添加し接着剤を調製した。これを用いて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1〜2に示す。
【0036】
比較例3
実施例3において、ポリビニルアルコールを用いない以外は実施例3と同様にした。これを用いて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1〜2に示す。
【0037】
比較例4
実施例3において、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(日本ポリウレタン社製,商品名:ミリオネートMR−100)を用いない以外は実施例3と同様にした。これを用いて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1〜2に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、接着強度,耐水性に優れた接着剤を提供することができ、さらに主剤製造時の安定性が高く、しかも、比較的低温において主剤を製造することができるためエネルギーコストが安くかつ生産性の高い接着剤の製造方法を提供することができる。
したがって、本発明の接着剤は、各種の被着体を接着する場合に適用できるが、特に木材用、合板用接着剤に好適に使用できる。また、木材同士の接着の他、木材と紙,繊維製品類,無機質板,各種プラスチックス等との接着にも使用可能である。
Claims (2)
- (A)水性エマルジョンに(B)鹸化度50モル%以上でかつ下記一般式(I)で表されるカチオン性基を分子内に0.1〜20モル%有するポリビニルアルコール粉末を添加し60℃以下で主剤を調製し、これに(C)多価イソシアネートを添加して、固形分重量比で(A)/(B)=99.5/0.5〜50/50、{(A)+(B)}/(C)=100/0.5〜100/100の接着剤を製造する方法。
Y;CONR1R2 または CH2OCH2AB
{R1はH、CH3、C2H5、n−C3H7またはi−C3H7を、R2はH、CH3、C2H5またはCR3R4(CH2)nN+(CH3)3・Z−を、R3、R4はそれぞれHまたはCH3を、nは1〜9の整数を、Z−はアニオンを表し、AはCH(OH)CH2、C(CH3)(OH)CH2またはCH(OH)CH2CH2を、BはN(R5)2またはN+(R5)3・Z−を、R5はCH3またはC2H5を表す。} - 50℃以下で主剤を調製する請求項1記載の接着剤を製造する方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35256597A JP3590514B2 (ja) | 1997-12-22 | 1997-12-22 | 接着剤およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35256597A JP3590514B2 (ja) | 1997-12-22 | 1997-12-22 | 接着剤およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11181396A JPH11181396A (ja) | 1999-07-06 |
JP3590514B2 true JP3590514B2 (ja) | 2004-11-17 |
Family
ID=18424935
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP35256597A Expired - Fee Related JP3590514B2 (ja) | 1997-12-22 | 1997-12-22 | 接着剤およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3590514B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4543365B2 (ja) * | 2003-06-27 | 2010-09-15 | 株式会社J−ケミカル | 水性2液型プラスチック材料用接着剤組成物 |
-
1997
- 1997-12-22 JP JP35256597A patent/JP3590514B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH11181396A (ja) | 1999-07-06 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR101288205B1 (ko) | 접착성 조성물 | |
EP2166028B1 (en) | Aqueous synthetic-resin emulsion for cement mortar admixture, re-emulsifiable powder for cement mortar admixture from aqueous synthetic-resin emulsion, and cement mortar admixture comprising the same | |
RU2411266C2 (ru) | Реэмульгируемая порошкообразная смола, водная эмульсия и адгезивный состав на ее основе | |
KR100748055B1 (ko) | 합성 수지 에멀션 분말 | |
JPH08259659A (ja) | エマルジョン組成物および接着剤 | |
JP3590514B2 (ja) | 接着剤およびその製造方法 | |
JP3659978B2 (ja) | 組成物,接着剤および水性エマルジョン | |
JP4071182B2 (ja) | 合成樹脂粉末および水硬性物質用混和材または打継ぎ材 | |
JP3583275B2 (ja) | 接着剤組成物およびその製造方法 | |
JP3657360B2 (ja) | 配合組成物および接着剤 | |
JP2000109629A (ja) | 水性組成物および接着剤 | |
JP4864687B2 (ja) | 水性分散液組成物および接着剤 | |
JPH11256130A (ja) | 接着剤、その製法および積層体 | |
JP3474303B2 (ja) | 木材用接着剤 | |
JPH11279506A (ja) | 水性接着剤の製造方法および積層体 | |
JP2001253926A (ja) | 組成物および接着剤 | |
JP2008156483A (ja) | 水系分散液組成物および接着剤 | |
JP3311086B2 (ja) | エマルジョン組成物 | |
NZ333047A (en) | An adhesive consisting of an aqueous emulsion, a polyvinyl alcohol (PVA) powder and a polyisocyanate compound and a method for producing it | |
JPH08269426A (ja) | 配合組成物および接着剤 | |
JP2000109628A (ja) | 組成物および接着剤 | |
JP3457491B2 (ja) | 接着剤 | |
JP2006036831A (ja) | 水性接着剤の製造方法 | |
JPH051270A (ja) | 接着剤 | |
JPH1025329A (ja) | エマルジョン組成物および接着剤 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20040426 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20040518 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20040702 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20040803 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20040820 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080827 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090827 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100827 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110827 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110827 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120827 Year of fee payment: 8 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120827 Year of fee payment: 8 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130827 Year of fee payment: 9 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |