JP3590489B2 - 熱孔版印刷用薄葉紙及びその製造法 - Google Patents

熱孔版印刷用薄葉紙及びその製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハロゲンランプ、キセノンランプ、フラッシュバルブ等による閃光照射や赤外線照射、あるいはサーマルヘッド等によって穿孔製版される感熱性孔版印刷用原紙に使用する熱孔版印刷用薄葉紙及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、感熱孔版印刷用薄葉紙として、こうぞ、みつまた、マニラ麻などの天然繊維100%からなる和紙、合成化学繊維100%からなる不織布、または天然繊維と合成化学繊維を混抄した不織布等種々のものが知られていた。とくに合成繊維100%からなる不織布としては、特開平3−8892号公報においてポリエステルまたはアクリルの0.1デニール以下の極細繊維を含む感熱孔版印刷用薄葉紙が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、熱孔版印刷用薄葉紙にポリエステルフィルムをラミネート加工し感熱孔版印刷用原紙を作りサーマルヘッド等にて穿孔製版印刷すると、天然繊維100%の和紙では結束繊維の存在によりインクの通過しない白抜け部分が発生したり、耐水強度不足による製版の短寿命が問題であった。
また、合成化学繊維100%では耐水強度は向上するものの繊維自体の親水性不足からインクの保持性が悪く印字濃度が低くなるという欠点を有していた。
さらに、天然繊維と合成化学繊維を混抄した不織布においてはその双方の欠点が存在した。
ポリエステルまたはアクリルの極細繊維を含む薄葉紙はインク保持性及び耐水強度が向上するが、極細繊維は抄紙時の分散性が悪く繊維が絡み合うといった問題が生じ、目付斑のない薄葉紙を安定して得ることは工業的には実際上非常に難しいと言わざるを得ない。
【0004】
本発明の目的は、抄紙時の分散性が良好であり、印刷時の白抜け部分がなく、且つ耐水強度及びインク保持性が良好な熱孔版印刷用薄葉紙を提供することであり、さらに、該薄葉紙を工業的に安定に製造する方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、アルカリ水溶液に易溶性の熱可塑性樹脂P1とアルカリ水溶液に難溶性の熱可塑性樹脂P2とからなる複合繊維をアルカリ水溶液で処理して得られる単繊維繊度0.01〜0.2デニールの極細繊維を10〜65重量%含む熱孔版印刷用薄葉紙であって、該薄葉紙を構成する繊維間が、融点差30℃以上の2種以上のアルカリ水溶液に難溶性の熱接着性樹脂によってされており、かつ該薄葉紙の緊度が0.20〜0.30g/cm3であり、緊度のばらつきが0.01g/cm3以下であることを特徴とする熱孔版印刷用薄葉紙及び、アルカリ水溶液に易溶性の熱可塑性樹脂P1とアルカリ水溶液に難溶性の熱可塑性樹脂P2とからなる複合繊維A20〜90重量%、融点差が30℃以上であるアルカリ難溶性の低融点成分P3とアルカリ難溶性の高融点成分P4とからなる熱接着性複合繊維B10〜40重量%を含む紙料を湿式抄造法にて混抄する工程(i)、混抄物に熱処理を施して低融点成分P3により繊維間を熱接着させる工程(ii)、アルカリ水溶液により熱可塑性樹脂P1を溶解除去する工程(iii) 、熱処理を施して高融点成分P4により繊維間を熱接着させる工程(iv)を含むことを特徴する熱孔版印刷用薄葉紙の製造方法である。
【0006】
【発明の実施の形態】
前述のように、合成化学繊維を用いると耐水強度が向上し、単繊維繊度を0.1デニール以下とするとインクの保持性が良好となることは公知であるが、極細繊維は、抄紙時の初期分散性が悪く、特に0.1デニール以下の極細繊維は安定した抄紙が難しいため、本発明においては抄紙時には2デニール〜10デニールという太繊度の複合繊維を用いて抄紙し、抄紙後に該複合繊維の一成分を除去することにより極細繊維を形成させ、極細繊維を含む薄葉紙を得ようとするものである。
【0007】
具体的には、アルカリ水溶液に易溶性の熱可塑性樹脂P1(以下、単にアルカリ易溶性成分P1と称することもある。)とアルカリ水溶液に難溶性の熱可塑性樹脂P2(以下、単にアルカリ難溶性成分P2と称することもある。)とからなる複合繊維A(以下、単に複合繊維Aと称することもある。)と熱接着性芯鞘型複合繊維B(以下、単にバインダー繊維Bと称することもある。)とを混抄し、熱処理してバインダー繊維Bを構成するアルカリ難溶性の低融点成分P3を溶融することで一時的に仮固定されたシートを形成し、その後複合繊維Aを構成するアルカリ易溶性成分P1をアルカリ処理で除去し、複合繊維Aを由来とする0.01デニール〜0.2デニールのアルカリ難溶性成分P2からなる極細繊維を得、さらにもう一度熱処理することによってバインダー繊維Bを構成するアルカリ難溶性の高融点成分P4を溶融させ繊維間を熱接着することによって本発明の薄葉紙を製造することができる。
【0008】
本発明の特徴は、抄紙時の分散性が良好で且つ必要性能を満足する熱孔版印刷用薄葉紙が得ることであるが、特に、アルカリ易溶性成分P1を除去することにより、薄葉紙内に微細な空隙構造が生じ、この空隙にインクが保持され、さらにインクの透過性が向上するという効果も得られる。
アルカリ処理によって形成されるアルカリ難溶性成分P2からなる極細繊維の単繊維繊度が0.2デニールを越えるとインクの保持性、解像度が悪くなり、0.01デニール未満の繊維については繊維の製造が困難で、紡出時の糸切れ、不良断面の発生(断面均斉度の低下)といった問題が生じるので、0.05〜0.1デニールであることが好ましい。
【0009】
本発明の薄葉紙を製造するに際しては、抄紙時の分散性の問題が殆どないために、薄葉紙に極細繊維が均質に存在し、その緊度は任意の箇所を測定しても緊度が0.20〜0.30g/cmで、緊度のばらつきが0.01g/cm以下という高品質のものが得られる。
【0010】
本発明において、上記の極細繊維は薄葉紙に10〜65重量%含まれていることが必要である。10重量%未満ではインクの保持性や解像度が劣り、一方、65重量%を超えると紙力が低下するので、好ましくは、20〜50重量%含まれていることが望ましい。
【0011】
さらに、本発明においては、複合繊維Aを構成するアルカリ易溶性成分P1のアルカリ除去処理の前後で熱処理(1段目、2段目)を施しているため、2段目の熱処理後は、薄葉紙において低融点及び高融点の2種の熱接着性樹脂P3及びP4成分によって繊維間が接着されており、従来の1種の熱接着性樹脂で繊維間が接着されている薄葉紙に比して優れた紙力と耐熱性を有するものである。
本発明においては、2段階の熱処理を施すことが必須であるので、融点差の異なる最低2種の熱接着性樹脂の存在が必要であるが、目的に応じて、熱接着性樹脂の種類を3種類以上選択して用いても差支えない。
【0012】
本発明の薄葉紙とするためには、抄紙時に上記複合繊維Aを20〜90重量%及びバインダー繊維Bを10〜40重量%となるように混抄することが必要であり、本発明においては、これらの繊維の他に天然繊維あるいは合成化学繊維を70重量%以下含有しても必要性能を大きく損なうことなく熱孔版印刷用薄葉紙を得ることができる。
【0013】
複合繊維Aの含有率は、成分P1と成分P2の複合比や最終的に成分P2で構成される極細繊維の単繊維繊度や本数(海島の島の数)にもよるが、20重量%未満であるとインクの保持性、解像度が不良となり好ましくない。逆に90重量%を越えると紙力が低下するので、少なくとも10重量%のバインダー繊維Bが必要となる。バインダー繊維Bの含有率が40重量%を越えると相対的に複合繊維Aの比率が低下するため、アルカリ処理後の繊維間空隙が大きくなりやすくインク保持性が低下する傾向がある。よって、複合繊維Aは40重量%〜75重量%、バインダー繊維Bは25重量%〜35重量%含有されることがより好ましい。
【0014】
本発明における複合繊維Aの繊維断面形状は、アルカリ処理後に、アルカリ難溶性成分P2によって極細繊維が形成される断面形状であれば、海島型、分割型等特に限定されないが、アルカリ処理後の極細繊維の断面が円形又は略円形となる複合形態の方がインク透過性に有効であるので、海島型断面が好ましく採用される。
【0015】
また、複合繊維Aを構成するアルカリ易溶性成分P1は、例えば、金属スルホネート基含有エステル単位を共重合したポリエステル、金属スルホネート基を含有するイソフタル酸とポリアルキレングリコールを共重合したポリエステル、特開平6−280156号公報に開示された金属スルホネート基を含有するイソフタル酸、ポリアルキレングリコール及び側鎖型のポリオキシアルキレン基を特定の割合で有する共重合ポリエステル等が好ましく使用される。
【0016】
複合繊維Aを構成するアルカリ難溶性成分P2としては、ポリエステル、アクリル、ナイロン、ポリオレフィン等アルカリ難溶性熱可塑性樹脂であればよいが、本発明においてはポリエステルが好ましく使用される。
尚、本発明において、アルカリ易溶性と難溶性の境界は、苛性ソーダの5g/リットル水溶液中で130℃、40分間処理したときに、減量率が30重量%以上のものをアルカリ易溶性とし、30%未満のものを難溶性とする。また、両者はアルカリ減量速度として20倍以上の差を持つ組み合わせとすることが好ましい。
【0017】
本発明におけるバインダー繊維Bとしては、その繊維断面は特に制限されるものではないが、芯鞘型やサイドバイサイド型複合繊維、特に芯鞘型複合繊維が好ましい。バインダー繊維Bの低融点成分P3、高融点成分P4ともにアルカリ難溶性の熱可塑性樹脂であれば特に制限されないが、芯鞘型の場合、鞘に低融点成分P3、芯に高融点成分P4という組み合わせにしなければならない。
【0018】
成分P3及び成分P4のポリマー種は特に限定されないが、良好な接着強度を得るために、薄葉紙を構成する極細繊維、即ち抄紙時の複合繊維を構成するポリマー種と類似したポリマーを使用することが好ましい。さらに、成分P3と成分P4との親和性が低いと両成分が剥離しやすいので成分P3及び成分P4とは親和性の良好な組み合わせとすることが望ましい。したがって、複合繊維Aの成分P1及び成分P2がポリエステルで構成される場合は、バインダー繊維の成分P3及び成分P4ともにポリエステルであることが望ましい。
【0019】
また、成分P3及び成分P4の融点は30℃以上の差を必要とする。これは本発明で2度の熱処理を実施するためであり、1度目はアルカリ処理に耐えるだけの仮固着を目的とし、2度目はアルカリ処理後に残った極細繊維の固着を目的としている。融点差が30℃未満では、1度目の熱処理時に低融点成分P3のみを溶融させることが困難であり、温度の若干の振れによって高融点成分P4が溶融した場合、製品に紙力の差が生じるからである。
【0020】
本発明の薄葉紙は基材として、その上に例えば熱可塑性ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリアミドフィルム等のフィルムを酢酸ビニル系やアクリル系の接着剤で接着積層して熱孔版印刷用原紙とすることができ、本発明の薄葉紙を使用することにより、印字濃度が濃く、解像度に優れ、かつ耐刷枚数も大幅に改善されるものである。
【0021】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はそれらにより限定されない。尚、緊度、分散性、印字濃度、解像度及び耐刷枚数は以下のようにして評価した。
<緊度>
JIS P 8118の紙及び板紙の厚さと密度の試験方法に基づき測定した。
<分散性>
抄紙筒内における繊維の分散性を視覚判定した。未分散繊維がなく均一に分散した状態のものを○とし、未分散繊維が存在する状態のものを×とした。
<印字濃度>
印刷物の印字の濃度を視覚判定した。文字や細線が濃くはっきり現れていれば○、文字や細線が薄くぼやけている場合は×とした。
<解像度>
印字濃度と同様印刷物を視覚判定した。文字や細線の太さ斑や黒ベタ部分での白抜けがないものを○、文字や細線が部分的にとぎれたり太さ斑があるものを×とした。
<耐刷枚数>
全自動デジタル孔版印刷機を用いて印刷速度130枚/分で印刷し1枚目の印刷物の文字や細線が乱れるまでの枚数を測定した。
【0022】
実施例1
複合繊維Aとして、5−ナトリウムスルホイソフタル酸2.5モル%、ポリエチレングリコール(分子量2000)10重量%、下記式(I)のポリオキシエチレングリコールから誘導される単位を10重量%を共重合したポリエチレンテレフタレートP1を海成分とし、ポリエチレンテレフタレートP2(以後「PET」という)を島成分とし、島の数50島、海/島重量比30/70である単繊維繊度4デニール、カット長3mmの海島型複合繊維を用い、バインダー繊維Bとして、イソフタル酸を45モル%共重合したアルカリ難溶性ポリエチレンテレフタレートP3(融点:110℃)を鞘成分とし、イソフタル酸を30モル%共重合したアルカリ難溶性ポリエチレンテレフタレートP4(融点:170℃)を芯成分とした単繊維繊度2デニール、カット長5mmの芯鞘型複合繊維を用いて、複合繊維A/バインダー繊維B=90%/10%の重量比率で、繊維濃度0.5%となるよう水中に分散し、この分散液を円網抄紙機に送り通常の方法で抄紙し、110℃熱処理(1段目)して秤量=12.5g/mの紙を得た。この際の初期分散性は良好であった。
【0023】
【化1】
Figure 0003590489
【0024】
こうして得た紙を5g/l水酸化ナトリウム水溶液にてアルカリ処理した後、170℃で熱処理(2段目)して秤量=9.1g/m、厚さ=40μm、緊度=0.228g/cmの薄葉紙を得た。この時、アルカリ難溶性成分P2からなる極細繊維の単繊維繊度は、0.06デニールであった。
【0025】
この薄葉紙を支持体とし、その上に厚さ3μmの熱可塑性ポリエステルフィルムを酢酸ビニル系接着剤にて貼り合わせ、熱孔版印刷用原紙を得た。この熱孔版印刷用原紙をサーマルヘッドにて穿孔し製版した。この原紙の印刷結果は印字濃度が濃く、解像度も優れ、また耐刷枚数も大幅に改善できるものであった。
【0026】
【表1】
Figure 0003590489
【0027】
実施例2
実施例1で使用した複合繊維A及びバインダー繊維Bを用いてそれぞれ60%/40%の比率で実施例1と同様に抄紙し、熱処理、アルカリ処理、熱処理を行なって、秤量=10.3g/m、厚さ=43μm、緊度=0.238g/cmの薄葉紙を得た。
【0028】
この薄葉紙を支持体とし、その上に厚さ3μmの熱可塑性ポリエステルフィルムを酢酸ビニル系接着剤にて貼り合わせ、熱孔版印刷用原紙を得た。この熱孔版印刷用原紙をサーマルヘッドにて穿孔し製版した。この原紙の印刷結果は印字濃度が濃く、解像度も優れ、また耐刷枚数も大幅に改善できるものであった。
【0029】
実施例3
実施例1で使用した主体繊維A、バインダー繊維B及びマニラ麻を使用し、それぞれ30%/30%/40%の比率で実施例1と同様に抄紙し、熱処理、アルカリ処理、熱処理を行なって、秤量=11.4g/m、厚さ=45μm、緊度=0.253g/cmの薄葉紙を得た。
【0030】
この薄葉紙を支持体とし、その上に厚さ3μmの熱可塑性ポリエステルフィルムを酢酸ビニル系接着剤にて貼り合わせ、熱孔版印刷用原紙を得た。この熱孔版印刷用原紙をサーマルヘッドにて穿孔し製版した。この原紙の印刷結果は印字濃度が濃く、解像度も優れ、また耐刷枚数も大幅に改善できるものであった。
【0031】
実施例4
実施例1で使用した主体繊維A、バインダー繊維B、及びPET繊維の0.3デニール、カット長=5mmの原綿を使用し、それぞれ20%/10%/70%の比率で実施例1と同様に抄紙し、熱処理、アルカリ減量処理、熱処理を行なって、秤量=11.8g/m、厚さ=45μm、緊度=0.261g/cmの薄葉紙を得た。
【0032】
この薄葉紙を支持体とし、その上に厚さ3μmの熱可塑性ポリエステルフィルムを酢酸ビニル系接着剤にて貼り合わせ、熱孔版印刷用原紙を得た。この熱孔版印刷用原紙をサーマルヘッドにて穿孔し製版した。この原紙の印刷結果は印字濃度が濃く、解像度も優れ、また耐刷枚数も大幅に改善できるものであった。
【0033】
実施例5
複合繊維Aとして、5−ナトリウムスルホイソフタル酸2.5モル%、ポリエチレングリコール(分子量2000)10重量%、式(I)のポリオキシエチレングリコールから誘導される単位10重量%を共重合したポリエチレンテレフタレートP1を海成分とし、PET(P2)を島成分とし、島の数30島、海/島重量比50/50である単繊維繊度10デニール、カット長=5mmの海島型複合繊維を用い、バインダー繊維Bとしてイソフタル酸を45モル%共重合したアルカリ難溶性ポリエチレンテレフタレートP3(融点:110℃)を鞘成分とし、イソフタル酸を40モル%共重合したアルカリ難溶性ポリエチレンテレフタレートP4(融点:150℃)を芯成分とした単繊維繊度2デニール、カット長5mmの芯鞘型複合繊維を用いて、複合繊維A/バインダー繊維B=75%/25%の比率で、繊維濃度0.5%となるよう水中に分散し、この分散液を円網抄紙機に送り通常の方法で抄紙し、110℃熱処理(1段目)して秤量=10.5g/mの紙を得た。この際の初期分散性は良好であった。
【0034】
こうして得た紙を5g/l水酸化ナトリウム水溶液にてアルカリ処理した後、170℃で熱処理(2段目)して秤量=9.5g/m、厚さ=42μm、緊度=0.226g/cmの薄葉紙を得た。この時、主体繊維の繊度は0.17デニールであった。
【0035】
この薄葉紙を支持体とし、その上に厚さ3μmの熱可塑性ポリエステルフィルムを酢酸ビニル系接着剤にて貼り合わせ、熱孔版印刷用原紙を得た。この熱孔版印刷用原紙をサーマルヘッドにて穿孔し製版した。この原紙の印刷結果は印字濃度が濃く、解像度も優れ、また耐刷枚数も大幅に改善できるものであった。
【0036】
比較例1
実施例1で使用した複合繊維A及びバインダー繊維Bを用いて複合繊維A/バインダー繊維B=95%/5%の重量比率で実施例1と同様に抄紙し、1段目熱処理、アルカリ処理、2段目熱処理を行なったが、バインダー繊維が少量であったため、紙力の低い紙となってしまい、熱孔版印刷用薄葉紙としては不適であった。
【0037】
比較例2
実施例1で使用した複合繊維A及びバインダー繊維Bを用いて複合繊維A/バインダー繊維B=50%/50%の重量比率で実施例1と同様に抄紙し、1段目熱処理、アルカリ処理、2段目熱処理を行なって、秤量=10.6g/m、厚さ=40μm、緊度=0.266g/cmの薄葉紙を得た。
【0038】
この薄葉紙を支持体とし、その上に厚さ3μmの熱可塑性ポリエステルフィルムを酢酸ビニル系接着剤にて貼り合わせ、熱孔版印刷用原紙を得た。この熱孔版印刷用原紙をサーマルヘッドにて穿孔し製版した。しかし、この原紙はインク保持性が悪く熱孔版印刷用原紙としては不適であった。
【0039】
比較例3
実施例1で使用した複合繊維A、バインダー繊維B及びマニラ麻を使用し、複合繊維A/バインダー繊維B/マニラ麻=10%/30%/60%の重量比率で実施例1と同様に抄紙し、1段目熱処理、アルカリ処理、2段目熱処理を行なって、秤量=12.1g/m、厚さ=45μm、緊度=0.265g/cmの薄葉紙を得た。
【0040】
この薄葉紙を支持体とし、その上に厚さ3μmの熱可塑性ポリエステルフィルムを酢酸ビニル系接着剤にて貼り合わせ、熱孔版印刷用原紙を得た。この熱孔版印刷用原紙をサーマルヘッドにて穿孔し製版した。この原紙の印刷結果は印字濃度は濃かったが、解像度が悪く、耐刷枚数も改善できなかった。
【0041】
比較例4
PET繊維の単繊維繊度0.1デニール、カット長=3mmのPET繊維及びイソフタル酸を45モル%共重合したアルカリ難溶性ポリエチレンテレフタレート(融点:110℃)を鞘成分とし、PETを芯成分とする単繊維繊度2デニール、カット長3mmの芯鞘型複合繊維を使用し、PET繊維/芯鞘型複合繊維=70%/30%の重量比率で実施例1と同様に抄紙したが、分散性が悪く均質な紙を得ることができなかった。
【0042】
比較例5
複合繊維Aとして、5−ナトリウムスルホイソフタル酸2.5モル%、ポリエチレングリコール(分子量2000)10重量%、式(I)のポリオキシエチレングリコールから誘導される単位10重量%を共重合したポリエチレンテレフタレートP1を海成分とし、ポリエチレンテレフタレートP2(以後「PET」という)を島成分とし、島の数50島、海/島重量比30/70である単繊維繊度20デニール、カット長5mmの海島型複合繊維を用い、バインダー繊維Bとしては実施例5と同じ繊維を用いて、複合繊維A/バインダー繊維B=90%/10%の重量比率で、繊維濃度0.5%となるよう水中に分散し、この分散液を円網抄紙機に送り通常の方法で抄紙し、110℃熱処理(1段目)して秤量=12.4g/mの紙を得た。この際の初期分散性は良好であった。
【0043】
こうして得た紙を5g/l水酸化ナトリウム水溶液にてアルカリ処理した後、170℃で熱処理(2段目)して秤量=11.2g/m、厚さ=45μm、緊度=0.249g/cmの薄葉紙を得た。この時、主体繊維の繊度は0.28デニールであった。
【0044】
この薄葉紙を支持体とし、その上に厚さ3μmの熱可塑性ポリエステルフィルムを酢酸ビニル系接着剤にて貼り合わせ、熱孔版印刷用原紙を得た。この熱孔版印刷用原紙をサーマルヘッドにて穿孔し製版した。しかしながら、この原紙の印刷結果は印字濃度は濃かったが、解像度が不良で、耐刷枚数も改善できなった。

Claims (7)

  1. アルカリ水溶液に易溶性の熱可塑性樹脂P1とアルカリ水溶液に難溶性の熱可塑性樹脂P2とからなる複合繊維をアルカリ水溶液で処理して得られる単繊維繊度0.01〜0.2デニールの極細繊維を10〜65重量%含む熱孔版印刷用薄葉紙であって、該薄葉紙を構成する繊維間が、融点差30℃以上の2種以上のアルカリ水溶液に難溶性の熱接着性樹脂によって接着されており、かつ該薄葉紙の緊度が0.20〜0.30g/cm3であり、緊度のばらつきが0.01g/cm3以下であることを特徴とする熱孔版印刷用薄葉紙。
  2. 極細繊維の断面形状が略円形である請求項1記載の熱孔版印刷用薄葉紙。
  3. 繊維間を接着させる2種の熱接着性樹脂が、融点差を30℃以上有するアルカリ難溶性の低融点成分P3およびアルカリ難溶性の高融点成分P4とから構成される複合繊維に由来するものである請求項1または2記載の熱孔版印刷用薄葉紙。
  4. アルカリ水溶液に易溶性の熱可塑性樹脂P1とアルカリ水溶液に難溶性の熱可塑性樹脂P2とからなる複合繊維A20〜90重量%、融点差が30℃以上であるアルカリ難溶性の低融点成分P3とアルカリ難溶性の高融点成分P4とからなる熱接着性複合繊維B10〜40重量%を含む紙料を湿式抄造法にて混抄する工程(i)、混抄物に熱処理を施して低融点成分P3により繊維間を熱接着させる工程(ii)、アルカリ水溶液により熱可塑性樹脂P1を溶解除去する工程(iii)、熱処理を施して高融点成分P4により繊維間を熱接着させる工程(iv)を含むことを特徴する熱孔版印刷用薄葉紙の製造方法。
  5. 複合繊維Aが熱可塑性樹脂P1を島成分とする海島型複合繊維である請求項に記載の製造方法。
  6. 熱接着性複合繊維が、低融点成分P3を鞘成分とする芯鞘型複合繊維である請求項又はに記載の製造方法。
  7. 請求項1に記載の薄葉紙を基材とする熱孔版印刷用原紙。
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