JP3590281B2 - 車両用シフトレバーガイド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は車両用シフトレバーガイドに係り、特に、シフトレバーの誤操作を防止する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エンジン等の車両走行用駆動源の回転を変速して車輪に伝達する車両用変速機の一種に、(a) 複数の前進変速段と動力伝達遮断状態と後進変速段とを成立させる変速機構と、(b) 前記変速機構を切り換える油圧シリンダ等の変速アクチュエータとを有し、(c) 運転者のシフトレバー操作をスイッチで検出して前記変速アクチュエータにより変速機構を切り換えるようにしたものが提案されている。このような車両用変速機のシフトレバーのシフトパターンの一種に、変速機の複数の前進変速段を手動操作でアップダウンできるマニュアルシフト位置を備えているものがあり、例えばマニュアルシフト位置を挟んで互いに反対側に定められたアップ位置またはダウン位置へシフトレバーが操作されることにより、変速機の複数の前進変速段をアップダウンするようになっている。また、変速機を動力伝達遮断状態にするニュートラル位置や後進変速段にするリバース位置を有するのが普通で、例えば実開平5−71537号公報に記載の装置では、図10に示すようにマニュアルシフト位置「S」の略真横(車両の車幅方向)にニュートラル位置「N」が設けられているとともに、そのニュートラル位置「N」から略直角に車両前方側へ折れ曲がった位置にリバース位置「R」が設けられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のシフトレバーパターンにおいては、マニュアルシフト位置「S」からニュートラル位置「N」へシフトレバーを操作しようとした場合に、完全に車両横方向のみの操作力でシフトレバーを操作することは困難で、車両前方側の成分の力を含んでいると、シフトレバーはニュートラル位置「N」で止まらずにリバース位置「R」側へ行き過ぎてしまう可能性があった。シフトレバーを押し下げたり、所定の押し釦を押圧操作したりすることにより、ニュートラル位置「N」からリバース位置「R」への移動操作が許容されるようにすることも考えられるが、構造が複雑になって製造コストが高くなる。
【0004】
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、簡単な構造でシフトレバーの誤操作を防止することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、第1発明は、(a) 一端部がシフトレバーの一つの操作位置とされている略直線状の第1移動路と、(b) その第1移動路の前記一端部に接続される略直線状の第2移動路とを有し、(c) それ等の第1移動路および第2移動路に沿って前記シフトレバーを案内する車両用シフトレバーガイドであって、(d) 前記第1移動路および前記第2移動路は鋭角で接続されていることを特徴とする。
【0006】
第2発明は、(a) 略直線状の切欠穴にて規定されているとともに、一端部がシフトレバーの一つの操作位置とされている第1移動路と、(b) 略直線状の切欠穴にて規定されているとともに、前記第1移動路の前記一端部に接続される第2移動路とを有し、(c) それ等の第1移動路および第2移動路に沿って前記シフトレバーを案内する車両用シフトレバーガイドであって、(d) 前記第1移動路および前記第2移動路は略直角に接続されているとともに、その接続部である操作位置の近傍には前記切欠穴の内側へ突き出して前記シフトレバーの移動を規制する突起が設けられていることを特徴とする。この第2発明は、請求項1に記載の発明に相当する。
【0007】
第3発明は、第2発明の車両用シフトレバーガイドにおいて、(a) 略直線状の切欠穴にて規定されているとともに、前記第2移動路に接続されて前記第1移動路と略平行で反対側へ延び出す第3移動路を有し、(b) 前記突起は、前記第1移動路から前記操作位置へ操作した時に前記第2移動路を経て第3移動路まで前記シフトレバーが行き過ぎることを防止するため、その第2移動路の切欠穴のうちその第3移動路の延び出し側の側縁部に設けられ、そのシフトレバーをその延び出し方向と反対側へ変位させる逆向き突起であることを特徴とする。この第3発明は、請求項2に記載の発明に相当する。
【0008】
第4発明は、(a) 略直線状の切欠穴にて規定されているとともに車両の前後方向に設けられ、車両前側の第1位置と車両後側の第2位置との間でシフトレバーが移動させられる第1前後移動路と、(b) 略直線状の切欠穴にて規定されているとともに、前記第1前後移動路から車両の幅方向にずれて車両の前後方向に設けられ、車両前側の第3位置と車両後側の第4位置との間で前記シフトレバーが移動させられる第2前後移動路と、(c) 前記第2位置と前記第3位置とを接続する接続移動路とを有し、(d) 前記第2位置および第3位置の少なくとも一方が前記シフトレバーの1つの操作位置とされているとともに、そのシフトレバーは前記接続移動路を通って前記第1前後移動路と前記第2前後移動路との間を行き来させられる車両用シフトレバーガイドであって、(e) 前記第3位置は、車両の前後方向において前記第2位置と略同じか車両前方側に設定されており、(f) 前記接続移動路は、車両の前後方向において前記第2位置と前記第3位置との中間部分に設けられた前記切欠穴の幅寸法より狭い連絡ゲートによって規定されていることを特徴とする。この第4発明は、請求項3に記載の発明に相当する。
【0009】
第5発明は、(a) 略直線状の切欠穴にて規定されているとともに車両の前後方向に設けられ、車両前側の第1位置と車両後側の第2位置との間でシフトレバーが移動させられる第1前後移動路と、(b) 略直線状の切欠穴にて規定されているとともに、前記第1前後移動路から車両の幅方向にずれて車両の前後方向に設けられ、車両前側の第3位置と車両後側の第4位置との間で前記シフトレバーが移動させられる第2前後移動路と、(c) 前記第2位置と前記第3位置とを接続する接続移動路とを有し、(d) 前記第2位置および第3位置の少なくとも一方が前記シフトレバーの1つの操作位置とされているとともに、そのシフトレバーは前記接続移動路を通って前記第1前後移動路と前記第2前後移動路との間を行き来させられる車両用シフトレバーガイドであって、(e) 前記第3位置は、車両の前後方向において前記第2位置と略同じか車両前方側に設定されており、(f) 前記第1前後移動路および前記第2前後移動路の少なくとも一方は、前記第1位置または前記第4位置から前記接続移動路側へ向かうに従って、車両の幅方向において他方の前後移動路から離間する方向へ傾斜していることを特徴とする。この第5発明は、請求項4に記載の発明に相当する。
【0010】
第6発明は、第4発明または第5発明の車両用シフトレバーガイドにおいて、前記第1前後移動路および前記第2前後移動路は略平行で、前記切欠穴が略接する状態で隣接して設けられていることを特徴とする。この第6発明は、請求項5に記載の発明に相当する。
【0011】
【発明の効果】
第1発明の車両用シフトレバーガイドにおいては、第1移動路と第2移動路とが鋭角で接続されているため、両移動路の接続部である操作位置へシフトレバーを操作する際に、誤って反対側の移動路まで行き過ぎる可能性が小さい。また、シフトレバーの移動路を変更するだけで良いため、シフトレバーを押し下げたり押し釦を押圧操作したりする場合に比較して構造が簡単で安価に構成される。
【0012】
第2発明では、それぞれ略直線状の切欠穴にて規定されている第1移動路および第2移動路が略直角に接続されているが、その接続部である操作位置の近傍には切欠穴の内側へ突き出す突起が設けられているため、その操作位置へシフトレレバーを操作する場合、或いはその操作位置から別の位置へシフトレバーを操作する際に、突起によってシフトレバーの移動が規制され、一方の移動路から接続部である操作位置へシフトレバーを操作する際に、誤って反対側の移動路まで行き過ぎることを抑制できる。また、シフトレバーの切欠穴に突起を設けるだけで良いため、シフトレバーを押し下げたり押し釦を押圧操作したりする場合に比較して構造が簡単で安価に構成される。
【0013】
第3発明では、第2移動路の切欠穴のうち第3移動路の延び出し側の側縁部に逆向き突起が設けられ、シフトレバーを第1移動路から操作位置へ操作した時に第2移動路まで行き過ぎると、その逆向き突起によってシフトレバーが第3移動路の延び出し方向と反対側へ変位させられるため、第2移動路を経て第3移動路まで行き過ぎることが好適に防止される。
【0014】
第4発明では、第2前後移動路の前端である第3位置が、車両前後方向において第1前後移動路の後端である第2位置と略同じか車両前方側に設定されているとともに、それ等の移動路の切欠穴の幅寸法よりも狭い連絡ゲートを介して接続されているため、その連絡ゲートによってシフトレバーの移動が規制され、第1位置から第2位置へシフトレバーを操作しようとした場合に誤って第3位置や第4位置まで行き過ぎる可能性が小さいとともに、第4位置から第3位置へシフトレバーを操作しようとした場合に誤って第2位置や第1位置まで行き過ぎる可能性が小さい。また、前後移動路の切欠穴の幅寸法よりも狭い連絡ゲートを設けるだけで良いため、シフトレバーを押し下げたり押し釦を押圧操作したりする場合に比較して構造が簡単で安価に構成される。
【0015】
第5発明では、第2前後移動路の前端である第3位置が、車両前後方向において第1前後移動路の後端である第2位置と略同じか車両前方側に設定されているとともに、第1前後移動路および第2前後移動路の少なくとも一方は、第1位置または第4位置から接続移動路側へ向かうに従って、車両の幅方向において他方の前後移動路から離間する方向へ傾斜しているため、その前後移動路を接続移動路側へ向かってシフトレバーを操作する場合、他方の前後移動路側への操作力成分(車両幅方向への操作力)が大きいと前後方向へ操作し難くなる。このため、車両前後方向への操作力成分を大きくする必要があり、接続移動路を経て他方の前後移動路まで行き過ぎる可能性が小さい。また、シフトレバーの移動路を変更するだけで良いため、シフトレバーを押し下げたり押し釦を押圧操作したりする場合に比較して構造が簡単で安価に構成される。
【0016】
第6発明では、第1前後移動路および第2前後移動路が略平行で、切欠穴が略接する状態で隣接して設けられているため、僅かな移動操作で両前後移動路へシフトレバーを行き来させることが可能で、迅速なシフトレバー操作が可能であるとともに、シフトレバーガイドをコンパクトに構成できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の車両用シフトレバーガイドは、シフトレバーが運転席の横に配設されている場合や斜め前方のインストルメントパネル等に配設されている場合に好適に適用されるが、第1発明〜第3発明についてはステアリングコラムなどその他の場所に配設されている場合にも適用され得る。なお、シフトレバーの総ての操作位置が本発明を満足している必要はなく、少なくとも一部の操作位置が本発明の要件を満たしておれば良い。
【0018】
シフトレバーの操作位置は、例えば前記マニュアルシフト位置やニュートラル位置、リバース位置などであるが、アクセル操作量(またはスロットル弁開度)および車速などの運転状態をパラメータとして予め定められた変速条件に従って変速段を自動的に切り換える自動変速位置を備えていても良いし、複数の前進変速段毎の変速位置(第1変速段、第2変速段、・・・など)が設けられていても良い。この操作位置はスイッチにより電気的に検出され、変速アクチュエータによって変速機を切り換えるものでも良いが、シフトレバーと変速機とがケーブルやリンクなどにより機械的に連結され、シフトレバーの各操作位置への切換え操作に伴って変速機が機械的に切り換えられるものでも良い。なお、複数の前進変速段は必ずしも必要でなく、例えば動力伝達遮断状態(ニュートラル位置)と前進走行状態(ドライブ位置)と後進走行状態(リバース位置)とを切り換えるだけでも良い。
【0019】
第1発明における第1移動路と第2移動路との接続角度は鋭角であれば良いが、誤操作を好適に防止する上で例えば80°程度であることが望ましい。第2発明〜第6発明の切欠穴は、シフトレバーとの間に所定の隙間(遊び)を有する状態でそのシフトレバーを案内するもので、第4発明の連絡ゲートは、同じくシフトレバーとの間に所定の隙間(遊び)を有する状態でシフトレバーの通過を許容するものであるが、連絡ゲートとシフトレバーとの間の隙間は小さく、シフトレバーの通過を規制するように設定される。連絡ゲートは、全体が狭い切欠穴或いは開口でも良いが、切欠穴の一部に突起が設けられて幅狭部を形成したものでも良い。
【0020】
第2発明の突起や第3発明の逆向き突起は、必ずしも切欠穴の幅寸法を狭くするものである必要はなく、例えば切欠穴の一方の側縁部に接する状態でシフトレバーが操作される際に、その側縁部に設けられた突起または逆向き突起にシフトレバーが引っ掛かって移動を制限するように構成される。第2発明では、シフトレバーの移動を制限する場合だけでなく、一方の移動路から操作位置へシフトレバーを操作する際に、その一方の移動路に設けられた突起により他方の移動路と反対方向へシフトレバーを案内することにより、その他方の移動路への行き過ぎを抑制するものでも良い。要するに、前記第1移動路および第2移動路の少なくとも一方の移動路から接続部である操作位置へ前記シフトレバーを操作する際に、誤って他方の移動路までシフトレバーが行き過ぎることを抑制するように突起が設けられておれば良いのである。
【0021】
第5発明における前後移動路の車両前後方向からの傾斜角度は、大きい程他方の前後移動路側への誤操作が好適に防止されるが、大き過ぎるとシフトレバーの操作性が悪くなるため、例えば15°〜35°程度が望ましい。
【0022】
本発明のシフトレバーガイドはシフトレバーの移動路を規定するもので、シフトレバーを支持する支持シャフトの軸心まわりの回転や軸方向の移動を係合部材などによって制限することにより、予め定められた移動路に沿って案内するように構成することもできるが、シフトレバーそのものは二次元スライド機構や軸心まわりの回転可能且つ軸方向の移動可能な支持シャフト、或いはボールジョイントなどによって支持され、運転者によって把持されるシフトノブが平坦面、円筒面、球面などの所定の移動面内を自在に移動可能な場合は、そのシフトレバーの軸部と係合する前記切欠穴が設けられた板状のシフトレバープレートなどにより、予め定められた移動路に沿って案内するように構成される。
【0023】
なお、第4発明で、第3位置が車両の前後方向において第2位置と略同じで突起によって連絡ゲートが構成されている場合は第2発明の一実施態様で、第3位置が車両の前後方向において第2位置よりも車両前方側に設定されている場合は第1発明の一実施態様に相当する。また、第6発明では第1前後移動路と第2前後移動路とが略平行で、切欠穴が略接するように隣接して設けられているが、第4発明、第5発明の実施に際しては、それ等の前後移動路が平行でなくても差し支えないし、車両の幅方向へ所定寸法だけ離間して設けるようにしても良い。
【0024】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、車両用駆動装置10の概略構成を説明する骨子図で、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)車両用のものであり、走行用駆動源としてのエンジン12、自動クラッチ14、変速機16、差動歯車装置18を備えている。自動クラッチ14は、例えば図2に示す乾式単板式の摩擦クラッチで、エンジン12のクランクシャフト20に取り付けられたフライホイール22、クラッチ出力軸24に配設されたクラッチディスク26、クラッチハウジング28に配設されたプレッシャプレート30、プレッシャプレート30をフライホイール22側へ付勢することによりクラッチディスク26を挟圧して動力伝達するダイヤフラムスプリング32、クラッチレリーズシリンダ34によりレリーズフォーク36を介して図の左方向へ移動させられることにより、ダイヤフラムスプリング32の内端部を図の左方向へ変位させてクラッチを開放(遮断)するレリーズスリーブ38を有して構成されている。クラッチレリーズシリンダ34は、図3に示す油圧ポンプ94およびクラッチソレノイドバルブ98を有する油圧回路に接続されており、油圧PO の制御や回路の切換えによって作動状態が制御される。
【0025】
変速機16は差動歯車装置18と共に共通のハウジング40内に配設されてトランスアクスルを構成しており、そのハウジング40内に所定量だけ充填された潤滑油に浸漬され、差動歯車装置18と共に潤滑されるようになっている。変速機16は、(a) 平行な一対の入力軸42、出力軸44間にギヤ比が異なる複数の変速ギヤ対46a〜46eが配設されるとともに、それ等の変速ギヤ対46a〜46eに対応して複数の噛合クラッチ48a〜48eが設けられた2軸噛合式の変速機構と、(b) それ等の噛合クラッチ48a〜48eの3つのクラッチハブスリーブ50a、50b、50cの何れかを選択的に移動させて変速段を切り換えるシフト・セレクトシャフト52とを備えており、前進5段の変速段が成立させられるようになっている。入力軸42および出力軸44には更に後進ギヤ対54が配設され、図示しないカウンタシャフトに配設された後進用アイドル歯車と噛み合わされることにより後進変速段が成立させられるようになっている。なお、入力軸42は、スプライン嵌合55によって前記自動クラッチ14のクラッチ出力軸24に連結されているとともに、出力軸44には出力歯車56が配設されて差動歯車装置18のリングギヤ58と噛み合わされている。なお、図1は、入力軸42、出力軸44、およびリングギヤ58の軸心を共通の平面内に示した展開図である。
【0026】
上記クラッチハブスリーブ50bは噛合クラッチ48bおよび48cに共通のもので、クラッチハブスリーブ50cは噛合クラッチ48dおよび48eに共通のものである。シフト・セレクトシャフト52は、軸心まわりの回動可能且つ軸方向の移動可能に配設され、セレクトシリンダ76(図3参照)により軸心まわりの3位置、すなわち前記クラッチハブスリーブ50cと係合可能な第1セレクト位置、クラッチハブスリーブ50bと係合可能な第2セレクト位置、およびクラッチハブスリーブ50aと係合可能な第3セレクト位置に位置決めされる。また、シフトシリンダ78(図3参照)により軸方向の3位置、すなわち噛合クラッチ48a〜48eが何れも遮断され且つ後進変速段も成立しない中央の中立位置(図1の状態)と、その軸方向における両側の第1シフト位置(図1の右側)および第2シフト位置(図1の左側)とに位置決めされる。中立位置では、入力軸42と出力軸44との間の動力伝達が遮断される動力伝達遮断状態になる。
【0027】
上記第1セレクト位置の第1シフト位置では、噛合クラッチ48eが連結されることにより変速比e(=入力軸42の回転数NIN/出力軸44の回転数NOUT )が最も大きい第1変速段が成立させられ、第1セレクト位置の第2シフト位置では、噛合クラッチ48dが連結されることにより変速比eが2番目に大きい第2変速段が成立させられる。第2セレクト位置の第1シフト位置では、噛合クラッチ48cが連結されることにより変速比eが3番目に大きい第3変速段が成立させられ、第2セレクト位置の第2シフト位置では、噛合クラッチ48bが連結されることにより変速比eが4番目に大きい第4変速段が成立させられる。この第4変速段の変速比eは略1である。第3セレクト位置の第1シフト位置では、噛合クラッチ48aが連結されることにより変速比eが最も小さい第5変速段が成立させられ、第3セレクト位置の第2シフト位置では後進変速段が成立させられる。シフト・セレクトシャフト52を移動させるセレクトシリンダ76およびシフトシリンダ78は変速アクチュエータとして機能しており、前記クラッチレリーズシリンダ34と共通の油圧回路に接続され、前記油圧ポンプ94による油圧PO の制御やセレクトソレノイドバルブ102、シフトソレノイドバルブ104(図3参照)による回路の切換えによってそれぞれ作動状態や作動速度(変速速度)などが制御される。
【0028】
前記差動歯車装置18は傘歯車式のもので、一対のサイドギヤ80R、80Lにはそれぞれドライブシャフト82R、82Lがスプライン嵌合などによって連結され、左右の前輪(駆動輪)84R、84Lを回転駆動する。
【0029】
図3は、本実施例の車両用駆動装置10の制御系統を説明するブロック線図で、エンジン用ECU(Electronic Control Unit)114、変速機用ECU116、ABS(Antilock Brake System)用ECU118を備えているとともに、それ等の間で必要な情報をやり取りする。これ等のECU114、116、118は、何れもマイクロコンピュータを含んで構成されており、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行う。エンジン用ECU114には、イグニッションスイッチ120、エンジン回転数(NE )センサ122、車速(V)センサ124、スロットル弁開度(θTH)センサ126、吸入空気量(Q)センサ128、吸入空気温(TA )センサ130、エンジン冷却水温(TW )センサ132などが接続され、それぞれイグニッションスイッチ120の操作位置、エンジン回転数NE 、車速V(出力軸44の回転数NOUT に対応)、スロットル弁開度θTH、吸入空気量Q、吸入空気温(外気温)TA 、エンジン冷却水温TW などを表す信号が供給されるようになっており、それ等の信号に従ってスタータ(電動モータ)134を回転駆動してエンジン12を始動したり、燃料噴射弁136の燃料噴射量や噴射時期を制御したり、イグナイタ138により点火プラグの点火時期を制御したりする。エンジン12のスロットル弁は図1に示すようにアクセルペダル(アクセル操作部材)139に機械的に連結され、その操作量(アクセル操作量)θACC に対応して変化させられるようになっているが、アクセル操作量θACC を電気的に検出して電動モータ等のスロットルアクチュエータによりスロットル弁を開閉制御することもできる。
【0030】
変速機用ECU116には、レバーポジション(PL )センサ140、ブレーキスイッチ144、入力回転数(NIN:入力軸42の回転数)センサ146、ギヤ位置(PG )センサ148、クラッチストローク(SCL)センサ150、油圧(PO )センサ110、オートモードスイッチ156などが接続され、それぞれシフトレバー160(図4参照)の操作位置(レバーポジション)PL 、ブレーキのON、OFF、入力回転数NIN、変速機16の変速段であるギヤ位置PG 、自動クラッチ14のストロークすなわちクラッチレリーズシリンダ34のストロークSCL、前記油圧回路の油圧PO 、オートモードのON、OFFなどを表す信号が供給されるようになっている。そして、それ等の信号や、前記エンジン制御用ECU114、ABS用ECU118から必要な信号を取り込むことにより、前記油圧ポンプ94の作動を制御したり、クラッチソレノイドバルブ98、セレクトソレノイドバルブ102、シフトソレノイドバルブ104を切換え制御したりすることにより、セレクトシリンダ76およびシフトシリンダ78の作動状態を切り換えて変速機16の変速制御(前後進切換え制御を含む)を行うとともに、クラッチレリーズシリンダ34の作動状態を切り換えて変速時に自動クラッチ14の遮断、接続制御などを行う。
【0031】
ABS用ECU118には、4本の車輪にそれぞれ配設された車輪速(NW )センサ152から車輪速NW を表す信号が供給され、それ等の車輪速NW を比較することによりスリップの有無を検出し、ブレーキ油圧制御弁154を制御して各車輪のブレーキ油圧を制御することによりスリップの発生を抑制する。
【0032】
前記シフトレバー160は、例えば運転席の横に配設されており、図4および図5に示すように「R」、「N」、および「S」の3つの操作位置に選択操作されて位置決め保持されるようになっているとともに、「S」位置では、車両の前後方向に設けられた「(−)」位置および「(+)」位置へ操作されるようになっており、前記レバーポジションセンサ140は、例えば複数のスライドスイッチや各操作位置に配設された複数のON−OFFスイッチ等によってそれ等の操作位置を検出する。そして、シフトレバー160が「R」位置へ操作されると、変速機16は後進変速段に切り換えられ、「N」位置へ操作されると動力伝達遮断状態に切り換えられる。「R」位置はリバース位置で、「N」位置はニュートラル位置である。また、「S」位置はマニュアルシフト位置で、「(−)」位置および「(+)」位置へシフトレバー160を操作することにより、変速機16の複数の前進変速段を手動操作でアップダウンできる。すなわち、「(−)」位置は変速機16の複数の前進変速段をダウンシフトさせるダウンシフト位置で、1回の操作毎に変速段は変速比eが大きい低速段側へ1段ずつ変速される一方、「(+)」位置は変速機16の複数の前進変速段をアップシフトさせるアップシフト位置で、1回の操作毎に変速段は変速比eが小さい高速段側へ1段ずつ変速される。なお、「(−)」位置、「(+)」位置にシフトレバー160が所定時間以上継続して保持された場合は1段飛ばしで変速を行うなど、「(−)」位置、「(+)」位置へのシフトレバー160の操作によるアップダウンの変速形態は適宜定められる。
【0033】
また、前記オートモードは、スロットル弁開度θTHおよび車速Vなどの運転状態をパラメータとして予め定められた変速条件に従って変速機16の前進変速段を自動的に切り換える自動変速モードで、シフトレバー160が「S」位置に操作され且つオートモードスイッチ156がON操作(押圧操作)されることによってオートモードになる。オートモードスイッチ156は自動復帰型のスイッチで、図4に示されているようにシフトレバー160の近傍に配設されており、再操作されるかまたはシフトレバー160が「(+)」位置、「(−)」位置や他の操作位置へ操作されることにより、オートモードは解除される。なお、「S」位置の基本状態を自動変速モードとし、手動変速スイッチの操作や「(+)」位置、「(−)」位置へのシフトレバー操作により、手動でアップダウンできる手動変速モードに切り換えられるようにしても良い。
【0034】
ここで、シフトレバー160は、二次元スライド機構や軸心まわりの回転可能且つ軸方向の移動可能な支持シャフト、或いはボールジョイントなどによって支持され、運転者によって把持されるシフトノブ162が平坦面、円筒面、球面などの所定の移動面内を自在に移動可能なもので、位置固定に配設されるシフトレバープレート164に形成された切欠穴166に軸部168が係合させられることにより、予め定められた移動路に沿って移動させられる。前記図4は、シフトレバー160付近の斜視図で、図5の(a) は切欠穴166を示す平面図で、図5の(a) の一点鎖線および図5の(b) はシフトレバー160の移動路の中心位置であるシフトパターン172を示す図であり、切欠穴166の幅寸法Dはシフトレバー160の軸部168の直径dよりも所定寸法だけ大きく、切欠穴166は所定の遊びを有する状態でシフトパターン172に沿ってシフトレバー160を案内する。本実施例では、切欠穴166が形成されたシフトレバープレート164がシフトレバーガイドに相当する。
【0035】
上記シフトパターン172は、略水平な二次元の平面内で定められており、前記「S」位置および「(+)」位置、「(−)」位置は、車両の前後方向である略一直線の変速シフト線上に設けられており、前記「S」位置と「N」位置との間のシフトレバー160の移動路は、「S」位置から上記変速シフト線に対して略直角に車両の左方向に設けられた第1コーナー「(S)」までの第1直線部174と、その第1コーナー「(S)」から第1直線部174に対して角度(90°−α)の鋭角で車両前方側に設けられた「N」位置までの第2直線部176とを備えている。また、「N」位置と「R」位置との間のシフトレバー160の移動路は、車両前後方向において「N」位置より寸法aだけ車両後方側に位置するとともに、切欠穴166の幅寸法Dと略同じ寸法だけ車両の左方向に離間した第2コーナー「(N)」までの第3直線部178と、その第2コーナー「(N)」から第2直線部176と略平行、すなわち車両前後方向に対して角度βだけ右側へ傾斜した車両前方に設けられた「R」位置までの第4直線部180とを備えている。上記傾斜角度α、βは、例えば3°〜5°程度である。シフトパターン172の「○」や「●」は、各操作位置「R」、「N」、「S」、「(−)」、「(+)」、およびコーナー「(S)」、「(N)」の中心点を表している。
【0036】
上記第2直線部176と第3直線部178との接続角度は、80°程度の鋭角である。また、切欠穴166が略接する状態で隣接して設けられた第2直線部176および第4直線部180は、第2直線部176、第3直線部178の間に挟まれて車両前方側へ突き出すように設けられた三角形状の突起200、および第3直線部178、第4直線部180の間に挟まれて車両後方側へ突き出すように設けられた三角形状の突起202によって仕切られている。それらの突起200、202間には、幅寸法Dより小さく且つ直径dと略同じ(厳密には僅かに大きい)幅寸法bの連絡ゲート204が、車両前後方向において「N」位置と第2コーナー「(N)」との中間位置を中心にして設けられ、シフトレバー160は、その連絡ゲート204を通って第2直線部176と第4直線部180との間を行き来させられるようになっている。幅寸法bは、車両前後方向の寸法である。第2直線部176および第3直線部178は、第1発明の第1移動路および第2移動路に相当する。また、第4直線部180、第3直線部178、第2直線部176は第4発明、第5発明の第1前後移動路、接続移動路、第2前後移動路に相当し、「R」位置、第2コーナー「(N)」、「N」位置、および第1コーナー「(S)」はそれぞれ第1位置、第2位置、第3位置、第4位置に相当する。
【0037】
一方、図5(b) のシフトレバー160の操作位置のうち、括弧付きで示されている「(+)」位置、「(−)」位置、第1コーナー「(S)」、第2コーナー「(N)」は何れも不安定位置で、「(+)」位置、「(−)」位置へ操作されたシフトレバー160はそれぞれ矢印で示す付勢装置182、184により自動的に「S」位置へ戻されて安定するとともに、第1コーナー「(S)」、第2コーナー「(N)」上のシフトレバー160は同じく矢印で示す付勢装置186、188により自動的にそれぞれ「S」位置、「N」位置へ移動させられて安定する。シフトレバー160が「S」位置から第1コーナー「(S)」まで移動させられても、前記レバーポジションセンサ140の信号は変化せず、変速機16はシフトレバー160が「S」位置に保持されている場合と同じ前進変速段に維持されるとともに、シフトレバー160が「N」位置から第2コーナー「(N)」まで移動させられても、前記レバーポジションセンサ140の信号は変化せず、変速機16はシフトレバー160が「N」位置に保持されている場合と同じ動力伝達遮断状態に維持される。付勢装置182〜188は、それぞれスプリングなどを備えて構成される。
【0038】
また、上記第1コーナー「(S)」と「N」位置との間、および第2コーナー「(N)」と「R」位置との間には、それぞれ節度機構190、192が設けられ、シフトレバー160の移動操作過程においてスプリング等の付勢装置およびカムなどにより必要操作力の山が付与されるようになっており、その必要操作力の山を越えて操作されることにより操作位置が変更される。
【0039】
このような本実施例のシフトパターン172によれば、第2直線部176の前端である「N」位置が、車両前後方向において第4直線部180の後端である第2コーナー「(N)」よりも寸法aだけ車両前方側に設定されており、第2直線部176と第3直線部178とが鋭角で接続されているため、「S」位置から「N」位置へシフトレバー160を操作する際に、例えば図6の(a) に示すように第1コーナー「(S)」で左前方の操作力Fが加えられていても、(b) に示すように突起202に当接することにより、誤って「R」位置まで行き過ぎることが防止される。特に、連絡ゲート204の幅寸法bは狭いため、操作力Fの方向が車両左方向へ大きく傾いている場合でも、軸部168が突起202と係合し易く、シフトレバー160の誤操作が一層効果的に防止される。なお、第4直線部180と第3直線部178も鋭角で接続されているため、「R」位置に保持されているシフトレバー160に助手席の人の足などが当たるなどしても、シフトレバー160が誤って「N」位置まで移動する可能性は小さい。
【0040】
一方、本実施例では第2直線部176が、車両前後方向から角度αだけ連絡ゲート204や第4直線部180から逃げる右方向へ傾斜して設けられているため、第2直線部176を「N」位置へ向かって操作する際に、第4直線部180側すなわち車両左方向の操作力成分が大きいと、シフトレバー160が「N」位置側へ移動し難くなる。このため、車両前方への操作力成分を大きくする必要があり、「N」位置から連絡ゲート204を通過して第4直線部180の「R」位置まで行き過ぎることが、一層効果的に防止される。例えば、図7の(a) のシフトパターン230は傾斜角度α、βが比較的大きく、15°〜35°程度の場合で、実線で示す操作力Fのように左向き成分が大きいと、シフトレバー160の移動方向との角度差が大きくなって「N」位置への操作抵抗が大きくなるため、運転者は点線で示すように車両前方への操作力成分を大きくするようになるのである。なお、図7の(b) のシフトパターン232は、「N」位置と第2コーナー「(N)」とが車両前後方向において略同じ位置に設定されている場合で、これも第5発明の一実施態様である。
【0041】
また、第2直線部176と第4直線部180とが略平行で、それ等の切欠穴166が略接するように隣接して設けられており、連絡ゲート204を通過させる僅かな移動操作で両直線部176と180との間を行き来させることができるため、迅速なシフトレバー操作が可能であるとともに、シフトパターン172をコンパクトに構成できる。本実施例では、第2直線部176、第4直線部180が、何れも車両前方へ向かうに従って車両の右方向、すなわち「S」位置側へ傾斜しているため、シフトパターン172が一層コンパクトに構成される。傾斜角度α、βが大きい図7のシフトパターン230、232の場合には、コンパクト化が一層顕著である。なお、このようにコンパクトに構成できることから、第3直線部178を長くすることが可能で、その場合は「S」位置から「N」位置へのシフト操作時に「R」位置まで行き過ぎる誤操作が更に効果的に防止される。
【0042】
また、シフトレバープレート164の切欠穴166を所定形状に設定するだけで良いため、「N」位置から「R」位置へ操作する時にシフトレバー160の押し下げや所定の押し釦の押圧操作などを要件とする場合に比較して、構造が簡単で安価に構成される。
【0043】
図8の(a) 〜(c) は、第4直線部180および第2直線部176が互いに平行で車両前後方向(前記α、β≒0)に設けられているとともに、「N」位置および第2コーナー「(N)」は、車両前後方向において略同じ位置に設定されており、それ等の「N」位置および第2コーナー「(N)」を接続する第3直線部178は、「N」位置および第2コーナー「(N)」において第2直線部176、第4直線部180に対してそれぞれ略直角に接続されているもので、何れも「N」位置の近傍に設けられた突起210、212、214、216、218、220によってシフトレバー160の誤操作を防止するものである。
【0044】
図8の(a) は、第2発明、第3発明、第4発明、および第6発明の一実施例で、「N」位置と第2コーナー「(N)」との間の連絡ゲート222の幅寸法が一対の突起210、212によって狭められ、それ等の「N」位置と第2コーナー「(N)」との間のシフトレバー160の移動が制約される。具体的には、「S」位置から「N」位置へシフトレバー160を操作した場合、シフトレバー160は第3直線部178における車両前側の側縁部に接触しながら車両左方向へ移動して第4直線部180へ侵入する可能性があるが、第3直線部178の車両前側の側縁部に設けられた突起212によってシフトレバー160は「R」位置と反対の車両後側へ変位させられるため、その第3直線部178から第4直線部180への行き過ぎが好適に防止されるのである。第2直線部176、第3直線部178、第4直線部180は、第2発明、第3発明の第1移動路、第2移動路、第3移動路に相当し、突起212は第3発明の逆向き突起に相当する。なお、突起210、212の存在により、「R」位置に保持されているシフトレバー160が誤って「N」位置まで移動することが抑制される。
【0045】
図8の(b) は、同じく第2発明、第3発明、第4発明、第6発明の一実施例で、「N」位置と第2コーナー「(N)」との間の連絡ゲート224の幅寸法が一対の突起214、216によって狭められ、それ等の「N」位置と第2コーナー「(N)」との間のシフトレバー160の移動が制約されるため、図8の(a) と同様の作用効果が得られる。突起216は第3発明の逆向き突起に相当する。加えて、「N」位置における折れ曲がりの内側に設けられた突起214は、その「N」位置の中心点に向かって突き出しているため、第1コーナー「(S)」から「N」位置へ移動操作されるシフトレバー160は、突起214との係合により第3直線部178と反対側(右側)へ変位させられ、第3直線部178側への行き過ぎが一層効果的に防止される。また、第2コーナー「(N)」における折れ曲がりの内側に設けられた突起216は、その第2コーナー「(N)」の中心点に向かって突き出しているため、第2コーナー「(N)」が所定の操作位置とされている場合に、「R」位置から第2コーナー「(N)」へ移動操作されるシフトレバー160は、突起216との係合により第3直線部178と反対側(左側)へ変位させられ、第3直線部178側への行き過ぎが効果的に防止される。
【0046】
図8の(c) は、第2発明の一実施例で、「N」位置における折れ曲がりの内側であって第2直線部176側には、第1コーナー「(S)」から「N」位置へ向かうに従って第3直線部178と反対側(右側)へ突き出す突起218が設けられており、その第1コーナー「(S)」から「N」位置へ移動操作されるシフトレバー160は、突起218との係合により第3直線部178と反対側(右側)へ変位させられ、第3直線部178側への行き過ぎが抑制される。また、第2コーナー「(N)」における折れ曲がりの内側であって第4直線部180側には、「R」位置から第2コーナー「(N)」へ向かうに従って第3直線部178と反対側(左側)へ突き出す突起220が設けられているため、第2コーナー「(N)」が所定の操作位置とされている場合に、「R」位置から第2コーナー「(N)」へ移動操作されるシフトレバー160は、突起220との係合により第3直線部178と反対側(左側)へ変位させられ、第3直線部178側への行き過ぎが抑制される。なお、上記突起218、220の存在により、第2直線部176、第4直線部180がシフトパターン172と同様に車両前方へ向かうに従って車両右方向へ傾斜していると見做すことも可能で、第5発明の一実施例と考えることもできる。
【0047】
図9の(a) は、第4発明、第6発明の一実施例で、「N」位置と第2コーナー「(N)」との間の第3直線部178を規定している連絡ゲート226が、前記幅寸法bと略同じ一定の幅寸法wで設けられている場合で、シフトレバー160の軸部168が実線で示すように「N」位置の内角部を乗り越えて操作力Fの方向へ移動させられると、一点鎖線で示すように第2コーナー「(N)」の内角部に当接するが、この時の軸部168の中心点Oは第4直線部180の切欠穴166内に入っていないため、第4直線部180へ侵入するにはシフトレバー160を第3直線部178に沿って車両左方向へ移動させる必要があり、第4直線部180への侵入が抑制される。これに対し、連絡ゲート226の幅寸法が図9の(b) に示すように広い(他の部分と同じ)と、第2コーナー「(N)」の内角部に当接した時の軸部168の中心点Oが第4直線部180の切欠穴166内に入り込み、シフトレバー160がそのまま左前方へ移動して容易に第4直線部180へ侵入する。
【0048】
ここで、第2コーナー「(N)」の内角部に当接した時の軸部168の中心点Oの位置は、操作力Fの方向や第3直線部178の幅寸法wによって異なり、左方向成分が大きくなる程第4直線部180側へ変位するが、操作力Fの向きが同じであれば、図9の(a) 、(b) から明らかなように連絡ゲート226の幅寸法wが小さい程第4直線部180から離間し、第4直線部180への侵入が抑制されるのである。また、図9では第2直線部176と第4直線部180とが略接するように隣接して設けられているが、両者を離間させて第3直線部178(連絡ゲート226)を長くすれば、幅寸法wが多少大きくなっても中心点Oが第4直線部180へ入り込むことが抑制される。
【0049】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これ等はあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である車両用シフトレバーガイドを有する車両用駆動装置の概略構成を示す骨子図である。
【図2】図1の車両用駆動装置の自動クラッチの一例を説明する図である。
【図3】図1の車両用駆動装置の制御系統を説明するブロック線図である。
【図4】図1の車両用駆動装置におけるシフトレバーを示す斜視図である。
【図5】図4のシフトレバーのシフトパターンを説明する図で、(a) はシフトパターンを規定する切欠穴を示す平面図であり、(b) はシフトレバーの移動路の中心位置であるシフトパターンを説明する図である。
【図6】図5のシフトパターンによりシフトレバーの誤操作が防止される一形態を説明する図である。
【図7】第2直線部の傾斜によりシフトレバーの行き過ぎが防止されることを説明する図で、傾斜角度が大きい別の実施態様を示す図である。
【図8】本発明の車両用シフトレバーガイドの幾つかの別の実施態様を説明する図である。
【図9】本発明の車両用シフトレバーガイドの更に別の実施態様を説明する図である。
【図10】従来のシフトパターンの一例を示す図である。
【符号の説明】
160:シフトレバー
164:シフトレバープレート(シフトレバーガイド)
166:切欠穴
172、230、232:シフトパターン(移動路)
176:第2直線部(第1移動路、第2前後移動路)
178:第3直線部(第2移動路、接続移動路)
180:第4直線部(第3移動路、第1前後移動路)
204、222、224、226:連絡ゲート
210、212、214、216、218:突起
R:リバース位置(第1位置)
(N):第2コーナー(第2位置)
N:ニュートラル位置(第3位置、操作位置)
(S):第1コーナー(第4位置)
Claims (5)
- 略直線状の切欠穴にて規定されているとともに、一端部がシフトレバーの一つの操作位置とされている第1移動路と、
略直線状の切欠穴にて規定されているとともに、前記第1移動路の前記一端部に接続される第2移動路と
を有し、該第1移動路および第2移動路に沿って前記シフトレバーを案内する車両用シフトレバーガイドであって、
前記第1移動路および前記第2移動路は略直角に接続されているとともに、その接続部である操作位置の近傍には前記切欠穴の内側へ突き出して前記シフトレバーの移動を規制する突起が設けられている
ことを特徴とする車両用シフトレバーガイド。 - 略直線状の切欠穴にて規定されているとともに、前記第2移動路に接続されて前記第1移動路と略平行で反対側へ延び出す第3移動路を有し、
前記突起は、前記第1移動路から前記操作位置へ操作した時に前記第2移動路を経て第3移動路まで前記シフトレバーが行き過ぎることを防止するため、該第2移動路の切欠穴のうち該第3移動路の延び出し側の側縁部に設けられ、該シフトレバーを該延び出し方向と反対側へ変位させる逆向き突起である
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用シフトレバーガイド。 - 略直線状の切欠穴にて規定されているとともに車両の前後方向に設けられ、車両前側の第1位置と車両後側の第2位置との間でシフトレバーが移動させられる第1前後移動路と、
略直線状の切欠穴にて規定されているとともに、前記第1前後移動路から車両の幅方向にずれて車両の前後方向に設けられ、車両前側の第3位置と車両後側の第4位置との間で前記シフトレバーが移動させられる第2前後移動路と、
前記第2位置と前記第3位置とを接続する接続移動路と
を有し、前記第2位置および第3位置の少なくとも一方が前記シフトレバーの1つの操作位置とされているとともに、該シフトレバーは前記接続移動路を通って前記第1前後移動路と前記第2前後移動路との間を行き来させられる車両用シフトレバーガイドであって、
前記第3位置は、車両の前後方向において前記第2位置と略同じか車両前方側に設定されており、
前記接続移動路は、車両の前後方向において前記第2位置と前記第3位置との中間部分に設けられた前記切欠穴の幅寸法より狭い連絡ゲートによって規定されている
ことを特徴とする車両用シフトレバーガイド。 - 略直線状の切欠穴にて規定されているとともに車両の前後方向に設けられ、車両前側の第1位置と車両後側の第2位置との間でシフトレバーが移動させられる第1前後移動路と、
略直線状の切欠穴にて規定されているとともに、前記第1前後移動路から車両の幅方向にずれて車両の前後方向に設けられ、車両前側の第3位置と車両後側の第4位置との間で前記シフトレバーが移動させられる第2前後移動路と、
前記第2位置と前記第3位置とを接続する接続移動路と
を有し、前記第2位置および第3位置の少なくとも一方が前記シフトレバーの1つの操作位置とされているとともに、該シフトレバーは前記接続移動路を通って前記第1前後移動路と前記第2前後移動路との間を行き来させられる車両用シフトレバーガイドであって、
前記第3位置は、車両の前後方向において前記第2位置と略同じか車両前方側に設定されており、
前記第1前後移動路および前記第2前後移動路の少なくとも一方は、前記第1位置または前記第4位置から前記接続移動路側へ向かうに従って、車両の幅方向において他方の前後移動路から離間する方向へ傾斜している
ことを特徴とする車両用シフトレバーガイド。 - 前記第1前後移動路および前記第2前後移動路は略平行で、前記切欠穴が略接する状態で隣接して設けられている
ことを特徴とする請求項3または4に記載の車両用シフトレバーガイド。
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