JP3590264B2 - サスペンションアームおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【技術分野】
本願発明は、自動車のサスペンションに用いられるサスペンションアーム、さらに詳しくは、パイプ材を利用して構成されるサスペンションアームとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のサスペンションアームの一例を図6に示す。この従来のサスペンションアームは、いわゆるリンク式サスペンションのロアアームとして用いられるものであり、パイプ材によって形成されたアーム本体90の長手方向両端にゴムブッシュ91,91を溶接した構造である。上記アーム本体90の長手方向中間部には、マスダンパ92、およびブレーキ用のケーブルや各種のハーネスを取付けるためのブラケット93なども溶接されている。このような構成のサスペンションアームでは、アーム本体90をパイプ材によって形成しているために、軽量化が図れる。また、鋳造や金属板のプレス成形手段などによってアーム本体を製作したものと比較すると、その製造コストを安価にできる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のものでは、次のような不具合があった。
【0004】
すなわち、従来では、アーム本体90の端部とゴムブッシュ91とを溶接しているが、この溶接作業は、それらの部材を互いに適切に位置決めして行う必要があり、また溶接強度の確保の点からその溶接長を長くする必要もあり、その作業は煩雑なものとなっていた。加えて、上記溶接作業を行うには、予めアーム本体90の端部に機械プレス加工を施したり、あるいは適当な補助部材を連結しておくなどして、サスペンションアームの端部をゴムブッシュ91の外筒と適切に溶接できるようにするための加工を施しておく必要もあり、その加工作業も非常に面倒なものとなっていた。とくに、上記アーム本体90は中空状のパイプ材であるために、その端部をゴムブッシュ91の外筒に適切に溶接できるようにするための加工は、一層面倒なものとなっていたのである。その結果、従来では、アーム本体90の原材料として安価なパイプ材を用いてはいるものの、その加工に要するコストが高価となっていた。また、従来の溶接によってアーム本体90にゴムブッシュ91を取付ける方法では、ゴムブッシュ91の位置精度を高めることも難しいものとなっていた。
【0005】
なお、従来では、パイプ材を用いたサスペンションアームの他の例として、特開平8−25929号公報に記載されたものがある。同公報に記載されたサスペンションアームは、パイプ材からなるアーム本体に液圧成形プレス加工を施すことによってアーム本体の一部に膨出部を形成し、この膨出部にゴムブッシュを取付けたものである。ところが、まず同公報の図5や図14に示されたゴムブッシュの取付構造では、アーム本体の膨出部にゴムブッシュを直接溶接し、またはゴムブッシュを支持するためのブラケットを直接溶接した構造であり、上述した従来のものと実質的になんら相違するところはない。したがって、そのような手段では、先に述べた不具合を解消することはできない。また、同公報の図17に示されたゴムブッシュの取付構造では、アーム本体の膨出部の壁部に設けた開口孔の周縁に、その周縁を上記開口孔の内側方向へ屈曲させたフランジを設けた上で、その内部にゴムブッシュを挿入している。ところが、開口孔の内側方向へ屈曲したフランジを形成する作業はさほど簡単ではなく、生産性が悪い。また、上記フランジは、開口孔の周縁部分をその外部から開口孔内に押し込んだ格好のものであるため、その内径の寸法精度を高めることも難しいものとなっていた。
【0006】
本願発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、パイプ材を利用したアーム本体へのゴムブッシュの取付けが容易かつ適切に行えるようにして、サスペンションアームの製造コストの低減化を図ることをその課題としている。
【0007】
【発明の開示】
上記の課題を解決するため、本願発明では、次の技術的手段を講じている。
【0008】
本願発明の第1の側面によれば、サスペンションアームが提供される。このサスペンションアームは、パイプ材によって形成されたアーム本体の長手方向端部にゴムブッシュが取り付けられているサスペンションアームであって、上記アーム本体の長手方向端部は、上記アーム本体の他の一般断面部分よりも大きなサイズに拡開されており、その周壁部には、互いに向かい合う部分をこのアーム本体の外方に向けて張り出させた一対の膨出部が形成されており、それら一対の膨出部のそれぞれに上記ゴムブッシュが嵌入する開口孔が設けられており、かつこの開口孔の周縁には、その周縁を上記開口孔の外方に向けて突出させたフランジが設けられていることに特徴づけられる。
【0009】
本願発明の第2の側面によれば、サスペンションアームの製造方法が提供される。この製造方法は、パイプ材によって形成されたアーム本体に、ゴムブッシュが取り付けられているサスペンションアームを製造するためのサスペンションアームの製造方法であって、上記アーム本体に液圧成形プレス加工を施すことにより、上記アーム本体の長手方向端部を上記アーム本体の他の一般断面部分よりも大きなサイズに拡開するとともに、上記アーム本体の周壁部の互いに向かい合う部分が上記アーム本体の外方に向けて張り出した一対の膨出部とこれら一対の膨出部のそれぞれからさらに外方に膨出したフランジを含む段状の部分とを備えたバルジ加工部を形成する工程と、上記段状の部分の先端部を開口させる加工を施すことにより、上記段状の部分のフランジが周縁に形成されているゴムブッシュ嵌入用の開口孔を形成する工程と、を有していることに特徴づけられる。
【0010】
本願発明では、アーム本体の開口孔にゴムブッシュが嵌入した構造となるが、そのゴムブッシュの外周面には上記開口孔の周縁に設けられているフランジを面接触させることができる。したがって、上記開口孔にゴムブッシュを安定させて嵌入保持させておくことができることは勿論のこと、上記開口孔に対してゴムブッシュを圧入させるといった手段を採用することも可能となり、ゴムブッシュをアーム本体に対して必ずしも溶接しなくても、ゴムブッシュの取付けを図ることが可能となる。したがって、溶接作業の省略化によって、製造コストの低減化を図ることが可能となる。むろん、上記ゴムブッシュをアーム本体に溶接する場合であっても、その溶接作業は、開口孔にゴムブッシュを嵌入させた状態でそれらの位置関係を安定させた状態で行うことができ、またその溶接長も短くてよいため、従来の溶接作業と比較するとかなり簡単な作業にすることができる。また、上記開口孔の周縁はフランジによってその剛性が高められるため、ゴムブッシュの取付部分の強度を高めるのにも好都合となる。
【0011】
さらに、重要な効果として、本願発明では、アーム本体の開口孔の周縁に設けられているフランジが開口孔の周縁をその開口孔の外方へ向けて突出させた構造とされているために、それらの部分の形成は、液圧成形プレス加工法を利用することによって能率良く行うことができる。すなわち、上記開口孔やその周縁のフランジは、アーム本体に液圧成形プレス加工を施すことによってその周壁部の一定領域にバルジ加工部を形成した後に、このバルジ加工部の先端部を切断するなどしてその先端部分を開口させることによって簡単に形成することが可能である。これに対し、開口孔の周縁のフランジを開口孔の内側方向に突出させている特開平8−025929号公報に記載の構造では、上述したような液圧成形プレス加工法を利用した製造方法を用いることができない。したがって、本願発明では、従来よりもサスペンションアームの生産能率を高め、製造コストを一層低減化することができる。また、液圧成形プレス加工は、ダイス(金型)によってアーム本体の各部の寸法を正確に規定することができるために、開口孔やフランジの寸法精度も簡単に高めることができ、ゴムブッシュをアーム本体の所望の位置へ正確に位置合わせすることができるという効果も得られる。
【0012】
好ましくは、上記開口孔は、非切欠き状であり、かつ上記フランジは、上記開口孔の周縁の全周にわたって設けられている。
【0013】
このような構成によれば、上記開口孔の周囲の強度を高くするのに有利となる。また、開口孔へのゴムブッシュの嵌入状態をより安定させることができ、ゴムブッシュの取付けを一層適切なものにできる。
【0014】
本願発明のその他の特徴および利点は、次の発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0016】
図1は、本願発明に係るサスペンションアームの一例を示す一部断面概略斜視図である。図2は、図1に示すサスペンションアームの要部分解斜視図である。図3は、図1のIII −III 断面図である。
【0017】
図1に示すサスペンションアームAは、自動車のリヤサスペンションとして用いられるリンク式サスペンションアームのロアアームとして適用されるものである。このサスペンションアームAは、パイプ材によって形成されたアーム本体1を主要部材とするものであり、このアーム本体1の長手方向両端部1a,1bには、ゴムブッシュ取付部2A,2Bが設けられている。また、上記アーム本体1の長手方向中間部には、断面変化部3や座部4も設けられている。上記アーム本体1は、一定方向に延びる金属製の丸パイプ材に後述する液圧成形プレス加工を施すことによって形成されたものである。
【0018】
上記ゴムブッシュ取付部2Aは、このサスペンションアームAの一端部1aを自動車の車体に連結するための部分であり、この部分にはゴムブッシュ5が取付けられている。ゴムブッシュ5は、図3によく表れているように、金属製の円筒状の内筒50と外筒51との間にゴム52を介在させたものである。
【0019】
上記ゴムブッシュ取付部2Aは、図2によく表れているように、アーム本体1の一端部1aの周壁部に設けられた左右一対の膨出部20,20、左右一対の開口孔21,21、および左右一対のフランジ22,22を具備した構成である。上記アーム本体1の一端部1aは、このアーム本体1の長手方向の他の一般断面部分よりも大径に形成されている。これにより、ゴムブッシュ5の保持に利用される上記開口孔21,21を上記一端部1aに比較的大きなサイズで形成できるようになっている。
【0020】
上記一対の膨出部20,20は、アーム本体1の一端部の周壁部のうち、互いに対向する2箇所の一定領域を適当寸法L1だけ上記アーム本体1の半径方向外方へ張り出させた部分である。上記一対の開口孔21,21は、互いに対向するように上記膨出部20,20に設けられた非切欠き状の側面視円形状の開口孔である。上記一対のフランジ22,22は、上記開口孔21,21のそれぞれの周縁の全周部分が上記膨出部20,20よりもさらに適当な寸法L2だけ上記アーム本体1の半径方向外方へ突出した部分であり、それらの基端部が上記膨出部20,20と一体的に繋がった円筒状またはリング状の突起状形態を有している。図3によく表れているように、上記ゴムブッシュ5は、上記開口孔21,21のそれぞれに一連に嵌入しており、これにより上記アーム本体1の一端部1aに取付けられている。なお、上記各膨出部20やフランジ22は、後述するように、液圧成形プレス加工によって形成された部分である。
【0021】
図1において、上記ゴムブッシュ取付部2Bは、このサスペンションアームAの他端部1bを自動車の後輪を支持する車軸に連結するための部分であり、この部分にもゴムブッシュ5が取付けられている。このゴムブッシュ取付部2Bの構造は、上述したゴムブッシュ取付部2Aの構造と同様であり、その構造の説明は省略する。また、後述するサスペンションアームAの製造方法の説明においても、このゴムブッシュ取付部2Bについてはその説明を省略する。
【0022】
上記断面変化部3は、アーム本体1の長手方向中間部の一定長さ領域を他の一般部分よりも大径の略円筒状に膨らませた部分であり、この部分もやはり液圧成形プレス加工によって形成されている。この断面変化部3は、マスダンパとしての役割を果たし、サスペンションアームAのNVH(Noise,Vibration and Harshness)対策に役立つ。すなわち、上記断面変化部3は、アーム本体1の他の一般部分とはその断面係数が相違するため、サスペンションアームAの単体共振周波数を変更してその振動を抑制するのに役立たせることができる。この断面変化部3を設ければ、このサスペンションアームAにマスダンパやダイナミックダンパを別付けする必要を無くすことができる。上記断面変化部3は、必ずしも略円筒状である必要はなく、たとえば中空矩形断面形状やその他の断面形状にしてもよい。要は、アーム本体1の他の一般部分とは断面係数が相違する異径状または異形状に構成されていればよい。
【0023】
上記座部4は、アーム本体1の長手方向中間部の周壁部の上面部分を上方に張り出させた部分であり、その上面は略平面状となっている。この座部4も液圧成形プレス加工によって形成された部分である。この座部4は、後輪用ブレーキのケーブルの配索や各種のハーネスの取付用のブラケットとして利用される部分であり、必要に応じてその上面部にはネジ穴などが設けられている。このような座部4を設けておけば、たとえばケーブル配索用などのブラケットをアーム本体1に別付けする必要を無くすことができる。また、その上面は略平面状であるため、この部分に所望部品を溶接する場合には、その溶接作業が容易となる利点も得られる。
【0024】
図4(a)〜(c)は、上記サスペンションアームAの製造工程を示す要部断面図である。
【0025】
上記サスペンションアームAを製造するには、まずアーム本体1の材料となる一定長さの丸パイプ材10に液圧成形プレス加工を施す。この液圧成形プレス加工方法自体は従来既知の加工方法であるために、その詳述は省略するが、この加工作業は、たとえば図4(a)に示すように、所定の内面形状を有するダイス6(金型)内に丸パイプ材10を挿入配置した状態において、この丸パイプ材10内に高圧の液圧Pを作用させて行う。これにより、丸パイプ材10の所望箇所を同図仮想線に示すように拡開させたり、あるいは丸パイプ材10の所望箇所を外方へ張り出させるバルジ加工を施すことができ、上記断面変化部3や座部4を一括して簡単に形成することができる。
【0026】
また、上記液圧成形プレス加工によれば、図4(b)に示す断面形状を有する端部を備えたアーム本体中間品1’を得ることができる。すなわち、このアーム本体中間品1’の端部は、元の丸パイプ材10の直径よりも大径となるように拡開されている。また、その周壁部には、その周壁部の一定領域を外方に向けて張り出させた一対のバルジ加工部7,7が形成されている。これらのバルジ加工部7,7は、図2および図3において説明した膨出部20,20とフランジ22,22とに相当する部分を含む形状を有しているが、むろんその先端部は閉塞状態にあり、上記開口孔21,21は形成されていない。
【0027】
上記アーム本体中間品1’を作製した後には、上記バルジ加工部7,7の先端部7a,7aを、図4(b)の仮想線C,Cに沿ってそれらの張り出し方向と直交する方向に切断する。これにより、図4(c)に示す断面形状の端部を有するアーム本体1が得られるが、上記切断作業によれば、上記バルジ加工部7,7の先端部7a,7aが除去されるため、上記バルジ加工部7,7の残余の基端部7b,7bの先端が開口し、上記開口孔21,21が形成される。また、上記バルジ加工部7,7の残余の基端部7b,7bは、そのまま上述した膨出部20,20およびフランジ22,22となる。
【0028】
このようにしてアーム本体1を製作した後には、上記開口孔21,21にゴムブッシュ5を嵌入する。この場合、図3に示すように、上記開口孔21,21の周縁の全周には一定幅を有するフランジ22,22が設けられているために、これらフランジ22,22の内周面を上記ゴムブッシュ5の外筒51の外周面に対して面接触させることができる。したがって、上記ゴムブッシュ5をアーム本体1に取付けるための手段としては、開口孔21,21にゴムブッシュ5を圧入する手段を採用することができる。その結果、ゴムブッシュ5をアーム本体1に溶接しなくても、アーム本体1に対するゴムブッシュ5の適切な固定保持を図ることが可能となる。
【0029】
上記開口孔21,21のサイズや位置は、実質的には、フランジ22,22の内径や位置によって特定される。その一方、上記フランジ22,22は、液圧成形プレス加工によって形成されたものであるため、その位置やサイズは上記ダイス6の内面形状に正確に対応したものに仕上げることができる。したがって、上記開口孔21,21を所望のサイズや位置に正確に仕上げることが簡単に行え、これにより上述したゴムブッシュ5の圧入がより的確に行えるとともに、上記開口孔21,21に嵌入するゴムブッシュ5の位置決めも正確に行うことが可能となる。
【0030】
図5は、サスペンションアームの他の例を示す要部分解斜視図である。
【0031】
同図に示すサスペンションアームAaは、アーム本体1Aの拡開された端部1cの周壁部に、その側部が一部開口した切欠き状の開口孔21A,21Aを設けているとともに、これらの開口孔21A,21Aの周縁に、その周縁を外方に向けて突出させた側面視略U字状のフランジ22A,22Aを設けた構成である。上記開口孔21A,21Aには、ゴムブッシュ5が嵌入される。
【0032】
上記構成では、先の図1ないし図3に示す実施形態とは異なり、ゴムブッシュ5を開口孔21A,21Aに嵌入させただけでは、その前方の切欠開口部分からゴムブッシュ5が抜け外れる虞れがあり、たとえば溶接などを施してゴムブッシュ5をアーム本体1Aに固定させる必要がある。しかしながら、上記構成においては、上記開口孔21A,21Aにゴムブッシュ5を嵌入することにより、ゴムブッシュ5とアーム本体1Aとを簡単に位置決めすることができ、溶接に際しての位置決め作業が容易となる。また、フランジ22A,22Aによってゴムブッシュ5を支持する分だけ、その溶接強度は小さくて済むために、溶接長をさほど長くする必要もなくなる。したがって、溶接作業を簡単にできる。さらに、上記構成においても、フランジ22A,22Aがアーム本体1Aの外方に向けて突出しているために、先の実施形態の場合と同様に、液圧成形プレス加工法を利用した製造作業によって上記サスペンションアームAaの製造を能率良く行うことができる。
【0033】
また、上記図5に示す構成では、図1ないし図3に示す実施形態の膨出部20,20に相当する部分を設けていない。本願発明においては、膨出部20,20を設ければ、ゴムブッシュの取付部分近傍の剛性をより高めることができる利点が得られる。
【0034】
本願発明に係るサスペンションアームの各部の具体的な構成は、上述の実施形態に限定されず、種々に設計変更自在である。上述の実施形態では、リンク式サスペンションアームのロアアームに適用されるサスペンションアームを一例として説明したが、本願発明はこれに限定されない。本願発明は、リンク式サスペンションアームのアッパアームにも適用することができることは勿論のこと、それ以外のリヤサスペンションやフロントサスペンションの種々のサスペンションアームに適用することできる。アーム本体の両端にゴムブッシュを設けたものに限らず、アーム本体の一端部のみにゴムブッシュを設けたタイプのものにも本願発明を適用することができることは言うまでもない。
【0035】
さらに、本願発明に係るサスペンションアームの製造方法の各作業工程の具体的な構成も、上述の実施形態に限定されず、種々に変更自在である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明に係るサスペンションアームの一例を示す一部断面概略斜視図である。
【図2】図1に示すサスペンションアームの要部分解斜視図である。
【図3】図1のIII −III 断面図である。
【図4】(a)〜(c)は、図1に示すサスペンションアームの製造工程を示す要部断面図である。
【図5】サスペンションアームの他の例を示す要部分解斜視図である。
【図6】従来のサスペンションアームの一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1,1A アーム本体
5 ゴムブッシュ
7 バルジ加工部
20 膨出部
21,21A 開口孔
22,22A フランジ
A サスペンションアーム
【技術分野】
本願発明は、自動車のサスペンションに用いられるサスペンションアーム、さらに詳しくは、パイプ材を利用して構成されるサスペンションアームとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のサスペンションアームの一例を図6に示す。この従来のサスペンションアームは、いわゆるリンク式サスペンションのロアアームとして用いられるものであり、パイプ材によって形成されたアーム本体90の長手方向両端にゴムブッシュ91,91を溶接した構造である。上記アーム本体90の長手方向中間部には、マスダンパ92、およびブレーキ用のケーブルや各種のハーネスを取付けるためのブラケット93なども溶接されている。このような構成のサスペンションアームでは、アーム本体90をパイプ材によって形成しているために、軽量化が図れる。また、鋳造や金属板のプレス成形手段などによってアーム本体を製作したものと比較すると、その製造コストを安価にできる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のものでは、次のような不具合があった。
【0004】
すなわち、従来では、アーム本体90の端部とゴムブッシュ91とを溶接しているが、この溶接作業は、それらの部材を互いに適切に位置決めして行う必要があり、また溶接強度の確保の点からその溶接長を長くする必要もあり、その作業は煩雑なものとなっていた。加えて、上記溶接作業を行うには、予めアーム本体90の端部に機械プレス加工を施したり、あるいは適当な補助部材を連結しておくなどして、サスペンションアームの端部をゴムブッシュ91の外筒と適切に溶接できるようにするための加工を施しておく必要もあり、その加工作業も非常に面倒なものとなっていた。とくに、上記アーム本体90は中空状のパイプ材であるために、その端部をゴムブッシュ91の外筒に適切に溶接できるようにするための加工は、一層面倒なものとなっていたのである。その結果、従来では、アーム本体90の原材料として安価なパイプ材を用いてはいるものの、その加工に要するコストが高価となっていた。また、従来の溶接によってアーム本体90にゴムブッシュ91を取付ける方法では、ゴムブッシュ91の位置精度を高めることも難しいものとなっていた。
【0005】
なお、従来では、パイプ材を用いたサスペンションアームの他の例として、特開平8−25929号公報に記載されたものがある。同公報に記載されたサスペンションアームは、パイプ材からなるアーム本体に液圧成形プレス加工を施すことによってアーム本体の一部に膨出部を形成し、この膨出部にゴムブッシュを取付けたものである。ところが、まず同公報の図5や図14に示されたゴムブッシュの取付構造では、アーム本体の膨出部にゴムブッシュを直接溶接し、またはゴムブッシュを支持するためのブラケットを直接溶接した構造であり、上述した従来のものと実質的になんら相違するところはない。したがって、そのような手段では、先に述べた不具合を解消することはできない。また、同公報の図17に示されたゴムブッシュの取付構造では、アーム本体の膨出部の壁部に設けた開口孔の周縁に、その周縁を上記開口孔の内側方向へ屈曲させたフランジを設けた上で、その内部にゴムブッシュを挿入している。ところが、開口孔の内側方向へ屈曲したフランジを形成する作業はさほど簡単ではなく、生産性が悪い。また、上記フランジは、開口孔の周縁部分をその外部から開口孔内に押し込んだ格好のものであるため、その内径の寸法精度を高めることも難しいものとなっていた。
【0006】
本願発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、パイプ材を利用したアーム本体へのゴムブッシュの取付けが容易かつ適切に行えるようにして、サスペンションアームの製造コストの低減化を図ることをその課題としている。
【0007】
【発明の開示】
上記の課題を解決するため、本願発明では、次の技術的手段を講じている。
【0008】
本願発明の第1の側面によれば、サスペンションアームが提供される。このサスペンションアームは、パイプ材によって形成されたアーム本体の長手方向端部にゴムブッシュが取り付けられているサスペンションアームであって、上記アーム本体の長手方向端部は、上記アーム本体の他の一般断面部分よりも大きなサイズに拡開されており、その周壁部には、互いに向かい合う部分をこのアーム本体の外方に向けて張り出させた一対の膨出部が形成されており、それら一対の膨出部のそれぞれに上記ゴムブッシュが嵌入する開口孔が設けられており、かつこの開口孔の周縁には、その周縁を上記開口孔の外方に向けて突出させたフランジが設けられていることに特徴づけられる。
【0009】
本願発明の第2の側面によれば、サスペンションアームの製造方法が提供される。この製造方法は、パイプ材によって形成されたアーム本体に、ゴムブッシュが取り付けられているサスペンションアームを製造するためのサスペンションアームの製造方法であって、上記アーム本体に液圧成形プレス加工を施すことにより、上記アーム本体の長手方向端部を上記アーム本体の他の一般断面部分よりも大きなサイズに拡開するとともに、上記アーム本体の周壁部の互いに向かい合う部分が上記アーム本体の外方に向けて張り出した一対の膨出部とこれら一対の膨出部のそれぞれからさらに外方に膨出したフランジを含む段状の部分とを備えたバルジ加工部を形成する工程と、上記段状の部分の先端部を開口させる加工を施すことにより、上記段状の部分のフランジが周縁に形成されているゴムブッシュ嵌入用の開口孔を形成する工程と、を有していることに特徴づけられる。
【0010】
本願発明では、アーム本体の開口孔にゴムブッシュが嵌入した構造となるが、そのゴムブッシュの外周面には上記開口孔の周縁に設けられているフランジを面接触させることができる。したがって、上記開口孔にゴムブッシュを安定させて嵌入保持させておくことができることは勿論のこと、上記開口孔に対してゴムブッシュを圧入させるといった手段を採用することも可能となり、ゴムブッシュをアーム本体に対して必ずしも溶接しなくても、ゴムブッシュの取付けを図ることが可能となる。したがって、溶接作業の省略化によって、製造コストの低減化を図ることが可能となる。むろん、上記ゴムブッシュをアーム本体に溶接する場合であっても、その溶接作業は、開口孔にゴムブッシュを嵌入させた状態でそれらの位置関係を安定させた状態で行うことができ、またその溶接長も短くてよいため、従来の溶接作業と比較するとかなり簡単な作業にすることができる。また、上記開口孔の周縁はフランジによってその剛性が高められるため、ゴムブッシュの取付部分の強度を高めるのにも好都合となる。
【0011】
さらに、重要な効果として、本願発明では、アーム本体の開口孔の周縁に設けられているフランジが開口孔の周縁をその開口孔の外方へ向けて突出させた構造とされているために、それらの部分の形成は、液圧成形プレス加工法を利用することによって能率良く行うことができる。すなわち、上記開口孔やその周縁のフランジは、アーム本体に液圧成形プレス加工を施すことによってその周壁部の一定領域にバルジ加工部を形成した後に、このバルジ加工部の先端部を切断するなどしてその先端部分を開口させることによって簡単に形成することが可能である。これに対し、開口孔の周縁のフランジを開口孔の内側方向に突出させている特開平8−025929号公報に記載の構造では、上述したような液圧成形プレス加工法を利用した製造方法を用いることができない。したがって、本願発明では、従来よりもサスペンションアームの生産能率を高め、製造コストを一層低減化することができる。また、液圧成形プレス加工は、ダイス(金型)によってアーム本体の各部の寸法を正確に規定することができるために、開口孔やフランジの寸法精度も簡単に高めることができ、ゴムブッシュをアーム本体の所望の位置へ正確に位置合わせすることができるという効果も得られる。
【0012】
好ましくは、上記開口孔は、非切欠き状であり、かつ上記フランジは、上記開口孔の周縁の全周にわたって設けられている。
【0013】
このような構成によれば、上記開口孔の周囲の強度を高くするのに有利となる。また、開口孔へのゴムブッシュの嵌入状態をより安定させることができ、ゴムブッシュの取付けを一層適切なものにできる。
【0014】
本願発明のその他の特徴および利点は、次の発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0016】
図1は、本願発明に係るサスペンションアームの一例を示す一部断面概略斜視図である。図2は、図1に示すサスペンションアームの要部分解斜視図である。図3は、図1のIII −III 断面図である。
【0017】
図1に示すサスペンションアームAは、自動車のリヤサスペンションとして用いられるリンク式サスペンションアームのロアアームとして適用されるものである。このサスペンションアームAは、パイプ材によって形成されたアーム本体1を主要部材とするものであり、このアーム本体1の長手方向両端部1a,1bには、ゴムブッシュ取付部2A,2Bが設けられている。また、上記アーム本体1の長手方向中間部には、断面変化部3や座部4も設けられている。上記アーム本体1は、一定方向に延びる金属製の丸パイプ材に後述する液圧成形プレス加工を施すことによって形成されたものである。
【0018】
上記ゴムブッシュ取付部2Aは、このサスペンションアームAの一端部1aを自動車の車体に連結するための部分であり、この部分にはゴムブッシュ5が取付けられている。ゴムブッシュ5は、図3によく表れているように、金属製の円筒状の内筒50と外筒51との間にゴム52を介在させたものである。
【0019】
上記ゴムブッシュ取付部2Aは、図2によく表れているように、アーム本体1の一端部1aの周壁部に設けられた左右一対の膨出部20,20、左右一対の開口孔21,21、および左右一対のフランジ22,22を具備した構成である。上記アーム本体1の一端部1aは、このアーム本体1の長手方向の他の一般断面部分よりも大径に形成されている。これにより、ゴムブッシュ5の保持に利用される上記開口孔21,21を上記一端部1aに比較的大きなサイズで形成できるようになっている。
【0020】
上記一対の膨出部20,20は、アーム本体1の一端部の周壁部のうち、互いに対向する2箇所の一定領域を適当寸法L1だけ上記アーム本体1の半径方向外方へ張り出させた部分である。上記一対の開口孔21,21は、互いに対向するように上記膨出部20,20に設けられた非切欠き状の側面視円形状の開口孔である。上記一対のフランジ22,22は、上記開口孔21,21のそれぞれの周縁の全周部分が上記膨出部20,20よりもさらに適当な寸法L2だけ上記アーム本体1の半径方向外方へ突出した部分であり、それらの基端部が上記膨出部20,20と一体的に繋がった円筒状またはリング状の突起状形態を有している。図3によく表れているように、上記ゴムブッシュ5は、上記開口孔21,21のそれぞれに一連に嵌入しており、これにより上記アーム本体1の一端部1aに取付けられている。なお、上記各膨出部20やフランジ22は、後述するように、液圧成形プレス加工によって形成された部分である。
【0021】
図1において、上記ゴムブッシュ取付部2Bは、このサスペンションアームAの他端部1bを自動車の後輪を支持する車軸に連結するための部分であり、この部分にもゴムブッシュ5が取付けられている。このゴムブッシュ取付部2Bの構造は、上述したゴムブッシュ取付部2Aの構造と同様であり、その構造の説明は省略する。また、後述するサスペンションアームAの製造方法の説明においても、このゴムブッシュ取付部2Bについてはその説明を省略する。
【0022】
上記断面変化部3は、アーム本体1の長手方向中間部の一定長さ領域を他の一般部分よりも大径の略円筒状に膨らませた部分であり、この部分もやはり液圧成形プレス加工によって形成されている。この断面変化部3は、マスダンパとしての役割を果たし、サスペンションアームAのNVH(Noise,Vibration and Harshness)対策に役立つ。すなわち、上記断面変化部3は、アーム本体1の他の一般部分とはその断面係数が相違するため、サスペンションアームAの単体共振周波数を変更してその振動を抑制するのに役立たせることができる。この断面変化部3を設ければ、このサスペンションアームAにマスダンパやダイナミックダンパを別付けする必要を無くすことができる。上記断面変化部3は、必ずしも略円筒状である必要はなく、たとえば中空矩形断面形状やその他の断面形状にしてもよい。要は、アーム本体1の他の一般部分とは断面係数が相違する異径状または異形状に構成されていればよい。
【0023】
上記座部4は、アーム本体1の長手方向中間部の周壁部の上面部分を上方に張り出させた部分であり、その上面は略平面状となっている。この座部4も液圧成形プレス加工によって形成された部分である。この座部4は、後輪用ブレーキのケーブルの配索や各種のハーネスの取付用のブラケットとして利用される部分であり、必要に応じてその上面部にはネジ穴などが設けられている。このような座部4を設けておけば、たとえばケーブル配索用などのブラケットをアーム本体1に別付けする必要を無くすことができる。また、その上面は略平面状であるため、この部分に所望部品を溶接する場合には、その溶接作業が容易となる利点も得られる。
【0024】
図4(a)〜(c)は、上記サスペンションアームAの製造工程を示す要部断面図である。
【0025】
上記サスペンションアームAを製造するには、まずアーム本体1の材料となる一定長さの丸パイプ材10に液圧成形プレス加工を施す。この液圧成形プレス加工方法自体は従来既知の加工方法であるために、その詳述は省略するが、この加工作業は、たとえば図4(a)に示すように、所定の内面形状を有するダイス6(金型)内に丸パイプ材10を挿入配置した状態において、この丸パイプ材10内に高圧の液圧Pを作用させて行う。これにより、丸パイプ材10の所望箇所を同図仮想線に示すように拡開させたり、あるいは丸パイプ材10の所望箇所を外方へ張り出させるバルジ加工を施すことができ、上記断面変化部3や座部4を一括して簡単に形成することができる。
【0026】
また、上記液圧成形プレス加工によれば、図4(b)に示す断面形状を有する端部を備えたアーム本体中間品1’を得ることができる。すなわち、このアーム本体中間品1’の端部は、元の丸パイプ材10の直径よりも大径となるように拡開されている。また、その周壁部には、その周壁部の一定領域を外方に向けて張り出させた一対のバルジ加工部7,7が形成されている。これらのバルジ加工部7,7は、図2および図3において説明した膨出部20,20とフランジ22,22とに相当する部分を含む形状を有しているが、むろんその先端部は閉塞状態にあり、上記開口孔21,21は形成されていない。
【0027】
上記アーム本体中間品1’を作製した後には、上記バルジ加工部7,7の先端部7a,7aを、図4(b)の仮想線C,Cに沿ってそれらの張り出し方向と直交する方向に切断する。これにより、図4(c)に示す断面形状の端部を有するアーム本体1が得られるが、上記切断作業によれば、上記バルジ加工部7,7の先端部7a,7aが除去されるため、上記バルジ加工部7,7の残余の基端部7b,7bの先端が開口し、上記開口孔21,21が形成される。また、上記バルジ加工部7,7の残余の基端部7b,7bは、そのまま上述した膨出部20,20およびフランジ22,22となる。
【0028】
このようにしてアーム本体1を製作した後には、上記開口孔21,21にゴムブッシュ5を嵌入する。この場合、図3に示すように、上記開口孔21,21の周縁の全周には一定幅を有するフランジ22,22が設けられているために、これらフランジ22,22の内周面を上記ゴムブッシュ5の外筒51の外周面に対して面接触させることができる。したがって、上記ゴムブッシュ5をアーム本体1に取付けるための手段としては、開口孔21,21にゴムブッシュ5を圧入する手段を採用することができる。その結果、ゴムブッシュ5をアーム本体1に溶接しなくても、アーム本体1に対するゴムブッシュ5の適切な固定保持を図ることが可能となる。
【0029】
上記開口孔21,21のサイズや位置は、実質的には、フランジ22,22の内径や位置によって特定される。その一方、上記フランジ22,22は、液圧成形プレス加工によって形成されたものであるため、その位置やサイズは上記ダイス6の内面形状に正確に対応したものに仕上げることができる。したがって、上記開口孔21,21を所望のサイズや位置に正確に仕上げることが簡単に行え、これにより上述したゴムブッシュ5の圧入がより的確に行えるとともに、上記開口孔21,21に嵌入するゴムブッシュ5の位置決めも正確に行うことが可能となる。
【0030】
図5は、サスペンションアームの他の例を示す要部分解斜視図である。
【0031】
同図に示すサスペンションアームAaは、アーム本体1Aの拡開された端部1cの周壁部に、その側部が一部開口した切欠き状の開口孔21A,21Aを設けているとともに、これらの開口孔21A,21Aの周縁に、その周縁を外方に向けて突出させた側面視略U字状のフランジ22A,22Aを設けた構成である。上記開口孔21A,21Aには、ゴムブッシュ5が嵌入される。
【0032】
上記構成では、先の図1ないし図3に示す実施形態とは異なり、ゴムブッシュ5を開口孔21A,21Aに嵌入させただけでは、その前方の切欠開口部分からゴムブッシュ5が抜け外れる虞れがあり、たとえば溶接などを施してゴムブッシュ5をアーム本体1Aに固定させる必要がある。しかしながら、上記構成においては、上記開口孔21A,21Aにゴムブッシュ5を嵌入することにより、ゴムブッシュ5とアーム本体1Aとを簡単に位置決めすることができ、溶接に際しての位置決め作業が容易となる。また、フランジ22A,22Aによってゴムブッシュ5を支持する分だけ、その溶接強度は小さくて済むために、溶接長をさほど長くする必要もなくなる。したがって、溶接作業を簡単にできる。さらに、上記構成においても、フランジ22A,22Aがアーム本体1Aの外方に向けて突出しているために、先の実施形態の場合と同様に、液圧成形プレス加工法を利用した製造作業によって上記サスペンションアームAaの製造を能率良く行うことができる。
【0033】
また、上記図5に示す構成では、図1ないし図3に示す実施形態の膨出部20,20に相当する部分を設けていない。本願発明においては、膨出部20,20を設ければ、ゴムブッシュの取付部分近傍の剛性をより高めることができる利点が得られる。
【0034】
本願発明に係るサスペンションアームの各部の具体的な構成は、上述の実施形態に限定されず、種々に設計変更自在である。上述の実施形態では、リンク式サスペンションアームのロアアームに適用されるサスペンションアームを一例として説明したが、本願発明はこれに限定されない。本願発明は、リンク式サスペンションアームのアッパアームにも適用することができることは勿論のこと、それ以外のリヤサスペンションやフロントサスペンションの種々のサスペンションアームに適用することできる。アーム本体の両端にゴムブッシュを設けたものに限らず、アーム本体の一端部のみにゴムブッシュを設けたタイプのものにも本願発明を適用することができることは言うまでもない。
【0035】
さらに、本願発明に係るサスペンションアームの製造方法の各作業工程の具体的な構成も、上述の実施形態に限定されず、種々に変更自在である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明に係るサスペンションアームの一例を示す一部断面概略斜視図である。
【図2】図1に示すサスペンションアームの要部分解斜視図である。
【図3】図1のIII −III 断面図である。
【図4】(a)〜(c)は、図1に示すサスペンションアームの製造工程を示す要部断面図である。
【図5】サスペンションアームの他の例を示す要部分解斜視図である。
【図6】従来のサスペンションアームの一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1,1A アーム本体
5 ゴムブッシュ
7 バルジ加工部
20 膨出部
21,21A 開口孔
22,22A フランジ
A サスペンションアーム
Claims (3)
- パイプ材によって形成されたアーム本体の長手方向端部にゴムブッシュが取り付けられているサスペンションアームであって、
上記アーム本体の長手方向端部は、上記アーム本体の他の一般断面部分よりも大きなサイズに拡開されており、
その周壁部には、互いに向かい合う部分をこのアーム本体の外方に向けて張り出させた一対の膨出部が形成されており、
それら一対の膨出部のそれぞれに上記ゴムブッシュが嵌入する開口孔が設けられており、かつこの開口孔の周縁には、その周縁を上記開口孔の外方に向けて突出させたフランジが設けられていることを特徴とする、サスペンションアーム。 - 上記開口孔は、非切欠き状であり、かつ上記フランジは、上記開口孔の周縁の全周にわたって設けられている、請求項1に記載のサスペンションアーム。
- パイプ材によって形成されたアーム本体に、ゴムブッシュが取り付けられているサスペンションアームを製造するためのサスペンションアームの製造方法であって、
上記アーム本体に液圧成形プレス加工を施すことにより、上記アーム本体の長手方向端部を上記アーム本体の他の一般断面部分よりも大きなサイズに拡開するとともに、上記アーム本体の周壁部の互いに向かい合う部分が上記アーム本体の外方に向けて張り出した一対の膨出部とこれら一対の膨出部のそれぞれからさらに外方に膨出したフランジを含む段状の部分とを備えたバルジ加工部を形成する工程と、
上記段状の部分の先端部を開口させる加工を施すことにより、上記段状の部分のフランジが周縁に形成されているゴムブッシュ嵌入用の開口孔を形成する工程と、
を有していることを特徴とする、サスペンションアームの製造方法。
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