JP3588733B2 - 管内面補修用装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば地中埋設管(例えば上水道管、下水道管、ガス管、電線管など)を当該埋設管の内部から補修するために用いられる管内面補修用装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
地面を開削することなく地中埋設管を内部から補修する工法として、伸縮性材料からなる円筒状の成形体を具えた管内面補修用装置を、当該装置における成形体の外周面の中央部分にシート状の硬化性の補修材を巻付けた状態で、地中埋設管内における補修個所に配置し、次いで、前記成形体の内部に空気を供給して当該成形体を拡径(膨張)させ、これにより、補修材を管内面に押圧して密着させ、この状態で硬化させる工法が知られている(例えば特開平7−238527号公報参照)。ここで、管内面補修用装置における成形体を形成する伸縮性材料としては、一般に成型により製造される管状のゴム材が用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
(1)しかしながら、ゴム製の成形体を具えた従来の管内面補修用装置においては、当該成形体における拡径(膨張)および縮径(収縮)が、ゴム材自体の弾性を利用するものであるために、下記のような問題点がある。
【0004】
▲1▼ このような用途に使用されているゴム材に対して30%以上の伸びを与えると、負荷を解除した後における当該ゴム材に残留ひずみが発生する。従って、ゴム製の成形体を拡径させる場合には、縮径時における成形体の直径(d)に対する拡径時における成形体の直径(D)の比率(D/d)は1.3を超えることが禁止される。一方、下水道管内面を補修する場合において、管内面補修用装置における成形体は、通常、マンホールから下水道管内に搬入される。ここで、標準的なマンホールの径は例えば600mmとされている(JIS A 5506)。これらのことから、マンホールから搬入可能な成形体を具えた管内面補修用装置では、例えば800mm(>600×1.3)程度の内径を有する下水道管内面を補修することはできない。
【0005】
▲2▼ ゴム製の成形体の直径を1.3倍程度になるよう拡径させるためには、強度等を確保するなどの観点から、成形体を構成するゴム材の厚みを6〜7mm程度に設定する必要がある。このため、このようなゴム材よりなる成形体を具えた管内面補修用装置は、極めて重いものとなり、作業性の観点から好ましくない。
【0006】
▲3▼ ゴム製の成形体を作製(成形)するためには、成形用金型を用いてゴム材料を加硫(いわゆる巻蒸加硫)することが必要であり、装置の生産効率の観点から好ましくない。
【0007】
上記のような問題点を解決するため、本発明者らは、ゴム材よりなる成形体の代わりにゴム引布よりなる袋状のシート体を使用し、このシート体における拡径および縮径を、ゴム引布の伸縮性(ゴム引布の伸びは3〜5%程度である。)を利用するのではなく、ゴム引布のシート形状を変形させること、換言すれば、ゴム引布を折り畳むこと(若しくは「皺」を発生させること)により行なうことを考えた。この場合には、マンホールから搬入可能で、しかも、800mm程度の内径を有する下水道管であってもその内面を補修することが可能である。
【0008】
(2)しかしながら、ゴム引布よりなる袋状のシート体を具えた管内面補修用装置においては、下記のような新たな問題を有することが判明した。
▲1▼ 管内面を補修するに際して、管内面補修用装置におけるシート体は、その周方向において例えば略円形の輪郭形状(横断面形状)が保持された状態で均一に拡径するものであることが肝要である。シート体の周方向において拡径の程度にバラツキがあると、当該シート体の外周面によって支持されている補修材を、補修すべき管内面に均一な押圧力で密着させることができず、補修材に皺が発生するなどの施工不良を招くからである。
しかしながら、ゴム引布よりなるシート体を例えば水平方向に配置した状態で、その内部に空気を供給すると、重力の作用によって、当該シート体は、その周方向において輪郭形状が保持されず、下側の部分が上側の部分より膨張しやすくなるという傾向がある。そのため、ゴム引布よりなるシート体を周方向において均一に拡径させることは困難である。
また、ゴム引布よりなるシート体においては、その縮径時に局部的に皺が発生するため、この皺の発生状態によっては周方向における拡径の不均一性が更に顕著なものとなる。
【0009】
▲2▼ 管内面を補修するに際して、管内面補修用装置におけるシート体は、その長さ方向において、補修材が支持されている長さ方向の中央部分が先行して拡径し、その後、当該中央部分から徐々に端部に向かって拡径していくことが肝要である。シート体の端部から拡径する場合には、当該シート体の外周面に支持されている補修材に皺が発生しやすくなり、補修材と管内面との間に空気が残留するなどの施工不良を招くからである。
しかしながら、ゴム引布よりなるシート体は、その長さ方向における両端部が先行して拡径することが多く、シート体を中央部分から両端部に向かって拡径させることができるようなシート体の拡径におけるコントロール手段が望まれていた。
【0010】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものである。
本発明の第1の目的は、縮径時の直径(d)に対する拡径時の直径(D)の比率(D/d)が大きいシート体を具えた管内面補修用装置を提供することにある。
本発明の第2の目的は、シート体を周方向において均一に拡径させることのできる管内面補修用装置を提供することにある。
本発明の第3の目的は、シート体を長さ方向における中央部分から徐々に両端部に向かって拡径させることのできる管内面補修用装置を提供することにある。本発明の第4の目的は、大きい内径を有する地中埋設管に対しても好適に使用することができる管内面補修用装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の管内面補修用装置は、筒部材(10)と、
この筒部材(10)の外周面(13)を取り囲むよう配置され、当該筒部材(10)との間に気密空間(S)を形成することができ、かつ、補修材(25)を支持する外周面(21)を有する、ゴム引布よりなるシート体(20)と、
このシート体(20)と前記筒部材(10)との間の気密空間(S)に空気を供給して当該シート体(20)を膨張させる空気供給手段(30)と、
前記シート体(20)に、その長さ方向に各々伸び、その周方向に互いに等間隔となるよう固着された複数の可撓性ビーム(40)と、
前記シート体(20)の両端において、前記可撓性ビーム(40)の端部が位置するそれぞれの個所を、前記筒部材(10)の中心軸方向に引っ張る引張手段(50)と
を有してなることを特徴とする。
【0012】
本発明の管内面補修用装置においては、補修すべき管内部を移動させるための移動用走行手段(60)が、筒部材(10)の内部に収納可能に設けられていることが好ましい。
本発明の管内面補修用装置は、地中埋設管の管内面を補修するために好適に使用することができる。
【0013】
【作用】
(1)ゴム引布よりなるシート体は、それ自体の自己形状保持性が小さくて容易に変形する袋状のものであるので、筒部材の外周面とシート体の内面との間の気密空間に空気供給手段から空気が供給されることにより、当該空気の供給量の増加に伴って拡径し、筒部材の外周面とシート体の内面との間の気密空間から空気が抜かれることにより、当該シート体に皺などによる変形が生じて縮径する。このように、シート体を構成するゴム引布の弾性に依存することなく、当該シート体の直径を調整することができるので、シート体における縮径時の直径(d)に対する拡径時の直径(D)の比率(D/d)を大きくすることができる。
【0014】
(2)シート体には、複数の可撓性ビームが当該シート体の周方向に等間隔で配置された状態で長さ方向に伸びるよう固着されているため、シート体を縮径させるときには、可撓性ビームによって分割された領域が単位となって縮径するので、当該分割された領域の各々において均等に皺が発生するようになり、しかも、シート体を拡径させるときには、発生した皺の状態が可撓性ビームの各々によって規制されるので、シート体をその周方向において均一に拡径させることができる。
【0015】
(3)シート体の両端においては、可撓性ビームの端部の位置する個所が、引張手段によって筒部材の中心軸方向に引っ張られているため、当該シート体の長さ方向の中央部分が先行して拡径し、更に当該中央部分から徐々に端部に向かって拡径する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の管内面補修用装置について詳細に説明する。
図1および図2は、本発明の管内面補修用装置の一例における構成を示す説明用断面図であって、図1は側面方向から見た断面図、図2は正面方向(軸方向)から見た断面図であり、それぞれ後述するシート体20が拡径された状態を示している。この管内面補修用装置は、例えば下水道管の内面を補修するために用いられるものである。
【0017】
図1および図2において、10は、気密な周壁11を有する円筒形の筒部材であって、その両端には外方に突出するフランジ12が形成されている。
20は、ゴム引布よりなるシート体であって、筒部材10の外周面13を取り囲む袋状に配置されており、このシート体20の外周面21には、シート状の補修材25が巻き付けられた状態で配置されている。
【0018】
このシート体20を構成するゴム引布は、例えば合成繊維よりなる布材とゴム材とよりなるものである。ゴム引布を構成する布材としては、特に限定されるものではなく、例えばナイロン、ポリエステルなどよりなるものを用いることができる。また、ゴム引布を構成するゴム材としても、例えば天然ゴム、クロロプレンゴムなどの種々のものを用いることができる。
また、シート体20を構成するゴム引布としては、その厚みが例えば0.4〜2mmで極めて容易に変形するものが用いられる。また、シート体20の拡径およひ縮径がゴム引布の弾性に依存するものではないことから、ゴム引布それ自体の収縮性は小さくてもよく、例えば3〜5%とされる。
【0019】
補修材25としては、特に限定されるものではなく、ガラス繊維、カーボン繊維、ケプラー繊維などよりなる強化繊維材および/または不織布に、或いはそれらの積層体に不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、エマルジョン系樹脂などの熱硬化性樹脂が含浸された公知のものを用いることができる。
【0020】
筒部材10の外周面13とシート体20の内周面22との間には、気密空間Sが形成されている。具体的に説明すると、シート体20の内面と筒部材10の外周面との間には、多数の貫通孔17が形成された周壁16を有する円筒形の多孔管15が、筒部材10の筒軸に沿って当該筒部材10の外周面を取り囲むよう配置され、筒部材10のフランジ12と、多孔管15の両端に形成された内方に突出するフランジ18とによって、シート体20の両端が気密に挟持され、この状態で、筒部材10のフランジ12と多孔管15のフランジ18とが、例えばボルト(図示省略)により固定されている。
【0021】
30は、筒部材10の外周面13とシート体20の内周面22との間の気密空間Sに空気を供給してシート体20を拡径させる空気供給手段であって、筒部材10のフランジ11を貫通して設けられた通気管31に接続されている。
35は、補修材25を加熱して硬化を促進させるための複数のヒータであって、多孔管15の内面に、その周方向に等間隔で軸方向に伸びるよう配置されている。
【0022】
40は、例えば硬質塩化ビニル樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリアセタールなどの合成樹脂製のパイプよりなる複数の可撓性ビームである。これら可撓性ビーム40は、それぞれシート体20の内周面22に、その周方向に等間隔で配置された状態で当該シート体20の長さ方向に伸びるよう全長にわたって接着剤などにより固着されている。
【0023】
50は、シート体20の両端において、可撓性ビーム40の端部上に位置する個所を、筒部材10の中心軸方向に引っ張る引張手段であって、図3にも示すように、シート体20の外周面21における可撓性ビーム40の両端に対応する位置の各々に設けられた複数のフック51と、これらフック51の各々に挿通されたリング状のゴムバンド52とにより構成されている。
【0024】
60は、補修すべき下水道管内において当該管内面補修用装置を移動させるための移動用走行手段であって、棒状の脚部61と、この脚部62の先端に設けられた車輪62とにより構成されている。この移動用走行手段60においては、脚部61の基端が筒部材10のフランジ12に固定された支持部材63により回転可能に支持されており、車輪62が、筒部材10のフランジ12における外周面より外方に位置される動作位置と、筒部材10内に収納される収納位置(図1において破線で示す)との両方において固定可能であり、かつ、動作位置および収納位置の間を変位可能に設けられている。
【0025】
上記の管内面補修用装置によれば、次のようにして下水道管の内面が補修材によって補修される。
図4に示すように、筒部材10の外周面13とシート体20の内周面22との間の気密空間S内における空気を十分に抜くことにより、シート体20を縮径させると共に、移動用走行手段60の車輪62を収納位置に位置させる。そして、図5に示すように、当該管内面補修用装置を、マンホール1から下水道管2内に搬入し、その後、移動用走行手段60の車輪62を動作位置に変位させ、当該移動用走行手段60により、下水道管2内における補修個所にまで移動させる。
【0026】
次いで、空気供給手段(図示省略)を作動させて、筒部材10とシート体20との間の気密空間に例えば1.3kg/cm2 程度の圧力の空気を供給することにより、シート体20を拡径させる。
以上において、シート体20を縮径させた状態においては、図6に模式的に示すように、シート体20の内面に固着された複数の可撓性ビーム40によって、シート体20における隣り合う可撓性ビーム40の間の領域すなわち可撓性ビーム40によって分割された領域の各々間において均等に皺Wが発生する。換言すれば、可撓性ビーム40によって、シート体20が多数の面領域に分割されて、連続する大面積領域が存在しないので、大きな皺が局部的に生ずることがない。そして、シート体20は、可撓性ビーム40の各々によって皺Wの状態が規制されながら拡径する。
また、引張手段50によって、シート体20の周方向における可撓性ビーム40の両端に位置する個所が、筒部材10の中心軸方向に引っ張られているため、筒部材10とシート体20との間の気密空間に空気を供給すると、図7に示すように、可撓性ビーム40が撓むことにより、シート体20は、長さ方向の中央部分が先行して拡径し、更に当該中央部分から徐々に端部に向かって拡径していく。
【0027】
そして、シート体20が拡径されることにより、当該シート体20の外周面21に配置された補修材25がシート体20の膨張による押圧力によって下水道管2の内面に圧着され、この状態で、当該補修材25をヒータ35によって加熱して硬化させることにより、下水道管2の内面が補修される。
【0028】
上記の管内面補修用装置によれば、ゴム引布よりなるシート体20は、自己形状保持性が小さくて容易に変形するものであるので、筒部材10の外周面とシート体20の内面との間の気密空間Sに空気供給手段30から空気が供給されることにより、当該空気の供給量の増加に伴って拡径し、筒部材10の外周面とシート体20の内面との間の気密空間Sから空気が抜かれることにより、シート体20に皺などによる変形が生じて縮径する。従って、シート体20における縮径時の直径(d)に対する拡径時の直径(D)の比率(D/d)を大きくすることができるので、大きい内径を有する下水道管2の管内面を補修するために好適である。
【0029】
また、複数の可撓性ビーム40が、シート体20の周方向に等間隔で配列された状態で長さ方向に伸びるよう固着されているため、シート体20を縮径させるときには、可撓性ビーム40によって分割された領域が単位となって縮径するので、当該分割された領域の各々間において均等に皺Wが発生するようになり、一方、シート体20を拡径させるときには、発生した皺Wの状態が可撓性ビーム40の各々によって規制されるので、シート体20をその周方向において均一に拡径させることができ、その結果、補修材25に悪影響を与えることなく、当該補修材25を下水道管2の内面に圧着させることができる。
【0030】
更に、シート体20には、その両端において、可撓性ビーム40の端部の位置する個所を筒部材10の中心方向に引っ張る引張手段50が設けられているため、可撓性ビーム40が撓むことにより、シート体20の中央部分が拡径し、更に当該中央部分から徐々に端部に向かって拡径するので、これにより、補修材25と管内面との間に空気が残留することなく、補修材25を確実に下水道管1の内面に圧着させることができる。
【0031】
また、筒部材10のフランジ12には、車輪62を有する移動用走行手段60が設けられているため、当該管内面補修用装置を下水道管2内において容易に移動させることができる。しかも、車輪62は、筒部材10内に収納される収納位置に変位可能に設けられているため、当該管内面補修用装置をマンホール1から搬入する際に障害となることがない。
【0032】
本発明は、上記の管内面補修用装置に限定されず、種々の変更を加えることができる。
(1)多孔管15は必須のものではなく、シート体20の両端が他の手段により筒部材10に固定されていてもよい。
(2)シート体20の外周面21に配置される補修材25は熱硬化性のものに限定されず種々のものを用いることができる。従って、ヒータ35は必須のものではない。
(3)筒部材10の周壁11またはシート体20に通気孔を形成し、この通気孔を介して空気供給手段30からの空気が筒部材10とシート体20との間の気密空間Sに供給される構成であってもよい。
(4)可撓性ビーム40は、シート体20の外面に固着されていてもよい。この場合には、可撓性ビーム40の両端部を筒部材10の中心軸方向に引っ張ることが好ましい。また、可撓性ビーム40は、可撓性を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えばバネ板により構成されていてもよい。
(5)引張手段60は、シート体20の両端における可撓性ビーム40の端部が位置するそれぞれの個所を、筒部材10の中心方向に引っ張るものであれば、種々の構成を採用することができる。
【0033】
【発明の効果】
請求項1に記載の管内面補修用装置によれば、ゴム引布よりなるシート体は、皺などによる変形が生じて縮径するものであるので、当該シート体における縮径時の直径(d)に対する拡径時の直径(D)の比率(D/d)を大きくすることができる。従って、例えば大きい内径を有する下水道管の管内面を補修するために好適である。
【0034】
また、複数の可撓性ビームが、シート体の周方向に等間隔で配列された状態で長さ方向に伸びるよう固着されているため、シート体を縮径させるときには、可撓性ビームによって分割された領域が単位となって縮径するので、当該分割された領域の各々間において均等に皺が発生するようになり、一方、シート体を拡径させるときには、発生した皺の状態が可撓性ビームの各々によって規制されるので、シート体をその周方向において均一に拡径させることができ、その結果、補修材に悪影響を与えることなく、当該補修材を補修すべき管の内面に圧着させることができる。
【0035】
更に、シート体には、その両端において、可撓性ビームの端部の位置する個所を筒部材の中心軸方向に引っ張る引張手段が設けられているため、可撓性ビームが撓むことにより、シート体の長さ方向の中央部分が先行して拡径し、更に当該中央部分から徐々に端部に向かって拡径するのでこれにより、補修材と管内面との間に空気が残留することなく、補修材を補修すべき管内面に確実に圧着させることができる。
【0036】
請求項2に記載の管内面補修用装置によれば、補修すべき管内部を移動させるための移動用走行手段が筒部材の内部に収納可能に設けられているため、当該管内面補修用装置を補修すべき管内において容易に移動させることができると共に、例えば下水道管の管内面を補修する場合には、移動用走行手段を筒部材の内部に収納することにより、当該管内面補修用装置をマンホールから容易に搬入することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の管内面補修用装置の一例における構成をシート体が拡径した状態で示す説明用側面断面図である。
【図2】図1に示す管内面補修用装置を正面から見た説明用断面図である。
【図3】図1に示す管内面補修用装置の説明用正面図である。
【図4】図1に示す管内面補修用装置におけるシート体が縮径した状態を示す説明用側面断面図である。
【図5】図1に示す管内面補修用装置をマンホールから下水道管内に搬入した状態を示す説明図である。
【図6】シート体の縮径時に発生する皺の状態を示す説明図である。
【図7】シート体の中央部分が先行して拡径した状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 マンホール 2 下水道管
10 筒部材 11 周壁
12 フランジ 13 外周面
15 多孔管 16 周壁
17 貫通孔 18 フランジ
20 シート体 21 外周面
22 内周面 25 補修材
30 空気供給手段 31 通気管
35 ヒータ 40 可撓性ビーム
50 引張手段 51 サック
52 ゴムバンド 60 移動用走行手段
61 脚部 62 車輪
63 支持部材 W 皺
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば地中埋設管(例えば上水道管、下水道管、ガス管、電線管など)を当該埋設管の内部から補修するために用いられる管内面補修用装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
地面を開削することなく地中埋設管を内部から補修する工法として、伸縮性材料からなる円筒状の成形体を具えた管内面補修用装置を、当該装置における成形体の外周面の中央部分にシート状の硬化性の補修材を巻付けた状態で、地中埋設管内における補修個所に配置し、次いで、前記成形体の内部に空気を供給して当該成形体を拡径(膨張)させ、これにより、補修材を管内面に押圧して密着させ、この状態で硬化させる工法が知られている(例えば特開平7−238527号公報参照)。ここで、管内面補修用装置における成形体を形成する伸縮性材料としては、一般に成型により製造される管状のゴム材が用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
(1)しかしながら、ゴム製の成形体を具えた従来の管内面補修用装置においては、当該成形体における拡径(膨張)および縮径(収縮)が、ゴム材自体の弾性を利用するものであるために、下記のような問題点がある。
【0004】
▲1▼ このような用途に使用されているゴム材に対して30%以上の伸びを与えると、負荷を解除した後における当該ゴム材に残留ひずみが発生する。従って、ゴム製の成形体を拡径させる場合には、縮径時における成形体の直径(d)に対する拡径時における成形体の直径(D)の比率(D/d)は1.3を超えることが禁止される。一方、下水道管内面を補修する場合において、管内面補修用装置における成形体は、通常、マンホールから下水道管内に搬入される。ここで、標準的なマンホールの径は例えば600mmとされている(JIS A 5506)。これらのことから、マンホールから搬入可能な成形体を具えた管内面補修用装置では、例えば800mm(>600×1.3)程度の内径を有する下水道管内面を補修することはできない。
【0005】
▲2▼ ゴム製の成形体の直径を1.3倍程度になるよう拡径させるためには、強度等を確保するなどの観点から、成形体を構成するゴム材の厚みを6〜7mm程度に設定する必要がある。このため、このようなゴム材よりなる成形体を具えた管内面補修用装置は、極めて重いものとなり、作業性の観点から好ましくない。
【0006】
▲3▼ ゴム製の成形体を作製(成形)するためには、成形用金型を用いてゴム材料を加硫(いわゆる巻蒸加硫)することが必要であり、装置の生産効率の観点から好ましくない。
【0007】
上記のような問題点を解決するため、本発明者らは、ゴム材よりなる成形体の代わりにゴム引布よりなる袋状のシート体を使用し、このシート体における拡径および縮径を、ゴム引布の伸縮性(ゴム引布の伸びは3〜5%程度である。)を利用するのではなく、ゴム引布のシート形状を変形させること、換言すれば、ゴム引布を折り畳むこと(若しくは「皺」を発生させること)により行なうことを考えた。この場合には、マンホールから搬入可能で、しかも、800mm程度の内径を有する下水道管であってもその内面を補修することが可能である。
【0008】
(2)しかしながら、ゴム引布よりなる袋状のシート体を具えた管内面補修用装置においては、下記のような新たな問題を有することが判明した。
▲1▼ 管内面を補修するに際して、管内面補修用装置におけるシート体は、その周方向において例えば略円形の輪郭形状(横断面形状)が保持された状態で均一に拡径するものであることが肝要である。シート体の周方向において拡径の程度にバラツキがあると、当該シート体の外周面によって支持されている補修材を、補修すべき管内面に均一な押圧力で密着させることができず、補修材に皺が発生するなどの施工不良を招くからである。
しかしながら、ゴム引布よりなるシート体を例えば水平方向に配置した状態で、その内部に空気を供給すると、重力の作用によって、当該シート体は、その周方向において輪郭形状が保持されず、下側の部分が上側の部分より膨張しやすくなるという傾向がある。そのため、ゴム引布よりなるシート体を周方向において均一に拡径させることは困難である。
また、ゴム引布よりなるシート体においては、その縮径時に局部的に皺が発生するため、この皺の発生状態によっては周方向における拡径の不均一性が更に顕著なものとなる。
【0009】
▲2▼ 管内面を補修するに際して、管内面補修用装置におけるシート体は、その長さ方向において、補修材が支持されている長さ方向の中央部分が先行して拡径し、その後、当該中央部分から徐々に端部に向かって拡径していくことが肝要である。シート体の端部から拡径する場合には、当該シート体の外周面に支持されている補修材に皺が発生しやすくなり、補修材と管内面との間に空気が残留するなどの施工不良を招くからである。
しかしながら、ゴム引布よりなるシート体は、その長さ方向における両端部が先行して拡径することが多く、シート体を中央部分から両端部に向かって拡径させることができるようなシート体の拡径におけるコントロール手段が望まれていた。
【0010】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものである。
本発明の第1の目的は、縮径時の直径(d)に対する拡径時の直径(D)の比率(D/d)が大きいシート体を具えた管内面補修用装置を提供することにある。
本発明の第2の目的は、シート体を周方向において均一に拡径させることのできる管内面補修用装置を提供することにある。
本発明の第3の目的は、シート体を長さ方向における中央部分から徐々に両端部に向かって拡径させることのできる管内面補修用装置を提供することにある。本発明の第4の目的は、大きい内径を有する地中埋設管に対しても好適に使用することができる管内面補修用装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の管内面補修用装置は、筒部材(10)と、
この筒部材(10)の外周面(13)を取り囲むよう配置され、当該筒部材(10)との間に気密空間(S)を形成することができ、かつ、補修材(25)を支持する外周面(21)を有する、ゴム引布よりなるシート体(20)と、
このシート体(20)と前記筒部材(10)との間の気密空間(S)に空気を供給して当該シート体(20)を膨張させる空気供給手段(30)と、
前記シート体(20)に、その長さ方向に各々伸び、その周方向に互いに等間隔となるよう固着された複数の可撓性ビーム(40)と、
前記シート体(20)の両端において、前記可撓性ビーム(40)の端部が位置するそれぞれの個所を、前記筒部材(10)の中心軸方向に引っ張る引張手段(50)と
を有してなることを特徴とする。
【0012】
本発明の管内面補修用装置においては、補修すべき管内部を移動させるための移動用走行手段(60)が、筒部材(10)の内部に収納可能に設けられていることが好ましい。
本発明の管内面補修用装置は、地中埋設管の管内面を補修するために好適に使用することができる。
【0013】
【作用】
(1)ゴム引布よりなるシート体は、それ自体の自己形状保持性が小さくて容易に変形する袋状のものであるので、筒部材の外周面とシート体の内面との間の気密空間に空気供給手段から空気が供給されることにより、当該空気の供給量の増加に伴って拡径し、筒部材の外周面とシート体の内面との間の気密空間から空気が抜かれることにより、当該シート体に皺などによる変形が生じて縮径する。このように、シート体を構成するゴム引布の弾性に依存することなく、当該シート体の直径を調整することができるので、シート体における縮径時の直径(d)に対する拡径時の直径(D)の比率(D/d)を大きくすることができる。
【0014】
(2)シート体には、複数の可撓性ビームが当該シート体の周方向に等間隔で配置された状態で長さ方向に伸びるよう固着されているため、シート体を縮径させるときには、可撓性ビームによって分割された領域が単位となって縮径するので、当該分割された領域の各々において均等に皺が発生するようになり、しかも、シート体を拡径させるときには、発生した皺の状態が可撓性ビームの各々によって規制されるので、シート体をその周方向において均一に拡径させることができる。
【0015】
(3)シート体の両端においては、可撓性ビームの端部の位置する個所が、引張手段によって筒部材の中心軸方向に引っ張られているため、当該シート体の長さ方向の中央部分が先行して拡径し、更に当該中央部分から徐々に端部に向かって拡径する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の管内面補修用装置について詳細に説明する。
図1および図2は、本発明の管内面補修用装置の一例における構成を示す説明用断面図であって、図1は側面方向から見た断面図、図2は正面方向(軸方向)から見た断面図であり、それぞれ後述するシート体20が拡径された状態を示している。この管内面補修用装置は、例えば下水道管の内面を補修するために用いられるものである。
【0017】
図1および図2において、10は、気密な周壁11を有する円筒形の筒部材であって、その両端には外方に突出するフランジ12が形成されている。
20は、ゴム引布よりなるシート体であって、筒部材10の外周面13を取り囲む袋状に配置されており、このシート体20の外周面21には、シート状の補修材25が巻き付けられた状態で配置されている。
【0018】
このシート体20を構成するゴム引布は、例えば合成繊維よりなる布材とゴム材とよりなるものである。ゴム引布を構成する布材としては、特に限定されるものではなく、例えばナイロン、ポリエステルなどよりなるものを用いることができる。また、ゴム引布を構成するゴム材としても、例えば天然ゴム、クロロプレンゴムなどの種々のものを用いることができる。
また、シート体20を構成するゴム引布としては、その厚みが例えば0.4〜2mmで極めて容易に変形するものが用いられる。また、シート体20の拡径およひ縮径がゴム引布の弾性に依存するものではないことから、ゴム引布それ自体の収縮性は小さくてもよく、例えば3〜5%とされる。
【0019】
補修材25としては、特に限定されるものではなく、ガラス繊維、カーボン繊維、ケプラー繊維などよりなる強化繊維材および/または不織布に、或いはそれらの積層体に不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、エマルジョン系樹脂などの熱硬化性樹脂が含浸された公知のものを用いることができる。
【0020】
筒部材10の外周面13とシート体20の内周面22との間には、気密空間Sが形成されている。具体的に説明すると、シート体20の内面と筒部材10の外周面との間には、多数の貫通孔17が形成された周壁16を有する円筒形の多孔管15が、筒部材10の筒軸に沿って当該筒部材10の外周面を取り囲むよう配置され、筒部材10のフランジ12と、多孔管15の両端に形成された内方に突出するフランジ18とによって、シート体20の両端が気密に挟持され、この状態で、筒部材10のフランジ12と多孔管15のフランジ18とが、例えばボルト(図示省略)により固定されている。
【0021】
30は、筒部材10の外周面13とシート体20の内周面22との間の気密空間Sに空気を供給してシート体20を拡径させる空気供給手段であって、筒部材10のフランジ11を貫通して設けられた通気管31に接続されている。
35は、補修材25を加熱して硬化を促進させるための複数のヒータであって、多孔管15の内面に、その周方向に等間隔で軸方向に伸びるよう配置されている。
【0022】
40は、例えば硬質塩化ビニル樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリアセタールなどの合成樹脂製のパイプよりなる複数の可撓性ビームである。これら可撓性ビーム40は、それぞれシート体20の内周面22に、その周方向に等間隔で配置された状態で当該シート体20の長さ方向に伸びるよう全長にわたって接着剤などにより固着されている。
【0023】
50は、シート体20の両端において、可撓性ビーム40の端部上に位置する個所を、筒部材10の中心軸方向に引っ張る引張手段であって、図3にも示すように、シート体20の外周面21における可撓性ビーム40の両端に対応する位置の各々に設けられた複数のフック51と、これらフック51の各々に挿通されたリング状のゴムバンド52とにより構成されている。
【0024】
60は、補修すべき下水道管内において当該管内面補修用装置を移動させるための移動用走行手段であって、棒状の脚部61と、この脚部62の先端に設けられた車輪62とにより構成されている。この移動用走行手段60においては、脚部61の基端が筒部材10のフランジ12に固定された支持部材63により回転可能に支持されており、車輪62が、筒部材10のフランジ12における外周面より外方に位置される動作位置と、筒部材10内に収納される収納位置(図1において破線で示す)との両方において固定可能であり、かつ、動作位置および収納位置の間を変位可能に設けられている。
【0025】
上記の管内面補修用装置によれば、次のようにして下水道管の内面が補修材によって補修される。
図4に示すように、筒部材10の外周面13とシート体20の内周面22との間の気密空間S内における空気を十分に抜くことにより、シート体20を縮径させると共に、移動用走行手段60の車輪62を収納位置に位置させる。そして、図5に示すように、当該管内面補修用装置を、マンホール1から下水道管2内に搬入し、その後、移動用走行手段60の車輪62を動作位置に変位させ、当該移動用走行手段60により、下水道管2内における補修個所にまで移動させる。
【0026】
次いで、空気供給手段(図示省略)を作動させて、筒部材10とシート体20との間の気密空間に例えば1.3kg/cm2 程度の圧力の空気を供給することにより、シート体20を拡径させる。
以上において、シート体20を縮径させた状態においては、図6に模式的に示すように、シート体20の内面に固着された複数の可撓性ビーム40によって、シート体20における隣り合う可撓性ビーム40の間の領域すなわち可撓性ビーム40によって分割された領域の各々間において均等に皺Wが発生する。換言すれば、可撓性ビーム40によって、シート体20が多数の面領域に分割されて、連続する大面積領域が存在しないので、大きな皺が局部的に生ずることがない。そして、シート体20は、可撓性ビーム40の各々によって皺Wの状態が規制されながら拡径する。
また、引張手段50によって、シート体20の周方向における可撓性ビーム40の両端に位置する個所が、筒部材10の中心軸方向に引っ張られているため、筒部材10とシート体20との間の気密空間に空気を供給すると、図7に示すように、可撓性ビーム40が撓むことにより、シート体20は、長さ方向の中央部分が先行して拡径し、更に当該中央部分から徐々に端部に向かって拡径していく。
【0027】
そして、シート体20が拡径されることにより、当該シート体20の外周面21に配置された補修材25がシート体20の膨張による押圧力によって下水道管2の内面に圧着され、この状態で、当該補修材25をヒータ35によって加熱して硬化させることにより、下水道管2の内面が補修される。
【0028】
上記の管内面補修用装置によれば、ゴム引布よりなるシート体20は、自己形状保持性が小さくて容易に変形するものであるので、筒部材10の外周面とシート体20の内面との間の気密空間Sに空気供給手段30から空気が供給されることにより、当該空気の供給量の増加に伴って拡径し、筒部材10の外周面とシート体20の内面との間の気密空間Sから空気が抜かれることにより、シート体20に皺などによる変形が生じて縮径する。従って、シート体20における縮径時の直径(d)に対する拡径時の直径(D)の比率(D/d)を大きくすることができるので、大きい内径を有する下水道管2の管内面を補修するために好適である。
【0029】
また、複数の可撓性ビーム40が、シート体20の周方向に等間隔で配列された状態で長さ方向に伸びるよう固着されているため、シート体20を縮径させるときには、可撓性ビーム40によって分割された領域が単位となって縮径するので、当該分割された領域の各々間において均等に皺Wが発生するようになり、一方、シート体20を拡径させるときには、発生した皺Wの状態が可撓性ビーム40の各々によって規制されるので、シート体20をその周方向において均一に拡径させることができ、その結果、補修材25に悪影響を与えることなく、当該補修材25を下水道管2の内面に圧着させることができる。
【0030】
更に、シート体20には、その両端において、可撓性ビーム40の端部の位置する個所を筒部材10の中心方向に引っ張る引張手段50が設けられているため、可撓性ビーム40が撓むことにより、シート体20の中央部分が拡径し、更に当該中央部分から徐々に端部に向かって拡径するので、これにより、補修材25と管内面との間に空気が残留することなく、補修材25を確実に下水道管1の内面に圧着させることができる。
【0031】
また、筒部材10のフランジ12には、車輪62を有する移動用走行手段60が設けられているため、当該管内面補修用装置を下水道管2内において容易に移動させることができる。しかも、車輪62は、筒部材10内に収納される収納位置に変位可能に設けられているため、当該管内面補修用装置をマンホール1から搬入する際に障害となることがない。
【0032】
本発明は、上記の管内面補修用装置に限定されず、種々の変更を加えることができる。
(1)多孔管15は必須のものではなく、シート体20の両端が他の手段により筒部材10に固定されていてもよい。
(2)シート体20の外周面21に配置される補修材25は熱硬化性のものに限定されず種々のものを用いることができる。従って、ヒータ35は必須のものではない。
(3)筒部材10の周壁11またはシート体20に通気孔を形成し、この通気孔を介して空気供給手段30からの空気が筒部材10とシート体20との間の気密空間Sに供給される構成であってもよい。
(4)可撓性ビーム40は、シート体20の外面に固着されていてもよい。この場合には、可撓性ビーム40の両端部を筒部材10の中心軸方向に引っ張ることが好ましい。また、可撓性ビーム40は、可撓性を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えばバネ板により構成されていてもよい。
(5)引張手段60は、シート体20の両端における可撓性ビーム40の端部が位置するそれぞれの個所を、筒部材10の中心方向に引っ張るものであれば、種々の構成を採用することができる。
【0033】
【発明の効果】
請求項1に記載の管内面補修用装置によれば、ゴム引布よりなるシート体は、皺などによる変形が生じて縮径するものであるので、当該シート体における縮径時の直径(d)に対する拡径時の直径(D)の比率(D/d)を大きくすることができる。従って、例えば大きい内径を有する下水道管の管内面を補修するために好適である。
【0034】
また、複数の可撓性ビームが、シート体の周方向に等間隔で配列された状態で長さ方向に伸びるよう固着されているため、シート体を縮径させるときには、可撓性ビームによって分割された領域が単位となって縮径するので、当該分割された領域の各々間において均等に皺が発生するようになり、一方、シート体を拡径させるときには、発生した皺の状態が可撓性ビームの各々によって規制されるので、シート体をその周方向において均一に拡径させることができ、その結果、補修材に悪影響を与えることなく、当該補修材を補修すべき管の内面に圧着させることができる。
【0035】
更に、シート体には、その両端において、可撓性ビームの端部の位置する個所を筒部材の中心軸方向に引っ張る引張手段が設けられているため、可撓性ビームが撓むことにより、シート体の長さ方向の中央部分が先行して拡径し、更に当該中央部分から徐々に端部に向かって拡径するのでこれにより、補修材と管内面との間に空気が残留することなく、補修材を補修すべき管内面に確実に圧着させることができる。
【0036】
請求項2に記載の管内面補修用装置によれば、補修すべき管内部を移動させるための移動用走行手段が筒部材の内部に収納可能に設けられているため、当該管内面補修用装置を補修すべき管内において容易に移動させることができると共に、例えば下水道管の管内面を補修する場合には、移動用走行手段を筒部材の内部に収納することにより、当該管内面補修用装置をマンホールから容易に搬入することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の管内面補修用装置の一例における構成をシート体が拡径した状態で示す説明用側面断面図である。
【図2】図1に示す管内面補修用装置を正面から見た説明用断面図である。
【図3】図1に示す管内面補修用装置の説明用正面図である。
【図4】図1に示す管内面補修用装置におけるシート体が縮径した状態を示す説明用側面断面図である。
【図5】図1に示す管内面補修用装置をマンホールから下水道管内に搬入した状態を示す説明図である。
【図6】シート体の縮径時に発生する皺の状態を示す説明図である。
【図7】シート体の中央部分が先行して拡径した状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 マンホール 2 下水道管
10 筒部材 11 周壁
12 フランジ 13 外周面
15 多孔管 16 周壁
17 貫通孔 18 フランジ
20 シート体 21 外周面
22 内周面 25 補修材
30 空気供給手段 31 通気管
35 ヒータ 40 可撓性ビーム
50 引張手段 51 サック
52 ゴムバンド 60 移動用走行手段
61 脚部 62 車輪
63 支持部材 W 皺
Claims (3)
- 筒部材(10)と、
この筒部材(10)の外周面(13)を取り囲むよう配置され、当該筒部材(10)との間に気密空間(S)を形成することができ、かつ、補修材(25)を支持する外周面(21)を有する、ゴム引布よりなるシート体(20)と、
このシート体(20)と前記筒部材(10)との間の気密空間(S)に空気を供給して当該シート体(20)を膨張させる空気供給手段(30)と、
前記シート体(20)に、その長さ方向に各々伸び、その周方向に互いに等間隔となるよう固着された複数の可撓性ビーム(40)と、
前記シート体(20)の両端において、前記可撓性ビーム(40)の端部が位置するそれぞれの個所を、前記筒部材(10)の中心軸方向に引っ張る引張手段(50)と
を有してなることを特徴とする管内面補修用装置。 - 補修すべき管内部を移動させるための移動用走行手段(60)が、筒部材(10)の内部に収納可能に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の管内面補修用装置。
- 地中埋設管の管内面を補修するための請求項1または請求項2に記載の管内面補修用装置。
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