JP3587365B2 - コージェライト質セラミックハニカム構造触媒用担体及びその製造方法 - Google Patents

コージェライト質セラミックハニカム構造触媒用担体及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、排ガス浄化装置に用いられるコージェライト質セラミックハニカム構造触媒用担体及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近の排ガス規制強化による排出総量低減の要請に伴い、図3に示すようなコージェライト質のセラミックハニカム構造触媒用担体1を用いた排ガス浄化装置には、従来以上に卓越した排ガス浄化性能の実現が期待されている。コージェライト質を主成分とするセラミックハニカム構造触媒用担体1の組成は、主にSiO、Al、MgOから構成されている。このようなセラミックハニカム構造触媒用担体1を用いた排ガス浄化装置においては、冷間からエンジンをスタートした状態であるコールドスタート時は触媒がまだ暖まっていないために活性化しておらず、排ガスの浄化効率が著しく低い。このため、コールドスタート時における触媒の早期活性化が排ガス規制をクリアーするための最重要課題とされている。このような課題を解決するために、最近では、セラミックハニカム構造触媒用担体1のセル空間2を形成するためのセル壁3の厚みを薄くすること、または、セル空間を含む担体容積あたりの質量即ち嵩密度を小さくすることにより、このセラミックハニカム構造触媒用担体1の熱容量を低下させて、触媒の速熱性を高める技術が採用されている。
【0003】
また、触媒コンバーターの速熱性を高めるには高気孔率化による嵩密度の低下も有効であり、さらに活性アルミナや白金等の触媒物質を多量に担持するためにも、セラミックハニカム構造触媒用担体1を多孔性即ち、高気孔率にすることは重要な特性の一つになっている。
【0004】
特公平4−70053号公報には、薄壁でしかも強度特性を満足できる低気孔率レベルを有する低熱膨張のハニカム構造触媒用担体の提供を目的として、気孔率が30%以下でありハニカム構造体の流路方向の圧縮強度(A軸圧縮強度)が200kg/cm(19.6MPa)以上のコージェライトハニカム構造触媒用担体が開示されている。同公報の実施例中試験No.6には、セル壁厚102μm、セル密度93セル/cmのセル構造の場合、気孔率25.4%、A軸圧縮強度が263kg/cm(25.8MPa)と記載され、セル空間を含む担体容積あたりの質量は記載がないが、セル密度とセル壁厚、コージェライト真比重2.52から計算により、セル空間を含む担体容積あたりの質量が350g/リットルとなるコージェライトハニカム構造触媒用担体が記載されている。そして、ハニカム構造触媒用担体の実使用において、過酷な使用条件でも耐えることができるA軸圧縮強度が19.6MPa以上のレベルを示す触媒担体のセル構造を設計することが可能になったと記載されている。
【0005】
また、特公平6−69534号公報には、コージェライト担体よりも熱膨張係数の大きい活性アルミナ及び他の触媒成分の担持により耐熱衝撃性劣化の少ないハニカム構造触媒担体として使用するのに好適なコージェライト構造体の提供を目的として、ハニカム構造体の気孔率が30%を超え42%以下であって、直径0.5〜5μmの細孔の総細孔容積が全細孔容積の70%以上で、直径10μm以上の細孔容積が全細孔容積の10%以下であるコージェライトハニカム構造体が開示されている。同公報の実施例中試験No.3には、セル壁厚150μm、セル密度62セル/cmで直径102mm、長さ152mmの円筒形コージェライトハニカム構造触媒担体において、気孔率35.7%、A軸圧縮強度が210kg/cm(20.6MPa)と記載され、セル空間を含む担体容積あたりの質量は記載がないが、セル密度とセル壁厚、コージェライト真比重2.52から計算により、セル空間を含む担体容積あたりの質量が360g/リットルとなるハニカム構造体が得られたことが記載されている。
【0006】
一方、SAE Technical Paper Series 900614には、ハニカム構造体のセル構造、嵩密度、気孔率について望ましい値が記載されている。例えば、セル密度が400セル/in(62セル/cm)、リブ厚が6mil(152μm)の場合、嵩密度は0.43g/cm(430g/リットル)、気孔率は35%、またセル密度が400セル/in(62セル/cm)、リブ厚が5mil(127μm)の場合、嵩密度は0.36g/cm(360g/リットル)、気孔率は28%と記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
触媒コンバーターの速熱性を高める為、セラミックハニカム構造触媒用担体のセル空間を形成するためのセル壁の厚みを薄くすることで、セラミックハニカム構造触媒用担体の熱容量を低下させることができ、一方で触媒物質の担持性の為には多孔性即ち高気孔率化が有効である。しかし、セル壁の気孔率を高くした場合、セル壁の機械的強度が低下するのでセル壁を薄くすると気孔率を高くできないという問題がある。
【0008】
前記の特公平4−70053号公報に開示されている発明は、薄壁でかつ200kg/cm(19.6MPa)以上のA軸圧縮強度があり、機械的強度は有しているが、薄壁である為、前記機械的強度を満足させる為に気孔率を30%以下としており、熱容量が大きく速熱性が低い問題がある。
【0009】
また特公平6−69534号公報に記載の発明は、210kg/cm(20.6MPa)以上のA軸圧縮強度があり、機械的強度を有しており、30%を超え42%以下の気孔率を有しているが、セル壁厚は150μm程度であり熱容量が大きく速熱性は十分ではない問題がある。
【0010】
SAE Technical Paper Series 900614には、ハニカム構造体のセル密度、壁厚、嵩密度、気孔率との関係について記載されているが、セル壁厚を薄くすると、気孔率は減少しており、熱容量は大きく速熱性は十分でない問題がある。
【0011】
このように、従来のハニカム構造体は、触媒コンバータの速熱性を高めるすなわち、ハニカム構造体の熱容量を低下させるためには、セル壁を薄壁化させたり、気孔率を高くしたりしていたが、そのようにすると十分な強度が得られなかった。つまり、セル壁の薄壁化や高気孔率化と、十分な強度を持つセラミックハニカム構造触媒用担体の実現とは、互いに二率背反的な問題として認識されている。特に、触媒の担持性向上と熱容量低下のためにセル壁の気孔率を高くした場合、セラミックハニカム構造触媒用担体の機械的強度は低下する。
【0012】
本発明の目的は、セル壁の気孔率を上げることで、同じセル壁厚であってもより軽量なハニカム構造体を得ることにより、熱容量が低下し、速熱性が向上するとともに、十分な機械的強度を有するセラミックハニカム構造触媒用担体を提供することにある。つまり、十分なハニカム構造体の強度を与えることができるA軸圧縮強度を維持することから、セル壁が薄壁化されても高い気孔率を有し、セル空間を含むセラミックハニカム構造触媒用担体の容積あたりの質量である嵩密度が低いハニカム構造体であっても、速熱性の高い低熱容量のコージェライト質セラミックハニカム構造触媒用担体及びその製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、セル壁の気孔率を上げることにより、同じセル壁厚であってもより軽量なハニカム構造体を得ることで熱容量が低下し、速熱性が向上するとともに、十分な機械的強度を有するセラミックハニカム構造触媒用担体を提供するためには、セラミックハニカムの細孔に着目した。そして、セラミックハニカムに形成される細孔の直径、及び細孔容積を特定範囲に限定させれば、高気孔率かつ高強度を達成できることを見出した。そして、その製造方法において、焼成時の固相反応が進む温度領域の昇温速度を適切に調整することでセラミックハニカムに形成される細孔の直径、及び細孔容積を特定範囲に限定させられることを見出した。これにより、ハニカム構造触媒用担体の気孔率を35%以上と高く、かつセル空間を含む担体容積あたりの質量を400g/リットル以下と軽量化することも可能になり、さらに一定以上のA軸圧縮強度が得られることが判明し、本発明に到達したのである。
【0014】
具体的に本発明は、結晶相の主成分がコージェライト質セラミックからなるハニカム構造体で、直径0.5〜2μmの細孔の総細孔容積が全細孔容積の30%以上、直径5〜10μmの細孔の総細孔容積が全細孔容積の20%以下、直径10μm以上の細孔の総細孔容積が全細孔容積の20.7〜30%であり、気孔率が35%以上、A軸圧縮強度が18MPa以上、かつセル空間を含む担体容積あたりの質量が400g/リットル以下であるコージェライト質セラミックハニカム構造触媒用担体である。
そして、前記担体を得るための製造方法は、コージェライト化原料を混合混練してハニカム構造体に押し出し成形後、焼成するコージェライト質セラミックハニカム構造触媒用担体の製造方法において、前記ハニカム構造体の固相反応が進む温度領域である1200〜1300℃において、1250〜1300℃間の昇温速度を1200〜1250℃間の昇温速度より50℃/Hr以上遅くして焼成することを特徴とする。
【0015】
本発明において、気孔率が35%以上と高いレベルを維持しているにもかかわらず、18MPa以上の高いA軸圧縮強度を有し、かつセル空間を含む担体容積あたりの質量が400g/リットル以下である低熱容量のセラミックハニカム構造触媒用担体が得られるのは、このハニカム構造触媒用担体の製造方法、特に上記の通り、焼成時に固相反応が進む温度領域内において、最適な昇温速度を見出したことによる。
【0016】
本発明のコージェライト質セラミックハニカム構造触媒用担体において、セル空間を含む担体容積あたりの質量を400g/リットル以下とした理由は次の通りである。400g/リットルを超えると、セラミックハニカム構造触媒用担体の熱容量の増加を招き、このハニカム構造触媒用担体が排ガスにより加熱された時にその温度上昇が遅くなり、速熱性が劣るからである。
【0017】
また、本発明において、A軸圧縮強度(ハニカム構造触媒用担体の流路方向の圧縮強度)を18MPa以上としたのは、ハニカム構造触媒用担体の使用時においては、過酷な使用条件に耐えることのできるA軸圧縮強度は18MPa以上を必要とするからである。A軸圧縮強度が18MPa未満では、ハニカム構造触媒用担体として十分な担体強度が得られず、ハニカム構造触媒用担体をケースに収容させるキャニング時、或いはキャニング後の使用時に発生する応力には耐えきれず、破損する場合があるからである。またA軸圧縮強度は、ハニカム構造触媒用担体の耐熱衝撃性とも関係があり、A軸圧縮強度が高くなると熱衝撃に対する抵抗も大きくなり耐熱衝撃性も向上する。このため、A軸圧縮強度が18MPa以上であると、排ガスによる急昇温によっても破損しない耐熱衝撃性も有するハニカム構造触媒用担体を得ることができる。
【0018】
本発明において、ハニカム構造触媒用担体の気孔率を35%以上とするのは、気孔率35%未満では、触媒担持性が低下するとともに、ハニカム構造触媒用担体の熱容量の増加を招き速熱性が低下するからである。なお本発明において、望ましい気孔率は38%以上であり、その上限値はA軸圧縮強度の低下を考慮すると気孔率は50%以下にすることが好ましい。
【0019】
本発明において、直径0.5〜2μmの細孔の総細孔容積を全細孔容積の30%以上と限定した理由は、気孔率35%以上で直径0.5〜2μmの細孔の総細孔容積が全細孔容積の30%未満であると実質的に直径2μm以上の細孔の総細孔容積が大きくなるため、コージェライト質セラミックハニカム構造触媒用担体のA軸圧縮強度が低下するからである。本発明のセラミックハニカム構造触媒用担体は、直径0.5〜2μmの微細な細孔の総細孔容積を全細孔容積の30%以上になるようにしたことにより、気孔率が35%以上と高いにもかかわらずA軸圧縮強度が18MPa以上に向上し、しかもセル空間を含む担体容積あたりの質量を400g/リットル以下と軽量化することも可能になったのである。
【0020】
そして、直径5〜10μmの細孔の総細孔容積を全細孔容積の20%以下と限定した理由は、直径5〜10μmの細孔の総細孔容積が全細孔容積の20%より大きくなると、ハニカム構造触媒用担体の破壊の起点となりうる直径5〜10μmの細孔の存在確率が高くなり、最大応力発生部に直径5μm以上の細孔の存在確率も高くなり、結果として、コージェライト質セラミックハニカム構造触媒用担体の機械的強度が低下するからである。
【0021】
さらに、直径10μm以上の細孔の総細孔容積を全細孔容積の30%以下と限定した理由は、直径10μmの細孔の総細孔容積が全細孔容積の30%より大きくなると担体の破壊の起点となりうる直径10μm以上の細孔の存在確率が高くなり、コージェライト質セラミックハニカム構造触媒用担体の機械的強度が低下するのと同時に、担持物質がセル壁内部まで進入して担体の耐熱衝撃性が低下するからである。
【0022】
本発明のコージェライト質セラミックハニカム構造触媒用担体の製造方法において、このセラミックハニカム構造触媒用担体の押し出し成形後の焼成工程で、固相反応が進む温度領域内の昇温途中で昇温速度を50℃/Hr以上遅くする理由は、固相反応が進む温度領域での昇温速度がコージェライト質セラミックスハニカム構造触媒用担体の熱膨張係数、気孔率ならびに細孔分布に寄与することを見出したことによる。すなわち、固相反応が進む温度領域内において、この温度領域の後期の昇温速度を、同温度領域の初期での昇温速度より50℃/Hr以上遅くすることにより、固相反応が進む温度領域以前の焼成により、熱収縮して緻密化が急激に進んで原料粒子間隔が小さくなったハニカム構造焼成体は、主反応である液相反応温度領域で、コージェライト化を促進する過程で低熱膨張と高気孔率が得られるからである。すなわち、固相反応が進む温度領域において、膨張が始まる温度前後から昇温速度を同領域初期の速度よりも50℃/Hr以上遅くすることにより、急激な速度低下により低熱膨張と高気孔率となる状態を維持したままゆっくりと緻密化が進むため、その後の主反応である液相反応過程で、直径5μm以上の細孔が分割されて、直径0.5〜2μmの微細な細孔が増加し、この直径0.5〜2μmの細孔の総細孔容積は全細孔容積の30%以上を占めるようにすることができたものである。
【0023】
ここで、好ましくは固相反応が進む温度領域が1200〜1300℃であれば良く、この温度領域後期1250〜1300℃間の昇温速度を、初期1200〜1250℃間の昇温速度より50℃/Hr以上遅くすると良い。温度領域の初期と後期の境目は1250℃と記載したが、この境目の温度1250℃は厳密な値ではなく、若干の差が生じてもよいし、この温度範囲内で昇温速度を下げることを行えば、効果の差はあるが、同様な効果を得ることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
原料粉末としてカオリン、仮焼カオリン、タルク、アルミナ、水酸化アルミニウム、及びシリカを用い、これらがコージェライト組成となるよう表1に示すような割合で配合した。
【0025】
【表1】
Figure 0003587365
【0026】
表1に示す割合に配合した原料粉末にバインダーとしてメチルセルロース、潤滑剤を添加し、水を加えて混練し、押し出し成形した後に乾燥させて、図3に示すような形状のハニカム構造乾燥体を製作した。
このハニカム構造乾燥体の形状は、セル壁の厚みは150μm、1平方センチ当りのセル数62個の四角セル形状を有し、直径105mm、長さ118mmの円柱状とした。このハニカム構造乾燥体をバッチ式焼成炉の棚板上に積載して焼成し、コージェライト質セラミックハニカム構造触媒用担体を得た。この焼成時において、固相反応が進む温度領域である1200〜1300℃の昇温速度が、ハニカム構造体の細孔及び強度に対して如何なる影響を与えるかを実験した。この実験結果を表2に示している。表2は、1200〜1250℃の温度域、及び1250〜1300℃の温度域における昇温速度を変化させて焼成したときに、全細孔容積、気孔率、直径が0.5〜2μmである細孔の総細孔容積及びその全細孔容積に占める割合、直径が5〜10μmであるの細孔の総細孔容積及びその全細孔容積に占める割合、直径が10μm以上である細孔の総細孔容積及びその全細孔容積に占める割合、A軸圧縮強度及びセル空間を含む担体容積当りの質量(g/l、lはリットル)を測定した結果を示している。また、本実験ではA軸圧縮強度の目標値は18MPa以上と設定し、18MPa以上を良(○印で表示)、18MPa未満を不可(×印で表示)とし、この評価結果を表2の強度評価欄に示している。なお、気孔率及び細孔分布の測定は水銀圧入法により測定した。
【0027】
【表2】
Figure 0003587365
【0028】
表2から明らかなように、1200〜1300℃の温度領域での昇温速度を、同領域初期(1200〜1250℃)に対して同領域後期(1250〜1300℃)を50℃/Hr以上遅くした本発明例である試験No.1〜7においては、気孔率は35%以上(全てが37.8%以上)、セル空間を含む担体容積当りの質量が400g/リットル以下、A軸圧縮強度が18MPa以上、を満足するコージェライト質セラミックハニカム構造触媒用担体が得られた。また、細孔容積は、直径0.5〜2μmの細孔が全細孔容積の30%以上、直径5〜10μmの細孔が全細孔容積の20%以下、直径10μm以上の細孔が全細孔容積の30%以下のコージェライト質セラミックハニカム構造触媒用担体が得られた。
【0029】
これに対して、焼成時の1200〜1250℃の昇温速度を50℃/Hrにし、1250〜1300℃の昇温速度を7.5℃/Hrとした比較例である試験No.8〜12、及び1200〜1300℃の温度領域で、昇温速度を120℃/Hrとした従来例である試験No.13〜17においては、気孔率が35%以上、担体容積当りの質量が400g/リットル以下、A軸圧縮強度が18MPa以上、の全てを満足するコージェライト質セラミックハニカム構造触媒用担体は得られなかった。特に、これら比較例、及び従来例においては、直径0.5〜2μmの細孔の総細孔容積が全細孔容積に占める割合が7.5〜13.2%と低くなり、また直径5〜10μmの細孔の総細孔容積が全細孔容積に占める割合が33.5〜43.9%と高くなり、これが上記の通り気孔率が35%以上、セル空間を含む担体容積当りの質量が400g/リットル以下、A軸圧縮強度が18MPa以上の全てを満足するコージェライト質セラミックハニカム構造触媒用担体が得られなかった理由と推測される。試験No.4(本発明例)と試験No.14(従来例)の昇温速度で得たコージェライト質セラミックハニカム構造触媒用担体の細孔の直径と累積細孔容積との関係を図1に示す。図1は細孔の直径(対数目盛)と累積細孔容積との関係を示すグラフであり、曲線Aは試験No.4(本発明例)、曲線Bは試験No.14(従来例)を示している。
【0030】
上記の実施例1より、セル壁の厚みが150μmの薄壁を有するコージェライト質セラミックハニカム構造触媒用担体において、1200〜1300℃の焼成温度領域で昇温速度を変化させてコージェライト質セラミックハニカム構造触媒用担体の細孔を微細化すること、すなわち、コージェライト質セラミックハニカム構造触媒用担体の固相反応が進む温度領域内である約1200〜1300℃の温度領域内で、昇温途中である1250〜1300℃の昇温速度を、1200〜1250℃の領域より50℃/Hr以上遅くすることにより、気孔率が35%以上と高く、さらにセル空間を含む担体容積あたりの質量が400g/リットル以下の従来にない軽量でありながら、A軸圧縮強度を低下させることがないコージェライト質セラミックハニカム構造触媒用担体が得られることが明らかになった。
【0031】
(実施例2)
表2の試験No.2(本発明例)、試験No.4(本発明例)、試験No.14(従来例)、に示す昇温速度で焼成して得たコージェライト質セラミックハニカム構造触媒用担体を、実際にキャタリストとして組立て、このハニカム担体内に排ガスを流して速熱性について測定した。図2は、この測定結果であるキャタリストの入口と出口の排ガス温度と経過時間との関係を示すグラフである。
図2において、キャタリストの出口の排ガスの出口温度の変化を示す曲線から明らかなように、約30秒経過後に、従来例である試験No.14と、本発明例である試験No.2、4とは、速熱性に差が生じ始め、触媒が活性化し始める温度である約200〜250℃に到達する時間は、本発明の焼成方法で得たコージェライト質セラミックハニカム構造触媒用担体は、従来の焼成方法で得た担体と比較して、約8秒短縮されることが明らかになった。このように本発明例において速熱性が向上する理由は、直径0.5〜2μmの細孔が全細孔容積の30%以上と微細な細孔の割合が高いこと、及びセル空間を含む担体容積あたりの質量が400g/リットル以下と軽量化されたために熱容量が低下したことによるものと推測される。
【0032】
以上に説明した上記本発明の実施の形態の説明において、セラミックハニカム構造触媒用担体のセル空間は四角セル形状について説明したが、本発明は四角セル形状の他、六角形、その他任意の形状にも適用できる。また、本発明のコージェライト質セラミックハニカム構造触媒用担体の断面形状は円形のみならず、楕円形状にも適用できる。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、気孔率が35%以上と高いために触媒担持性が良く、かつセル空間を含む担体容積あたりの質量が400g/リットルと軽量化されているために、熱容量が小さく速熱性が良好であり、しかも高いA軸圧縮強度を有しているために高い担体強度を有するコージェライト質セラミックハニカム構造触媒用担体を得ることができる。このため、コールドスタート時の触媒活性化までの時間を短縮でき、しかもキャニングによる圧力、及び熱衝撃による熱応力に対しても強く、極めて信頼性の高い、コージェライト質セラミックハニカム構造触媒用担体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法及び従来例の製造方法で製造したコージェライト質セラミックハニカム構造触媒担体の細孔直径と累計細孔容積との関係を示すグラフである。
【図2】本発明及び従来例のコージェライト質セラミックハニカム構造触媒担体において、コールドスタート時の排気ガスの出口温度と経過時間との関係を示すグラフである。
【図3】(a)はコージェライト質セラミックハニカム構造触媒担体の外観を示す図であり、(b)は図3(a)のセル空間部の要部拡大図である。
【符号の説明】
1:コージェライト質セラミックハニカム構造触媒用担体
2:セル空間
3:セル壁
4:周壁

Claims (3)

  1. 結晶相の主成分がコージェライト質セラミックからなるハニカム構造体で、直径0.5〜2μmの細孔の総細孔容積が全細孔容積の30%以上、直径5〜10μmの細孔の総細孔容積が全細孔容積の20%以下、直径10μm以上の細孔の総細孔容積が全細孔容積の20.7〜30%であり、気孔率が35%以上、A軸圧縮強度が18MPa以上、かつセル空間を含む担体容積あたりの質量が400g/リットル以下であることを特徴とするコージェライト質セラミックハニカム構造触媒用担体。
  2. 前記直径5〜10μmの細孔の総細孔容積が全細孔容積の14.5〜20%であることを特徴とする請求項1に記載のコージェライト質セラミックハニカム構造触媒用担体。
  3. コージェライト化原料を混合混練してハニカム構造体に押し出し成形後、焼成するコージェライト質セラミックハニカム構造触媒用担体の製造方法において、前記ハニカム構造体の固相反応が進む温度領域である1200〜1300℃において、1250〜1300℃間の昇温速度を1200〜1250℃間の昇温速度より50℃/Hr以上遅くして焼成することを特徴とするコージェライト質セラミックハニカム構造触媒用担体の製造方法。
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