JP3587277B2 - 紡機用ダブルテンション装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は紡機用ダブルテンション装置に関し、より詳しくは、撚糸機や精紡機等のスピンドルに動力を伝達するベルトに対しテンションを付与する紡機用ダブルテンション装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、リング精紡機のスピンドルは、スピンドル間に張架されたベルトによって4錘が連動回転するように構成されており、そのベルト走行機構には、走行中のベルトに対してテンションを付与するためのテンション装置が備えられている。この種のテンション装置において、スピンドルの回転方向が一方向のみである、例えばZ撚りのみ行う構成には1つのテンションローラからなるテンション装置が備えられる。一方、スピンドルの回転方向を切り換える、すなわちZ撚りとS撚りの双方を実施できる構成においては、ベルトを走行させるための駆動プーリの入側及び出側のそれぞれにテンションローラを配置したいわゆるダブルテンション装置が備えられる。
【0003】
詳しく説明すると、上記ダブルテンション装置は、一対の揺動レバーがそれぞれコイルばねによって付勢された状態で、ダイキャスト製の長方形箱状ケースの両端部にピンを用いて軸支されており、各揺動レバーの先端部にはそれぞれテンションローラが軸支されている。一方、ベルトは上記各テンションローラと接触しながら走行するように配置され、一方のテンションローラはZ撚り時において走行するベルトの緩みを吸収し、他方のテンションローラはS撚り時において走行するベルトの緩みを吸収するようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のダブルテンション装置において各揺動レバーが軸支されるケースについては所定の強度が得られるよう、また、各揺動レバーについてもボス部及びそれから複雑に延長するレバーを一体で構成するために、通常、ダイキャスト製品で構成されているため、仕上げ工程を必要とすることから製造工程が多くなり、結果としてダブルテンション装置のコストが高くなるという問題があった。
【0005】
本発明は以上のような従来のダブルテンション装置の課題を考慮してなされたものであり、製造が容易であり装置のコストを低減させることのできる紡機用ダブルテンション装置を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、紡機のスピンドルに動力を伝達するベルトに対し、一対の揺動レバー先端部にそれぞれ軸支された各テンションローラをスプリングの付勢力によって押圧させることにより、ベルトの走行方向に対応してテンションを付与するように構成された紡機用ダブルテンション装置において、プレス加工によって長方形箱状のケースを形成し、プレス加工によって形成された一対の揺動レバーを、それぞれスプリングで付勢された状態でケース内の長手方向両側に軸支させるとともに、揺動レバーの揺動支点部分に該揺動レバーの横振れ防止部材を取り付け揺動レバーと一体化してなる紡機用ダブルテンション装置である。
【0007】
本発明において、上記横振れ防止部材はブッシュで構成することができ、ブッシュの胴部外壁にはスプリングを巻回することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示した好ましい実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態を示すダブルテンション装置を示したものであり、同図( a) は正面図を示し、同図( b) は底面図を示している。なお、同図( b) の一部切欠き部分は、同図( a) のB−B矢視断面を示している。
【0009】
同図に示すダブルテンション装置1は、リング精紡機のスピンドルを回転させるベルトVに適度なテンションを与えるためのものである。上記ベルトVは、図示しない駆動プーリを周回した後、右側に配置されているテンションローラと接触して矢印A方向に走行し、4錘の各スピンドルを連動回転させ、左側に配置されているテンションローラを経由して上記駆動プーリに戻るように各機械要素間に張架されている。
【0010】
上記ベルトVが上記矢印A方向に走行する場合はZ撚りが行われることになる。一方、S撚りを行う場合には、駆動プーリの回転方向を逆転させ、ベルトVの走行方向を矢印A方向とは逆の方向に走行させる。このように、ダブルテンション装置は、切り換えられるベルトV走行方向に対応していずれの場合もテンションを付与できるよう一対のテンションロールが備えられている。
【0011】
以下、ダブルテンション装置1の各部の構成について説明する。ダブルテンション装置1は、厚さ2.6mmの鋼板を断面がコ字状であり且つ長方形箱状にプレス成形したケース2と、そのケース2内の長手方向両側に軸支され、厚さ3.2mmからなる一対の揺動レバー3,4と、その揺動レバー3,4の先端部に軸支されたテンションローラ5,6と、揺動レバー3,4を閉じる方向に付勢するコイルスプリング7,8とから主として構成されている。
【0012】
ケース2において、平行する正面2a,背面2bと左側面2cとは、切断線L ,L を接合することによって袋状に組み立てられ、また、正面2a,背面2bと右側面2dとは、切目L ,L を接合することによって袋状に組み立てられ、全体として長方形箱状に成形されている。なお、各切断線はL 〜L は、揺動レバー3,4が当接することになる側面に配置しないことが好ましい。
【0013】
正面2a及び背面2bの中央下縁には台形状の切欠き2a´, 2b´(手前側のみ図示)が形成されている。この切欠き2a´, 2b´は、ダブルテンション装置1を固定するための支持シャフト9に形成されている位置決め用の切欠き9aと係合するようになっている。Uボルト10は支持シャフト9胴部を抱いた状態でそのねじ部をケース上面2eに形成された貫通孔2e´から突出させるようになっており、突出したねじ部にはナット11a,袋ナット11bがそれぞれ螺合され、それによってケース2を支持シャフト9に位置決めし、固定することができるようになっている。
【0014】
図1( b) の切欠き部分に示すように、揺動レバー3はその揺動支点に貫通孔を備え、その貫通孔内にまず、大径部と小径部とを有するブッシュ12aの小径部が嵌合され、その小径部に対してさらにブッシュ12bが外側から圧入され、それにより揺動レバー3はブッシュ12a, 12bと一体化される。上記ブッシュ12a,12bは揺動レバー3の横振れ防止部材とみなすことができる。このブッシュ12a, 12bを挿通した状態でコイルスプリング7が装着され、これらをケース2内に収納し、ピン13を打ち込むことによって揺動レバー3がケース2に対して揺動可能に軸支される。この状態でコイルスプリング7の一方端はケース2の内側側面と当接し、他方端は揺動レバー3における突起3aと係止されている。従って、揺動レバー3はコイルスプリング7によって矢印C方向(図1( a) 参照)に付勢され、突起3aとケース2上面2eの内壁とが当接する。
【0015】
揺動レバー4は、揺動レバー3と左右対称に配置されている以外は揺動レバー3と同じ構成であり、それらの揺動レバー3, 4の揺動範囲は、上記当接位置から図1中二点鎖線で示す位置までの範囲となる。なお、揺動レバー3, 4にはその断面係数を高めるための凸条の補強部3b, 4bが形成されている。
次に、上記構成を有するダブルテンション装置の動作について説明する。
【0016】
Z撚りが行われる場合、駆動プーリが回転するとベルトVが矢印A方向に走行し、巻き取り側に配置されているテンションローラ5を走行しているベルトVに引張力が働くため、コイルスプリング7の付勢力に抗してテンションローラ5は開く方向、すなわち矢印C方向とは逆の方向に振れ、一方、送り出し側に配置されているテンションローラ6を走行しているベルトVについては緩みを吸収すべく、揺動レバー4は閉じる方向に振れる。
【0017】
一方、S撚りが行われる場合、駆動プーリが回転するとベルトVが矢印A方向とは逆方向に走行し、巻き取り側に配置されているテンションローラ6を走行しているベルトVに引張力が働くため、コイルスプリング8の付勢力に抗してテンションローラ6は開く方向、すなわち図1中二点鎖線位置に向けて振れ、一方、送り出し側に配置されているテンションローラ5を走行しているベルトVについては緩みを吸収すべく、揺動レバー5が閉じる方向に振れる。
【0018】
なお、本発明の横振れ防止部材は、上記実施形態ではブッシュで構成したが、これに限らず、ピン13を回転軸とし揺動レバーを安定して揺動させることができるものであれば、任意の部材を使用することができる。
【0019】
また、本発明においてダブルテンション装置が固定される支持シャフトは上記実施形態に示す支持シャフト9に限らず、例えば図2に示す六角形の断面を有するシャフト20で構成することもでき、要するにダブルテンション装置のケース2を位置決めした状態で固定することができるものであれば任意の部材を使用することができる。なお、図2において図1と同じ構成要素については同一符号を付してその説明を省略している。
【0020】
また、本発明は、上記した精紡機に限らず、撚糸機等のスピンドルに動力を伝達するベルトのテンション装置、或いは紡機において双方向に走行する任意の動力伝達用ベルトのテンション装置として適用することもできる。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したことから明らかなように、本発明のダブルテンション装置によれば、プレス加工によって製造が容易になるため、装置のコストを大幅に低減させることができるという長所を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るダブルテンション装置の一実施形態を示す説明図である。
【図2】本発明に係る支持シャフトの他の形態を示す正面図である。
【符号の説明】
1 ダブルテンション装置
2 ケース
3, 4 揺動レバー
5, 6 テンションローラ
7, 8 コイルスプリング
9 支持シャフト
10 Uボルト

Claims (2)

  1. 紡機のスピンドルに動力を伝達するベルトに対し、一対の揺動レバー先端部にそれぞれ軸支された各テンションローラをスプリングの付勢力によって押圧させることにより、前記ベルトの走行方向に対応してテンションを付与するように構成された紡機用ダブルテンション装置において、
    プレス加工によって長方形箱状のケースを形成し、プレス加工によって形成された一対の揺動レバーを、それぞれ前記スプリングで付勢された状態で前記ケース内の長手方向両側に軸支させるとともに、前記揺動レバーの揺動支点部分に該揺動レバーの横振れ防止部材を取り付け前記揺動レバーと一体化してなることを特徴とする紡機用ダブルテンション装置。
  2. 前記横振れ防止部材がブッシュからなり、その胴部外壁に前記スプリングが巻回されている請求項1記載の紡機用ダブルテンション装置。
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