JP3587170B2 - くさび形電線引留クランプ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気電力関連の送配電設備等において、張架された電線の径間端を把持して電柱や鉄塔等の支持構造物に引留めるための電線引留クランプに係り、より詳細には、くさびを用いて電線をクランプ本体に挟持させて引留めるタイプのくさび形電線引留クランプに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来公知の技術として、例えば、実公昭57−28507号公報や実開平11−178179号公報などに示されるくさび形電線引留クランプがあった。
図4は、これら従来のくさび形電線引留クランプの一例を示す図である。図4(1)によると、この引留クランプは、断面略U字またはV字対称形で内部に電線40を挿通するクランプ本体10と、電線径間方向に傾斜する長細平坦のスライド面(摺動面)22aを有してクランプ本体10内でスライド(摺動)しながら楔(くさび)係合されて電線40を押さえて把持するくさび体20と、くさび体20の端部側から連続して引留め部側に形成される引留連結体30とを備えて一体的に構成されている。そして、このくさび形電線引留クランプは、その引留連結体30が引留め側にある鉄塔や電柱などの固定端支持物に掛止または係着されて取り付けられ、配電線・送電線・引込み線等の張力の大きい電線径間を形成するのに使用されている。
【0003】
また図4(1)および(2)によると、クランプ本体10は、U字形本体の内部には電線を受け入れるための本体電線溝12と、側端部の内側にはくさび体20と、スライド係合するための電線長手方向に長細平坦で楔傾斜のある本体スライド面11aを有する本体スライド係合部11とを備えている。そして、くさび体20は、外面には電線を受け入れて本体電線溝12と協働して電線を挟持するためのくさび体電線溝23と、側面には本体スライド面11aと面摺動して係合するためのくさび体スライド面22aを有するくさび体スライド係合部22と、端部側の挿入穴21cの周囲を圧縮して引留連結体30を連結接続するための圧縮接続部21を備えている。そしてまた、引留連結体30は、くさび体20の挿入穴21cに挿入されてくさび体20と接続するための連結部31を備えていて、くさび体20と引留連結体30とは、六角ダイス等を使用する機械的圧縮手段を用いて圧縮接続され、本体10・くさび体20・引留連結体30は一体化されて構成される。ここでの連結部31は、鋼ボルト等のような断面円形または多角形の充実体の部材が用いられ、挿入穴21cに挿入される部位の周囲に環状凹凸突起またはネジ山等を形成して、その上から圧縮して固着することにより、電線張力が大きくかかったときでもクランプのこの部位で抜けたり外れたりする虞のないような設計にされている。
【0004】
このような構造のくさび形電線引留クランプであるが、面合わせされる摺動面となる本体スライド面11aとくさび体スライド面22aに関し、従来のクランプにおいては、クランプ本体10の本体開き方向の面(P面)に対して平行な面となるようにスライド面(11a、22a)(W面)が設定されて形成されていた。
図4(2)は(←L5)による断面図であり、ここに示すように、クランプ本体10は断面逆U字形をなしていて開口部を有している。電線の張力が大きくかかってくると、くさび体20は電線径間側方向にもぐり込んでいくが、そのときクランプ本体10には開き方向(P1,P2)にも応力がかかるようになる。そして、想定された応力以上のものがそこにかかった場合には、開口部は当初の大きさから更に広がってしまい、クランプ本体10の過剰開きの現象が生じ、これが高じると、クランプ本体10は変形・損傷を起こして、くさび体20はクランプ本体10から外れやすくなってしまう。
【0005】
図4(3)は、クランプ本体10が過剰に開いたときの状態を断面で示したものである。スライド面(11a、22a)について見てみると、過剰開きに伴なって、クランプ本体10の本体スライド面11aは角度が変わってくることになる。すなわち、当初の開き方向の面(P面)を基準にして、本体スライド面(11a)のある面をW’面とし、P面とW’面とのなす角度φを調べてみると、正常のときは角度φ=0となっているが、クランプ本体10が過剰開きを起すと、角度φは0より大きくなってしまう。すると、クランプ本体10は変形してきて、くさび形20はずれたり脱落し易くなり、しかも本体10の開きをさらに増長するように作用するので、引留クランプとしての性能を満足できなくなる。すなわち、P面とW’面とのなす角度φは、本体10の開きを増長する角度として作用する。
【0006】
ところで、くさび形電線引留クランプにおける、くさび体20と引留連結体30と連結接続では、通常は六角ダイス等の機械的圧縮手段を用いて圧縮接続されて連結される。このくさび体20は、端部側に圧縮接続部21を備え、その圧縮接続部21はさらにスリーブ状の圧縮部21a、基体部21b、挿入穴部21cを備えて構成される。
圧縮部21aと基体部21bとは、外形は均一なスリーブ状(電線圧縮管状)をなし、表面には大きな凹凸がない滑らかな円形パイプ状にして形成される。圧縮部21aは、中心内部に挿入穴部21cを有し、引留連結体30の連結部31をここに受け入れて、周囲から六角圧縮等により連結部31もろともに圧縮して連結接続をする。
【0007】
図4(4)は、圧縮接続部21の(←L6)による断面矢視図を示す。この図で示される主な要素は、圧縮で断面六角状に変形された圧縮部21a、圧縮されず変形していない基体部21b、挿入穴部21c、圧縮部21aの圧縮により生じた減肉空間21d、圧縮部21aと基体部21bとの間で圧縮により生じる境界面21e、引留連結体30の連結部31である。またここでは、圧縮されない基体部21bの外径d、六角圧縮により減肉化して生じる圧縮後の対辺寸法hも一緒に示されている。
【0008】
図4(4)のように、圧縮接続部21の圧縮部21aと基体部21bとは、圧縮前においては連続する断面円形のスリーブ状をなし、それらの外径寸法は圧縮部21a・基体部21bの両方ともdの寸法で形成される。その後、圧縮部21aは六角圧縮により減肉化され、圧縮後の対辺寸法hが得られ、d>hの関係となる。基体部21bは圧縮されないので外径dは前のままの値である。
ところが、このような構造とした場合では、圧縮部21aは六角圧縮により減肉化されているので、減肉空間21dが生じてしまい、圧縮部21aの六角断面の断面積は圧縮前の外径d円形状の断面積と比較して明らかに小さくなり塑性変形させられ、とりわけ、圧縮部21aと基体部21bとの圧縮により生じる境界面21eにおいては応力歪が集中して圧縮割れが生じ易くなっているので、引留クランプとしては材質劣化や引張り強度不足を起こす虞を生じる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
これまで上述してきたように、従来のくさび形電線引留クランプでは、次のような問題点がある。
1)張架された電線の振動や異常な電線動作等により、電線張力が変動して規定以上の張力や応力がかかったりした場合には、断面U字形のクランプ本体が開いてしまう現象が生じる。
2)くさび体20と引留連結体30との連結接続は、六角ダイス等を使用する機械的圧縮手段が用いられ、この圧縮作業により圧縮部断面での減肉化がなされて減肉空間21dが生じ、塑性変形させられていて応力歪の大きい境界面21eにおいては圧縮割れが生じ易くなっていて、材質劣化や引張り強度低下を起こす虞を生じる。
【0010】
本発明は、上述したような従来のくさび形電線引留クランプについての問題点に鑑みなされたもので、断面U字形のクランプ本体の口元が開くことがなく、圧縮接続箇所における塑性変形・圧縮割れ・断面積減少などにより材質劣化や引張り強度低下を起こす心配がなく、安定した性能を将来にわたり維持できるくさび形電線引留クランプを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するために、本発明によるくさび形電線引留クランプは、次のような手段を用いる。
(1)断面略U字対称形で内部に電線を挿通するクランプ本体10と、クランプ本体10内でスライド係合されて電線を押さえるくさび体20と、くさび体20の端部側から連続して引留め側に形成される引留連結体30とを備えて一体的に構成されるくさび形電線引留クランプであって、
クランプ本体10は、本体U字内部には電線を受け入れるための本体電線溝12と、側端部側内部にはくさび体20とスライド係合するための電線長手方向長細平坦の本体スライド面11aを有する本体スライド係合部11とを備え、
くさび体20は、外面には電線を受け入れて本体電線溝12と協働して電線を挟持するためのくさび体電線溝23と、側面には本体スライド面11aと面摺動して係合するためのくさび体スライド面22aを有するくさび体スライド係合部22とを備え、
本体スライド面11aおよびくさび体スライド面22aとは、クランプ本体10の本体開き方向の面に対して本体開きを防止する角度(角度θまたは角度α)を有して構成されるくさび形電線引留クランプとした。
【0012】
(2)断面略U字対称形で内部に電線を挿通するクランプ本体10と、クランプ本体10内とスライド係合されて電線を押さえるくさび体20と、くさび体20の端部側から連続して引留め側に形成される引留連結体30とを備えて一体的に構成されるくさび形電線引留クランプであって、
クランプ本体10は、U字内部には電線を受け入れるための本体電線溝12と、側端部側内部にはくさび体10とスライド係合するための電線長手方向長細平坦の本体スライド面11aを有する本体スライド係合部11とを備え、
くさび体20は、外面には電線を受け入れて本体電線溝12と協働して電線を挟持するためのくさび体電線溝23と、側面には本体スライド面11aと面摺動して係合するためのくさび体スライド面22aを有するくさび体スライド係合部22と、端部側の挿入穴21cの周囲を圧縮して引留連結体30を連結接続するためのスリーブ状の圧縮接続部21とを備え、さらに圧縮接続部21は基体部21bとこれより拡大径の圧縮部21aとから構成され(外径D1>外径D2)、引留連結体30は、くさび体20の挿入穴21cに挿入されてくさび体20と接続するための連結部31を備え、
くさび体20と引留連結体30とは、圧縮接続により一体化されて構成されるくさび形電線引留クランプとした。
【0013】
なおここで設計上の技術的理解のため、本発明の拡大径圧縮部21a外径D1および基体部21b外径D2と、従来例(図4)の基体部21b外径dとの寸法の比較を示すと、一例として「本発明の圧縮部21a外径D1=従来例基体部21b外径d」として構成することができる。このとき外径D1>外径D2の関係があるから、本発明の基体部21b外径D2は、従来の外径dより小さな外径で形成することができるので、本発明ではこの箇所において材料の節約と軽量化に貢献できる。
【0014】
(3)このくさび形電線引留クランプにおいて、圧縮接続部21の基体部21bの外形寸法(D2)は、圧縮部21aの圧縮後の対辺寸法(H)と同じもしくは小さく設定されて構成される。(D2<H or D2=H)
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜3に示す添付図面を参照して、本発明によるくさび形電線引留クランプの実施の形態について詳細に説明する。
図1(1)は本発明によるくさび形電線引留クランプのくさび体20と引留連結体30の圧縮接続前の一例を示す側面概観図であり、図1(2)は(→L1)による圧縮接続部21の基体部21bの断面矢視図であり、図1(3)は(←L2)による圧縮部21aの断面矢視図である。
また図2(1)は本発明によるくさび形電線引留クランプの一例を示す側面概観図であり、図2(2)は(←L3)による本体10側の断面図であり、図2(3)は(→L4)による圧縮接続部21の断面矢視図である。
そして、図3は、本発明によるくさび形電線引留クランプを碍子装置50に連結させた取付け状況の概観図である。
なお、図1〜3に示すくさび形電線引留クランプにおいて、その主要な構成要素や部材が、図4で示した従来のくさび形電線引留クランプと同じまたは均等であるものについては同一の符号を付し、それらの重複する説明は行なわない。
【0016】
図1(1)は、くさび体20と引留連結体30の圧縮接続前の状況を示し、このくさび体20は、引留め端部側に圧縮接続部21を備え、その圧縮接続部21はさらにスリーブ状の圧縮部21a、基体部21b、挿入穴部21cを備えて構成される。また、引留連結体30は、鉄塔や電柱側に引留めるための引留部32と、くさび体20と連結接続される連結部31とを有し、この連結部31は挿入穴21cに挿入されて圧縮される端部側に凹凸部31aを有する。
【0017】
さて、本発明のくさび形電線引留クランプにおいては、その圧縮接続部21のスリーブ状圧縮部21aの外径は、基体部21bの外径より大きく設定され、拡大径の圧縮部21aとして構成される。
図1(2)は(→L1)による圧縮接続部21の基体21bの断面矢視図であり、図1(3)は(←L2)による圧縮部21aの断面矢視図である。これらの図に明示されているように、圧縮部21aの外径D1は、基体部21bの外径D2より大きくして設定されていて、すなわちD1>D2の関係を有する。
従来においては、従来例の図4の外径dのように、圧縮接続部21の圧縮部21aの外径と基体部21bの外径は一様にdで区別していなかったのに比べ、本発明では圧縮部外径D1>基体部外径D2としている。よって、六角ダイス等を使用する機械的圧縮作業によっても、圧縮部21aと基体部21bとの圧縮により生じる境界面21eが極めて生じ難くなっているので、この箇所に起因する圧縮割れを大幅に防ぐことができる。
なお、ここでは圧縮接続部21は断面略円形のスリーブ状圧縮部21aと基体部21bを想定しているが、断面略円形に限らず、断面多角形、変形丸形など種々な断面形状であってもよい。さらに、通常は六角ダイスを使用する機械的圧縮作業をおこなうが、この六角ダイスに限らず、丸形・四角形・多角形等の種々のダイスを用いてもよい。
【0018】
図2(1)は、本発明によるくさび形電線引留クランプの一例を示す側面概観図であり、くさび体20と引留連結体30とは既に圧縮接続されていて、電線40が挿通されて組み立てられている。図2(2)は本体10側の(←L3)による断面図であり、図2(3)は圧縮接続部21の(→L4)による断面矢視図であり、引留連結体30と圧縮固着された状態を示している。
図2(3)によれば、圧縮接続部21の圧縮部21aと基体部21bに関しては、圧縮後でも基体部21bの外径寸法D2はそのままで変わらず、圧縮部21aの外径寸法D1は圧縮後に圧縮対辺寸法Hとなる。本発明では、圧縮部21aが拡大径を有する圧縮部としてD1>D2で構成されていることにより、この圧縮後の対辺寸法Hを基体部21bの外径寸法D2と比べると、H>D2、H=D2、H<D2の何れの関係をも取りうることができる。
このなかでも、H>D2、H=D2となる寸法構成が本発明ではもっとも好ましく、圧縮部21aと基体部21bとの圧縮により生じる境界面21eが全く生じなくなっているので、この箇所に起因する圧縮割れを完全に防ぐことができる。図2(3)は、H>D2の関係にある一例を示している。
また、H<D2となる寸法構成であっても、D1>D2としてあるため、従来のものに比べて、圧縮部21aと基体部21bとの圧縮により生じる境界面21eが生じ難くなっているので、この箇所に起因する圧縮割れのかなりを防ぐことができる。
【0019】
このようにして、基体部21bの外径寸法D2と、圧縮後の圧縮部21aの圧縮対辺寸法Hとの関係は、種々様々の技術検討がなされて適宜に決定されるものであるが、本発明のくさび形電線引留クランプにおいては、とりわけ、くさび体20の拡大径圧縮部21aにおける圧縮後の圧縮対辺寸法Hに関しては、<0018>でも述べたように、H>D2またはH=D2となる寸法構成が最も優れているものである。
図2(1)において示すのは圧縮作業後の圧縮接続部21であり、この図によれば基体部21bの外径寸法D2と圧縮後の対辺寸法Hとはほぼ等しく設定されている。こうすることにより、圧縮部断面での規定以上の減肉化や断面積の減少がなく減肉空間21dが生じず、特に、圧縮部21aと基体部21bとの圧縮により生じる境界面21eが全く生じなくなっているので、この箇所に起因する圧縮割れを完全に防ぐことができる。よって、性能を十分に満足する圧縮断面強度を有することができて、しかも概観上も美的でスマートにして仕上げられるという効果も生じる。
【0020】
ところで、図2(2)を参照するに、本発明のくさび形電線引留クランプでは、本体スライド面11aおよびくさび体スライド面22aとは、クランプ本体10の本体開き方向の面に対して本体開きを防止するよう作用する本体開き防止角度(角度θまたは角度α)を有して構成されている。
図2(2)▲1▼によれば、面どうしが合わせされて摺動面となる本体スライド面11aとくさび体スライド面22aについては、クランプ本体10の本体開き方向(←P1,P2→)の面であるP面に対して、スライド面(11a、22a)(W面)は、本体開き防止角度θを有するように設定される。この角度θが大きいほど両部材の係止する効果は高くなり、本体の開きも効果的に抑制することができる。
【0021】
また、図2(2)▲2▼によれば、クランプ本体10の本体開き方向の面であるP面に対して直交するT面が示されており、このT面は、クランプ本体10またはくさび体20を電線径間方向に分割して左右対称立体とする中央対称軸面であるともいえる。そして、スライド面(11a、22a)(W面)は▲1▼と同様であり、P’面は▲1▼の面と平行する面としている。この図によれば、中央対称軸面(T面)とスライド面(11a、22a)(W面)とは、本体開き防止する角度αを有している。このT面とW面とから形成される本体開き防止角度αは、鋭角すなわち90度より小さい角度として設定される。こんどは、この鋭角の角度αが小さいほど、両部材の係止する効果や本体開き防止効果が高くなる。図2から明らかなように、角度θと角度αとはθ+α=90度の関係となっている。
これらの角度θと角度αの値は、適正な技術的検討や研究により適宜に求めて効果の高い数値を設定するとよい。
【0022】
図3は、本発明によるくさび形電線引留クランプを碍子装置50に連結させて引留めた状況を示す概観図である。ここでのクランプは、電線40を挿通するクランプ本体10と、クランプ本体10内とスライド係合されて電線を押さえるくさび体20と、くさび体20の端部側から形成される引留連結体30とを備えて一体的に構成されている。ここで材質について述べれば、電線40はアルミや銅等の材料が使用されていて、クランプ本体10とくさび体20とはその電線材料と同質のものか馴染みやすい材質のものを用いる。通常は、製作・加工のしやすいこと、圧縮作業での割れ等の不具合が発生しにくいことなどのため、クランプ本体10とくさび体20とはアルミ材料を使用するとよいが、銅や鉄を用いて製作してもよい。また、引留連結体30は大きな引張り強度を必要とするため、鉄鋼材料が使用される。
【0023】
【発明の効果】
上述のように、本発明のくさび形電線クランプによれば、次に述べる優れた効果を発揮する。なお、次の効果の記載は請求項に対応している。
1)本発明のくさび形電線引留クランプでは、本体スライド面11aおよびくさび体スライド面22aとは、クランプ本体10の本体開き方向の面に対して本体開き防止角度(θまたはα)を有して構成されるので、張架された電線の振動や異常な電線動作等により、電線の状態が変化して規定以上の張力や応力がかかったても、断面U字形のクランプ本体が開いてしまうということがない。また、高い電線保持力が必要とされる場合であっても、クランプ本体の開こうとする荷重が抑制されるので、設計上、クランプ本体10の肉厚を薄厚化することができ、くさび形電線引留クランプ全体の軽量化やコストダウンに貢献できる。
【0024】
2)本発明のくさび形電線引留クランプでは、くさび圧縮接続部21に基体21bよりも外径を拡大した圧縮スリーブ状の拡大径圧縮部21aを備えて構成したので、六角ダイス等を使用する機械的圧縮作業によっても、従来ではかなりの面積で生じていたところの、圧縮部21aと基体部21bとの圧縮により生じる境界面21eが、本発明では生じ難くなっているので、この箇所に起因する圧縮割れの多くを防ぐことができる。また、圧縮部断面での規定以上の減肉化や断面積の減少がなされずに済み、材質劣化や引張り強度低下を起こす虞を生じない。
【0025】
3)本発明のくさび形電線引留クランプでは、くさび圧縮接続部21に基体21bよりも外径を拡大した圧縮スリーブ状の拡大径圧縮部21aを備え、しかもくさび体20の拡大径圧縮部21aにおける圧縮後の圧縮対辺寸法は、基体21bの外径寸法を上回るよう設定されて構成されるので、六角ダイス等を使用する機械的圧縮作業によっても、圧縮部21aと基体部21bとの圧縮により生じる境界面21eが全く生じなくなっているので、この箇所に起因する圧縮割れを完全に防ぐことができる。また、圧縮部断面での規定以上の減肉化や断面積の減少がなく、減肉空間21dが生じず、表面上の圧縮窪みも生じなくなり、材質劣化や引張り強度低下を起こす虞を、極めて効果的に防止することができる。
さらに、従来の基体部21b外径dと本発明の圧縮部21a外径D1とを同じ程度の寸法で設計することもできるので、そうすることにより従来のクランプに比べて大幅な省肉化が可能となり、軽量化・材料の節約にも貢献する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(1)は本発明によるくさび形電線引留クランプのくさび体20と引留連結体30の圧縮接続前の一例を示す側面概観図であり、(2)は(→L1)による圧縮接続部21の基体21bの断面矢視図であり、(3)は(←L2)による圧縮部21aの断面矢視図である。
【図2】(1)は本発明によるくさび形電線引留クランプの一例を示す側面概観図であり、(2)▲1▼および▲2▼は、(←L3)による本体10側の断面図であり、(3)は(→L4)による圧縮接続部21の断面矢視図である。
【図3】本発明によるくさび形電線引留クランプを碍子装置50に連結させた取付け状況の概観図である。
【図4】(1)は従来のくさび形電線引留クランプの一例を示す側面概観図であり、(2)は(←L5)による本体10側の断面図であり、(3)はクランプ本体10が過剰に開いたときの状態の断面図であり、(4)は(→L6)による圧縮接続部21の断面矢視図である。
【符号の説明】
10 クランプ本体
20 くさび体
30 引留連結体
11 本体スライド係合部
11a 本体スライド面
12 本体電線溝
21 圧縮接続部
21a 圧縮部
21b 基体部
21c 挿入穴
21d 減肉空間
21e 圧縮によって生じた圧縮部21aと基体部21bとの境界面
22 くさび体スライド係合部
22a くさび体スライド面
23 くさび体電線溝
θ スライド面(11a,22a)W面と本体10開き方向P面との角度
α スライド面(11a,22a)W面と中央対称軸面T面との角度
φ スライド面(11a)W’面と本体10開き方向P面との角度
D1 圧縮部21aの圧縮前の外径(本発明)
D2 基体部21bの外径(本発明)
H 圧縮部21aの圧縮後の対辺寸法(本発明)
d 従来における圧縮部21aと基体部21bの圧縮前の外径
h 従来における圧縮部21aの圧縮後の対辺寸法
W面 クランプのスライド面(11a,22a)方向の面
W’面 本体のスライド面(11a)の面
P面 クランプ本体10の開き方向の面
P’面 P面と平行する面
T面 P面またはP’面と直交し、クランプ本体10とくさび体20とを電線径間方向に分割して左右対称立体とする中央対称軸面。

Claims (3)

  1. 断面略U字対称形で内部に電線を挿通するクランプ本体と、前記クランプ本体内でスライド係合されて電線を押さえるくさび体と、前記くさび体の端部側から連続して引留め側に形成される引留連結体とを備えて一体的に構成されるくさび形電線引留クランプであって、
    前記クランプ本体は、本体内部には電線を受け入れるための本体電線溝と、側端部側内部には前記くさび体とスライド係合するための電線長手方向長細平坦の本体スライド面を有する本体スライド係合部とを備え、
    前記くさび体は、外面には電線を受け入れて本体電線溝と協働して電線を挟持するためのくさび体電線溝と、側面には前記本体スライド面と面摺動して係合するためのくさび体スライド面を有するくさび体スライド係合部と、端部側の挿入穴の周囲を圧縮して連結接続するためのスリーブ状の圧縮接続部とを備え、
    さらに前記圧縮接続部は、電線溝側にあって圧縮されない基体部と、端部側にあって内部に前記挿入穴を有して前記基体部より拡大径の圧縮部とから構成され、
    前記引留連結体は、前記くさび体の前記挿入穴に挿入されて圧縮接続される連結部を備え、
    前記くさび体と前記引留連結体とは、前記圧縮部と前記基体部との境界面を生じ難くする前記圧縮部の圧縮接続により一体化されて構成されることを特徴とするくさび形電線引留クランプ。
  2. 請求項に記載のくさび形電線引留クランプにおいて、
    前記圧縮接続部の前記基体部の外形寸法は、前記圧縮部の圧縮後の対辺寸法以下として設定されて構成されることを特徴とするくさび形電線引留クランプ。
  3. 請求項1または2に記載のくさび形電線引留クランプにおいて、
    前記本体スライド面および前記くさび体スライド面は、前記クランプ本体の本体開き方向に対して本体開きを防止する角度を有して構成されることを特徴とするくさび形電線引留クランプ。
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