JP3587050B2 - ガラス基板面取り用総型砥石、ガラス基板の面取り装置、ガラス基板の面取り方法、及び液晶ディスプレイの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は一般的なガラス基板、あるいは液晶ディスプレイの素材に用いるガラス基板等のコバ部を面取りする砥石に関わり、さらに詳しくは面取りされたコバ部の精度を向上させることができる砥石の構造、それを用いたガラス基板の面取り装置、ガラス基板の面取り方法及び液晶ディスプレイの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ガラス基板のコバ部面取り工程に於いては、一般的に、図5に示すC面取り形状の輪郭を有する総型砥石5a、あるいは図6に示すR面取り形状の総型砥石6aが使用されている。
【0003】
研削方法には、ガラス基板を固定して、2000〜5000rpmで回転する砥石を移動し研削する方法、又はこの逆にガラス基板を移動させる方法の2通りがある。
【0004】
総型砥石の場合、一回の切り込みで全形を整える為、研削量が大きく、砥石及び基板に加わる衝撃が強くなる。この為、砥石の劣化及び基板の破損が生ずる。そこで研削効率を向上させるために、図5に示すように、冷却用ホース5cを用いて、砥石5aと基板2の間隙に向けて冷却水を吐出させたり、冷却用ホース5bを用いて砥石の側面へ直接冷却水を吐出させ、研削面のダイヤモンド粒子の焼き付きやガラス基板のチッピング等を防止する方法が主流であった。
【0005】
さらに、C面取りとR面取りのいずれの加工においても、冷却水の進入を容易にするため、ガラス基板表面に対する砥石入射角は大きくするのが普通であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の技術では、図4に示す研削後のガラス基板2のコバ部2cの稜線部3dにチッピング及び微細クラックが生じ、後工程に於いて上記チッピング及びクラックが進行する。特に液晶ディスプレイ用ガラス基板に於いては、ガラス粉、クラックに起因する製品不良の発生率が高かった。
【0007】
又、ガラス基板の表面に対する砥石の入射角1gは冷却水の進入を容易にさせる為、従来は大きくされていたが、総型砥石の場合回転スピードが高く、砥石の回転に伴い飛散して無駄になる冷却水の比率が増し、冷却作用が衰え砥石の耐命を著しく短くするという問題があった。
【0008】
そこで本発明は上記問題点を解決するものであり、その課題は、ガラス基板のコバ部の面取りに於いてチッピングあるいはクラックを防止し、又、砥石の長寿命を実現することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用した。
本発明に係る砥石は、ガラス基板のコバ部の面取りに用いられる研削用総型砥石であって、研削面には砥粒が埋設されており、前記研削面と前記ガラス基板の表面とで区画する入射角が10°以下であり、前記砥粒が、前記研削面の中央部から、前記研削面の前記ガラス基板の表面とで前記入射角を区画する入射辺に向けて、徐々に粒径が細かく配置されていることを特徴としている。
【0010】
ここで、総型砥石においては、研削面の刃底に近いほど研削抵抗が大きく、砥石の刃底部に於いて局所的な摩耗が生ずる。
本発明によれば、この刃底部の砥粒を粗くし、そこから入射辺に向けて、徐々に粒径を細かく配置することによって、研削面の切削抵抗を均一にさせることができ、砥石の局所摩耗を防止することができる。
【0011】
また、前記砥石は、前記研削面の中央部に対応する部分には、大きい粒径の大径砥粒が配置され、前記中央部に対応する部分に隣接する部分には、それより小さい粒径の中径砥粒が配置され、前記入射辺に近い部分には、さらに小さい粒径の小径砥粒が配置されていることを特徴としている。
このようにすれば、面取り加工時の研削抵抗が均一になる。
【0012】
また、前記入射辺は、直線状であって、前記研削面の中央部に設けられた複数の曲線あるいは直線と連続的に設けられていることを特徴としている。
このようにすれば、コバ部の面取り方式(例えばC面取り、R面取りなど)に応じて、研削面を如何なる形態に成形可能である。例えば、ガラス基板の厚さの中心に対し、上下非対象な面取りも容易である。
【0013】
また、本発明に係るガラス基板の面取り装置は、ガラス基板のコバ部の面取り加工を行うガラス基板の面取り装置において、研削面には砥粒が埋設されており、前記研削面と前記ガラス基板の表面とで区画する入射角が10°以下であり、前記砥粒が、前記研削面の中央部から、前記研削面の前記ガラス基板の表面とで前記入射角を区画する入射辺に向けて、徐々に粒径が細かく配置されている研削用総型砥石を具備したことを特徴としている。
ここで、総型砥石においては、研削面の刃底に近いほど研削抵抗が大きく、砥石の刃底部に於いて局所的な摩耗が生ずる。
本発明によれば、この刃底部の砥粒を粗くし、そこから入射辺に向けて、徐々に粒径を細かく配置することによって、研削面の切削抵抗を均一にさせることができ、砥石の局所摩耗を防止することができる。
【0014】
また、本発明に係るガラス基板の面取り方法は、ガラス基板のコバ部の面取り加工を行うガラス基板の面取り方法において、研削面には砥粒が埋設されており、前記研削面と前記ガラス基板の表面とで区画する入射角が10°以下であり、前記砥粒が、前記研削面の中央部から、前記研削面の前記ガラス基板の表面とで前記入射角を区画する入射辺に向けて、徐々に粒径が細かく配置されている研削用総型砥石を用いて、前記ガラス基板のコバ部の面取りする工程を具備したことを特徴としている。
ここで、総型砥石においては、研削面の刃底に近いほど研削抵抗が大きく、砥石の刃底部に於いて局所的な摩耗が生ずる。
本発明によれば、この刃底部の砥粒を粗くし、そこから入射辺に向けて、徐々に粒径を細かく配置することによって、研削面の切削抵抗を均一にさせることができ、砥石の局所摩耗を防止することができる。
【0015】
また、本発明に係る液晶ディスプレイの製造方法は、液晶ディスプレイに用いるガラス基板のコバ部の面取り加工を行う液晶ディスプレイの製造方法において、研削面には砥粒が埋設されており、前記研削面と前記ガラス基板の表面とで区画する入射角が10°以下であり、前記砥粒が、前記研削面の中央部から、前記研削面の前記ガラス基板の表面とで前記入射角を区画する入射辺に向けて、徐々に粒径が細かく配置されている研削用総型砥石を用いて、前記ガラス基板のコバ部の面取りする工程を具備したことを特徴としている。
ここで、総型砥石においては、研削面の刃底に近いほど研削抵抗が大きく、砥石の刃底部に於いて局所的な摩耗が生ずる。
本発明によれば、この刃底部の砥粒を粗くし、そこから入射辺に向けて、徐々に粒径を細かく配置することによって、研削面の切削抵抗を均一にさせることができ、砥石の局所摩耗を防止することができる。
【0016】
総型砥石によると研削面の刃底に近いほど研削抵抗が大きく砥石の刃底部に於いて局所的な摩耗が生ずる。請求項4に記載の発明によれば、この刃底部の砥粒を粗くし、そこから離れるほど、徐々に粒径を細かく配置することによって、研削面の切削抵抗を均一にさせることができ、砥石の局所摩耗を防止することができる。
また、本発明のガラス基板の面取り装置は、ガラス基板のコバ部の面取り加工を行うガラス基板の面取り装置において、ガラス基板のコバ部の面取りに用いられる研削用総型砥石を具備し、前記ガラス基板の表面に対する入射角を10゜以下としたことを特徴とする。
前記砥石の研削面の輪郭が複数の直線あるいは曲線からの組み合わせで形成されていてもよい。
前記研削面の冷却作用を高める為に、前記研削面に冷却水噴出穴を複数形成してもよい。
前記研削面には砥粒が埋設されており、この砥粒の粒度は、
前記砥石の軸線方向において異なるようにしてもよい。
また、ガラス基板の面取り方法は、本発明のガラス基板のコバ部の面取り加工を行うガラス基板の面取り方法において、研削用総型砥石を用いて前記ガラス基板のコバ部の面取りする工程を具備し、前記ガラス基板の表面に対する入射角を10゜以下としたことを特徴とする。
前記砥石の研削面の輪郭が複数の直線あるいは曲線からの組み合わせで形成されていてもよい。
前記研削面の冷却作用を高める為に、前記研削面に冷却水噴出穴を複数形成してもよい。
前記研削面には砥粒が埋設されており、この砥粒の粒度は、前記砥石の軸線方向において異なるようにしてもよい。
また、本発明の液晶ディスプレイの製造方法は、液晶ディスプレイに用いるガラス基板のコバ部の面取り加工を行う液晶ディスプレイの製造方法において、研削用総型砥石を用いて前記ガラス基板のコバ部の面取りする工程を具備し、前記ガラス基板の表面に対する入射角を10゜以下としたことを特徴とする。
前記砥石の研削面の輪郭が複数の直線あるいは曲線からの組み合わせで形成されていてもよい。
前記研削面の冷却作用を高める為に、前記研削面に冷却水噴出穴を複数形成してもよい。
前記研削面には砥粒が埋設されており、この砥粒の粒度は、前記砥石の軸線方向において異なるようにしてもよい。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に添付図面を参照して本発明に係わるガラス基板面取用総型砥石の実施形態について説明する。
【0018】
図1は、ガラス基板のコバ部の面取り加工を行う研削装置の概略構成を示す側面図であり、図2は図1の平面図である。この装置においては、ガラス基板吸着台2bの上面にはガラス基板2が設置され、このガラス基板2は真空吸着溝2dの作用により吸着台2bに真空吸着される。上記ガラス基板吸着台2bは、ロットレスシリンダー2aに取り付けられており、シリンダー2aに沿って前後に移動する。一方、砥石1を駆動する砥石軸7fは、モータ1cの駆動軸に直結されている。図示しないマイクロメータを用いて、砥石軸7fの高さは一定に調節されている。この砥石1は2000〜5000rpmで回転し、一定の速度で移動するガラス基板2のコバ部2cを面取り研削し、破線2eで示す形態に加工する。又、これらの機構に代えて、ガラス基板2を固定し砥石1を移動させて研削する方式の機構も採用できる
ガラス基板2の表面に対する砥石1の入射角1gは、10゜以下にされている。砥石1の研削面1eの輪郭において、ガラス基板2の表面とで入射角1gを区画する砥石1の入射辺1aは直線状であって、中央の曲線あるいは直線と連続的に結びつく。入射角1gが10゜以下とされたことにより、図4に示す稜線部3dのクラックやチッピングを押さえることが可能である。
【0019】
図3は、この面取り用総型砥石1の拡大図である。研削面1eの輪郭は複数の曲線または直線から構成されている。すなわち、曲線または直線1d,1g,1fが円滑に連続すると共に、直線状の入射辺1aと連なって、一つの研削面1eの輪郭が構成されている。又、砥石1の研削面1eには、微細な冷却水吐出穴1bが等間隔にて複数配置され、面取り加工時の冷却効果を向上させる役割を果たしている。
【0020】
さらに、面取り加工時の研削抵抗を均一にするため、研削面1eに埋設(蒸着)されたダイヤモンド砥粒の粒度は、砥石1の軸線方向において異なる。具体的には、研削面1eの中央に位置し刃底となる線1fに対応する部分には、大きい粒径の大径砥粒3cが蒸着され、線1fに隣接する線1hに対応する部分には、それより小さい粒径の中径砥粒3bが蒸着され、入射辺1aに近い線1dに対応する部分には、さらに小さい粒径の小径砥粒3aが蒸着されている。
【0021】
次に、図7を参照し、総型砥石1の内部における上記の冷却水吐出穴1bへの給水構造について説明する。砥石1の中央には、冷却水充填空間7dが形成されており、この充填空間7aには、ジョイント7bを介してホース7aから冷却水が供給される。この冷却水充填空間7aは、微細な複数の冷却水吐出穴1bへ連結されており、砥石の回転に伴いこれらの穴1bより放射状に冷却水が吐出される。これにより、砥石1の表面と研削される基板2のコバ部2cとの間隙に瞬時にして水の膜が形成されると共に、冷却水の連続供給により水の膜が維持される。この作用により研削抵抗を大幅に減少させる。
【0022】
冷却水のホース7aが連結されたジョイント7bは、砥石1の回転軸の位置に固定されたベアリング7cに挿入されて、冷却水充填空間7dの内部まで延びている。ベアリング7cは自身とジョイント7bとの相対回転を許容しながらも、水漏れおよびジョイント7bの脱落を防止する構造を有する。このベアリング7cにジョイント7bを挿入したことにより、砥石回転時に於いても、冷却用ホース7aは固定状態に保つことができる。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば以下の効果を奏する。
【0024】
本発明によれば、ガラス基板の表面に対する砥石の入射角を10゜以下にすることにより、コバ部の面取り加工時に於ける研削抵抗をやわらげ、コバ部の稜線部分に生ずるクラック及びチッピング等の進行を押さえることができる。
【0025】
本発明によれば、研削面の構成が複数の直線あるいは曲線からの組み合わせで形成される為、コバ部の面取り方式(例えばC面取り、R面取りなど)に応じて、研削面を如何なる形態に成形可能である。例えば、ガラス基板の厚さの中心に対し、上下非対象な面取りも容易である。
【0026】
本発明によれば、研削面の表面に冷却水吐出穴を複数形成し、砥石中心部より放射状に冷却水を放出させることで、砥石への冷却作用がより均一となり研削中に於けるガラス基板へのダメージを著しく低減でき、又、砥石の寿命も延長可能となる。
【0027】
また、総型砥石によると研削面の刃底に近いほど研削抵抗が大きく砥石の刃底部に於いて局所的な摩耗が生ずる。本発明によれば、この刃底部の砥粒を粗くし、そこから離れるほど、徐々に粒径を細かく配置することによって、研削面の切削抵抗を均一にさせることができ、砥石の局所摩耗を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるガラス基板のコバ部の面取り加工を行う研削装置の概略構成を示す側面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】本発明に係わるガラス基板面取り用総型砥石の拡大側面図である。
【図4】コバ部の面取り加工後のガラス基板を示す側面図である。
【図5】従来のガラス基板のコバ部のC面取り加工を行う研削装置の概略構成を示す側面図である。
【図6】従来のガラス基板のコバ部のR面取り加工用の砥石の側面図である。
【図7】上記総型砥石を示す側面図であり、特にその内部構造と冷却水の流れ方向を表す。
【符号の説明】
1.砥石
1a.直線状の入射辺
1b.冷却水吐出穴
1c.モーター
1d.線
1h.線
1f.線
1g.入射角
1e.研削面
2.ガラス基板
2a.ロットレスシリンダー
2b.ガラス基板吸着台
2c.コバ部
2d.真空吸着溝
2e.面取り後のコバ部
3a.粒径小部
3b.粒径中部
3c.粒径大部
3d.稜線部
5a.C面取り砥石
5b.砥石側面冷却用ホース
5c.砥石,基板間冷却用ホース
6a.R面取り加工用砥石
7a.ホース
7b.ジョイント
7c.ベアリング
7d.冷却水充填空間
7e.砥石固定カラー
7f.砥石軸
Claims (6)
- ガラス基板のコバ部の面取りに用いられる研削用総型砥石であって、
研削面には砥粒が埋設されており、
前記研削面と前記ガラス基板の表面とで区画する入射角が10°以下であり、
前記砥粒は、前記研削面の中央部から、前記研削面の前記ガラス基板の表面とで前記入射角を区画する入射辺に向けて、徐々に粒径が細かく配置されていることを特徴とするガラス基板面取り用総型砥石。 - 前記研削面の中央部に対応する部分には、大きい粒径の大径砥粒が配置され、
前記中央部に対応する部分に隣接する部分には、それより小さい粒径の中径砥粒が配置され、
前記入射辺に近い部分には、さらに小さい粒径の小径砥粒が配置されていることを特徴とする請求項1記載のガラス基板面取り用総型砥石。 - 前記入射辺は、直線状であって、前記研削面の中央部に設けられた複数の曲線あるいは直線と連続的に設けられていることを特徴とする請求項1または2記載のガラス基板面取り用総型砥石。
- ガラス基板のコバ部の面取り加工を行うガラス基板の面取り装置において、
研削面には砥粒が埋設されており、
前記研削面と前記ガラス基板の表面とで区画する入射角が10°以下であり、
前記砥粒が、前記研削面の中央部から、前記研削面の前記ガラス基板の表面とで前記入射角を区画する入射辺に向けて、徐々に粒径が細かく配置されている研削用総型砥石を具備したことを特徴とするガラス基板の面取り装置。 - ガラス基板のコバ部の面取り加工を行うガラス基板の面取り方法において、
研削面には砥粒が埋設されており、
前記研削面と前記ガラス基板の表面とで区画する入射角が10°以下であり、
前記砥粒が、前記研削面の中央部から、前記研削面の前記ガラス基板の表面とで前記入射角を区画する入射辺に向けて、徐々に粒径が細かく配置されている研削用総型砥石を用いて、前記ガラス基板のコバ部の面取りする工程を具備したことを特徴とするガラス基板の面取り方法。 - 液晶ディスプレイに用いるガラス基板のコバ部の面取り加工を行う液晶ディスプレイの製造方法において、
研削面には砥粒が埋設されており、
前記研削面と前記ガラス基板の表面とで区画する入射角が10°以下であり、
前記砥粒が、前記研削面の中央部から、前記研削面の前記ガラス基板の表面とで前記入射角を区画する入射辺に向けて、徐々に粒径が細かく配置されている研削用総型砥石を用いて、前記ガラス基板のコバ部の面取りする工程を具備したことを特徴とする液晶ディスプレイの製造方法。
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