JP3587023B2 - 真空ダイカスト装置および真空ダイカスト方法 - Google Patents

真空ダイカスト装置および真空ダイカスト方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、製品形状成形用のキャビティ内を真空状態にして、ダイカスト製品に含有されるガス量を低減して、ダイカスト製品の高品質化を図る真空ダイカスト装置および真空ダイカスト方法に関するもので、例えば、スクロール型圧縮機におけるアルミニウム合金製のハウジング等の製造に用いて好適である。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の真空ダイカスト装置は特開昭60−250867号公報等にて提案されており、この公報記載のものでは、キャビティ部と真空経路との間にカットオフピンを介在し、キャビティ内への金属(アルミニウム合金)溶湯の圧入が完了する前に、カットオフピンを真空経路中に進入させて、真空経路をカットオフピンにて遮断している。
【0003】
これにより、金属溶湯が真空経路中に進入することを阻止して、溶湯により真空経路が閉塞されるのを防止している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術では、金属溶湯の真空経路への進入阻止のためには、金属溶湯の圧入完了前に、カットオフピンにて真空経路を遮断しなければならないので、真空経路遮断後にダイカスト用金型のシール不良によりキャビティ内の真空度が低下したり、あるいは真空経路遮断後も続行される金属溶湯の圧入により発生する熱分解ガスの影響でキャビティ内の真空度が低下することがある。このキャビティ内の真空度の低下は、ダイカスト製品に含有されるガス量の増大を招き、ダイカスト製品の品質低下を引き起こす。
【0005】
本発明は上記点に鑑みてなされたもので、キャビティ内の真空度の低下を防止して、高品質のダイカスト製品を成形できるようにすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明では、ダイカスト製品を成形するキャビティ(10)に連通している真空経路(17)と、
この真空経路(17)を開閉する経路開閉手段(18)と、
真空経路(17)に比して通路断面積が十分小さいガス排出路(23)とを備え、
このガス排出路(23)を形成する壁面部材(23a、23b、23d、23e)を前記金型(2、4、8、9)より熱伝導のよい材料で構成し、
このガス排出路(23)の一端をキャビティ(10)内に連通するとともに、このガス排出路(23)の他端を真空装置(22)に連通させ、
経路開閉手段(18)により真空経路(17)を遮断した後も、ガス排出路(23)を通してキャビティ(10)内の真空引きを継続するようにしたことを特徴としている。
【0007】
このような構成によると、キャビティ(10)内に射出機構(11、12)により溶湯を圧入する過程において、経路開閉手段(18)により真空経路(17)を開放して、真空経路(17)およびガス排出路(23)の両方を通してキャビティ(10)内を真空引きする第1の真空引き状態と、
この第1の真空引き状態の終了後に、経路開閉手段(18)により真空経路(17)を遮断して、ガス排出路(23)のみを通してキャビティ(10)内の真空引きを継続する第2の真空引き状態とを設定することが可能となる。
【0008】
このように、経路開閉手段(18)による真空経路遮断後も、キャビティ(10)内の真空引きを継続することにより、キャビティ内の真空度低下を抑制して、ダイカスト製品に含有されるガス量を減少させ、ダイカスト製品の品質向上を図ることができる。
しかも、ガス排出路(23)の通路断面積を真空経路(17)に比して十分小さくすることにより、ガス排出路(23)内に進入した溶湯の熱を金型側に速やかに伝導させて、溶湯を急速に冷却、凝固できるので、溶湯がガス排出路(23)を通過して真空経路(17)側まで到達するという不具合は生じない。
特に、請求項1記載の発明では、ガス排出路(23)を形成する壁面部材(23a、23b、23d、23e)を金型(2、4、8、9)より熱伝導のよい材料で構成しているので、ガス排出路(23)内の溶湯の伝熱促進をさらに向上して溶湯を急速に冷却、凝固できる。
【0009】
請求項2記載の発明のように、ガス排出路(23)の他端は真空経路(17)のうち、経路開閉手段(18)よりも後流側の部位に連通させることができる。
このようにすれば、ガス排出路(23)の他端側を含めて、ガス排出路(23)の全体を金型(2、4、8、9)内で構成することができる。
請求項3記載の発明のように、ガス排出路(23)を波形に屈折した形状とすれば、ガス排出路(23)内の溶湯の伝熱面積を増大させ、溶湯を一層急速に冷却、凝固できる。
【0010】
請求項4記載のように、ガス排出路(23)の壁面部材を構成する熱伝導のよい材料としてはベリリウム銅が好適である。
【0011】
また、請求項記載の発明によると、金型は固定金型(2、8)と可動金型(4、9)とからなり、
ガス排出路(23)の片側の壁面部材(23b、23e)を固定金型(2、8)側に設け、ガス排出路(23)の他の片側の壁面部材(23a、23d)を可動金型(4、9)側に設けたことを特徴としている。
これによれば、ガス排出路(23)を固定金型(2、8)と可動金型(4、9)との当接位置に形成できるので、ダイカスト成形後に型開きすると、キャビティ(10)内のダイカスト製品と一体にして、ガス排出路(23)内で凝固した部分を取り出すことができる。
【0012】
また、請求項記載の発明は、請求項1ないしのいずれか1つに記載の真空ダイカスト装置を用いてダイカスト製品を成形する真空ダイカスト方法に係るものであって、請求項1記載の発明と同様に、高品質のダイカスト製品を良好に成形することができる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1は本発明による第1実施形態の真空ダイカスト装置を示すものであり、1は固定支持台であり、固定金型2を支持している。3は可動支持台であり、可動金型4を締付板5、6、7を介して支持している。
【0014】
固定金型2内には固定入れ子8が配置され、また、可動金型4内には可動入れ子9が固定入れ子8と対向するように配置されている。そして、この両入れ子8、9の間に製品部を成形するキャビテイ10を形成している。また、固定支持台1の下部には円筒状の射出スリーブ11が支持されており、この射出スリーブ11内に射出プランジャ12が摺動可能に嵌合している。本例では、この射出スリーブ11と射出プランジャ12とにより金属溶湯の射出機構を構成している。
【0015】
この射出プランジャ12はその先端に径拡大部12aを有し、図示しない油圧駆動機構により射出スリーブ11内を軸方向(図1左右方向)に移動するようになっている。図1に示す射出プランジャ12の実線位置は型締め状態において射出プランジャ12が最も後退した状態を示し、2点鎖線位置12bは最も前進した状態を示している。
【0016】
射出スリーブ11の上方側の部位において、射出プランジャ12の最大後退位置近傍に金属溶湯の注入口13が形成してあり、この注入口13から射出スリーブ11内にダイカスト用金属(例えばアルミニュウム合金、マグネシウム合金、亜鉛合金等)の溶湯を図示しない溶湯注入器にて注入するようになっている。
射出スリーブ11のうち、射出プランジャ12の最大前進位置側の空間は、ランナー部(射出通路)14およびゲート部15を介してキャビテイ10に連通している。ここで、ランナー部14およびゲート部15は互いに対向する固定入れ子8と可動入れ子9との間の空隙により形成されており、射出プランジャ12の前進により射出スリーブ11内の溶湯をキャビテイ10内に圧入するものである。そして、ゲート部15はランナー部14の通路断面積を絞って溶湯をキャビテイ10内の空間に高速で噴出させるものである。
【0017】
可動型4側にはキャビテイ10内で成形されたダイカスト製品を成形後に押し出すための押し出しピン16が摺動可能に支持されている。また、可動型4側にはキャビテイ10内を高真空度に真空引きするための真空経路17が形成されており、そして、この真空経路17の入口部(キャビテイ10出口直後)を開閉するカットオフピン(経路開閉手段)18が可動型4側に摺動可能に支持されている。19はこのカットオフピン18を操作する油圧駆動機構である。
【0018】
真空経路17は可動型4の外部への開口端部に真空配管20が接続され、この真空配管20は電磁弁21を介して真空装置22に連結されている。この真空装置22は、モータ22aにより駆動される真空ポンプ22bを有し、この真空ポンプ22bの作動により得られる真空を蓄える真空タンク22cが真空ポンプ22bの吸入側に配置されている。さらに、前記した電磁弁21と真空タンク22cとの間に、手動操作される開閉弁22d、および真空経路17からの気体中の不純物を除去するフィルタ22eが配置されている。なお、開閉弁22dはダイカスト成形時には開弁状態にしておく。
【0019】
次に、図2は図1の要部拡大図であり、図2の例ではキャビテイ10をスクロール型圧縮機のスクロール形状を成形するためにスクロール形状になっている。金型2、4、8、9のうち、可動型4、9側には、キャビテイ10の最上部から上方に向けて真空経路17を設けるとともに、可動型4、9と固定型2、8との境界部分に、真空経路17に比して通路断面積が十分小さいガス排出路23が形成してある。具体的には、真空経路17の通路厚さ(図2左右方向の厚さ)は、例えば、12〜35mm程度であり、一方、ガス排出路23の通路厚さ(図2左右方向の厚さ)は例えば、0.5〜0.7mm程度の微小厚さである。
【0020】
このガス排出路23の一端はキャビティ10の最上部に連通するとともに、このガス排出路23の他端を真空経路17のうち、カットオフピン(経路開閉手段)18よりも後流側の部位に連通させてある。ここで、ガス排出路23は波形に屈折した通路形状を有しており、この波形の通路形状を設ける理由は、ガス排出路23内に進入した溶湯から金型2、4、8、9への伝熱面積を拡大するためである。
【0021】
ガス排出路23は具体的には以下のごとく構成してある。すなわち、可動金型4の可動入れ子9の先端面(固定入れ子8の先端面に対向する先端面)には、波形に屈折した凹凸部23aが形成してあり、これに対し、固定金型2の固定入れ子8の先端面には、凹凸部23aと所定の微小間隔(上記0.5〜0.7mm程度の間隔)を介して対向する波形に屈折した凹凸部材23bがボルト締め等の締結手段にて連結されている。ここで、凹凸部材23bは両入れ子8、9と同様の耐熱金属(SKD61等)で形成されている。
【0022】
そして、凹凸部23aと凹凸部材23bとの間の微小間隔からなる波形通路の出口部は直角状に方向を曲げて直線通路23cにて真空経路17のカットオフピン18後流側部位に連通させてある。
従って、ガス排出路23の波形通路部の片側の壁面部材(凹凸部23a)を可動金型4、9側に設け、ガス排出路23の他の片側の壁面部材(凹凸部材23b)は固定金型2、8側に設けることになる。
【0023】
なお、可動金型4と固定金型2との当接面において、キャビティ10の外周側の部位には、キャビティ10の真空状態を保持するためのシールを行うゴム製シール部材24が配設されている。図1、2の例では、可動金型4側にゴム製シール部材24が配設されている。
次に、上記したダイカスト装置においてダイカスト方法を説明すると、まず、可動金型4を図1に示すように固定金型2に対して当接させ、型締めする。この型締め状態において、射出プランジャ12は図1の実線で示す最大後退位置に後退させておく。また、カットオフピン18は図1、2の位置よりも右側に前進して、真空経路17の入口部を遮断する位置に操作する。また、電磁弁21は真空配管21を閉塞する状態にある。
【0024】
なお、ダイカスト製品の成形は短時間サイクルで繰り返されるので、ダイカスト成形の実施中は、真空装置22の真空ポンプ22bが常時作動して真空タンク22c内を減圧状態に保っている。
次に、金属溶湯(例えば、アルミニュウム合金、溶湯温度:720〜740°C程度)を図示しない溶湯注入器にて注入口13から射出スリーブ11内に注入する。
【0025】
次に、この溶湯の注入完了後に、直ちに、射出プランジャ12を図1の2点鎖線で示す最大前進位置12b側へ前進させる。この射出プランジャ12の前進により、射出スリーブ11内の溶湯がランナー部14側へ移行するとともに、射出プランジャ12が所定の中間位置(例えば、注入口13を射出プランジャ12の先端の径拡大部12aが閉塞した後の中間位置)に到達すると、この射出プランジャ12の中間位置を図示しない位置検出センサが検出して、射出プランジャ12の前進を一時停止(中断)させる。
【0026】
この後に、電磁弁21を開弁するとともに、カットオフピン18を図1、2の実線位置に後退させて、真空経路17を開放する。これにより、真空装置22の真空タンク22cが電磁弁21を経てさらに真空経路17およびガス排出通路23を並列に通ってキャビティ10に連通する。この結果、キャビティ10内の真空引きが真空経路17およびガス排出通路23の両方を通して行われ(第1の真空引き状態)、キャビティ10内の空気および金型潤滑油等から発生する熱分解ガスが真空装置22側に吸引される。
【0027】
そして、カットオフピン18が開放位置に操作されてから、タイマー手段による所定時間(1〜2秒)が経過すると、油圧駆動機構19によりカットオフピン18が前進して真空経路17の入口部を遮断する。これにより、真空経路17を通るキャビティ10内の真空引きは終了するが、カットオフピン18による真空経路17の遮断部をバイパスするようにガス排出路23が形成されているので、このガス排出路23を通して、キャビティ10内の真空引き(第2の真空引き状態)が継続される。従って、カットオフピン18による真空経路17の遮断後もキャビティ10内の真空度低下を抑制して、キャビティ10内の真空度を高い状態に保持することができる。
【0028】
そして、カットオフピン18が真空経路17の遮断位置に到達したことを検出した後に、射出プランジャ12の前進を再開させ、射出プランジャ12を2点鎖線で示す最大前進位置12bに到達させる。これにより、射出スリーブ11内およびランナー部14内の溶湯がゲート部15からキャビテイ10内に高速で噴出し、キャビテイ10内への溶湯の圧入充填が完了する。
【0029】
ここで、真空経路17の入口部を既にカットオフピン18により遮断しているので、金属溶湯が真空経路17内へ進入することはない。
一方、ガス排出路23は開通したままであるので、キャビテイ10内に圧入充填された溶湯の一部がガス排出路23に進入するが、ガス排出路23の通路厚みが0.5〜0.7mmと微小であり、通路断面積が十分小さいとともに、ガス排出路23を波形に屈折した形状にしてガス排出路23内に進入した溶湯の伝熱面積を大きくしてあるから、ガス排出路23内に進入した溶湯からガス排出路23を形成する壁面部材への伝熱を促進して、溶湯を短時間で急速に冷却、凝固できる。
【0030】
従って、ガス排出路23の波形通路部の途中で十分溶湯の進入を停止させることができるので、溶湯が直線通路23cを経てさらに真空経路17まで進入することはない。
そして、ガス排出路23の波形通路部の途中で溶湯が冷却、凝固すると、キャビティ10内の真空引き作用は消滅するので、予め、このガス排出路23の途中での溶湯凝固時間を実験により設定しておき、射出プランジャ12の前進再開後、このガス排出路途中での溶湯凝固時間に相当の時間が経過すると、電磁弁21を閉弁する。
【0031】
次に、射出プランジャ12の前進再開後、キャビテイ10内に圧入充填された溶湯の凝固時間(上記ガス排出路23の途中での溶湯凝固時間より長い時間)が経過すると、キャビテイ10内におけるダイカスト製品の成形が完了するので、金型の型開きを行う。すなわち、可動型4を固定型2から離れる方向(図1の左方向)に移動させて型開きを行うとともに、可動型4側の押し出しピン16および固定型2側の射出プランジャ12を前進させて、キャビテイ10内の空間で凝固したダイカスト製品をランナー部14内およびガス排出路23内の空間で凝固した部分と一体にして押し出す。
【0032】
その後に、可動型4を固定型2側に移動させて、型締めを行うとともに、射出プランジャ12を図1の実線位置に後退させ、初期の状態に戻る。これにより、一連のダイカスト方法の全工程が完了する。
ところで、従来装置では、金属溶湯の真空経路17への進入阻止のために、キャビテイ10内への金属溶湯の圧入完了前に、カットオフピン18にて真空経路17を遮断しなければならないので、キャビティ10内の真空度が低下して、ダイカスト製品内ガス量の増大を招き、ダイカスト製品の品質低下を引き起こすという不具合があった。
【0033】
これに対し、本実施形態によると、前述したように、真空経路17とガス排出路23の両方を通してキャビティ10内の真空引きを行う第1の真空引き状態の後に、カットオフピン18による真空経路17の遮断部をバイパスするガス排出路23を通して、キャビティ10内の真空引きを継続する第2の真空引き状態を設定している。
【0034】
そのため、カットオフピン18による真空経路17の遮断後もキャビティ10内の真空度を高い状態に保持することができ、ダイカスト製品内ガス量を低減して、ダイカスト製品の品質を向上できる。
図3は溶湯をキャビティ10内に充填しない状態において本発明者が比較実験した結果を示すもので、(a)は本発明によるガス排出路23を形成してない従来装置におけるカットオフピン18による真空経路17の開放、遮断と、キャビティ10内の真空度変化との関係を示し、(b)はガス排出路23を形成した本発明装置におけるカットオフピン18による真空経路17の開放、遮断と、キャビティ10内の真空度変化との関係を示している。
【0035】
(a)の従来装置による場合は、カットオフピン18により真空経路17を遮断すると、直ちに、キャビティ10内の真空引きが停止されるので、これ以後、ダイカスト用金型のシール不良、キャビティ10内の熱分解ガス発生等により急速にキャビティ10内の真空度が低下(圧力上昇)していく。本発明者の測定によると、カットオフピン18による真空経路遮断後の真空度低下の勾配は86.5Torr/sであった。
【0036】
これに対し、(b)の本発明装置による場合は、カットオフピン18による真空経路遮断後もガス排出路23によるキャビティ10内の真空引き(第2の真空引き状態)が継続されるので、上記のごとき真空度低下の要因が発生しても真空経路遮断後の真空度低下の勾配を8.0Torr/sという、1/10以下の僅少値に抑えることがてきた。
【0037】
その結果、従来装置により成形されたダイカスト製品に含まれるガス量と、本発明装置により成形されたダイカスト製品に含まれるガス量とを比較すると、図4に示すように、ダイカスト製品内ガス量を本発明装置では従来装置の1/3以下に低減でき、ダイカスト製品の品質を格段と向上できることを確認した。
(第2実施形態)
上述した第1実施形態および実験データの説明から理解されるように、ガス排出路23の形態は、カットオフピン18による真空経路遮断後におけるキャビティ10内の真空度低下の抑制のためには、通路断面積を大きくすることが好ましく、一方、ガス排出路23を通過して真空経路17内に溶湯が進入することを阻止するためには、ガス排出路23の通路断面積を小さくして溶湯の冷却、凝固を促進することが好ましい。
【0038】
このように、ガス排出路23の具体的形態の設計に際しては、キャビティ10内の真空度低下の抑制と、真空経路17内への溶湯の進入阻止という、相反する2つの課題を両立させることが要求される。
そこで、図5に示す第2実施形態では、上記の2つの課題の両立のための改良構造を提案するものであって、ガス排出路23の入口側の波形通路部を形成する壁面部材を金型2、4、8、9を構成する耐熱金属(例えば、SKD61等)より熱伝導のよい材料、具体的にはベリリウム銅で構成した。
【0039】
すなわち、第2実施形態では可動入れ子9とは別体の凹凸部材23aおよびブロック体23dをベリリウム銅で構成して、この両部材23a、23dをボルト等の締結手段にて可動入れ子9側に連結している。また、固定入れ子8とは別体の凹凸部材23bおよびブロック体23eをベリリウム銅で構成して、この両部材23b、23eをボルト等の締結手段にて固定入れ子8側に連結している。
【0040】
第2実施形態によると、ガス排出路23の入口側の波形通路部を形成する上記各部材23a、23b、23d、23eをベリリウム銅のように熱伝導のよい材料で構成しているため、ガス排出路23の入口側の波形通路部に溶湯が進入してきたとき、溶湯の熱を入口側の波形通路部において金型2、4、8、9側に急速に伝導することができる。そのため、ガス排出路23の通路断面積(図5左右方向の通路厚み)を第1実施形態より広くしても、入口側の波形通路部途中にて溶湯を急速に冷却、凝固できる。
【0041】
このように、ガス排出路23の通路断面積を広くできる分だけ、ガス排出路23による真空引き効果を増大でき、図3(b)による真空度低下の勾配をより一層小さくできる。
なお、上記第1、第2実施形態ではいずれも、ガス排出路23の他端を、金型2、4、8、9の内部において、カットオフピン(経路開閉手段)18よりも後流側の真空経路17に連通させているが、本発明はこのような形態のみに限定されるものではなく、例えば、ガス排出路23の他端を真空経路17とは別の独立の真空経路を介して金型2、4の外部において真空装置22に直接連通させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示すダイカスト装置の要部断面図である。
【図2】図1の要部拡大断面図である。
【図3】カットオフピンによる真空経路の開放、遮断と、キャビティ内の真空度変化との関係を示すグラフである。
【図4】本発明装置と従来装置とによるダイカスト製品内ガス量を比較して示すグラフである。
【図5】本発明の第2実施形態を示すダイカスト装置の一部拡大断面図である。
【符号の説明】
2…固定金型、4…可動金型、8…固定入れ子、9…可動入れ子、
10…キャビテイ、11…射出スリーブ、12…射出プランジャ、
17…真空経路、18…カットオフピン、22…真空装置、23…ガス排出路。

Claims (6)

  1. 開閉可能な金型(2、4、8、9)と、
    この金型(2、4、8、9)の内部に設けられ、ダイカスト製品を成形するキャビティ(10)と、
    前記金型(2、4、8、9)に設けられ、前記キャビティ(10)内に溶湯を圧入する射出機構(11、12)と、
    前記金型(2、4、8、9)に設けられ、前記キャビティ(10)に連通している真空経路(17)と、
    前記キャビティ(10)内を前記真空経路(17)を通して真空引きする真空装置(22)と、
    前記金型(2、4、8、9)に設けられ、前記真空経路(17)を開閉する経路開閉手段(18)と、
    前記金型(2、4、8、9)に設けられ、前記真空経路(17)に比して通路断面積が十分小さいガス排出路(23)とを備え、
    このガス排出路(23)を形成する壁面部材(23a、23b、23d、23e)を前記金型(2、4、8、9)より熱伝導のよい材料で構成し、
    このガス排出路(23)の一端を前記キャビティ(10)内に連通するとともに、このガス排出路(23)の他端を前記真空装置(22)に連通させ、前記経路開閉手段(18)により前記真空経路(17)を遮断した後も、前記ガス排出路(23)を通して前記キャビティ(10)内の真空引きを継続するようにしたことを特徴とする真空ダイカスト装置。
  2. 前記ガス排出路(23)の他端を前記真空経路(17)のうち、前記経路開閉手段(18)よりも後流側の部位に連通させることを特徴とする請求項1に記載の真空ダイカスト装置。
  3. 前記ガス排出路(23)を波形に屈折した形状としたことを特徴とする請求項1または2に記載の真空ダイカスト装置。
  4. 前記熱伝導のよい材料はベリリウム銅であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の真空ダイカスト装置。
  5. 前記金型は固定金型(2、8)と可動金型(4、9)とからなり、
    前記ガス排出路(23)の片側の壁面部材(23b、23e)を前記固定金型(2、8)側に設け、前記ガス排出路(23)の他の片側の壁面部材(23a、23d)を前記可動金型(4、9)側に設けたことを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載の真空ダイカスト装置。
  6. 請求項1ないしのいずれか1つに記載の真空ダイカスト装置を用いてダイカスト製品を成形する真空ダイカスト方法であって、
    前記キャビティ(10)内に前記射出機構(11、12)により溶湯を圧入する過程において、前記経路開閉手段(18)により前記真空経路(17)を開放して、前記真空経路(17)および前記ガス排出路(23)の両方を通して前記キャビティ(10)内を真空引きする第1の真空引き状態と、
    この第1の真空引き状態の終了後に、前記経路開閉手段(18)により前記真空経路(17)を遮断して、前記ガス排出路(23)のみを通して前記キャビティ(10)内の真空引きを継続する第2の真空引き状態とを設定することを特徴とする真空ダイカスト方法。
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