JP3586707B2 - 酸アミドもしくは酸イミド化合物の製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸アミドもしくは酸イミド化合物の効率的な製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、酸アミド類又は酸イミド類の脱水縮合反応による合成は、原料を触媒の存在下で、蒸気加熱装置、燃焼加熱装置、電熱ヒーターなどの加熱装置を用いて加熱し、所定の温度で脱水縮合させる方法が一般的に知られている
。しかし、従来の方法では、複雑な構成の容器や、水分離器、凝縮器、特別の加熱装置などの設置が必要となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、脱水縮合反応の反応速度を高め、短時間で合成を完了させることができる酸アミド又は酸イミド化合物の製造方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、反応系に特別の水分離器、凝縮器、加熱装置などを設置することを不要とした、あるいはその設置を簡略化しうる、酸アミド又は酸イミド化合物の製造方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の従来の方法の欠点を克服し、簡便、かつ、効率的に酸アミド化合物又は酸イミド化合物を製造しうる方法を提供するため鋭意検討を重ねた結果、有機カルボン酸とアミン類の脱水縮合反応を有機塩基性物質の存在下に酸アミド又は酸アミド化合物を製造することにより、前記脱水縮合反応をマイクロ波加熱下で行わせることにより、また前記脱水縮合反応を溶剤の存在下に行うことにより、その目的を達成しうることを見い出し、この知見に基づき本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1) 有機カルボン酸とアミン類との脱水縮合反応を、イミダゾール,トリエチルアミン,N−メチルイミダゾール、p−ジメチルアミノピリジン、N−メチルモルホリンから選ばれる有機塩基性物質の存在下に行い、カルボン酸アミド又はカルボン酸イミド化合物を製造することを特徴とするカルボン酸アミド又はカルボン酸イミド化合物の製造方法。
(2)有機カルボン酸とアミン類との脱水縮合反応をマイクロ波加熱下に行うことを特徴とする前記(1)記載のカルボン酸アミド又はカルボン酸イミド化合物の製造方法。
(3)有機カルボン酸とアミン類との脱水縮合反応を溶剤の存在下に行うことを特徴とする前記(1)又は(2)記載のカルボン酸アミド又はカルボン酸イミド化合物の製造方法。
本発明において、マイクロ波過熱とは、周波数の高い電波であるマイクロ波を物にあてて加熱する加熱方法である。マイクロ波の発生のためには、マグネトロンが用いられる。このようなマイクロ波加熱を行う装置としては、具体的には電子レンジがある。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の反応は、有機カルボン酸とアミン類を反応させるものである。
酸アミド化合物の製造において用いうる有機カルボン酸は、ケンプ酸、フタル酸、シクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸などであり、本発明に用いられる有機カルボン酸には前記のカルボン酸の酸無水物や酸ハロゲン化物などの反応性官能基を導入したものも包含する。
また、アミン類としては、第一級アミンが好ましく用いられ、具体的には、芳香族第一級アミン(例えば、アニリン、p−n−ブチルアニリン、p−メトキシアニリン、アミノピレン)、ジメチルアミノアニリン、脂肪族第一級アミン(例えば、ベンジル、フェネチルアミン)などがあげられる。
また、酸イミド化合物の製造において用いる有機カルボン酸は、上記の酸アミド化合物に関して例示した有機カルボン酸のうち2塩基酸のものであり、例えば、ケンプ酸(cis−cis−1,3,5−トリメチルシクロヘキサントリカルボン酸)、フタル酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、こはく酸、マレイン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸などがあげられ、好ましくはケンプ酸、フタル酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸である。また、この酸イミド化合物の製造において用いられるアミン化合物の例としては、前記の酸アミド類の製造において用いられるものがあげられる。
【0007】
本発明の反応において反応成分の反応モル比は特に制限はなく、化学量論量のモル比が最も好ましいが、いずれか一方を過剰にしてもよい。化学反応成分としての有機カルボン酸成分とアミン類成分の比は、モル比で通常1:1〜3:1、好ましくは2:1〜3:1である。
【0008】
本発明の反応は、有機塩基性化合物の存在下で行うことが好ましい。有機塩基性化合物としては、イミダゾール、トリエチルアミン、N−メチルイミダゾール、p−ジメチルアミノピリジン、N−メチルモルホリンである。これらの中で環状含窒素ヘテロ環化合物が好ましい。
この有機塩基性化合物の使用量は、有機カルボン酸成分1モルに対し、通常0.3〜1モル、好ましくは0.3〜0.5モルの比で用いられる。
【0009】
本発明において反応を無溶媒又は溶媒中のいずれの条件で行ってもよい。溶媒を用いて行う場合は、溶媒としては、ジメチルホルムアミド(DMF)、o−ジクロロベンゼン、クロロベンゼン、p−クロロフルオロベンゼン、1,2−ジエトキシエタンなどの、反応により生成する水を吸収し、双極子モーメントが高いことにより照射マイクロ波を熱エネルギーに変換する溶媒が好ましい。本発明では溶媒を用いる場合でも、非常に少量でよく反応原料の混合物を滴下した溶媒で湿らせる程度で実施できる。本発明は反応原料を不均一混合物の状態で省溶媒又は無溶媒で実施しうる製造方法である。
【0010】
本発明の反応は、マイクロ波加熱下に行う。加熱時間は仕込量、マイクロ波加熱装置のワット数などの条件によって異なるが、200〜500ワットで通常0.5〜10分間、好ましくは2〜3分である。マイクロ波の周波数は、通常2000〜3000MHzである。
本発明においてマイクロ波加熱とは、周波数の高い電波であるマイクロ波を物にあてて加熱する加熱方法である。マイクロ波の発生のためにマグネトロンが用いられる。このようなマイクロ波加熱を行う装置としては、具体的には電子レンジがある。
【0011】
【実施例】
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明する。
実施例1(N−ベンジルフタルイミドの製造)
パイレックス製NMR管に、フタル酸20mg(0.12ミリモル)、ベンジルアミン13mg(0.12ミリモル)及びイミダゾール16mg(0.24ミリモル)を入れ、DMF(ジメチルホルムアミド)2滴で湿らせた。この混合物に電子レンジ(500W)で2分間マイクロ波を照射した。(なお、本実施例及び以下の実施例では電子レンジは市販のものを用いた。)
次いで、数分間、室温のまま冷却し、混合液を0.5mlのCDCl3(重クロロホルム)で希釈し、プロトンNMRで測定したところ、収率87%でN−ベンジルフタルイミド(27mg)が生成したことが認められた。生成物の収率は、生成イミド化合物のベンジル位のNMRシグナル(4.85ppm;シングレット)の積分値から算出した。
【0012】
実施例2(N−ベンジルベンズアミドの製造)
パイレックス製NMR管に、安息香酸66mg(0.54ミリモル)、ベンジルアミン17μl(0.16ミリモル)、イミダゾール10mg(0.15ミリモル)を入れ、o−ジクロロベンゼンで湿らせた。この混合物に電子レンジ(500W)で3分間マイクロ波を照射した。室温で数分間冷却し、混合物を0.5mlの重クロロホルムで希釈し、プロトンNMRで測定したところ、N−ベンジルベンズアミドが収率80%(約27mg)得られたことが認められた。収率は生成アミド化合物のベンジル位のNMRシグナル(4.60ppm;ダブレット、J=6Hz)の積分値から算出した。
【0013】
実施例3(N−p−n−ブチルフェニルケンプ酸イミドの製造)
径12mm、長さ120mmのパイレックス製試験管に、ケンプ酸416mg(1.16ミリモル)、p−n−ブチルアニリン254mg(1.70ミリモル)、及びイミダゾール211mg(3.10ミリモル)を加え、ジメチルホルムアミド5滴で湿らせた。この混合物に電子レンジ(500W)中で4分間マイクロ波を照射した。室温で数分間冷却後、反応混合物を20mlのクロロホルムで希釈し、1Nの塩酸水溶液で3回洗浄し、過剰及び未反応なアミンを取り除いた。ベンゼンから再結晶することにより、目的化合物の無色透明な結晶が453.7mg得られた(収率75.8%)。融点223−225℃。
IR;1734,1703,1181cm−1.
1HNMR(CDCl3 )7.14(d,J=8.5Hz,2H),6.93(d,J=8.0Hz,2H),2.80(d,J=13.7Hz,2H),2.58(t,J=7.7Hz,2H),2.10(d,J=13.3Hz,1H),1.56(q,J=7.5Hz,2H),1.46(d,J=13.4Hz,1H),1.35(q,J=7.7Hz,2H),1.32(s,6H),1.31(s,3H),1.25(d,J=14.5Hz,2H),0.91(t,J=7.3Hz,3H)ppm.13CNMR(CDCl3 )179.0,176.5,142.7,133.0,128.9,127.6,44.1,43.9,41.8,35.3,33.4,31.3,26.0,22.4,14.0ppm.
元素分析:C22H29NO4
理論値 :C71.13,H7.87,N3.77%;
実測値 :71.33,H7.93,N3.79%.
【0014】
比較例1(N−p−n−ブチルフェニルケンプ酸イミドの製造)
テトラヒドロフラン15ml中に、ケンプ酸無水物酸クロリド 1.035gを懸濁させたのち、これにp−n−ブチルアニリン 0.6141gとトリエチルアミン 0.4452g及び触媒量の4−ジメチルアミノピリジンのテトラヒドロフラン 10ml溶液を加え、約40℃で一晩かきまぜた。次いで、生じたトリエチルアミンの塩酸塩をろ別後、テトラヒドロフランで洗浄し、洗浄液と反応液とを合わせて濃縮したのち、シリカゲルを充てんしたカラムによって生成物を分離精製した(酢酸エチル/ヘキサン重量比2/3混合液使用)。
得られた生成物を、さらにベンゼンから再結晶することにより、N−p−n−ブチルフェニルケンプ酸イミド 1.2997g(収率87%)が得られた。
【0015】
実施例4(N−ベンジルベンズアミドの製造)
12×120mmパイレックス製試験管に、安息香酸64mg(0.52ミリモル)、ベンジルアミン18ml(0.17ミリモル)、イミダゾール11mg(0.17ミリモル)を入れた。この混合物を電子レンジの低出力200Wで5分間照射した。数分間室温で冷却した後、反応混合物を0.75mlの重クロロホルムで希釈し、プロトンNMR測定のためNMR試験管に移す。NMRスペクトルの解析の結果、単一生成物としてN−ベンジルベンズアミドが74%の収率で得られた。生成物の収率はアミドのベンジル位のNMRシグナル(4.60ppm;ダブレット,J=6Hz)の積分値から算出した。
【0016】
実施例5(N−ベンジルフタル酸イミドの製造)
12×120mmパイレックス製試験管に、フタル酸28mg(0.17ミリモル)、ベンジルアミン18ml(0.17ミリモル)、イミダゾール11mg(0.17ミリモル)を入れた。この混合物を電子レンジの低出力200Wで5分間照射した。数分間室温で冷却した後、反応混合物を0.75mlの重クロロホルムで希釈し、プロトンNMR測定のためNMR試験管に移す。NMRスペクトルの解析の結果、N−ベンジルフタル酸イミドが92%の収率で得られ、フタル酸モノN−ベンジルアミドが6%の収率で得られた。生成物の収率はイミドのベンジル位のNMRシグナル(4.84ppm;シングレット)の積分値から算出した。
【0017】
実施例8(ケンプ酸のcis−trans異性体のp−n−ブチルフェニルイミドの製造)
cis−trans−1,3,5−トリメチルシクロヘキサントリカルボン酸416mg(1.61ミリモル)、p−n−ブチルアニリン254mg(1.70ミリモル)、イミダゾール211mg(3.10ミリモル)をDMF5滴で湿らせて反応させた。薄茶色の固体をベンゼンに溶解し、活性炭処理した後、ろ別し冷却することにより目的化合物の無色の針状結晶が得られた。収量:296mg、収率:51.5%。融点:175−177。
IR;1732,1698,1181cm−1.
1HNMR(CDCl3 )7.25(d,J=8.2Hz,2H),6.97(d,J=8.5Hz,2H),2.63(t,J=7.7Hz,2H),2.17(d,J=14.5Hz,1H),2.10(d,J=15.1Hz,2H),1.91(d,J=14.3Hz,2H),1.60(q,J=7.7Hz,2H),1.50(d,J=13.7Hz,1H),1.43(s,3H),1.36(s,6H),1.34(q,J=7.4Hz,2H),0.92(t,J=7.4Hz,3H)ppm.13CNMR(CDCl3 )177.7,143.3,132.7,129.2,127.5,43.2,42.7,40.0,35.4,33.4,26.8,24.6,22.4,14.0ppm,
元素分析:C22H29NO4
理論値 :C71.13,H7.87,N3.77%;
実測値 :C71.26,H8.21,N3.91%.
【0018】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、反応系に特別の水分離器、凝縮器、加熱装置などを設置することを不要とし、あるいはそれらの設置を簡略化することができ、しかも、脱水縮合反応の反応速度を高め、短時間で酸アミド又は酸イミド化合物を製造することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸アミドもしくは酸イミド化合物の効率的な製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、酸アミド類又は酸イミド類の脱水縮合反応による合成は、原料を触媒の存在下で、蒸気加熱装置、燃焼加熱装置、電熱ヒーターなどの加熱装置を用いて加熱し、所定の温度で脱水縮合させる方法が一般的に知られている
。しかし、従来の方法では、複雑な構成の容器や、水分離器、凝縮器、特別の加熱装置などの設置が必要となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、脱水縮合反応の反応速度を高め、短時間で合成を完了させることができる酸アミド又は酸イミド化合物の製造方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、反応系に特別の水分離器、凝縮器、加熱装置などを設置することを不要とした、あるいはその設置を簡略化しうる、酸アミド又は酸イミド化合物の製造方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の従来の方法の欠点を克服し、簡便、かつ、効率的に酸アミド化合物又は酸イミド化合物を製造しうる方法を提供するため鋭意検討を重ねた結果、有機カルボン酸とアミン類の脱水縮合反応を有機塩基性物質の存在下に酸アミド又は酸アミド化合物を製造することにより、前記脱水縮合反応をマイクロ波加熱下で行わせることにより、また前記脱水縮合反応を溶剤の存在下に行うことにより、その目的を達成しうることを見い出し、この知見に基づき本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1) 有機カルボン酸とアミン類との脱水縮合反応を、イミダゾール,トリエチルアミン,N−メチルイミダゾール、p−ジメチルアミノピリジン、N−メチルモルホリンから選ばれる有機塩基性物質の存在下に行い、カルボン酸アミド又はカルボン酸イミド化合物を製造することを特徴とするカルボン酸アミド又はカルボン酸イミド化合物の製造方法。
(2)有機カルボン酸とアミン類との脱水縮合反応をマイクロ波加熱下に行うことを特徴とする前記(1)記載のカルボン酸アミド又はカルボン酸イミド化合物の製造方法。
(3)有機カルボン酸とアミン類との脱水縮合反応を溶剤の存在下に行うことを特徴とする前記(1)又は(2)記載のカルボン酸アミド又はカルボン酸イミド化合物の製造方法。
本発明において、マイクロ波過熱とは、周波数の高い電波であるマイクロ波を物にあてて加熱する加熱方法である。マイクロ波の発生のためには、マグネトロンが用いられる。このようなマイクロ波加熱を行う装置としては、具体的には電子レンジがある。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の反応は、有機カルボン酸とアミン類を反応させるものである。
酸アミド化合物の製造において用いうる有機カルボン酸は、ケンプ酸、フタル酸、シクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸などであり、本発明に用いられる有機カルボン酸には前記のカルボン酸の酸無水物や酸ハロゲン化物などの反応性官能基を導入したものも包含する。
また、アミン類としては、第一級アミンが好ましく用いられ、具体的には、芳香族第一級アミン(例えば、アニリン、p−n−ブチルアニリン、p−メトキシアニリン、アミノピレン)、ジメチルアミノアニリン、脂肪族第一級アミン(例えば、ベンジル、フェネチルアミン)などがあげられる。
また、酸イミド化合物の製造において用いる有機カルボン酸は、上記の酸アミド化合物に関して例示した有機カルボン酸のうち2塩基酸のものであり、例えば、ケンプ酸(cis−cis−1,3,5−トリメチルシクロヘキサントリカルボン酸)、フタル酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、こはく酸、マレイン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸などがあげられ、好ましくはケンプ酸、フタル酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸である。また、この酸イミド化合物の製造において用いられるアミン化合物の例としては、前記の酸アミド類の製造において用いられるものがあげられる。
【0007】
本発明の反応において反応成分の反応モル比は特に制限はなく、化学量論量のモル比が最も好ましいが、いずれか一方を過剰にしてもよい。化学反応成分としての有機カルボン酸成分とアミン類成分の比は、モル比で通常1:1〜3:1、好ましくは2:1〜3:1である。
【0008】
本発明の反応は、有機塩基性化合物の存在下で行うことが好ましい。有機塩基性化合物としては、イミダゾール、トリエチルアミン、N−メチルイミダゾール、p−ジメチルアミノピリジン、N−メチルモルホリンである。これらの中で環状含窒素ヘテロ環化合物が好ましい。
この有機塩基性化合物の使用量は、有機カルボン酸成分1モルに対し、通常0.3〜1モル、好ましくは0.3〜0.5モルの比で用いられる。
【0009】
本発明において反応を無溶媒又は溶媒中のいずれの条件で行ってもよい。溶媒を用いて行う場合は、溶媒としては、ジメチルホルムアミド(DMF)、o−ジクロロベンゼン、クロロベンゼン、p−クロロフルオロベンゼン、1,2−ジエトキシエタンなどの、反応により生成する水を吸収し、双極子モーメントが高いことにより照射マイクロ波を熱エネルギーに変換する溶媒が好ましい。本発明では溶媒を用いる場合でも、非常に少量でよく反応原料の混合物を滴下した溶媒で湿らせる程度で実施できる。本発明は反応原料を不均一混合物の状態で省溶媒又は無溶媒で実施しうる製造方法である。
【0010】
本発明の反応は、マイクロ波加熱下に行う。加熱時間は仕込量、マイクロ波加熱装置のワット数などの条件によって異なるが、200〜500ワットで通常0.5〜10分間、好ましくは2〜3分である。マイクロ波の周波数は、通常2000〜3000MHzである。
本発明においてマイクロ波加熱とは、周波数の高い電波であるマイクロ波を物にあてて加熱する加熱方法である。マイクロ波の発生のためにマグネトロンが用いられる。このようなマイクロ波加熱を行う装置としては、具体的には電子レンジがある。
【0011】
【実施例】
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明する。
実施例1(N−ベンジルフタルイミドの製造)
パイレックス製NMR管に、フタル酸20mg(0.12ミリモル)、ベンジルアミン13mg(0.12ミリモル)及びイミダゾール16mg(0.24ミリモル)を入れ、DMF(ジメチルホルムアミド)2滴で湿らせた。この混合物に電子レンジ(500W)で2分間マイクロ波を照射した。(なお、本実施例及び以下の実施例では電子レンジは市販のものを用いた。)
次いで、数分間、室温のまま冷却し、混合液を0.5mlのCDCl3(重クロロホルム)で希釈し、プロトンNMRで測定したところ、収率87%でN−ベンジルフタルイミド(27mg)が生成したことが認められた。生成物の収率は、生成イミド化合物のベンジル位のNMRシグナル(4.85ppm;シングレット)の積分値から算出した。
【0012】
実施例2(N−ベンジルベンズアミドの製造)
パイレックス製NMR管に、安息香酸66mg(0.54ミリモル)、ベンジルアミン17μl(0.16ミリモル)、イミダゾール10mg(0.15ミリモル)を入れ、o−ジクロロベンゼンで湿らせた。この混合物に電子レンジ(500W)で3分間マイクロ波を照射した。室温で数分間冷却し、混合物を0.5mlの重クロロホルムで希釈し、プロトンNMRで測定したところ、N−ベンジルベンズアミドが収率80%(約27mg)得られたことが認められた。収率は生成アミド化合物のベンジル位のNMRシグナル(4.60ppm;ダブレット、J=6Hz)の積分値から算出した。
【0013】
実施例3(N−p−n−ブチルフェニルケンプ酸イミドの製造)
径12mm、長さ120mmのパイレックス製試験管に、ケンプ酸416mg(1.16ミリモル)、p−n−ブチルアニリン254mg(1.70ミリモル)、及びイミダゾール211mg(3.10ミリモル)を加え、ジメチルホルムアミド5滴で湿らせた。この混合物に電子レンジ(500W)中で4分間マイクロ波を照射した。室温で数分間冷却後、反応混合物を20mlのクロロホルムで希釈し、1Nの塩酸水溶液で3回洗浄し、過剰及び未反応なアミンを取り除いた。ベンゼンから再結晶することにより、目的化合物の無色透明な結晶が453.7mg得られた(収率75.8%)。融点223−225℃。
IR;1734,1703,1181cm−1.
1HNMR(CDCl3 )7.14(d,J=8.5Hz,2H),6.93(d,J=8.0Hz,2H),2.80(d,J=13.7Hz,2H),2.58(t,J=7.7Hz,2H),2.10(d,J=13.3Hz,1H),1.56(q,J=7.5Hz,2H),1.46(d,J=13.4Hz,1H),1.35(q,J=7.7Hz,2H),1.32(s,6H),1.31(s,3H),1.25(d,J=14.5Hz,2H),0.91(t,J=7.3Hz,3H)ppm.13CNMR(CDCl3 )179.0,176.5,142.7,133.0,128.9,127.6,44.1,43.9,41.8,35.3,33.4,31.3,26.0,22.4,14.0ppm.
元素分析:C22H29NO4
理論値 :C71.13,H7.87,N3.77%;
実測値 :71.33,H7.93,N3.79%.
【0014】
比較例1(N−p−n−ブチルフェニルケンプ酸イミドの製造)
テトラヒドロフラン15ml中に、ケンプ酸無水物酸クロリド 1.035gを懸濁させたのち、これにp−n−ブチルアニリン 0.6141gとトリエチルアミン 0.4452g及び触媒量の4−ジメチルアミノピリジンのテトラヒドロフラン 10ml溶液を加え、約40℃で一晩かきまぜた。次いで、生じたトリエチルアミンの塩酸塩をろ別後、テトラヒドロフランで洗浄し、洗浄液と反応液とを合わせて濃縮したのち、シリカゲルを充てんしたカラムによって生成物を分離精製した(酢酸エチル/ヘキサン重量比2/3混合液使用)。
得られた生成物を、さらにベンゼンから再結晶することにより、N−p−n−ブチルフェニルケンプ酸イミド 1.2997g(収率87%)が得られた。
【0015】
実施例4(N−ベンジルベンズアミドの製造)
12×120mmパイレックス製試験管に、安息香酸64mg(0.52ミリモル)、ベンジルアミン18ml(0.17ミリモル)、イミダゾール11mg(0.17ミリモル)を入れた。この混合物を電子レンジの低出力200Wで5分間照射した。数分間室温で冷却した後、反応混合物を0.75mlの重クロロホルムで希釈し、プロトンNMR測定のためNMR試験管に移す。NMRスペクトルの解析の結果、単一生成物としてN−ベンジルベンズアミドが74%の収率で得られた。生成物の収率はアミドのベンジル位のNMRシグナル(4.60ppm;ダブレット,J=6Hz)の積分値から算出した。
【0016】
実施例5(N−ベンジルフタル酸イミドの製造)
12×120mmパイレックス製試験管に、フタル酸28mg(0.17ミリモル)、ベンジルアミン18ml(0.17ミリモル)、イミダゾール11mg(0.17ミリモル)を入れた。この混合物を電子レンジの低出力200Wで5分間照射した。数分間室温で冷却した後、反応混合物を0.75mlの重クロロホルムで希釈し、プロトンNMR測定のためNMR試験管に移す。NMRスペクトルの解析の結果、N−ベンジルフタル酸イミドが92%の収率で得られ、フタル酸モノN−ベンジルアミドが6%の収率で得られた。生成物の収率はイミドのベンジル位のNMRシグナル(4.84ppm;シングレット)の積分値から算出した。
【0017】
実施例8(ケンプ酸のcis−trans異性体のp−n−ブチルフェニルイミドの製造)
cis−trans−1,3,5−トリメチルシクロヘキサントリカルボン酸416mg(1.61ミリモル)、p−n−ブチルアニリン254mg(1.70ミリモル)、イミダゾール211mg(3.10ミリモル)をDMF5滴で湿らせて反応させた。薄茶色の固体をベンゼンに溶解し、活性炭処理した後、ろ別し冷却することにより目的化合物の無色の針状結晶が得られた。収量:296mg、収率:51.5%。融点:175−177。
IR;1732,1698,1181cm−1.
1HNMR(CDCl3 )7.25(d,J=8.2Hz,2H),6.97(d,J=8.5Hz,2H),2.63(t,J=7.7Hz,2H),2.17(d,J=14.5Hz,1H),2.10(d,J=15.1Hz,2H),1.91(d,J=14.3Hz,2H),1.60(q,J=7.7Hz,2H),1.50(d,J=13.7Hz,1H),1.43(s,3H),1.36(s,6H),1.34(q,J=7.4Hz,2H),0.92(t,J=7.4Hz,3H)ppm.13CNMR(CDCl3 )177.7,143.3,132.7,129.2,127.5,43.2,42.7,40.0,35.4,33.4,26.8,24.6,22.4,14.0ppm,
元素分析:C22H29NO4
理論値 :C71.13,H7.87,N3.77%;
実測値 :C71.26,H8.21,N3.91%.
【0018】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、反応系に特別の水分離器、凝縮器、加熱装置などを設置することを不要とし、あるいはそれらの設置を簡略化することができ、しかも、脱水縮合反応の反応速度を高め、短時間で酸アミド又は酸イミド化合物を製造することができる。
Claims (3)
- 有機カルボン酸とアミン類との脱水縮合反応を、イミダゾール,トリエチルアミン,N−メチルイミダゾール、p−ジメチルアミノピリジン、N−メチルモルホリンから選ばれる有機塩基性物質の存在下に行い、カルボン酸アミド又はカルボン酸イミド化合物を製造することを特徴とするカルボン酸アミド又はカルボン酸イミド化合物の製造方法。
- 有機カルボン酸とアミン類との脱水縮合反応をマイクロ波加熱下に行うことを特徴とする請求項1記載のカルボン酸アミド又はカルボン酸イミド化合物の製造方法。
- 有機カルボン酸とアミン類との脱水縮合反応を溶剤の存在下に行うことを特徴とする請求項1又は2記載のカルボン酸アミド又はカルボン酸イミド化合物の製造方法。
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