JP3586673B2 - 大島紬とその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、経絣糸の絣合わせをしない、経絣はいわゆる「散らし織り」と呼ばれ、力織機で製織される大島紬とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、大島紬の絣糸は淡糊付けのあと糸繰、整経の後、イギス糊で堅糊付けし、天日乾燥して糊張りしたものを締機で締絣加工をして絣莚とし、この絣莚を染色した後、絣莚を解き、揚枠に取り水洗いしてから、経絣糸は整経後、手織りの場合、板に巻き取られ、緯絣糸は管巻きされていた。
【0003】
経絣糸と経地糸を織機にかける場合、経絣糸は糊張り工程で張力を与えたまま天日乾燥されており、絣模様を正確に織り出すため一定の張力がかかっている。そこで、糊張り工程がない経地糸と伸びや弾力等物性が異なるため、経絣糸と経地糸を同時に力織機のワープビームに巻取ると、経絣糸にのみ強い張力が加わり、経絣糸が手羽だったり、割れたり、切れたりして一疋織り上げることができなくなっていた。
【0004】
そこで、手織機にあっては、経地糸は千切に巻取るが、経絣糸は経地糸とは別の板に巻いて経絣糸に加わる張力を調節できるようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
経絣糸の入った大島紬を力織機で織る場合、経絣糸と経地糸を同時に力織機のワープビーム巻き取って順調に製織できることが望ましい。そのためには、経絣糸と経地糸にかかる張力の差がなくなるようにすることが必要である。本発明は経絣糸と経地糸にかかる張力の差をなくし、経絣糸と経地糸を力織機のワープビームに同時に巻取ることができるようにし、順調に力織機で製織できるようにするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は次の手段を提供することとする。
請求項1において、経絣糸を堅糊付けした後、張力を全く与えないで天日乾燥して糊張りし、締機で締加工したものを、経地糸と同時に力織機のワープビームに巻き取って製織されていることを特徴とする大島紬である。
【0007】
従来の技術では、経絣糸を堅糊付けした後、適当な張力を与えて天日乾燥して糊張りしていた。これは経絣糸と緯絣糸の絣模様が正しく交叉するよう、一本一本の糸に対して均一に張力がかかるようにするためである。ところが本発明は絣合わせをしない、いわゆる「散らし織り」であるため、経絣糸の糊張り工程では地糸と同じように張力を全く与えないで天日乾燥をすることとし、その結果、経絣糸と経地糸の張力の差はなくなり、経絣糸と経地糸を同時に力織機のワープビームに巻き取っても製織に支障が生じることはない。
【0008】
請求項2において、絣糸と地糸が特定の模様を形成していない無地の状態となっていることを特徴とする請求項1記載の大島紬を提供する。
本発明において、経絣糸と緯絣糸の絣合わせをしないため、経絣糸と緯絣糸とで規則的に模様が織り出されることはない。例えば、細かい点絣が不規則に分散した状態を作ると、細かくみるとひとつひとつの絣模様が存在するともみられるが、全体としてみると無地といえる状態になる。
【0009】
柄糸に経絣糸が含まれている場合、この経絣糸は堅糊付けした後、張力を全く与えないで天日乾燥して糊張りされ、締機で締加工し、経地糸と同時に力織機のワープビームに巻取り製織されて、柄糸が縞状に織り込まれている状態になる。
柄以外の部分に経絣糸が入っているときも、上記の柄に含まれる経絣糸と同様の加工がなされている。
【0010】
経絣糸は柄の部分と柄以外の部分に含まれる場合とがあるが、いずれも堅糊付けした後、張力を全く与えないで天日乾燥して糊張りされ、締機で締加工後、経地糸と同時に力織機のワープビームに巻取り製織されて、柄糸が格子状に織り込まれている状態になる。
【0011】
請求項3において、経絣糸を堅糊付けした後、張力を全く与えないで天日乾燥して糊張りし、締機で締加工したものを、経地糸と同時に力織機のワープビームに巻き取って製織することを特徴とする大島紬の製造方法である。本発明は絣合わせをしない、いわゆる「散らし織り」であるため、経絣糸の糊張り工程では地糸と同じように張力を全く与えないで天日乾燥することとし、その結果、経絣糸と経地糸の張力の差はなくなり、経絣糸と経地糸を同時に力織機のワープビームに巻き取っても製織に支障が生じることはない。
【0012】
請求項4において、絣糸と地糸が特定の模様を形成しないようにし、無地の状態となるよう製織することを特徴とする請求項3記載の大島紬の製造方法を提供する。この場合、細かい点絣が不規則に分散した状態を作ると、細かくみるとひとつひとつの絣模様が存在するともみられるが、全体としてみると無地といえる状態になる。
【0013】
請求項5において、柄糸を縞状に織り込むことを特徴とする請求項3記載の大島紬の製造方法を提供する。柄糸に経絣糸が含まれている場合、この経絣糸は堅糊付けした後、張力を全く与えないで天日乾燥して糊張りし、次に締機で締加工し、経地糸と同時に力織機のワープビームに巻取り製織する。
柄以外の部分に経絣糸が入っているときも、上記の柄に含まれる経絣糸と同様の加工をする。
【0014】
請求項6において、柄糸を格子状に織り込むことを特徴とする請求項3記載の大島紬の製造方法を提供する。このとき、経絣糸は柄の部分と柄以外の部分に含まれる場合があるが、いずれも堅糊付けした後、張力を全く与えないで天日乾燥して糊張りし、締機で締加工後、経地糸と同時に力織機のワープビームに巻き取って製織する。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る大島紬の製造方法を示すフローチャートである。まず、絣図案を作製し、この図案に基づいて織物設計をし、必要な絹糸を調達する。原料絹糸は経地糸、経絣糸、緯地糸及び緯絣糸の4種に分けられ、それぞれ異なった処理が施される。
【0016】
経地糸は綛の状態で染色され、淡糊による糊付け後、糸繰により枠に巻き取られた後、整経機にかけてから、経絣糸と同時に力織機のワープビームに巻き取られる。
【0017】
緯地糸は綛の状態で染色された後、管巻が行われる。
【0018】
経絣糸は、綛の状態で淡糊付けが行われ、糸繰りにより枠に巻き取られた後、整経されてからイギス糊で堅く糊付けしてから長く伸ばして天日乾燥する堅糊張工程にかけられるが、この時糸に全く張力がかからないようにする。
【0019】
ここで、従来の堅糊張りの状態を図2で、本発明における堅糊張りの状態を図3で示した。
図2において二本の鉄柱2、2の間に長く伸ばした堅糊付けをした経絣糸1は、二点鎖線(仮想線)で図示するような状態から天日乾燥すると、収縮し1´の状態となり適当な張力がかけられている。鉄柱2、2の間隔は通常経絣糸は26m前後である。
図3で本発明における堅糊張りの状態を示した。堅糊付けした経絣糸1は図示の如く地面3に接し、乾燥収縮しても同じ状態を保つため、経絣糸には全く張力がかかっていない。本発明における経絣糸は経地糸と伸びや弾性等の物性に差がないため、同時に経絣糸と経地糸を力織機のワープビームに巻き取っても製織に支障は生じない。しかし、経絣糸に一定の張力がかかっていないことから正確な絣合わせはできないので、いわゆる「散らし織り」となる。
【0020】
堅糊張りをした経絣糸は、次に締機で締加工を行う。絣締加工は締機において、綿糸を経糸にし、経絣糸に用いる絹糸はこの綿糸の間に打ち込んで、綿糸が経糸で、絹糸が緯糸の状態の絣莚を製作する。
【0021】
絣莚は泥染め又は化学染料により染色が行われる。ここで綿糸で締められた部分が防染されるため絣染色がなされることとなる。
【0022】
染色が終わった絣筵は綿糸を破って捨てる絣筵解きを行い、経絣糸を取り出す。取り出された経絣糸は揚枠に巻き取られ綛の状態にして水洗い後仕上げ糊付けをし、糸繰りをしてから図案に基づいて経絣糸と経地糸の枠を配列し整経機にかけて整経し、ワープビームに経絣糸と経地糸を同時に巻取る。
【0023】
次に緯絣糸は、淡糊付けの後、糸繰り、整経後、堅糊張りは従来の技術と同じ適当な張力を与えたまま天日乾燥する糊張り工程を行い、絣締加工、染色、絣筵解きの後、揚枠に取り、水洗い、乾燥後、管巻きされ杼に収められて製織の準備が完了する。
【0024】
【実施例1】
本発明において、請求項2に示す無地の大島紬を製造する場合、張力を全く与えないで経絣糸は堅糊張りをし、緯絣糸は従来技術と同様、一定の張力を与えて堅糊張りをしてよい。経絣糸は点絣とし緯絣糸とは絣合わせをしないため、いわゆる「散らし織り」となる。点絣が織物の表面に不規則に点在し、全体としてみると無地といえる状態になる。
【0025】
【実施例2】
縞柄の大島紬のうち縦縞の場合、縞柄の部分にのみ散らし織りで経絣糸を入れる場合と、柄以外の部分にも散らし織りで色違いの経絣糸を入れることもできる。
【0026】
【実施例3】
格子柄の場合、経絣糸は縞柄の部分に入っている場合と、縞柄以外の部分にも色違いで経絣糸が入っている場合がある。格子柄の場合、経絣糸は散らし織りで入っている。
【0027】
【発明の効果】
大島紬の特徴である絣締加工等をして泥大島や白大島、色大島などの無地、縞、格子柄が力織機で効率的に製織可能となり、大島紬の多様性に寄与できる。
さらに、風合いも良好でファッション性の良い無地、縞、格子柄の大島紬を安価で若い人たちに提供できる期待が大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の大島紬の製造工程を示すフローチャートである。
【図2】従来の堅糊張りの状態を示す説明図である。
【図3】本発明に係る堅糊張りの状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1,1´ 経絣糸
2 鉄柱
3 地面
Claims (6)
- 経絣糸を堅糊付けした後、張力を全く与えないで天日乾燥して糊張りし、締機で締加工したものを、経地糸と同時に力織機のワープビームに巻き取って製織されていることを特徴とする大島紬。
- 絣糸と地糸が特定の模様を形成していない無地の状態となっていることを特徴とする請求項1記載の大島紬。
- 経絣糸を堅糊付けした後、張力を全く与えないで天日乾燥して糊張りし、締機で締加工したものを、経地糸と同時に力織機のワープビームに巻き取って製織することを特徴とする大島紬の製造方法。
- 絣糸と地糸が特定の模様を形成しないようにし、無地の状態となるよう製織することを特徴とする請求項3記載の大島紬の製造方法。
- 柄糸を縞状に織り込むことを特徴とする請求項3記載の大島紬の製造方法。
- 柄糸を格子状に織り込むことを特徴とする請求項3記載の大島紬の製造方法。
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