JP2015092030A - 図案の製織方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の絣織では鮮明な線を織り出すことができず、綴織では通常の無地の場合や絣織よりも緯糸を多く使うため、織るのに長時間を要する。【解決手段】図案構想の段階で、織り出す一つの模様の中で、はつり織と絣織のそれぞれの技法で表す部分を決めた後、織機に経糸を張り、はつり織だけを使用して図案通りに織り上げた布に、絣織にしたい部分に印を付け、当該部分をほぐし技法で緯糸を解いて絣糸の種糸を作製し、当該種糸から複数の絣糸を作製し、次いで種糸を作製したときと同じように経糸を張り直し、得られた絣糸を用いて再度はつり織の技法によって図案の通りに織り上げることにより、はつり織の線部分と絣織の線部分とを一つの図案の中で同時に織り出すことを特徴とする図案の製織方法、並びにその製織方法により得られる図案。【選択図】図1
Description
本発明は、はつり織と絣織を組み合せた技法による図案の製織方法に関する。
絣織には経糸に絣技法を用いた経絣と緯糸に絣技法を用いた緯絣があり、その2つの技法を用いた経緯絣がある。また、綴織にははつり織とぼかし織という2つの技法がある。(例えば、非特許文献1〜非特許文献4参照。)
図4は緯絣のほぐしという技法を用いて織った丸模様を表している。通常の緯絣では、1本の緯糸で織ったときに模様になるように染め分けてあり、布の両端(織り幅)で織り返されながら織り進んでいく。織られた丸模様の輪廓(3)はかすれたようになり鮮明には表れない。
図5は、図4に表された丸模様を緯絣で織った場合を簡略化して図解したものである。このときのほぐし技法での緯絣の作り方は次のような手順で行われる。
経糸(4)をしっかりと張り、織り返し部分(7)まで緯糸を織り込んでいく。そして次の段では反対の織り返し部分(8)まで緯糸を織り込む。そのようにして織り上がった布に絣にしたい図案を描き、その後、緯糸を解く。図5では破線(5)で表された円の模様を絣で織るために、緯糸(6)に印が付くように描いていく。解いた糸の印が付いている部分が図案部分になる。この解いた糸と同じ太さ、同じ長さの糸を数本の束にする。解いた糸を種糸にして、束になった糸に照らし合わせながら同じ場所に印を付けて行く。そして、図案部分を染めたい場合は印を付けた場所以外を、また反対に図案部分以外を染めたい場合は印を付けた場所をゴム紐や水を通さない紐できつくぐるぐると括り付けて行く。染める部分以外を全て覆い尽くした後、そのまま染液に付けて糸を染める。染め終わった後、糸を覆っていた紐を解く。解いた部分には染液が入らずに素の糸の色が残っている。
経糸(4)をしっかりと張り、織り返し部分(7)まで緯糸を織り込んでいく。そして次の段では反対の織り返し部分(8)まで緯糸を織り込む。そのようにして織り上がった布に絣にしたい図案を描き、その後、緯糸を解く。図5では破線(5)で表された円の模様を絣で織るために、緯糸(6)に印が付くように描いていく。解いた糸の印が付いている部分が図案部分になる。この解いた糸と同じ太さ、同じ長さの糸を数本の束にする。解いた糸を種糸にして、束になった糸に照らし合わせながら同じ場所に印を付けて行く。そして、図案部分を染めたい場合は印を付けた場所以外を、また反対に図案部分以外を染めたい場合は印を付けた場所をゴム紐や水を通さない紐できつくぐるぐると括り付けて行く。染める部分以外を全て覆い尽くした後、そのまま染液に付けて糸を染める。染め終わった後、糸を覆っていた紐を解く。解いた部分には染液が入らずに素の糸の色が残っている。
上記の方法で得られる絣は、絣糸1本分で1つの丸模様が織れる。束にした糸の1本1本がそれぞれ絣糸になる。同じ模様の絣糸を同時に作れることから、くり返し同じ模様を織る場合は綴織よりも効率良く織り上げることができる。
図6に表される模様は、綴織の技法の一種のはつり織という技法で織られている。緯絣とは違い、色によって別々の糸が使われている。絣織では経糸、緯糸それぞれの色を用いて模様を表すことができるが、はつり織では緯糸の色の違いでのみ模様を表すことになる。はつり織により輪郭(9)が現れる。
図7は、はつり織の構造を簡略化して図解したものである。緯糸は図5の(7),(8)のように織り幅いっぱいに通されて織られるのではなく、それぞれの色の糸(10),(11)が経糸と経糸の間を境に織り返される。緯糸と緯糸の境になった部分に開く小さな穴のことをはつり目(12)という。このはつり目があるために糸と糸の境がはっきりし、模様の輪郭線となる部分がはっきりと出る。はつり目となった穴が大きくなると布自体の断裂などの問題にもなるので、普段ははつり目が目立たないように織る。図6では色と色の違う部分がはつり織によって織り返された位置(9)になり、はつり目ができる部分になる。
絣織と同じような線の表し方ができる綴織の技法にぼかし織がある。1本の色糸の撚り目を戻して半分の太さに割く。そして混ぜたい2色の糸同士の半分ずつを撚り合わせて1本の糸に戻す。こうしてできあがった糸を杢糸と言い、この杢糸で織ることによって混ぜ合わせた2色の色がぼやけて見えるため、色と色の境となる線が解りにくくなる。
「ハンドウィービング 手織りの実習」文化出版局、浜野義子・田中佳子・太作星乃・田中通子共著、1984年9月16日第1版第1刷発行、89〜93頁及び149〜158頁
「ウィーヴィング・ノート 織物の組織・織りの計画・織りと道具」株式会社美術出版、岸田幸吉著、1978年10月20日第1刷発行、88頁
「手織り 織りの基本技術 その発想と展開」創元社、藤岡惠子・佐久間美智子共著、1980年11月20日第1版第1刷発行、102〜111頁
「手織の技法」理工学社、居宿昌義著、1974年8月20日第1版発行、4・7〜4・22頁
絣織だけでは、はっきりとした線を織り出すことができない。また、綴織では無地の場合や絣織よりも緯糸を多く使うため、織るのに長時間を要する。ぼかし織を用いれば綴織の線の中に強弱を表すことはできるが、杢糸を用いた分、緯糸の本数も多くなり、織るのに長時間掛かることになる。
本発明は、従来の絣織では表すことのできなかったはっきりとした線を引き出すために、絣織部分とはつり織部分の表現の違いを同時に利用することによって両部分の境界線を活かすことを目的とする。
さらに、絣織を用いることにより緯糸の本数を減らし、同じ図案を繰り返し織り出す場合に織る時間を短縮させ、作業の効率化を向上させることを目的とする。
本発明は、図案構想の段階で、織り出す一つの模様の中で、はつり織と絣織のそれぞれの技法で表す部分を決めた後、織機に経糸を張り、はつり織だけを使用して図案通りに織り上げた布に、絣織にしたい部分に印を付け、当該部分をほぐし技法で緯糸を解いて絣糸の種糸を作製し、当該種糸から複数の絣糸を作製し、次いで種糸を作製したときと同じように経糸を張り直し、得られた絣糸を用いて再度はつり織の技法によって図案の通りに織り上げることにより、はつり織の線部分と絣織の線部分とを一つの図案の中で同時に織り出すことを特徴とする図案の製織方法を提供することにより、上記の目的を達成する。
また、本発明は、上記の製織方法により得られる図案を提供することにより、上記の課題を解決する。
本発明において、織り出す一つの模様の中で、ほぐし技法によって作られた絣糸を用いてはつり織で図案の通りに織り上げる。これにより、はつり織によって表れる糸と糸の境界線と、絣模様となる色と色の境界線の表れ方が違うことから、両技法の特色を活かしながら図案を鮮明に織り上げることができる。
本発明により、はつり織によって表れる糸と糸の境界線と、絣模様となる色と色の境界線の表れ方が違うことを活かして、鮮明な図案を織り上げることができ、また図案の中での織表現の幅を広げることができる。
本発明により、綴織のみで織る場合よりも使用する緯糸の本数を減らすことができ、一つの図案の模様を織るまでの時間の短縮することができる。また、同じ図案を繰り返し織り出す場合、綴織のみで繰り返し織る場合よりも織る時間を短縮させ、作業の効率化を向上させることができる。
以下、本発明の実施形態を図1〜図3に基づいて説明する。
図1は、はつり絣織で金魚の図案を織った織布を表している。図2は、図1に表された図案のはつり織部分を分かり易く示している。図3は、図1に表された図案の絣織により色が染め分けられた部分を分かり易く示している。これらの図において、上下が経糸方向、左右が緯糸方向を示している。
まず、図2に示される輪郭線(1)で織り返されるようにはつり織で織る。この状態では、輪廓は糸の違いなどで判別できるが、金魚自体は無地の状態である。織り上がった布に絣模様となる金魚の錦模様を青花などで描く。図3の破線で囲まれた部分(2)が絣織により染め分けられた部分となる。その後、ほぐし技法で緯糸を解く。そして絣模様の印を描いた部分の緯糸を緯絣の種糸にして絣糸を作製する。出来上がった絣糸を用いて、最初に織ったときと同じようにはつり織で織る。可能な限り、絣模様が図案と同じに揃うように織る。絣糸自体をはつり織で織り返していくことにより、絣模様によりぼやけて見える部分と、はつり織によりはっきりと表れる線を同時に織ることができる。
1 輪郭線(はつり織により緯糸が織り返される位置)
2 絣織により染め分けられた部分(破線で囲まれた部分)
3 丸模様の輪廓
4 経糸
5 絣模様の図案となる部分を囲む破線
6 絣模様となる緯糸
7 織り返し部分
8 織り返し部分
9 はつり織により現れる輪廓
10 はつり織に用いる緯糸
11 はつり織に用いる緯糸
12 はつり目
2 絣織により染め分けられた部分(破線で囲まれた部分)
3 丸模様の輪廓
4 経糸
5 絣模様の図案となる部分を囲む破線
6 絣模様となる緯糸
7 織り返し部分
8 織り返し部分
9 はつり織により現れる輪廓
10 はつり織に用いる緯糸
11 はつり織に用いる緯糸
12 はつり目
Claims (2)
- 図案構想の段階で、織り出す一つの模様の中で、はつり織と絣織のそれぞれの技法で表す部分を決めた後、織機に経糸を張り、はつり織だけを使用して図案通りに織り上げた布に、絣織にしたい部分に印を付け、当該部分をほぐし技法で緯糸を解いて絣糸の種糸を作製し、当該種糸から複数の絣糸を作製し、次いで種糸を作製したときと同じように経糸を張り直し、得られた絣糸を用いて再度はつり織の技法によって図案の通りに織り上げることにより、はつり織の線部分と絣織の線部分とを一つの図案の中で同時に織り出すことを特徴とする図案の製織方法。
- 請求項1に記載された製織方法により得られる図案。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013231646A JP2015092030A (ja) | 2013-11-08 | 2013-11-08 | 図案の製織方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013231646A JP2015092030A (ja) | 2013-11-08 | 2013-11-08 | 図案の製織方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015092030A true JP2015092030A (ja) | 2015-05-14 |
Family
ID=53195310
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2013231646A Pending JP2015092030A (ja) | 2013-11-08 | 2013-11-08 | 図案の製織方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2015092030A (ja) |
-
2013
- 2013-11-08 JP JP2013231646A patent/JP2015092030A/ja active Pending
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