JP3586566B2 - 高純度ポリ硫酸第2鉄を効率的に製造する方法 - Google Patents

高純度ポリ硫酸第2鉄を効率的に製造する方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸化剤に酸素ではなく過酸化水素を使用してポリ硫酸第2鉄溶液を効率的に製造する方法に関する。より具体的には、酸化剤として過酸化水素を使用することにより、処理済み廃液中に残留して富栄養化の原因物質となる窒素分及び沈殿物形成の原因物質といわれているナトリウムが含有することのない高純度ポリ硫酸第2鉄溶液を効率的に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリ硫酸第2鉄の製造方法については、既に多くの特許が提案されており、それにはプロセスに関するもの、装置に関するものあるいは鉄原料を廃棄物の活用に求めたことによる工夫に関するもの等各種のものがあり、それらには特公昭51−17516号、特公平2−22012号、特公平5−13094号、特公平5−13095号、特公平5−53730号、特開平2−191541号、特開平6−47205号、特開平7−275609号、特開平7−241404号、特開平8−59245号、特開平8−48526号、特開平8−48527号及び特開平8−253327号などがある。
【0003】
それらの中には、本願発明と同様に過酸化水素を酸化剤として使用することを開示しているものもあり、それらを列挙すると、特公昭51−17516号公報、特公平2−22012号、特公平−13095号公報、特開平8−48527公報、特開平8−25326号公報及び特開平8−25327号公報等がある。そして、これらの特許公報には確かに過酸化水素を酸化剤として利用することの記載は存在するが、実施例等の具体性のある記載はなく観念的なものに過ぎない。
【0004】
事実過酸化水素は高価であり、これを使用してポリ硫酸第2鉄を製造することは実用性に欠けるものと誰もが考えており、これを酸化剤と使用する実用化技術の開発を検討した様子はこれまでにはなく、その結果それを窺わせるような特許出願等の技術上の提案も見当たらない。また本発明者の所属する企業は、ポリ硫酸第2鉄を長年社会に提供し、かつこれを開発した先駆者として多くの研究を手掛けており、そのことを熟知している。
【0005】
そして、ポリ硫酸第2鉄には、それで処理した廃液中に富栄養化の原因となる窒素分が存在することから、窒素分の残留しないポリ硫酸第2鉄の実用化技術の開発の必要性を理解し、その研究も行っている。またポリ硫酸第2鉄はナトリウムが存在すると塩基度が上昇するにしたがいナトリウムジャルサイトが形成され沈殿が発生し易くなり、これが一旦形成されると溶解が困難であり、ポリ硫酸第2鉄を貯蔵するタンク周辺機器であるホースあるいはポンプ等の閉塞の原因となることから、触媒の亜硝酸ソーダの使用を必要としない、より実用的な酸化技術の出現が期待されていた。
【0006】
そのような過程の中で、本発明者らは製造されたポリ硫酸第2鉄中における窒素分の存在は、酸素を酸化剤とした際に使用する触媒の亜硝酸ソーダの残留に起因することも既に知見している。そのようなことで亜硝酸ソーダの使用を必要としない過酸化水素による酸化を詳細に検討し実用化の可能性の調査に着手した。その結果過酸化水素の価格は以前に比較すると大分低下していること及び濃度も高濃度のものが比較的低価格で市販されていることが判明し、酸化効率を85%以上にできたら窒素分が残留しないというメリットも加味すると実用化の可能性があるのではという感触を得た。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
以上の認識に基づいて、酸化効率85%以上が達成できる可能性があるかどうかを色々と条件を変えて試みることにした。ところで、過酸化水素による鉄の酸化については、フェントン反応といわれる酸化と還元を繰り返す反応がおこり、その結果酸化効率は60%以上にすることは不可能であると一般的に考えられており、この試みはそのような中で行うものであった。すなわち、鉄と過酸化水素が共存すると酸化と還元を繰り返す反応がおこり、この両者が共存する試薬は強力な酸化剤としてフェントン試薬という名称で知られており、酸化効率を85%以上にすることは到底不可能であると一般的には考えられていた。
【0008】
このような中で本発明者は、フェントン反応で繰り返される酸化反応と還元反応のそれぞれの反応時間が前者が2秒程度でのあるのに対し後者が30秒以上要することに気づき、この大きな差に着目し、これを利用することにより問題解決が図れないかと考え色々な条件を選定して酸化反応を試み、その結果本発明を完成したものである。すなわち、本発明は、鉄濃度、pH、添加速度及び温度等を選択することにより不可能であると考えられていた酸化効率85%以上を達成することができることを見出し完成したものである。
【0009】
したがって、本発明は富栄養化の原因となる窒素分及び沈殿物形成の原因となるナトリウムを残留させないポリ硫酸第2鉄を製造する技術を提供することを解決課題とするものであり、かつその際には第1鉄を過酸化水素で高酸化効率で酸化して実用性のある製造技術を提供することをも同様に解決課題とするものである。すなわち、本発明は富栄養化の原因となる窒素分及び沈殿物形成の原因となるナトリウム不存在のポリ硫酸第2鉄の製造を、過酸化水素で高酸化効率で行い実用的な製造技術を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明が、前記目的を達成するために採用した窒素分及びナトリウムの存在しない高純度ポリ硫酸第2鉄溶液を製造する方法は、1l中に2.0〜4.5モルの2価鉄を含有し、かつ全硫酸根(T−SO)と全鉄(T−Fe)とのモル比が1.0<(T−SO/T−Fe)<1.5になるように硫酸第1鉄を含んだ硫酸溶液に、pHが0.5〜1.0の条件下で50℃以下の温度を保つように高濃度過酸化水素を添加して鉄の酸化を行い、その添加速度を鉄全量のモル数の1/180〜1/300モル/minに制御することを特徴とするものである。
【0011】
前記したところを含めて、本発明の全ての手段について記述すると以下のとおりである。
1)1l中に2.0〜4.5モルの2価鉄を含有し、かつ全硫酸根(T−SO)と全鉄(T−Fe)とのモル比が1.0<(T−SO/T−Fe)<1.5になるように硫酸第1鉄を含んだ硫酸溶液に、pHが0.5〜1.0の条件下で50℃以下の温度を保って高濃度過酸化水素を添加して鉄の酸化反応を行い、その添加速度を鉄全量のモル数の1/180〜1/300モル/minに制御することを特徴とする、窒素分及びナトリウム不存在の高純度ポリ硫酸第2鉄溶液を効率的に製造する方法。
【0012】
2)酸化反応に、上部に気体空間を有しかつ該空間に連通する気体吸引管を備えるエジェクターを具備する密閉型反応装置を使用する前記1記載の高純度ポリ硫酸第2鉄を効率的に製造する方法。
3)密閉型反応装置に、ジャケットを備え、これに冷却水を供給して水冷するようにした前記2記載の高純度ポリ硫酸第2鉄を効率的に製造する方法。
4)密閉型反応装置内の上部に存在する硫酸第1鉄を含んだ硫酸溶液をエジェクターに供給して該装置の下部に循環する前記2又は3記載の高純度ポリ硫酸第2鉄を効率的に製造する方法。
5)密閉型反応装置の気体空間の容積を全容積の20〜40%とする前記2、3又は4記載の高純度ポリ硫酸第2鉄を効率的に製造する方法。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明で製造されるポリ硫酸第2鉄は、下記の式(1)で表される液状の物質である。
(式1)
[Fe(OH)(SO3−n/2 (但しn<2、m>10である。)
この物質は、通常硫酸第1鉄、硫酸、水及び酸素とを原料として調製した硫酸第1鉄含有硫酸酸性溶液中の第1鉄イオンの全てを第2鉄イオンに酸化することによって製造されるものである。
【0014】
そして、本発明では、全硫酸根(T−SO)と全鉄(T−Fe)とのモル比を1.0<(T−SO/T−Fe)<1.5としているが、これは酸化反応により酸化第1鉄を酸化してポリ硫酸鉄を形成するためには、酸化反応開始前には全部の鉄と全ての硫酸根とが所定の範囲にあることが必要であり、前記規定はそのためのものである。
【0015】
また、本発明では、酸化剤は前記したとおり過酸化水素(H)であり、酸化剤に過酸化水素を使用することが本発明の1の特徴となっている。以上のとおりではあるものの、これを含めて特許請求の範囲、特に請求項1に記載されている事項を全て備えることにより、本発明は酸化効率85%以上で、窒素分もナトリウムも存在しないポリ硫酸第2鉄を製造するという初期の目的を達成できるものである。したがって、過酸化水素以外の特許請求の範囲に記載の事項も欠かすことのできない大事な、かつ必要不可欠な事項であることを以後の説明に入る前にあらためて強調しておく。
【0016】
本発明で使用する過酸化水素は高濃度過酸化水素であり、それは市販の35%あるいは60%のものが好ましく使用できるが、濃度30%以上である限り、水で希釈したものであってもよい。この高濃度過酸化水素の硫酸溶液への添加速度を一定の範囲に制御することが高効率での酸化に重要なことであり、そのために添加速度は鉄全量のモル数の1/180〜1/300モル/minになるように制御する。
【0017】
より詳細に言及すると、高濃度過酸化水素を反応装置に添加する際には、該装置中に存在する鉄総量のモル数、すなわち鉄全量の総モル数を把握し、その総モル数に対して、1分当たり1/180〜1/300モル、すなわち1/180〜1/300モル/minになるように制御して添加することである。そして、この添加速度については好ましくは1/240〜1/300モル/minにするのがよい。
【0018】
本発明では、2価鉄濃度、pH、温度あるいは過酸化水素の添加速度等を限定しているが、それらについて以下で個別に言及する。
まず2価鉄の濃度についてみるに、それは1l中に2.0〜4.5モルとするものであるが、2.0モル/l以下とした場合には、製造されたポリ硫酸第2鉄の濃度が低く使用時の添加量が多くなるため、ポンプ能力の大きなものが必要となり、また運送量及び運送代の増大を招き経済性に欠けるためである。
【0019】
逆に4.5モル/l以下としたのは4.5モルを越えるとポリ硫酸第2鉄が高濃度となり過ぎて不安定であり、20日で5〜10g/lの鉄が沈殿物となって析出することから使用時にポンプあるいは配管等を詰まらせる危険性があるからである。したがって、2価鉄濃度については好ましくは1l中に2.5〜4.0モルとするのがよい。
【0020】
図1は、原料中の2価鉄濃度が高くなると、製造したポリ硫酸第2鉄は製造後の時間が経過するにしたがい沈殿が発生することを実験によって確認したことを示すものである。すなわちこの図はポリ硫酸第2鉄の濃度変化を製造後の経過日数及び原料中の2価鉄濃度との関係で図示したものであり、原料中の2価鉄濃度が2.0、3.0及び4.0モルの場合には日数が経過しても直線は水平になっており、これらの濃度ではポリ硫酸第2鉄濃度には、目に見えて変化が生じないことが理解できる。また亜硝酸ソーダを触媒として酸素によって酸化する従来法に比較すると2価鉄濃度が高濃度になっても沈殿が発生し難いことも明らかとなる。
【0021】
そして、この図において4.5モルになると左端で線が多少左上がりとなっており、放置開始直後にわずかに濃度低下していることが理解できる。それに対して2価鉄濃度が更に増加して5モルになると、その途端に図面上の線が明確な右下がりとなり、製造後30日及び60日経過時には明確な濃度低下が生じていることが理解でき、これらのことから4.5モルを越えると沈殿を生成することが容易にわかる。したがって以上のような理由で2価鉄濃度は限定した。
【0022】
次に反応時のpHを0.5〜1.0に限定したのは、製品のポリ硫酸第2鉄のpHが0.5〜1.0だからであり、1.0を超えると塩基度が大きくなり、不安定となって塩基性塩が析出する危険性が高くなるからであり、また0.5未満では遊離酸が多くなり、ポリ硫酸第2鉄生成反応が進行し難くなり、その結果製品のポリ硫酸第2鉄の凝集効果も十分でなくなるためである。
【0023】
そして、反応温度を50℃以下にする理由は、これを越えると酸化反応が激しく起こり、反応温度のコントロールが困難となるためである。すなわち、本発明では、可能な限り強制冷却は避け自然冷却によって50℃以下にコントロールし、それによって反応装置内での局部的な温度上昇を抑制し、過酸化水素の急激な分解を回避して効率的な酸化を行い、酸化効率85%以上を達成しようとするものであるが、温度が50℃を越えると、その達成及びそのための操作が困難となるためである。
【0024】
さらに、添加速度を鉄全量のモル数の1/180〜1/300モル/minに制御する点についても同様の理由からであり、このようにコントロールすることによって、局部過熱も発生せず、ほぼ自然冷却で50℃未満に維持できることを実験により確認した。また外気温及び水温の高い夏場等の高温の季節あるいは地域においても、水冷程度の冷却で50℃未満に維持でき局部過熱が発生しないことも確認し、添加速度を上記の通りに設定したが、上限については好ましくは1/240にするのがよい。なお下限の1/300についてはこれ以上添加速度を遅くすると経済性に欠けることを配慮して前記のとおりとした。
【0025】
この設定した添加速度に関する条件について、第1鉄と過酸化水素との反応式及び反応熱からも検討してみると、その反応式及び反応熱は以下の(式1)のとおりである。
2Fe2++H→Fe3++HO+23.45kcal (式1)
この式からわかるように1l中の鉄2モルとの反応による温度上昇は23.45℃であり、原料中の鉄濃度は2〜4.5モル/lであるから、過酸化水素の添加速度が1/300モル/minの場合には約0.11〜0.33℃/minの温度上昇となる。
【0026】
その際の反応所要時間は5時間であり、原料鉄濃度を2モル/lとした場合には、自然冷却がないと仮定した場合には温度上昇は約23℃となり、4.5モル/lとした場合には同様に温度上昇は約46℃であることがわかる。また、この程度の温度上昇の範囲では、過酸化水素と第1鉄とを十分に混合し効率的に反応せしめるために設置されている撹拌機あるいは過酸化水素の分解で発生した酸素を酸化反応に利用するために設置されているエジェクター等も存在し、その撹拌混合等により自然冷却も促進されることから50℃未満に維持できることが確認できた。
【0027】
そして、添加速度を1/240モル/minとした場合は、反応所要時間が4/5の4時間に短縮され、自然冷却による放熱量が低下することから、反応熱による温度上昇は1/300モル/minの場合より大きくなり、その影響は大きくなるが、それでも特に問題とするほどのことはなく、夏場の高温の時期等の自然環境が不適切な場合に必要に応じて冷却水による冷却を実施する程度で十分に50℃以下に維持でき、局部加熱も心配するほどのことはなく、こちらについても実験によりそのことが確認できた。その冷却は図2に図示された冷却水による反応装置の外壁からの冷却あるいは反応装置に供給する含硫酸第1鉄溶液を供給する前に冷却水で冷却する程度で可能である。
【0028】
この酸化反応に使用する反応装置については、各種の反応装置が使用可能であるが、過酸化水素の分解で発生した酸素を酸化反応に利用し酸化効率を上昇せしめることができる、図2に図示するところの上部に気体空間を有し、かつ該空間に連通する吸引管を備えるエジェクターを具備する密閉型反応装置が好ましく使用できる。
【0029】
以下に、図2に図示する反応装置を使用して、本発明の製造方法を具体的に説明する。硫酸、硫酸第1鉄等を混合して形成された含硫酸第1鉄硫酸溶液が原液供給管4を経て密閉型反応装置1に供給され、所定量に到達したら、ポンプ6の運転を開始し、エジェクター3を作動させる。それとともに酸化剤供給管6から該硫酸溶液中に過酸化水素の供給を行い、同時に撹拌機7を回転して酸化反応を開始する。
【0030】
この反応装置では過酸化水素は、その供給速度を制御することにより可能な限り酸化反応に利用し高酸化効率を達成しようとするものである。しかしながら、過酸化水素が分解し、酸化反応に未利用の酸素の発生を完全に回避することは困難であり、それを有効利用するために気体空間2に到達した未反応の酸素はエジェクター3の吸引管8内に吸引されて再度反応装置1内の含硫酸第1鉄硫酸溶液中に循環される。これによって過酸化水素を更に有効利用でき酸化効率の更なる向上が期待できる。
【0031】
本発明では、鉄濃度及び過酸化水素添加速度等を限定し、酸化反応の発熱による温度上昇を基本的には自然冷却で対応できるようにしたものであるが、夏場等の自然環境が厳しい条件下にある場合のために反応装置にジャケットを具備させ、そこに冷却水を供給できる構造とし、必要に応じて強制冷却も可能なものとしている。本発明における先の強制冷却はあくまでも補助的なものであり、基本的には自然冷却で済む程度の速度で過酸化水素を供給するものである。このようにすることによって、本発明は酸化反応の局部過熱を回避して、この反応に非利用となる過酸化水素の分解を抑制することで酸化効率の向上を達成するものである。したがって、本発明では図2に記載するようなエジェクターを具備する反応装置の使用を不可欠とするものではない。
【0032】
【実施例】
(実施例1)
全鉄量が328gで、その内の321gが2価鉄であり、全硫酸根が760gの含第1鉄硫酸溶液(2価鉄濃度3.2モル/l)1800mlが入れらている容量3000mlの反応容器に60wt%のH溶液を全鉄量のモル数の1/300モル/minの添加速度に該当する0.63ml/minで添加した。H溶液の添加は該硫酸溶液導入後反応容器を酸素で置換した後に行った。
【0033】
反応容器は特に冷却も行わなかったが50℃以下に維持できた。その際に使用した該硫酸溶液の温度は15℃であった。H溶液の供給は0.63ml/minでとりあえず理論時間である5時間継続し、この時点でH溶液の供給を一旦停止し、該硫酸溶液を取り出し過マンガン酸カリウム希薄溶液を1滴垂らしたところ即座に脱色したので過酸化水素の添加を再開した。このようにして反応を行い、過酸化水の脱色がなくなるまで反応を継続したところ、過酸化水素の使用量は190mlであり、その酸化効率は90%であった。
【0034】
(実施例2)
実施例1と同様に全鉄量が328gで、その内の321gが2価鉄であり、全硫酸根が760gの含第1鉄硫酸溶液1800mlが入れらている容量3000mlの反応容器に60wt%のH溶液を全鉄量のモル数の1/300モル/minの添加速度に該当する0.63ml/minで添加した。H溶液の添加は該硫酸溶液導入後反応容器を酸素で置換した後に行った。
【0035】
その際に使用した反応容器は図2に図示するものと同様の構造のもので、エジェクターが付設されており、上部空間中に存在する気体を反応容器内に存在する含第1鉄硫酸溶液中に循環できる構造となっている。この反応装置を使用して実施例1と同様に酸化反応を進行させたが、その際にはエジェクターを作動させない場合(第1の態様)と、作動させた場合(第2の態様)の2つの態様で酸化反応を行った。
【0036】
第1の態様ではエジェクターが作動していないので発生した酸素はそのまま放出することになった。第2の態様ではエジェクターを作動させて発生した酸素は含第1鉄硫酸溶液中に循環させた。その結果、第1の態様では過酸化水素の使用量は189mlであり、酸化効率は92%であった。また第2の態様の過酸化水素の使用量は172mlであり、その酸化効率は100%であった。この実験の結果から、エジェクターによる循環を利用した場合には酸化効率を更に向上させることができることも確認できた。
【0037】
【発明の効果】
本発明は、酸化剤として過酸化水素を使用することにより高純度ポリ硫酸第2鉄溶液を製造するものであり、その結果処理済み廃液中に富栄養化の原因物質となる窒素分を残留させることもなく、また製品中には非溶解性の沈殿物形成の原因物質といわれているナトリウムを含有しないポリ硫酸第2鉄溶液を製造できる優れた製造技術を提供することができる卓越した効果を奏する。
【0039】
そして、酸化と還元を繰り返すフェントン反応が起こることから、従来過酸化水素による酸化では酸化効率を60%を以上にすることは不可能と考えられていた第1鉄の酸化を85%以上の高酸化効率で達成できる画期的、かつ効率的なポリ硫酸第2鉄の製造技術を提供するものであり、この点でも本発明は卓越した効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】製造したポリ硫酸第2鉄について製造後の経過日数と濃度変化の関係を示すもので、数種の濃度のものについて濃度毎に測定値を結びグラフで示したものである。
【図2】本発明のポリ硫酸第2鉄の製造に好適に使用できる製造装置を図示するものである。

Claims (5)

  1. 1l中に2.0〜4.5モルの2価鉄を含有し、かつ全硫酸根(T−SO)と全鉄(T−Fe)とのモル比が1.0<(T−SO/T−Fe)<1.5になるように硫酸第1鉄を含んだ硫酸溶液に、pHが0.5〜1.0の条件下で50℃以下の温度を保って高濃度過酸化水素を添加して鉄の酸化反応を行い、その添加速度を鉄全量のモル数の1/180〜1/300モル/minに制御することを特徴とする、窒素分及びナトリウム不存在の高純度ポリ硫酸第2鉄溶液を効率的に製造する方法。
  2. 酸化反応に、上部に気体空間を有しかつ該空間に連通する気体吸引管を備えるエジェクターを具備する密閉型反応装置を使用する請求項1記載の高純度ポリ硫酸第2鉄を効率的に製造する方法。
  3. 密閉型反応装置に、ジャケットを備え、これに冷却水を供給して水冷するようにした請求項2記載の高純度ポリ硫酸第2鉄を効率的に製造する方法。
  4. 密閉型反応装置内の上部に存在する硫酸第1鉄を含んだ硫酸溶液をエジェクターに供給して該装置の下部に循環する請求項2又は3記載の高純度ポリ硫酸第2鉄を効率的に製造する方法。
  5. 密閉型反応装置の気体空間の容積を全容積の20〜40%とする請求項2、3又は4記載の高純度ポリ硫酸第2鉄を効率的に製造する方法。
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