JP3586557B2 - ポリ硫酸第2鉄を効率的に製造する方法 - Google Patents

ポリ硫酸第2鉄を効率的に製造する方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、エジェクタ−を具備した密閉型反応装置内において、硫酸第1鉄含有硫酸酸性溶液を酸素で酸化してNO含有量の低減したポリ硫酸第2鉄を効率的に製造する方法に関する。より具体的には、鉄鋼関係の硫酸酸洗工程などから排出される硫酸第1鉄含有廃硫酸、又はそれからもしくはチタン製造工程で副生した硫酸第1鉄を含む酸性溶液を、エジェクタ−を具備した密閉型反応装置で、亜硝酸塩を触媒として酸素で酸化して、凝集剤として好適に使用できるNO含有量の低減したポリ硫酸第2鉄を効率的に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
鉄鋼関係の硫酸酸洗工程などから排出される硫酸第1鉄含有廃硫酸を原料としてポリ硫酸鉄を製造する旧来の技術は、この廃硫酸溶液を反応装置に収容し撹拌機により撹拌しつつ、この溶液に空気、酸素等の酸化剤や酸化触媒を添加して酸化反応を行っている。この技術では反応液の温度を60℃程度に維持しないと反応が円滑に進行せず、またこの温度に維持するためには加熱が必要であり、さらに反応には十数時間もの長時間を要するなどの短所があった。
【0003】
そのようなことで、本発明者らは、このような短所のないポリ硫酸第2鉄の製造技術を開発すべく以前より研究に着手しており、大分以前に反応装置にエジェクターを具備したものを開発し、これにより反応時間を4時間程度に短縮でき、さらに60℃程度に加熱することも不要とした技術を開発した(特開平2−191541号公報)。また、本発明者ら以外にも類似の技術を開発しているものがある(特開平8−253327号公報)が、そこでは反応は減圧下で行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明者が開発した前記技術においては、反応時間は4時間程度を要しており、より反応時間が短縮された効率的な製造技術の出現が望まれていた。また製造したポリ硫酸第2鉄中には、触媒から生じたNOが相当量含有されており、これを凝集剤として排水処理に使用した場合には、処理排水中に富栄養化の原因となるNOの含有量も高くなることから、その低減も望まれていた。その上反応装置中には高濃度のNOが残留し、これをそのまま放出すると大気汚染の問題を引き起こすことにもなる。
【0005】
そして、安価な硫酸及び硫酸第1鉄となっている硫酸第1鉄含有硫酸酸洗溶液が、鉄鋼酸洗用の酸が硫酸から塩酸に変化しつつあることから市場で減少し、その結果、固体の副生硫酸第1鉄の使用量が増大し、そのために該第1鉄を溶解して硫酸第1鉄含有硫酸酸性溶液を調製するための装置の大型化あるいは長時間化が避けられなくなってきている。
【0006】
さらに、本発明者らが開発した前記した先行技術においては、反応装置内の圧力に関しては何等配慮されていない。すなわちポリ硫酸第2鉄を大型の反応装置で大量に製造する際には、反応装置内の圧力の大きな変動は耐圧装置の使用に繋がることから回避からすることが望ましいものであるにもかかわらず、この問題については、この先行技術では何らの配慮もなされていない。また前記した類似の技術においては、積極的に減圧下で反応を実施するというものであり、そのため耐圧性の装置が必要となり、この問題の解決にはならない。
【0007】
そこで、本発明者らはこれらの問題の解消を図るべく研究を進め、開発したのが本発明である。すなわち本発明では、硫酸第1鉄含有硫酸酸性溶液形成用原料を反応装置に供給し、その中で該硫酸酸性溶液の調製を行うものであるが、該溶液の調製及び反応は短時間で終了し、その結果効率的にポリ硫酸第2鉄を製造することができるとともに、これを凝集剤として使用した際に富栄養化の原因となるNOの含有量の低減した処理廃水とすることができ、合わせて反応装置中に残留するNOはそのまま排出可能な程度の低濃度のものとすることのできるポリ硫酸第2鉄の製造を可能とする技術を提供することを目的とする。さらに耐圧性の反応装置を必要とすることなくポリ硫酸第2鉄を製造できる技術をも提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明では、前述のように短時間で原料酸性溶液の調製及び酸化反応を終了させ、NO含有量の少ないポリ硫酸第2鉄を大気圧と同じ圧力下で効率的に製造する技術を提供するものであり、その手段は、硫酸第1鉄を含む硫酸第1鉄含有硫酸酸性溶液形成用原料を、上部に気体空間を備なえ、かつ該空間に気体吸引口を有するエジェクタ−を具備した密閉型反応装置に供給し、そこで硫酸第1鉄含有硫酸酸性溶液を形成し、該硫酸酸性溶液をエジェクタ−を介して循環させ、該吸引口から吸引した酸素と硫酸第1鉄とを混合して亜硝酸塩を触媒として反応させるポリ硫酸第2鉄を製造する方法において、まず反応装置内空間を酸素で置換し、その後該反応装置へ該原料中の液体原料の供給を開始し、続けて硫酸第1鉄の供給を行い、その供給開始後エジェクターを作動させて硫酸第1鉄を溶解し、該原料を全量貯留後大気と遮断して密閉型反応装置を密閉し、かつ大気圧前後に維持して、該反応を行うことを特徴とするものである。
【0009】
以上のような手段を採用することにより、本発明では、製造されたポリ硫酸鉄中の富栄養化物質となるNO含有量を低減することができるとともに、硫酸第1鉄含有硫酸酸性溶液は、反応装置内で形成されているにもかかくわらず効率的にポリ硫酸鉄第2鉄を製造することができる。さらに、該製造時には耐圧性の反応装置の使用を回避することもできる長所を有するものである。なお、その際には、酸化触媒である亜硝酸塩としては、亜硝酸アルカリ、中でも亜硝酸ソーダを使用することが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明で製造されるポリ硫酸第2鉄は、下記の式(1)で表される液状の物質であり、
(式1)
[Fe(OH)(SO3−n/2 (但しn<2、m>10である。)
この物質は硫酸第1鉄、硫酸、水及び酸素とを原料として調製した硫酸第1鉄含有硫酸酸性溶液中の第1鉄イオンの全てを第2鉄イオンに酸化することによって製造されるものである。
【0011】
その際に使用できる硫酸第1鉄としては、製鉄工場から排出される硫酸第1鉄を含有する硫酸酸洗廃液、それから副生した硫酸第1鉄あるいはチタン製造工場で副生する硫酸第1鉄等があり、これは安価で好ましく利用できるが、溶解する手間の不要な硫酸酸洗廃液がより好ましい第1鉄原料である。そして酸素及び亜硝酸塩を除いた硫酸第1鉄、硫酸、水及び酸素等は、硫酸第1鉄含有硫酸酸性溶液調製用原料であるが、その溶液の調製は反応装置で行う。この調製後には、硫酸第1鉄と硫酸は所定の範囲の比率になっていることが必要であり、それは両者の比率がモル比で1.5>SO −2/Fe+2>1.0の範囲となるようにすることである。
【0012】
硫酸第1鉄含有硫酸酸性溶液の反応装置内での調製は、前記したとおり反応装置内をまず酸素で置換し、次に反応装置内に該酸性溶液中の液体原料である水あるいは硫酸酸洗廃液を供給した後に固体の硫酸第1鉄を供給する。その際の液体原料の供給順については、まず鉄鋼の硫酸酸洗廃液を供給し、ついで硫酸と水を供給して所定の比率に調整するのが好ましい。なお一旦ポリ硫酸第2鉄を生産した後の酸素置換は、製造したポリ硫酸第2鉄の取り出し時に減容した分に相当する量の酸素を反応装置へ供給し、これによって反応装置内への空気の流入を回避することで行うことができる。
【0013】
ついで、固体の硫酸第1鉄の供給が開始されたら、エジェクターを作動させることが必要であり、かつ重要である。その理由はエジェクターを作動させることにより反応装置内に供給された固体硫酸第1鉄を円滑に溶解するためである。なお、ここで硫酸第1鉄供給開始後エジェクターを速やかに作動させないと、その循環回路中に固体が詰まってしまい、エジェクターを作動させることが困難となる。
【0014】
全ての硫酸第1鉄含有硫酸酸性溶液形成用の原料の供給が終了するまでは、反応装置は大気に解放されてはいるが、酸素が逃出あるいは拡散しないように弁開度の調整あるいは該原料の供給速度等に注意を払うことが重要である。なお、この硫酸第1鉄含有硫酸酸性溶液形成用原料の供給時に反応装置内が酸素で予め置換されていないと、固体の硫酸第1鉄を溶解するために作動させたエジェクターにより、反応装置内に存在した空気が吸引口から吸引されて該酸性溶液中に充分に混合されることとなる。その結果硫酸第1鉄と酸素との効率的な反応を阻害し、反応時間の長期化と生産されたポリ硫酸第2鉄中の窒素分の濃度の増大を招くことになる。
【0015】
ついで、反応装置を密閉し、酸素を密閉型反応装置の上部気体空間に供給し硫酸第1鉄の酸化反応を開始する。ポリ硫酸第2鉄を製造する際の酸化剤としては、純酸素以外の空気等も利用可能ではあるが、本発明では効率的な酸化を行うために酸素を使用する。その際の酸素としては市販の酸素がよく、その純度は99.5〜99.8%程度である。なお触媒として使用する亜硝酸塩としてはアルカリ金属の亜硝酸塩、中でも亜硝酸ソーダが好ましい。これを触媒として利用するに当たっては水溶液とするのがよく、その濃度は15〜30wt%程度がよい。また、その総供給量は重量比でFe分に対し1/50〜1/60でよく、従来方法の1/20〜1/30に比較すると、使用量が約1/2に減少する
【0016】
上部気体空間の占有する比率は反応装置内の全空間の8〜20%がよい。反応装置を効率的に使用するには、この比率はより低い方が好ましいが、低くなりすぎると、反応装置内に泡が発生し、その泡がエジェクターの気体用の吸引口から吸引されて硫酸第1鉄含有硫酸酸性溶液に混入し、その結果反応効率の低下を招くので、8%を下限とした。また、亜硝酸塩の存在下で、酸素と硫酸第1鉄を反応させてポリ硫酸第2鉄を製造する際の酸素消費量は、ほぼ理論当量に等しいが、酸素置換に使用した酸素は、硫酸第1鉄含有硫酸酸性溶液が供給されるにしたがい反応装置から大気に放出されることになり、ほぼこの分の酸素は浪費されることになる。
【0017】
この浪費を回避するためには、ある程度の該硫酸酸性溶液形成用原料を反応装置に充填した段階で、少量の亜硝酸ソーダを供給するとともにエジェクタ−を作動させ硫酸第1鉄の酸化反応を行い、それにより酸素を消費させ、該硫酸酸性溶液を供給することによる容積増をこれによってカバーすることが好ましい。この際には、原料の供給口等からの空気の流入を回避することも肝要であり、そのために該供給口の開閉の注意深い管理あるいは容積減少と容積増加とがバランスするようなエジェクターの作動管理などに配慮することが必要である。
【0018】
次に、本発明を図面に基づいて、さらに詳細に説明するが、本発明はこの図面に記載の態様に限定されるものではなく、それは特許請求の範囲の記載に基づいて把握される発明の範囲内で各種の態様がとれることはいうまでもない。
図1は本発明の製造方法に使用する密閉型反応装置の一例を図示するものであり、その反応装置1は、気体空間10に通ずる吸引口と弁CV2を持つ吸引管3を備えるエジェクター2を具備しており、このエジェクター2を介して、循環ポンプ5により硫酸第1鉄含有硫酸酸性溶液を循環できる構造となっている。この反応装置1には弁V2を有する原料供給管9があり、ここから酸洗硫酸廃液等の硫酸第1鉄含有廃液、硫酸第1鉄結晶、硫酸及び水等の硫酸第1鉄含有硫酸酸性溶液調製用原料を供給する。
【0019】
また、この反応装置1には弁CV1及び流量計FM1を有する酸素供給管7があり、ここから供給される酸素の瞬時値が測定できるようになっているとともに反応装置1の上部気体空間10には圧力計8が付設されており、これによって、この空間の圧力が測定できるようになっている。本発明ではこの圧力計8で該空間10内の圧力を測定し、その結果、圧力が大気圧より低い場合には、弁CVの開口を大きくして酸素供給量を増加させ、高い場合には同弁の開口を絞って、供給量を減少させて、反応装置内の圧力を絶えず大気圧に維持するようにようにして反応装置内に酸素を供給する構造となっている。
【0018】
そして、この反応装置1では、エジェクター2を介して硫酸第1鉄含有硫酸酸性溶液を循環することによりエジェクター2内が負圧になり、この負圧によって反応装置1の上部気体空間10に存在する酸素が吸引管3からエジェクター2内に吸引されて、エジェクター2内を移動する前記硫酸酸性溶液とともに反応装置1内に循環される。この過程において酸素は該酸性溶液と十分に混合され、酸素吸引管3に開口を持つ触媒供給管4からエジェクター2内に酸素とともに吸引供給される亜硝酸塩溶液とも混合して酸化反応が進行し、ポリ硫酸第2鉄が形成される。
【0019】
次いで、この反応装置を利用した、ポリ硫酸第2鉄の製造方法を具体的に説明する。まず、最初に気体空間10内に突出した酸素供給管7から酸素を供給すると、その酸素は空気より重いことから次第に反応装置1内に沈降することなり、その結果酸素より軽い空気は弁V1を持つ排気管12から反応装置1外に放出され、反応装置1内の空気は次第に酸素によって置換される。
【0020】
この置換後、反応装置内1には弁V2を持つ原料供給管9より、硫酸第1鉄含有硫酸酸性溶液形成用の液体原料である酸洗硫酸廃液、水、硫酸がこの順で供給され、次に硫酸第1鉄結晶の供給が開始される。硫酸第1鉄の供給開始は液体原料の全量供給後でもよいし、一部が供給された後でもよい。要は固体の硫酸第1鉄が反応装置に供給開始される時点において、それを溶解すべき液体原料が反応装置内に存在していて、エジェクターが正常作動できればよいのであり、そのことが重要なことである。したがって、液体原料は供給された固体原料全量を溶解するほど反応装置内に存在する必要はなく、エジェクターを正常作動可能な程度存在すればよい。
【0021】
この作動によって、反応装置内に供給された硫酸第1鉄結晶は溶解され、円滑に硫酸第1鉄含有硫酸酸性溶液が形成される。その際には硫酸第1鉄結晶の供給に伴って反応装置内の酸性溶液中に同伴された空気は、エジェクターに吸引された酸素によって置換され、酸性液体中から円滑に排除される。また硫酸第1鉄含有硫酸酸性溶液原料が供給されるにしたがい、気体空間が減少し、その結果反応装置内に予め供給されていた酸素が排気管12より排出され、この分だけ浪費されることになる。この酸素の浪費を回避するためには、硫酸第1鉄含有硫酸酸性溶液調製用の液体原料等が反応装置に多少供給され、該酸性溶液が少量形成された時点で、触媒の亜硝酸塩を少量供給し、ポンプ5を作動させて反応装置内の該溶液をエジェクターにより循環するのが好ましい。
【0022】
このようにすることにより反応装置内に事前に供給されていた酸素を酸化反応で消費でき、その結果引き続き供給する硫酸酸性溶液形成用原料の供給により生ずる気体空間減少に伴う酸素の反応装置外への放出を回避することができる。このように硫酸酸性溶液形成用原料を反応装置に供給する際に、その供給量と酸素消費量とを均衡を保つようにすることは肝要であり、このようにすることにより反応装置内の空気の置換に使用された酸素の屋外への放出が回避でき、酸素の浪費を抑制することができる。
【0023】
硫酸第1鉄含有硫酸酸性溶液形成用原料が全量供給され、硫酸イオンと第1鉄イオンが所定のモル比とされた後、原料供給管9の弁V2及び排気管12の弁V1を閉じ、反応装置1を密閉し、大気と遮断し、反応装置1の上部に大気と遮断された酸素が充満する気体空間10を形成する。その結果ここに存在する酸素は、外部に放出されることもなく、また外部から空気が吸引されこともなく、エジェクターを循環する硫酸第1鉄含有硫酸酸性溶液に全て吸引、混合される。
【0024】
それと同時に触媒供給管4からエジェクター2内に亜硝酸塩溶液も吸引供給され、反応装置1内にある硫酸第1鉄含有硫酸酸性溶液及び酸素の各原料成分と、触媒の亜硝酸塩との攪拌混合が繰り返し行われる。その結果酸化反応が円滑に進行し、酸素は余すとことなく消費され、浪費されることなくほぼ理論量に等しい量の使用で、かつ短時間で効率的にポリ硫酸第2鉄が製造できる。
【0025】
その際該空間10の圧力は、常時圧力計8で監視されており、こ測定値に基づいて、常法にしたがって酸素供給管7の弁の開口度を調節して大気圧にほぼ等しい一定圧(−0.2〜0.25kg/cm(ゲージ圧))に維持するのがよく、より好ましくは0〜0.15kg/cm(ゲージ圧))に維持するのがよい。そのためには、例えば圧力計8で測定された測定値は常時演算制御装置に伝達し、この制御装置に予め設定してある設定値と対照した後、圧力が常時一定値になるように酸素供給管7の弁開口を調節する。このようにすることにより耐圧性のある反応装置を使用せずにポリ硫酸第2鉄を大量に製造することができる。
【0026】
その結果製造されたポリ硫酸第2鉄中のNO含有量も、また上部気体空間中のNO含有量も低減したものとすることができる。なお、この反応の進行にしたがい反応装置1の温度上昇が起こるが、その上昇は温度計11によって感知され、温度が50℃以上になった場合には冷却水供給管13から冷却水が反応装置外壁に沿って供給され、反応装置が冷却される。
【0027】
【実施例】
以下に本発明の実施例及び比較例を記載し、本発明の特徴点及び卓越した効果を明確にする。
(実施例)
図1に示す構造を持つ容積3.2mの密閉型反応装置を使用して、ポリ硫酸第2鉄の製造を行った。反応装置1に供給した原料成分及びその使用量は以下のとおりである。
【0028】
原料成分及び使用量
1)鉄鋼の硫酸酸洗廃液 1500 kg
(組成T・Fe:6.3WT%、T・SO:16.5)
2)硫酸第1鉄7水塩 1576 kg
3)硫酸(濃度45wt%) 305 kg
4)工業用水 37.2 kg
5)酸素(純度99.5wt%以上) 58.5 kg(設定量)
6)NaNO(30wt%) 23.3 kg(設定量)
なお、酸素の使用量(設定量)は、第1鉄と亜硝酸ソーダのNO とを、それぞれ酸化して第2鉄及びHNOにするのに要する理論酸素量であり、硝酸ソーダ(NaNO)の使用量(設定量)は、重量比でFeの1/55の量である。
【0029】
これらの原料の反応装置への供給は、1)、4)、3)、2)の順で行うが、その前に酸素供給管7から酸素を供給すると同時に、排気管12の弁V1を開口して反応装置内に存在していた空気を放出し、反応装置内の空気を酸素に置換した。この置換後速やかに第1の供給原料である鉄鋼の硫酸酸洗廃液の充填を開始し、それに続いて第1鉄含有硫酸酸性溶液形成用の他の原料の供給を先の順で行う。
【0030】
その際原料の流入をこのまま継続していった場合には、その流入量の増加にしたがい反応装置内の上部気体空間が次第に減少し、その結果反応装置内に予め充填してあった酸素が反応装置外に放出され、無駄になってしまう。そこで酸洗廃液が100kg供給された段階で触媒の亜硝酸ソーダ溶液を400g流入させ、その濃度を5g/lとした後にポンプ5を回転させエジェクターの作動を開始する。これによって酸素と硫酸第1鉄との積極的な接触が起こり酸化反応が開始し、酸素が消費されて気体空間が減少し、その結果第1鉄含有硫酸酸性溶液形成原料の供給に伴う反応装置外への酸素の放出を回避でき、酸素の浪費を抑制することができた。
【0031】
そして、この原料供給時には、原料供給管9の弁V2及び排気管12の弁V1は解放して反応装置内を大気圧に維持するようにしてあるが、酸素の反応装置外への逃出及び反応装置への空気の流入を回避するように注意深く原料の供給を行う。また固体原料の硫酸第1鉄供給時にはエジェクターが作動しているので、円滑に溶解して硫酸第1鉄含有酸性溶液が速やかに形成される。この硫酸第1鉄含有酸性溶液形成原料の全量の供給、すなわち硫酸第1鉄結晶の充填までを終了した段階で、原料供給管9の弁V2及び排気管12の弁V1を閉鎖し、上部気体空間10を大気から遮断し、反応装置1を本来の密閉状態にする。
【0032】
その結果、反応装置内にはSO −2/Fe+2のモル比が1.38の硫酸第1鉄含有硫酸酸性溶液が形成され、この段階でエジェクター2を本格的に作動させ、酸素を酸素供給管7及び亜硝酸ソーダ溶液を触媒供給管4からそれぞれ供給して、エジェクター2に吸引して反応装置1内で硫酸第1鉄含有硫酸酸性溶液と攪拌・混合させる。なお、ここにおける硫酸第1鉄含有硫酸酸性溶液とは、固体の硫酸第1鉄の全量が均一に溶解しているものではなく、硫酸第1鉄が飽和状態で硫酸に熔解してものであって、かつ未溶解の硫酸第1鉄が固体状で存在するスラリー状のものである。
【0033】
その際には、反応装置1は、上部気体空間に設置されている圧力計8によって監視されており、その圧力が、大気圧付近(0.1〜0.15kg/cm(ゲージ圧))に維持されるように酸素を酸素供給管7から供給する。すなわち、圧力計で圧力を測定し、その圧力が0.1〜0.15kg/cm(ゲージ圧)になるよう酸素流量を調節する。
【0034】
前記したように反応装置1内は一定の圧力になるように制御されており、かつまた反応初期においては、酸化が促進されるために消費量は多く、その結果酸素の供給流量は反応初期には多く、まもなく最大値(390g/min)に達し、さらに反応が進行すると次第に減少し、終盤に近づくにつれてさらに低下し、やがて0になった。その時点でエジェクターの運転を停止して、圧力を監視し、変動が生じないので、反応装置からポリ硫酸第2鉄を取り出し、それに過マンガン酸カリウム溶液(1/10規定液)を滴下した。その結果、脱色がなく、第1鉄が残存しないことが確認できたから、反応を再開することなく終了した。
【0035】
それまでの酸素(純度99.5wt%以上)の総供給量は58.7kgで、設定値の100%であり、その際の酸素平均供給速度は340g/minであった。その際の運転に要した時間は、反応装置を密閉状態にした後から反応を停止するまでの時間は180分と、それ以前の第1鉄含有硫酸酸性溶液調製の時間60とであり、総所要時間は240分、すなわち4時間であった。なお酸素置換に要した時間は30分であったが、この酸素置換は製品取り出しと同時に行えるので、製品を継続して生産している際には、製品の取り出し時間ということになるので、運転総所要時間には算入しなかった。
【0036】
そして、触媒の亜硝酸ソーダ溶液(30wt%)の供給については、予定供給量の80wt%までは80g/minの一定量で供給し、その後は供給量を2/3に低下させ、酸素供給量が0に近づいた時点で、その供給を停止した。その結果亜硝酸ソーダ溶液の総供給量は23.4kgであり、設定量の100%であった。また製造されたポリ硫酸第2鉄中のNO含有量は2330mg/lであり、上部空間中のNO濃度は350ppmであった。前記したとおりであるから、本発明における製造時間は、旧来の技術の10数時間より格段に短いものであった。
【0037】
(比較例1)
実施例と同一の反応装置を使用し、同一の硫酸第1鉄含有硫酸酸性溶液形成原料を同一使用量で使用し、酸素置換を実施しなかった点を除き同様の処理工程で酸化反応を行い、ポリ硫酸第2鉄を製造した。本比較例の総所要時間は反応時間360分、硫酸第1鉄含有硫酸酸性溶液形成時間60分で、総計420分、すなわち7時間であり、実施例に比し1.75倍の時間を要している。その際の比較例1における酸素(純度99.5wt%以上)の総供給量は62.8kgで、設定値の107%であり、酸素平均供給速度は190g/minであった。
【0038】
そして、触媒のNaNO溶液(30wt%)については、供給速度は予定値の80wt%までは実施例と同様に0.80kg/minの一定量で供給し、その後は供給量を2/3に低下させ、酸素供給量が0に近づいた時点で、その供給を停止した。その結果総供給量は33.2kgであり、予定量(設定量)の142%であった。また生産されたポリ硫酸第2鉄中のNO含有量については3640mg/lで、上部空間中のNO濃度については31500ppmであった。
【0039】
(比較例2)
実施例と同一の密閉型反応装置を使用して、酸素置換を行わずに同例と同一量の硫酸第1鉄含有硫酸酸性溶液形成原料を供給した。該原料を全量供給後エジェクターを作動させるべくポンプ5の回転を開始したが、ポンプ作動後まもなく循環管路内が固体の硫酸第1鉄で充満されてしまい、エジェクターを正常作動させることができなかった。
【0040】
以上の結果をもとに、本発明の実施例と比較例とを対比すると、比較例1では酸素及び亜硝酸ソーダ溶液の両者とも使用量が多いにもかかわらず、実施例に比し反応時間が2倍を要している。また、本発明の実施例では、比較例1に比し、製品ポリ硫酸第2鉄中のNO含有量については半減し、反応装置の気体空間中のNO濃度については、約1/100と極端に低減することがわかる。
【0041】
【発明の効果】
本発明では、硫酸第1鉄含有硫酸酸性溶液形成用原料をエジェクタ−を具備した密閉型反応装置に供給し、そこで硫酸第1鉄を溶解し、硫酸第1鉄含有硫酸酸性溶液を調製するにもかかわらず、該調製及び反応に要する時間を短縮し、効率的にポリ硫酸第2鉄を製造する優れた技術を提供することができるものである。また、この技術は環境汚染防止上、含有量を低減する必要のあるNOについても、製品ポリ硫酸第2鉄中のNOx含有量をほぼ半減でき、かつ反応装置中に残留する気体NO濃度を約1/100と極端に低減できる。さらに大気圧付近で反応を行うものであることから耐圧性の反応装置を必要とすることもない。以上のとおりであるから、本発明は従来技術に比し、卓越した効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の製造方法に使用する装置の概要を示す。
【符号の説明】
1 密閉型反応装置
2 エジェクター
3 吸引管
4 触媒供給管
5 ポンプ
7 酸素供給管
8 圧力計
9 原料供給管
10 上部気体空間
11 温度計
12 排気管

Claims (4)

  1. 硫酸第1鉄を含む硫酸第1鉄含有硫酸酸性溶液形成用原料を、上部に気体空間を備なえ、かつ該空間に気体吸引口を有するエジェクタ−を具備した密閉型反応装置に供給し、そこで硫酸第1鉄含有硫酸酸性溶液を形成し、該硫酸酸性溶液をエジェクタ−を介して循環させ、該吸引口から吸引した酸素と硫酸第1鉄とを混合して亜硝酸塩を触媒として反応させるポリ硫酸第2鉄を製造する方法において、まず反応装置内空間を酸素で置換し、その後該反応装置へ該原料中の液体原料の供給を開始し、続けて硫酸第1鉄の供給を行い、その供給開始後で、かつ該硫酸第1鉄の一部が供給された時点においてエジェクターを作動させて硫酸第1鉄を溶解し、該原料を全量貯留後大気と遮断して密閉型反応装置を密閉し、かつ大気圧前後に維持して、該反応を行うことを特徴とするNOx含有量の低減したポリ硫酸第2鉄を効率的に製造する方法。
  2. 気体空間を酸素で置換する手段が、前回の生産操作終了後製造されたポリ硫酸第2鉄搬出時に、その減容分に酸素を供給することでなさせるものである請求項1記載のNOx含有量の低減したポリ硫酸第2鉄を効率的に製造する方法。
  3. 亜硝酸塩が亜硝酸ナトリウムである請求項1又は2記載のNOx含有量の低減したポリ硫酸第2鉄を効率的に製造する方法。
  4. 硫酸第1鉄含有硫酸酸性溶液形成用液体原料の一部を反応装置に供給後、少量の亜硝酸ソーダを供給し、エジェクターを作動させながら、残りの硫酸第1鉄含有硫酸酸性形成用原料を供給し、これによって酸化反応を開始して、置換用に予め該反応装置内に供給されていた酸素を消費し、該酸素を外部に無駄に放出することなく置換用酸素をも活用する請求項1ないし3のいずれか1に記載のNOx含有量の低減したポリ硫酸第2鉄を効率的に製造する方法。
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