JP3586535B2 - 固定化液膜導電体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、固定化液膜導電体及びその製造方法に関し、特に高い電子導電性を有する多孔性導電膜にイオン導電体を固定化した固定化液膜導電体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
高分子材料、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスルホン、ブタジエンゴム、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー、エポキシ樹脂などにカーボンブラックなどの電子導電性物質を混和して成る導電体は広く知られている。そして、これらの導電体は、静電防止材料、電磁波シールド用材料、導電性塗料、接着剤、IC包装材、面状発熱体、面スイッチなどに使用されている。
【0003】
また、かかる導電体において、多孔質でありながら高い導電性を有する薄膜導電体(多孔性導電膜)は、固体高分子電解質あるいは液体電解質を用いるデバイスにおける電極や電極構成材料として極めて効果的に用いることができる。すなわち、多孔質であるために電極と電解質との接触界面を大面積化することができ、従って例えば、これを用いてリチウム系一次電池、リチウム系二次電池などの高性能の電池を製造することが可能となる。
【0004】
前記の薄膜導電体の開発例としては、ポリエチレンの可塑剤溶液にケッチェンブラック(Akzo Chemic社商標)を混合し、シート成形、延伸の後、可塑剤を除去した多孔質薄膜に、電解液を毛管凝縮力を利用して固定化した多孔性導電膜とその製造方法(特開平3−87096)がある。しかし、電解液保持性に問題を有している。一方、最近では、ポリ弗化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体にLiMn2O4とカーボンブラックあるいは石油コークスとカーボンブラックを混合しリチウム塩を溶解したカーボネート系溶液を含浸させたポリマーゲルを電池の正極あるいは負極に用いる技術(USP5,296,318)が提案されているが、高温におけるゲル収縮による電解液の滲み出の問題があり、電解液保持性に関する完全な解決策にはならない。したがって、薄膜化、大面積化が容易で、広い温度範囲で電解質溶液の安定した保持能力を持つ薄膜導電体の開発が望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記のような問題点を解消し、薄膜化、大面積化が容易で広い温度範囲で非プロトン性電解質溶液の保持性に優れ、長期安定性と機械的強度の向上した固定化液膜導電体とその製造方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記従来技術の問題点を克服するために鋭意研究した結果、電子導電性材料を含むポリオレフィン微多孔膜にグラフト重合されたポリマーの溶解性により、非プロトン性電解液を膜に固定化することによって、上記目的を達成できることを見い出した。
【0007】
すなわち、本発明の固定化液膜導電体は、非プロトン性電解質溶液に溶解性を有するグラフト重合体及び電子導電性材料を含有するポリオレフィン微多孔膜に、非プロトン性電解質溶液を固定化したものである。
また、本発明の固定化液膜導電体の製造方法は、電子導電性材料を含有するポリオレフィン微多孔膜の表面及び細孔表面に、非プロトン性電解質溶液に溶解性を有するポリマーをグラフト重合し、これに非プロトン性電解質溶液を含浸させて固定化するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の固定化液膜導電体は、電子導電性材料を含有するポリオレフィン微多孔膜を主骨格とし、これに非プロトン性電解質溶液に溶解性を有するポリマーをグラフト重合させ、さらに非プロトン性電解質溶液を含浸することにより構成される。以下に各構成の詳細を説明する。
【0009】
1.電子導電性材料を含有するポリオレフィン微多孔膜
a.ポリオレフィン
ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン−1、ポリ4−メチルペンテン−1などが挙げられる。これらの中ではポリエチレンが好ましい。このポリエチレンとしては、超高分子量ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中低密度ポリエチレンからなるものを用いることができるが、強度、安全性、製膜性などの観点から超高分子量ポリエチレンまたはその成分を含むものを用いることが好ましい。
また、該ポリオレフィンは、重量平均分子量が5×105以上、好ましくは1×106〜1×107の超高分子量成分を1重量%以上含有し、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が10〜300であるのが好ましい。超高分子量ポリオレフィン成分の含有量が1重量%未満では、膜の延伸性の向上に寄与するところが不十分である。一方、上限は特に限定的ではない。また、分子量分布が300を超えると、低分子量成分による破断が起こり薄膜全体の強度が低下するため好ましくない。
【0010】
b.電子導電性材料
電子導電性材料としては、各種の金属や半導体、酸化物系及び硫化物系の電子導電性材料、及びカーボンもしくはグラファイトが挙げられる。これらは粒子状、繊維状、フィブリル状、ウイスカー状等のいかなる形状であってもよい。特に好ましいものは、TiS3、TiS2、TiO2、V2O5、NbSe3、MnO2、LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4、PbO2、NiOOHなどの電池正極活物質、石油コークス、天然グラファイト、カーボンファイバー、Pb、Cdなどの電池負極活物質及びアセチレンブラック、ケッチェンブラック(AkzoChemic社商標)、カーボンウィスカー、グラファイトウィスカー、グラファイトフィブリル等の導電剤がある。
【0011】
c.製法
電子導電性材料を含有するポリオレフィン微多孔膜は、上記の電子導電性材料をポリオレフィンに配合し、製膜することにより得ることができる。電子導電性材料の配合量は1〜200重量%、特に5〜100重量%であることが好ましい。この配合量が1重量%未満では十分な導電性が得られにくく、200重量%を超えると実用的に十分な強度の膜を得ることが困難となる。
製膜は、特開昭60−242035号や特開平3−64334号に記載の方法で行えばよい。例えば次のようにして行うことができる。超高分子量ポリオレフィンを含有するポリオレフィンを流動パラフィンのような溶媒に10〜50重量%を加熱溶解して均一な溶液とし、これに電子導電性材料を均一に配合する。この溶液からシートを形成し、冷却してゲル状シートとした後、ポリオレフィンの融点+10度以下の温度で加熱し、面倍率3倍以上に延伸する。この延伸膜中に含まれる溶媒を塩化メチレンのような揮発性溶剤で抽出除去し、ついで乾燥、熱セットする。
なお、ポリオレフィン微多孔膜には、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、アンチブロッキング剤、顔料、染料、無機充填剤などの各種添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で添加することができる。
【0012】
d.物性
電子導電性材料を含有するポリオレフィン微多孔膜は、1〜1000μm、好ましくは5〜500μmの膜厚を有する。厚さが1μm未満では、機械的強度及び取扱の観点から実用に供することが難しい。一方、1000μmを超える場合には、実効抵抗が大きくなり、導電体としての体積効率も不利となる。
また、膜の空孔率は、限定的ではないが30〜95%、より好ましくは50〜90%の範囲のものである。空孔率が30%未満では、非プロトン性電解質溶液の固定化が不十分になる場合があり、一方、空孔率が95%を超えると、膜の機械的強度が小さくなり実用性に劣る。
また、平均孔径は1μm以下が好ましい。1μmを超えるとグラフト重合量が少ない場合は、活物質や反応生成物の拡散を防止することが困難となる。下限は、限定的ではないが平均孔径が0.005μm未満ではプラズマによるグラフト重合において均一性、重合速度に問題を起こす場合がある。
さらに、上記の電子導電性材料を含有するポリオレフィン微多孔膜は、破断強度を200kg/cm2以上が好ましい。破断強度を200kg/cm2以上とすることで、グラフト重合体に非プロトン性電解質溶液が溶解した際の膨潤に対する耐変形性が十分となる。
【0013】
2.電子導電性材料を含有するポリオレフィン微多孔膜の表面及び細孔表面にグラフト重合するポリマー
a.モノマー
ポリマーを構成するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリルアミド、アクリルニトリル、スチレン及びその誘導体等が用いられる。具体的には、例えばアクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、エチルデシルアクリレート、エチルヘキサデシルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート等のアクリル系モノマーが挙げられ、メタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸グリシジル、ジメタクリル酸エチレングリコール等のメタクリル系モノマーが挙げられる。これらの1種類または複数種類を選択して用いることができる。また、必要に応じてビニルアクリレート、ビニルメタクリレート、ジビニルベンゼン、ビニルアクリル酸ブチル等の架橋性モノマーも用いることができる。上記したモノマーの中ではアクリル酸、メタクリル酸、またはこれらのエステルからなるモノマー、アクリルアミドまたはその誘導体からなるアクリル系モノマーを用いるのが好ましい。
【0014】
b.グラフト重合法
電子導電性材料を含有するポリオレフィン微多孔膜の表面及び細孔表面に、上記のポリマーをグラフト重合する方法としては、プラズマあるいは電子線、γ線などの放射線グラフト重合法を用いる。ポリオレフィン微多孔膜にラジカルを生成させた後に選択されたモノマーに接触させる後重合法でも、モノマーに接触させた状態でラジカルを生成させる同時重合法でも良い。
プラズマグラフト重合の具体例としては、10−2〜10mbarの圧力となるアルゴン、ヘリウム、窒素、空気等のガスの存在下でポリオレフィン多孔膜に対して通常周波数10〜30MHz、出力1〜1000Wで、1〜1000秒のプラズマ処理を行う。次に選択された前記モノマーを1〜10容量%、必要に応じて架橋助剤を0.01〜2容量%含む無機または有機溶媒(前記のモノマー及び架橋助剤はこの溶媒に溶解または懸濁している)にプラズマ処理を施したポリオレフィン微多孔膜を浸漬し、窒素ガス、アルゴンガス等でバブリングしながら、20〜100℃で、1〜60分間グラフト重合反応を行う。なお、溶媒としては、水、メタノール等のアルコール、アルコール水溶液等を用いることができる。また、電子線グラフト重合法としては、前記のポリオレフィン微多孔膜、前記選択されたモノマー及び前記架橋助剤を共存させて同時に電子線を照射する同時照射法、及び、予めポリオレフィン微多孔膜に電子線を照射した後に、前記架橋助剤の存在下に前記選択されたモノマーを反応させる前照射法があるが、前記選択されたモノマーの単独重合を抑制することから前照射法によるものが好ましい。
【0015】
前照射法では、ポリオレフィン微多孔膜に加速電圧100〜5000KeVが好ましく、より好ましくは200〜800KeVの電子線を照射する。なお、電子線照射は、空気雰囲気下で行うことができる。
照射量としては、10〜500KGyが適当であり、好ましくは50〜200KGyである。10KGy未満では前記選択されたモノマーのグラフトが不十分であり、一方500KGyを超えるとポリオレフィン微多孔膜が劣化することがある。
【0016】
次いで、電子線照射したポリオレフィン微多孔膜を、前記架橋助剤の存在下に前記選択されたモノマー溶液中に浸漬処理してグラフト重合体を形成する。
このようなグラフト重合で、ポリオレフィン微多孔膜の表面に選択的にグラフト重合体を形成、あるいはその細孔内表面に選択的にグラフト重合体を形成、あるいは表面及びその細孔内表面のいずれにもグラフト重合体を形成することができる。なお、グラフト重合の過程で副成されたホモポリマーは、そのまま残しておいても良いが、トルエンなどの溶剤を用いて完全に洗い流し、グラフト重合体のみをポリオレフィン微多孔膜の表面及びその細孔内表面に残しても良い。
【0017】
c.グラフト重合量
グラフト重合量は、ラジカル生成量あるいはモノマー濃度、その接触時間、温度などの条件で制御することができる。グラフト重合量(単位面積当たりに重合したグラフトコポリマー量)は0.02〜35mg/cm2が好ましく、より好ましくは0.03〜30mg/cm2である。ポリオレフィン微多孔膜の膜厚にもよるが、0.02mg/cm2未満では電解液による溶解、膨潤効果が不十分となり、35mg/cm2を超えるとポリオレフィン多孔膜の変形防止、強度低下防止の効果が不十分となる。グラフト重合量の増加に伴い、ポリオレフィン微多孔膜の微細孔は次第に閉塞され多孔性は徐々に失われ、最後には実質的に完全閉塞されることになる。
【0018】
3.電子導電性材料及びグラフト重合体を含有するポリオレフィン微多孔膜への非プロトン性電解質溶液の固定化
a.電解質溶液
非プロトン性電解質溶液の電解質としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩が用いられ、例えばLiF、NaI、LiI、LiClO4、LiAsF6、LiPF6、LiBF4、LiCF3SO3、NaSCN等が挙げられる。
また、非プロトン性電解質溶液の電解質を溶解する非プロトン性溶媒としては、アルカリ金属に対して安定な溶媒で、具体的には、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、ジメトキシエタン、アセトニトリル、フォルムアミド、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等の非プロトン性の高誘電率溶媒が、単独又は2種以上の組み合わせで使用される。
【0019】
b.固定化法
電子導電性材料及びグラフト重合体を含有するポリオレフィン微多孔膜に非プロトン性電解質溶液を固定化し非プロトン性電解質薄膜とする方法としては、含浸、塗布またはスプレーなどを単独あるいは組み合わせて使用することができる。また、電解質溶液を固定化するのは、電池に組み込む前でもよいし、電池組立途中工程でもよいし、電池組立最終工程でもよい。中でも、電池組立時の取扱性、皺などの混入防止、正負極板表面との密着性などの観点と、従来の電池組立工程をそのまま適用できることから、電池組立途中工程あるいは電池組立最終工程で電解質溶液を固定化する方法が好ましい。
【0020】
4.固定化液膜導電体の比導電率
上記によって構成される本発明の固定化液膜導電体は、10−5Scm−1以上、好ましくは10−3Scm−1以上の比導電率を有する。比導電率が10−5Scm−1未満では実効抵抗が大きくなり実用的でない。例えば、膜厚1μmのときの実効抵抗は1μm/10−5Scm−1、即ち10Ωcm2となる。
【0021】
【実施例】
本発明を以下の具体的な実施例によりさらに詳細に説明する。なお、実施例における試験方法は次の通りである。
(1)膜厚:断面を走査型電子顕微鏡により測定。
(2)引張り破断強度:幅15mm短冊状試験片の破断強度をASTM
D882に準拠して測定。
(3)空孔率:重量法により測定。
【0022】
実施例1
ポリエチレン(重量平均分子量40万のポリエチレン25重量部と重量平均分子量200万のポリエチレン5重量部)30重量部と石油コークス粉末30重量部とケッチェンブラック粉末(Akzo Chemic社商標)3重量部と流動パラフィン70重量部を含む混合物100重量部に酸化防止剤0.37重量部を加えて2軸押し出し機で加熱混練した。これを長方形の口金を有するダイスから押出し、チルロールで引き取り1mm厚のシートとした。このシートをバッチ式2軸延伸機を用いて120℃で5×5倍に同時2軸延伸し、残留する流動パラフィンをn−ヘキサンで洗浄後、金枠に固定した状態で120℃で乾燥、熱セットして電子導電性材料を含有するポリエチレン微多孔膜を得た。
得られた電子導電性材料を含有するポリエチレン微多孔膜(膜厚30μm、空孔率38%、引張り強度1350kg/cm2)にアルゴン雰囲気下で0.1mba、10W、60秒プラズマを照射し、メチルアクリレート水溶液(モノマー濃度を4容量%とし、溶媒として水を使用)に30℃で15分間接触させてグラフト重合を行った。反応終了後、トルエンで洗浄し、50℃オーブンにて乾燥し、グラフト重合を施した電子導電性材料を含有するポリエチレン膜を得た。重合前後の重量変化から、単位面積当たりで重合したグラフトポリマー量は、2.5mg/cm2であった。また、引っ張り破断強度は1240kg/cm2であった。
【0023】
得られたグラフト重合を施した電子導電性材料を含有するポリエチレン膜の10cm×10cm 角を、25℃の1モルのLiPF6を含むプロピレンカーボネート溶液に1時間浸漬し、固定化液膜導電体を得た。
この固定化液膜導電体の表面の付着液を除いた後、直ちに重量の経時変化を測定し、0秒後に外挿することによって求めた重量増加率は125.7%であった。また、25℃で大気放置した状態で0秒後に外挿した重量を起点とする重量の経時変化を測定した結果、1時間後の重量減少率は0.5%未満であった。
また、直径10mmに打ち抜き、これを白金黒電極で挟み、周波数1kHzの交流で電気抵抗値を測定し、この値と固定化液膜導電体の厚み及び面積より算出した比導電率は1.2×10−1Scm−1であった。
【0024】
比較例1
実施例1において、グラフト重合を行う前の電子導電性材料を含有するポリエチレン微多孔膜(膜厚30μm、空孔率38%、引張り強度1350kg/cm2)の10cm×10cm 角を、25℃の1モルのLiPF6を含むプロピレンカーボネート溶液に1時間浸漬し、固定化液膜導電体を得た。
この固定化液膜導電体の表面の付着液を除いた後、直ちに重量の経時変化を測定し、0秒後に外挿することによって求めた重量増加率は81.5%であった。また、25℃で大気放置した状態で0秒後に外挿した重量を起点とする重量の経時変化を測定した結果、1時間後の重量減少率は2.7%であった。
また、直径10mmに打ち抜き、これを白金黒電極で挟み、周波数1kHzの交流で電気抵抗値を測定し、この値と固定化液膜導電体の厚み及び面積より算出した比導電率は4×10−2Scm−1であった。
【0025】
【発明の効果】
本発明の固定化液膜導電体はグラフト重合したポリマーの溶解性により電解質溶液を固定化し、ポリオレフィンでできた多孔膜基材骨格によりその過度な膨潤を抑えることにより、広い温度範囲で安定的に電解質溶液を保持することができると共に、電解質溶液の蒸発速度を極めて低く保つことができることにより、良好な導電性を広い温度にわたり維持できる。即ち、電子導電性を著しく低下させることなく、過充電での安全性を向上することができる。さらに、この固定化液膜導電体はポリオレフィンでできた骨格により、機械強度が優れており、従来の電池製造工程をほとんど変更することなく適用することができる。また、この固定化液膜導電体は、イオンと電子の導電性を併せ持つため、電解質、特に液体電解質を用いる電池、エレクトロクロミック素子、電気二重層コンデンサー、液晶素子などの電極に有用である。この固定化液膜導電体中のイオン導電体は電極間の電解質と連続し、かつ多孔性導電膜とも広い面積で密着しているので、電解質を用いる各種セル、素子の電極材料として有効である。
Claims (4)
- 非プロトン性電解質溶液に溶解性を有するグラフト重合体及び電子導電性材料を含有するポリオレフィン微多孔膜に、非プロトン性電解質溶液を固定化した固定化液膜導電体。
- 電子導電性材料を含有するポリオレフィン微多孔膜の表面及び細孔表面に、非プロトン性電解質溶液に溶解性を有するポリマーをグラフト重合し、これに非プロトン性電解質溶液を含浸させて固定化する固定化液膜導電体の製造方法。
- 請求項1に記載の固定化液膜導電体を用いた電極。
- 請求項1に記載の固定化液膜導電体を電極として用いた電池。
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