JP3586536B2 - 固定化液膜導電体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固定化液膜導電体及びその製造方法に関し、特に高い電子導電性を有する多孔性導電膜にイオン導電体を固定化した固定化液膜導電体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
高分子材料、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスルホン、ブタジエンゴム、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー、エポキシ樹脂などにカーボンブラックなどの電子導電性物質を混和して成る導電体は広く知られている。そして、これらの導電体は、静電防止材料、電磁波シールド用材料、導電性塗料、接着剤、IC包装材、面状発熱体、面スイッチなどに使用されている。
【0003】
また、かかる導電体において、多孔質でありながら高い導電性を有する薄膜導電体(多孔性導電膜)は、固体高分子電解質あるいは液体電解質を用いるデバイスにおける電極や電極構成材料として極めて効果的に用いることができる。すなわち、多孔質であるために電極と電解質との接触界面を大面積化することができ、従って例えば、これを用いてリチウム系一次電池、リチウム系二次電池などの高性能の電池を製造することが可能となる。
【0004】
前記の薄膜導電体の開発例としては、ポリエチレンの可塑剤溶液にケッチェンブラック(Akzo Chemic社商標)を混合し、シート成形、延伸の後、可塑剤を除去した多孔質薄膜に、電解液を毛管凝縮力を利用して固定化した多孔性導電膜とその製造方法(特開平3−87096)がある。しかし、電解液保持性に問題を有している。一方、最近では、ポリ弗化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体にLiMnとカーボンブラックあるいは石油コークスとカーボンブラックを混合しリチウム塩を溶解したカーボネート系溶液を含浸させたポリマーゲルを電池の正極あるいは負極に用いる技術(USP5,296,318)が提案されているが、高温におけるゲル収縮による電解液の滲み出の問題があり、電解液保持性に関する完全な解決策にはならない。したがって、薄膜化、大面積化が容易で、広い温度範囲で電解質溶液の安定した保持能力を持つ薄膜導電体の開発が望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記のような問題点を解消し、薄膜化、大面積化が容易で広い温度範囲で非プロトン性電解質溶液の保持性に優れ、長期安定性と機械的強度の向上した固定化液膜導電体とその製造方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記従来技術の問題点を克服するために鋭意研究した結果、電子導電性材料を含むポリオレフィン微多孔膜に含有されたオルガノポリシロキサンの親和性により、非プロトン性電解液を膜に固定化することによって、上記目的を達成できることを見い出した。
【0007】
すなわち、本発明の固定化液膜導電体は、非プロトン性電解質溶液に親和性を有するオルガノポリシロキサン及び電子導電性材料を含有するポリオレフィン微多孔膜に、非プロトン性電解質溶液を固定化したものである。
また、本発明の固定化液膜導電体の第1の製造方法は、電子導電性材料を含有するポリオレフィン微多孔膜に、非プロトン性電解質溶液に親和性を有するオルガノポリシロキサンをコーティングし、これに非プロトン性電解質溶液を含浸させて固定化するものである。
さらに、本発明の固定化液膜導電体の第2の製造方法は、電子導電性材料を含有するポリオレフィン組成物から成るゲル状成形物に非プロトン性電解質溶液に親和性を有するオルガノポリシロキサンを充填して製膜し、これに非プロトン性電解質溶液を含浸させて固定化するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の固定化液膜導電体は、非プロトン性電解質溶液に親和性を有するオルガノポリシロキサン及び電子導電性材料を含有するポリオレフィン微多孔膜に、非プロトン性電解質溶液を固定化することにより構成される。以下にその詳細を説明する。
【0009】
1.原料
a.ポリオレフィン
ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン−1、ポリ4−メチルペンテン−1などが挙げられる。これらの中ではポリエチレンが好ましい。このポリエチレンとしては、超高分子量ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中低密度ポリエチレンからなるものを用いることができるが、強度、安全性、製膜性などの観点から超高分子量ポリエチレンまたはその成分を含むものを用いることが好ましい。
また、該ポリオレフィンは、重量平均分子量が5×10以上、好ましくは1×10〜1×10の超高分子量成分を1重量%以上含有し、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が10〜300であるのが好ましい。超高分子量ポリオレフィン成分の含有量が1重量%未満では、膜の延伸性の向上に寄与するところが不十分である。一方、上限は特に限定的ではない。また、分子量分布が300を超えると、低分子量成分による破断が起こり薄膜全体の強度が低下するため好ましくない。
【0010】
b.電子導電性材料
電子導電性材料としては、各種の金属や半導体、酸化物系及び硫化物系の電子導電性材料、及びカーボンもしくはグラファイトが挙げられる。これらは粒子状、繊維状、フィブリル状、ウイスカー状等のいかなる形状であってもよい。特に好ましいものは、TiS、TiS、TiO、V、NbSe、MnO、LiCoO、LiNiO、LiMn、PbO、NiOOHなどの電池正極活物質、石油コークス、天然グラファイト、カーボンファイバー、Pb、Cdなどの電池負極活物質及びアセチレンブラック、ケッチェンブラック(AkzoChemic社商標)、カーボンウィスカー、グラファイトウィスカー、グラファイトフィブリル等の導電剤がある。
【0011】
c.オルガノポリシロキサン
本発明で用いるオルガノポリシロキサンは、1個のケイ素当たり少なくとも1個以上のケイ素−炭素結合を有し、ケイ素−酸素結合(→Si−O−Si←)を繰り返し単位とする高分子化合物である。例えばシリコーンオイル、シリコーン製ゴムとして市販されている重合度が10以上、好ましくは10〜10000のものが利用できる。重合度が10未満では揮発散逸が無視できなくなり好ましくない。一方、重合度が100を大きく超えると高粘度となり、ゲル状成形物へ均一に充填することが困難となるので、揮発性溶剤で希釈することが好ましい。
【0012】
オルガノポリシロキサンの具体例としては、有機基がメチル基であるポリジメチルシロキサンを基本として、ポリシロキサン鎖の末端又は内部に水素、ビニル基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、メタクリロキシ基、メルカプト基、長鎖アルキル基、フェニル基、塩素又はフッ素などが結合した変性ポリシロキサン、更に主鎖に非ポリシロキサン部分を持つもの、例えばアルキレンオキシド変性ポリシロキサン、シリコーン変性共重合体、アルコキシシラン変性重合体などが挙げられる。ポリメチルビニルシロキサン、ポリメチルフェニルビニルシロキサン、ポリメチルフルオロビニルシロキサンあるいは末端が水酸基封鎖されたポリジメチルシロキサンなどポリシロキサン鎖の内部又は末端にビニル基あるいは水酸基などを結合した変性ポリシロキサンも用いることができるが、−(CHCHO)−Rのようなエーテル系基を側鎖に持つ変性ポリシロキサンあるいは−〔(CHCOO(CH〕−Rのようなエステル系基を持つ変性ポリシロキサンは、非プロトン性電解質溶液との親和性だけでなく、リチウムイオンと一種の錯体を形成しイオン伝導促進効果が期待される。
【0013】
重合度の高いオルガノポリシロキサンを希釈する際の揮発性溶剤としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエンなどの炭化水素、塩化メチレン、四塩化炭素などの塩素化炭化水素、三塩化三フッ化エタンなどのフッ化炭化水素、ジエチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル類、その他、メタノール、エタノールなどのアルコール類が挙げられる。
なお、上記のオルガノポリシロキサンまたはその希釈溶液には、必要に応じてオルガノポリシロキサンの架橋剤、例えば有機過酸化物、3個以上の官能基を有する有機ケイ素化合物、アルキルオルリシリケート、金属系触媒あるいは合成シリカなどの補強材、その他の添加剤を少量調合してもよい。
【0014】
d.電解質溶液
非プロトン性電解質溶液の電解質としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩が用いられ、例えばLiF、NaI、LiI、LiClO、LiAsF、LiPF、LiBF、LiCFSO、NaSCN等が挙げられる。
また、非プロトン性電解質溶液の電解質を溶解する非プロトン性溶媒としては、アルカリ金属に対して安定な溶媒で、具体的には、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、ジメトキシエタン、アセトニトリル、フォルムアミド、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等の非プロトン性の高誘電率溶媒が単独または2種類以上の組み合わせで使用される。
【0015】
2.製法
本発明の固定化液膜導電体の製法は、A.電子導電性材料を含むポリオレフィン微多孔膜にオルガノポリシロキサンをコーティングし、電解質溶液を固定化する方法、B.電子導電性材料を含有するポリオレフィン組成物から成るゲル状成形物にオルガノポリシロキサンを充填して製膜し、電解質溶液を固定化する方法、の2通りの製法がある。
【0016】
A.電子導電性材料を含むポリオレフィン微多孔膜にオルガノポリシロキサンをコーティングし、電解質溶液を固定化する方法
A−a.微多孔膜の製法
電子導電性材料を含有するポリオレフィン微多孔膜は、上記の電子導電性材料をポリオレフィンに配合し、製膜することにより得ることができる。電子導電性材料の配合量は1〜200重量%、特に5〜100重量%であることが好ましい。この配合量が1重量%未満では十分な導電性が得られにくく、200重量%を超えると実用的に十分な強度の膜を得ることが困難となる。
上記の電子導電性材料を配合したポリオレフィン組成物の製膜は、特開昭60−242035号や特開平3−64334号に記載の方法で行えばよい。例えば次のようにして行うことができる。まず、ポリオレフィン組成物を溶媒に加熱溶解することにより溶液を調整する。この溶媒としてはポリオレフィン組成物を十分に溶解できるものであれば特に限定されず、特開昭60−242035号などに記載のものと同じでよいが、デカリン、キシレンなどの易揮発性の溶媒も用いることができる。加熱溶解は、ポリオレフィン組成物が溶媒中で完全に溶解する温度で撹拌しながら行う。その温度は使用する重合体及び溶媒により異なるが、140〜250℃の範囲が好ましい。また、ポリオレフィン組成物溶液の濃度は、10〜50重量%、好ましくは10〜40重量%である。
【0017】
次に、このポリオレフィン組成物溶液に電子導電性材料を均一に配合する。
更に、この電子導電性材料を配合したポリオレフィン組成物の加熱溶液をダイから押し出して成形する。ダイは、通常長方形の口金形状をしたシートダイが用いられるが、2重円筒状の中空糸ダイ、インフレーションダイなども用いることができる。シートダイを用いた場合のダイギャップは通常0.1〜5mmであり、押出し成形時には140〜250℃に加熱される。この際の押出し速度は、通常20〜30cm/分乃至5〜10m/分である。
このようにしてダイから押し出された溶液は、冷却することによりゲル状物に成形される。冷却速度は少なくともゲル化温度以下までは50℃/分以上の速度で行うのが好ましい。
【0018】
次に、このゲル状成形物を延伸する。延伸は、ゲル状成形物を加熱し、通常のテンター法、ロール法、インフレーション法、圧延法もしくはこれらの方法の組合せによって所定の倍率で行う。2軸延伸が好ましく、縦横同時延伸又は逐次延伸のいずれもよいが、特に2軸延伸が好ましい。延伸温度は、ポリオレフィン組成物の内、ポリエチレンの融点+10℃以下、好ましくは結晶分散温度から結晶融点未満の範囲である。例えば、90〜140℃、より好ましくは、100〜130℃の範囲である。
さらに、この延伸膜中に含まれる溶媒を塩化メチレンのような揮発性溶剤で抽出除去し、次いで乾燥、熱セットする。
なお、ポリオレフィン微多孔膜には、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、アンチブロッキング剤、顔料、染料、無機充填剤などの各種添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で添加することができる。
【0019】
上記の電子導電性材料を含有するポリオレフィン微多孔膜は、1〜1000μm、好ましくは5〜500μmの膜厚を有する。厚さが1μm未満では、機械的強度及び取扱の観点から実用に供することが難しい。一方、1000μmを超える場合には、実効抵抗が大きくなり、導電体としての体積効率も不利となる。
また、膜の空孔率は、限定的でないが、30〜95%、より好ましくは50〜90%の範囲のものである。空孔率が30%未満では、非プロトン性電解質溶液の固定化が不十分になる場合があり、一方、空孔率が95%を超えると、膜の機械的強度が小さくなり実用性に劣る。
【0020】
A−b.オルガノポリシロキサンのコーティング方法
オルガノポリシロキサンのコーティング方法としては、電子導電性材を含有するポリオレフィン微多孔膜に対して非溶媒である有機溶剤に溶解したオルガノポリシロキサンの溶液をポリオレフィン微多孔膜へスプレー、塗布あるいは該膜を液中に浸漬、その他のコーティング操作が挙げられる。有機溶剤を蒸発固化させた膜はさらに架橋を行うことがより好ましい。コーティングの厚さは、複合膜として1〜1000μmとすることが好ましい。
【0021】
A−c.電解質溶液の固定化方法
電子導電性材料及びオルガノポリシロキサンを含有するポリオレフィン微多孔膜に非プロトン性電解質溶液を固定化し非プロトン性電解質薄膜とする方法としては、含浸、塗布またはスプレーなどを単独あるいは組み合わせて使用することができる。また、電解質溶液を固定化するのは、電池に組み込む前でもよいし、電池組立途中工程でもよいし、電池組立最終工程でもよい。中でも、電池組立時の取扱性、皺などの混入防止、正負極板表面との密着性などの観点と、従来の電池組立工程をそのまま適用できることから、電池組立途中工程あるいは電池組立最終工程で電解質溶液を固定化する方法が好ましい。
なお、電解質溶液含有率は、電子導電材料及びオルガノポリシロキサンを含有するポリオレフィン微多孔膜の70〜350重量%、好ましくは80〜250重量%である。保持率が70重量%未満では、比導電率は向上するが電極材料として用いる場合の電解質溶液との界面が少なくなり、電池やコンデンサー及びエレクトロクロミック素子としての応用が実用性の面から制約される。一方、350重量%を超えると、膜の機械的強度が不十分となる。
【0022】
B.電子導電性材料を含有するポリオレフィン組成物から成るゲル状成形物にオルガノポリシロキサンを充填して製膜し、電解質溶液を固定化する方法
B−a.ゲル状成形物の作成
電子導電性材料を含有するポリオレフィン組成物から成るゲル状シートは、A−aに記載の微多孔膜の製法において延伸工程前のゲル状シートと同様にして作成される。即ち、超高分子量ポリオレフィンを溶媒に加熱溶解し、電子導電性材料を均一に配合し、この溶液をシート状に成形し、冷却することによりゲル状シートを得ることができる。
【0023】
B−b.オルガノポリシロキサンの充填と製膜
オルガノポリシロキサンを充填するため、まず前記のゲル状シート中の溶媒を除去する。除去方法としては、ゲル状シートの加熱による溶媒の蒸発除去、圧縮による除去、揮発性の溶剤による溶媒の抽出除去、凍結乾燥によりゲル状シートの網状組織を保ったままでの溶媒の除去などが挙げられるが、ゲル状シートの構造を著しく変化させることなく溶媒を除去するためには、揮発性溶剤による抽出除去が好ましい。また、ゲル状シート中の溶媒は1重量%以下まで除去することが好ましい。
【0024】
オルガノポリシロキサンの充填は、脱溶媒処理を行ったゲル状シートを、脱溶媒処理の揮発性溶剤の存在下又は不存在下においてオルガノポリシロキサン液もしくはその希釈溶液中に浸漬またはそれをコーティングすることによって行われる。また、脱溶媒処理を施していない未処理のゲル状シートの場合であっても、オルガノポリシロキサン液もしくはその希釈溶液を圧入することによって充填することができる。しかし、脱溶媒処理後の揮発性溶媒存在下でゲル状シートを浸漬する方が容易に充填できるため、より好ましい。
【0025】
オルガノポリシロキサン希釈溶液の希釈濃度は、ゲル状シート中に充填するオルガノポリシロキサンの量によって異なるが、少なくとも0.05重量%以上が好ましく、特に0.5重量%以上が好ましい。濃度が0.05重量%未満ではゲル状シート中に充填されるオルガノポリシロキサンが不足し、延伸時にピンホールが生じやすくなる。また、溶液粘度は、ゲル状シート全体にわたって均一に充填するために、25℃において500cSt未満が好ましく、特に100cSt未満が好ましい。
ゲル状シートへのオルガノポリシロキサンの充填量は、5〜90重量%が好ましく、特に10〜80重量%が好ましい。
次に、得られたオルガノポリシロキサン含有ゲル状シートを延伸する。延伸方法はA−aに記載のゲル状成形物の延伸工程と同様に行うことができる。
【0026】
B−c.電解質溶液の固定化方法
電解質溶液の固定化方法は、A−cに記載した方法と同様にして行うことができる。
【0027】
3.固定化液膜導電体の膜厚と比導電率
上記によって構成される本発明の固定化液膜導電体は、1〜1000μmの膜厚を有する。また、比導電率は、10−5Scm−1以上、好ましくは10−3Scm−1以上である。比導電率が10−5Scm−1未満では実効抵抗が大きくなり実用的でない。例えば、膜厚1μmのときの実効抵抗は1μm/10−5Scm−1、即ち10Ωcmとなる。
【0028】
【実施例】
本発明を以下の具体的な実施例によりさらに詳細に説明する。なお、実施例における膜厚の試験方法は、断面を走査型電子顕微鏡により測定した。
【0029】
実施例1
ポリエチレン(重量平均分子量40万のポリエチレン25重量部と重量平均分子量200万のポリエチレン5重量部)30重量部と石油コークス粉末30重量部とケッチェンブラック粉末(Akzo Chemic社商標)3重量部と流動パラフィン70重量部を含む混合物100重量部に酸化防止剤0.37重量部を加えて2軸押し出し機で加熱混練した。これを長方形の口金を有するダイスから押出し、チルロールで引き取り1mm厚のシートとした。このシートをバッチ式2軸延伸機を用いて120℃で5×5倍に同時2軸延伸し、残留する流動パラフィンをn−ヘキサンで洗浄後、金枠に固定した状態で120℃で乾燥、熱セットして電子導電性材料を含有するポリエチレン微多孔膜を得た。
【0030】
得られた電子導電性材料を含有するポリエチレン微多孔膜(膜厚30μm)にキシレンで15重量%に希釈した2液型室温硬化シリコンゴムコンパウンド(信越化学社製、商品名:KE103RTV)を塗布し、室温にて24時間放置して硬化しオルガノポリシロキサンの充填量53重量%の複合膜を得た。
このオルガノポリシロキサンを充填した電子導電性材料を含有するポリエチレン微多孔膜10×10mm角を25℃の1モルのLiPFを含むプロピレンカーボネート溶液に1時間浸漬し、膨潤率(重量増加率)125%の固定化液膜導電体を得た。
得られた固定化液膜導電体を直径10mmに打ち抜き、これを白金黒電極に挟み、周波数1kHzの交流で電気抵抗値を測定し、この値と固定化液膜導電体の厚み及び面積より算出した比導電率は7×10−2Scm−1であった。
【0031】
実施例2
ポリエチレン(重量平均分子量40万のポリエチレン25重量部と重量平均分子量200万のポリエチレン5重量部)30重量部と石油コークス粉末30重量部とケッチェンブラック粉末(Akzo Chemic社商標)3重量部と流動パラフィン70重量部を含む混合物100重量部に酸化防止剤0.37重量部を加えて2軸押し出し機で加熱混練した。これを長方形の口金を有するダイスから押出し、チルロールで引き取り1mm厚のシートとした。このシートを多量の塩化メチレン中に60分間浸漬し、次いでこのシートを乾燥させることなく直ちに、メチルビニルシリコーンオイル(日本ユニカー社製、商品名:NUCシリコーンガムストックW−9613)20重量%の塩化メチレン溶液中に移行し60分間浸漬した後、四方を固定した状態で塩化メチレンを乾燥除去してメチルビニルシリコーンオイル充填量45重量%のシートを得た。
【0032】
このメチルビニルシリコーンオイル充填シートをバッチ式2軸延伸機を用いて125℃で5×5倍に同時2軸延伸した。得られた膜の赤外線吸収スペクトルを測定したところ、ビニル基は認められず、また塩化メチレン抽出によるメチルビニルシリコーンオイルの溶出は認められなかった。
このオルガノポリシロキサンを充填した電子導電性材料を含有するポリエチレン膜を25℃の1モルのLiPFを含むプロピレンカーボネート溶液に1時間浸漬し、膜厚24μm、膨潤率(重量増加率)117%の固定化液膜導電体を得た。
得られた固定化液膜導電体を直径10mmに打ち抜き、これを白金黒電極に挟み、周波数1kHzの交流で電気抵抗値を測定し、この値と固定化液膜導電体の厚み及び面積より算出した比導電率は9×10−2Scm−1であった。
【0033】
比較例1
実施例1において、オルガノポリシロキサンを充填する前の電子導電性材料を含有するポリエチレン微多孔膜(膜厚30μm)の10cm×10cm 角を、25℃の1モルのLiPFを含むプロピレンカーボネート溶液に1時間浸漬し、膨潤率(重量増加率)81.5%の固定化液膜導電体を得た。
得られた固定化液膜導電体を直径10mmに打ち抜き、これを白金黒電極で挟み、周波数1kHzの交流で電気抵抗値を測定し、この値と固定化液膜導電体の厚み及び面積より算出した比導電率は4×10−2Scm−1であった。
【0034】
【発明の効果】
本発明の固定化液膜導電体は、充填したオルガノポリシロキサンの親和性により電解質溶液を固定化し、ポリオレフィンでできた多孔膜基材骨格によりその過度な膨潤を抑えることにより、広い温度範囲で安定的に電解質溶液を保持することができると共に、電解質溶液の蒸発速度を極めて低く保つことができることにより、良好な導電性を広い温度にわたり維持できる。即ち、電子導電性を著しく低下させることなく、過充電での安全性を向上することができる。さらに、この固定化液膜導電体はポリオレフィンでできた骨格により、機械強度が優れており、従来の電池製造工程をほとんど変更することなく適用することができる。また、この固定化液膜導電体は、イオンと電子の導電性を併せ持つため、電解質、特に液体電解質を用いる電池、エレクトロクロミック素子、電気二重層コンデンサー、液晶素子などの電極に有用である。この固定化液膜導電体中のイオン導電体は電極間の電解質と連続し、かつ多孔性導電膜とも広い面積で密着しているので、電解質を用いる各種セル、素子の電極材料として有効である。

Claims (7)

  1. 非プロトン性電解質溶液に親和性を有するオルガノポリシロキサン及び電子導電性材料を含有するポリオレフィン微多孔膜に、非プロトン性電解質溶液を固定化した固定化液膜導電体。
  2. 電子導電性材料を含有するポリオレフィン微多孔膜に、非プロトン性電解質溶液に親和性を有するオルガノポリシロキサンをコーティングし、これに非プロトン性電解質溶液を含浸させて固定化する固定化液膜導電体の製造方法。
  3. 電子導電性材料を含有するポリオレフィン組成物から成るゲル状成形物に非プロトン性電解質溶液に親和性を有するオルガノポリシロキサンを充填して製膜し、これに非プロトン性電解質溶液を含浸させて固定化する固定化液膜導電体の製造方法。
  4. 前記ゲル状成形物がポリオレフィンを溶媒に加熱溶解し、電子導電性材料を均一に配合し、この溶液をシート状に成形し、冷却することによりゲル状シートとし、溶媒を除去したものであることを特徴とする請求項3に記載の固定化液膜導電体の製造方法。
  5. オルガノポリシロキサンを充填した後、得られたオルガノポリシロキサン含有ゲル状シートを延伸することを特徴とする請求項3又は4に記載の固定化液膜導電体の製造方法。
  6. 請求項1に記載の固定化液膜導電体を用いた電極。
  7. 請求項1に記載の固定化液膜導電体を電極として用いた電池。
JP09147097A 1997-03-26 1997-03-26 固定化液膜導電体 Expired - Fee Related JP3586536B2 (ja)

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