JP3586111B2 - ボトル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はポリエステル製ボトルに関して、更に詳しくは特定の樹脂組成物からなる透明性、ガスバリア性、紫外線遮断性、機械強度および成形性が良好なボトルに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ジュース、炭酸飲料、水、油、調味料、アルコール飲料、化粧品、洗剤などを充填する容器としてポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記することがある)が広く利用されてきた。
しかし、近年の検討では、PETでは高温での耐熱性が不足したり、紫外線遮断性が不十分で内容物が品質劣化を起こしたり、小型ボトルでのガスバリア性が不足したりする問題がある。
このため透明性に優れると共に耐熱性、紫外線遮断性、ガスバリア性、機械強度および成形性が良好なポリエステル製ボトルの出現が望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、透明性、紫外線遮断性、機械強度および成形性が良好なボトルを提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明は、下記ポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(い)5〜50重量%および下記ポリエチレンテレフタレート(ろ)95〜50重量%から成形され、ボトルを構成するポリエステルの相溶化度が0.15〜0.50かつ融点が式(1)を満足するボトルである。
Tm≦254−28×(ボトルを構成するポリエステル中のEN単位の含有量(モル%)/100)・・・(1)
(但し、上記式中EN単位はエチレンナフタレンジカルボキシレート単位を意味する)
(い)エチレンナフタレンジカルボキシレート単位を全繰り返し単位あたり94〜80モル%およびエチレンテレフタレート単位を全繰り返し単位あたり6〜20モル%からなり、ジエチレングリコール単位含有量が全ポリエチレンナフタンジカルボキシレート(い)あたり0.8〜2.5重量%であり、カルボキシル基末端数が40eq/T(106g)以下かつ全末端数が95eq/T以上であるポリエチレンナフタレンジカルボキシレート;
(ろ)主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレート単位であり、ジエチレングリコール単位を全ポリエチレンテレフタレート(ろ)あたり1.2〜2.4重量%含有し、カルボキシル基末端数が30eq/T以下、固有粘度が0.7以上かつ溶融温度が250℃以下であるポリエチレンテレフタレート
以下、本発明について詳細に説明する。
【0005】
[ボトル]
本発明のボトルは下記ポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(い)5〜50重量%および下記ポリエチレンテレフタレート(ろ)95〜50重量%から成形され、ボトルを構成するポリエステルの相溶化度が0.15〜0.50かつ融点が式(1)を満足するボトルである。
Tm≦254−28×(ボトルを構成するポリエステル中のEN単位の含有量(モル%)/100)・・・(1)
(但し、上記式中EN単位はエチレンナフタレンジカルボキシレート単位を意味する)
【0006】
[ポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(い)およびポリエチレンテレフタレート(ろ)]
本発明のボトルは、ポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(い)5〜50重量%およびポリエチレンテレフタレート(ろ)95〜50重量%から成形されてなる。ポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(い)が5重量%未満であるとボトルを構成するポリエステル中に存在するエチレンナフタレート単位は全ポリエステルあたり4重量%未満となり紫外線遮断性が劣り、50重量%を超えるとボトルを構成するポリエステル中に存在するエチレンナフタレート単位は47.5重量%を超え非晶性が強くなり強度低下を起こし好ましくない。
【0007】
ポリエチレンテレフタレート(ろ)が95重量%を超えるとボトルを構成するポリエステル中に存在するエチレンナフタレート単位は全ポリエステルあたり4重量%未満となり紫外線遮断性が劣り、50重量%未満であると非晶性が強くなり強度低下を起こし好ましくない。
【0008】
[相溶化度]
ボトルを構成するポリエステルの相溶化度(相溶化度=PNT+PTN)は次式で定義される。
相溶化度=PNT+PTN
PNT;QA単位に隣接するTA単位の存在確率
PNT=(ITEN/2)/(I NEN +(ITEN/2))
PTN;TA単位に隣接するQA単位の存在確率
PTN=(ITEN/2)/(I TET +(ITEN/2))
ITET;TA−EG−TAにおけるEG上の水素の積分強度(NMRにて測定)
INEN;QA−EG−QAにおけるEG上の水素の積分強度(NMRにて測定)
ITEN;QA−EG−TAにおけるEG上の水素の積分強度(NMRにて測定)
ここで、QAはナフタレンジカルボン酸単位、TAはテレフタル酸単位、EGはエチレングリコール単位である。
【0009】
ボトルを構成するポリエステルの相溶化度は0.15〜0.50、好ましくは0.2〜0.40である。相溶化度が0.15未満であるとポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(い)とポリエチレンテレフタレート(ろ)の相溶化が不十分であり、透明性が損なわれ、0.50を超えると非晶性が強くなり機械強度が低下する。
【0010】
[融点]
ボトルを構成するポリエステルの融点(以下、Tmと略記することがある)は式(1)の範囲である。
Tm≦254−28×(ボトルを構成するポリエステル中のEN単位の含有量(%)/100)・・・(1)
(但し、上記式中EN単位はエチレンナフタレンジカルボキシレート単位を意味する)
Tmが式(1)の範囲を超えるとポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(い)とポリエチレンテレフタレート(ろ)の相溶化が不十分であり、透明性が損なわれる。
【0011】
[固有粘度]
ボトルを構成するポリエステルの固有粘度(IV)は式(2)で示される範囲であることが好ましく、更に好ましくは0.55〜0.85の範囲が好ましい。
0.5≦IV≦0.9・・・・(2)
IVが0.5より下回ると成形性が悪化し好ましくなく、0.9を超えると流動性が悪化し成形性が悪化する。固有粘度はテトラクロロエタン:フェノール=4:6の混合溶媒にて35℃で測定した値から算出した数値である。
【0012】
[ヘーズ]
ボトルのヘーズは好ましくは3%以下、更に好ましくは2%以下である。ヘーズが3%を超えると透明性が悪く外観不良であり好ましくない。ここで、ヘーズはボトルの胴部について、厚さ300μmのサンプルで算出した数値である。
【0013】
[ポリエステル中の元素]
ボトルを構成するポリエステル中の存在するゲルマニウム(Ge)およびアンチモン(Sb)元素の量は下記式(3)を満足することが好ましい。
53≦(1/2)Sb+Ge≦150・・・(3)
(ただし、各元素の量は全ポリエステルに対するppm単位である)
ポリエステル中のゲルマニウムおよびアンチモンの量((1/2)Sb+Ge)が式(3)の53ppm未満であるとポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(い)とポリエチレンテレフタレート(ろ)との相溶化速度が遅く、150ppmを超えると分解速度が速くなり再生アセトアルデヒド量が多く、IV劣化も大きく、好ましくない。
【0014】
ボトルを構成するポリエステル中の存在するリン(P)元素の量は下記式(4)を満足することが好ましい。
25≦P≦70・・・(4)
(ただし、各元素の量は全ポリエステルに対するppm単位である)
リン元素の存在量が25ppmより低くても70ppmより高くても熱安定性が悪化し好ましくない。
【0015】
[ポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(い)]
本発明におけるポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(以下、PENと略記することがある)(い)は、エチレンナフタレンジカルボキシレート単位を全繰り返し単位あたり94〜80モル%およびエチレンテレフタレート単位を全繰り返し単位あたり6〜20モル%からなり、ジエチレングリコール単位含有量が全ポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(い)あたり0.8〜2.5重量%であり、カルボキシル基末端数が40eq/T(106g)以下かつ全末端数が95eq/T以上であるポリエチレンナフタレンジカルボキシレートである。
【0016】
[エチレンナフタレンジカルボキシレート単位およびエチレンテレフタレート単位]
ポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(い)は、エチレンナフタレンジカルボキシレート単位を全繰り返し単位あたり94〜80モル%およびエチレンテレフタレート単位を全繰り返し単位あたり6〜20モル%からなる。エチレンナフタレンジカルボキシレート単位が全繰り返し単位あたり94モル%を超えるとポリエチレンテレフタレート(ろ)との相溶化が遅くボトル品質が低下し、80モル%未満であると非晶性が強くなり乾燥での融着が顕著になる。エチレンテレフタレート単位が全繰り返し単位あたり6モル%未満であるとポリエチレンテレフタレート(ろ)との相溶化が遅くボトル品質が低下し、20モル%を超えると非晶性が強くなり乾燥での融着が顕著になる。
【0017】
[ジエチレングリコール単位含有量]
ポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(い)のジエチレングリコール単位含有量は、全ポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(い)あたり0.8〜2.5重量%、好ましくは0.8〜1.2重量%である。0.8重量%未満であると靭性が低く割れやすい。2.5重量%を超えると非晶性が強くなり乾燥等で融着の原因となる。
【0018】
[カルボキシル基末端数]
ポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(い)のカルボキシル末端数は、40eq/T以下、好ましくは30eq/T以下である。カルボキシル末端数が40eq/Tを超えるとポリマー主鎖の分解が促進される。ここで、Tはトン(106g)である。
【0019】
[全末端数]
ポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(い)は、本発明で定義するポリマー全末端数が95eq/T以上、好ましくは105eq/T以上、さらに好ましくは120eq/T以上である。全末端が95eq/Tを未満であるとポリエチレンナフタレンジカルボキシレート末端の作用が低下し、ポリエチレンテレフタレート(ろ)との相溶化速度が低下する。
本発明において全末端数の定義は下記式、
全末端数=(2×106)/(DP×244.2+62.07)
である。なお、
DP=(3.8×104×IV1.18−62.07)/242.2
であり、IVは固有粘度である。
【0020】
[チップ]
本発明においてポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(い)は、チップとしてボトルの成形に用いられるが、チップはASTM標準篩4〜10meshの範囲にチップの90%以上存在するチップであることが好ましい。このときポリエチレンテレフタレート(ろ)との相溶化が促進され好ましい。
【0021】
[固有粘度]
ポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(い)の固有粘度は好ましくは0.60以下、更に好ましくは0.55以下、特に好ましくは0.49以下である。固有粘度はテトラクロロエタン:フェノ−ル=4:6の混合溶媒中、35℃での測定値から算出した値である。
【0022】
[共重合成分]
ポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(い)には、エチレンテレフタレート単位(以下、ET単位と称することがある)以外の共重合成分を共重合することができる。このような共重合成分が存在する場合、共重合成分の量は全ジカルボン酸成分あたり0〜14モル%である。この範囲で共重合成分を1種類または2種類以上共重合することができる。
【0023】
共重合できるジカルボン酸成分として例えば、2,7−、1,5−、1,7−その他のナフタレンジカルボン酸の異性体;イソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸等の如き芳香族ジカルボン酸;ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の如き脂環属族ジカルボン酸;アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸等の如き脂肪族ジカルボン酸を例示することができる。
【0024】
共重合できるグリコール成分として例えば、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4‘−β−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン酸を例示することができる。
【0025】
共重合できる多官能化合物成分として例えば、p−β−ヒドロキシエトキシ安息香酸、ε−オキシカプロン酸等の如きオキシ酸を例示することができる。
【0026】
[ポリエチレンテレフタレート(ろ)]
本発明におけるポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記することがある)(ろ)は、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレート単位であり、ジエチレングリコール単位を全ポリエチレンテレフタレート(ろ)あたり1.2〜2.4重量%含有し、カルボキシル基末端数が30eq/T以下、固有粘度が0.7以上かつ溶融温度が250℃以下であるポリエチレンテレフタレートである。
【0027】
[主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレート単位]
本発明におけるポリエチレンテレフタレート(ろ)は、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレート単位であるポリエチレンテレフタレートである。主たる繰り返し単位とは全繰り返し単位あたり通常80モル%以上、好ましくは90モル%以上の繰り返し単位である。エチレンテレフタレート単位が全繰り返し単位あたり80モル%未満であると非晶性が強くなり乾燥での融着が顕著となる。
【0028】
[ジエチレングリコール単位]
ポリエチレンテレフタレート(ろ)はジエチレングリコール単位を全ポリエチレンテレフタレート(ろ)あたり1.2〜2.4重量%、好ましくは1.3〜1.8重量%含有する。1.2重量%未満であると流動性が低下し、成形性が悪化し、2.4重量%を超えるとボトルの強度が低下する。
【0029】
[カルボキシル基末端数]
ポリエチレンテレフタレート(ろ)のカルボキシル基末端数は30eq/T以下、好ましくは25eq/T以下である。30eq/Tを超えるとカルボキシル基末端によるポリエステル主鎖の切断が多い。
【0030】
[固有粘度]
ポリエチレンテレフタレート(ろ)の固有粘度は0.7以上である。固有粘度が0.7未満であるとボトル成形性が低下する。固有粘度はテトラクロロエタン:フェノ−ル=4:6の混合溶媒中、35℃での測定値から算出した値である。
【0031】
[溶融温度]
ポリエチレンテレフタレート(ろ)の溶融温度(示差走査型熱量計で測定される結晶融解温度、昇温速度は20℃/min.)は250℃以下、好ましくは244℃以下である。溶融温度が250℃を超えるとポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(い)との溶融混練での相溶化において溶融開始が遅くなり、相溶化反応時間が長くなる。
【0032】
[チップ]
本発明においてポリエチレンテレフタレート(ろ)は、チップとしてボトルの成形に用いられるが、チップはASTM標準篩4〜10meshの範囲にチップの90%以上存在するチップであることが好ましい。このときポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(い)との相溶化が促進され好ましい。
【0033】
[共重合成分]
ポリエチレンテレフタレート(ろ)には、エチレンテレフタレート単位(以下、ET単位と称することがある)以外の共重合成分を共重合することができる。このような共重合成分が存在する場合、共重合成分の量は全ジカルボン酸成分あたり0〜20モル%である。この範囲で共重合成分を1種類または2種類以上共重合することができる。
【0034】
共重合できるジカルボン酸成分として例えば、2,6ーナフタレンジカルボン酸、2,7−、1,5−、1,7−その他のナフタレンジカルボン酸の異性体;フタル酸、イソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸等の如き芳香族ジカルボン酸;ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の如き脂環属族ジカルボン酸;アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸等の如き脂肪族ジカルボン酸を例示することができる。
【0035】
共重合できるグリコール成分として例えば、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4‘−β−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン酸を例示することができる。
【0036】
共重合できる多官能化合物成分として例えば、p−β−ヒドロキシエトキシ安息香酸、ε−オキシカプロン酸等の如きオキシ酸例示することができる。
【0037】
さらに、トリメリット酸、ピロメリット酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールメタン、ペンタエリスリトール等の多官能化合物を全ジカルボン酸成分あたり2モル%以下共重合することができる。
【0038】
[ポリエステルの製造方法]
ポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(い)は、公知の方法にてエステル化またはエステル交換反応を行い製造することができる。この際のエステル交換反応触媒としては、コバルト・マンガン化合物等を用いるのが好ましい。この場合、コバルト(Co)原子とマンガン(Mn)原子の量は下記式
60≦Co+Mn≦165ppm
の範囲が好ましい。
【0039】
引き続き、ゲルマニウムまたはアンチモン触媒の存在下、リン化合物を共存させて重縮合反応を行い、ポリエチレンナフタレンジカルボキシレートを得ることができる。
ゲルマニウム(Ge)、アンチモン(Sb)原子の量は下記式
50≦Ge+1/2Sb≦150ppm
の範囲が好ましい。
【0040】
リン化合物としては例えば、正リン酸、次亜リン酸、亜リン酸等の無機リン酸;トリメチルホスフェート等の有機リン酸を例示することができる。
これらはエチレングリコール溶液として用いられることが好ましい。
【0041】
ポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(い)は、さらに常法に従って結晶化または固相重合されたものでもよい。
【0042】
ポリエチレンテレフタレート(ろ)は公知の方法によって製造することができる。エステル交換反応または直接エステル化の後、ゲルマニウムおよび/またはアンチモン触媒によって重合することができる。さらに固相重合することが好ましい。固相重合は公知の方法で行うことができる。固相重合の反応温度は220℃以下、反応時間は5時間以上であることが好ましい。反応温度が220℃を超えると固相ポリマーの溶融温度が250℃を超え好ましくない。
【0043】
本発明のボトルは、一般の成形法、例えば射出ブロー成形、配向ブロー、押出ブロー法により成形することができる。
【0044】
配向ブロー法の適当な例としてはまず、本発明に記載のポリエステルポリマーを用い、射出成形を行いプリフォームを成形する。
【0045】
引き続き、そのプリフォームを加熱し二軸延伸ブロー成形しボトルを形成する。この際、冷却ブローによるヒートセットを実施しても良い。ホットパリソンによる1ステージ延伸ブロー成形を実施しても良い。
【0046】
また、一軸または二軸押出機にてポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(い)とポリエチレンテレフタレート(ろ)を溶融混合にてプレブレンドし、ペレット化し、それを用いてボトル成形してもよい。
【0047】
相溶化度および融点を本発明の範囲にするためには、プリフォーム成形温度は265〜317℃の範囲にすることが好ましい。プリフォームの成形において、成形温度が低すぎると、成形での流動性が低下し好ましくなく、成形温度が高すぎると熱劣化が大きく好ましくない。
【0048】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。重量部を部と略記することがある。
【0049】
(1)固有粘度(IV):
テトラクロロエタン:フェノ−ル=4:6の混合溶媒中、35℃での測定値から算出した値である。
【0050】
(2)成形:
プリフォームは名機製作所製M100DM成形機にて成形した。透明なプリフォームが得られるときの成形温度および滞留時間の値で成形性を評価した。成形性良好とは、低温および短時間の滞留時間で成形できることである。
ボトルはKRUPP CORPOPLAST社製LB01にて成形した。
【0051】
(3)カルボキシル基末端:
ベンジルアルコールにサンプルを溶解し、フェノールレッド指示薬を添加し、水酸化ナトリウムにて中和滴定した。
【0052】
(4)溶融温度および融点:
ポリエチレンテレフタレートの溶融温度は、示差走査型熱量計(DSC)で測定し、昇温速度20℃/min.の条件での結晶融解温度をもって溶融温度とした。
ボトルの融点は、ボトル口部からサンプルを切り出し、示差走査型熱量計(DSC)で昇温速度5℃/min.の条件で測定した。
【0053】
(5)ヘーズ:
ボトル胴部のヘーズを日本電色工業社製濁度計にて測定した。サンプルは厚み300μmである。
【0054】
(6)ジエチレングリコール(以下、DEGと略記することがある)量:
サンプルをヒドラジン分解し、ガスクロマトグラフィーにて測定した。
【0055】
(7)相溶化度:
600MHzのNMRにて、エチレングリコールを構成する各水素の積分強度を測定し、次式にて計算した。
相溶化度=PNT+PTN
PNT;QA単位に隣接するTA単位の存在確率
PNT=(ITEN/2)/(ITET+(ITEN/2))
PTN;TA単位に隣接するQA単位の存在確率
PTN=(ITEN/2)/(INEN+(ITEN/2))
ITET;TA−EG−TAにおけるEG上の水素の積分強度(NMRにて測定)
INEN;QA−EG−QAにおけるEG上の水素の積分強度(NMRにて測定)
ITEN;QA−EG−TAにおけるEG上の水素の積分強度(NMRにて測定)
ここで、QAはナフタレンジカルボン酸単位、TAはテレフタル酸単位、EGはエチレングリコール単位である。
【0056】
(8)紫外線遮断性:
ボトル胴部を切り出し、厚さ300μmのサンプルについて、紫外可視吸光光度計にて各波長での透過率を測定し透過率0%の波長で最も長波長の波長を紫外線遮断波長(表中、UVカット波長)とした。
【0057】
(9)座屈強度(機械強度):
ボトルにロードセルにて50mm/min.の速度で荷重をかけたとき、ボトルが座屈する荷重を測定した。
【0058】
[参考例1](PEN1の製造)
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル88重量部およびジメチルテレフタレート9.6部ならびにエチレングリコール(以下、EGと略記することがある)51部を、酢酸コバルト四水塩0.01部および酢酸マンガン四水塩0.03部をエステル交換触媒として用いて、常法に従ってエステル交換反応させ、三酸化アンチモンのEG2.74%溶液1.0部添加したのち、トリメチルホスフェートの4.3%エチレングリコール溶液0.54部を添加し、エステル交換反応を終了せしめた。
【0059】
引き続き常法通り高温高真空下で重縮合反応を60分間行い、その後ストランド型のチップとした。得られたチップ状のポリマーの固有粘度は0.44であった。詳細は表1のとおりであった。
【0060】
[参考例2〜8](PEN2〜8の製造)
同様にして、チップ状のPENポリマー(PEN2〜8)を得た。詳細は表1のとおりであった。
【0061】
【表1】
【0062】
[参考例9](PET1の製造)
テレフタル酸100部およびエチレングリコール51部をエステル化反応させた後、ゲルマニウムの1%EG溶液を0.93部添加し、トリメチルホスフェートの4.3%エチレングリコール溶液0.42部を添加した。引き続き常法通り高温高真空下で重縮合反応を行い、その後ストランド型のチップ状のポリマーを得た。
【0063】
[参考例10〜16](PET2〜8の製造)
同様にして、チップ状のPETポリマー(PET2〜8)を得た。詳細は表2のとおりであった。
【0064】
【表2】
【0065】
[実施例1〜15および比較例1〜3]
実施例1〜14および比較例1〜3は、参考例で準備したチップ状のPENポリマーおよびPETポリマーを用い表3記載の各ブレンド比にて名機社M100DM射出成形機を使用して表3記載の条件でプリフォームを成形した。得られたプリフォームを用いてコーポプラスト社LB01ブロー成形機にて内容積1.5Lボトルを成形した。
【0066】
実施例15は、PEN、PETポリマーを二軸押出機にて295℃の成形温度で溶融混合しペレット化した。これを用いて上記同様にボトルを成形した。ボトル成形性及び物性を表3に示した。
【0067】
【表3】
【0068】
【発明の効果】
本発明によれば、透明性、紫外線遮断性、機械強度および成形性が良好なボトルを提供することができる。
Claims (5)
- 下記ポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(い)5〜50重量%および下記ポリエチレンテレフタレート(ろ)95〜50重量%から成形され、ボトルを構成するポリエステルの相溶化度が0.15〜0.50かつ融点が式(1)を満足するボトル。
Tm≦254−28×(ボトルを構成するポリエステル中のEN単位の含有量(モル%)/100)・・・(1)
(但し、上記式中EN単位はエチレンナフタレンジカルボキシレート単位を意味する)
(い)エチレンナフタレンジカルボキシレート単位を全繰り返し単位あたり94〜80モル%およびエチレンテレフタレート単位を全繰り返し単位あたり6〜20モル%からなり、ジエチレングリコール単位含有量が全ポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(い)あたり0.8〜2.5重量%であり、カルボキシル基末端数が40eq/T(106g)以下かつ全末端数が95eq/T以上であるポリエチレンナフタレンジカルボキシレート;
(ろ)主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレート単位であり、ジエチレングリコール単位を全ポリエチレンテレフタレート(ろ)あたり1.2〜2.4重量%含有し、カルボキシル基末端数が30eq/T以下、固有粘度が0.7以上かつ溶融温度が250℃以下であるポリエチレンテレフタレート - ポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(い)およびポリエチレンテレフタレート(ろ)が、成形に供されたASTM標準篩4〜10meshの範囲にチップの全重量の90%以上が存在するチップに由来する請求項1記載のボトル。
- ポリエチレンテレフタレート(ろ)の主たる繰り返し単位のエチレンテレフタレート単位が全繰り返し単位あたり80モル%以上である請求項1記載のボトル。
- ボトルを構成するポリエステルの固有粘度が式(2)を満足する請求項1記載のボトル。
0.5≦IV≦0.9・・・(2)
[ただし、IVは固有粘度である] - ヘーズが3%以下、ボトルを構成するポリエステル中の残存アンチモン、ゲルマニウムおよびリン元素の量が式(3)および(4)を満足する請求項1記載のボトル。
53≦1/2Sb+Ge≦150・・・(3)
25≦P≦70・・・(4)
[ただし、各元素の単位は全ポリエステルに対するppm単位である]
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