JP3502538B2 - ポリエチレンナフタレート樹脂粒状物、それからなる成形品およびボトル - Google Patents

ポリエチレンナフタレート樹脂粒状物、それからなる成形品およびボトル

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  • Containers Having Bodies Formed In One Piece (AREA)
  • Blow-Moulding Or Thermoforming Of Plastics Or The Like (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はボトル、シート等の
包装材料成形用に用いられるポリエチレンナフタレンジ
カルボキシレート(以下、ポリエチレンナフタレート又
はPENと略記することがある)樹脂に関し、更に詳し
くは色相が良好で成形性に優れたPEN樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】PENはポリエチレンテレフタレート
(以下、PETと略記することがある)に比べ耐熱性、
ガスバリア−性、耐薬品性、強度等の基本物性が優れて
いることからボトル(容器)やシート材等の包装材料
用、又、フィルム用として有用である。しかしながら、
非晶PENはPETと比較して長期保管において色相の
変化が大きいという問題点がある。また、PENはPE
Tに比べボトル、フィルムなどの成形時、延伸成形体の
透明性が低下したり、外観不良を起こしやすい問題があ
る。
【0003】
【発明の解決しようとする課題】本発明の目的は上記の
PENのもつ問題点を解決し、色相、成形性に優れ、特
に受光時の耐変色性に優れた樹脂粒状物および成形物を
提供することにある。さらに、本発明は飲料用ボトルと
して好適な上記特性を備えた樹脂粒状物を得ることを課
題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】即ち本発明は、ナフタレ
ンジカルボン酸を主たる酸成分とし、エチレングリコー
ルを主たるグリコール成分とするポリエチレンナフタレ
ート樹脂粒状物であって、該樹脂粒状物は非晶状態のポ
リエチレンナフタレート樹脂を、波長220〜300n
mの紫外線受光量が3000mJ/cm 2 に達するまで
の間に、結晶化せしめることにより製造され、本発明で
定義する表面層を有しないか、または有しても該表面層
は20μm以下であることを特徴とする、色相に優れる
ポリエチレンナフタレート樹脂粒状物である。
【0005】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明において、「主たる」とは70モル%を超え、好ま
しくは80モル%を超えることを言う。従って、30モ
ル%未満の他の成分が共重合又は混合体として含有され
てもよい。
【0006】本発明におけるナフタレンジカルボン酸を
主たる酸成分とし、エチレングリコールを主たるグリコ
ール成分とするポリエチレンナフタレート樹脂は、ポリ
エチレン―2,6―ナフタレンジカルボキシレートのホ
モポリマーを主たる対象とするが、2,6―ナフタレン
ジカルボン酸成分の一部(30モル%未満、好ましくは
20モル%未満)を他のジカルボン酸成分で置換しても
よい。他のジカルボン酸成分としては、2,7―、1,5
―もしくは1,7―ナフタレンジカルボン酸またはその
異性体、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカ
ルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタ
ンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジ
フェニルスルホンジカルボン酸等のごとき芳香族ジカル
ボン酸;ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソ
フタル酸等の如き脂環属族ジカルボン酸;アジピン酸、
セバチン酸、アゼライン酸等の如き脂肪族ジカルボン
酸;p−β―ヒドロキシエトキシ安息香酸、ε―オキシ
カプロン酸等の如きオキシ酸を挙げることができる。
【0007】また、エチレングリコール成分の一部(3
0モル%未満、好ましくは20モル%未満)を他のジオ
ール成分で置換してもよい。他のジオール成分として
は、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコー
ル、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコー
ル、ネオペンチルグリコール、1,1―シクロヘキサン
ジメタノール、1,4―シクロヘキサンジメタノール、
2,2―ビス(4‘―β―ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、ビス(4’―β―ヒドロキシエトキシフェニル)ス
ルホン酸等を挙げることができる。
【0008】本発明におけるナフタレンジカルボン酸を
主たる酸成分とし、エチレングリコールを主たるグリコ
ール成分とするポリエチレンナフタレート樹脂はジカル
ボン酸成分およジオール成分それぞれについて、30モ
ル%、好ましくは20モル%までの共重合成分の存在を
許容する。
【0009】本発明におけるポリエチレンナフタレート
樹脂は、PETと基本的に同様な方法にてエステル化又
はエステル交換反応を行うことにより得ることができ
る。エステル交換反応触媒には、コバルト、マンガン、
カルシウムまたはマグネシウム化合物を用いるのが好ま
しい。さらに好ましくは、エステル化またはエステル交
換反応に引き続き、ゲルマニウム触媒または/およびア
ンチモン触媒ならびにリン化合物の存在下にて重縮合反
応を行いプレポリマーを得る。ゲルマニウム触媒または
アンチモン触媒の量は、生産性、熱安定性の点より実質
的に5〜50mmol%の範囲であることが好ましい。
【0010】本発明において好ましくは、得られたポリ
エチレンナフタレート樹脂は、非晶状態の樹脂粒状物の
状態で170〜230℃にて結晶化を行い、さらに、溶
融温度より低い温度にて固相重合して得る。結晶化工程
は、非晶チップの表面層の厚みが20μmを超える前に
行われることが好ましい。表面層の厚みが20μm以下
であれば、結晶化、固相重合後の樹脂の色相の変化はほ
とんど見られず、長期保管において生産時の良好な色相
を保持できる。
【0011】なお、本発明における表面層とは、樹脂粒
状物の表面付近に存在する黄色に変色した層である。こ
の表面層は主にポリマー自体が劣化したものからなる。
本発明において樹脂粒状物とチップは同義である。
【0012】本発明において、ポリエチレンナフタレー
ト樹脂の結晶化、特に結晶化とそれに続く固相重合は、
結晶化工程に供するする非晶状態でのポリエチレンナフ
タレート樹脂の220〜300nmでの紫外線の受光量
が3000mJ/cm2に達する前であることが好ましい。
この条件を満足して、結晶化、特に結晶化および固相重
合を行うことにより、本発明におけるポリエチレンナフ
タレート樹脂を得ることができる。220〜300nm
の紫外線の受光量が3000mJ/cm2に達すると着色層
は20μmを超えてしまい生産時の良好な色相を保持で
きなくなる。紫外線受光量は220〜300nmの範囲
での測定値であり、ピーク波長は250±10nmであ
る。
【0013】結晶化されたポリエチレンナフタレートに
含まれるアセトアルデヒド量は10ppm以下であるこ
とが好ましい。10ppmを超えると成形体にした際に
再生するアセトアルデヒド量を合わせたト−タルのアセ
トアルデヒド量が多く、成形体の充填物に臭気を与え好
ましくない。
【0014】本発明におけるポリエチレンナフタレート
樹脂の結晶化度は20%以上、50%以下であることが
好ましい。結晶化度が20%未満であると結晶化が不十
分で長期保管における色相の変化を抑制できない。結晶
化度が50%を超えると通常の射出成形、フィルム成形
において溶融が不十分で未溶解分が残り、成形体の外観
を損なう。
【0015】本発明におけるポリエチレンナフタレート
樹脂中に含まれるジエチレングリコール単位は0.8w
t%以上3.0wt%以下であることが好ましい。ジエ
チレングリコール成分の含有量が0.8wt%未満であ
るとボトル成形時等の延伸工程で結晶化による透明性の
低下を引き起こし、3.0wt%を超えると熱安定性が
低下する。
【0016】製造工程においてジエチレングリコール含
有量は製造工程内で生成するもの及びジエチレングリコ
ールの添加にて調整する。添加する場合の時期は、エス
テル交換反応初期に添加することが好ましい。
【0017】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に
説明する。 (1)固有粘度(IV):テトラクロロエタン:フェノ
−ル=4:6の混合溶媒として35℃で測定した。
【0018】(2)Col− b(色相):非晶性ポリ
マーは170度×3hr乾燥機中で熱処理し、結晶化さ
せた後、結晶性ポリマーは前処理なしでそのままの状態
でカラーマシン社製CM−7500型カラーマシンで色
相を測定した。
【0019】(3)ヘーズ(透明性):ポリマーを16
0℃で5時間乾燥した後、名機制作所製の射出成形機1
00DMを用い成形温度305℃、成形サイクル40秒
で63gのプリフォームを成形し、これをブロー延伸し
内容積1.0l、胴部肉厚400μmのボトルとした。
このボトル胴部のヘーズを日本電色工業社製濁度計にて
測定した。
【0020】(4)ジエチレングリコール成分含有量:
ポリマー2gをヒドラジン10mlにて分解し、ガスク
ロマトグラフィにて測定した。
【0021】(5)結晶化度:硝酸カルシウムで作成し
た密度勾配管にて樹脂粒状物の結晶化度を測定した。
【0022】(6)紫外線量の測定:ミノルタ社製紫外
線強度計UM−10にて測定。受光部はUM−250使
用した。測定波長は220〜300nm、ピーク波長は
250±10nmである。
【0023】(7)アセトアルデヒド量:チップ又は成
形体を凍結粉砕し、ヘッドスペースガスクロマトグラフ
によって測定した。
【0024】(8)表面層の厚み 樹脂粒状物の表面層は樹脂粒状物の切断面を顕微鏡で写
真撮影して測定した。
【0025】[実施例1]2,6―ナフタレンジカルボ
ン酸ジメチルエステル100部(以下、重量部を部と略
記する)とエチレングリコール(EGと略記する)51
部とを酢酸コバルト四水塩0.003部(0.012m
mol)、酢酸カルシウム一水塩0.014部(0.0
8mmol)及び酢酸マグネシウム四水塩0.044部
(0.205mmol)をエステル交換触媒として用
い、常法に従ってエステル交換反応させ、非晶性二酸化
ゲルマニウムのEG1%溶液1.5部(0.14mmo
l)添加したのち、トリメチルフォスフェート0.05
7部(0.41mmol)を添加し、エステル交換反応
を終了せしめた。次に引き続き常法通り高温高真空下で
重縮合反応を行い、その後ストランド型の樹脂粒状物
(チップ)とした。得られたポリマーの固有粘度は0.
5、Col−L/b=83/−3.0、ジエチレングリ
コール含有量は1.5wt%で有り、重合時間は70分
であった。顕微鏡観察によって着色層は観察されなかっ
た。
【0026】得られたチップを日光暴露4時間行い、こ
の時の250nmの紫外線受光量は1600mJ/cm
2であった。処理後のチップを顕微鏡観察したところ着
色層の厚みは2μmで、Col−L/b=83/−2.
9であった。
【0027】更に、常法によりこのプレポリマーを結晶
化の後、固相重合した。得られたポリマーの固有粘度は
0.65、結晶化度は37%、Col−L/b= 84
/−2.0、アセトアルデヒド量は5ppmであった。
【0028】得られたチップを日光暴露3日間行い、こ
の時の250nmの紫外線受光量は12000mJ/c
2であった。処理後のチップを顕微鏡観察したところ
着色層の厚みは10μmで、Col−L/b=84.1
/−1.9であった。
【0029】ついでこのチップから射出成形機を用いて
シリンダー温度300℃でプリフォームを成形した。プ
リフォームの色相はCol−L/b=80/−0.3で
あった。
【0030】このプリフォームからブロー成形機によっ
てボトルを成形した。ボトルのヘーズは1%、未溶融物
なしであった。
【0031】[実施例2]2,6―ナフタレンジカルボ
ン酸ジメチルエステル93部とジメチルテレフタレート
6部とエチレングリコール(EGと略記する)51部と
ジエチレングリコール0.7 部とを酢酸コバルト四水
塩0.01部(0.04mmol)、酢酸マンガン四水
塩0.03部(0.12mmol)をエステル交換触媒
として用い、常法に従ってエステル交換反応させ、三酸
化アンチモンのEG1%溶液1.2部(0.041mm
ol)添加したのち、正リン酸0.016部(0.16
4mmol)を添加し、エステル交換反応を終了せしめ
た。次に引き続き常法通り高温高真空下で重縮合反応を
行い、その後ストランド型のチップとした。得られたポ
リマーの固有粘度は0.48、Col−L/b=80/
−2.0 、ジエチレングリコール含有量は2.0wt
%で有り、重合時間は90分であった。顕微鏡観察によ
って着色層は観察されなかった。
【0032】得られたチップを日光暴露5時間行い、こ
の時の250nmの紫外線受光量は2500 mJ/c
2であった。処理後のチップを顕微鏡観察したところ
着色層の厚みは10μmで、Col−L/b= 81/
―1.5 であった。
【0033】更に、常法によりこのプレポリマーを結晶
化の後、固相重合した。得られたポリマーの固有粘度は
0.70、結晶化度は37%、Col−L/b= 81
/−0.5、アセトアルデヒド量は3ppmであった。
【0034】得られたチップを日光暴露3日間行い、こ
の時の250nmの紫外線受光量は12000mJ/c
2であった。処理後のチップを顕微鏡観察したところ
着色層の厚みは18μmで、Col−L/b= 81/
0 であった。
【0035】ついでこのチップから射出成形機を用いて
シリンダー温度300℃でプリフォームを成形した。プ
リフォーム色相はCol−L/b=78/1.3であっ
た。このプリフォームからブロー成形機によってボトル
を成形した。ボトルのヘーズは1%、未溶融物なしであ
った。
【0036】[比較例1]実施例1の得られたポリマー
(固有粘度は0.5、Col−L/b=83/−3 、
ジエチレングリコール含有量は0.7wt%、顕微鏡観
察によって着色層は観察されなかった。)を用いて紫外
線照射試験を行った。
【0037】得られたチップを日光暴露16時間行い、
この時の250nmの紫外線受光量は8000mJ/c
2であった。処理後のチップを顕微鏡観察したところ
着色層の厚みは50μmで、 Col−L/b= 83/
0 であった。
【0038】更に、常法によりこのプレポリマーを結晶
化した。結晶化度は15%、Col−L/b= 84/
1.0、アセトアルデヒド量は20ppmであった。
【0039】得られたチップを日光暴露3日間行い、こ
の時の250nmの紫外線受光量は12000mJ/c
2であった。処理後のチップを顕微鏡観察したところ
着色層の厚みは70μmで、Col−L/b=84/
3.0であった。
【0040】ついでこのチップから射出成形機を用いて
シリンダー温度300℃でプリフォームを成形した。プ
リフォームの色相はCol−L/b=77/5.3であ
った。
【0041】このプリフォームからブロー成形機によっ
てボトルを成形した。ボトルのヘーズは4%、未溶融物
なしであった。
【0042】[比較例2]固有粘度が0.4、Col−
L/b=83/−3 、ジエチレングリコール含有量は
3.2wt%の非晶性ポリマーを得、顕微鏡観察によっ
て着色層は観察されなかった。
【0043】得られたチップを日光暴露29時間行い、
この時の250nmの紫外線受光量は12000mJ/
cm2であった。処理後のチップを顕微鏡観察したとこ
ろ着色層の厚みは100μmで、Col−L/b= 8
3/0であった。
【0044】更に、常法によりこのプレポリマーを結晶
化し、固相重合を実施した。結晶化度は52%、Col
−L/b= 85/1.0であった。
【0045】得られたチップを日光暴露3日間行い、こ
の時の250nmの紫外線受光量は12000mJ/c
2であった。処理後のチップを顕微鏡観察したところ
着色層の厚みは140μmで、Col−L/b=85/
3.4 であった。
【0046】ついでこのチップから射出成形機を用いて
シリンダー温度300℃でプリフォームを成形した。プ
リフォームの色相はCol−L/b=77/6.1であ
った。
【0047】このプリフォームからブロー成形機によっ
てボトルを成形した。ボトルのヘーズは3%、未溶融物
多数であった。
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、色相に優れ、受光時の
耐変色性に優れた樹脂粒状物、成形物を提供することが
できる。本発明の樹脂粒状物は飲料用ボトルとして特に
好ましく用いられる。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 63/00 - 63/91

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ナフタレンジカルボン酸を主たる酸成分
    とし、エチレングリコールを主たるグリコール成分とす
    るポリエチレンナフタレート樹脂粒状物であって、該樹
    脂粒状物は非晶状態のポリエチレンナフタレート樹脂
    を、波長220〜300nmの紫外線受光量が3000
    mJ/cm 2 に達するまでの間に、結晶化せしめること
    により製造され、本発明で定義する表面層を有しない
    か、または有しても該表面層は20μm以下であること
    を特徴とする、色相に優れるポリエチレンナフタレート
    樹脂粒状物。
  2. 【請求項2】 結晶化の後さらに固相重合されて製造さ
    れた請求項記載のポリエチレンナフタレート樹脂粒状
    物。
  3. 【請求項3】 樹脂粒状物中に含まれるアセトアルデヒ
    ド量が10ppm以下かつ樹脂粒状物を構成するポリエ
    チレンナフタレート樹脂中のジエチレングリコール単位
    が0.8wt%以上3.0wt%以下である、請求項
    または記載のポリエチレンナフタレート樹脂粒状物。
  4. 【請求項4】 樹脂粒状物の状態での結晶化度が20%
    以上50%以下である請求項または記載のポリエチ
    レンナフタレート樹脂粒状物。
  5. 【請求項5】 重合触媒に由来する化合物としてゲルマ
    ニウム化合物及び/又はアンチモン化合物を含有する請
    求項に記載のポリエチレンナフタレート樹脂粒状物。
  6. 【請求項6】 表面層が着色層である請求項1記載のポ
    リエチレンナフタレート樹脂粒状物。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至のいずれかに記載のポリ
    エチレンナフタレート樹脂粒状物から成形された成形
    品。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至のいずれかに記載のポリ
    エチレンナフタレート樹脂粒状物から成形されたボト
    ル。
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