JP3585792B2 - 電力変換装置 - Google Patents

電力変換装置

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、直流電圧を交流電圧に変換する電力変換装置に係り、特に直流短絡時に発生する直流コンデンサの短絡電流によるインバータの破壊を防止する電力変換装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電力、産業、民生、家庭等の各分野では、比較的大容量の電力制御や電源供給の際に、電圧、電流、周波数、位相といった電力の形態を変換するための電力変換装置が広く用いられている。
【0003】
この種の電力変換装置としては、例えば、直流電源としてのコンバータに対し、コンバータの出力電力を平滑化する直流コンデンサと、平滑化された直流電力を交流電力に変換するインバータとからなる構成が典型的に知られている。
【0004】
しかしながら、この種の電力変換装置は、直流短絡が発生した場合、インバータに耐量以上の電流が流れる恐れがある。特に、電圧型の電力変換装置の場合は、直流コンデンサの放電電流が重畳されて数十kAの電流が流れる場合もある。
【0005】
このため、従来からインバータを保護するために様々な手法がとられている。
【0006】
図9(a)、図9(b)は、これら手法を用いた電力変換装置の構成例を示す回路図である。
【0007】
図9(a)に示す電力変換装置は、外部の交流電源32に接続されたコンバータ部11に対して直流コンデンサ12とインバータ部13とが並列に接続された基本構造において、インバータ部13の上流側および下流側に保護用のアームヒューズ21、22が挿入されている。
【0008】
コンバータ部11は、交流電源32から供給される交流電圧を直流電圧に変換する。この変換された直流電圧は直流コンデンサ12およびアームヒューズ21を介してインバータ部13に印加される。インバータ部13は、印加された直流電圧を交流電圧に変換して負荷33に供給する。
【0009】
ここで電力変換装置に直流短絡が生じたとき、直流コンデンサ12の放電電流が重畳され、インバータ部13の主回路素子である半導体素子に流れる電流が上昇する。しかしながら、放電電流の重畳に伴い、アームヒューズ21がインバータ部13の半導体素子の最大定格電流内で切断されるので、インバータ部13の半導体素子は保護される。
【0010】
一方、図9(b)に示す電力変換装置は、図9(a)におけるアームヒューズ21、22に代えて、直流リアクトル23、24を備えた構成としている。ここで、電力変換装置に直流短絡が生じた場合、直流リアクトル23が直流短絡電流の早い立ち上がりを遅らせ、かつピーク電流を抑えて、インバータ部13に流れる電流を半導体素子の耐量以下に抑制する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、以上のような電力変換装置では、図9(a)に示す構成の場合、アームヒューズ21の切断によりインバータ部13を保護するため、直流短絡の発生毎にアームヒューズ21を交換する必要が生じる。また、インバータ部13の半導体素子が健全でも、アームヒューズ21を交換しなければ運転できないため、再運転までに時間がかかり、経済的な負担が大きいという問題がある。
【0012】
一方、図9(b)に示す構成の場合、直流リアクトル23により直流短絡電流を抑制するため、過渡状態を過ぎると、インバータ部13に最大定格以上の電流が流れ込んでインバータ部13の半導体素子が破壊される可能性がある。
【0013】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、直流短絡時において、直流コンデンサの放電を抑制でき、インバータの破壊を防止し得る電力変換装置を提供することを目的とする。
【0014】
また、本発明の他の目的は、直流短絡からの復旧の際に、保護用の回路部品の交換を不要とし、迅速に運転を再開し得る電力変換装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明では、以下のような手段を講じる。
【0016】
すなわち、請求項1の発明では、直流電源に対して、直流コンデンサと、直流電源から供給される直流電圧を交流電圧に変換するインバータとをそれぞれ並列に接続してなる電力変換装置において、直流コンデンサの負側端子にアノードが接続され、直流電源の負側供給ラインにカソードが接続されたダイオードと、インバータの出力電流を検出し、この検出結果に応じて2次電流を出力する変流器と、ダイオードに並列に接続され、変流器により出力された2次電流を整流し、得られた直流電流をインピーダンスを介してダイオードに順方向に供給する整流回路と、変流器と整流回路との間に接続され、オン状態の制御入力を受けたとき、変流器により出力された2次電流を短絡させるスイッチ回路と、直流短絡を検出したとき、オン状態の制御入力をスイッチ回路に与える短絡時制御手段とを備える。
【0017】
請求項2の発明では、請求項1の発明の電力変換装置において、直流電源は、交流電源から供給される交流電圧を変換し、得られた直流電圧を直流コンデンサに供給するコンバータであり、変流器は、インバータの出力電流に代えて、交流電源からコンバータに供給される入力電流を検出する。
【0018】
請求項3の発明では、直流電源に対して、直流コンデンサと、直流電源から供給される直流電圧を交流電圧に変換するインバータとをそれぞれ並列に接続してなる電力変換装置において、直流コンデンサの負側端子にアノードが接続され、直流電源の負側供給ラインにカソードが接続されたダイオードと、ダイオードに並列に接続され、直流電源から供給される直流電流を検出し、この検出結果に応じて2次電流を、インピーダンスを介してダイオードの順方向に出力する変流器と、変流器とダイオードとの間に接続され、オン状態の制御入力を受けたとき、変流器により出力された2次電流を短絡させるスイッチ回路と、直流短絡を検出したとき、オン状態の制御入力をスイッチ回路に与える短絡時制御手段とを備える。
【0019】
請求項4の発明では、直流電源に対して、直流コンデンサと、直流電源から供給される直流電圧を交流電圧に変換するインバータとをそれぞれ並列に接続してなる電力変換装置において、直流コンデンサの負側端子にアノードが接続され、直流電源の負側供給ラインにカソードが接続されたダイオードと、ダイオードに並列に接続され、直流電圧をインピーダンスを介してダイオードに順方向に供給する電源回路と、ダイオードと電源回路との間に接続され、オフ状態の制御入力を受けたとき、電源回路による直流電圧の供給を遮断する遮断回路とを備え、直流短絡を検出したとき、オフ状態の制御入力を遮断回路に与える短絡時制御手段とを備える。
【0020】
請求項5の発明では、請求項4に記載の電力変換装置において、遮断回路に代えて、電源回路とダイオードとの間に接続され、オフ状態の制御入力を受けたとき、電源回路から供給される直流電流をダイオードに供給せずに電源回路の負側にバイパスさせるバイパス手段を備え、短絡時制御手段は、直流短絡を検出したとき、オフ状態の制御入力をバイパス手段に与える。
【0021】
請求項6の発明では、直流電圧を供給する直流電源と、直流電源の正側供給ラインに接続され、直流電源から供給される正側の直流電圧を平滑化する第1の直流コンデンサと、直流電源の負側供給ラインに接続され、直流電源から供給される負側の直流電圧を平滑化する第2の直流コンデンサと、第1および第2の直流コンデンサの直流回路に並列に接続され、直流電源から供給される正側および負側の直流電圧を交流電圧に変換する接地された中性点クランプ型インバータと、第1の直流コンデンサの負側端子にアノードが接続され、カソードが接地された第1のダイオードと、直流電源の正側供給ラインに接続され、正側供給ラインを流れる電流を検出し、この検出結果に応じて2次電流を出力する第1の変流器と、第1のダイオードに並列に接続され、第1の変流器から出力された2次電流を整流し、得られた直流電流を第1のインピーダンスを介して第1のダイオードに順方向に供給する第1の整流回路と、第1の変流器と第1の整流回路との間に接続され、オン状態の制御入力を受けたとき、第1の変流器により出力された2次電流を短絡させる第1のスイッチ回路と、第2の直流コンデンサの正側端子にカノードが接続され、アノードが接地された第2のダイオードと、直流電源の負側供給ラインに接続され、負側供給ラインを流れる電流を検出し、この検出結果に応じて2次電流を出力する第2の変流器と、第2のダイオードに並列に接続され、第2の変流器から出力された2次電流を整流し、得られた直流電流を第2のインピーダンスを介して第2のダイオードに順方向に供給する第2の整流回路と、第2の変流器と第2の整流回路との間に接続され、オン状態の制御入力を受けたとき、第2の変流器により出力された2次電流を短絡させる第2のスイッチ回路と、直流短絡を検出したとき、オン状態の制御入力を第1および第2のスイッチ回路のうち少なくとも一方に与える短絡時制御手段とを備える。
【0022】
請求項7の発明では、請求項6の発明の電力変換装置において、第1ならびに第2の変流器、第1ならびに第2の整流回路、および第1ならびに第2のスイッチ回路に代えて、第1のダイオードに並列に接続され、直流電圧を第1のインピーダンスを介して第1のダイオードに順方向に供給する第1の電源回路と、第1のダイオードと第1の電源回路との間に接続され、オフ状態の制御入力を受けたとき、第1の電源回路による直流電圧の供給を遮断する第1の遮断回路と、第2のダイオードに並列に接続され、直流電圧を第2のインピーダンスを介して第2のダイオードに順方向に供給する第2の電源回路と、第2のダイオードと第2の電源回路との間に接続され、オフ状態の制御入力を受けたとき、第2の電源回路による直流電圧の供給を遮断する第2の遮断回路とを備え、短絡時制御手段は、直流短絡を検出したとき、オン状態の制御入力に代えて、オフ状態の制御入力を第1および第2の遮断回路のうち少なくとも一方に与える。
【0023】
したがって、本発明は以上のような手段を講じたことにより、直流コンデンサの負側に順方向に直列接続されたダイオードを設け、通常時にはこのダイオードに順方向電流を流し(順方向バイアス電圧を印加し)、直流短絡検出時にはダイオードの順方向電流を遮断することにより、直流コンデンサの導通状態を制御している。
【0024】
すなわち、請求項1から請求項7の発明の電力変換装置においては、直流短絡が発生した場合であっても、ダイオードに流れる電流を遮断することによって、直流コンデンサから流出する電流を抑制することができ、インバータの破壊を防止することができる。また、従来とは異なり、アームヒューズを用いないので直流短絡からの復旧の際に、保護用の回路部品の交換を不要にでき、迅速に運転を再開することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0026】
なお、以下の各実施の形態の説明に用いる図中の符号は、図9と同一部分については同一符号を付している。
【0027】
(第1の実施の形態)
図1は第1の実施の形態に係る電力変換装置の構成例を示す回路図である。
【0028】
この電力変換装置は、前述したコンバータ部11、直流コンデンサ12及びインバータ部13からなる基本構造に対し、保護装置40を設けている。なお、こららコンバータ部11、直流コンデンサ12、インバータ部13及び保護装置40は、主回路部10を構成している。
【0029】
ここで、保護装置40は、直流コンデンサ12の負側端子にアノードを接続されたダイオード41と、インバータ部13の出力電流を検出して、この検出された出力電流に応じて2次電流を出力する変流器42と、この変流器42から出力される2次電流を整流して直流に変換する整流回路44と、変流器42と整流回路44との間に接続され、オン状態の制御入力を受けたとき、変流器42より出力された2次電流を短絡する半導体スイッチ43と、整流回路44で整流された電流が供給されるインピーダンス45とを備えている。
【0030】
なお、インピーダンス45と整流回路44とは、インピーダンス45の出力がダイオード41のアノードに入力され、且つダイオード41のカソードからの出力が整流回路44に入力されるように、ダイオード41と並列に接続されている。
【0031】
このような保護装置40では、整流回路44が変流器42の2次電流を直流電流i2に変換するとともに、インピーダンス45を介してダイオード41の順方向に直流電流idを供給可能となっている。
【0032】
なお、図示しないが、ダイオード41を流れる順方向電流は、この直流電流idを基準とし、直流コンデンサ12を流れるリプル電流に応じて僅かに変動する(見かけ上、直流電流id以下の電流がダイオード41の逆方向に入出力されている)。
【0033】
また、この電力変換装置は、図示しない短絡時制御装置により、直流短絡の発生を検知するとともに、オン状態の制御入力を半導体スイッチ43に与える一方、コンバータ部11を停止(ゲートブロック)させる機能をもっている。この短絡時制御装置は、インバータ部13の前段側に配置される。
【0034】
次に、以上のように構成された本実施の形態に係る電力変換装置の動作を図2のタイミングチャートを用いて説明する。
【0035】
電力変換装置が正常に運転している状態においては、インバータ部13に供給される直流電流i1は、図2に示すように、規則的にのこぎり状に変化する(時点t=0〜t0)。また、整流回路44から出力される直流電流i2、およびダイオード41を流れる直流電流idは、時間に対しほぼ一定値を示す。
【0036】
次に、正常な状態において、時点t0で直流短絡が発生したとする。このとき、直流コンデンサ12の放電電流により、直流電流i1が上昇する。続いて直流電流i1が、直流短絡検出用に予め設定された電流レベルisに到達する(時点t1)と、図示しない短絡時制御装置が直流短絡を検知する。このとき、短絡時制御装置は、コンバータ部11をゲートブロックし、交流電源32からの電力の供給を遮断させる一方、オン状態の制御入力を半導体スイッチ43に与える。これによって、応答の速い半導体スイッチ43がオン状態となり、変流器42の2次電流が短絡される。
【0037】
変流器42の2次電流の短絡により、ダイオード41に流れていた直流電流idが遮断され、その結果、ダイオード41がオフ(順方向バイアス以下)となる。
【0038】
ダイオード41がオフとなると、直流コンデンサ12の放電電流は整流回路44側へ回り込み、更にインピーダンス45で抑制される。これにより、直流コンデンサ12の放電電流量が低減され、インバータ部13の半導体素子が過電流から保護される。
【0039】
上述したように本実施の形態によれば、直流電流i1と所定の電流レベルisとの比較により、電力変換装置の主回路部10で直流短絡が発生した場合であっても、応答の速い半導体スイッチ43により変流器42の2次側を短絡させてダイオード41をオフとすることにより、直流コンデンサ12から流出する放電電流を抑制することができる。
【0040】
その結果、直流短絡が発生した場合においても、インバータ部13の破壊を防止することができる。
【0041】
また、保護装置40をダイオード41、変流器42、半導体スイッチ43、整流回路44及びインピーダンス45から構成したので、直流短絡からの復旧の際に、保護用の回路部品の交換を不要とし、迅速に運転を再開することができる。
【0042】
(第2の実施の形態)
図3は、第2の実施の形態に係る電力変換装置の構成例を示す回路図であり、図1と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0043】
なお、以下の各実施の形態についても同様にして、重複した説明を省略する。
【0044】
すなわち、本実施の形態は、第1の実施の形態の変形例であり、図3に示すように、変流器42が、インバータ部13の出力電流に代えて、交流電源32からコンバータ部11に供給される入力電流を検出するように配置された構成となっている。
【0045】
以上のような構成としても、第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0046】
(第3の実施の形態)
図4は第3の実施の形態に係る電力変換装置の構成例を示す回路図である。
【0047】
すなわち、本実施の形態は、第1の実施の形態の変形例であり、図4に示すように、整流回路44を省略し、更に変流器42が、インバータ部13の出力電流に代えて、コンバータ部11から供給される直流電流を検出するように配置された構成となっている。
【0048】
以上のような構成としても、第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0049】
(第4の実施の形態)
図5は第4の実施の形態に係る電力変換装置の構成例を示す回路図である。
【0050】
すなわち、本実施の形態は、第1の実施の形態の変形例であり、変流器42、整流回路44、および半導体スイッチ43に代えて、ダイオード41に並列に接続され、直流電圧をインピーダンス45を介してダイオード41に順方向に供給する直流電源46を備えている。
【0051】
また、ダイオード41と直流電源46との間には、オフ状態の制御入力を受けたときに、直流電源46からの直流電圧の供給を遮断する自己消弧型素子47を備えている。
【0052】
更に、図示しない短絡時制御装置は、直流短絡を検出したとき、オン状態の制御入力に代えて、オフ状態の制御入力を自己消弧型素子47に与える機能をもっている。
【0053】
以上のような構成としても、直流短絡が発生した場合、自己消弧型素子47がオフとされることにより、直流コンデンサ12から流出する放電電流を抑制することができ、第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0054】
なお、本実施の形態は、直流電源46のみがダイオード41に直流電流を流す場合について説明したが、これに限らず、本実施の形態に係る直流電源46、インピーダンス45及び自己消弧型素子47からなる電源回路を、上述したとおり、図1、図3または図4に示すダイオード41に順方向に直流電流を供給するように並列接続し、直流電源46と変流器42との両者でダイオード41に直流電流を流す構成に変形しても、本実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0055】
(第5の実施の形態)
図6は第5の実施の形態に係る電力変換装置の構成例を示す回路図である。
【0056】
すなわち、本実施の形態は、第1の実施の形態の変形例であり、中性点クランプ型インバータへの適用を図るものであって、具体的には図6に示すように、インバータ部13に代えて、コンバータ部11からの正側供給ラインP1および負側供給ラインN1に接続され、且つ両ラインP1、N1間に接地(中性点)ラインG1を有する中性点クランプ型インバータ部16を備えている。
【0057】
これに伴い、保護装置40は、前述同様の構成を有するものの、正側供給ラインP1と接地ラインG1との間(以下、正側ともいう)に設置された正側保護装置(#a)と、負側供給ラインと接地ラインG1との間(以下、負側ともいう)に配置された負側保護装置40(#b)との2つの装置として設けられている。なお、(#a)の添字は正側に属する要素を示し、(#b)の添字は負側に属する要素を示している。
【0058】
ここで、正側保護回路40(#a)は、前述した通りに接続されたダイオード41(#a)、変流器42(#a)、半導体スイッチ43(#a)、整流回路44(#a)およびインピーダンス45(#a)からなる構成を備えている。
【0059】
変流器42(#a)は、正側供給ラインP1に設けられ、正側供給ラインP1の電流を検出するとともに、この検出結果に応じて2次電流を半導体スイッチ43(#a)を介して整流回路44(#a)に出力する。
【0060】
一方、負側保護回路40(#b)は、前述同様にダイオード41(#b)、変流器42(#b)、半導体スイッチ43(#b)、整流回路44(#b)およびインピーダンス45(#b)からなる構成を備えるが、極性の関係により、各要素41(#b)〜45(#b)の配置が若干異なっている。
【0061】
すなわち、ダイオード41(#b)は、アノードが正側主回路部10(#a)のダイオード41(#a)のカソードに接続されている。すなわち、負側のダイオード41(#b)のアノード側は接地されている。
【0062】
また、ダイオード41(#b)のカソードは、直流コンデンサ12(#b)の正側端子に接続されている。直流コンデンサ12(#b)の負側端子は、コンバータ部11の負側供給ラインN1に接続されている。
【0063】
また、この負側供給ラインN1には、変流器42(#b)が設けられている。この変流器42(#b)は、負側供給ラインN1の電流を検出し、この検出結果に応じて2次電流を半導体スイッチ43(#b)を介して整流回路44(#b)に出力するものである。
【0064】
整流回路44(#b)は、ダイオード41(#b)に並列に接続されており、変流器42(#b)から出力された2次電流を整流し、得られた直流電流i2’をインピーダンス45(#b)を介してダイオード41(#b)の順方向に直流電流id’を供給可能となっている。
【0065】
なお、ダイオード41(#b)を流れる順方向電流、および半導体スイッチ43(#b)は、前述同様のものである。
【0066】
更に、図示しない短絡時制御装置は、前述した機能に加え、直流短絡の発生を検知したとき、オン状態の制御入力を半導体スイッチ43(#a)または半導体スイッチ43(#b)に与える機能をもっている。この短絡時制御装置は、中性点クランプ型インバータ部16の前段側に配置される。
【0067】
以上のような構成としても、直流短絡が発生した場合、ダイオード41(#a)およびダイオード41(#b)の少なくとも一方がオフ(順方向バイアス以下)とされることにより、正側または負側の直流コンデンサ12(#a)、12(#b)あるいはその両方12(#a、#b)から流出する放電電流を抑制することができ、第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0068】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、次のように変形しても同様に実施できるものである。
【0069】
すなわち、変流器42(#a、#b)を交流電源32とコンバータ部11との間に設ける、あるいは、変流器42(#a、#b)を中性点クランプ型インバータ部16と負荷33との間に設けても、上記と同様な効果を得ることができる。
【0070】
(第6の実施の形態)
図7は第6の実施の形態に係る電力変換装置の構成例を示す回路図である。
【0071】
すなわち、本実施の形態は、第5の実施の形態に第4の実施の形態を適用させた変形例であり、具体的には図7に示すように、正側および負側保護装置40(#a、#b)がそれぞれ、第4の実施の形態に示した如く、直流電源46(#a、#b)、インピーダンス45(#a、#b)、ダイオード41(#a、#b)及び自己消弧型素子47(#a、#b)からなる閉ループ回路として構成されている。
【0072】
なお、図示しない短絡時制御装置は、前述同様に、直流短絡の発生を検知したとき、オフ状態の制御入力を自己消弧型素子47(#a)または自己消弧型素子47(#b)に与える機能をもっている。この短絡時制御装置は、中性点クランプ型インバータ部16の前段側に配置される。
【0073】
以上のような構成としても、直流短絡が発生した場合、自己消弧型素子47(#a)および自己消弧型素子47(#b)の少なくとも一方がオフとされることにより、正側または負側の直流コンデンサ12(#a)、12(#b)、あるいはその両方12(#a、#b)から流出する放電電流を抑制することができ、第4および第5の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0074】
なお、本実施の形態は、正側および負側で2つの直流電源46(#a)、46(#b)を設けた場合について説明したが、これに限らず、両直流電源46(#a)、46(#b)を共通化し、インピーダンス45(#a、#b)、ダイオード41(#a、#b)および自己消弧型素子47(#a、#b)からなる2つの閉ループを電気的に並列化した構成に変形しても同様の作用効果を得ることができ、更に保護装置40(#a、#b)の省スペース化を図ることができる。
【0075】
(第7の実施の形態)
図8は第7の実施の形態に係る電力変換装置の構成例を示す回路図である。
【0076】
すなわち、本実施の形態は、第4の実施の形態の変形例であり、図8に示すように、自己消弧型素子47を省略し、通常時にインピーダンス45からダイオード41に至る接続を、直流短絡時にインピーダンス45から直流電源46の負側に切替可能なバイパススイッチ50を備えている。
【0077】
以上のような構成によれば、通常時には、直流電源46の正側供給ラインp1にインピーダンス45が接続され、更にこのインピーダンス45がダイオード41のアノード側に接続され、このダイオード41のカソード側に直流電源46の負側供給ラインn1が接続されている。
【0078】
また、直流短絡の検出時には、バイパススイッチ50により、インピーダンス45とダイオード41との間が切断されるとともに、インピーダンス45と負側供給ラインn1とが直接接続され、直流電源46から出力される電流をダイオード41に供給せずに直流電源46の負側にバイパスさせる。
【0079】
このように、直流短絡が発生した場合、ダイオード41に流れていた電流をバイパスさせるので、直流コンデンサ12から流出する放電電流を抑制することができ、第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0080】
以上、本発明の好適な実施の形態について、添付図面を参照しながら説明したが、本発明はかかる構成に限定されない。特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0081】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、直流短絡時において直流コンデンサの放電を抑制でき、インバータの破壊を防止できる電力変換装置を提供できる。
【0082】
また、直流短絡からの復旧の際に、保護用の回路部品の交換を不要とし、迅速に運転を再開できる電力変換装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係る電力変換装置の構成例を示す回路図。
【図2】第1の実施の形態に係る電力変換装置の直流短絡発生時における主回路内電流の時間変化を示すタイミングチャート。
【図3】第2の実施の形態に係る電力変換装置の構成例を示す回路図。
【図4】第3の実施の形態に係る電力変換装置の構成例を示す回路図。
【図5】第4の実施の形態に係る電力変換装置の構成例を示す回路図。
【図6】第5の実施の形態に係る電力変換装置の構成例を示す回路図。
【図7】第6の実施の形態に係る電力変換装置の構成例を示す回路図。
【図8】第7の実施の形態に係る電力変換装置の構成例を示す回路図。
【図9】従来の保護手法を用いた電力変換装置の構成例を示す回路図。
【符号の説明】
10…主回路部、
11…コンバータ部、
12…直流コンデンサ、
13…インバータ部、
16…中性子点クランプ型インバータ部、
21、22…アームヒューズ、
23、24…直流リアクトル、
32…交流電源、
33…負荷、
40…保護装置、
41…ダイオード、
42…変流器、
43…半導体スイッチ、
44…整流回路、
45…インピーダンス、
46…直流電源、
47…自己消弧型素子、
50…バイパススイッチ。

Claims (7)

  1. 直流電源に対して、直流コンデンサと、前記直流電源から供給される直流電圧を交流電圧に変換するインバータとをそれぞれ並列に接続してなる電力変換装置において、
    前記直流コンデンサの負側端子にアノードが接続され、前記直流電源の負側供給ラインにカソードが接続されたダイオードと、
    前記インバータの出力電流を検出し、この検出結果に応じて2次電流を出力する変流器と、
    前記ダイオードに並列に接続され、前記変流器により出力された2次電流を整流し、得られた直流電流をインピーダンスを介して前記ダイオードに順方向に供給する整流回路と、
    前記変流器と前記整流回路との間に接続され、オン状態の制御入力を受けたとき、前記変流器により出力された2次電流を短絡させるスイッチ回路と、
    直流短絡を検出したとき、前記オン状態の制御入力を前記スイッチ回路に与える短絡時制御手段と
    を備えたことを特徴とする電力変換装置。
  2. 請求項1に記載の電力変換装置において、
    前記直流電源は、交流電源から供給される交流電圧を変換し、得られた直流電圧を前記直流コンデンサに供給するコンバータであり、
    前記変流器は、前記インバータの出力電流に代えて、前記交流電源から前記コンバータに供給される入力電流を検出することを特徴とする電力変換装置。
  3. 直流電源に対して、直流コンデンサと、前記直流電源から供給される直流電圧を交流電圧に変換するインバータとをそれぞれ並列に接続してなる電力変換装置において、
    前記直流コンデンサの負側端子にアノードが接続され、前記直流電源の負側供給ラインにカソードが接続されたダイオードと、
    前記ダイオードに並列に接続され、前記直流電源から供給される直流電流を検出し、この検出結果に応じて2次電流を、インピーダンスを介して前記ダイオードの順方向に出力する変流器と、
    前記変流器と前記ダイオードとの間に接続され、オン状態の制御入力を受けたとき、前記変流器により出力された2次電流を短絡させるスイッチ回路と、
    直流短絡を検出したとき、前記オン状態の制御入力を前記スイッチ回路に与える短絡時制御手段と
    を備えたことを特徴とする電力変換装置。
  4. 直流電源に対して、直流コンデンサと、前記直流電源から供給される直流電圧を交流電圧に変換するインバータとをそれぞれ並列に接続してなる電力変換装置において、
    前記直流コンデンサの負側端子にアノードが接続され、前記直流電源の負側供給ラインにカソードが接続されたダイオードと、
    前記ダイオードに並列に接続され、直流電圧をインピーダンスを介して前記ダイオードに順方向に供給する電源回路と、
    前記ダイオードと前記電源回路との間に接続され、オフ状態の制御入力を受けたとき、前記電源回路による直流電圧の供給を遮断する遮断回路とを備え、
    直流短絡を検出したとき、前記オフ状態の制御入力を前記遮断回路に与える短絡時制御手段と
    を備えたことを特徴とする電力変換装置。
  5. 請求項4に記載の電力変換装置において、
    前記遮断回路に代えて、前記電源回路と前記ダイオードとの間に接続され、前記オフ状態の制御入力を受けたとき、前記電源回路から供給される直流電流を前記ダイオードに供給せずに前記電源回路の負側にバイパスさせるバイパス手段を備え、
    前記短絡時制御手段は、直流短絡を検出したとき、前記オフ状態の制御入力を前記バイパス手段に与えることを特徴とする電力変換装置。
  6. 直流電圧を供給する直流電源と、
    前記直流電源の正側供給ラインに接続され、前記直流電源から供給される正側の直流電圧を平滑化する第1の直流コンデンサと、
    前記直流電源の負側供給ラインに接続され、前記直流電源から供給される負側の直流電圧を平滑化する第2の直流コンデンサと、
    前記第1および第2の直流コンデンサの直流回路に並列に接続され、前記直流電源から供給される正側および負側の直流電圧を交流電圧に変換する接地された中性点クランプ型インバータと、
    前記第1の直流コンデンサの負側端子にアノードが接続され、カソードが接地された第1のダイオードと、
    前記直流電源の正側供給ラインに接続され、前記正側供給ラインを流れる電流を検出し、この検出結果に応じて2次電流を出力する第1の変流器と、
    前記第1のダイオードに並列に接続され、前記第1の変流器から出力された2次電流を整流し、得られた直流電流を第1のインピーダンスを介して前記第1のダイオードに順方向に供給する第1の整流回路と、
    前記第1の変流器と前記第1の整流回路との間に接続され、オン状態の制御入力を受けたとき、前記第1の変流器により出力された2次電流を短絡させる第1のスイッチ回路と、
    前記第2の直流コンデンサの正側端子にカノードが接続され、アノードが接地された第2のダイオードと、
    前記直流電源の負側供給ラインに接続され、前記負側供給ラインを流れる電流を検出し、この検出結果に応じて2次電流を出力する第2の変流器と、
    前記第2のダイオードに並列に接続され、前記第2の変流器から出力された2次電流を整流し、得られた直流電流を第2のインピーダンスを介して前記第2のダイオードに順方向に供給する第2の整流回路と、
    前記第2の変流器と前記第2の整流回路との間に接続され、オン状態の制御入力を受けたとき、前記第2の変流器により出力された2次電流を短絡させる第2のスイッチ回路と、
    直流短絡を検出したとき、前記オン状態の制御入力を前記第1および第2のスイッチ回路のうち少なくとも一方に与える短絡時制御手段と
    を備えたことを特徴とする電力変換装置。
  7. 請求項6に記載の電力変換装置において、
    前記第1ならびに第2の変流器、前記第1ならびに第2の整流回路、および前記第1ならびに第2のスイッチ回路に代えて、
    前記第1のダイオードに並列に接続され、直流電圧を前記第1のインピーダンスを介して前記第1のダイオードに順方向に供給する第1の電源回路と、
    前記第1のダイオードと前記第1の電源回路との間に接続され、オフ状態の制御入力を受けたとき、前記第1の電源回路による直流電圧の供給を遮断する第1の遮断回路と、
    前記第2のダイオードに並列に接続され、直流電圧を前記第2のインピーダンスを介して前記第2のダイオードに順方向に供給する第2の電源回路と、
    前記第2のダイオードと前記第2の電源回路との間に接続され、オフ状態の制御入力を受けたとき、前記第2の電源回路による直流電圧の供給を遮断する第2の遮断回路とを備え、
    前記短絡時制御手段は、直流短絡を検出したとき、前記オン状態の制御入力に代えて、前記オフ状態の制御入力を前記第1および第2の遮断回路のうち少なくとも一方に与えたことを特徴とする電力変換装置。
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