JP3585692B2 - 嵩高紙の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、嵩高紙の製造方法に関し、詳しくは、ペーパータオル、ティッシュ、掃除用紙製品及び衛生材料等の吸収性基材等に好ましく用いられる嵩高紙の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の抄紙プロセスにおいては、繊維シートの形成に、50〜100メッシュ/インチの細かな開孔部を有する平滑な紙層形成ベルトや搬送ベルトが用いられており、さらに、そのようなベルト上に形成された繊維シートに対して、均一にプレス脱水加工が施されている。
【0003】
このような抄紙プロセスは、紙の平滑性や強度の発現の面では有利なものの、紙の厚みや吸水容量、柔らかさの面では不利なものである。また、上述のプレス脱水加工を行わずに、繊維シートを熱風中を通過させて乾燥させるスルー・エアー・ドライヤーを用いる製法もあるが、紙の厚みや吸水容量等を顕著に増大させるレベルには達していない。
【0004】
さらに、このような従来の抄紙プロセスを用いて、紙の厚みや吸水容量、柔らかさをアップするために、より大きな繊維間空隙を得る方法として、1)高濃度のアルカリ剤(例えば、水酸化ナトリウム)でセルロース繊維を膨潤させ、繊維断面積を増大させたマーセル化繊維を用いる方法や、2)N−メチロール基等を含有する架橋樹脂でセルロース繊維を架橋して調製された、ねじれた形状を有する架橋繊維を用いる方法等がある。これらの方法によれば、事実ある程度繊維間空隙を増大させて、厚みや吸収容量をアップすることができるが、未処理のセルロース繊維に比較して高コストであり、さらに液を吸収した状態で若干の圧力がかかると、繊維間空隙が容易に破壊されやすいという欠点を有している。
【0005】
そこで、未処理のセルロース繊維を用いて、製造プロセスの点から、厚みや吸水容量、柔らかさを向上させた嵩高紙を製造する試みがなされている。
【0006】
例えば、特開昭52−21405号公報には、1つの開孔部面積が0.0072mm〜2.1mmであり、6.45cmあたり100〜3600個の開孔部を有する開孔パターン搬送ベルトを用いて、乾燥前の濡れた繊維シートを該開孔パターン搬送ベルトに保持して吸引によりパターン付けを行い、その後、圧縮せずに熱風中を通過させて中間乾燥し、ヤンキードライヤーにて最終乾燥させる嵩高紙の製造方法が開示されている。
【0007】
また、特表平5−506277号公報および特表平5−506893号公報には、感光性樹脂を用いた所定の開孔形状部を有する開孔パターン樹脂と、その補強として従来より用いられている抄紙搬送ベルトとを複合化した開孔パターン搬送ベルトを用いて、乾燥前の濡れた繊維シートに吸引によりパターン付けを行い、その後、圧縮せずに熱風中を通過させて中間乾燥し、ヤンキードライヤーにて最終乾燥する嵩高紙の製造方法が開示されている。特にこれらの公報には、長時間の連続抄紙において、開孔パターン搬送ベルトの樹脂の酸化によって生じる劣化を抑制または遅延させることを目的として酸化防止剤等の薬品を抄紙運転中に上記ベルトへシャワーにより直接添加することが開示されている。
【0008】
同じく、特表平5−508449号公報、特表平5−508450号公報および、特表平5−508452号公報にも、感光性樹脂を用いた開孔パターン樹脂と従来より用いられている抄紙搬送ベルトとを複合化した開孔パターン搬送ベルトが開示されている。特にこれらの公報には、強力な吸引工程によって乾燥前のパルプ繊維シートからパルプが抜け落ちることを防止するために、上記開孔パターン搬送ベルトの吸引ボックス側に接する面側を凹凸の粗い面に仕上げることが開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公報に記載の従来技術は、以下に述べるような欠点を有するものであった。
【0010】
即ち、特開昭52−21405号公報には、開孔パターン搬送ベルトとして、10メッシュ〜60メッシュ/インチの半あや織りされた汎用性の抄紙ベルトを用いることが記載されているが、該抄紙ベルトは開孔部の面積が小さすぎるため、平均繊維長1.5mm程度までの短い繊維であれば開孔部へ偏向させることができるものの、相対的に長い繊維よりなる針葉樹パルプを開孔部中へ偏向させて低密度突起を形成させることは不可能であった。
【0011】
また、特表平5−506277号公報、特表平5−506893号公報、特表平5−508499号公報、特表平5−508450号公報および特表平5−508452号公報に開示されているひし形状の均一な開孔部を有する感光性樹脂−抄紙搬送ベルトを複合化した開孔パターンベルトを用いた場合には、連続した高密度の網目状領域と低密度の島状領域とが吸引により形成されることになる。これらの公報中には、ひし形状の開孔部の最も好ましい寸法として、ひし形の対角線が1.6892mm×1.2379mmであると記載されている。これは、1個の開孔部面積としては、1.046mmに相当する。しかしながら、開孔部の面積が3mm未満では、吸引により形成される低密度突起の容積が小さいため、十分な厚みや吸水容量、柔らかさを発現させることができない。また、乾燥前のパルプシートを吸引によりパターン付けし、乾燥工程まで搬送する方式においては、開孔パターン搬送ベルトも相当に長いものになってしまい、あるパターンの開孔パターン搬送ベルトを製造するにしても相当費用がかかることになる。このような開孔パターン搬送ベルトで長期の連続操業を行う場合には、紙の搬送を担う開孔パターン搬送ベルトの樹脂部分が多くの反転ロールやヤンキードライヤー表面と強力な圧力のもとでこすれ合うため、ベルトの寿命の面で問題がある。さらに、このような長尺の開孔パターンは、その取りはずしや交換に多大の時間を要するため、一台の抄紙機において、均一な構造をもつ通常の紙と、網目状高密度領域と島状の低密度領域とをもつ嵩高紙とを交互に製造したり、該嵩高紙のパターン形状を簡単に変更して製造するのは不可能であった。
【0012】
従って、本発明の目的は、厚みが大きく、吸収性が高く、柔らかさに優れ、かつ適度な丈夫さを有する嵩高紙の製造方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、長期連続操業に対応でき、通常抄紙生産との切り替えや、パターン形状の変更が容易にできる嵩高紙の製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討した結果、特定の開孔パターンネットを備えた吸引ドラムによるパターン付けを、嵩高紙製造プロセスにおける特定の段階において行うことにより、上記目的が達成され得ることを知見した。
【0014】
本発明は上記知見に基づき成されたもので、1つの開孔部面積が3〜25mmで且つ開孔部面積率が19〜91%であり、開孔部を形成するネット材の最小幅が0.2〜2mmであるところの多数の開孔部を有する開孔パターンネットを周面に配設した吸引ドラムを、嵩高紙製造工程における乾燥工程の前または乾燥工程内に設置し、上記吸引ドラムに移送される前の水分率が50〜99重量%の繊維シートを、上記開孔パターンネット上に保持した状態で吸引して該繊維シートに該開孔パターンネットに対応するパターン付けをし、次いで乾燥させることによりパターン付けされた嵩高紙を得ることを特徴とする嵩高紙の製造方法を提供することにより上記目的を達成したものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の嵩高紙の製造方法の好ましい実施形態を図面を参照して詳細に説明する。ここで、図1は、本発明の嵩高紙の製造方法に好ましく用いられる装置を示す模式図であり、図2は、開孔パターンネットの要部を拡大して示す平面図であり、図3は、吸引ドラムにおける繊維シートの吸引の様子を示す要部拡大図である。
【0016】
図1および図2に示す装置(抄紙機)1は、多数の開孔部を有する開孔パターンネットを周面に配設した吸引ドラムを、紙層形成工程と乾燥工程との間に設置した嵩高紙製造装置であり、該装置1は、原料供給部10、紙層形成部20、パターン付与部30、乾燥部40及び巻取部50から構成されている。上記装置1の各部における概要を説明すると以下の通りである。
【0017】
上記原料供給部10は、抄紙原料供給ヘッド11を備えており、所定濃度に調製された繊維懸濁液が該抄紙原料供給ヘッド11から上記紙層形成部20へ供給されるようになされている。
上記紙層形成部20は、紙層形成ベルト21及び該紙層形成ベルト21に隣接して設けられている脱水用の吸引ボックス22を備えている。該紙層形成ベルト21は通常の抄紙機に用いられているワイヤーメッシュベルトから成っている。一方、該吸引ボックス22は、該紙層形成ベルト21上に形成された繊維シート2の脱水が可能になされており、下流の工程である上記パターン付与部30へ搬送される繊維シート2の水分率を調整している。また、上記紙層形成部20から次に述べるパターン付与部30及び乾燥部40にかけて、搬送ピックアップベルト23が走行しており、上記繊維シート2の安定搬送を可能となしている。吸引ボックス24は、上記紙層形成ベルト21から上記搬送ピックアップベルト23への上記繊維シート2の転送を担っている。
上記パターン付与部30は、吸引ドラム32を備えている。該吸引ドラム32の周面には、図3に示すように、ワイヤーメッシュからなる目の細かい支持用ネット35(40〜120メッシュ程度)と、その外周に位置している、多数の開孔部を有する開孔パターンネット31とが配設されている。該吸引ドラム32内に備えられている吸引ボックス37は、該開孔パターンネット31及び該支持用ネット35を介して、その外部から内部に向けてエアの吸引が可能になされている。また、上記パターン付与部30には、エアーノズル38および弱吸引ボックス39が備えられており、これらによって上記開孔パターンネット31に貼り付いた上記繊維シート2が上記搬送ピックアップベルト23へ転送することを容易にしている。
上記乾燥部40は、ドラム状スルー・エアー・ドライヤー(TAD)41を備えている。このドラム状スルー・エアー・ドライヤー41においては、ドラム周面の外側から内側に向けて熱風が通過するようになされている。このドラム状スルー・エアー・ドライヤー41の周面には、網目状ネット42が配設されている。該網目状ネット42としては熱風の通過に支障のない程度の目開きを有するものが用いられる。また、このドラム状スルー・エアー・ドライヤー41内部の下端部付近には吸引ボックス43が配設されており、該吸引ボックスによって、上記パターン付与部30から移送されてきた繊維シート2が上記網目状ネット42上へ転送するのを容易にしている。
また、上記巻取部50は、製造された嵩高紙3を巻き取るためのワインダー51を具備している。
【0018】
上記装置1について更に詳述すると、上記パターン付与部30における上記吸引ドラム32に配設されている上記開孔パターンネット31は、図2に示すように、所定厚の金属板を打ち抜いて作製されており、その全面に亘って連続した網目状パターンが形成されている。更に詳細には、上記開孔パターンネット31は、その全面に亘って正三角形の開孔部33が多数形成されている。正三角形の該開孔部33は、ネット材(即ち、打ち抜きで残った部分)36を介して6個で1個の正六角形模様34を形成するように配置されており、該正六角形模様34が規則的に配置されて亀甲模様を形成している。
【0019】
濡れた繊維シート2を吸引によりパターン付けするためには、上記開孔パターンネット31を使うことが重要である。該開孔パターンネット31は、上記装置1における紙層形成工程と乾燥工程との間(乾燥工程内も含む)であればどの位置に設置してもよい。また、その設置形態は如何なるものでもよく、例えば搬送ベルト上に設置することも可能であるが、好ましくは上述の通り、上記吸引ドラム32に上記開孔パターンネット31を配設し、該吸引ドラム32を上記装置1における特定の位置に設置する。
【0020】
上記開孔パターンネット31における上記開孔部33は1つの面積が3〜25mmである。該面積が3mmに満たないと上記開孔部33中への繊維の偏向が十分ではなく、得られる嵩高紙内に良好な低密度突起(後述する低繊維密度領域に相当する)を形成させるには至らない。また、25mmを超えると吸引による繊維の脱落が生じ、得られる嵩高紙に穴が開きやすくなり、さらに該嵩高紙内に形成される網目状の高密度領域(後述する高繊維密度領域に相当する)の面積が小さくなり十分な強度を有する嵩高紙が得られなくなる。上記開孔部33の面積は4〜10mmであることが好ましく、5〜8mmであることが更に好ましい。
【0021】
また、上記開孔部33の面積は、上記開孔パターンネット31における開孔部面積率と関係している。即ち、上記開孔部33の個々の面積を上述の範囲内としても、上記開孔パターンネット31全体としてある程度の開孔部面積が得られないと十分に嵩高な紙を製造することができない。そこで、上記開孔パターンネット31においては、上記開孔部33の個々の面積を上述の範囲としていると共に該開孔部33の開孔部面積率を19〜91%としている。ここで、該開孔部面積率が19%に満たないと、得られる嵩高紙内における低密度突起を形成する領域(後述する低繊維密度領域に相当する)全体の面積が小さくなり、吸収容量が高く、風合いに優れた嵩高紙を得ることができない。また、91%を超えると、得られる嵩高紙内における網目状の高密度領域を形成する領域(後述する高繊維密度領域に相当する)全体の面積が小さくなり、十分な強度を有する嵩高紙が得られなくなる。上記開孔部面積率は、40〜82%であることが好ましく、50〜75%であることが更に好ましい。尚、本明細書にいう開孔部面積率とは、上記開孔パターンネット31において上記開孔部33が形成されている領域に対して測定された値をいい、例えば上記開孔部33が形成されていない上記開孔パターンネット31の左右両側部は上記開孔部面積率の測定対象領域から除外される。
【0022】
また、上記開孔部33の面積は、上記開孔パターンネット31において該開孔部33を形成する(取り囲む)ネット材36の幅とも関係している。即ち、上記開孔部33の個々の面積を上述の範囲内としても、該ネット材36の幅の広狭によっては、十分に嵩高で良好な強度を有する紙を製造することができない。そこで、上記開孔パターンネット31においては、上記開孔部33の個々の面積を上述の範囲としていると共に上記ネット材36の最小幅を0.2〜2mmとしている。ここで、該幅が0.2mmに満たないと、得られる嵩高紙内に形成される網目状の高密度領域(後述する高繊維密度領域に相当する)の線幅が細くなりすぎて、十分な強度を有する嵩高紙が得られない。2mmを超えると、得られる嵩高紙内に形成される網目状の高密度領域(後述する高繊維密度領域に相当する)の線幅が太くなり過ぎて硬い風合いの紙となってしまう。上記ネット材36の最小幅は、0.3〜1mmであることが好ましく、0.3〜0.8mmであることが更に好ましい。尚、本発明書にいうネット材の最小幅とは、ネット材の幅が一定でない場合(例えば上記開孔パターンネットが円形の開孔部を有するような場合)には、ネット材の最狭部の幅をいい、ネット材の幅が一定の場合には当該幅をいう。
【0023】
上記開孔パターンネット31における上述の開孔部面積、開孔部面積率およびネット材36の幅を考慮すると、一辺が1cmの正方形を考えた場合に、該開孔パターンネット31において上記開孔部33が形成された何れの領域でも、上記正方形内に平均して4〜17個の開孔部33が存在することが好ましく、7〜14個存在することが更に好ましい。
【0024】
また、上記開孔パターンネット31の厚み、換言すれば上記開孔部33の深さは0.3〜10mmであることが好ましく、0.3〜5mmであることが更に好ましく、0.5〜3mmであることが一層好ましい。上記厚みが0.3mmに満たないと上記開孔パターンネット31の強度が十分ではなく、高速操業時に破損を起こしやすくなることがあり、10mmを超えると開孔パターンネット31の剛性が高くなり変形しにくくなるため、上記吸引ドラム32の周面に設置するのが困難となることがあるので上記範囲内とすることが好ましい。
【0025】
さらに、上記開孔パターンネット31は抄紙安定性(該開孔パターンネット31に密着した上記繊維シート2の剥離しやすさ)の面から撥水性であることが好ましい。更に好ましくは、上記開孔パターンネット31は、撥水コーティング処理されて水に対する接触角が70°以上の撥水性を有していることが好ましい。上記撥水コーティング処理としては、例えば、テフロン樹脂等で表面処理することが挙げられる。このような開孔パターンネットを用いることにより、一旦吸引によるパターン付けによって該開孔パターンネットに貼り付いた繊維シートを他の搬送ベルトに転送させる際に該開孔パターンネットからの剥離がさらに良好になる効果があり、高速抄紙に一層適したものとなる。また、上記開孔パターンネットに剥離剤をスプレー添加することによっても上記繊維シートの剥離性を改善することができる。この場合、用いられる剥離剤としては、ポリオレフィン系剥離剤、高級脂肪酸系剥離剤及び鉱物油系剥離剤等が挙げられる。
上記接触角は、協和界面科学社製のCONTACT ANGLEMETER CA−D を用い、温度25℃において、開孔パターンネットの小片サンプル板(76mm×26mm)に水10マイクロリットルをシリンジにて滴下後、すばやく測定して得られたものである。
【0026】
次に、図1に示す装置1を用いた嵩高紙の製造方法について説明すると、まず、繊維懸濁液を上記抄紙原料供給ヘッド11から上記紙層形成ベルト21上に供給し、該紙層形成ベルト21上に繊維を堆積させて、ウエット状態の繊維シート(紙層)2を形成する。尚、上記繊維懸濁液の濃度に特に制限は無く、紙層形成工程を安定に行い得る範囲の中から適宜選択することができる。
【0027】
次いで、上記繊維シート2中に含まれている水分を吸引装置としての上記吸引ボックス22により脱水して、下流の工程である上記吸引ドラム32に移送される前の該繊維シート2の水分率を所定の値とする。該水分率は、該吸引ドラム32において該繊維シート2に十分なパターン付けを可能とするために、該繊維シート2の50〜99重量%とし、好ましくは70〜95重量%とし、更に好ましくは80〜90重量%とする。即ち、該水分率が50重量%に満たないと濡れた繊維シート2中の繊維1本1本の自由度が低いため、吸引による繊維構造の再構築が困難となり、99重量%を超えると濡れた繊維シート2の構造維持ができず、搬送することが困難となる。
【0028】
所定の水分率に調整された上記繊維シート2は、上記紙層形成ベルト21から分離すると共に上記吸引ドラム32の上記開孔パターンネット31面上へと移送される。該吸引ドラム32においては、該開孔パターンネット31を介して、その外部から内部に向けて上記吸引ボックス37によりエアが吸引されている。従って、上記繊維シート2のうち、上記開孔パターンネット31中の開孔部33上に位置している領域(この領域を「領域A」という)は、図3に示すように、上記吸引によって、上記開孔部33内に食い込み、上記吸引ドラム32の内部に向けて厚みを増した凸状の形状となる。また、領域Aは、吸引前に比して、構成繊維の繊維密度が低くなった低繊維密度領域となる。この場合、上記開孔パターンネット31の下部には、該開孔パターンネット31よりも目の細かい上記支持用ネット35(40〜120メッシュ程度)が配設されているので、領域Aにおける厚みの急激な増加(急激な低密度化)は該支持用ネット35によって規制され、領域Aに大きな穴が開いたり、或いは上記繊維シート2が破れるようなことはない。
【0029】
一方、上記繊維シート2のうち、上記開孔パターンネット31中のネット材36上に位置している部分及びその近傍(この領域を「領域B」という)は、上記吸引によって上記ネット材に押し付けられて圧縮されるので、吸引前に比して、その厚みが若干小さくなると共にその繊維密度が若干大きくなる。即ち、領域Bは、領域Aに対して相対的に高繊維密度領域となる。斯かる高繊維密度領域は、得られる嵩高紙における上記低繊維密度領域に起因する引張強度の低下傾向を抑制する作用を有する。特に、上述の通り、上記開孔パターンネット31は連続した網目状パターンから形成されているので、上記高繊維密度領域も連続した網目状パターンとなり、得られる嵩高紙の引張強度が一層向上する。
【0030】
このようにして、上記吸引ドラム32が半周する間に、上記繊維シート2には、上記開孔パターンネット31の網目状パターンに対応するパターン付けが行われる。
【0031】
上記吸引ドラム32における上記吸引ボックス37の吸引力は、上記繊維シート2の坪量や水分率等にもよるが、一般的な範囲としては、50〜500mmHgであることが好ましく、100〜350mmHgであることが更に好ましい。
【0032】
上記吸引ドラム32において所定のパターン付けがされた上記繊維シート2は、次いで乾燥工程としての上記ドラム型スルー・エアー・ドライヤー41内に導入され、熱風中を通過することにより乾燥される。この際、通常の抄紙プロセスで一般に行われている圧密化工程は行われない。この理由は、得られる嵩高紙の嵩高性が損なわれないようにするためである。
【0033】
上記ドラム型スルー・エアー・ドライヤーがほぼ一回転する間に上記繊維シートは乾燥されて最終製品である嵩高紙3が得られる。得られた嵩高紙3は、上記巻取部50における上記ワインダー51によって巻き取られる。
【0034】
以上の工程により嵩高紙が製造されるが、本発明においては、上記開孔パターンネット31を上記吸引ドラム32に配設することにより、従来の嵩高紙の製造方法では得られなかった以下に述べるような利点がある。
即ち、上記開孔パターンネット31が上記吸引ドラム32に固定されており、該開孔パターンネット31には可動部分がないので、長時間連続使用しても劣化しにくく、その耐用年数が長くなる。また、上記開孔パターンネット31を取り替えるだけの簡単な操作で、パターン形状の変更が容易にできる。さらに、上記吸引ドラム32を下方へ移動させて繊維シート2の走行パスから外すことで、通常抄紙の生産も容易にでき、通常抄紙の生産との切り替えが簡単である。
【0035】
このようにして得られた嵩高紙の断面の構造を模式的に図4に示す。
図4に示すように、上述の方法で得られた嵩高紙3には、低繊維密度領域4と高繊維密度領域5とが存在している。該低繊維密度領域4は、上記開孔パターンネット31における開孔部33に対応して形成されたものであり、厚みが相対的に大きくなっている。一方、該高繊維密度領域5は上記開孔パターンネット31における開孔部33を取り囲むネット36材に対応して形成されたものであり、厚みが相対的に小さくなっている。その結果、上記嵩高紙3は凹凸形状の構造を有し極めて嵩高となり、厚みが大きくなる。従って、吸収性が高く、柔らかさに優れたものとなる。また、強度の高い上記高繊維密度領域5が連続した網目状パターンとなっているので、上記嵩高紙3は適度な強度も有する。さらに、湿潤強度を発現させるポリアミドアミン・エピクロルヒドリン樹脂等の湿潤紙力増強剤を用いた場合には、上記開孔パターンネット31によって画定された凹凸形状の構造を有した状態で繊維間の結合・接着が生じるため、濡れてもその凹凸形状が維持されるという優れた特徴を有することになる。
【0036】
上記嵩高紙3を構成する繊維について説明すると、該繊維としては繊維長10mm以下、特に0.5〜5mmの短繊維が好ましく用いられる。斯かる短繊維としては、例えば針葉樹や広葉樹の化学パルプ、半化学パルプ及び機械パルプ等の木材パルプ、これら木材パルプを化学処理したマーセル化パルプ及び架橋パルプ、麻や綿等の非木材系繊維並びにレーヨン繊維等の再生繊維のようなセルロース系繊維;並びにポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維及びポリアミド繊維のような合成繊維等が挙げられる。これらの繊維のうち、製品のコスト、強度、抄紙適性等の観点から、木材パルプ、非木材ハルプ、レーヨン繊維等のセルロース系繊維を用いることが好ましい。とりわけ、製品コストの観点から、木材パルプが一層好ましい。これらの短繊維は、上記嵩高紙3を構成する繊維全体に対して50〜100重量%用いられることが好ましく、70〜100重量%用いられることが更に好ましい。
【0037】
上記嵩高紙3をペーパータオルやティッシュ等の吸収性基材や洗浄剤等を含浸させて用いる清掃用シートとして用いる場合には、繊維全体に対して上記セルロース系繊維を50〜100重量%含有させることが好ましい。また、これに加えて、湿潤強度を発現させるためにポリアミドアミン・エピクロルヒドリン樹脂等の湿潤紙力増強剤を添加することも好ましい。かかる湿潤紙力増強剤は、嵩高紙全量に対して一般に0.2〜2.0重量%添加されることが好ましい。また、より高い湿潤強度を発現させるために、上述のポリアミドアミン・エピクロルヒドリン樹脂にカルボキシメチルセルロース等のアニオン系ポリマーや両性ポリアクリルアミド等の両性ポリマーを適量混合した湿潤紙力増強剤を用いることも好ましい。
【0038】
また、上記嵩高紙3をペーパータオルやティッシュ等の吸収性基材として用いる場合の強度をアップさせたり、該嵩高紙3を2プライエンボス加工したものの厚み感を維持するためには、繊維全体に対して上記セルロース系繊維を70〜97重量%含有させ、熱可塑性繊維を3〜30重量%含有させることが好ましい。かかる熱可塑性繊維としては、平均融点160℃以下の熱接着成分を含有する繊維、即ち高温度(例えば100℃以上)の熱処理で繊維表面の一部が溶融する繊維が好ましく用いられる。そのような繊維としては、例えば、低融点ポリエステル系共重合繊維、ポリエチレン繊維、エチレンビニルアルコール繊維又はポリビニルアルコール繊維等の低融点タイプの繊維を鞘成分とし高融点タイプの繊維を芯成分とした芯鞘型繊維や、サイドバイサイド型繊維のうちの片方の成分が上記低融点タイプの繊維であるもの等が挙げられる。
【0039】
以上、本発明の嵩高紙の製造方法をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明の範囲は上記実施形態に制限されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
例えば、上記開孔パターンネットとしては、図2に示すものの他に、図5(a)に示すような正方形の開孔部を有するものや、図5(b)に示す正六角形の開孔部を有するもの、または円形の開孔部を有するもの、或いはこれらの形状を任意に組み合わせたもの等を用いることもできる。
また、上記開孔パターンネットとして、金属板を打ち抜いて作製したものの他、金属板をエッチング加工して作製したもの、金属製または合成樹脂製のワイヤー(糸)を織って作製したもの等を用いることができる。
また、図1に示す装置においては、上記パターン付与部30を上記乾燥部40内に設置して該パターン付与部30と該乾燥部40とを一体化してもよい。即ち、上記乾燥部40における上記ドラム状スルー・エアー・ドライヤー41の周面に上記開孔パターンネットを配設して、上記繊維シート2を吸引しパターン付けしつつ、該繊維シート2を乾燥させてもよい。
また、図1に示す装置においては、上記乾燥部40と巻取部50との間にヤンキードライヤーを設置すると共に、該ヤンキードライヤーの出口にクレーピングドクターを並設して、得られる嵩高紙の風合いを一層向上させてもよい。尚、この場合には、上記ドラム状スルー・エアー・ドライヤー41における上記繊維シートの乾燥の程度を下げておくことが好ましい。
また、上記実施形態では、抄紙機のライン内で形成されたウエット状態の繊維シートにパターン付けする場合(インラインでのパターン付け)を例にとり説明したが、これに代えて、一旦通常抄紙を行い該通常抄紙により得られた紙を、再湿潤させて上記水分率の繊維シートとなし、次いで上記開孔パターンネットが配設された上記吸引ドラムによって該繊維シートにパターン付け(オフラインでのパターン付け)をしてもよい。
また、上記嵩高紙の製造方法に関して特に詳述しなかった点については、従来公知の抄紙方法に関する説明が適宜適用される。
【0040】
また、上述の説明から明らかなように、本発明によれば下記のものも併せて提供される。
水分率が50〜99重量%の繊維シートを保持した状態で、吸引によって該繊維シートにパターン付けを行うための、多数の開孔部を有する開孔パターンネットであって、
上記開孔パターンネットは、1つの開孔部面積が3〜25mmで且つ開孔部面積率が19〜91%であり、開孔部を形成するネット材の最小幅が0.2〜2mmであることを特徴とする嵩高紙製造用開孔パターンネット。
1つの開孔部面積が3〜25mmで且つ開孔部面積率が19〜91%であり、開孔部を形成するネット材の最小幅が0.2〜2mmであるところの多数の開孔部を有する開孔パターンネットを周面に配設した吸引ドラムを、嵩高紙製造工程における乾燥工程の前または該乾燥工程内に設置したことを特徴とする嵩高紙製造装置。
【0041】
【実施例】
以下、実施例により本発明の有効性を例証する。しかしながら、本発明の範囲はかかる実施例に制限されるものではない。
【0042】
〔実施例1〕
カナディアン・スタンダード・フリーネス(CSF)680mlに叩解された針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP、重量平均繊維長2.35mm)を濃度1重量%に分散したパルプスラリーに、湿潤紙力増強剤としてのカイメンWS−570(DICハーキュレス社製)を0.625%(対パルプ重量%)、乾燥紙力増強剤及びカイメンの歩留り向上剤としてのカルボキシメチルセルロース(WS−A、第一工業製薬社製)を0.25%(対パルプ重量%)添加して抄紙原料とした。
調製した抄紙原料を用いて、図1に示すようなテスト抄紙装置を用いて嵩高紙を製造した。なお、図1における紙層形成ベルト21として、縦90メッシュ/インチ×横85メッシュ/インチのポリエステル製1,4−サテン織りベルトを使用した。
図1に示す装置の抄紙原料供給ヘッド11より上記抄紙原料を紙層形成ベルト21上へ供給し、吸引ボックス22で吸引脱水して水分率85重量%の繊維シート2を形成した。
次いで繊維シート2を、開孔パターンネット31が周面に配設された吸引ドラム32へ移送し、該吸引ドラム32に備えられた吸引ボックス37により150mmHgで吸引し、該繊維シート2を紙層形成ベルト21から開孔パターンネット31面上へと移して、パターンを付与した。ここで、上記開孔パターンネット31としては、図2に示される正三角形の開孔部形状を有する開孔部面積5.3mm、ネット材の幅0.5mm、開孔部面積率64.2%、厚み0.5mmの金属パターンプレートを用いた。なお、この金属パターンプレートは、テフロン被膜処理によってその表面の水に対する接触角が95°となっており、吸引ドラム32からの繊維シート2の剥離が良好となるようになしてある。
パターン付与された繊維シート2は、エアーノズル38および弱吸引ボックス39の弱い吸引により搬送ピックアップベルト23へ転送されてドラム状スルー・エアー・ドライヤー41へ導入される。該ドライヤー41内で繊維シート2を150℃の熱風にて乾燥し、坪量25g/mの嵩高紙3を得た。なお、嵩高紙を製造する際の抄速は10m/minであった。
嵩高紙を製造する際における、上記吸引ドラム32に配設された上記開孔パターンネット31からの、パターン付けされた上記繊維シート2の剥がれ性を評価した。その結果を、製造条件と共に表1に示す。表1中、「○」は剥がれ性が非常に良好であることを示し、「△」は製造に差し支えない程度の剥がれ性であることを示す。なお、剥がれ性の評価は、50m/minの抄速においても行った。
かくして得られた嵩高紙について、厚み、強度および吸収性を調べるために、平均乾燥厚み(3g/cm荷重下、23g/cm荷重下)、平均湿潤厚み(3g/cm荷重下、23g/cm荷重下)、乾燥引張強度(MD、CD)、湿潤引張強度(MD、CD)、単位面積あたりの飽和吸水量を以下の方法にて測定した。その結果を表2に示す。
【0043】
<平均乾燥厚み>
オザキ製作所社製の厚み計(R5−C)を用いて、5×5cmの底面を有する75gのアクリル板を一枚の嵩高紙の上に置いて3g/cm荷重下の乾燥平均厚みを測定した。また、上記アクリル板の上に更に500gのおもりを載せて23g/cm荷重下の平均乾燥厚みを測定した。
【0044】
<平均湿潤厚み>
嵩高紙を7cm×7cmに裁断して大量の水に5秒間浸した後、10秒間水を切ってから平均乾燥厚みの場合と同様にして平均湿潤厚みを測定した。
【0045】
<乾燥引張強度>
嵩高紙を幅25mm、長さ100mmの短冊状に裁断した後、速やかに万能圧縮引張試験機(オリエンティック社製、RTM−25)を用いて、引張速度300mm/min、試験片つかみ間隔50mmの条件で破断時の強度を測定した。なお、表1中、MDは抄紙機の流れ方向の強度を示し、CDはそれに直交する方向の強度を示す。
【0046】
<湿潤引張強度>
嵩高紙を幅25mm、長さ100mmの短冊状に裁断し、大量の水に5秒間浸した後、10秒間水を切ってから、乾燥引張強度と同様の方法で破断時の強度を測定した。
【0047】
<飽和吸水量>
嵩高紙を7cm×7cmに裁断して大量の水に20秒間浸した後、30秒間水を切ってから、嵩高紙に吸収された水の重量(g/49cm)を天秤にて測定した。
【0048】
〔実施例2〕
実施例1で用いた装置(図1に示す装置)における開孔パターンネット31として図5(a)に示すような正方形の開孔部形状を有する開孔部面積5.3mm、ネット材の幅0.5mm、開孔部面積率67.5%、厚み0.5mmのテフロン被膜処理された金属パターンプレート(水に対する接触角:95°)を用いる以外は実施例1と同様の操作で坪量25g/mの嵩高紙を製造した。製造条件を、繊維シートの剥がれ性の評価と共に表1に示す。
また、得られた嵩高紙について実施例1と同様の測定を行った。その結果を表2に示す。
【0049】
〔実施例3〕
実施例1で用いた装置(図1に示す装置)における開孔パターンネット31として図5(b)に示すような正六角形の開孔部形状を有する開孔部面積5.3mm、ネット材の幅0.5mm、開孔部面積率69.2%、厚み0.5mmのテフロン被膜処理された金属パターンプレート(水に対する接触角:87°)を用いる以外は実施例1と同様の操作で坪量25g/mの嵩高紙を製造した。製造条件を、繊維シートの剥がれ性の評価と共に表1に示す。
また、得られた嵩高紙について実施例1と同様の測定を行った。その結果を表2に示す。
【0050】
〔実施例4〕
実施例1で用いた装置(図1に示す装置)における開孔パターンネット31として図5(a)に示すような正方形の開孔部形状を有する開孔部面積20mm、ネット材の幅2mm、開孔部面積率47.7%、厚み1.5mmのテフロン被膜処理された金属パターンプレート(水に対する接触角:98°)を用いる以外は実施例1と同様の操作で坪量25g/mの嵩高紙を製造した。製造条件を、繊維シートの剥がれ性の評価と共に表1に示す。
また、得られた嵩高紙について実施例1と同様の測定を行った。その結果を表2に示す。
【0051】
〔実施例5〕
実施例1で用いた装置(図1に示す装置)における開孔パターンネット31として図5(a)に示すような正方形の開孔部形状を有する開孔部面積9mm、ネット材の幅1mm、開孔部面積率56.3%、厚み0.61mmであるテフロン被膜処理された偏平ガラス繊維織布のからみ織りネット(水に対する接触角:77°)を用いる以外は実施例1と同様の操作で坪量25g/mの嵩高紙を製造した。製造条件を、繊維シートの剥がれ性の評価と共に表1に示す。
また、得られた嵩高紙について実施例1と同様の測定を行った。その結果を表2に示す。
【0052】
〔実施例6〕
実施例1において用いた金属パターンプレートをテフロン被膜処理しなかった以外は実施例1と同様の操作で坪量25g/mの紙を製造した。なお、この金属パターンプレートの水に対する接触角は42°であった。製造条件を、繊維シートの剥がれ性の評価と共に表1に示す。
また、得られた紙について実施例1と同様の測定を行った。その結果を表2に示す。
【0053】
〔比較例1〕
実施例1において、吸引ボックス37による吸引を行なわない以外は、実施例1と同様の操作で坪量25g/mの紙を製造した。製造条件を、繊維シートの剥がれ性の評価と共に表1に示す。
また、得られた紙について実施例1と同様の測定を行った。その結果を表2に示す。
【0054】
〔比較例2〕
実施例1で用いた装置(図1に示す装置)における開孔パターンネット31として図5(a)に示すような正方形の開孔部形状を有する開孔部面積2mm、ネット材の幅0.5mm、開孔部面積率54.6%、厚み0.5mmのテフロン被膜処理された金属パターンプレート(水に対する接触角:95°)を用いる以外は実施例1と同様の操作で坪量25g/mの紙を製造した。製造条件を、繊維シートの剥がれ性の評価と共に表1に示す。
また、得られた紙について実施例1と同様の測定を行った。その結果を表2に示す。
【0055】
〔比較例3〕
実施例1で用いた装置(図1に示す装置)における開孔パターンネット31として図5(a)に示すような正方形の開孔部形状を有する開孔部面積30mm、ネット材の幅0.5mm、開孔部面積率84.0%、厚み0.5mmのテフロン被膜処理された金属パターンプレート(水に対する接触角:87°)を用いる以外は実施例1と同様の操作で坪量25g/mの紙を製造した。製造条件を、繊維シートの剥がれ性の評価と共に表1に示す。
また、得られた紙について実施例1と同様の測定を行った。その結果を表2に示す。
【0056】
〔比較例4〕
実施例1において、図1に示す装置の抄紙原料供給ヘッド11より抄紙原料を紙層形成ベルト21上へ供給し、吸引ボックス22で吸引脱水して水分率45重量%の繊維シート2を形成した。その後は、実施例1と同様の操作で坪量25g/mの紙を製造した。製造条件を、繊維シートの剥がれ性の評価と共に表1に示す。
また、得られた紙について実施例1と同様の測定を行った。その結果を表2に示す。
【0057】
【表1】
Figure 0003585692
【0058】
【表2】
Figure 0003585692
【0059】
表1及び表2に示す結果から明らかなように、特定の開孔パターンネットを用いて得られた嵩高紙(実施例1〜6)は、比較例の紙に比べて厚みが大きく、吸収性が高く、かつ適度な強度を有していることが分かる。
また、実施例1と実施例6との対比から明らかなように、水に対する接触角が特定の値以上である開孔パターンネットを用いることにより、特に高速抄紙時における繊維シートの剥がれ性が一層良好になることが分かる。
【0060】
【発明の効果】
以上、詳述した通り、本発明の嵩高紙の製造方法によれば、厚みが大きく、吸収性が高く、柔らかさに優れ、かつ適度な強度を有する嵩高紙が得られる。
また、本発明の嵩高紙の製造方法においては、上記開孔パターンネットが上記吸引ドラムに固定されており、可動部分がないので、劣化しにくく、その耐用年数が長くなる。
また、本発明の嵩高紙の製造方法においては、上記開孔パターンネットを取り替えるだけの簡単な操作で、パターン形状の変更が容易にできる。さらに、上記吸引ドラムを抄紙機内に設置した場合には、該吸引ドラムを下方に移動させて繊維シートの走行パスから外すだけで、通常抄紙の生産も容易にでき、通常抄紙の生産との切り替えが簡単である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の嵩高紙の製造方法に好ましく用いられる装置を示す模式図である。
【図2】開孔パターンネットの要部を拡大して示す平面図である。
【図3】吸引ドラムにおける繊維シートの吸引の様子を示す要部拡大図である。
【図4】本発明の嵩高紙の製造方法によって得られた嵩高紙の断面の構造を示す模式図である。
【図5】図5(a)及び(b)は、それぞれ開孔パターンネットの他の例を示す模式図(図2相当図)である。
【符号の説明】
1 嵩高紙製造装置
2 繊維シート
3 嵩高紙
4 低繊維密度領域
5 高繊維密度領域
10 原料供給部
20 紙層形成部
30 パターン付与部
31 開孔パターンネット
32 吸引ドラム
33 開孔部
35 支持用ネット
36 ネット材
37 吸引ボックス
40 乾燥部
41 ドラム状スルー・エアー・ドライヤー
50 巻取部

Claims (8)

  1. 1つの開孔部面積が3〜25mmで且つ開孔部面積率が19〜91%であり、開孔部を形成するネット材の最小幅が0.2〜2mmであるところの多数の開孔部を有する開孔パターンネットを周面に配設した吸引ドラムを、嵩高紙製造工程における乾燥工程の前または乾燥工程内に設置し、上記吸引ドラムに移送される前の水分率が50〜99重量%の繊維シートを、上記開孔パターンネット上に保持した状態で吸引して該繊維シートに該開孔パターンネットに対応するパターン付けをし、次いで乾燥させることによりパターン付けされた嵩高紙を得ることを特徴とする嵩高紙の製造方法。
  2. 上記吸引ドラムが、抄紙機の紙層形成工程と乾燥工程との間または該乾燥工程内に設置されている、請求項1記載の嵩高紙の製造方法。
  3. 通常抄紙により得られた紙を、再湿潤させて水分率が50〜99重量%の繊維シートとなし、次いで上記吸引ドラムによって該繊維シートにパターン付けをする、請求項1記載の嵩高紙の製造方法。
  4. パターン付けされた上記繊維シートを、熱風中を通過させて圧密化することなく乾燥させる、請求項1〜3の何れかに記載の嵩高紙の製造方法。
  5. 上記吸引ドラムに移送される前の上記繊維シートの水分率が70〜95重量%である、請求項1〜4の何れかに記載の嵩高紙の製造方法。
  6. 上記開孔パターンネットは、水に対する接触角が70°以上の撥水性を有している、請求項1〜5の何れかに記載の嵩高紙の製造方法。
  7. 上記開孔パターンネット中の1つの開孔部面積が4〜7mmで且つ開孔部面積率が40〜82%であり、開孔部を形成するネット材の最小幅が0.3〜1mmであり、上記開孔パターンネットの厚みが0.3〜10mmである、請求項1〜6の何れかに記載の嵩高紙の製造方法。
  8. 上記開孔部の形状が三角形である、請求項1〜7の何れかに記載の嵩高紙の製造方法。
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