JP3585602B2 - 洗濯機の運転制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、洗濯槽を回転させる洗濯槽用モータと、洗濯槽内の洗濯物に洗浄液を噴射するポンプを回転させるポンプ用モータと、それらの印加電圧を制御する電源装置を有する洗濯機に係り、特にその運転制御装置及び回路構成に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の洗濯機の洗濯方法は、撹拌翼の回転により発生する水流を利用したものが主流であるが、最近はより一層の洗浄性能の向上と使用洗濯水量の低減を目的として、上記撹拌翼のかわりに洗濯槽を回転させ、さらにポンプによる噴出洗浄液を洗濯物に直接散布するジェット洗浄式洗濯機が提案されている。
【0003】
このジェット洗浄式洗濯機は、噴出洗浄液を直接洗濯物に散布しその浸透力により洗濯するものであるが、同時に洗濯物の全面に洗浄液を均等に散布する目的から、その洗濯槽を急速反転させ、洗濯物を拡散させるようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
洗濯槽を回転させる洗濯槽用モータと洗濯槽内の洗濯物に洗浄液を噴射するポンプを回転させるポンプ用モータとを併用するジェット洗浄式洗濯機では、撹拌翼用モータのみを使用した従来の洗濯機とは異なる特有の問題点がある。
【0005】
それは、まず洗濯機の消費電力すなわちモータの電流値の問題であり、撹拌翼のみを使用した従来の洗濯機では、その電流値を所定値以下に制御するのに特別な手段を必要としないが、本方式の場合、例えば前記洗濯槽用モータの必要駆動トルクに着目すると、一般的に撹拌翼より洗濯槽の重量が重いため、前記洗濯槽用モータは撹拌翼用モータより非常に大きな駆動トルクを必要としており、特にその始動時や反転時にはこの駆動トルクを発生させるため多大な電流を必要とするなどの理由から、前記洗濯槽用モータ及び前記ポンプ用モータのそれぞれに流れる電流値の合計がブレーカ容量をオーバーしブレーカが遮断するという問題がある。
【0006】
次に、本方式の利点として、従来の撹拌方式より少ない使用洗濯水量で洗濯を可能にするという点があげられるが、過度にその水量を少なくすると、洗浄液を噴射するポンプに空気が混入し洗浄液の噴射がスムースに行われず洗浄効果が低下するばかりでなく、空気の噴射により噴射口から異常音が発生する不具合がある。
【0007】
次に、本方式には回転制御を要するモータが最低2個あり、これらのモータへの印加電圧を制御する電源装置がそれぞれ必要であり、従来の撹拌方式の洗濯機よりもコストアップとなる。
【0008】
最後に、本方式の目的である洗浄力向上のため、洗濯槽の急速反転により洗濯物を拡散させているが、緩慢な反転動作を繰り返すと洗濯槽内の洗濯物は互いに絡み合った団子状態となり本来の拡散がより困難となるので、急速反転動作はその反転モード初期から実施しなければならない。これを実現させるためには、洗濯槽内の洗濯物重量を認識し、その重量に応じたトルクを発生すべく、前記洗濯槽用モータに電圧を印加する必要がある。
【0009】
本発明は、まず前記洗濯槽用モータ及び前記ポンプ用モータが必要とする電流を供給するとともに、ブレーカ遮断という不具合を防止することができるジェット洗浄方式の洗濯機の運転制御装置を提供することを第1の目的とする。
【0010】
次に、洗浄力の低下や異常音の発生につながる洗浄液を噴射するポンプへの空気の混入を防ぐような機能をもつジェット洗浄方式の洗濯機の運転制御装置を提供することを第2の目的とする。
【0011】
次に、従来の撹拌方式の洗濯機よりもコストアップとならないジェット洗浄方式の洗濯機を提供することを第3の目的とする。
【0012】
更に、洗浄力向上のために、洗濯槽内の洗濯物重量に応じた洗濯槽の回転を可能とするジェット洗浄方式の洗濯機の運転制御装置を提供することを第4の目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため本発明では、洗濯槽を回転させる洗濯槽用モータと洗濯槽内の洗濯物に洗浄液を噴射するポンプを回転させるポンプ用モータのそれぞれに電流検出器を設け、前記洗濯槽用モータ及び前記ポンプ用モータに流れる電流値を検出し、その電流値の合計が予め設定された電流値より大きい場合、前記洗濯槽用モータあるいは前記ポンプ用モータのどちらかへの印加電圧を低下させる。これによって前記電流値の合計が設定電流値より小さくなるように制御することができる。
【0014】
また、洗濯槽運転始動時や反転時には、前記ポンプ用モータへの供給電力を一時的に低下させる。これによって前記洗濯槽用モータへ優先的に電力を供給し、前記洗濯槽用モータが必要とする多大なトルクを発生させるとともに前記洗濯槽用モータ及び前記ポンプ用モータに流れる電流値の合計が設定電流値を超えないように制御することができる。
【0015】
また、前記ポンプ用モータに流れる電流値が前記ポンプ用モータに流れる電流値に対して予め設定された電流値より小さくなると、洗浄液を噴射するポンプに空気が混入し空回り状態になったとして、洗濯機に設けられた自動給水弁を開いて洗濯槽に水を供給し水量を増やす。これによって、ポンプへの空気の混入を解消する。逆に前記ポンプ用モータに流れる電流値が前記ポンプ用モータに流れる電流値に対して予め設定された別の電流値よりも大きくなるとポンプへの空気の混入は解消されたとして、該自動給水弁を閉じて洗濯槽に水を供給するのを止める。以上のようにして、洗濯槽内には常にポンプに空気の混入が発生しない最少の使用水量を保つように制御することができる。
【0016】
また、ジェット洗浄方式の洗浄性能は主として洗濯物に噴射される洗浄液の洗濯物への浸透力により決定されるものであり、必ずしも前記洗濯槽用モータと前記ポンプ用モータを同時に駆動させる必要はない。そこで、前記洗濯槽用モータと前記ポンプ用モータに交互に電力を供給し、前記洗濯槽用モータあるいは前記ポンプ用モータのどちらか一方のみを駆動させる。これによって電流値を低くすることができ、更には前記洗濯槽用モータ及び前記ポンプ用モータを選択する切替装置を設けることによって、電源装置を1つにすることも可能であり、従来の洗浄方式の洗濯機よりコストアップとなるのを防ぐこともできる。
【0017】
また、洗濯槽運転時に、その運転モードにおいて前記洗濯槽用モータに流れる電流の最大値を検出し、該最大電流値に応じて、次の洗濯槽反転時において前記洗濯槽用モータに印加する電圧を決定する。これによって洗濯槽内の洗濯物重量に応じた洗浄力を生み出すことができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。図1は本発明の洗濯機の運転制御装置の回路ブロック図の一例であり、1は商用交流電源、2は平滑回路、3は洗濯槽を回転させる洗濯槽用モータ、4は洗濯槽内の洗濯物に洗浄液を噴射するポンプを回転させるポンプ用モータ、5は洗濯槽用モータ3に電圧を印加する電源装置、6はポンプ用モータに電圧を印加する電源装置、7は電源装置5に接続された電流検出器、8は電源装置6に接続された電流検出器、9は水道水を洗濯槽に供給する自動給水弁、10は電流検出器7,8からの検出信号を受信し、電源装置5,6及び自動給水弁9へ制御信号を送信する負荷電力制御装置である。
【0019】
商用交流電源1からの交流電流は、平滑回路2によって整流、平滑され直流電流となり、その直流電流の一方は電源装置5を介し洗濯槽用モータ3に、他方は電源装置6を介しポンプ用モータ4に供給される。そして、電流検出器7,8はそれぞれ洗濯槽用モータ3に流れる電流値、ポンプ用モータ4に流れる電流値を検出し、それらの検出した電流値に応じた信号を負荷電力制御装置10に送信する。電流検出器7,8からの信号を受信した負荷電力制御装置10は、その受信した信号に応じた制御信号を電源装置5,6及び自動給水弁9に送信して、電源装置5,6の出力電圧及び自動給水弁9の開閉を制御する。
【0020】
ここで、前記負荷電力制御装置10には、予め例えば5Aという設定電流値を記憶させておき、電流検出器7,8からの信号により、負荷電力制御装置10が洗濯槽用モータ3及びポンプ用モータ4に流れる電流値の合計が前記設定電流値5Aを超えたと認識した場合、負荷電力制御装置10は例えば電源装置6にその出力電圧を下げるべく信号を送信することによって、ポンプ用モータ4への印加電圧が減少し、その結果、ポンプ用モータ4に流れる電流が減少するので、洗濯槽用モータ3とポンプ用モータ4に流れる電流値の合計は設定電流値5A以下に制御される。
【0021】
図2は、洗濯槽とポンプの運転シーケンスの一例とその時に洗濯槽用モータ3とポンプ用モータ4に流れる電流を表したもので、洗濯槽運転始動時及び反転時には、図1において、負荷電力制御装置10から電源装置6へその出力電圧が0となる信号が送信され、そのため、ポンプ用モータは駆動せず、ポンプは運転されない(OFFとなる)。
【0022】
一方、電源装置5へは、負荷電力制御装置10に記憶された前記設定電流値が例えば5Aの場合、5Aの電流全てが洗濯槽用モータ3に流れるように、負荷電力制御装置10から信号が送信されその出力電圧が制御される。そして、洗濯槽運転始動後及び反転後は、洗濯槽運転始動時及び反転時に比べると洗濯槽用モータ3が必要とする電流は小さくなるので、その分ポンプ用モータ4へ電流が流れるようにポンプ用モータ4へ電圧が印加され、ポンプも駆動するようになる。
【0023】
尚、本実施形態においては、洗濯槽運転始動時及び反転時にはポンプ用モータ4を駆動させていないが、必ずしもこのようにする必要はなく、洗濯槽運転始動時及び反転時に、洗濯槽用モータ3が必要とする電流を洗濯槽用モータ3に供給し、かつ、洗濯槽用モータ3及びポンプ用モータ4に流れる電流値の合計が設定電流値以下になるならば、ポンプ用モータ4を駆動させることも可能である。
【0024】
図3において、11は洗濯槽、12は洗濯槽内の洗濯物に洗浄液を噴射するポンプ、13は洗浄液噴射口であり、自動給水弁9と洗濯槽11とポンプ12と洗浄液噴射口13の位置関係の一例を示しており、自動給水弁9から洗濯槽11に供給された水はポンプ12により洗浄液噴射口13から洗濯槽11に噴射され循環する。
【0025】
ここで、ポンプ12内の循環水量が過少である場合、図1のポンプ用モータ4にかかる負荷が小さく、そのため、ポンプ用モータ4に流れる電流も小さいが、図1の負荷電力制御装置10はその電流が負荷電力制御装置10に予め設定された電流値である図4に示す判定電流レベル2より小さいときは、ポンプ12に空気が混入しているとして、自動給水弁9を開くように制御する。
【0026】
その結果、自動給水弁9から洗濯槽11に水が供給され、ポンプ12内の循環水量が増加し、ポンプ用モータ4にかかる負荷が大きくなるので、ポンプ用モータ4に流れる電流も大きくなる。そこで、負荷電力制御装置10は、その電流が負荷電力制御装置10に予め設定された別の電流値である図4に示す判定電流レベル1より大きくなると、ポンプに混入していた空気は解消されたとして、自動給水弁9を閉じるように制御し、洗濯槽11への水の供給を止める。
【0027】
その後、何らかの原因で再び洗濯槽11内の水量が減少し、ポンプ12内の循環水量が過少となった場合にも、上記手順で自動給水弁9の制御が行われる。以上のようにして、常にポンプに空気の混入が発生しない最少の水量を保つように自動給水弁9が制御されており、その動作状態が図4に示されている。
【0028】
図5は、モータへの電源供給経路における他の実施形態を示しており、14は電源装置、15は電源装置14の出力電圧を洗濯槽用モータ3あるいはポンプ用モータ4のどちらか一方へ印加する切替装置であり、洗濯槽用モータ3及びポンプ用モータ4と電源装置14との間に設けられている。
【0029】
このような回路構成にすることによって、洗濯槽用モータ3とポンプ用モータ4に交互に電力を供給し、前記洗濯用モータ3あるいは前記ポンプ用モータ4のどちらか一方のみを駆動させることによって、電流値を低くすることができる。又、本実施形態の様に切替装置15を設けることにより、電源装置を1つにすることも可能である。
【0030】
図6は、洗濯槽運転始動時及びその次の反転時における洗濯槽用モータ3への印加電圧制御シーケンスを表したものと、洗濯槽運転始動時に洗濯槽用モータ3に流れる電流を表したものである。まず、洗濯槽運転始動時には、図1において、負荷電力制御装置10から電源装置5へその出力電圧がある一定値となるように信号が送信され、その電圧で一定期間洗濯槽は運転される。
【0031】
この期間中に洗濯槽用モータ3に流れる電流は図6に示すように洗濯槽の回転起動時に最大値を有する波形になり、負荷電力制御装置10はこの最大電流値を記憶する。ここで、前記最大電流値は図7に示すように洗濯槽内の洗濯物重量にほぼ比例して増加する特性であるため、前記最大電流値を計測することは洗濯槽内の洗濯物重量を計測することになる。
【0032】
そのため、負荷電力制御装置10には前記最大電流値に応じて次の洗濯槽反転時に洗濯槽用モータ3に印加する電圧を決定する機能をもたせておき、電源装置5の出力電圧が例えば前記最大電流値がIP1のときはVP1、IP2のときはVP2、IP3のときはVP3となる制御信号が負荷電力制御装置10から電源装置5に送信されるようにすれば、洗濯槽用モータ3には洗濯槽内の洗濯物重量に正比例した電圧が印加されることになる。
【0033】
【発明の効果】
請求項1の記載によれば、洗濯槽内の水量を洗濯槽に設けられた自動給水弁の開閉によって制御し、ポンプに空気が混入し洗浄力が低下したり、混入した空気の噴射による異常音が発生することを防ぐことができる。
また、請求項2の記載によれば、洗濯槽を回転させる洗濯槽用モータ及び洗濯槽内の洗濯物に洗浄液を噴射するポンプを回転させるポンプ用モータに流れる電流の合計がある設定値以下になるように制御されており、その設定値をブレーカの容量より少し小さな値にしておくことによって、ブレーカ遮断を防ぐことができる。
【0034】
請求項3の記載によれば、洗濯槽運転始動時及び反転時には、前記ポンプ用モータへの印加電圧を低下させることによって、前記ポンプ用モータより前記洗濯槽用モータへ優先的に電力を供給し、前記洗濯槽用モータが必要とする多大なトルクを発生させるとともに、前記洗濯槽用モータ及び前記ポンプ用モータに電流値の合計が設定電流値を超えないようにすることができる。
【0037】
請求項4に記載によれば、洗濯槽内の洗濯物重量に応じた電圧を前記洗濯槽用モータに印加することによって、洗濯槽内の洗濯物重量に適した洗浄力を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】洗濯機の運転制御装置の回路ブロック図。
【図2】洗濯槽とポンプの運転シーケンスとその時に洗濯槽用モータ及びポンプ用モータに流れる電流を表した図。
【図3】自動給水弁と洗濯槽と洗浄液を噴射するポンプと洗浄液噴射口の位置関係を表した図。
【図4】ポンプ用モータに流れる電流と自動給水弁の動作状態との関係を表した図。
【図5】洗濯槽用モータとポンプ用モータに交互に電力を供給する洗濯機の運転制御装置の回路ブロック図。
【図6】洗濯槽運転始動時及びその次の反転時における洗濯槽用モータへの印加電圧シーケンスと洗濯槽運転始動時に洗濯槽用モータに流れる電流を表した図。
【図7】図6における洗濯槽用モータに流れる電流の最大値と洗濯槽内の洗濯物重量の関係を表した図。
【符号の説明】
1 商用交流電源
2 平滑回路
3 洗濯槽を回転させる洗濯槽用モータ
4 洗濯槽内の洗濯物に洗浄液を噴射するポンプを回転させるポンプ用モータ
5 洗濯槽用モータに電圧を印加する電源装置
6 ポンプ用モータに電圧を印加する電源装置
7 洗濯槽用モータに電圧を印加する電源装置に接続された電流検出器
8 ポンプ用モータに電圧を印加する電源装置に接続された電流検出器
9 自動給水弁
10 負荷電力制御装置
11 洗濯槽
12 洗濯槽内の洗濯物に洗浄液を噴射するポンプ
13 洗浄液噴射口
14 電源装置
15 切替装置
Claims (4)
- 洗濯槽を回転させる洗濯槽用モータと、該洗濯槽用モータへの印加電圧を制御する第1電源装置と、前記洗濯槽内の洗濯物に洗浄液を噴射するポンプを回転させるポンプ用モータと、該ポンプ用モータへの印加電圧を制御する第2電源装置と、前記洗濯槽用モータ及び前記ポンプ用モータのそれぞれに流れる電流値を検出する電流検出器と、前記洗濯槽に給水する自動給水弁とを備え、前記ポンプ用モータに流れる電流値が予め設定された電流値よりも小さくなると前記自動給水弁を開くとともに、前記ポンプ用モータに流れる電流値が予め設定された他の電流値よりも大きくなると前記自動給水弁を閉じることを特徴とする洗濯機。
- 前記洗濯槽用モータ及び前記ポンプ用モータのそれぞれに流れる電流値の合計が予め設定されて電流値よりも大きい場合に、前記洗濯槽用モータ或いは前記ポンプ用モータへの印加電圧を低下させることを特徴とする請求項1に記載の洗濯機。
- 洗濯槽運転始動時及び反転時には、前記ポンプ用モータへの印加電圧を低下させることを特徴とする請求項2に記載の洗濯機。
- 前記洗濯槽用モータに流れる電流の最大値を検出し、該最大電流値によって次の洗濯槽反転時の前記洗濯槽用モータへの印加電圧を決定することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の回転ドラム式洗濯機。
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