JP3585470B2 - プレキャストpc部材及びその製造方法並びに該部材と他部材との接合方法 - Google Patents
プレキャストpc部材及びその製造方法並びに該部材と他部材との接合方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プレテンション方式によって製造されるプレキャストPC部材およびその製造方法並びに該PC部材と他部材との接合方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、構造物の杭基礎として使用されるPCパイル、PC電柱、コンクリートトラス橋の斜材等は、プレキャストPC部材として細長いことが特徴である。
【0003】
このようなPC部材を製造する場合は、コンクリートの投入された型枠を回転し、遠心力締固めすることによって成形する製造方法に適している。また、このような部材をプレストレストコンクリート構造とするための方法として、公開特許公報平9−49230等により公表されている。
【0004】
このようなPC部材の製造方法は、原理的には、図14に示すような装置を使用した方法であり、同図を参照して説明すると、側型枠30の両端部外枠31,32の内側に設けられた両端板33,34にPC鋼材35を係止し、緊張端端部外枠32にジャッキ反力をとりつつ、ジャッキ36を伸長状態から短縮してPC鋼材35を緊張し、次に、側枠30内にコンクリート2を投入し、養生後、コンクリート2が所定の強度に達した後、ジャッキ36を解放して、コンクリート2にプレストレスを導入して、例えば、PCパイル等のプレキャストPC部材40が製造される。
【0005】
こうして製造されたPCパイルからなるプレキャストPC部材40は、例えば、図15(a)に示すように、コンクリートトラス橋37の引張斜材38等に使用され、格点部材39と引張斜材(PCパイル40)38を接続する場合には、図15(b)に示すように、PCパイル40端部に予め鋼製フランジ41を取り付けておき、格点ブロックコンクリートからなる格点部材39にボルト締めするのが一般的である。
【0006】
このような、従来のプレテンション方式PC部材の特徴としては、工場等でコンクリートを打設後、コンクリートが所要の強度を発現後、直ちに部材端部のジャッキを解放してPC鋼材の緊張を解放して、コンクリートにプレストレスを導入し、部材の引張り強度を最大に高めている点に特徴がある。
【0007】
このように、従来のプレキャストPC部材には、PC鋼材によってプレキャストPC部材の引張り強度を高める点は示されているが、しかし、そのPC鋼材によって他の部材を接合し、しかも他のコンクリート部材にもプレストレスを導入できるようにした点については示唆あるいは開示はされていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記のプレキャストPC部材40の遠心力成形方法による製造方法およびプレキャストPC部材40には、以下の(1)〜(4)のような問題点が明らかになった。
【0009】
(1)プレキャストPC部材40の端部に接合されるコンクリート部材にプレストレスを導入して接合できる手段を備えていないプレキャストPC部材40となり、接合手段を別個に付属させると構造が複雑になると共にコストが高くなる。
【0010】
(2)すべてのPC鋼材を型枠に反力をとって緊張配置させなければならない製造装置による製造方法であるので、使用するPC鋼材が限定され、PC鋼材の自由度が低い。
【0011】
(3)前記(1)に加えてさらに、PC部材40そのもの自身には、構造的に、他のコンクリート部材(例えば、格点部材39)を取付ける部品が付属していないので、他のコンクリート部材との接合は、PC部材40にフランジ41を設けて、ボルトまたはナット42によって一体化する方法しかなく、他のコンクリート部材にプレストレスを導入し、頑強にPC部材40と他のコンクリートとをー体化することができなかった。
【0012】
(4)PCパイルからなるPC部材40と他のコンクリートを接合する場合には、予めPCパイル40の製造工場等で仮組みし、他のコンクリートを打設し、製造しなければならず作業が繁雑であった。
【0013】
本発明は、中実のPC鋼材によってプレキャストPC部材自身の引張り強度を高める点の利点を生かしつつ、中空PC鋼材によって、プレキャストPC部材自身と他の部材の接合を可能にし、しかも他のコンクリート部材にもプレストレスを導入できるようにしたプレキャストPC部材およびその製造方法並びに該部材と他部材との接合方法を提供することを目的とする。
【0014】
【問題を解決するための手段】
前記の問題を解決するため、以下のようなプレキャストPC部材および該部材の製造装方法並びにその製造方法を提供する。
【0015】
請求項1のプレキャストPC部材においては、プレキャストPC部材断面内に、緊張されたPC鋼材の中間部が埋め込まれていると共に、前記PC鋼材の両端部がプレキャストPC部材本体に定着されてプレキャストPC部材本体にプレストレスが付与されているプレキャストPC部材3において、前記PC鋼材とは別個に前記プレキャストPC部材3の一端部または両端部の断面内に、予め緊張された接合兼コンクリート用プレストレス導入装置4における中空PC鋼棒1の先端側が埋め込み配置され、前記装置4は、中空PC鋼棒1内に反力PC鋼棒25(6,24)が挿入され、その反力PC鋼棒25に反力を取らせながら予め前記中空PC鋼棒1に緊張力が導入されてその緊張力の解放によりコンクリートに対するプレストレス力が付与されるように構成され、かつ前記中空PC鋼棒1の基端部に螺合されているストッパ19を備えた支承筒7と、前記中空PC鋼棒1の先端部に螺合されているエンドホルダー8とによって前記中空PC鋼棒1のプレストレス力が保持され、さらに、前記装置4の基端部が、前記プレキャストPC部材3の本体端部より外側に延長するように配置され、前記プレキャストPC部材3の本体端部9より外側に延長するように配置された部分10により、前記中空PC鋼棒1のプレストレス力が保持された接合部が構成されていることを特徴とすることを特徴とする。
【0016】
また、請求項2の発明においては、請求項1に記載のプレキャストPC部材において、前記中空PC鋼棒1の先端部内側に雌ねじ孔26が設けられ、前記雌ねじ孔26に雄ねじ部材からなるエンドホルダー8が設けられ、かつ前記中空PC鋼棒1の先端部外側に雄ねじ部14が設けられ、前記雄ねじ部14に着脱自在にアンカー部材27が螺合されていることを特徴とする。
【0017】
さらに、請求項3の発明においては、請求項1または2に記載のプレキャストPC部材において、複数本の接合兼コンクリート用プレストレス導入装置4が前記プレキャストPC部材3に設けられ、前記複数本の接合兼コンクリート用プレストレス導入装置4における前記外側に延長するように配置された部分10の接合部の長さLを、同一の長さまたは異なる長さとしたことを特徴とする。
【0018】
請求項4のプレキャストPC部材の製造方法においては、中空PC鋼棒1内に反力PC鋼棒25(6,24)が挿入され、この反力PC鋼棒25に反力を取らせながら予め前記中空PC鋼棒1に緊張力が導入されてその解放によるコンクリート2に対するプレストレス力が付与され、かつ前記中空PC鋼棒1の基端部に螺合されているストッパー19を有する支承筒7と、前記中空PC鋼棒1の先端部に螺合されているエンドホルダー8によって中空PC鋼棒1のプレストレス力が保持されている接合兼コンクリート用プレストレス導入装置4を使用したプレキャストPC部材3の製造方法において、型枠の対向する端部間にわたって配置されるPC鋼材とは別個に、型枠内に前記接合兼コンクリート用プレストレス導入装置4の先端側を配置すると共に、前記接合兼コンクリート用プレストレス導入装置4の基端側を、前記型枠の端部より外側に所要の接続長を有するように配置すると共に、型枠に反力をとるようにして緊張されたPC鋼材35の中間部が前記型枠内に配置され、次いで、前記型枠内にコンクリート52を投入し、プレキャスト部材を製造することを特徴とする。
【0019】
請求項5の発明においては、請求項4の発明において、前記型枠を回転駆動ローラ11にて所定の速度で回転し、遠心成形することを特徴とする。
【0020】
請求項6のプレキャストPC部材と他部材との接合方法においては、請求項1〜3のいずれかに記載のプレキャストPC部材3または請求項4または請求項5の製造方法によって製造されたプレキャストPC部材3を、コンクリート構造物を築造すべく所定位置に配置した後、前記プレキャストPC部材本体の外側に延長した部分10を埋め込むように他のコンクリート部材用のコンクリートを打設し、そのコンクリートが所定の強度を発現した後、接合兼コンクリート用プレストレス導入装置4におけるストッパ19を備えた支承筒7における前記ストッパー19を回転して緩めて、プレキャストPC部材3と他のコンクリート部材の両部材にプレストレスを導入し、プレキャストPC部材3と他のコンクリート部材とからなるコンクリート構造物を一体化することを特徴とする。
【0021】
【作用】
従来のプレテンション方式PC部材は、工場等でコンクリートを打設後、コンクリートが所要の強度を発現後、直ちに部材端部のジャッキを解放し、コンクリートにプレストレスを導入するものであるが、本発明のプレキャストPC部材単体には、コンクリートにプレストレスを与えている状態のPC鋼材とコンクリートにプレストレスを与えていない接合用のコンクリート用プレストレス導入装置4とを備えている。本発明も接合兼コンクリート用プレストレス導入装置4には、プレテンション方式によってプレテンションを与えてプレキャストPC部材を製造するが、プレキャストPC部材のコンクリートに中空PC鋼棒の緊張解放によりプレストレス力を与えることなく、PC構造物の架設現場にプレキャストPC部材3を搬入後、構造物の所定位置に配置し、接続する他のコンクリート部材のコンクリートを打設後、予めプレストレス力を与えられている接合兼コンクリート用プレストレス導入装置4を解放して、プレキャストPC部材3と他のコンクリート部材とに同時にプレストレスを与えて、二つの部材等を強固に接続することに大きな相違点がある。
【0022】
さらに詳細に説明すると、本発明のプレテンション方式プレキャストPC部材3は、工場で製造され出荷時点では、接合兼コンクリート用プレストレス導入装置4における中空PC鋼材にプレストレス力(引張力)が導入されているが、プレキャストPC部材3におけるコンクリート本体部分には、まだプレストレスが導入されない状態にある。この状態でトレーラー等を使用し、トレーラー等の上に支持台を取り付け、プレキャストPC部材3を支持台上に載荷して建設現場まで運搬する。
【0023】
その際、PCパイル3等のプレキャストPC部材3とした場合には、PCパイル3に曲げが作用するが、該プレキャストPC部材3は、緊張定着されている中実のPC鋼棒35と、中空PC鋼棒1とその中に挿入されているPC鋼棒(中空PC鋼棒とほぼ同等の強度を有する)6が共同して鉄筋としての補強耐力を有しているので、曲げひび割れが生ずる心配はない。
【0024】
また、プレキャストPC部材3と他のコンクリート部材(場所打ちコンクリートによる部材)は、現場でコンクリートを打設し、所定の強度を発現後、接合兼コンクリート用プレストレス導入装置4のストッパー19をレンチ等で回転して緩めることにより、プレキャストPC部材3と他のコンクリート部材に同時にプレストレスが導入されるので、この時点でプレキャストPC部材3と接合されたコンクリート部材とからなるコンクリート構造物は、プレストレス構造となり、ボルトや鉄筋で接合する方法に比べより強固に接合することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を図示の実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1〜図4は、本発明の第1実施形態のプレキャストPC部材およびその構造を示したものであり、図1(a)は全体を示す側面図、図1(b)は拡大した一部切欠縦断側面図、図2(a)は図1bの左端部(異径ホルダー側)を拡大して示す縦断側面図、図3(a)は図2の(b)のA―A線断面図、図3(b)は図2bのB−B線断面図、図4はコンクリート用プレストレス導入装置の右端部(エンドホルダー側)と、異径ホルダー側を拡大して示す一部縦断側面図である。図5は、PCパイルからなるプレキャストPC部材3を遠心力成形する場合の、本発明の製造方法の一実施形態を示す縦断側面図である。
【0026】
以下、図1〜図5、特に図5を参照しながら、PCパイルからなるプレキャストPC部材3の製造方法の一実施形態について詳細に述べる。
【0027】
PCパイル等のプレキャストPC部材製造装置近くのヤード上で、本発明において使用する接合兼コンクリート用プレストレス導入装置4(分解・組立が自在なユニット化されたもので、その詳細構造は後記する。)を挿通させるために、PC鋼材用透孔11およびPC鋼材35を挿通させるためのPC鋼材用透孔35aを設けた2枚の鋼製キャップ12,13を用意し、間隔をおいて平行に配置する。
【0028】
前記の鋼製キャップ12,13は、断面溝形の鋼製キャップであり、一方の鋼製キャップ12には、その溝底板中心部にモルタル注入管51を挿入するための透孔が設けられ、また各鋼製キャップ12,13の溝底板12a,13aには、等角度間隔をおいて複数(図示の場合には4つ)のPC鋼材挿通用透孔11が設けられ、また、前記PC鋼材挿通用透孔11よりも小径のPC鋼材挿通用透孔35aが,周方向の前記透孔11の間において、等角度間隔を置いて設けられている。
【0029】
次に、前記のPC鋼材挿通用透孔11,35aに前記のPC鋼材35および接合兼コンクリート用プレストレス導入装置4を挿通して装着することになるが、ここで、本発明において使用する接合兼コンクリート用プレストレス導入装置4の構造について、図2〜図4を参照して説明する。特に図4には、接合兼コンクリート用プレストレス導入装置4の両端部の構造が示され、中間部は一定形状で変化がない形態であるので、図4を参照して説明する。
【0030】
この接合兼コンクリート用プレストレス導入装置4は、中空PC鋼棒1を使用したコンクリート用プレストレス力導入装置の一形態であり、コンクリートにプレストレス導入後、中空PC鋼棒1内に配置された反力PC鋼棒6をノンプル方式にして(引き抜かない方式にして)、そのまま中空PC鋼棒1内に残存する(据え置く)方式とした形態であり、反力PC鋼棒6を引き抜く場合に比べてコストの面で有利とした形態である。
【0031】
鋼製中空PC鋼棒本体1aの長手方向の先端部外側に雄ねじ部14を有すると共に、基端部(後端部)外側に雄ねじ部15を有する中空PC鋼棒1における前記雄ねじ部15に、先端部に小径雌ねじ孔16と基端部に大径雌ねじ孔17の2つの異径雌ねじ孔を有し、かつ六角形等の回動工具係合用外面18を備えている異径ホルダーからなる支承筒7における先端部の雌ねじ孔16が螺合連結されている。
【0032】
前記支承筒7の基端部の雌ねじ孔17に、鋼製筒状の環状係止片からなるストッパー19の先端雄ねじ部20が螺合され、前記ストッパー19の基端部(後端部)外側には、六角形等の回動工具係合用外面21が形成され、前記ストッパー19の前端部には、前記支承筒7の内部に配置され、先端部に凹部22を有する押圧係止片23の後端面が係合され、前記押圧係止片23の前端部の凹部22には、中空PC鋼棒1内に一端側が挿入され、かつ他端側が前記中空PC鋼棒1の後端部から突出するように配置された短尺の撤去用反力PC鋼棒24の後端部が嵌合され、前記撤去用反力PC鋼棒24の前端部には、前記中空PC鋼棒1内に全体が収納された状態で配置されるノンプル用反力PC鋼棒6の後端部が当接されている。この実施形態においては、前記撤去用反力PC鋼棒24と前記ノンプル用反力PC鋼棒6とにより、押し込み用反力PC鋼棒25が構成されている。
【0033】
前記中空PC鋼棒1の先端部内側の雌ねじ孔26に雄ねじ部材からなるエンドホルダー8が螺合され、また、中空PC鋼棒1の先端部外側の雄ねじ部14にナット等からなるアンカー部材27が着脱自在に螺合固定され、前記ノンプル用反力PC鋼棒6の先端部は前記エンドホルダー8の後端面に当接されている。また、中空PC鋼棒1の後端側の雄ねじ部15の中間部には、ナット等からなるアンカー部材28が螺合されている。
【0034】
前記のような、接合兼コンクリート用プレストレス導入装置4における中空PC鋼棒1に緊張力を導入する場合は、図示を省略して簡単に説明すると、前記アンカー材28を枠形フレームに支承させるように、前記接合兼コンクリート用プレストレス導入装置4を前記枠形フレームに配置して、枠形フレームに装着された液圧ジャッキを利用して、そのジャッキの可動ピストンの先端部に係合され、ストッパー19の中央中空部に挿入される押し込み鋼棒により押圧係止片23を前記中空PC鋼棒1に向かって移動するように押圧し、前記撤去用反力PC鋼棒24およびノンプル(据置)用反力PC鋼棒6を中空PC鋼棒1内に押し込むように圧縮力を導入した後、その状態においてフリーになっている前記支承筒7またはストッパー19を前記押圧係止片23に向かって接近する方向(図4の右方向)に回転させて、前記ストッパー19を前進移動して、ストッパー19の前端部を押し込み係止片23に係合させ、枠形フレームから分離させると、前記中空PC鋼棒1に緊張力を導入させることができる。なお、前記アンカー部材27を取外しても中空PC鋼棒1の緊張力が保持される構造とされている。
【0035】
この第1実施形態の場合には、前記支承筒7を中空PC鋼棒1から取り外し、接合用コンクリートの硬化した後に硬化し、中空PC鋼棒1とノンプル用反力PC鋼棒6の一体性を高め、コンクリート部材相互の終局耐力を向上させるため、適宜遅延剤を硬化型接着剤に混合させてなる経時硬化型の合成樹脂製接着剤からなる接着兼用防錆材43が中空PC鋼棒1の端部開口部から予めあるいは適宜の時期に注入充填されると共に、前記中空PC鋼棒1の奥側に配置される前記中空PC鋼棒1の長さ寸法よりも短い長尺のノンプル用反力PC鋼棒6が挿入され、次に、これに直列に係合される短寸の撤去用反力PC鋼棒24がノンプル(据置)用反力PC鋼棒6と直列に、かつ中空PC鋼棒1の入り口側の開口端部から所定の押し込み量以上を突出するように配置した後に、支承筒7を中空PC鋼棒1の後端部雄ねじ部15に螺合させ、かつストッパー19を支承筒7の後部に螺合させた状態で中空PC鋼棒1に緊張力を導入して釣り合わせるとよい。
【0036】
この実施形態においては、長尺のノンプル(据置)用反力PC鋼棒6と短尺撤去用反力PC鋼棒24との長短2本のPC鋼棒により、中空PC鋼棒1内に配置される押し込み用反力PC鋼材25が構成され、前記ノンプル用反力PC鋼棒6の寸法と撤去用反力PC鋼棒24の寸法の和が前記中空PC鋼棒1の寸法よりも長く構成し、前記中空PC鋼棒1の後端部外側に、前記撤去用反力PC鋼棒24が突出するように構成されている。この突出した寸法が、ジャッキにより間接的に押し込むことができるプレストレス量の最大値になる形態である。このように、接合兼コンクリート用プレストレス導入装置4は、機械的に分解または組立が自在な装置である。
【0037】
前記のように、接合兼コンクリート用プレストレス導入装置4における中空PC鋼棒1に所定の緊張力が予め導入された複数の接合兼コンクリート用プレストレス導入装置4(図示の場合は、左右各4本の計8本)を使用し、そして、図5,図2および図3を参照しながらさらに説明すると、中実の鋼棒からなる複数(図示の場合は、合計20本)のPC鋼材35の右端側から、左端の鋼製キャップ13,中間部のスパイラル鉄筋44および右端の鋼製キャップ12の順にセットされ、左側のコンクリート用プレストレス導入装置4および右側のコンクリート用プレストレス導入装置4は各鋼製キャップ12,13が設置される時点あるいは最後に装着される。
【0038】
また、全ての接合兼コンクリート用プレストレス導入装置4におけるエンドホルダー8側のアンカー部材27を取り外し、各接合兼コンクリート用プレストレス導入装置4(ユニット)の先端側から、鋼製キャップ12,13に、セットされる。
【0039】
すなわち、まず、ヤード上において、各PC鋼材35の右端部から左端部に配置される鋼製キャップ13の各透孔35aを通過させる。そして、前記鋼製キャップ13が後端部(図5の左端)の所定の位置まで移動させる。また、コンクリート用プレストレス導入装置4の先端部を鋼製キャップ13の外側からPC鋼材挿通用透孔11に挿通し、しかもそのキャップ13の外側に、接合兼コンクリート用プレストレス導入装置4の基端部側(後端部)が所定の接続長Lを確保するようにコンクリート用プレストレス導入装置4を所定の位置まで挿し込む。前記の接続長は、コンクリート用プレストレス導入装置4におけるプレキャストPC部材本体端部から突出する部分のうち、コンクリート部材へのプレストレス導入が可能な部分であり、支承筒7の先端面までである。
【0040】
次に、プレキャストPC部材として完成される断面内に配置するスパイラル筋44を、前記各PC鋼材35および接合兼コンクリート用プレストレス導入装置4の先端側を囲むように、そのPC鋼材35の中間部および接合兼コンクリート用プレストレス導入装置4の先端部に、所定の長さにわたり螺旋状に配置する。
【0041】
次に、先端部(図の右端部)側に位置する鋼製キャップ12の各透孔35aに各PC鋼棒35を挿通して所定の位置に移動させる。また、鋼製キャップ12の外側から右側配置の各コンクリート用プレストレス導入装置4の先端部を挿通して、鋼製キャップ12の外面から、接合兼コンクリート用プレストレス導入装置4の基端部が所定の距離離れて、接続長Lを確保する様にして全ての接合兼コンクリート用プレストレス導入装置4を右端の鋼製キャップ12から所定の接続長を確保するように挿入した後、左右の各コンクリート用プレストレス導入装置4に前記アンカー部材27を螺着する。また鋼製キャップ12の外側部分における各PC鋼材35の端部雄ねじ部にはナット60を螺合しておくと共にカプラー61の一端側を螺合する。なお、図示を省略するが、前記各鋼製キャップ12,13とスパイラル筋44とPC鋼材35および各接合兼コンクリート用プレストレス導入装置4は番線等により結束されて、一体ユニット化される。
【0042】
前記の各接続長Lは、鋼製キャップ12,13より外側に延長するように配置された部分10のうちで、周囲にコンクリートを打設した場合に、そのコンクリートとの付着がとれる部分(接合部)であり、特に付着が図れる部分のうちでも、鋼製キャップ12および鋼製キャップ13と各アンカー部材27との間の部分は、周囲のコンクリートに圧縮力を充分導入できる部分であるので、重要な部分である。
【0043】
このようにして、組み立てられて、ユニット化されたPCパイル補強材ユニット(各鋼製キャップ12,13とPC鋼棒35と接合兼コンクリート用プレストレス導入装置4とスパイラル筋を結束したもの)からなるPC部材補強材ユニット45をクレーン等でPCパイル製造位置まで運び、2つ割りに作られている下半分の側型枠29aの中に配置する。前記の側型枠29aには、引張用可動支圧板62を備えた緊張装置63を備えており、前記引張用可動支圧板62におけるPC鋼材挿通用透孔62aに、鋼製キャップ13の外側部分における各PC鋼材35の端部を挿通して、引張用可動支圧板62の外側にナット64により係合させる。
【0044】
また、前記引張用可動支圧板62に等角度間隔をおいて設けられているコンクリート用プレストレス導入装置用溝62bにコンクリート用プレストレス導入装置4における支承筒7およびアンカー部材28並びに中空PC鋼棒1の中間部を通し、所定の位置に、PC部材補強用ユニット45を配置する。
【0045】
前記の緊張装置63は、前記引張用可動支圧板62に頭部が係合された引張用ボルト65の先端側に螺合された支承用ナット66を備えており、前記側型枠29aに連結された端板67の外側に前記支承用ナット66は係合され、前記引張用ボルト65にジャッキ68における可動ピストンはカプラー(図示を省略)等により、連結よよび離脱可能に構成されている。また、図5右側の前記カプラー61には、両端部に雄ねじを備えている螺杆からなる連結ロッド69の一端部が連結され、前記連結ロッド69の他端部は、側型枠29aの他端部にボルト・ナット等により固定された固定支圧板70に挿通されて、前記固定支圧板70の外側に係合され、前記連結ロッド69に螺合されたナット71により固定支圧板70に係合している。
【0046】
そして、前記ジャッキ68を短縮するようにして、引張用ボルト65および引張用可動支圧板62を介して、各PC鋼材35に緊張力(引張力)を導入し、その反力を側型枠29および固定支圧板70並びに連結ロッド69等を介して釣り合わせる。また、前記支承用ナット66を前記端板67に係合させる。このように支承用ナット66を端板67に係合させた状態では、前記ジャッキ68を取外すことができる。
【0047】
なお、前記鋼製キャップ13の外側と可動支圧板62の間に、PC鋼棒35に螺合するナットを配置するようにしてもよく、このようにナットを配置すると、各PC鋼材35を緊張させた状態で、前記ナットにより鋼製キャップ13の外面に係合させ、その位置ずれを防止できると共に、支承用ナット66を緩めた段階で直ちに鋼製キャップ13に係合させ定着させることができる。右側のナット60も同様な作用がある。なお、鋼製キャップ13の位置保持するために、適宜側型枠29(29a,29b)に鋼製キャップ13の外面に係合する凸部を設けるようにしてもよい。
【0048】
このようにした後、上半分の側型枠29bを前記側型枠29aに載置してボルト等により一体化して閉じて、筒状型枠29が構成される。
【0049】
なお、前記下半分の側型枠29aは、フランジ付回転ローラ46に載置され、各側型枠29a,29bの中間部に固定の半環状フランジが合致して、前記フランジ付回転ローラ46により回転される円環状部材とされている。なお、各側型枠29a,29bの端部に一体に設けられた端部フランジ47,48に、端板67および固定支圧板70がボルト・ナット49により固定されている。
【0050】
次に、固定支圧板70および前記鋼製キャップ12の中央部透孔に、モルタル注入管51を挿通して装着し、モルタル注入管51より所定量のコンクリート(またはモルタル)52を型枠29内に注入した後、回転ローラ46を駆動して所定の回転速度で型枠29を回転し遠心成形を行う。コンクリート(またはモルタル)52が所定の強度を発現後、支承用ナット66を緩め(これにより、コンクリート52にPC鋼材35によりプレストレスが導入される。)、外型枠29bを取外すと共に、ナット64、カプラー61をPC鋼材35から取り外し、またモルタル注入管51を取り除き、引張用可動支圧板62を後退移動させて、ナット64を鋼製キャップ13に適宜座金を介在させて係合させ、およびナット60を鋼製キャップ12に適宜座金を介在させて締付け定着させて、側型枠29aを脱枠してPCパイルからなるプレキャストPC部材3が完成する。(図1〜図3の状態)
【0051】
前記のように、本発明のプレキャストPC部材3においては、コンクリート(またはモルタル)52が硬化した時点においても、接合兼コンクリート用プレストレス導入装置4の先端側とコンクリート52の付着はされているが、前記中空PC鋼棒1に導入されている緊張力が解放されずにコンクリート(またはモルタル)52には、圧縮力(プレストレス)が導入されていない状態である。
【0052】
なお、前記接合兼コンクリート用プレストレス導入装置4における中空PC鋼棒1に緊張力を導入する時点(換言すると、圧縮ロッドとしての反力PC鋼棒6および撤去用反力PC鋼棒からなる押し込み用反力PC鋼棒25に圧縮力を導入する時点)は、接合兼コンクリート用プレストレス導入装置4の製造工場において行なわれる。このような装置は、前記した装置以外の適宜の装置によってもよい。
【0053】
この実施形態では、図4に示すように、圧縮ロッドとして反力PC鋼棒6および撤去用反力PC鋼棒からなる押し込み用反力PC鋼棒25を使用し、ジャッキで中空PC鋼棒1を引張しつつ、前記PC鋼棒25を圧縮し、変形量分をストッパー19を回転して押圧係止片23の後端まで移動させプレストレス力を保持する。また、接合兼コンクリート用プレストレス導入装置4の先端部は、アンカー部材27を外しても、中空PC鋼棒1の端部内側にエンドホルダー8が螺着されているので、プレストレス力が解放されない構造になっている。従って、前記アンカー部材27を外して、接合兼コンクリート用プレストレス導入装置4をキャップ12,13の鋼製溝底板部に通過させることにより、鋼板に大きな透孔を設けなくとも良いように工夫されている。
【0054】
次に、前記実施形態のプレキャストPC部材3を使用する場合の一形態について図6を参照しながら説明すると、図6は、上記のようにして製造されたPCパイルからなるプレキャストPC部材3(以下PCパイル3とも言う)をコンクリートトラス橋37の引張斜材38に使用した場合のPCパイル3と格点コンクリート部材39との接続構造を示している。
【0055】
接合兼コンクリート用プレストレス導入装置4は、格点コンクリート部材39と接続するためにPCパイル3の上、下端から接続に必要な長さが延長されている。また、支承筒(異径ホルダー)7が装着されている側を外側にして所定の位置に配置し、図示を省略するが、型枠および所用の補強鉄筋を配置する。このようにPCパイル3を配置することにより、上側および下側格点に支承筒7を取り外すための切欠き53を設けるように型枠を配置する。
【0056】
次に、格点コンクリート39aを打設し、各格点コンクリート39aが所定の強度を発現後、接合兼コンクリート用プレストレス導入装置4におけるストッパー19をレンチで緩め、中空PC鋼材1の緊張力を解放するようにして引張斜材38と格点コンクリート部材39に同時にプレストレスを導入する。特にアンカー部材27と28間および中空PC鋼棒1とコンクリート(またはモルタル)52および格点コンクリート39aとの付着によりプレストレスが導入される。
【0057】
このことにより、PCパイル3と各格点コンクリート部材39の接続面Aにもプレストレスが導入され、PCパイル3と格点コンクリート部材39を強固に接合することができる。その後、図7に示すように、各切り欠き53の部分にモルタル等の防錆用充填材73を充填して中空PC鋼棒1の端部の防錆を図る。
【0058】
図8は、前記のプレキャストPC部材3をコンクリート下路アーチ橋54に適用した形態であり、プレキャストPC部材3をPC支柱55として、コンクリート製上部アーチ56とコンクリート製下弦材57を築造すべくこれらの間、または築造されたコンクリート製下弦材57上に配置して、前記下側の接合兼コンクリート用プレストレス導入装置4の基端側(ただし、支承筒7は除く)をコンクリート製下弦材57に埋め込むようにし、上側の接合兼コンクリート用プレストレス導入装置4における支承筒7(異径ホルダー7)側をコンクリート製上部アーチ56側に埋め込むように配置し、図示を省略するが、前記と同様な切り欠き(53)を設けて、支承筒7をその部分に配置し、コンクリート製上部アーチ56(またはこれとコンクリート製下弦材57)を築造すべくコンクリートを打設して硬化させた後、前記ストッパ19を後方に移動させて、PC支柱55を介した上部アーチ56と、下弦材57との一体化が図られる。なお、既設のコンクリート製下弦材57にプレキャストPC部材3を立設する場合には、適宜既設のコンクリート製下弦材57にコンクリート用プレストレス導入装置4の基端部を固定するための透孔等を設けてコンクリート用プレストレス導入装置4の基端側をモルタル等により定着する。
【0059】
なお、前記切り欠き53部分の支承筒7(異径ホルダー7)は、取り外し、また、短尺の撤去用反力PC鋼棒24を撤去した後、前記切り欠き53の部分にモルタル等の防錆材料が充填される。
【0060】
図9および図10は、本発明の第2実施例のPCパイルからなるプレキャストPC部材3を示すものであって、この形態の場合、鋼製キャップ13側にコンクリート用プレストレス導入装置4が配置され、鋼製キャップ12側にPC鋼材用透孔11が設けられず、また接合兼コンクリート用プレストレス導入装置4も設けられていない。また、前記のエンドホルダー8側は適宜スパイラル鉄筋44等に結束されて位置保持される。また、この実施形態におけるPCパイル3は、杭の下側では接合兼コンクリート用プレストレス導入装置4をパイル3から延長して設ける必要がなく、またオーガで掘削するためにPCパイル3の端部は、PCパイル中空部と同様の内径の円形孔を有するリング状鋼製端板12を設けている。その他の構成は前記第1実施形態のプレキャストPC部材3と同様であるので、相違する部分を主に説明し、同様な要素の部分には、同一の符号を付して説明を省略する。
【0061】
この実施形態は、プレキャストPC部材3の一端側にのみ、接合用コンクリート部材が設けられる形態に適用するための形態であり、従って、接続長は片側にのみ設けられて、片側のみ接合部を有する形態である。
【0062】
図11および図12には、前記第2実施形態のPCパイルからなるプレキャストPC部材3を、橋梁における橋脚58または建物の基礎58に使用した形態が示されている。
【0063】
すなわち、プレキャストPC部材3における支承筒7(異径ホルダー)を上部に所定の接続長を確保して、地盤71にプレキャストPC部材3本体をオーガーにより中空内部に浸入する土砂を排土しながら地盤71の所定の位置に埋設し、プレキャストPC部材3の接続長側に、これらの接続長部分を埋め込むようにコンクリート製フーチング59を設けた状態が示されている。
【0064】
なお、この実施形態の場合も、切り欠き53部分の支承筒7(異径ホルダー)は、取り外し、また、短尺の撤去用反力PC鋼棒24を撤去した後、前記切り欠き53の部分にモルタル等の防錆材料73を充填する。なお、この場合、図示のように、支承筒7の上部に、コンクリート製あるいはモルタル製の上部構造物(図示の場合は、コンクリート製橋脚72)が築造される場合には、ストッパー19を緩めた後、上部構造物のコンクリートあるいはモルタルに埋め込むようにしてもよい。
【0065】
本発明のプレキャストPC部材3としては、前記各実施形態のように遠心力成形されるPCパイルだけでなく、図13に示すように、矩形中空断面のプレキャストPC部材3や無垢断面(中実断面)としてもよい。なお、符号75はコンクリート製端板である。
【0066】
また、プレキャストPC部材3の断面形状は、円形あるいは矩形中空断面にとらわれることなく、6角断面、8角断面等の多角形断面、あるいはT字状断面、I字状断面等の適宜の断面形状でもよく、本発明のプレキャストPC部材の利用範囲は、多用途に利用できる。
【0067】
本発明においては、プレキャストPC部材3の端部側にのみ、コンクリート用プレストレス導入装置4を配置する形態であるので、プレキャストPC部材3の全長に渡って配置する場合に比べて、経済的である。
【0068】
前記実施形態においては、プレキャストPC部材3の一方側に別個の一つの部材を一体に結合する形態を示したが、本発明を実施する場合、プレキャストPC部材3の一方側に別個の複数の部材を一体に結合する形態としてもよい。前記実施形態のように、プレキャストPC部材3本体の端部9から適宜同じ長さまたは異なる長さの接続長Lとしておくと、接合される部材の外面形状に応じて、支承筒7を取外した後の中空PC鋼棒1の端部の収まりがよい。
【0069】
なお、前記実施形態の場合は、周側板12b,13bを備えた形態の鋼製キャップ12,13を示したが、本発明を実施する場合、鋼製キャップ12,13の周側板12b,13bを省略して、単なる溝底板12a,13aだけの鋼製端板としてもよい。
【0070】
【発明の効果】
本発明の効果は次の通りである。
(1)接合兼コンクリート用プレストレス導入装置の製造工場等で、予めプレストレス力が与えられた接合兼コンクリート用プレストレス導入装置のユニットは、自碇式のもの(装置本体内外の鋼棒で緊張力と圧縮力の釣り合いがとれ、かつ解放操作も可能なもの)であり、側型枠でプレストレス力の反力を取る必要がない。また、コンクリート用プレストレス導入装置をプレキャストPC部材の端部にのみ配置すればよいので、長尺のプレキャストPC部材にも容易に配置して使用できる。また、プレキャストPC部材には、その全長にわたってPC鋼材によりプレストレスが付与されているので、プレキャストPC部材の搬送中に、本体部分が損傷する恐れがない。
(2)プレキャストPC部材と他のコンクリート部材との接続部のためにプレストレスを導入することができるので、鉄筋やボルトで接続するより頑強に接続できる。
(3)プレキャストPC部材本体から延長した接合兼コンクリート用プレストレス導入装置の端部は、端部から接続長を延長できるが、用途によっては、プレキャストPC部材の両端または一端のみでも延長できるので様々な用途に使用できる。
(4)プレキャストPC部材と他の部材を接合する際、他の部材のコンクリート打設は現場で行ことにより、精度よく接合することができる。
(5)中空PC鋼棒に緊張力が導入された接合兼コンクリート用プレストレス導入装置の端部を型枠内に配置して、型枠内にコンクリートあるいはモルタルを充填し、必要に応じ型枠を回転させて、コンクリートまたはモルタルを硬化させることにより、容易にプレキャストPC部材を製造することができる。
(6)本発明のプレキャストPC部材の構造は、簡単な構造である。
(7)接合兼コンクリート用プレストレス導入装置における先端側(エンドホルダー側)のアンカー部材は着脱自在であるので、プレキャストPC部材を製造する場合、型枠等には、アンカー部材の外径より小さい透孔を設ければよく、すなわち、型枠に中空PC鋼棒を挿通させる小さな透孔を設ければよく、また先端側のアンカー部材を取外しても、中空PC鋼棒に導入されている緊張力を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るプレキャストPC部材を示すものであって、(a)は一部切欠側面図、(b)は(a)を拡大した一部切欠縦断側面図である。
【図2】(a)は図1aの左端部を拡大して示す縦断側面図である。
【図3】(a)は図2aのA―A線断面図、(b)は図2のB−B線断面図である。
【図4】接合兼コンクリート用プレストレス導入装置における異径ホルダー側とエンドホルダー側を拡大して示す一部切欠拡大縦断側面図である。
【図5】本発明のプレキャストPC部材の製造方法を説明するための縦断側面図である。
【図6】本発明のプレキャストPC部材をトラス橋に適用した形態を示す一部縦断側面図である。
【図7】図6の状態からストッパを緩めてプレキャストPC部材と格点部材を結合した後、異径ホルダーを撤去して、格点部材の凹部に防錆用モルタルを充填した状態を示す一部縦断側面図である。
【図8】本発明のプレキャストPC部材を下路アーチ橋に適用した形態を示す概略側面図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係るプレキャストPC部材を示すものであって、(a)は一部切欠側面図、(b)は一部切欠縦断側面図である。
【図10】(a)は図9(b)の一部を拡大して示す一部縦断側面図、(b)は(a)のC−C線断面図である。
【図11】第2実施形態のプレキャストPC部材を使用して、フーチングと結合する形態を示す一部縦断側面図である。
【図12】図11の状態から、ストッパを緩めてプレキャストPC部材とフーチングを結合した後、異径ホルダーを撤去し、凹部にモルタル等を充填した後、橋脚を築造した形態を示す一部縦断側面図である。
【図13】(a)は本発明における第3実施形態のプレキャストPC部材の一端側を示す一部縦断側面図、(b)は(a)のD−D線断面図である。
【図14】従来のプレキャストPC部材の製造方法を説明するための縦断側面図である。
【図15】(a)は、(b)はコンクリートトラス橋を示す側面図、(b)は従来のコンクリートトラス橋における斜材と弦材との格点部の接合構造を示す側面図である。
【符号の説明】
1 中空PC鋼棒
1a 鋼製中空PC鋼棒本体
2 コンクリート
3 プレキャストPC部材
4 コンクリート用プレストレス導入装置
6 PC鋼棒
7 支承筒(異径ホルダー)
8 エンドホルダー
9 部材端部
10 外側に延長するように配置された部分
11 PC鋼材用透孔
12 鋼製キャップ
13 鋼製キャップ
14 雄ねじ部
15 雄ねじ部
16 小径雌ねじ孔
17 大径雌ねじ孔
18 回動工具係合用外面
19 ストッパー
20 先端雄ねじ部
21 回動工具係合用外面
22 凹部
23 押圧係止片
24 撤去用反力PC鋼棒
25 押し込み用反力PC鋼棒
26 雌ねじ孔
27 アンカー部材
28 アンカー部材
29 型枠
29a 側型枠
29b 側型枠
30 側型枠
31 外枠
32 外枠
33 端板
34 端板
35 PC鋼材
36 ジャッキ
37 コンクリートトラス橋
38 引張斜材
39 格点部材(格点コンクリート部材)
40 プレキャストPC部材
41 鋼製フランジ
42 ボルトまたはナット
43 接着兼用防錆材
44 スパイラル筋
45 PC部材補強用ユニット
46 フランジ付回転ローラ
47 端部フランジ
48 端部フランジ
49 ボルト・ナット
51 モルタル注入管
52 コンクリート(またはモルタル)
53 切り欠き
54 コンクリート下路アーチ橋
55 PC支柱
56 コンクリート製上部アーチ
57 コンクリート製下弦材
58 橋脚または基礎
59 コンクリート製フーチング
60 ナット
61 カプラー
62 引張用可動支圧板
62a 透孔
62b 溝
63 緊張装置
64 ナット
65 引張用ボルト
66 支承用ナット
67 端板
68 ジャッキ
69 連結ロッド
70 固定支圧板
71 地盤
72 コンクリート製橋脚
73 防錆用充填材
74 円形孔
75 コンクリート製端板
Claims (6)
- プレキャストPC部材断面内に、PC鋼材の中間部が埋め込まれていると共に、前記PC鋼材の両端部がプレキャストPC部材本体に定着されてプレキャストPC部材本体にプレストレスが付与されているプレキャストPC部材3において、前記PC鋼材とは別個に前記プレキャストPC部材3の一端部または両端部の断面内に、予め緊張された接合兼コンクリート用プレストレス導入装置4における中空PC鋼棒1の先端側が埋め込み配置され、前記装置4は、中空PC鋼棒1内に反力PC鋼棒が挿入され、その反力PC鋼棒に反力を取らせながら予め前記中空PC鋼棒1に緊張力が導入されてその緊張力の解放によりコンクリートに対するプレストレス力が付与されるように構成され、かつ前記中空PC鋼棒1の基端部に螺合されているストッパ19を備えた支承筒7と、前記中空PC鋼棒1の先端部に螺合されているエンドホルダー8とによって前記中空PC鋼棒1のプレストレス力が保持され、さらに、前記装置4の基端部が、前記プレキャストPC部材3の本体端部より外側に延長するように配置され、前記プレキャストPC部材3の本体端部9より外側に延長するように配置された部分10により、前記中空PC鋼棒1のプレストレス力が保持された接合部が構成されていることを特徴とするプレキャストPC部材。
- 前記中空PC鋼棒1の先端部内側に雌ねじ孔26が設けられ、前記雌ねじ孔26に雄ねじ部材からなるエンドホルダー8が設けられ、かつ前記中空PC鋼棒1の先端部外側に雄ねじ部14が設けられ、前記雄ねじ部14に着脱自在にアンカー部材27が螺合されていることを特徴とする請求項1に記載のプレキャストPC部材。
- 複数本の接合兼コンクリート用プレストレス導入装置4が前記プレキャストPC部材3に設けられ、前記複数本の接合兼コンクリート用プレストレス導入装置4における前記外側に延長するように配置された部分10の接合部の長さLを、同一の長さまたは異なる長さとしたことを特徴とする請求項1または2に記載のプレキャストPC部材。
- 中空PC鋼棒1内に反力PC鋼棒が挿入され、この反力PC鋼棒に反力を取らせながら予め前記中空PC鋼棒1に緊張力が導入されてその解放によるコンクリート2に対するプレストレス力が付与され、かつ前記中空PC鋼棒1の基端部に螺合されているストッパー19を有する支承筒7と、前記中空PC鋼棒1の先端部に螺合されているエンドホルダー8によって中空PC鋼棒1のプレストレス力が保持されている接合兼コンクリート用プレストレス導入装置4を使用したプレキャストPC部材3の製造方法において、型枠の対向する端部間にわたって配置されるPC鋼材とは別個に、型枠内に前記接合兼コンクリート用プレストレス導入装置4の先端側を配置すると共に、前記接合兼コンクリート用プレストレス導入装置4の基端側を、前記型枠の端部より外側に所要の接続長を有するように配置すると共に、型枠に反力をとるようにして緊張されたPC鋼材35の中間部が前記型枠内に配置され、次いで、前記型枠内にコンクリート52を投入し、プレキャスト部材を製造することを特徴とするプレキャストPC部材の製造方法。
- 前記型枠を回転駆動ローラ11にて所定の速度で回転し、遠心成形することを特徴とする請求項4に記載のプレキャストPC部材の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のプレキャストPC部材3または請求項4または請求項5に記載の製造方法によって製造されたプレキャストPC部材3を、コンクリート構造物を築造すべく所定位置に配置した後、前記プレキャストPC部材本体の外側に延長した部分10を埋め込むように他のコンクリート部材用のコンクリートを打設し、そのコンクリートが所定の強度を発現した後、接合兼コンクリート用プレストレス導入装置4におけるストッパ19を備えた支承筒7における前記ストッパー19を回転して緩めて、プレキャストPC部材3と他のコンクリート部材の両部材にプレストレスを導入し、プレキャストPC部材3と他のコンクリート部材とからなるコンクリート構造物を一体化することを特徴とするプレキャストPC部材と他部材との接合方法。
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