JP4195768B2 - 高軸耐荷力を有する版状部材付き複合合成鋼管部材およびその製造方法 - Google Patents

高軸耐荷力を有する版状部材付き複合合成鋼管部材およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、橋梁、建築、高架構造物等に使用される版状部材付き複合合成鋼管部材およびその製造方法に関するものであり、主に柱部材、梁部材、または壁部材として使用され、複合鋼管部材と鉄筋コンクリートスラブ部材もしくはプレストレストコンクリートスラブ部材により構成される複合合成構造で軸方向の高耐荷力を有するスラブまたは壁体等の版状部材付き複合合成鋼管部材およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、鋼管にコンクリートを充填したコンクリート充填鋼管柱および、鋼管内面をアンボンド処理してコンクリートを充填したアンボンド鋼管柱が知られている。このようなコンクリート充填鋼管およびアンボンド鋼管柱は、柱として非常に大きな軸耐力を有しているが、いずれも最大軸耐力の発生時には非常に大きな軸方向ひずみが生じる。この最大軸耐力発生時の軸ひずみは通常のコンクリート部材の最大軸耐力発生時の軸ひずみと比較して非常に大きい。そのため、図6に示すように予め前記コンクリート充填鋼管50にスラブまたは壁体等の版状部材51を取り付けて、これに軸方向の荷重を負担させた場合は、図7の荷重歪曲線に示すように、スラブまたは壁体が限界耐力F1と通常のコンクリート充填鋼管やアンボンドコンクリート充填鋼管50における最大耐力F3の合計F3+F1が潜在的に部材の持ちうる最大の耐力であるが、しかし前記コンクリート充填鋼管50が最大耐力F3を発揮しないうちに、スラブまたは壁体が限界耐力F1、限界ひずみEに達して圧壊してしまい、そのときの前記コンクリート充填鋼管の発生耐力は最大耐力F3よりもかなり低いF2であるため、部材としての軸耐力はF1+F2と通常のコンクリート部材とかわらなくなってしまうという問題がある。
【0003】
前記のように、コンクリート充填鋼管部材50に床版等のスラブまたは壁体等の版状部材51を結合するようにした場合は、鋼管部材の耐力F3が飛躍的に向上しているにもかかわらず、スラブまたは壁体等の版状部材51自体の軸方向の耐力F1は変わらないために、前記コンクリート充填鋼管部材に単に床版等のスラブまたは壁体等の版状部材51を結合しただけでは、軸方向の圧縮力が増していくように使用する場合、構造上、コンクリート充填鋼管部材50に比べて、スラブまたは壁体等の版状部材51は軸方向の耐力が弱いので、これらに同時に軸方向に圧縮力を作用させるようにすると、軸方向の耐力が比較的弱い版状部材51の軸方向の耐力に起因して、版状部材51が最初に圧壊またはひび割れ等の損傷を受けることなり、版状部材51を含めた複合合成鋼管部材52全体の軸方向の耐力を向上させることができないという問題がある。
したがって、版状部材の損傷問題があるために従来の合成構造体と比べて飛躍的に有利にはならない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、図8に示すように、鋼管内周面にアフターボンドPCなどに使用されているエポキシ系樹脂等の所定時間潤滑効果を有する経時硬化性の付着防止被膜3を予め塗布した状態でコンクリート8を鋼管1内に充填してアンボンド充填コンクリート鋼管部材25を形成し、その充填したコンクリート8が硬化した後でかつ前記経時硬化性被膜が硬化終了前で鋼管1と充填コンクリート8とが一体化される前に、前記硬化した充填コンクリート8に対して、これを管軸方向に圧縮するように鋼管の外側あるいは内側に配置されるPC鋼材13等によりプレストレスPを付与して、プレストレスが付与されたアンボンド充填コンクリート鋼管部材25を形成する。
【0005】
前記プレストレスにより、所定の軸ひずみが生じている状態の前記プレストレスが付与されたアンボンド充填コンクリート鋼管25にスラブまたは壁体等の版状部材20を前記鋼管外周面に設けられたジベル等の係止手段21により鋼管1と一体化させ、かつ、プレストレス導入完了後に経時硬化性付着防止被膜3が硬化して鋼管1と充填コンクリート8とが一体化されて、かつこれらと版状部材20を含む全体が一体化されて、図9におけるスラブ等の版状部材20の荷重ひずみ曲線Bにおける耐力F1と、鋼管内部の硬化したコンクリートに付与したプレストレスPと、合成鋼管部材25のスラブ20の破壊時における耐力F2の合計F1+F2+P(図の2点鎖線Cで示す高軸耐荷力)を有する版状部材付き複合合成鋼管部材およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、請求項1の発明においては、
鋼管内面に所定時間潤滑効果があり硬化する経時硬化性皮膜を設けた鋼管内にコンクリートを充填して構成される合成鋼管部材における前記鋼管内の硬化したコンクリートのみに、予め軸方向のプレストレスが付与され、
硬化した前記コンクリートにプレストレス付与後の前記合成鋼管部材の外側に設けられたずれ止め等の係止手段を介してスラブまたは壁体等の版状部材と合成鋼管部材とが一体化され、
鋼管内周面に設けられ、前記コンクリートの硬化後に硬化される前記経時硬化性被膜が硬化されて鋼管内周面と、硬化しかつプレストレスが付与された前記コンクリートが結合一体化されていることを特徴とする。
【0007】
また請求項2の発明においては、請求項1の発明において、鋼管の両端部に鋼製蓋材が嵌設され、その各鋼製蓋材間に渡って配設された鋼材が緊張されて、鋼管内の硬化したコンクリートにプレストレスが付与されていることを特徴とする。
【0010】
また請求項3の発明においては、鋼管内周面に経時硬化性被膜を設けた後、前記鋼管内にコンクリートを充填し、そのコンクリートが硬化した後で、かつ前記経時硬化性被膜が硬化する前に、前記硬化したコンクリートに軸方向の圧縮プレストレスを付与し、前記鋼管の外側に設けられたずれ止め等の係止手段を介してスラブまたは壁体等の版状部材と合成鋼管部材とが一体化され、前記版状部材と合成鋼管部材との一体化の後に、鋼管内周面に設けられた経時硬化性被膜が硬化されて鋼管内周面と硬化したコンクリートが結合一体化されることを特徴とする。
【0011】
さらに、請求項4の発明においては、請求項3の発明において、鋼管の両端部に鋼製蓋材が嵌設され、その各鋼製蓋材間に渡って配設された鋼材が緊張されて、鋼管内の硬化したコンクリートにプレストレスが付与されていることを特徴とする。
【0013】
【作用】
鋼管内周面にアフターボンドPCなどに使われるエポキシ系樹脂と同じような潤滑作用を持つ経時硬化性被膜を塗布形成してアンボンド処理し、鋼管内にコンクリートを打設してアンボンド充填コンクリート鋼管(合成鋼管)を形成する。そこで、硬化した充填コンクリートに対してまず予め所定の軸力を与えて、所定の軸ひずみが既に生じた状態で鋼管の外側にこれと一体にスラブまたは壁体等の版状部材を形成して鋼管と複合合成化する。このとき、アンボンド充填鋼管(合成鋼管)の充填コンクリートには軸方向ひずみが、また、鋼管には周方向ひずみが生じているが、スラブは無応力である。これに加えて、プレストレス付与完了後に経時硬化性被膜が硬化して、鋼管と充填コンクリートが複合合成化される。これによって、部材全体が一体合成化される。
【0014】
この状態でこの版状部材付き複合合成鋼管部材に軸力を与えると、その与えられた軸力が予め与えられていた軸力の値に達するまでは、ほとんど版状部材付き複合合成鋼管部材には軸ひずみが生じない。つまり、あらかじめ内力として与えられていたプレストレスによる荷重に、外力による軸力が達するまでは、スラブまたは壁体等の版状部材にはほとんどひずみが生じず、すなわち、応力が発生しない。
【0015】
それ故あらかじめ与えられているプレストレスによる荷重を超えた外力(軸方向の圧縮荷重)が作用すると、その後は合成化された充填鋼管とこれと複合化した版状部材が共同して抵抗する。その結果、終局時の本部材の発生ひずみは従来構造と変わらないものの(スラブ等の版状部材部の終局ひずみで部材としての終局状態が規定されるため)、終局荷重については、スラブ等の版状部材の設置前に、充填コンクリートにプレストレスによってあらかじめ付与していた荷重分が増加するようになるので、終局荷重を高めることができ、耐力および剛性を向上させた高軸耐荷力を有する版状部材付き複合合成鋼管部材とすることができる。
【0016】
したがって、PC鋼材を緊張することによりプレストレスを付与する時には、鋼管とその内側に充填硬化されたコンクリートとが、未硬化状態で潤滑効果のある経時硬化性被膜によりアンボンド構造になり、またプレストレス付与後には、鋼管とこれに充填されたコンクリートとが一体に結合し合成化された合成構造になる。そのため、プレストレスを付与する時には、必要載荷荷重が小さくてすみ、また使用時には鋼とコンクリートとの一体合成構造になっているので、剛性および耐力が向上する。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
図1から図4は、本発明の第1実施形態を示すものである。この第1実施形態の場合は、鋼管1内の硬化した充填コンクリート8に対してプレストレスを付与する場合に、鋼管の外側から付与する形態例を示すものであって、まず図1に示すように、鋼管1における両端部を除く内周面2の全面に、アフターボンドPCなどに使用されているエポキシ系樹脂等からなる所定時間潤滑効果を有し、所定時間経過した後に硬化が終了する経時硬化性被膜3が塗布等により設けられている。
【0018】
次に図2に示すように、前記鋼管1の両端部に鋼製ソケットからなる蓋材4,5の一端側の差し込み用小径細部(挿し込み部)6,7がプレストレスによる移動変位Pを残した状態で嵌設され、次いで各鋼製ソケット4,5における小径細部6,7間の空間全体に流動性コンクリート等のコンクリート8を充填する。前記コンクリート8を充填するための注入口および空気抜き孔は、適宜前記鋼管1の一端側および他端側の上部等、適宜の位置に設ける(図示を省略した)。
【0019】
この場合、前記コンクリート8を充填する前に、図2に示すように、例えば、前記一方の鋼製ソケットからなる蓋材4に一体に設けた円環状のフランジからなるブラケット10の透孔10aと鋼製ソケットからなる蓋材5に一体に設けた円環状のフランジからなるブラケット12の透孔12aに渡って複数のPC鋼棒またはPCケーブル13を挿通して配設すると共に、そのPC鋼棒またはPCケーブル13の一端側の雄ねじ部に螺合するナット14によりPC鋼棒またはPCケーブル13の一端側を前記ブラケット10に係止し、かつPC鋼棒またはPCケーブル13の他端側の雄ねじ部に螺合されたナット15を前記ブラケット12側に配置したセンターホールジャッキ16のピストン杆17に係止しておく。
【0020】
次に図4に示すように、前記コンクリート8が硬化した後でかつ潤滑効果のある前記経時硬化性被膜3の状態において、前記各センターホールジャッキ16を伸長させて、鋼製ソケットからなる蓋材5におけるブラケット12の一端側を鋼管1の端面の近傍又はほとんど軸応力が付与されない状態でメタルタッチさせるように前記充填コンクリート8にプレストレスを導入させると共に、ブラケット12の凹部18内に配置されたナット19をブラケット12側に接近する方向に回動させて係合させる。
【0021】
この状態においては、前記経時硬化性被膜3はまだ硬化が終了していないので、鋼管1には軸力が作用していない状態で、充填コンクリート8には圧縮力が、また鋼管1には鋼管円周方向に引っ張り力が作用して、ひずみが生じた状態になる。なお、充填コンクリート8に対する付加プレストレスがさらに必要な場合には、センターホールジャッキ16を短縮した後、ナット15を移動させてピストン杆17に係合して再度センターホールジャッキ16を伸長し、ナット19をブラケット12側に接近する方向に回動させてブラケット12に係合させる。必要な場合には、前記の動作を繰り返して所定の付加プレストレスが導入されるようにすればよい。前記プレストレスが付与された後に前記経時硬化性被膜3が硬化されて、鋼管内周面と硬化したコンクリート8とが一体結合して合成化されて合成鋼管25が構成されている。
【0022】
この状態の各部材の応力状態を説明すると、PC鋼棒またはPCケーブル13には引っ張り力が作用している状態であり、硬化した状態のコンクリート8には圧縮力が作用している状態であり、鋼管1には、全くあるいは、ほとんど軸方向の圧縮力が作用していない状態で、鋼管円周方向に引っ張り力が作用している状態である。
【0023】
次に図4(b)に示すように、管軸直角方向に間隔をおいて並列して隣り合う前記合成鋼管25における鋼管1の上部に渡って、プレキャスト製の鉄筋コンクリート床版または場所打ち工法による鉄筋コンクリート床版等の版状部材20を一体に固定するように構築して複合化させる。
なお、プレキャストコンクリート床版等により版状部材20を築造する場合には、鋼管1には、図4(b)に示すように、スタッドジベル21等の結合手段を予め設けておき、またプレキャストコンクリート床版20には適宜鋼管1におけるスタッドジベル21を収容するための収納用凹部22を設けておき、凹部22内に打設された結合用コンクリート23により鋼管1と合成化する。第1実施形態の場合には、このようにして高軸耐荷力を有する版状部材付き複合合成鋼管部材を製造する。なお、PCケーブル13,ナット14,15,19およびセンターホールジャッキ16は、版状部材付き複合合成鋼管部材を上下方向に直列に配設されることにより、あるいは版状部材付き複合合成鋼管部材を柱間に一つまたは複数個直列に横方向に配設し、ケーブル等により軸力を負荷させて柱に固定し、充填コンクリート8のプレストレスが解消された後に、適宜取り外すようにしてもよい。
【0024】
この図4の状態の応力状態を説明すると、PC鋼棒またはPCケーブルには引っ張り力が作用している状態であり、充填コンクリート8には圧縮力が作用している状態であり、鋼管1には鋼管円周方向に引っ張り力が作用している状態で、版状部材20には軸方向の圧縮力が全く作用していない状態である。
【0025】
前記のプレストレスが付与された複数のコンクリート充填鋼管8の上部に渡ってスラブまたは壁体等の版状部材20を構築する場合、コンクリート充填鋼管8は並列して3つ以上あってもよく、1つのコンクリート充填鋼管8上に構築するようにしてもよい。
【0026】
前記実施形態の場合は、鋼管1の外側に配置したPC鋼棒またはPCケーブル13等のPC鋼材を使用してこれを緊張するようにしているが、鋼管1の内側に適宜本数のPC鋼棒またはPCケーブル13あるいは中空のPC鋼棒を配設して、これを緊張することにより、鋼管1内の充填コンクリート8にプレストレスを付与するようにしてもよく、このような実施形態の場合を図5によって説明する

【0027】
図5は、鋼管1内にコンクリート8を充填すると共に、鋼管1内に配置されたPC鋼棒13を緊張して鋼管1内に充填し硬化したコンクリート8にプレストレスを付与する場合の第2実施形態を示すものであって、まず図5(a)に示すように、鋼管1の内周面にエポキシ樹脂系の経時硬化性被膜3を塗布すると共に鋼管1の両端部に鋼製の蓋材兼加圧板30を嵌設すると共に、その各蓋材兼加圧板30の透孔31(図示の場合は中央部に1つ)に渡って中実または中空PC鋼棒13を挿通配設すると共に、前記各蓋材兼加圧板30の近傍におけるPC鋼棒13の雄ねじ部31,32に螺合されたナット33,34を蓋材兼加圧板30の外側に配置し、前記PC鋼棒13の外側に予め、付着防止被膜またはシース35を配設した後に、鋼管1内にコンクリート8を充填し、そのコンクリート8が硬化した後に、前記中実または中空PC鋼棒13をセンターホールジャッキ等を用いて緊張すると、蓋材兼加圧板30により硬化したコンクリート8にプレストレスが付与され(図5(b)参照)、その後、蓋材兼加圧板30の外側に前記ナット33,34を係合し、その後、鋼管1内周面の経時硬化性被膜3を硬化させて、鋼管1とプレストレスが付与されたコンクリート8とを一体化させる(図5(c)参照)。
【0028】
次に前記図4(b)において説明したように、管軸直角方向に間隔をおいて並列して隣り合う前記合成鋼管25における鋼管1の上部に渡って、プレキャスト製の鉄筋コンクリート床版または場所打ち工法により鉄筋コンクリート床版等の版状部材20を一体に固定するように構築して複合化させる。なおこの実施形態の場合、中空または中実PC鋼棒13を複数本、各型枠(蓋材)兼加圧板30における透孔に挿通するように配設してもよい。
【0029】
前記第2実施形態の場合においても、プレストレスが付与された複数のコンクリート充填鋼管8の上部に渡ってスラブまたは壁体等の版状部材20を構築する場合、コンクリート充填鋼管8は並列して3つ以上あってもよく、1つのコンクリート充填鋼管8上に構築するようにしてもよい。
【0030】
前記第1および第2実施形態の場合において、版状部材付き複合合成鋼管部材を壁付き複合合成鋼管柱材として利用し、上下方向に直列に複数連結する場合には、鋼管内の硬化した充填コンクリートに上位のレベルに位置する壁付き複合合成鋼管柱材の荷重が下位に位置する壁付き複合合成鋼管柱材におけるプレストレスを付与された硬化したコンクリートに伝達されるようにするとよい。このようにすると、予め付与されたプレストレスが上位に位置する部材の荷重により置き換えられるようになり、プレストレスの値を超えるまでは、下位に位置する壁付き複合合成鋼管柱材における壁材および鋼管に変位が起こらないので、ほとんどこれらの部材に、上位のレベルに位置する壁付き複合合成鋼管柱材の荷重による応力を負担することがない。上下の各鋼管同士は、ソケット等の蓋材を介して嵌合方式、溶接接合方式またはボルト結合方式等適宜採用するようにしてもよい。また上下方向に直列に隣り合う版状部材相互の接合は、適宜間隔(目地)を設けて配設し、上位のレベルに位置する複合合成鋼管部材による荷重がプレストレスを越えた後、コンクリート等を充填して接合するようにするとよい。
【0031】
また、前記各実施形態において、版状部材付き複合合成鋼管部材をスラブ付き複合合成鋼管梁材として利用し、左右方向に直列に複数連結する場合には、鋼管内の硬化した充填コンクリートに荷重を負担させるようにすると前記と同様に、壁材および鋼管に鋼管軸方向の比較的大きな圧縮力を負担させないようにすることができる。また前記と同様に左右の各鋼管同士は、ソケット等の蓋材を介して嵌合方式、溶接接合方式またはボルト結合方式等適宜採用するようにしてもよい。また中空PC鋼材の場合には、その内側に横締め用ケーブルを配設しこれを緊張するようにしてもよい。
【0032】
【発明の効果】
本発明によると下記の効果を奏することができる。
(1)請求項1の発明によれば、鋼管内にコンクリートを充填して構成される合成鋼管部材における前記鋼管内のコンクリートに、予め軸方向のプレストレスが付与され、前記合成鋼管部材の外側に設けられたずれ止め等の係止手段を介してスラブまたは壁体等の版状部材と合成鋼管部材とが一体化されているので、版状部材にプレストレスを付与されていない状態の版状部材付き複合合成鋼管部材を構成することができる。
【0033】
そのため、前記版状部材付き複合合成鋼管部材に軸方向の圧縮軸力が負荷された場合、負荷された圧縮軸力が予め与えられた軸方向のプレストレス力に相当する圧縮軸力の値に達するまでは、ほとんどコンクリート充填鋼管部材には軸方向のひずみが生じないので、スラブまたは壁体等の版状部材に前記圧縮力による軸方向のひずみを生じない。したがって、予めプレストレスにより内力として与えられていた荷重に外力による軸力が達するまでは、スラブまたは壁体等の版状部材にはほとんどひずみが生じず、すなわち、応力が発生しない。
【0034】
それ故あらかじめ与えられているプレストレスによる荷重を超えた外力(軸方向の圧縮荷重)が作用すると、その後は合成された充填鋼管とこれと複合化した版状部材が共同して抵抗をする。その結果、終局時の本部材の発生ひずみは従来構造と変わらないものの(スラブの場合はその終局ひずみで規定されるため)、終局荷重については、スラブ等の版状部材打設時に充填鋼管に軸方向のプレストレスが付与されていないので、終局荷重を高めることができ、耐力および剛性を向上させた高軸耐荷力を有する版状部材付き複合合成鋼管部材とすることができる。また、鋼管とその内側にプレストレスが付与されたコンクリートの一体化をさせることができ、耐力および曲げ剛性を向上させることができる。
【0035】
請求項2の発明によれば、請求項1の効果に加えて鋼管の両端部に嵌設された鋼製蓋材により鋼管内の硬化したコンクリートに容易にプレストレスを付与することができ、また鋼管を直列に接続する必要がある場合には、鋼管両端部に嵌設された鋼製蓋材を隣り合う鋼管内に充填されるコンクリートの蓋材としてまたプレストレスを付与するための支圧材として利用することができる。
【0038】
請求項3の発明によれば、鋼管内周面に経時硬化性の付着防止被膜を設けた後、前記鋼管内にコンクリートを充填し、そのコンクリートが硬化した後で、かつ前記経時硬化性被膜が硬化する前に、前記硬化したコンクリートに軸方向の圧縮プレストレスを付与し、前記鋼管の外側に設けられたずれ止め等の係止手段を介して前記スラブまたは壁体等の版状部材と合成鋼管部材とが一体化されているので、経時硬化性皮膜を利用して、その硬化する前にプレストレスを鋼管内に硬化したコンクリートに付与することができると共に、前記経時硬化性被膜が硬化した後は、鋼管内のコンクリートと鋼管内周面とをこの経時硬化性被膜を結合材として容易に合成一体化することができ、そのため、鋼管内の硬化したコンクリートに効率よくプレストレスを付与された高軸耐荷力を有する版状部材付き複合合成鋼管部材を製造することができる。
さらに、鋼管内の硬化したコンクリートにのみプレストレスを付与した状態で、すなわち鋼管およびその外側に配置される版状部材に前記プレストレスによる軸力を導入させることなく、鋼管とその内部に充填されるコンクリートと鋼管の外側に配設されるスラブまたは版状部材とを容易に一体化させることができる。
【0039】
請求項4の発明によれば、請求項3の効果に加えて、単に鋼管1の両端部に鋼製蓋材を嵌設することにより鋼管内の硬化したコンクリートに容易にプレストレスを付与することができ、また鋼管を直列に接続する必要がある場合には、鋼管両端部に嵌設された鋼製蓋材を隣り合う鋼管内に充填されるコンクリートの蓋材としてまたプレストレスを付与するための支圧材として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 鋼管内周面に経時硬化性被膜を設けた状態を示す縦断側面図である。
【図2】 鋼管の両端部に鋼製ソケットからなる蓋材を嵌設して間隔を保持すると共に鋼管と各鋼製ソケット間にコンクリートを充填した状態を示す縦断側面図である。
【図3】 (a)は図2の右側面図であり、(b)は図2の左側面図である。
【図4】 (a)は鋼管内の硬化した充填コンクリートにプレストレスを付与している状態を示す横断平面図であり、(b)は並列して隣り合う合成鋼管部材に渡って版状部材を構築した状態を示す縦断正面図である。
【図5】 第2実施形態の内側部材によりプレストレスを付与する場合の高軸耐荷力を有する版状部材付き複合合成鋼管部材を示す一部横断平面図である。
【図6】 (a)は従来の版状部材付き複合合成鋼管部材を示す一部縦断側面図であり、(b)は正面図である。
【図7】 図6の版状部材付き複合合成鋼管部材の耐力を説明するための荷重―歪曲線である。
【図8】 (a)は鋼管内の硬化したコンクリートにプレストレスを付与された版状部材付きコンクリート充填鋼管を示す一部縦断側面図であり、(b)はその正面図である。
【図9】 図8の鋼管内のコンクリートにプレストレスが付与された版状部材付き複合合成鋼管部材の耐力を説明するための荷重―歪曲線である。
【符号の説明】
1 鋼管
2 内周面
経時硬化性被膜
4 鋼製蓋材
5 鋼製蓋材
6 小径細部(軸部)
7 小径細部(軸部)
8 コンクリート
10 ブラケット
12 ブラケット
13 PC鋼棒またはPCケーブル
14 ナット
15 ナット
16 センターホールジャッキ
17 ピストン杆
18 凹部
19 ナット
20 版状部材
21 スタッドジベル
22 収納用凹部
23 結合用コンクリート
25 合成鋼管部材
30 蓋材兼加圧板
31 雄ねじ部
32 雄ねじ部
33 ナット
34 ナット
35 シース
50 コンクリート充填鋼管

Claims (4)

  1. 鋼管内面に所定時間潤滑効果があり硬化する経時硬化性皮膜を設けた鋼管内にコンクリートを充填して構成される合成鋼管部材における前記鋼管内の硬化したコンクリートのみに、予め軸方向のプレストレスが付与され、
    硬化した前記コンクリートにプレストレス付与後の前記合成鋼管部材の外側に設けられたずれ止め等の係止手段を介してスラブまたは壁体等の版状部材と合成鋼管部材とが一体化され、
    鋼管内周面に設けられ、前記コンクリートの硬化後に硬化される前記経時硬化性被膜が硬化されて鋼管内周面と、硬化しかつプレストレスが付与された前記コンクリートが結合一体化されていることを特徴とする高軸耐荷力を有する版状部材付き複合合成鋼管部材。
  2. 鋼管の両端部に鋼製蓋材が嵌設され、その各鋼製蓋材間に渡って配設された鋼材が緊張されて、鋼管内の硬化したコンクリートにプレストレスが付与されていることを特徴とする請求項1に記載の高軸耐荷力を有する版状部材付き複合合成鋼管部材。
  3. 鋼管内周面に経時硬化性被膜を設けた後、前記鋼管内にコンクリートを充填し、そのコンクリートが硬化した後で、かつ前記経時硬化性被膜が硬化する前に、前記硬化したコンクリートに軸方向の圧縮プレストレスを付与し、前記鋼管の外側に設けられたずれ止め等の係止手段を介してスラブまたは壁体等の版状部材と合成鋼管部材とが一体化され、前記版状部材と合成鋼管部材との一体化の後に、鋼管内周面に設けられた経時硬化性被膜が硬化されて鋼管内周面と硬化したコンクリートが結合一体化されることを特徴とする高軸耐荷力を有する版状部材付き複合合成鋼管部材の製造方法。
  4. 鋼管の両端部に鋼製蓋材が嵌設され、その各鋼製蓋材間に渡って配設された鋼材が緊張されて、鋼管内の硬化したコンクリートにプレストレスが付与されていることを特徴とする請求項3に記載の高軸耐荷力を有する版状部材付き複合合成鋼管部材の製造方法。
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