JP2010242325A - 柱構造及び柱構造の施工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】鋼管と鋼管内に充填される充填材との付着力が上がる柱構造及び柱構造の施工方法を得る。
【解決手段】柱構造体20は、鋼管12と、鋼管12の内壁と隙間を空けて鋼管12の内側に配置されたコンクリート製のプレキャスト部材14と、鋼管12とプレキャスト部材14の隙間に充填された充填材16と、を有している。ここで、既に硬化した鋼管12とプレキャスト部材14との隙間に充填材16を充填することで、プレキャスト部材14が芯材の役割をし、また、充填材16の充填量も減らすことができる。これにより、充填材16の硬化収縮量が、鋼管12の内側にコンクリートだけを充填したものに較べて小さくなり、鋼管12と充填材16との付着力が上がる。
【選択図】図1

Description

本発明は、柱構造及び柱構造の施工方法に関する。
従来、鋼管にコンクリートを充填した柱構造が柱梁架構に採用されている。この柱構造の例として、軸中心に貫通孔を有する環状のプレキャスト部材を形成し、このプレキャスト部材の外周面と鋼管の内周面とが接触するように鋼管内にプレキャスト部材を配置した後、貫通孔を通って鋼管内へコンクリートを充填することで柱構造を構築したものがある(例えば、特許文献1、2参照)。
しかし、特許文献1、2の柱構造は、いずれもプレキャスト部材が既に硬化してしまっているため、プレキャスト部材の外周面と鋼管の内周面との付着力が弱かった。このため、鋼・コンクリート合成構造としての一体性が無く、柱構造としての耐力及び変形性能が十分ではなかった。
特開2007−154536 特開平5−59787
本発明は、鋼管と鋼管内に充填される充填材との付着力が上がる柱構造及び柱構造の施工方法を得ることを目的とする。
本発明の請求項1に係る柱構造は、鋼管と、前記鋼管の内壁と隙間を空けて前記鋼管の内側に配置されたプレキャストコンクリート部材と、前記鋼管と前記プレキャストコンクリート部材の隙間に充填された充填材と、を有する。
上記構成によれば、鋼管とプレキャストコンクリート部材の隙間に充填材を充填することで、プレキャストコンクリート部材が芯材の役割をし、また、充填材の充填量も減らすことができる。これにより、充填材の硬化収縮量が、鋼管の内側にコンクリートだけを充填したものに較べて小さくなり、鋼管と充填材との付着力が上がる。
本発明の請求項2に係る柱構造は、前記プレキャストコンクリート部材の外周には、凸部が形成されている。この構成によれば、鋼管の内側にプレキャストコンクリート部材を配置してプレキャストコンクリート部材が傾くようなことがあったとき、凸部が鋼管内壁と接触して、プレキャストコンクリート部材が鋼管側に傾くのを抑制する。これにより、鋼管とプレキャストコンクリート部材の隙間が、予め決められた幅よりも狭くなるのを防ぐことができる。
本発明の請求項3に係る柱構造は、前記プレキャストコンクリート部材の外周には、凹部が形成されている。この構成によれば、鋼管とプレキャストコンクリート部材の隙間に充填材を充填したとき、充填材がプレキャストコンクリート部材の凹部で固化する。これにより、プレキャストコンクリート部材と充填材との密着力を増加させることができる。
本発明の請求項4に係る柱構造は、前記プレキャストコンクリート部材には、張力が付与されたプレストレス導入部材が埋設されている。この構成によれば、プレストレス導入部材によって、プレキャストコンクリート部材にプレストレスが導入されているので、柱が傾斜したときにプレキャストコンクリート部材に作用する引張力に抵抗して、柱構造の耐力を向上させることができる。
本発明の請求項5に係る柱構造の施工方法は、柱としての鋼管を立ち上げる立ち上げ工程と、プレキャストコンクリート部材の外周面にスペーサを取付ける取付工程と、スペーサが取付けられたプレキャストコンクリート部材を前記鋼管へ挿入して立設する立設工程と、前記鋼管と前記プレキャストコンクリート部材の隙間に充填材を充填する充填工程と、を有する。
上記構成によれば、鋼管とプレキャストコンクリート部材の隙間に充填材を充填することで、プレキャストコンクリート部材が芯材の役割をする。これにより、充填材の硬化収縮量が、鋼管の内側にコンクリートだけを充填したものに較べて小さくなり、鋼管と充填材との付着力が上がる。
本発明は、上記構成としたので、鋼管と充填材との付着力が上がる。
本発明の第1実施形態に係る柱構造を有する建物の部分的な斜視図である。 本発明の第1実施形態に係る柱構造の断面図である。 本発明の第1実施形態に係るプレキャスト部材の構成図である。 (a)〜(d)本発明の第1実施形態に係る柱構造の施工手順を示す工程図である。 (a)比較例の柱構造の断面図である。(b)本発明の第1実施形態に係る柱構造の断面図である。 (a)、(b)本発明の第2実施形態に係る柱構造の横方向又は縦方向の断面図である。 (a)、(b)本発明の第3実施形態に係る柱構造の横方向又は縦方向の断面図である。
本発明の柱構造及び柱構造の施工方法の第1実施形態を図面に基づき説明する。図1には、地盤(図示省略)上に構築された建築物としての建物10の一部が斜視図で示されている。建物10は、複数立設された柱構造体20と、複数の柱構造体20間に架設された合成梁30とで構成されている。
柱構造体20は、中空円筒状の鋼管12と、鋼管12の内側に配設された円柱状のプレキャスト部材14と、鋼管12の内壁面とプレキャスト部材14の外周面との隙間に充填された充填材16とで構成されている。
鋼管12の外周面にはダイアフラム22が設けられており、ダイアフラム22の周囲は後述する梁部材32の延設方向(4方向)に突出され接合部24が形成されている。この接合部24に梁部材32の端部がボルトにより接合されている。なお、接合部24への梁部材32の接合は、溶接であってもよい。接合部24の上面は、梁部材32の上面と同じ高さとされている。
一方、合成梁30は、H形鋼からなる梁部材32と、コンクリート打設により形成され梁部材32の上面と同一面で広がるスラブコンクリート34とで構成されている。梁部材32は、上側フランジ36、下側フランジ37、及びウェブ38を有している。
梁部材32の上側フランジ36の下面及びウェブ38の両面には、スタッド(図示省略)が接合されており、各スタッドには補強筋(図示省略)が取付けられている。また、ウェブ38の両面には、下側フランジ37の幅で、下側フランジ37の上面とスラブコンクリート34の下面の間にウェブコンクリート42が打設されている。
ウェブコンクリート42は、スラブコンクリート34と一緒に打設され、スラブコンクリート34を支持している。また、ウェブコンクリート42は、前述のスタッド及び補強筋で落下防止が図られている。スラブコンクリート34の内部には、主筋及び配力筋(図示省略)が配筋されている。また、スラブコンクリート34の上面は上側フランジ36の上面と同じ高さとされ、上側フランジ36とウェブ38の上部は、スラブコンクリート34に埋設されている。
図2に示すように、柱構造体20は、立設された鋼管12の内部に所定の高さで断面直径がDの複数のプレキャスト部材14(14A、14B、14C)が積み重ねられ、鋼管12の内壁面12Aと各プレキャスト部材14A、14B、14Cの外周面との隙間(幅Wとする)にグラウトからなる充填材16が充填され硬化した構成となっている。ここでは、隙間の大きさWをプレキャスト部材14の直径Dの20%程度の大きさとしている。
隙間の大きさWの下限値は、プレキャスト部材14の配設後に充填材16が充填可能となる大きさであり2〜3cmは必要である。また、隙間Wの上限値は、充填材16の外周面が鋼管12の内壁面12Aから剥離せず又は最小限の剥離幅となる範囲で設定される。
各プレキャスト部材14A、14B、14Cは、プレテンション方式により形成され、プレストレスが導入されている。即ち、図3に示すように、プレキャスト部材14は、複数(本実施形態では8本)のPC鋼線18を平面視にて円状に配置し、各PC鋼線18を図示しないジャッキ及びポンプを用いて緊張固定して張力を付与した後、コンクリートを打設して、コンクリート硬化後に各PC鋼線18の緊張を解くことでプレストレスが導入されている。
なお、図2では、複数のプレキャスト部材14のうち3個のみ表示しており、残りのプレキャスト部材14及び鋼管12の図示を省略している。また、プレキャスト部材14の個数は3個に限らず、柱構造体20の必要とされる強度、鋼管12の高さ、施工の効率などによって適宜決定されるものであり、2個又は4個以上の複数個であってもよい。
次に、柱構造体20の施工手順について説明する。
図4(a)に示すように、ダイアフラム22が設けられた鋼管12を立ち上げる。このとき、鋼管12の内部には何も配置されておらず中空状態となっている。なお、本実施形態では鋼管12を一体物として説明するが、これに限らず、例えば、鋼管12の端部に予めフランジを形成しておき、複数の鋼管12をフランジを重ねて立設すると共にフランジをボルトで接合して構築してもよい。
続いて、図4(b)に示すように、プレキャスト部材14の上端に図示しないフック等を用いてワイヤーKを取り付け、図示しないクレーンによりプレキャスト部材14を吊下げると共に、鋼管12の内部に各プレキャスト部材14(14A、14B)を上方向に重ねて順次配設する。なお、プレキャスト部材14の作製手順については説明を省略する。ここで、各プレキャスト部材14の外周面の上端及び下端には、プレキャスト部材14の外周面と鋼管12の内壁面12Aとの隙間に合わせた大きさのスペーサ19が予め取り付けられており、鋼管12の内部にプレキャスト部材14を配置するときに、プレキャスト部材14が傾いて鋼管12の内壁面12Aと接触するのを防いでいる。なお、各プレキャスト部材14の上端面及び下端面に凹部又は凸部を形成しておき、この凹部と凸部を係合させることで、各プレキャスト部材14の立設状態を安定させるようにしてもよい。
続いて、図4(c)に示すように、鋼管12の内部へ複数のプレキャスト部材14A、14B、14Cを配設した後、鋼管12の上端部からプレキャスト部材14A、14B、14Cの外周面と鋼管12の内壁面12Aとの隙間へ、図示しないトレミー管を用いて充填材16としてのグラウトGを充填する。そして、グラウトGの充填後、グラウトGが硬化するまで養生する。
続いて、図4(d)に示すように、グラウトGが硬化することにより充填材16が形成され、柱構造体20が形成される。そして、柱構造体20の形成後、ダイアフラム22の接合部24に梁部材32がボルト等で接合され、コンクリート打設によりスラブコンクリート34及びウェブコンクリート42(図1参照)が形成されて、合成梁30が形成される。このようにして、柱構造体20及び合成梁30からなる建物10が構築される。
構築された建物10では、柱構造体20のプレキャスト部材14及び充填材16が鋼管12の局部座屈を抑制すると共に、鋼管12がプレキャスト部材14及び充填材16を拘束してコンクリート強度及び靭性が増大するため、軸圧縮耐力、曲げ耐力、及び変形性能が増大する。
次に、本発明の第1実施形態の作用について説明する。
図5(a)に示すように、まず、本実施形態の柱構造体20の比較例としての柱構造体100について説明する。柱構造体100は、円筒中空の鋼管102の内部全体にコンクリート104が充填され硬化した構造となっている。柱構造体100では、コンクリート104の硬化時に、コンクリート104が円周方向(矢印A方向)及び半径方向(矢印B方向)で等価に収縮し、半径方向に亀裂C1が生じると共にコンクリート104の外周面104Mが部分的に鋼管102の内壁面102Aから剥離して隙間d1が生じる。
ここで、柱構造体100では、鋼管102内に同時に全てのコンクリート104が充填されており、コンクリート104の中心から外周まで同様に収縮してしまうため、全体の収縮量が大きくなり、隙間d1が大きな値となる。
一方、図5(b)に示すように、本実施形態の柱構造体20は、鋼管12の内部に芯材となるプレキャスト部材14が配設され、プレキャスト部材14の外周面14Mと鋼管12の内壁面12Aとの隙間にグラウトからなる充填材16が充填され硬化した構造となっている。
柱構造体20では、充填材16の硬化時に充填材16が円周方向(矢印D方向)及び半径方向(矢印E方向)で等価に収縮しようとする。ここで、充填材16は、鋼管12内の中央に芯材として配置され既に硬化してこれ以上収縮しないプレキャスト部材14に拘束されることにより半径方向の亀裂C2が発生し、この亀裂C2に対応する体積分だけ半径方向の収縮量が減少する。
このため、充填材16及びプレキャスト部材14全体としての収縮量は、比較例のコンクリート104よりも小さくなり、柱構造体20におけるプレキャスト部材14と鋼管12の隙間d2は、比較例の柱構造体100の隙間d1よりも小さくなる。これにより、鋼管12と充填材16との接触部が、比較例の柱構造体100に比べて増加し、鋼管12と充填材16との付着力を上げることができる。
また、本実施形態の柱構造体20では、プレテンション方式により張力が付与されプレキャスト部材14に埋設されたPC鋼線18によって、圧縮力であるプレストレスが軸方向(鉛直方向)に導入されているので、プレキャスト部材14のコンクリートのクリープにより鋼管12内部のコンクリートの圧縮軸力が鋼管12に移行するのを低減させることができ、柱構造体20の耐力を向上させることができる。
なお、通常のCFT(Concrete Filled Steel Tube)造柱の場合、鋼管の内径が1mでコンクリートの硬化収縮歪が200×10−6であれば、0.1mmの隙間が鋼管の内面と内部コンクリートとの間に生じる。
一方、本実施形態の柱構造体20を用いて直径90cmのプレキャスト部材14を鋼管12内に挿入した後、周囲の5cmの隙間にコンクリート系の充填材16を充填すれば、隙間量が通常のCFT造柱の1/10の0.01mm以下に減少する。
また、例えば、通常の3層1節10mのCFT造柱にコンクリートを圧入、もしくは落とし込みにて充填する場合、コンクリートの硬化収縮歪が200×10−6であれば1節で2mmの軸方向硬化収縮が生じる。
一方、本実施形態の柱構造体20を用いて直径90cmのプレキャスト部材14を鋼管12内に挿入した後、周囲の5cmの隙間にコンクリート系の充填材16を充填すれば、等価な軸方向収縮量がおよそ1/5の0.4mmに減少するため、鋼管12内部のコンクリート圧縮軸力が鋼管12に移行するのを低減させることができる。また、充填材16に通常のPC工事にて用いられている無収縮モルタルを用いれば、さらに効果を上げることができる。
次に、本発明の柱構造及び柱構造の施工方法の第2実施形態を図面に基づき説明する。なお、前述した第1実施形態と基本的に同一の部材には、前記第1実施形態と同一の符号を付与してその説明を省略する。
図6(a)、(b)には、本発明の第2実施形態の柱構造体50の断面図が示されている。柱構造体50は、立設された鋼管12の内部に所定の高さで複数のプレキャスト部材52が積み重ねられ、鋼管12の内壁面12Aと各プレキャスト部材52の外周面52Aとの隙間にグラウトからなる充填材16が充填され、硬化した構成となっている。鋼管12の内壁面12Aと各プレキャスト部材52の外周面52Aとの隙間の大きさは、プレキャスト部材52の円柱部53の直径の20%程度の大きさとしている。
プレキャスト部材52は、プレテンション方式により略円柱状に形成され、横断面の円周方向に沿って8本配置されたPC鋼線18によってプレストレスが導入されている。また、プレキャスト部材52の円柱部53の上部外周面及び下部外周面には、横断面の半径方向(90°毎に4方向)に沿って外側へ突出した凸部54が形成されている。
凸部54は、プレキャスト部材52の型枠に設けられた凹部にコンクリートが打設されることで、円柱部53と一体成形されている。また、プレキャスト部材52の外周面52Aからの凸部54の突出量は、プレキャスト部材52の外周面52Aと鋼管12の内壁面12Aとの隙間の幅よりも僅かに小さい大きさとなっている。
ここで、柱構造体50は、立設した鋼管12の内部に複数のプレキャスト部材52を上方向に重ねて順次配設し、プレキャスト部材52の外周面52Aと鋼管12の内壁面12Aとの隙間へグラウトからなる充填材16を充填して、充填材16が硬化するまで養生することで構築される。そして、柱構造体50に合成梁30(図1参照)を設けることで建物が構築される。
次に、本発明の第2実施形態の作用について説明する。
柱構造体50では、充填材16の硬化時に充填材16が円周方向及び半径方向で等価に収縮しようとする。ここで、充填材16は、鋼管12内の中央に芯材として配置され既に硬化してこれ以上収縮しないプレキャスト部材52に拘束されることにより半径方向の亀裂が発生し、この亀裂に対応する体積分だけ半径方向の収縮量が減少する。
このため、充填材16及びプレキャスト部材52全体としての収縮量が、鋼管12内全体にコンクリートを充填したものに比べて小さくなり、柱構造体50におけるプレキャスト部材52と鋼管12の隙間が小さくなる。これにより、鋼管12と充填材16との接触部が増加し、鋼管12と充填材16との付着力を上げることができる。
また、本実施形態の柱構造体50では、プレキャスト部材14にプレテンション方式により設置されたPC鋼線18によって、圧縮力であるプレストレスが軸方向(鉛直方向)に導入されているので、プレキャスト部材52のコンクリートのクリープにより鋼管12内部のコンクリートの圧縮軸力が鋼管12に移行するのを低減させることができ、柱構造体50の耐力を向上させることができる。
さらに、柱構造体50では、充填材16の充填前に鋼管12の内側でプレキャスト部材52が傾くようなことがあったとき、凸部54が鋼管12の内壁面12Aと接触して、プレキャスト部材52が鋼管12側に傾くのを抑制する。これにより、鋼管12とプレキャスト部材52の隙間が、予め決められた幅よりも狭くなるのを防ぐことができ、充填材16をプレキャスト部材52の外側に均等に充填することができる。
また、柱構造体50を用いて構築された建物では、鋼管12とプレキャスト部材52の一体性が向上するため、柱構造体50のプレキャスト部材52及び充填材16が鋼管12の局部座屈を抑制すると共に、鋼管12がプレキャスト部材52及び充填材16を拘束してコンクリート強度及び靭性が増大するため、軸圧縮耐力、曲げ耐力、及び変形性能が増大する。
次に、本発明の柱構造及び柱構造の施工方法の第3実施形態を図面に基づき説明する。なお、前述した第1実施形態と基本的に同一の部材には、前記第1実施形態と同一の符号を付与してその説明を省略する。
図7(a)、(b)には、本発明の第3実施形態の柱構造体60の断面図が示されている。柱構造体60は、立設された鋼管12の内部に所定の高さで複数のプレキャスト部材62が積み重ねられ、鋼管12の内壁面12Aと各プレキャスト部材62の外周面62Aとの隙間にグラウトからなる充填材16が充填され、硬化した構成となっている。鋼管12の内壁面12Aと各プレキャスト部材62の外周面62Aとの隙間の大きさは、プレキャスト部材62の円柱部63の直径の20%程度の大きさとしている。
プレキャスト部材62は、プレテンション方式により略円柱状に形成され、横断面の円周方向に沿って8本配置されたPC鋼線18によってプレストレスが導入されている。また、プレキャスト部材62の円柱部63の上部外周面及び下部外周面には、横断面の半径方向(90°毎に4方向)に沿って外側へ突出した凸部64が形成されている。
凸部64は、プレキャスト部材62の型枠に設けられた凹部にコンクリートが打設されることで、円柱部63と一体成形されている。また、プレキャスト部材62の外周面62Aからの凸部64の突出量は、プレキャスト部材62の外周面62Aと鋼管12の内壁面12Aとの隙間の幅よりも僅かに小さい大きさとなっている。
さらに、プレキャスト部材62の円柱部63の外周には、プレキャスト部材62の軸方向(鉛直方向)に沿って延びた凹部66が形成されている。凹部66は、プレキャスト部材62の型枠に設けられた凸部にコンクリートが打設されることで円柱部63の外周に形成されている。
ここで、柱構造体60は、立設した鋼管12の内部に複数のプレキャスト部材62を上方向に重ねて順次配設し、プレキャスト部材62の外周面62Aと鋼管12の内壁面12Aとの隙間へグラウトからなる充填材16を充填して、充填材16が硬化するまで養生することで構築される。そして、柱構造体60に合成梁30(図1参照)を設けることで建物が構築される。
次に、本発明の第3実施形態の作用について説明する。
柱構造体60では、充填材16の硬化時に充填材16が円周方向及び半径方向で等価に収縮しようとする。ここで、充填材16は、鋼管12内の中央に芯材として配置され既に硬化してこれ以上収縮しないプレキャスト部材62に拘束されることにより半径方向の亀裂が発生し、この亀裂に対応する体積分だけ半径方向の収縮量が減少する。
このため、充填材16及びプレキャスト部材62全体としての収縮量が、鋼管12内全体にコンクリートを充填したものに比べて小さくなり、柱構造体60におけるプレキャスト部材62と鋼管12の隙間が小さくなる。これにより、鋼管12と充填材16との接触部が増加し、鋼管12と充填材16との付着力を上げることができる。
また、本実施形態の柱構造体60では、プレキャスト部材62にプレテンション方式により設置されたPC鋼線18によって、圧縮力であるプレストレスが軸方向(鉛直方向)に導入されているので、プレキャスト部材62のコンクリートのクリープにより鋼管12内部のコンクリートの圧縮軸力が鋼管12に移行するのを低減させることができ、柱構造体60の耐力を向上させることができる。
また、柱構造体60では、プレキャスト部材62にプレテンション方式により設置されたPC鋼線18によって、圧縮力であるプレストレスが軸方向(鉛直方向)に導入されているので、柱構造体60が傾斜したときにプレキャスト部材62に作用する引張力に抵抗する。これにより、柱構造体60の耐力を向上させることができる。
さらに、柱構造体60では、充填材16の充填前に鋼管12の内側でプレキャスト部材62が傾くようなことがあったとき、凸部64が鋼管12の内壁面12Aと接触して、プレキャスト部材62が鋼管12側に傾くのを抑制する。これにより、鋼管12とプレキャスト部材62の隙間が、予め決められた幅よりも狭くなるのを防ぐことができ、充填材16をプレキャスト部材62の外側に均等に充填することができる。
また、柱構造体60では、鋼管12とプレキャスト部材62の隙間に充填材16を充填したとき、充填材16がプレキャスト部材62の凹部66で固化する。プレキャスト部材62は凹部66があることで表面積が増加しており、さらに、凹部66で固化した充填材16がアンカー効果により凹部66から離脱しにくくなっているので、プレキャスト部材62と充填材16との密着力を増加させることができる。
さらに、柱構造体60を用いて構築された建物では、鋼管12とプレキャスト部材62の一体性が向上するため、柱構造体60のプレキャスト部材62及び充填材16が鋼管12の局部座屈を抑制すると共に、鋼管12がプレキャスト部材62及び充填材16を拘束してコンクリート強度及び靭性が増大するため、軸圧縮耐力、曲げ耐力、及び変形性能が増大する。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されない。
プレキャスト部材14、52、62は、製法として遠心成型を用いてもよく、また、内部に鉄筋を設けてもよい。プレキャスト部材14、52、62の断面形状は円形だけでなく、角形の鋼管12に対しては、角形としてよい。さらに、プレキャスト部材14、52、62へのプレストレス導入は、ポストテンションにて行ってもよい。
なお、鋼管12内へのグラウトGの充填方法は、トレミー管を用いて鋼管12の上部から下部へ向けて充填する方法だけでなく、鋼管12の下部に圧入口を形成し、ポンプを用いて圧入口からグラウトを圧入して、鋼管12の下部から上部へ向けて充填する方法を用いてもよい。また、充填材16として、グラウトに換えてモルタルを用いてもよい。
また、鋼管12の軸方向長さが短い場合は、例えば、鋼管12を横向きに寝かせた状態で鋼管12内にスペーサ19付きのプレキャスト部材14を挿入してから、鋼管12及びプレキャスト部材14をクレーンで立ち上げるようにしてもよい。
10 建物
12 鋼管(鋼管)
14 プレキャスト部材(プレキャストコンクリート部材)
16 充填材(充填材)
18 PC鋼線(プレストレス導入部材)
19 スペーサ(スペーサ)
20 柱構造体(柱構造)
50 柱構造体(柱構造)
52 プレキャスト部材(プレキャストコンクリート部材)
54 凸部(凸部)
60 柱構造体(柱構造)
62 プレキャスト部材(プレキャストコンクリート部材)
64 凸部(凸部)
66 凹部(凹部)

Claims (5)

  1. 鋼管と、
    前記鋼管の内壁と隙間を空けて前記鋼管の内側に配置されたプレキャストコンクリート部材と、
    前記鋼管と前記プレキャストコンクリート部材の隙間に充填された充填材と、
    を有する柱構造。
  2. 前記プレキャストコンクリート部材の外周には、凸部が形成されている請求項1に記載の柱構造。
  3. 前記プレキャストコンクリート部材の外周には、凹部が形成されている請求項1又は請求項2に記載の柱構造。
  4. 前記プレキャストコンクリート部材には、張力が付与されたプレストレス導入部材が埋設されている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の柱構造。
  5. 柱としての鋼管を立ち上げる立ち上げ工程と、
    プレキャストコンクリート部材の外周面にスペーサを取付ける取付工程と、
    スペーサが取付けられたプレキャストコンクリート部材を前記鋼管へ挿入して立設する立設工程と、
    前記鋼管と前記プレキャストコンクリート部材の隙間に充填材を充填する充填工程と、
    を有する柱構造の施工方法。
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