JP3585095B2 - マスクユニット及びフィルム搬送ユニット - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、写真フィルムの画像コマ及びコマ番号を感光材料に投影露光するために用いられるマスクユニット及びこのマスクユニットが取り付けられるフィルム搬送ユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】
写真フィルムの画像コマを印画紙 (感光材料の1例に相当する。) に焼付処理する例として、ベタ焼きと呼ばれる処理が知られている。これは、シート状の印画紙に1オーダー分の画像コマを2次元的に並べて露光したり、長尺状の印画紙に写真フィルムの画像コマを6コマ前後横に並べてピースネガと同様な形式になるように露光したもの (これらを以下、複数コマ焼付プリントと言うことがある。)であり、印画紙に対して写真フィルムを密着させた状態で投影露光を行っている。このベタ焼きでは、画像コマのほかに写真フィルムに形成されているコマ番号をもいっしょに露光するようにしており、コマ番号と画像コマとの対応が一目で認識できるので、顧客が焼き増し注文をするときには便利である。特に公共事業における記録写真においては、同じようなシーンが続けて撮影されることがあり、かかる場合に画像コマとコマ番号の対応関係が直ちに認識できるベタ焼きは有用である。
【0003】
しかしながら、ベタ焼きにより複数コマ焼付プリントを露光するには、専用のペーパーマスクを用意し、これを投影露光部の所定の場所にセッティングして、これに写真フィルムを装填する必要があった。そして、複数のオーダーを処理する場合には、これを繰り返す必要がありオペレータの作業が煩雑であった。また、ベタ焼きによる場合は印画紙に密着させる必要があることから、写真フィルムの画像コマと同じ大きさの画像しかできず、拡大して露光することはできなかった。
【0004】
かかる問題点を解決した従来技術として、特開平7−219058号公報に開示される露光焼付装置がある。この装置は、写真フィルムを拡大投影可能な光学系と、1コマずつ写真フィルムを送りながら画像コマを露光する露光手段と、露光された印画紙を間欠搬送する搬送手段を備えている。そして、写真フィルムを搬送するためのフィルム搬送ユニット (ネガキャリア) を備えており、このフィルム搬送ユニットは画像コマの大きさに対応する十分な開口 (第1開口部) を備えると共に、写真フィルムのパーフォレーション側に配置されたコマ番号 (バーコードを含む) に対応した長穴 (第2開口部) を備えている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、コマ番号に対応した開口部を形成する場合に、単に穴を形成するのみでは次のような問題点があった。
すなわち、写真フィルム1のコマ番号は図5(a)に示すように、パーフォレーション1dの外側で、しかも写真フィルム1の端面に極めて近い位置にある。従って、コマ番号1bが確実に印画紙に露光できるようにするには、第2開口部の大きさも少し大き目に設定しておく必要がある。従って、写真フィルム1の端面よりも外側が少なくとも端面とほぼ同じ位置に、前記第2開口部の端面がくることになる。そうすると、前記第1開口部及び第2開口部に向けて写真フィルム1を搬送してきたときに、写真フィルム1の先端部が第2開口部においてひっかかってしまい、うまく写真フィルム1をセッティングできないと言う事態が生じる。
【0006】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、写真フィルムの搬送性を損なわないで複数コマ焼付プリントを露光できるマスクユニット及びフィルム搬送ユニットを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係るマスクユニットは、写真フィルムの画像コマ及びコマ番号を感光材料に投影露光するために光軸にセットされるマスクユニットであって、前記画像コマに対応した第1開口部と前記コマ番号に対応した第2開口部とを有する第1ユニットを備え、前記第1開口部と前記第2開口部のうちの前記第2開口部のみに第1透明体を取り付けてあることを特徴とするものである。
【0008】
この構成によると、写真フィルムの画像コマ及びコマ番号を感光材料に投影露光する場合には、第1開口部に画像コマが対応するように写真フィルムを挿入(又は搬送)する。挿入又は搬送は自動で行われるものでもよく、オペレータが手動で行うものでも良い。そして、コマ番号を投影露光するために設けられた第2開口部に第1透明体を取り付けている。従って、写真フィルムの先端部が第2開口部においてひっかかってしまうということがない。その結果、写真フィルムの搬送性を損なわないで複数コマ焼付プリントを露光できるマスクユニットを提供することができた。
【0009】
本発明の好適な実施形態として、前記画像コマに対応した第3開口部と前記コマ番号に対応した第4開口部とを有し、かつ、前記写真フィルムを押さえる機能を有する第2ユニットを備え、前記第3開口部と前記第4開口部のうちの前記第4開口部のみに第2透明体を取り付けてあるものがあげられる。
【0010】
この構成のように、第1ユニットに加え更に第2ユニットを用いると、画像コマ及びコマ番号を露光する場合に写真フィルムを安定して保持することができる。この場合は、コマ番号に対応した第4開口部に第2透明体を取り付けることで、写真フィルムの先端部が第4開口部においてひっかかってしまうということがなくなる。
【0011】
前記第1透明体及び/又は前記第2透明体は、例えば、ノングレアガラスにより形成される。ノングレアガラスは、直進してきた光をそのままの直進状態で通過させる性能を有し、コマ番号を露光する場合に、画像ににじみが発生しないと言う利点がある。
【0012】
前記第1透明体及び/又は前記第2透明体としては、光拡散性を有する素材により形成しても良い。ノングレアガラスのように全く光を屈折させない素材を選択しても良いが、逆に光拡散性をもたせることにより画像ににじみを発生させないようにすることもできる。
【0013】
光拡散性を有する素材として、スリガラスがあげられる。スリガラスはコスト的に安く入手しやすいと言う利点がある。また、透明樹脂にショットピーニング又はショットブラストを行うことにより光拡散性を持たせた素材を選択しても良い。樹脂を採用することで、開口部に対する取付などを考慮して形状を自由に設定することができると言う利点がある。
【0014】
前記第1開口部と前記第2開口部とは、別々の開口として形成しても良いが、つながった1つの開口穴として形成することもできる。1つの開口穴としたほうが穴の加工が容易になる。
本発明の更に別の好適な実施形態として、前記第2開口部の搬送方向に沿った長さは前記第1開口部のそれよりも長くなるように形成され、前記第4開口部の搬送方向に沿った長さは前記第3開口部のそれよりも長くなるように形成されているものがあげられる。
【0015】
本発明に係るフィルム搬送ユニットは、上述した特徴を有するマスクユニットを備えると共に、
写真フィルムを搬送経路に沿って搬送する搬送機構を備えており、
前記写真フィルムを基準にして、前記第1ユニットを露光用光源側に、前記第2ユニットを感光材料側になるように、前記マスクユニットを着脱自在に構成したことを特徴とするものである。
【0016】
このフィルム搬送ユニットに用いられるマスクユニットの第1ユニットは、コマ番号を投影露光するために設けられた第2開口部に第1透明体を取り付けている。従って、写真フィルムの先端部が第2開口部においてひっかかってしまうということがない。また、第2ユニットについても、コマ番号に対応した第4開口部に第2透明体を取り付けることで、写真フィルムの先端部が第4開口部においてひっかかってしまうということがなくなる。その結果、写真フィルムの搬送性を損なわないで複数コマ焼付プリントを露光できるフィルム搬送ユニットを提供することができた。さらに、マスクユニットは着脱自在であるから、複数コマ焼付プリントではなく通常のプリントを行うときには、マスクユニットを交換さえすれば良い。従って、多機能のフィルム搬送ユニットとすることができた。
【0017】
本発明の好適な実施形態として、前記第1透明体と前記第2透明体のうち、少なくとも前記第2透明体は光拡散性を有するものがあげられる。写真フィルムに入ってくる光(入ってくる光は拡散させてもさせなくてもどちらでも良い。)よりも写真フィルムを通過した光を拡散させることにより、コマ番号の画像のにじみの発生を防止することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
<本実施形態の構成>
本発明に係るマスクユニット及びフィルム搬送ユニット、並びにこれらが用いられる写真処理装置の構成について図面を用いて説明する。図1は、写真処理装置の構成を示す模式図、図2はフィルム搬送ユニットとして機能するネガキャリアの構成を示す斜視図である。
写真処理装置は、写真フィルムの1例であるネガフィルム1(以下、単にフィルムと言う。)の画像コマを感光材料の1例である印画紙2に焼付露光する焼付露光部10と、露光済みの印画紙2を現像処理する現像処理部11と、装置の各部の作動を制御するコントローラ12とを備えている。コントローラ12には、各種の制御指示を入力するためのキーボード13と、スキャナー15により読み取った画像コマ情報を表示するモニター14とが接続されている。
【0019】
焼付処理を行うフィルム1が焼付露光部10にセットされたネガキャリア16に挿入されると、フィルム1の画像情報を各コマ毎に順番にスキャナー15により読み取り、その情報はコントローラ12に送られる。コントローラ12は、読み取られたフィルム1の画像情報に基づいて、各画像コマ毎の露光条件を演算して決定する。この決定された露光条件により印画紙2に露光した場合に得られるであろう画像コマをシミュレート画像コマとしてモニター14に表示する。
【0020】
写真処理装置のオペレータは、モニター14の表示を見て適切な画像が得られないと判断すると、キーボード13から演算された露光条件の修正指示を入力する。コントローラ12は、その修正指示に基づいて露光条件を修正し、最終的な露光条件を決定する。その決定された露光条件に基づいて、焼付露光部10の各部の作動を制御し、印画紙マガジン3から引き出された印画紙2にフィルム1の画像コマを投影露光する。
【0021】
焼付露光の終了した印画紙2は、現像処理部11に搬送されて現像処理されフィルム1の各画像コマに対応して1枚づつ切断した状態で排出される。
【0022】
<写真処理装置の各部の構成>
焼付露光部10には、後で詳細に説明するネガキャリア16と、露光用光源4と、露光用光路に、イエロー、シアン、マゼンタの各色のフィルタが出入りすることにより露光用光源4からの照射光の色バランスを調整する調光フィルタ5と、調光フィルタ5で色バランスを調整した光を均一に混色するミラートンネル6と、フィルム1の画像コマを印画紙2上に結像する焼付用レンズ7と、フィルム1の画像コマをスキャナー15の方向に導く反射ミラー8と、フィルム1の画像コマをスキャナー15のセンサー面に結像するスキャナー用レンズ9と、シャッター17と、印画紙2を搬送する搬送ローラ18と、搬送ローラ18を駆動するモータ19とを備えている。また、焼付用レンズ7と反射ミラー8とスキャナー用レンズ9とは1つのユニット20になっており、このユニット20全体が矢印C方向に移動可能に構成されている。スキャナー15により画像コマを読み取るときにはユニット19を図1の右側に移動させ、反射ミラー8を光路中に臨ませるようにすれば良い。また、焼き付け用レンズ7はズームレンズになっており、フィルム1の画像コマを印画紙2に焼き付ける際の焼付倍率を設定できるようになっている。
【0023】
調光フィルタ5とシャッター17とはコントローラ12により制御され、コントローラ12が最終的に決定した露光条件に基づいて、調光フィルタ5の各フィルタの位置や、シャッター17の開放時間すなわち露光時間が制御されるようになっている。また、モータ19はコントローラ12の制御によって印画紙2をコマ送りの状態で搬送する。
【0024】
<ネガキャリアの構成>
次に図2によりネガキャリア16の詳細を説明する。ネガキャリア16は、一対の枠体である上部ユニット30と下部ユニット31とを揺動開閉自在に枢支連結した構成としてあり、図示しないバネにより開き側に復帰付勢されている。図2は、上部ユニット30と下部ユニット31とが開いている状態を示す。フィルム1は矢印Aの方向に挿入され、矢印Bの方向に排出される。
【0025】
下部ユニット31には、図2に示すように、駆動ローラ32a,32b,32c,32d,32e、フィルム1の左右両端部を案内支持し且つフィルム1の画像面通過予定箇所を窪ませた下部ガイド33、駆動ローラ32aをベルト34aを介して駆動するモータ35a、駆動ローラ32b,32c,32d,32eをベルト34bを介して連動駆動するモータ35b、フィルム1のDXコードを検出するためのDXコード検出用光センサ36の発光部36a、フィルム1のパーフォレーションを検出するためのパーフォレーション検出用光センサ37の発光部37a、フィルム1の画像部分を検出する画像検出用光センサ38の発光部38a、及び、フィルム1の印画紙2に焼き付ける領域を規定する開口を有するマスクユニット40が備えられている。マスクユニット40の詳細は後述する。
【0026】
上部ユニット30には、図2に示すように、上記の下部ガイド33と共にフィルム1の左右両端部を支持案内し且つフィルム1の画像面通過予定箇所を窪ませた上部ガイド50が設けられ、その上部ガイド50は、露光用光源4からの照射光が通過するマスクユニット40の存在箇所を挟んでフィルム1搬送経路上流側に位置する上流側支持体51aに形成された上流側部分50aと、フィルム1搬送経路下流側に位置する下流側支持体51bに形成された下流側部分50bとからなる。
【0027】
上流側支持体51aには、上部ユニット30と下部ユニット31とが閉じている状態において夫々駆動ローラ32a,32b,32cと相対する位置に設置された圧着ローラ39a,39b,39c、DXコード検出用光センサ36の受光部36b、パーフォレーション検出用光センサ37の受光部37b、画像検出用光センサ38の受光部38b、下流側支持体51bには、上部ユニット30と下部ユニット31とが閉じている状態において夫々駆動ローラ32d,32eと相対する位置に設置された圧着ローラ39d,39e及び出口ローラ52が備えられている。
【0028】
駆動ローラ32a,32b,32c,32d,32eと、圧着ローラ39a,39b,39c,39d,39eと、ベルト34a,34bと、モータ35a、35bは、写真フィルムを搬送経路に沿って搬送する搬送機構として機能する。
【0029】
<マスクユニットの構成>
次に、マスクユニット40の構成を図3により説明する。
マスクユニット40は、フィルム1を基準にして露光用光源4側に配置される第1ユニット41と、印画紙2側に配置される第2ユニット42とを備えている。
【0030】
第1ユニット41は、第1枠体43と、第1透明体44とを備えている。第1枠体43は、フィルム1の画像コマ1aに対応した第1開口部43aと、コマ番号1bとバーコード1cとに対応した第2開口部43bと、ネガキャリア16の下部ユニット31の下部ガイド33と同一高さの搬送面になるように設定された下部搬送ガイド43cと、下部搬送ガイド43cの搬送経路両側に設けられた一対の支持部43dとを備えている。
【0031】
第1開口部43aと第2開口部43bとは、連通して1つの開口をなしており、第2開口部43bの搬送方向に沿った長さは第1開口部43aのそれよりも長くなっており、さらに第2開口部43bには第1透明体44がはめ込まれており接着等の適宜の手法で固定されている。第1透明体44の表面は下部搬送ガイド43cと同一高さになるように固定され、第1透明体44の第1開口部43aとの境界に相当する端面部の位置は、画像コマ1aの端部に一致又はほぼ一致するように設定されている。第1透明体44を設けることにより、フィルム1が搬送されてきたときに、フィルム1の先端の端面が第2開口部43bの端面に引っかかる恐れがなくなるから、確実にフィルム1をマスクユニット40内に送り込むことができる。なお、第1開口部43aには透明体を設ける必要はない。
【0032】
第1透明体44は、好ましくはスリガラス、ノングレアガラス、透明樹脂板で形成し、透明樹脂板で形成するときはコマ番号などの画像のにじみを防止するためにショットピーニング (又はショットブラスト) を行い光拡散性を持たせるのが好ましい。透明樹脂としては、ポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂などがあげられる。ノングレアガラスは、平面度がかなり高く直進して入射された光線をそのまま直進状態で通過させることができ、上述した画像のにじみを発生させないと言う利点がある。ただし、ノングレアガラスはコストが高いので、光拡散性を有するスリガラスを用いれば、コストも安く便利である。第1透明体44としては、光を全く屈折させないか、乱反射させるかのどちらかの性質を有するものが選択される。これにより、コマ番号1bの画像のにじみなどを防止することができる。
【0033】
下部搬送ガイド43cは、一対の支持部43dに挟まれるように形成されており、その幅寸法はフィルム1の幅寸法よりも少し大きな寸法としている。また、支持部43dには搬送方向に沿って片側に2こずつ合計4つの嵌合凹部43eが設けられている。
【0034】
第2ユニット42は、第2枠体45と、第2透明体46と、位置決めピン47と、ばね48と、Eリング49とを備えている。第2枠体45は、フィルム1の画像コマ1aに対応した第3開口部45aと、コマ番号1bとバーコード1cとに対応した第4開口部45bと、ネガキャリア16の上部ユニット30の上部ガイド50と同一高さの搬送面になるように設定された上部搬送ガイド45c (下部搬送ガイド43cと向かい合う面として形成されている。) と、搬送経路両側に設けられた一対の支持部45dとを備えている。
【0035】
第3開口部45aと第4開口部45bとは、連通して1つの開口をなしており、第3開口部45aの大きさは第1開口部43aと同じ、第4開口部45bの大きさは第2開口部43bと同じになるよう設定している。さらに第4開口部45bには第2透明体46がはめ込まれており接着等の適宜の手法で固定されている。第2透明体46の表面は上部搬送ガイド45cと同一高さになるように固定されている。第1透明体44を設けることにより、フィルム1が搬送されてきたときに、フィルム1の先端の端面が第2開口部43bの端面に引っかかる恐れがなくなるから、確実にフィルム1をマスクユニット40内に送り込むことができる。なお、第1開口部43aには透明体を設ける必要はない。
【0036】
第2透明体46は、好ましくはスリガラス、ノングレアガラス、透明樹脂板で形成し、透明樹脂板で形成するときはコマ番号などの画像のにじみを防止するためにショットピーニング (又はショットブラスト) を行い光拡散性を持たせるのが好ましい。基本的には、第2透明体46は第1透明体44と同様の素材から選択される。ただし、第1透明体44は、通常の光拡散性を有しない素材から選択できる可能性はあるが、この場合においても、第2透明体46は光拡散性を有する素材から選択するのが好ましい。これはフィルム1を通過してきた光を拡散させることで、効果的にコマ番号1bの画像ににじみを発生させないようにできるからである。
【0037】
一対の支持部45dには、4つの嵌合凹部43eに対応する位置に、4つの穴部45eが形成されている。位置決めピン47の頭部47aが嵌合凹部43eにはめ込まれ、位置決めピン47の軸部にばね48が挿入され、さらにこの軸部が上記穴部45eを貫通するように挿入され、Eリング49を溝部47bにはめ込む。通常はばね48により第2枠体45は、第1枠体43に対して離間する方向に付勢されている。この状態で、フィルム1を搬送させることができる。フィルム1の画像コマ1aを露光する場合は、不図示の電磁石などの機構により第2枠体45をばね48の付勢力に抗して、図3の矢印H方向に移動させて画像コマ1aを位置決め固定する。
【0038】
またこのマスクユニット40は、ネガキャリア16に対して着脱自在に構成されている。複数コマ焼付プリントではなく、通常のプリントを行うときには、第1開口部43aのみを備えた第1ユニット41と、第3開口部45aのみを備えた第2ユニット42とで構成されるマスクユニットをネガキャリア16に装着すれば良い。
【0039】
<本実施形態の作動説明>
図4のフローチャートにより、本実施形態の写真処理装置を用いて複数コマ焼付プリントを行うときの作動を説明する。
まず、フィルム1をネガキャリア16にセットする(ステップ#01)。次いで、フィルム1を搬送し(#02)、DXコード検出用光センサー36によりDXコードを検出し、さらに画像検出用センサー38により画像コマ1aのエッジを検出し、パーフォレーション検出用センサー37からの信号に基づいて、画像コマ1aをマスクユニット40の第1開口部43a及び第3開口部45aの位置に位置決めさせる(#03)。位置決め時には、第1ユニット41に対して第2ユニット42が近接する方向に作動し、スキャナー15により画像コマ1aのスキャニングを行う(#04)。1コマ分のスキャニングが終了したら、第2ユニット42を第1ユニット41から離間する方向に作動させる。ここで全画像コマ1aのスキャニングが終了したか否かをコントローラ12により判断し(#05)、終了してない場合はステップ#02に戻りフィルム1を1コマ分搬送させ同様の作動を繰り返す。スキャニングされた画像コマ1aは、モニター14にシミュレート画像コマとして表示され、オペレータは適宜キーボード13から濃度や色などの補正情報を入力する。
【0040】
補正情報の入力作業が終了すると(あるいは終了前)、フィルム1を元の状態に戻し搬送し(図2の矢印A,Bとは逆方向)(#06)、戻し終わると再びスキャニングのときと同様に、フィルム搬送(#07)、フィルム位置決め(#08)を行う。なお、焼付用レンズ7は、複数コマ焼付プリントに適した焼付倍率になるよう予めセッティングされている。位置決めされた画像コマ1aの印画紙2に対する露光を行う(#09)。ここで全画像コマ1aの焼付露光が終了したか否かをコントローラ12により判断し(#09)、終了してない場合はステップ#07に戻りフィルム1を1コマ分搬送させ同様の作動を繰り返す。また、露光に際しては先ほどの補正情報が入力された画像コマ1aについては、補正された露光条件にて画像が焼き付けられる。全画像コマ1aの露光が終了すると、印画紙2の現像処理を行う(#11)。
【0041】
図5(b)に画像が焼き付けられた印画紙2を示す。この例では5コマ分ごとにカットされているが、何コマ毎にカットするかは適宜選択できる。この複数コマ焼付プリントでは、通常の画像コマ2aと共にコマ番号2b、バーコード2c、パーフォレーション2dの形もいっしょに焼き付けられている。
【0042】
本実施形態によると、ベタ焼きとは異なり補正情報を入力できるので、より品質の良い画像コマ2aを焼付露光することができる。また、フィルム1をマスクユニット40内に挿入していく場合にも、第2開口部43bや第4開口部45bにそれぞれ第1透明体44と第2透明体46を取り付けているから、フィルム1の先端の端面が引っかかってしまうと言う恐れがない。また、焼付用レンズ7の焼付倍率の設定により、印画紙2に対して焼き付けられる画像コマ2aの大きさを設定できるから、従来のベタ焼きに比べて質の良い複数コマ焼付プリントを顧客に提供することができる。
【0043】
<別実施形態>
次に別実施形態について説明する。
(1)本実施形態において、第1開口部43aと第2開口部43bとは連通して1つの開口を形成しているが、別々の独立した開口部として構成しても良い。また、第3開口部45aと第4開口部45bについても同様に別々の独立した開口部としても良い。
(2)本実施形態では、第2開口部43bの搬送経路に沿った長さは、第1開口部43aのそれよりも少し長くなっているが、これを同じ長さとしても良い。この場合、単一の矩形の開口になる。また、第3開口部45aと第4開口部45bについても同様に同じ長さとしても良い。
【0044】
(3)本実施形態では、コマ番号1bのほかにバーコード1cなどもいっしょに焼き付けるようにしているが、コマ番号1bのみを焼き付けるようにしても良い。
【0045】
(4)本実施形態では、複数コマ焼付プリントとして長尺状(1次元的な配列)に画像コマを焼き付けているが、シート状(2次元的な配列)に焼き付けるようにしても良い。
(5)写真フィルムとしてネガフィルムではなくポジフィルムでも良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】写真処理装置の構成を示す模式図
【図2】ネガキャリアの構成を示す斜視図
【図3】マスクユニットの構成を示す分解斜視図
【図4】本実施形態の作動を説明するフローチャート
【図5】ネガフィルム及び複数コマ焼付プリントを示す図
【符号の説明】
1 ネガフィルム
1a 画像コマ
1b コマ番号
2 印画紙
10 焼付露光部
40 マスクユニット
41 第1ユニット
42 第2ユニット
43a 第1開口部
43b 第2開口部
44 第1透明体
45a 第3開口部
45b 第4開口部
46 第2透明体
【発明の属する技術分野】
本発明は、写真フィルムの画像コマ及びコマ番号を感光材料に投影露光するために用いられるマスクユニット及びこのマスクユニットが取り付けられるフィルム搬送ユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】
写真フィルムの画像コマを印画紙 (感光材料の1例に相当する。) に焼付処理する例として、ベタ焼きと呼ばれる処理が知られている。これは、シート状の印画紙に1オーダー分の画像コマを2次元的に並べて露光したり、長尺状の印画紙に写真フィルムの画像コマを6コマ前後横に並べてピースネガと同様な形式になるように露光したもの (これらを以下、複数コマ焼付プリントと言うことがある。)であり、印画紙に対して写真フィルムを密着させた状態で投影露光を行っている。このベタ焼きでは、画像コマのほかに写真フィルムに形成されているコマ番号をもいっしょに露光するようにしており、コマ番号と画像コマとの対応が一目で認識できるので、顧客が焼き増し注文をするときには便利である。特に公共事業における記録写真においては、同じようなシーンが続けて撮影されることがあり、かかる場合に画像コマとコマ番号の対応関係が直ちに認識できるベタ焼きは有用である。
【0003】
しかしながら、ベタ焼きにより複数コマ焼付プリントを露光するには、専用のペーパーマスクを用意し、これを投影露光部の所定の場所にセッティングして、これに写真フィルムを装填する必要があった。そして、複数のオーダーを処理する場合には、これを繰り返す必要がありオペレータの作業が煩雑であった。また、ベタ焼きによる場合は印画紙に密着させる必要があることから、写真フィルムの画像コマと同じ大きさの画像しかできず、拡大して露光することはできなかった。
【0004】
かかる問題点を解決した従来技術として、特開平7−219058号公報に開示される露光焼付装置がある。この装置は、写真フィルムを拡大投影可能な光学系と、1コマずつ写真フィルムを送りながら画像コマを露光する露光手段と、露光された印画紙を間欠搬送する搬送手段を備えている。そして、写真フィルムを搬送するためのフィルム搬送ユニット (ネガキャリア) を備えており、このフィルム搬送ユニットは画像コマの大きさに対応する十分な開口 (第1開口部) を備えると共に、写真フィルムのパーフォレーション側に配置されたコマ番号 (バーコードを含む) に対応した長穴 (第2開口部) を備えている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、コマ番号に対応した開口部を形成する場合に、単に穴を形成するのみでは次のような問題点があった。
すなわち、写真フィルム1のコマ番号は図5(a)に示すように、パーフォレーション1dの外側で、しかも写真フィルム1の端面に極めて近い位置にある。従って、コマ番号1bが確実に印画紙に露光できるようにするには、第2開口部の大きさも少し大き目に設定しておく必要がある。従って、写真フィルム1の端面よりも外側が少なくとも端面とほぼ同じ位置に、前記第2開口部の端面がくることになる。そうすると、前記第1開口部及び第2開口部に向けて写真フィルム1を搬送してきたときに、写真フィルム1の先端部が第2開口部においてひっかかってしまい、うまく写真フィルム1をセッティングできないと言う事態が生じる。
【0006】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、写真フィルムの搬送性を損なわないで複数コマ焼付プリントを露光できるマスクユニット及びフィルム搬送ユニットを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係るマスクユニットは、写真フィルムの画像コマ及びコマ番号を感光材料に投影露光するために光軸にセットされるマスクユニットであって、前記画像コマに対応した第1開口部と前記コマ番号に対応した第2開口部とを有する第1ユニットを備え、前記第1開口部と前記第2開口部のうちの前記第2開口部のみに第1透明体を取り付けてあることを特徴とするものである。
【0008】
この構成によると、写真フィルムの画像コマ及びコマ番号を感光材料に投影露光する場合には、第1開口部に画像コマが対応するように写真フィルムを挿入(又は搬送)する。挿入又は搬送は自動で行われるものでもよく、オペレータが手動で行うものでも良い。そして、コマ番号を投影露光するために設けられた第2開口部に第1透明体を取り付けている。従って、写真フィルムの先端部が第2開口部においてひっかかってしまうということがない。その結果、写真フィルムの搬送性を損なわないで複数コマ焼付プリントを露光できるマスクユニットを提供することができた。
【0009】
本発明の好適な実施形態として、前記画像コマに対応した第3開口部と前記コマ番号に対応した第4開口部とを有し、かつ、前記写真フィルムを押さえる機能を有する第2ユニットを備え、前記第3開口部と前記第4開口部のうちの前記第4開口部のみに第2透明体を取り付けてあるものがあげられる。
【0010】
この構成のように、第1ユニットに加え更に第2ユニットを用いると、画像コマ及びコマ番号を露光する場合に写真フィルムを安定して保持することができる。この場合は、コマ番号に対応した第4開口部に第2透明体を取り付けることで、写真フィルムの先端部が第4開口部においてひっかかってしまうということがなくなる。
【0011】
前記第1透明体及び/又は前記第2透明体は、例えば、ノングレアガラスにより形成される。ノングレアガラスは、直進してきた光をそのままの直進状態で通過させる性能を有し、コマ番号を露光する場合に、画像ににじみが発生しないと言う利点がある。
【0012】
前記第1透明体及び/又は前記第2透明体としては、光拡散性を有する素材により形成しても良い。ノングレアガラスのように全く光を屈折させない素材を選択しても良いが、逆に光拡散性をもたせることにより画像ににじみを発生させないようにすることもできる。
【0013】
光拡散性を有する素材として、スリガラスがあげられる。スリガラスはコスト的に安く入手しやすいと言う利点がある。また、透明樹脂にショットピーニング又はショットブラストを行うことにより光拡散性を持たせた素材を選択しても良い。樹脂を採用することで、開口部に対する取付などを考慮して形状を自由に設定することができると言う利点がある。
【0014】
前記第1開口部と前記第2開口部とは、別々の開口として形成しても良いが、つながった1つの開口穴として形成することもできる。1つの開口穴としたほうが穴の加工が容易になる。
本発明の更に別の好適な実施形態として、前記第2開口部の搬送方向に沿った長さは前記第1開口部のそれよりも長くなるように形成され、前記第4開口部の搬送方向に沿った長さは前記第3開口部のそれよりも長くなるように形成されているものがあげられる。
【0015】
本発明に係るフィルム搬送ユニットは、上述した特徴を有するマスクユニットを備えると共に、
写真フィルムを搬送経路に沿って搬送する搬送機構を備えており、
前記写真フィルムを基準にして、前記第1ユニットを露光用光源側に、前記第2ユニットを感光材料側になるように、前記マスクユニットを着脱自在に構成したことを特徴とするものである。
【0016】
このフィルム搬送ユニットに用いられるマスクユニットの第1ユニットは、コマ番号を投影露光するために設けられた第2開口部に第1透明体を取り付けている。従って、写真フィルムの先端部が第2開口部においてひっかかってしまうということがない。また、第2ユニットについても、コマ番号に対応した第4開口部に第2透明体を取り付けることで、写真フィルムの先端部が第4開口部においてひっかかってしまうということがなくなる。その結果、写真フィルムの搬送性を損なわないで複数コマ焼付プリントを露光できるフィルム搬送ユニットを提供することができた。さらに、マスクユニットは着脱自在であるから、複数コマ焼付プリントではなく通常のプリントを行うときには、マスクユニットを交換さえすれば良い。従って、多機能のフィルム搬送ユニットとすることができた。
【0017】
本発明の好適な実施形態として、前記第1透明体と前記第2透明体のうち、少なくとも前記第2透明体は光拡散性を有するものがあげられる。写真フィルムに入ってくる光(入ってくる光は拡散させてもさせなくてもどちらでも良い。)よりも写真フィルムを通過した光を拡散させることにより、コマ番号の画像のにじみの発生を防止することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
<本実施形態の構成>
本発明に係るマスクユニット及びフィルム搬送ユニット、並びにこれらが用いられる写真処理装置の構成について図面を用いて説明する。図1は、写真処理装置の構成を示す模式図、図2はフィルム搬送ユニットとして機能するネガキャリアの構成を示す斜視図である。
写真処理装置は、写真フィルムの1例であるネガフィルム1(以下、単にフィルムと言う。)の画像コマを感光材料の1例である印画紙2に焼付露光する焼付露光部10と、露光済みの印画紙2を現像処理する現像処理部11と、装置の各部の作動を制御するコントローラ12とを備えている。コントローラ12には、各種の制御指示を入力するためのキーボード13と、スキャナー15により読み取った画像コマ情報を表示するモニター14とが接続されている。
【0019】
焼付処理を行うフィルム1が焼付露光部10にセットされたネガキャリア16に挿入されると、フィルム1の画像情報を各コマ毎に順番にスキャナー15により読み取り、その情報はコントローラ12に送られる。コントローラ12は、読み取られたフィルム1の画像情報に基づいて、各画像コマ毎の露光条件を演算して決定する。この決定された露光条件により印画紙2に露光した場合に得られるであろう画像コマをシミュレート画像コマとしてモニター14に表示する。
【0020】
写真処理装置のオペレータは、モニター14の表示を見て適切な画像が得られないと判断すると、キーボード13から演算された露光条件の修正指示を入力する。コントローラ12は、その修正指示に基づいて露光条件を修正し、最終的な露光条件を決定する。その決定された露光条件に基づいて、焼付露光部10の各部の作動を制御し、印画紙マガジン3から引き出された印画紙2にフィルム1の画像コマを投影露光する。
【0021】
焼付露光の終了した印画紙2は、現像処理部11に搬送されて現像処理されフィルム1の各画像コマに対応して1枚づつ切断した状態で排出される。
【0022】
<写真処理装置の各部の構成>
焼付露光部10には、後で詳細に説明するネガキャリア16と、露光用光源4と、露光用光路に、イエロー、シアン、マゼンタの各色のフィルタが出入りすることにより露光用光源4からの照射光の色バランスを調整する調光フィルタ5と、調光フィルタ5で色バランスを調整した光を均一に混色するミラートンネル6と、フィルム1の画像コマを印画紙2上に結像する焼付用レンズ7と、フィルム1の画像コマをスキャナー15の方向に導く反射ミラー8と、フィルム1の画像コマをスキャナー15のセンサー面に結像するスキャナー用レンズ9と、シャッター17と、印画紙2を搬送する搬送ローラ18と、搬送ローラ18を駆動するモータ19とを備えている。また、焼付用レンズ7と反射ミラー8とスキャナー用レンズ9とは1つのユニット20になっており、このユニット20全体が矢印C方向に移動可能に構成されている。スキャナー15により画像コマを読み取るときにはユニット19を図1の右側に移動させ、反射ミラー8を光路中に臨ませるようにすれば良い。また、焼き付け用レンズ7はズームレンズになっており、フィルム1の画像コマを印画紙2に焼き付ける際の焼付倍率を設定できるようになっている。
【0023】
調光フィルタ5とシャッター17とはコントローラ12により制御され、コントローラ12が最終的に決定した露光条件に基づいて、調光フィルタ5の各フィルタの位置や、シャッター17の開放時間すなわち露光時間が制御されるようになっている。また、モータ19はコントローラ12の制御によって印画紙2をコマ送りの状態で搬送する。
【0024】
<ネガキャリアの構成>
次に図2によりネガキャリア16の詳細を説明する。ネガキャリア16は、一対の枠体である上部ユニット30と下部ユニット31とを揺動開閉自在に枢支連結した構成としてあり、図示しないバネにより開き側に復帰付勢されている。図2は、上部ユニット30と下部ユニット31とが開いている状態を示す。フィルム1は矢印Aの方向に挿入され、矢印Bの方向に排出される。
【0025】
下部ユニット31には、図2に示すように、駆動ローラ32a,32b,32c,32d,32e、フィルム1の左右両端部を案内支持し且つフィルム1の画像面通過予定箇所を窪ませた下部ガイド33、駆動ローラ32aをベルト34aを介して駆動するモータ35a、駆動ローラ32b,32c,32d,32eをベルト34bを介して連動駆動するモータ35b、フィルム1のDXコードを検出するためのDXコード検出用光センサ36の発光部36a、フィルム1のパーフォレーションを検出するためのパーフォレーション検出用光センサ37の発光部37a、フィルム1の画像部分を検出する画像検出用光センサ38の発光部38a、及び、フィルム1の印画紙2に焼き付ける領域を規定する開口を有するマスクユニット40が備えられている。マスクユニット40の詳細は後述する。
【0026】
上部ユニット30には、図2に示すように、上記の下部ガイド33と共にフィルム1の左右両端部を支持案内し且つフィルム1の画像面通過予定箇所を窪ませた上部ガイド50が設けられ、その上部ガイド50は、露光用光源4からの照射光が通過するマスクユニット40の存在箇所を挟んでフィルム1搬送経路上流側に位置する上流側支持体51aに形成された上流側部分50aと、フィルム1搬送経路下流側に位置する下流側支持体51bに形成された下流側部分50bとからなる。
【0027】
上流側支持体51aには、上部ユニット30と下部ユニット31とが閉じている状態において夫々駆動ローラ32a,32b,32cと相対する位置に設置された圧着ローラ39a,39b,39c、DXコード検出用光センサ36の受光部36b、パーフォレーション検出用光センサ37の受光部37b、画像検出用光センサ38の受光部38b、下流側支持体51bには、上部ユニット30と下部ユニット31とが閉じている状態において夫々駆動ローラ32d,32eと相対する位置に設置された圧着ローラ39d,39e及び出口ローラ52が備えられている。
【0028】
駆動ローラ32a,32b,32c,32d,32eと、圧着ローラ39a,39b,39c,39d,39eと、ベルト34a,34bと、モータ35a、35bは、写真フィルムを搬送経路に沿って搬送する搬送機構として機能する。
【0029】
<マスクユニットの構成>
次に、マスクユニット40の構成を図3により説明する。
マスクユニット40は、フィルム1を基準にして露光用光源4側に配置される第1ユニット41と、印画紙2側に配置される第2ユニット42とを備えている。
【0030】
第1ユニット41は、第1枠体43と、第1透明体44とを備えている。第1枠体43は、フィルム1の画像コマ1aに対応した第1開口部43aと、コマ番号1bとバーコード1cとに対応した第2開口部43bと、ネガキャリア16の下部ユニット31の下部ガイド33と同一高さの搬送面になるように設定された下部搬送ガイド43cと、下部搬送ガイド43cの搬送経路両側に設けられた一対の支持部43dとを備えている。
【0031】
第1開口部43aと第2開口部43bとは、連通して1つの開口をなしており、第2開口部43bの搬送方向に沿った長さは第1開口部43aのそれよりも長くなっており、さらに第2開口部43bには第1透明体44がはめ込まれており接着等の適宜の手法で固定されている。第1透明体44の表面は下部搬送ガイド43cと同一高さになるように固定され、第1透明体44の第1開口部43aとの境界に相当する端面部の位置は、画像コマ1aの端部に一致又はほぼ一致するように設定されている。第1透明体44を設けることにより、フィルム1が搬送されてきたときに、フィルム1の先端の端面が第2開口部43bの端面に引っかかる恐れがなくなるから、確実にフィルム1をマスクユニット40内に送り込むことができる。なお、第1開口部43aには透明体を設ける必要はない。
【0032】
第1透明体44は、好ましくはスリガラス、ノングレアガラス、透明樹脂板で形成し、透明樹脂板で形成するときはコマ番号などの画像のにじみを防止するためにショットピーニング (又はショットブラスト) を行い光拡散性を持たせるのが好ましい。透明樹脂としては、ポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂などがあげられる。ノングレアガラスは、平面度がかなり高く直進して入射された光線をそのまま直進状態で通過させることができ、上述した画像のにじみを発生させないと言う利点がある。ただし、ノングレアガラスはコストが高いので、光拡散性を有するスリガラスを用いれば、コストも安く便利である。第1透明体44としては、光を全く屈折させないか、乱反射させるかのどちらかの性質を有するものが選択される。これにより、コマ番号1bの画像のにじみなどを防止することができる。
【0033】
下部搬送ガイド43cは、一対の支持部43dに挟まれるように形成されており、その幅寸法はフィルム1の幅寸法よりも少し大きな寸法としている。また、支持部43dには搬送方向に沿って片側に2こずつ合計4つの嵌合凹部43eが設けられている。
【0034】
第2ユニット42は、第2枠体45と、第2透明体46と、位置決めピン47と、ばね48と、Eリング49とを備えている。第2枠体45は、フィルム1の画像コマ1aに対応した第3開口部45aと、コマ番号1bとバーコード1cとに対応した第4開口部45bと、ネガキャリア16の上部ユニット30の上部ガイド50と同一高さの搬送面になるように設定された上部搬送ガイド45c (下部搬送ガイド43cと向かい合う面として形成されている。) と、搬送経路両側に設けられた一対の支持部45dとを備えている。
【0035】
第3開口部45aと第4開口部45bとは、連通して1つの開口をなしており、第3開口部45aの大きさは第1開口部43aと同じ、第4開口部45bの大きさは第2開口部43bと同じになるよう設定している。さらに第4開口部45bには第2透明体46がはめ込まれており接着等の適宜の手法で固定されている。第2透明体46の表面は上部搬送ガイド45cと同一高さになるように固定されている。第1透明体44を設けることにより、フィルム1が搬送されてきたときに、フィルム1の先端の端面が第2開口部43bの端面に引っかかる恐れがなくなるから、確実にフィルム1をマスクユニット40内に送り込むことができる。なお、第1開口部43aには透明体を設ける必要はない。
【0036】
第2透明体46は、好ましくはスリガラス、ノングレアガラス、透明樹脂板で形成し、透明樹脂板で形成するときはコマ番号などの画像のにじみを防止するためにショットピーニング (又はショットブラスト) を行い光拡散性を持たせるのが好ましい。基本的には、第2透明体46は第1透明体44と同様の素材から選択される。ただし、第1透明体44は、通常の光拡散性を有しない素材から選択できる可能性はあるが、この場合においても、第2透明体46は光拡散性を有する素材から選択するのが好ましい。これはフィルム1を通過してきた光を拡散させることで、効果的にコマ番号1bの画像ににじみを発生させないようにできるからである。
【0037】
一対の支持部45dには、4つの嵌合凹部43eに対応する位置に、4つの穴部45eが形成されている。位置決めピン47の頭部47aが嵌合凹部43eにはめ込まれ、位置決めピン47の軸部にばね48が挿入され、さらにこの軸部が上記穴部45eを貫通するように挿入され、Eリング49を溝部47bにはめ込む。通常はばね48により第2枠体45は、第1枠体43に対して離間する方向に付勢されている。この状態で、フィルム1を搬送させることができる。フィルム1の画像コマ1aを露光する場合は、不図示の電磁石などの機構により第2枠体45をばね48の付勢力に抗して、図3の矢印H方向に移動させて画像コマ1aを位置決め固定する。
【0038】
またこのマスクユニット40は、ネガキャリア16に対して着脱自在に構成されている。複数コマ焼付プリントではなく、通常のプリントを行うときには、第1開口部43aのみを備えた第1ユニット41と、第3開口部45aのみを備えた第2ユニット42とで構成されるマスクユニットをネガキャリア16に装着すれば良い。
【0039】
<本実施形態の作動説明>
図4のフローチャートにより、本実施形態の写真処理装置を用いて複数コマ焼付プリントを行うときの作動を説明する。
まず、フィルム1をネガキャリア16にセットする(ステップ#01)。次いで、フィルム1を搬送し(#02)、DXコード検出用光センサー36によりDXコードを検出し、さらに画像検出用センサー38により画像コマ1aのエッジを検出し、パーフォレーション検出用センサー37からの信号に基づいて、画像コマ1aをマスクユニット40の第1開口部43a及び第3開口部45aの位置に位置決めさせる(#03)。位置決め時には、第1ユニット41に対して第2ユニット42が近接する方向に作動し、スキャナー15により画像コマ1aのスキャニングを行う(#04)。1コマ分のスキャニングが終了したら、第2ユニット42を第1ユニット41から離間する方向に作動させる。ここで全画像コマ1aのスキャニングが終了したか否かをコントローラ12により判断し(#05)、終了してない場合はステップ#02に戻りフィルム1を1コマ分搬送させ同様の作動を繰り返す。スキャニングされた画像コマ1aは、モニター14にシミュレート画像コマとして表示され、オペレータは適宜キーボード13から濃度や色などの補正情報を入力する。
【0040】
補正情報の入力作業が終了すると(あるいは終了前)、フィルム1を元の状態に戻し搬送し(図2の矢印A,Bとは逆方向)(#06)、戻し終わると再びスキャニングのときと同様に、フィルム搬送(#07)、フィルム位置決め(#08)を行う。なお、焼付用レンズ7は、複数コマ焼付プリントに適した焼付倍率になるよう予めセッティングされている。位置決めされた画像コマ1aの印画紙2に対する露光を行う(#09)。ここで全画像コマ1aの焼付露光が終了したか否かをコントローラ12により判断し(#09)、終了してない場合はステップ#07に戻りフィルム1を1コマ分搬送させ同様の作動を繰り返す。また、露光に際しては先ほどの補正情報が入力された画像コマ1aについては、補正された露光条件にて画像が焼き付けられる。全画像コマ1aの露光が終了すると、印画紙2の現像処理を行う(#11)。
【0041】
図5(b)に画像が焼き付けられた印画紙2を示す。この例では5コマ分ごとにカットされているが、何コマ毎にカットするかは適宜選択できる。この複数コマ焼付プリントでは、通常の画像コマ2aと共にコマ番号2b、バーコード2c、パーフォレーション2dの形もいっしょに焼き付けられている。
【0042】
本実施形態によると、ベタ焼きとは異なり補正情報を入力できるので、より品質の良い画像コマ2aを焼付露光することができる。また、フィルム1をマスクユニット40内に挿入していく場合にも、第2開口部43bや第4開口部45bにそれぞれ第1透明体44と第2透明体46を取り付けているから、フィルム1の先端の端面が引っかかってしまうと言う恐れがない。また、焼付用レンズ7の焼付倍率の設定により、印画紙2に対して焼き付けられる画像コマ2aの大きさを設定できるから、従来のベタ焼きに比べて質の良い複数コマ焼付プリントを顧客に提供することができる。
【0043】
<別実施形態>
次に別実施形態について説明する。
(1)本実施形態において、第1開口部43aと第2開口部43bとは連通して1つの開口を形成しているが、別々の独立した開口部として構成しても良い。また、第3開口部45aと第4開口部45bについても同様に別々の独立した開口部としても良い。
(2)本実施形態では、第2開口部43bの搬送経路に沿った長さは、第1開口部43aのそれよりも少し長くなっているが、これを同じ長さとしても良い。この場合、単一の矩形の開口になる。また、第3開口部45aと第4開口部45bについても同様に同じ長さとしても良い。
【0044】
(3)本実施形態では、コマ番号1bのほかにバーコード1cなどもいっしょに焼き付けるようにしているが、コマ番号1bのみを焼き付けるようにしても良い。
【0045】
(4)本実施形態では、複数コマ焼付プリントとして長尺状(1次元的な配列)に画像コマを焼き付けているが、シート状(2次元的な配列)に焼き付けるようにしても良い。
(5)写真フィルムとしてネガフィルムではなくポジフィルムでも良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】写真処理装置の構成を示す模式図
【図2】ネガキャリアの構成を示す斜視図
【図3】マスクユニットの構成を示す分解斜視図
【図4】本実施形態の作動を説明するフローチャート
【図5】ネガフィルム及び複数コマ焼付プリントを示す図
【符号の説明】
1 ネガフィルム
1a 画像コマ
1b コマ番号
2 印画紙
10 焼付露光部
40 マスクユニット
41 第1ユニット
42 第2ユニット
43a 第1開口部
43b 第2開口部
44 第1透明体
45a 第3開口部
45b 第4開口部
46 第2透明体
Claims (10)
- 写真フィルムの画像コマ及びコマ番号を感光材料に投影露光するために光軸にセットされるマスクユニットであって、
前記画像コマに対応した第1開口部と前記コマ番号に対応した第2開口部とを有する第1ユニットを備え、前記第1開口部と前記第2開口部のうちの前記第2開口部のみに第1透明体を取り付けてあることを特徴とするマスクユニット。 - 前記画像コマに対応した第3開口部と前記コマ番号に対応した第4開口部とを有し、かつ、前記写真フィルムを押さえる機能を有する第2ユニットを備え、前記第3開口部と前記第4開口部のうちの前記第4開口部のみに第2透明体を取り付けてあることを特徴とする請求項1に記載のマスクユニット。
- 前記第1透明体及び/又は前記第2透明体は、ノングレアガラスにより形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載のマスクユニット。
- 前記第1透明体及び/又は前記第2透明体は、光拡散性を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のマスクユニット。
- 前記第1透明体及び/又は前記第2透明体は、スリガラスにより形成されることを特徴とする請求項4に記載のマスクユニット。
- 前記第1透明体及び/又は前記第2透明体は、透明樹脂にショットピーニング又はショットブラストを行うことにより形成されることを特徴とする請求項4に記載のマスクユニット。
- 前記第1開口部と前記第2開口部とは、つながった1つの開口穴として形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のマスクユニット。
- 前記第2開口部の搬送方向に沿った長さは前記第1開口部のそれよりも長くなるように形成され、前記第4開口部の搬送方向に沿った長さは前記第3開口部のそれよりも長くなるように形成されていることを特徴とする請求項2〜7のいずれか1項に記載のマスクユニット。
- 写真フィルムを搬送経路に沿って搬送する搬送機構と、前記搬送経路上に請求項2〜8のいずれか1項に記載のマスクユニットとを備え、
前記写真フィルムを基準にして、前記第1ユニットを露光用光源側に、前記第2ユニットを感光材料側になるように、前記マスクユニットを着脱自在に構成したことを特徴とするフィルム搬送ユニット。 - 前記第1透明体と前記第2透明体のうち、少なくとも前記第2透明体は光拡散性を有することを特徴とする請求項9に記載のフィルム搬送ユニット。
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