JP3585082B2 - 接触燃焼式ガスセンサ及び製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板上にガス検知素子と補償素子とが隣接して設けられ、ガス検知素子と補償素子とで可燃性ガスを燃焼する際に発生する燃焼熱を検出することによって可燃性ガスを検量する接触燃焼式ガスセンサおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図5は、従来の接触燃焼式ガスセンサを説明するための断面図である。
【0003】
従来この種の接触燃焼式ガスセンサとしては、例えば、特開平7−113776号公報(発明の名称:接触燃焼式ガスセンサ、出願人:富士電機株式会社、出願日:1993年10月19日)に示すようなものがある。
【0004】
すなわち、図5に示す接触燃焼式ガスセンサAは、半導体基体1に接着層2を介して誘電体層3で橋絡部を形成し、橋絡部上に4個の金属薄膜抵抗体(白金)7A,7B,7C,7Dを形成し、金属薄膜抵抗体7A,7B,7C,7Dを加熱体および抵抗測温体として用い、隣接する金属薄膜抵抗体7A,7B,7C,7Dの上にガス検知層5と補償層6を各々設け、触媒担体としてのアルミナ担体を蒸着処理またはスパッタ処理を用いて金属薄膜抵抗体7A,7B,7C,7D上に形成し、アルミナ担体に貴金属を担持してガス検知層5を形成し、アルミナ担体に酸化銅を担持して補償層6を形成していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の接触燃焼式ガスセンサAでは、触媒担体としてのアルミナ担体を蒸着処理またはスパッタ処理を用いて金属薄膜抵抗体7A,7B,7C,7D上に形成していたため、金属薄膜抵抗体7A,7B,7C,7D表面から内部へのアルミナ担体の拡散性および膜の密着強度が十分でなく、金属薄膜抵抗体7A,7B,7C,7Dが加熱状態になった際に発生する熱応力に起因してアルミナ担体に応力破壊が発生してしまう可能性があり、アルミナ担体に応力破壊に起因してセンサのガス検知感度に経時的な劣化が発生する可能性がある結果、長期的に高い安定性および信頼性を実現することが難しいという技術的課題があった。
【0006】
また触媒担体としてのアルミナ担体を蒸着処理またはスパッタ処理を用いて金属薄膜抵抗体7A,7B,7C,7D上に形成していたため、可燃性ガスの燃焼に寄与するアルミナ担体の表面積が十分でない結果、十分なガス検知感度が得られない可能性があるという技術的課題もあった。
【0007】
更に、可燃性ガスの燃焼に寄与するアルミナ担体の表面積が十分でないことに起因して、大気中を浮遊するゴミや油粒子等の浮遊汚染粒子がアルミナ担体の表面に付着した場合にガス検知感度の急激な劣化が発生する可能性がある結果、長期的に高い安定性および信頼性を実現することが難しいという技術的課題もあった。
【0008】
本発明は、このような従来の問題点を解決することを課題としており、第1に、基板上にガス検知素子が設けられ、ガス検知素子のセンサ面に接触した所定種類のガスを検知するガスセンサであって、センサ面が、メサ溝またはV溝が複数集積されて成るV溝状またはメサ状コルゲート表面構造を、ガスが接触する界面として有するガスセンサにより、熱伝導層とヒータとの間で十分な膜密着強度を実現でき、ヒータが加熱状態になった際に発生する熱応力に対する熱伝導層の応力破壊耐性を実現でき、センサのガス検知感度の初期特性を経時的に維持できる結果、長期的に高い安定性および信頼性を実現できる接触燃焼式ガスセンサを提供することを課題としている。
【0009】
また触媒担体としてのポーラス形の陽極酸化皮膜で熱伝導層を形成することにより、可燃性ガスの燃焼に寄与する熱伝導層の表面積を実効的に拡大することができる結果、十分なガス検知感度を実現することができる接触燃焼式ガスセンサを提供することを課題としている。
【0010】
更に、可燃性ガスの燃焼に寄与する熱伝導層の表面積を実効的に拡大することができる結果、大気中を浮遊するゴミや油粒子等の浮遊汚染粒子が熱伝導層の表面に付着した場合であっても、ガス検知感度の急激な劣化が発生する現象を回避できる結果、長期的に高い安定性および信頼性を実現できる接触燃焼式ガスセンサを提供することを課題としている。
【0011】
第2に、基板が、所定の結晶方位を有するシリコン単結晶から成り、シリコン単結晶から成る基板の表面が、異方性エッチング処理されて作成されガスが燃焼する界面としてV溝状またはメサ状コルゲート表面構造を有し、ガス検知素子が、基板のV溝状またはメサ状コルゲート表面構造上に担持され可燃性ガスの燃焼を促すためのヒータと、ヒータのV溝状またはメサ状コルゲート表面構造上に熱的に接触して担持された熱良導体である熱伝導層と、熱伝導層のV溝状またはメサ状コルゲート表面構造を介して伝導されたヒータの発熱量に応じて発熱して可燃性ガスの燃焼に対して触媒として作用する触媒層を有し、補償素子が、ガス検知素子に隣接してV溝状またはメサ状コルゲート表面構造上に形成され可燃性ガスの燃焼を促すためのヒータと、ヒータに熱的に担持されて設けられた熱良導体である熱伝導層を有する接触燃焼式ガスセンサにより、熱伝導層とヒータとの間で十分な膜密着強度を実現でき、ヒータが加熱状態になった際に発生する熱応力に対する熱伝導層の応力破壊耐性を実現でき、センサのガス検知感度の初期特性を経時的に維持できる結果、長期的に高い安定性および信頼性を実現できる接触燃焼式ガスセンサを提供することを課題としている。
【0012】
また触媒担体としてのポーラス形の陽極酸化皮膜で熱伝導層を形成することにより、可燃性ガスの燃焼に寄与する熱伝導層の表面積を実効的に拡大することができる結果、十分なガス検知感度を実現することができる接触燃焼式ガスセンサを提供することを課題としている。
【0013】
更に、可燃性ガスの燃焼に寄与する熱伝導層の表面積を実効的に拡大することができる結果、大気中を浮遊するゴミや油粒子等の浮遊汚染粒子が熱伝導層の表面に付着した場合であっても、ガス検知感度の急激な劣化が発生する現象を回避できる結果、長期的に高い安定性および信頼性を実現できる接触燃焼式ガスセンサを提供することを課題としている。
【0014】
第3に、基板が、所定の厚さで形成されたダイアフラムを有し、ダイアフラムが、所定の結晶方位を有するシリコン単結晶から成り、シリコン単結晶から成るダイアフラムの表面が、異方性エッチング処理されて作成されガスが燃焼する界面としてV溝状またはメサ状コルゲート表面構造を有し、ガス検知素子が、ダイアフラムのV溝状またはメサ状コルゲート表面構造上に担持され可燃性ガスの燃焼を促すためのヒータと、ヒータのV溝状またはメサ状コルゲート表面構造上に熱的に接触して担持された熱良導体である熱伝導層と、熱伝導層のV溝状またはメサ状コルゲート表面構造を介して伝導されたヒータの発熱量に応じて発熱して可燃性ガスの燃焼に対して触媒として作用する触媒層を有し、補償素子が、ガス検知素子に隣接してV溝状またはメサ状コルゲート表面構造上に形成され可燃性ガスの燃焼を促すためのヒータと、ヒータに熱的に担持されて設けられた熱良導体である熱伝導層を有する接触燃焼式ガスセンサにより、熱伝導層とヒータとの間で十分な膜密着強度を実現でき、ヒータが加熱状態になった際に発生する熱応力に対する熱伝導層の応力破壊耐性を実現でき、センサのガス検知感度の初期特性を経時的に維持できる結果、長期的に高い安定性および信頼性を実現できる接触燃焼式ガスセンサを提供することを課題としている。
【0015】
また触媒担体としてのポーラス形の陽極酸化皮膜で熱伝導層を形成することにより、可燃性ガスの燃焼に寄与する熱伝導層の表面積を実効的に拡大することができる結果、十分なガス検知感度を実現することができる接触燃焼式ガスセンサを提供することを課題としている。
【0016】
更に、可燃性ガスの燃焼に寄与する熱伝導層の表面積を実効的に拡大することができる結果、大気中を浮遊するゴミや油粒子等の浮遊汚染粒子が熱伝導層の表面に付着した場合であっても、ガス検知感度の急激な劣化が発生する現象を回避できる結果、長期的に高い安定性および信頼性を実現できる接触燃焼式ガスセンサを提供することを課題としている。
【0017】
第4に、前述の接触燃焼式ガスセンサの製造方法であって、基板は、所定の結晶方位を有するシリコン単結晶から成り、シリコン単結晶から成る基板の表面に、基板表面に対して異方性エッチング処理を実行してV溝状またはメサ状コルゲート表面構造を形成する工程を含む表面形成工程と、表面形成工程に続いて、V溝状またはメサ状コルゲート表面構造を含む基板上に誘電体膜を担持して形成する誘電体膜形成工程と、表面形成工程に続いて、補償素子におけるヒータをV溝状またはメサ状コルゲート表面構造上に担持された状態で形成する工程と、ガス検知素子におけるヒータをV溝状またはメサ状コルゲート表面構造上に担持された状態で形成する工程を含むヒータ形成工程と、ヒータ形成工程に続いて、ガス検知素子における熱伝導層と補償素子における熱伝導層を形成する熱伝導層形成工程と、陽極酸化皮膜形成工程に続いて、ガス検知素子の熱伝導層に接触した状態で触媒層を形成する触媒層形成工程を有する製造方法により、熱伝導層とヒータとの間で十分な膜密着強度を実現でき、ヒータが加熱状態になった際に発生する熱応力に対する熱伝導層の応力破壊耐性を実現でき、センサのガス検知感度の初期特性を経時的に維持できる結果、長期的に高い安定性および信頼性を実現できる接触燃焼式ガスセンサを提供することを課題としている。
【0018】
また触媒担体としてのポーラス形の陽極酸化皮膜で熱伝導層を形成することにより、可燃性ガスの燃焼に寄与する熱伝導層の表面積を実効的に拡大することができる結果、十分なガス検知感度を実現することができる接触燃焼式ガスセンサを提供することを課題としている。
【0019】
更に、可燃性ガスの燃焼に寄与する熱伝導層の表面積を実効的に拡大することができる結果、大気中を浮遊するゴミや油粒子等の浮遊汚染粒子が熱伝導層の表面に付着した場合であっても、ガス検知感度の急激な劣化が発生する現象を回避できる結果、長期的に高い安定性および信頼性を実現できる接触燃焼式ガスセンサを提供することを課題としている。
【0020】
第5に、前述の接触燃焼式ガスセンサの製造方法であって、基板上に誘電体膜を形成する誘電体膜形成工程と、誘電体膜形成工程に続いて、誘電体膜の所定部分を用い異方性エッチング処理を実行してメサ状コルゲート表面構造を形成する表面形成工程と、表面形成工程に続いて、補償素子におけるヒータをメサ状コルゲート表面構造上に担持された状態で形成する工程と、ガス検知素子におけるヒータをメサ状コルゲート表面構造上に担持された状態で形成する工程を含むヒータ形成工程と、ヒータ形成工程に続いて、ガス検知素子における熱伝導層と補償素子における熱伝導層を形成する熱伝導層形成工程と、陽極酸化皮膜形成工程に続いて、ガス検知素子の熱伝導層に接触した状態で触媒層を形成する触媒層形成工程を有する製造方法により、熱伝導層とヒータとの間で十分な膜密着強度を実現でき、ヒータが加熱状態になった際に発生する熱応力に対する熱伝導層の応力破壊耐性を実現でき、センサのガス検知感度の初期特性を経時的に維持できる結果、長期的に高い安定性および信頼性を実現できる接触燃焼式ガスセンサを提供することを課題としている。
【0021】
また触媒担体としてのポーラス形の陽極酸化皮膜で熱伝導層を形成することにより、可燃性ガスの燃焼に寄与する熱伝導層の表面積を実効的に拡大することができる結果、十分なガス検知感度を実現することができる接触燃焼式ガスセンサを提供することを課題としている。
【0022】
更に、可燃性ガスの燃焼に寄与する熱伝導層の表面積を実効的に拡大することができる結果、大気中を浮遊するゴミや油粒子等の浮遊汚染粒子が熱伝導層の表面に付着した場合であっても、ガス検知感度の急激な劣化が発生する現象を回避できる結果、長期的に高い安定性および信頼性を実現できる接触燃焼式ガスセンサを提供することを課題としている。
【0023】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は
板12上にガス検知素子30と補償素子321,322,323とが隣接して設けられ、ガス検知素子30と補償素子321,322,323とで可燃性ガスを燃焼する際に発生する燃焼熱を検出することによって可燃性ガスを検量する接触燃焼式ガスセンサ10であって、
前記基板12は、所定の結晶方位を有するシリコン単結晶から成り、
当該シリコン単結晶から成る基板12の表面は、異方性エッチング処理されて作成されガスが燃焼する界面として、V溝が複数集積されて成るV溝状またはメサ溝が複数集積されて成るメサ状コルゲート表面構造12 41を有する、
ことを特徴とする接触燃焼式ガスセンサ10である。
【0024】
請求項1に記載の発明によれば、接触燃焼式ガスセンサ10を構成する各層が、V溝状コルゲート表面構造12 41 、または、V溝状コルゲート表面構造よりも更に大きな表面積を有するメサ状コルゲート表面構造を有するようにできるといった効果を奏する。
【0025】
これにより、V溝状またはメサ状コルゲート表面構造1241を有する各層間で十分な膜密着強度を実現でき、ヒータ18が加熱状態になった際に発生する熱応力に対する積層構造の応力破壊耐性を実現でき、センサのガス検知感度の初期特性を経時的に維持できる結果、長期的に高い安定性、再現性および信頼性を有する接触燃焼式ガスセンサ10を実現できるようになるといった効果を奏する。
【0026】
V溝状またはメサ状コルゲート表面構造1241を有する積層構造は、蒸着処理やスパッタ処理によって形成される薄膜に比べて熱容量を小さくでき、かつ、積層構造の表面積を実効的に拡大することに大きく寄与するといった効果を奏する。
【0027】
すなわち、可燃性ガスの燃焼に寄与する積層構造の表面積を実効的に拡大することができる結果、十分なガス検知感度を実現することができるようになるといった効果を奏する。
【0028】
更に、V溝状またはメサ状コルゲート表面構造1241を有する積層構造により、可燃性ガスの燃焼に寄与する積層構造の表面積を実効的に拡大することができる結果、大気中を浮遊するゴミや油粒子等の浮遊汚染粒子が積層構造の表面に付着した場合であっても、ガス検知感度の急激な劣化が発生する現象を回避して汚染耐性を向上できる結果、長期的に高い安定性、再現性および信頼性を有する接触燃焼式ガスセンサ10を実現できるようになるといった効果を奏する。
【0029】
また、V溝状またはメサ状コルゲート表面構造1241を有する積層構造は、大気中を浮遊するゴミや油粒子等の浮遊汚染粒子から触媒として作用する触媒層24を保護し白金またはパラジウムの触媒機能の劣化を回避することができる結果、接触燃焼式ガスセンサ10のガス検知感度について長期的に高い安定性、再現性および信頼性を有する接触燃焼式ガスセンサ10を実現できるようになるといった効果を奏する。
【0030】
更に、V溝状またはメサ状コルゲート表面構造1241を有する積層構造は、蒸着処理やスパッタ処理によって形成される薄膜に比べて積層構造に発生する熱応力を緩和しやすい特性を有し、製造途中での熱処理中に基板12と薄膜間の熱膨張率の差に起因する膜剥がれ現象や、接触燃焼式ガスセンサ10の間欠駆動時に発生し易いヒートサイクルに起因する積層構造の応力破壊現象を回避して応力破壊耐性を向上させることができるようになるといった効果を奏する。
【0031】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の接触燃焼式ガスセンサ10において、
前記ガス検知素子30は、
前記基板12のV溝状またはメサ状コルゲート表面構造1241上に担持され前記可燃性ガスの燃焼を促すためのヒータ18と、当該ヒータ18のV溝状またはメサ状コルゲート表面構造1241上に熱的に接触して担持された熱良導体である熱伝導層22と、当該熱伝導層22のV溝状またはメサ状コルゲート表面構造1241を介して伝導された当該ヒータ18の発熱量に応じて発熱して前記可燃性ガスの燃焼に対して触媒として作用する触媒層24を有する、
ことを特徴とする接触燃焼式ガスセンサ10である。
【0032】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の効果に加えて、V溝状またはメサ状コルゲート表面構造1241を有する熱伝導層22とV溝状またはメサ状コルゲート表面構造1241を有するヒータ18との間で十分な膜密着強度を実現でき、ヒータ18が加熱状態になった際に発生する熱応力に対する熱伝導層22の応力破壊耐性を実現でき、センサのガス検知感度の初期特性を経時的に維持できる結果、長期的に高い安定性、再現性および信頼性を有する接触燃焼式ガスセンサ10を実現できるようになるといった効果を奏する。
【0033】
V溝状またはメサ状コルゲート表面構造1241を有する熱伝導層22は、蒸着処理やスパッタ処理によって形成される薄膜に比べて熱容量を小さくでき、かつ、熱伝導層22の表面積を実効的に拡大することに大きく寄与するといった効果を奏する。
【0034】
すなわち、可燃性ガスの燃焼に寄与する熱伝導層22の表面積を実効的に拡大することができる結果、十分なガス検知感度を実現することができるようになるといった効果を奏する。
【0035】
更に、V溝状またはメサ状コルゲート表面構造1241により、可燃性ガスの燃焼に寄与する熱伝導層22の表面積を実効的に拡大することができる結果、大気中を浮遊するゴミや油粒子等の浮遊汚染粒子が熱伝導層22の表面に付着した場合であっても、ガス検知感度の急激な劣化が発生する現象を回避して汚染耐性を向上できる結果、長期的に高い安定性、再現性および信頼性を有する接触燃焼式ガスセンサ10を実現できるようになるといった効果を奏する。
【0036】
また、V溝状またはメサ状コルゲート表面構造1241を有する熱伝導層22は、大気中を浮遊するゴミや油粒子等の浮遊汚染粒子から触媒として作用する触媒層24を保護し白金またはパラジウムの触媒機能の劣化を回避することができる結果、接触燃焼式ガスセンサ10のガス検知感度について長期的に高い安定性、再現性および信頼性を有する接触燃焼式ガスセンサ10を実現できるようになるといった効果を奏する。
【0037】
更に、V溝状またはメサ状コルゲート表面構造1241を有する熱伝導層22は、蒸着処理やスパッタ処理によって形成される薄膜に比べて熱伝導層22に発生する熱応力を緩和しやすい特性を有し、製造途中での熱処理中に基板12と薄膜間の熱膨張率の差に起因する膜剥がれ現象や、接触燃焼式ガスセンサ10の間欠駆動時に発生し易いヒートサイクルに起因する熱伝導層22の応力破壊現象を回避して応力破壊耐性を向上させることができるようになるといった効果を奏する。
【0038】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の接触燃焼式ガスセンサ10において、
前記基板12のV溝状またはメサ状コルゲート表面構造1241に担持された状態で当該基板12のV溝状またはメサ状コルゲート表面構造1241に接触した状態で形成された熱不良導体特性を有する誘電体膜14,16を有し、
前記ガス検知素子30におけるヒータ18が、前記誘電体膜14,16のV溝状またはメサ状コルゲート表面構造1241に接触した状態で当該誘電体膜14,16上に担持されて形成されている、
ことを特徴とする接触燃焼式ガスセンサ10である。
【0039】
請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の効果に加えて、V溝状またはメサ状コルゲート表面構造1241を有し熱不良導体特性を有する誘電体膜14,16を設けることにより、ヒータ18が生成する発熱量が基板12中に熱拡散する現象を回避し、V溝状またはメサ状コルゲート表面構造1241を有するヒータ18が生成する発熱量を効率よくかつ短時間で触媒層24に伝導させることができる結果、高感度かつ高速応答なガス燃焼動作および測温動作または補償動作が可能な接触燃焼式ガスセンサ10を実現できるようになるといった効果を奏する。
【0040】
請求項4に記載の発明は、請求項に記載の接触燃焼式ガスセンサ10において、
前記補償素子321,322,323は、
前記ガス検知素子30に隣接して前記V溝状またはメサ状コルゲート表面構造124 に形成され前記可燃性ガスの燃焼を促すためのヒータ18と、当該ヒータ18に熱的に担持されて設けられた熱良導体である熱伝導層22を有する、
ことを特徴とする接触燃焼式ガスセンサ10である。
【0041】
請求項4に記載の発明によれば、請求項に記載の効果に加えて、V溝状またはメサ状コルゲート表面構造124 有し熱良導体である熱伝導層22を設けることにより、ヒータ18が生成する発熱量を効率よくかつ短時間で触媒層24に伝導させることができる結果、高感度かつ高速応答な補償動作が可能な接触燃焼式ガスセンサ10を実現できるようになるといった効果を奏する。
【0042】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の接触燃焼式ガスセンサ10において、
前記V溝状またはメサ状コルゲート表面構造124 担持された状態で当該基板12上に形成された熱不良導体特性を有する誘電体膜14,16を有し、
前記補償素子321,322,323におけるヒータ18が、前記誘電体膜14,16に接触した状態で当該誘電体膜14,16上に担持されて形成されている、
ことを特徴とする接触燃焼式ガスセンサ10である。
【0043】
請求項5に記載の発明によれば、請求項4に記載の効果に加えて、V溝状またはメサ状コルゲート表面構造124 に熱不良導体特性を有する誘電体膜14,16を設けることにより、ヒータ18が生成する発熱量が基板12中に熱拡散する現象を回避し、ヒータ18が生成する発熱量を効率よくかつ短時間で触媒層24に伝導させることができる結果、高感度かつ高速応答なガス燃焼動作および測温動作または補償動作が可能な接触燃焼式ガスセンサ10を実現できるようになるといった効果を奏する。
【0044】
請求項6に記載の発明は、
基板12上にガス検知素子30と補償素子321,322,323とが隣接して設けられ、ガス検知素子30と補償素子321,322,323とで可燃性ガスを燃焼する際に発生する燃焼熱を検出することによって可燃性ガスを検量する接触燃焼式ガスセンサ10であって、
前記基板12は、所定の厚さで形成されたダイアフラム122を有し、
前記ダイアフラム122は、所定の結晶方位を有するシリコン単結晶から成り、
当該シリコン単結晶から成るダイアフラム122の表面は、異方性エッチング処理されて作成されガスが燃焼する界面として、V溝が複数集積されて成るV溝状またはメサ溝が複数集積されて成るメサ状コルゲート表面構造1241を有する、
ことを特徴とする接触燃焼式ガスセンサ10である。
【0045】
請求項6に記載の発明によれば、基板12よりも実効的に熱容量の小さいダイアフラム122上にヒータ18を設けることにより、ヒータ18が生成する発熱量が基板12中に熱拡散する現象を回避できる結果、V溝状またはメサ状コルゲート表面構造1241を有するヒータ18が生成する発熱量を効率よくかつ短時間で触媒層24に伝導させることができる結果、高感度かつ高速応答なガス燃焼動作および測温動作が可能な接触燃焼式ガスセンサ10を実現できるようになるといった効果を奏する。
【0046】
更に、V溝状またはメサ状コルゲート表面構造1241を有し熱良導体である熱伝導層22を設けることにより、V溝状またはメサ状コルゲート表面構造1241を有するヒータ18が生成する発熱量を効率よくかつ短時間で触媒層24に伝導させることができる結果、高感度かつ高速応答なガス燃焼動作および測温動作が可能な接触燃焼式ガスセンサ10を実現できるようになるといった効果を奏する。
【0047】
また、V溝状またはメサ状コルゲート表面構造1241を有する熱伝導層22とV溝状またはメサ状コルゲート表面構造1241を有するヒータ18との間で十分な膜密着強度を実現でき、ヒータ18が加熱状態になった際に発生する熱応力に対する熱伝導層22の応力破壊耐性を実現でき、センサのガス検知感度の初期特性を経時的に維持できる結果、長期的に高い安定性、再現性および信頼性を有する接触燃焼式ガスセンサ10を実現できるようになるといった効果を奏する。
【0048】
V溝状またはメサ状コルゲート表面構造1241を有する熱伝導層22は、蒸着処理やスパッタ処理によって形成される薄膜に比べて熱容量を小さくでき、かつ、熱伝導層22の表面積を実効的に拡大することに大きく寄与するといった効果を奏する。
【0049】
すなわち、可燃性ガスの燃焼に寄与する熱伝導層22の表面積を実効的に拡大することができる結果、十分なガス検知感度を実現することができるようになるといった効果を奏する。
【0050】
更に、V溝状またはメサ状コルゲート表面構造1241により、可燃性ガスの燃焼に寄与する熱伝導層22の表面積を実効的に拡大することができる結果、大気中を浮遊するゴミや油粒子等の浮遊汚染粒子が熱伝導層22の表面に付着した場合であっても、ガス検知感度の急激な劣化が発生する現象を回避して汚染耐性を向上できる結果、長期的に高い安定性、再現性および信頼性を有する接触燃焼式ガスセンサ10を実現できるようになるといった効果を奏する。
【0051】
また、V溝状またはメサ状コルゲート表面構造1241を有する熱伝導層22は、大気中を浮遊するゴミや油粒子等の浮遊汚染粒子から触媒として作用する触媒層24を保護し白金またはパラジウムの触媒機能の劣化を回避することができる結果、接触燃焼式ガスセンサ10のガス検知感度について長期的に高い安定性、再現性および信頼性を有する接触燃焼式ガスセンサ10を実現できるようになるといった効果を奏する。
【0052】
更に、V溝状またはメサ状コルゲート表面構造1241を有する熱伝導層22は、蒸着処理やスパッタ処理によって形成される薄膜に比べて熱伝導層22に発生する熱応力を緩和しやすい特性を有し、製造途中での熱処理中に基板12と薄膜間の熱膨張率の差に起因する膜剥がれ現象や、接触燃焼式ガスセンサ10の間欠駆動時に発生し易いヒートサイクルに起因する熱伝導層22の応力破壊現象を回避して応力破壊耐性を向上させることができるようになるといった効果を奏する。
【0053】
更に、V溝状またはメサ状コルゲート表面構造1241を有し可燃性ガスの燃焼に対して触媒として作用する触媒層24を設けることにより、十分なガス検知感度を実現でき、更に、長期的に高い安定性、再現性および信頼性を有する接触燃焼式ガスセンサ10を実現できるようになるといった効果を奏する。
【0054】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の接触燃焼式ガスセンサ10において、
前記ガス検知素子30は、
前記ダイアフラム122のV溝状またはメサ状コルゲート表面構造1241上に担持され前記可燃性ガスの燃焼を促すためのヒータ18と、当該ヒータ18のV溝状またはメサ状コルゲート表面構造1241上に熱的に接触して担持された熱良導体である熱伝導層22と、当該熱伝導層22のV溝状またはメサ状コルゲート表面構造1241を介して伝導された当該ヒータ18の発熱量に応じて発熱して前記可燃性ガスの燃焼に対して触媒として作用する触媒層24を有する、
ことを特徴とする接触燃焼式ガスセンサ10である。
【0055】
請求項7に記載の発明によれば、請求項6に記載の効果に加えて、V溝状またはメサ状コルゲート表面構造1241を有する熱伝導層22とV溝状またはメサ状コルゲート表面構造1241を有するヒータ18との間で十分な膜密着強度を実現でき、ヒータ18が加熱状態になった際に発生する熱応力に対する熱伝導層22の応力破壊耐性を実現でき、センサのガス検知感度の初期特性を経時的に維持できる結果、長期的に高い安定性、再現性および信頼性を有する接触燃焼式ガスセンサ10を実現できるようになるといった効果を奏する。
【0056】
V溝状またはメサ状コルゲート表面構造1241を有する熱伝導層22は、蒸着処理やスパッタ処理によって形成される薄膜に比べて熱容量を小さくでき、かつ、熱伝導層22の表面積を実効的に拡大することに大きく寄与するといった効果を奏する。
【0057】
すなわち、可燃性ガスの燃焼に寄与する熱伝導層22の表面積を実効的に拡大することができる結果、十分なガス検知感度を実現することができるようになるといった効果を奏する。
【0058】
更に、V溝状またはメサ状コルゲート表面構造1241により、可燃性ガスの燃焼に寄与する熱伝導層22の表面積を実効的に拡大することができる結果、大気中を浮遊するゴミや油粒子等の浮遊汚染粒子が熱伝導層22の表面に付着した場合であっても、ガス検知感度の急激な劣化が発生する現象を回避して汚染耐性を向上できる結果、長期的に高い安定性、再現性および信頼性を有する接触燃焼式ガスセンサ10を実現できるようになるといった効果を奏する。
【0059】
また、V溝状またはメサ状コルゲート表面構造1241を有する熱伝導層22は、大気中を浮遊するゴミや油粒子等の浮遊汚染粒子から触媒として作用する触媒層24を保護し白金またはパラジウムの触媒機能の劣化を回避することができる結果、接触燃焼式ガスセンサ10のガス検知感度について長期的に高い安定性、再現性および信頼性を有する接触燃焼式ガスセンサ10を実現できるようになるといった効果を奏する。
【0060】
更に、V溝状またはメサ状コルゲート表面構造1241を有する熱伝導層22は、蒸着処理やスパッタ処理によって形成される薄膜に比べて熱伝導層22に発生する熱応力を緩和しやすい特性を有し、製造途中での熱処理中に基板12と薄膜間の熱膨張率の差に起因する膜剥がれ現象や、接触燃焼式ガスセンサ10の間欠駆動時に発生し易いヒートサイクルに起因する熱伝導層22の応力破壊現象を回避して応力破壊耐性を向上させることができるようになるといった効果を奏する。
【0061】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の接触燃焼式ガスセンサ10において、
前記ダイアフラム122のV溝状またはメサ状コルゲート表面構造1241に担持された状態で当該ダイアフラム122のV溝状またはメサ状コルゲート表面構造1241に接触して形成された熱不良導体特性を有する誘電体膜14,16を有し、
前記ガス検知素子30におけるヒータ18が、前記誘電体膜14,16のV溝状またはメサ状コルゲート表面構造1241に接触した状態で当該誘電体膜14,16上に担持されて形成されている、
ことを特徴とする接触燃焼式ガスセンサ10である。
【0062】
請求項8に記載の発明によれば、請求項7に記載の効果に加えて、V溝状また はメサ状コルゲート表面構造1241を有し熱不良導体特性を有する誘電体膜14,16を設けることにより、ヒータ18が生成する発熱量が基板12中に熱拡散する現象を回避し、V溝状またはメサ状コルゲート表面構造1241を有するヒータ18が生成する発熱量を効率よくかつ短時間で触媒層24に伝導させることができる結果、高感度かつ高速応答なガス燃焼動作および測温動作または補償動作が可能な接触燃焼式ガスセンサ10を実現できるようになるといった効果を奏する。
【0063】
請求項9に記載の発明は、請求項7または8に記載の接触燃焼式ガスセンサ10において、
前記補償素子321,322,323は、
前記ガス検知素子30に隣接して前記V溝状またはメサ状コルゲート表面構造1241上に形成され前記可燃性ガスの燃焼を促すためのヒータ18と、当該ヒータ18に熱的に担持されて設けられた熱良導体である熱伝導層22を有する、
ことを特徴とする接触燃焼式ガスセンサ10である。
【0064】
請求項9に記載の発明によれば、請求項7または8に記載に記載の効果と同様の効果を奏する。
【0065】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の接触燃焼式ガスセンサ10において、
前記V溝状またはメサ状コルゲート表面構造124 担持された状態で当該基板12上に担持されて形成された熱不良導体特性を有する誘電体膜14,16を有し、
前記補償素子321,322,323におけるヒータ18が、前記誘電体膜14,16に接触した状態で当該誘電体膜14,16上に担持されて形成されている、
ことを特徴とする接触燃焼式ガスセンサ10である。
【0066】
請求項10に記載の発明によれば、請求項9に記載の効果に加えて、V溝状またはメサ状コルゲート表面構造124 に熱不良導体特性を有する誘電体膜14,16を設けることにより、ヒータ18が生成する発熱量が基板12中に熱拡散する現象を回避し、ヒータ18が生成する発熱量を効率よくかつ短時間で触媒層24に伝導させることができる結果、高感度かつ高速応答なガス燃焼動作および測温動作または補償動作が可能な接触燃焼式ガスセンサ10を実現できるようになるといった効果を奏する。
【0067】
請求項11に記載の発明は、請求項4,5,9または10に記載の接触燃焼式ガスセンサ10において、
前記誘電体膜14,16は酸化物14を用いて形成され、
前記ガス検知素子30におけるヒータ18と前記補償素子321,322,323におけるヒータ18が、前記酸化物14に接触した状態で当該酸化物14上に担持されて形成されている、
ことを特徴とする接触燃焼式ガスセンサ10である。
【0068】
請求項11に記載の発明によれば、請求項4,5,9または10に記載の効果に加えて、熱不良導体特性を有する酸化物14を設けることにより、ヒータ18が生成する発熱量が基板12中に熱拡散する現象を回避し、ヒータ18が生成する発熱量を効率よくかつ短時間で触媒層24に伝導させることができる結果、高感度かつ高速応答なガス燃焼動作および測温動作または補償動作が可能な接触燃焼式ガスセンサ10を実現できるようになるといった効果を奏する。
【0069】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の接触燃焼式ガスセンサ10において、
前記酸化物14がシリコン酸化物14である、
ことを特徴とする接触燃焼式ガスセンサ10である。
【0070】
請求項12に記載の発明によれば、請求項11に記載の効果に加えて、熱不良導体特性および耐環境性を有するシリコン酸化物14を設けることにより、ヒータ18が生成する発熱量が基板12中に熱拡散する現象を回避し、ヒータ18が生成する発熱量を効率よくかつ短時間で触媒層24に伝導させることができる結果、高感度かつ高速応答なガス燃焼動作および測温動作または補償動作が可能な接触燃焼式ガスセンサ10を実現できるようになるといった効果を奏する。
【0071】
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の接触燃焼式ガスセンサ10において、
前記誘電体膜14,16は、前記酸化物14と、当該酸化物14のV溝状またはメサ状コルゲート表面構造1241に接触した状態で当該酸化物14のV溝状またはメサ状コルゲート表面構造1241上に担持されて形成された五酸化タンタル16とを有し、
前記ガス検知素子30におけるヒータ18のV溝状またはメサ状コルゲート表面構造1241が、前記五酸化タンタル16に接触した状態で当該五酸化タンタル16のV溝状コルゲート表面構造1241上に担持されて形成されている、
ことを特徴とする接触燃焼式ガスセンサ10である。
【0072】
請求項13に記載の発明によれば、請求項12に記載の効果に加えて、熱不良導体特性を有するシリコン酸化物14と五酸化タンタル16との積層を設けることにより、ヒータ18が生成する発熱量が基板12中に熱拡散する現象を回避し、V溝状またはメサ状コルゲート表面構造1241を有するヒータ18が生成する発熱量を効率よくかつ短時間で触媒層24に伝導させることができる結果、高感度かつ高速応答なガス燃焼動作および測温動作が可能な接触燃焼式ガスセンサ10を実現できるようになるといった効果を奏する。
【0073】
請求項14に記載の発明は、請求項12に記載の接触燃焼式ガスセンサ10において、
前記誘電体膜14,16は、前記酸化物14と、当該酸化物14のV溝状またはメサ状コルゲート表面構造124 接触した状態で当該酸化物14のV溝状 たはメサ状コルゲート表面構造124 に担持されて形成された五酸化タンタル16とを有し、
前記補償素子321,322,323におけるヒータ18が、前記五酸化タンタル16に接触した状態で当該五酸化タンタル16のV溝状またはメサ状コルゲート表面構造124 上に担持されて形成されている、
ことを特徴とする接触燃焼式ガスセンサ10である。
【0074】
請求項14に記載の発明によれば、請求項12に記載の効果に加えて、V溝状またはメサ状コルゲート表面構造124 に熱不良導体特性を有するシリコン酸化物14とV溝状またはメサ状コルゲート表面構造124 有する五酸化タンタル16との積層を設けることにより、ヒータ18が生成する発熱量が基板12中に熱拡散する現象を回避し、V溝状またはメサ状コルゲート表面構造124 有するヒータ18が生成する発熱量を効率よくかつ短時間で触媒層24に伝導させることができる結果、高感度かつ高速応答な補償動作が可能な接触燃焼式ガスセンサ10を実現できるようになるといった効果を奏する。
【0075】
請求項15に記載の発明は、請求項13または14に記載の接触燃焼式ガスセンサ10において、
前記ガス検知素子30におけるヒータ18と前記補償素子321,322,323におけるヒータ18とは、同一の抵抗材料を用いて同一形状に形成されている、
ことを特徴とする接触燃焼式ガスセンサ10である。
【0076】
請求項15に記載の発明によれば、請求項13または14に記載の効果に加えて、ガス検知素子30と補償素子321,322,323とを用いたブリッジ回路を有する高精度のガス検出回路40を実現することができるようになるといった効果を奏する。
【0077】
請求項16に記載の発明は、請求項15に記載の接触燃焼式ガスセンサ10において、
前記ヒータ18は、白金を用いて形成されている、
ことを特徴とする接触燃焼式ガスセンサ10である。
【0078】
請求項16に記載の発明によれば、請求項15に記載の効果に加えて、化学的に安定な白金をヒータ18に用いることにより、長期的に高い安定性、再現性および信頼性を有する接触燃焼式ガスセンサ10を実現できるようになるといった効果を奏する。
【0079】
請求項17に記載の発明は、請求項11ないし16のいずれか一項に記載の接触燃焼式ガスセンサ10において、
前記誘電体膜を介して前記ヒータ18と反対側に、前記ガス検知素子30におけるヒータ18の発熱量による前記ガス検知素子30内部の温度分布を均一化するための均熱体26を形成する、
ことを特徴とする接触燃焼式ガスセンサ10である。
【0080】
請求項17に記載の発明によれば、請求項11ないし16のいずれか一項に記載の効果に加えて、均熱体26を用いてガス検知素子30内部の温度分布を均一化することにより、高い安定性、再現性および信頼性を有するガス燃焼動作および測温動作が可能なガス検知素子30を実現できるようになるといった効果を奏する。
【0081】
請求項18に記載の発明は、請求項17に記載の接触燃焼式ガスセンサ10において、
前記誘電体膜を介して前記ヒータ18と反対側に、前記補償素子321,322,323におけるヒータ18の発熱量による前記補償素子321,322,323内部の温度分布を均一化するための均熱体26を形成する、
ことを特徴とする接触燃焼式ガスセンサ10である。
【0082】
請求項18に記載の発明によれば、請求項17に記載の効果に加えて、均熱体26を用いて補償素子321,322,323内部の温度分布を均一化することにより、高い安定性、再現性および信頼性を有する補償動作が可能な補償素子321,322,323を実現できるようになるといった効果を奏する。
【0083】
請求項19に記載の発明は、請求項11ないし18のいずれか一項に記載の接触燃焼式ガスセンサ10において、
前記ガス検知素子30におけるヒータ18の発熱量または前記補償素子321,322,323におけるヒータ18の発熱量によって前記基板12内に発生する熱応力を緩和するための熱応力緩和凹部341,342,343,344を当該ガス検知素子30または当該補償素子321,322,323の少なくとも一方の周辺に形成する、
ことを特徴とする接触燃焼式ガスセンサ10である。
【0084】
請求項19に記載の発明によれば、請求項11ないし18のいずれか一項に記載の効果に加えて、熱応力緩和凹部341,342,343,344を設けてガス検知素子30内や補償素子321,322,323内に発生する熱応力を緩和することにより、熱応力に起因する膜剥がれ現象や、接触燃焼式ガスセンサ10の間欠駆動時に発生し易いヒートサイクルに起因するガス検知素子30や補償素子321,322,323の応力破壊現象を回避して応力破壊耐性を向上させることができるようになるといった効果を奏する。
【0085】
すなわち、ヒータ18が加熱状態になった際に発生する熱応力に対する応力破壊耐性を実現でき、センサのガス検知感度の初期特性を経時的に維持できる結果、長期的に高い安定性、再現性および信頼性を有する接触燃焼式ガスセンサ10を実現できるようになるといった効果を奏する。
【0086】
請求項20に記載の発明は、請求項19に記載の接触燃焼式ガスセンサ10において、
前記ガス検知素子30におけるヒータ18または前記補償素子321,322,323におけるヒータ18を前記ダイアフラム122上に形成する場合、前記熱応力緩和凹部341,342,343,344は、当該ダイアフラム122を上下に貫通するように形成された貫通孔341,342,343,344である、
ことを特徴とする接触燃焼式ガスセンサ10である。
【0087】
請求項20に記載の発明によれば、請求項19に記載の効果に加えて、半導体プロセスを用いて作成が容易な貫通孔341,342,343,344を設けてガス検知素子30内や補償素子321,322,323内に発生する熱応力を緩和することにより、熱応力に起因する膜剥がれ現象や、接触燃焼式ガスセンサ10の間欠駆動時に発生し易いヒートサイクルに起因するガス検知素子30や補償素子321,322,323の応力破壊現象を回避して応力破壊耐性を向上させることができるようになるといった効果を奏する。
【0088】
すなわち、ヒータ18が加熱状態になった際に発生する熱応力に対する応力破壊耐性を実現でき、センサのガス検知感度の初期特性を経時的に維持できる結果、長期的に高い安定性、再現性および信頼性を有する接触燃焼式ガスセンサ10を実現できるようになるといった効果を奏する。
【0089】
請求項21に記載の発明は、請求項5に記載の接触燃焼式ガスセンサ10の製造方法であって、
前記基板12は、所定の結晶方位を有するシリコン単結晶から成り、
当該シリコン単結晶から成る基板12の表面に、前記基板12表面に対して異方性エッチング処理を実行して前記V溝状またはメサ状コルゲート表面構造1241を形成する工程を含む表面形成工程と、
前記表面形成工程に続いて、前記V溝状またはメサ状コルゲート表面構造1241を含む前記基板12上に前記誘電体膜14,16を担持して形成する誘電体膜形成工程と、 前記表面形成工程に続いて、前記補償素子321,322,323におけるヒータ18を前記V溝状またはメサ状コルゲート表面構造1241上に担持された状態で形成する工程と、前記ガス検知素子30におけるヒータ18を前記V溝状またはメサ状コルゲート表面構造1241上に担持された状態で形成する工程を含むヒータ形成工程と、
前記ヒータ形成工程に続いて、前記ガス検知素子30における熱伝導層22と前記補償素子321,322,323における熱伝導層22を形成する熱伝導層形成工程と、
前記熱伝導層形成工程に続いて、前記ガス検知素子30の前記熱伝導層22に接触した状態で前記触媒層24を形成する触媒層形成工程を有する、
ことを特徴とする製造方法である。
【0090】
請求項21に記載の発明によれば、請求項5に記載の効果と同様の効果を奏する。
【0091】
請求項22に記載の発明は、請求項10に記載の接触燃焼式ガスセンサ10の製造方法であって、
前記基板12上に前記誘電体膜14,16を形成する誘電体膜形成工程と、
前記誘電体膜形成工程に続いて、前記誘電体膜14,16の所定部分を用いて前記V溝状またはメサ状コルゲート表面構造1241を形成する誘電体膜形成工程と、異方性エッチング処理を実行して前記V溝状またはメサ状コルゲート表面構造1241を形成する表面形成工程と、
前記表面形成工程に続いて、前記補償素子321,322,323におけるヒータ18を前記V溝状またはメサ状コルゲート表面構造1241上に担持された状態で形成する工程と、前記ガス検知素子30におけるヒータ18を前記V溝状またはメサ状コルゲート表面構造1241上に担持された状態で形成する工程を含むヒータ形成工程と、
前記ヒータ形成工程に続いて、前記ガス検知素子30における熱伝導層22と前記補償素子321,322,323における熱伝導層22を形成する熱伝導層形成工程と、
前記熱伝導層形成工程に続いて、前記ガス検知素子30の前記熱伝導層22に接触した状態で前記触媒層24を形成する触媒層形成工程を有し、
これらの工程を前記ダイアフラムを形成するダイアフラム形成工程に先だって行う
ことを特徴とする製造方法である。
【0092】
請求項22に記載の発明によれば、請求項10に記載の効果と同様の効果を奏する。
【0093】
【発明の実施の形態】
初めに、図面に基づき、本発明の接触燃焼式ガスセンサの一実施形態を説明する。
【0094】
図1は、本発明の接触燃焼式ガスセンサ10の実施形態を説明するための断面図である。図2は、図1の接触燃焼式ガスセンサ10の上面図である。
【0095】
本接触燃焼式ガスセンサ10は、本発明のガスセンサの一形態であって、基板12上にガス検知素子30と補償素子321,322,323とが隣接して設けられ、ガス検知素子30と補償素子321,322,323とで可燃性ガスを燃焼する際に発生する燃焼熱を検出することによって可燃性ガスを検量する、所謂、接触燃焼式のガスセンサである。
【0096】
具体的には、ホイートストーンブリッジ等のブリッジ回路に接触燃焼式ガスセンサ10を組み込んだガス検出回路40(後述)を用いて、可燃性ガスの検量を実行することになる。
【0097】
本接触燃焼式ガスセンサ10においては、基板12は所定の厚さで形成され所定の結晶方位を有するシリコン単結晶から成るダイアフラム122を有している。具体的には、基板12として結晶方位(100)のシリコン(元素記号:Si)単結晶(具体的には、厚さが数100μm〜1mm程度のシリコンウェハ)を用いている。以降、シリコン基板12と総称することにする。
【0098】
またダイアフラム122は、図1および図2に示すように、シリコン基板12の裏面を数10〜数100μm程度の厚さまで異方性エッチング処理して形成している。以降、この様なダイアフラム122をSiダイアフラム122と総称することにする。
【0099】
Si単結晶から成るSiダイアフラム122の表面には、補償素子321,322,323を形成するためのV溝状コルゲート表面構造1241が作成され、更に、ガス検知素子30が形成されると同時にガスが燃焼する界面としてのV溝状コルゲート表面構造1241が異方性エッチング処理によって作成されている。
【0100】
ここで、V溝状コルゲート表面構造1241とは、(100)Si単結晶の斜めエッチング特性を利用して形成される数μm〜数10μmのピッチのV字形状の線状の襞(コルゲート:corrugate)構造を意味している。この様なV字形状の深さや幅は数μm〜数10μmの範囲で任意に選択することができる。
【0101】
なお、V溝状コルゲート表面構造1241に代えて、ガス検知素子30が形成されると同時にガスが燃焼する界面としてのメサ状コルゲート表面構造を用いることも可能である。メサ状コルゲート表面構造とは、(100)Si単結晶の斜めエッチング特性を利用して形成される凸形状のメサが数μm〜数10μmのピッチでシリコン基板12平面上に形成された構造を意味している。この様なメサの底辺および高さは数μm〜数10μmの範囲で任意に選択することができる。これにより、シリコン基板12よりも実効的に熱容量の小さいSiダイアフラム122上にヒータ18を設けることにより、ヒータ18が生成する発熱量がシリコン基板12中に熱拡散する現象を回避できる結果、メサ状コルゲート表面構造を有するヒータ18が生成する発熱量を効率よくかつ短時間で触媒層24に伝導させることができる結果、高感度かつ高速応答なガス燃焼動作および測温動作が可能な接触燃焼式ガスセンサ10を実現できるようになるといった効果を奏する。更に、V溝状コルゲート表面構造1241よりも更に大きな表面積を有するメサ状コルゲート表面構造を有し熱良導体である熱伝導層22を設けることにより、メサ状コルゲート表面構造を有するヒータ18が生成する発熱量を効率よくかつ短時間で触媒層24に伝導させることができる結果、高感度かつ高速応答なガス燃焼動作および測温動作が可能な接触燃焼式ガスセンサ10を実現できるようになるといった効果を奏する。また、V溝状コルゲート表面構造1241よりも更に大きな表面積を有するメサ状コルゲート表面構造を有する熱伝導層22とメサ状コルゲート表面構造を有するヒータ18との間で十分な膜密着強度を実現でき、ヒータ18が加熱状態になった際に発生する熱応力に対する熱伝導層22の応力破壊耐性を実現でき、センサのガス検知感度の初期特性を経時的に維持できる結果、更に長期的に高い安定性、更に高い再現性および信頼性を有する接触燃焼式ガスセンサ10を実現できるようになるといった効果を奏する。メサ状コルゲート表面構造を有する熱伝導層22は、蒸着処理やスパッタ処理によって形成される薄膜に比べて熱容量を小さくでき、かつ、熱伝導層22の表面積を実効的に拡大することに大きく寄与するといった効果を奏する。
【0102】
すなわち、可燃性ガスの燃焼に寄与する熱伝導層22の表面積を実効的に拡大することができる結果、十分なガス検知感度を実現することができるようになるといった効果を奏する。更に、V溝状コルゲート表面構造1241よりも更に大きな表面積を有するメサ状コルゲート表面構造により、可燃性ガスの燃焼に寄与する熱伝導層22の表面積を実効的に拡大することができる結果、大気中を浮遊するゴミや油粒子等の浮遊汚染粒子が熱伝導層22の表面に付着した場合であっても、ガス検知感度の急激な劣化が発生する現象を回避して汚染耐性を向上できる結果、更に長期的に高い安定性、更に高い再現性および信頼性を有する接触燃焼式ガスセンサ10を実現できるようになるといった効果を奏する。また、メサ状コルゲート表面構造を有する熱伝導層22は、大気中を浮遊するゴミや油粒子等の浮遊汚染粒子から触媒として作用する触媒層24を保護し白金またはパラジウムの触媒機能の劣化を回避することができる結果、接触燃焼式ガスセンサ10のガス検知感度について更に長期的に高い安定性、更に高い再現性および信頼性を有する接触燃焼式ガスセンサ10を実現できるようになるといった効果を奏する。更に、メサ状コルゲート表面構造を有する熱伝導層22は、蒸着処理やスパッタ処理によって形成される薄膜に比べて熱伝導層22に発生する熱応力を緩和しやすい特性を有し、製造途中での熱処理中にシリコン基板12と薄膜間の熱膨張率の差に起因する膜剥がれ現象や、接触燃焼式ガスセンサ10の間欠駆動時に発生し易いヒートサイクルに起因する熱伝導層22の応力破壊現象を回避して応力破壊耐性を向上させることができるようになるといった効果を奏する。更に、V溝状コルゲート表面構造1241よりも更に大きな表面積を有するメサ状コルゲート表面構造を有し可燃性ガスの燃焼に対して触媒として作用する触媒層24を設けることにより、十分なガス検知感度を実現でき、更に長期的に高い安定性、更に高い再現性および信頼性を有する接触燃焼式ガスセンサ10を実現できるようになるといった効果を奏する。
【0103】
接触燃焼式ガスセンサ10は、Siダイアフラム122のV溝状コルゲート表面構造1241に担持された状態(すなわち、積層された状態)でSiダイアフラム122のV溝状コルゲート表面構造1241に接触して形成された熱不良導体特性を有する誘電体膜14,16を有している。
【0104】
誘電体膜14,16は、シリコン酸化物14と、酸化物14上に形成されるV溝状コルゲート表面構造1241に接触した状態でシリコン酸化物14のV溝状コルゲート表面構造1241上に積層されて形成された五酸化タンタル16とを有している。なお、五酸化タンタル16に代えて、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム等を用いることもできる。
【0105】
酸化物14としては、シリコン酸化物14を用いることが望ましい。本実施形態では、前述のSi単結晶基板12の表面を熱酸化処理することにより得られるシリコン酸化物14(具体的には、酸化シリコン)を酸化物14として用いることが望ましい。以降、この様なシリコン酸化物14を酸化シリコン14と総称することにする。
【0106】
この場合、酸化シリコン14の酸化膜厚は1μm程度以下であるため、図1に示すように、下地のシリコン基板12におけるV溝状コルゲート表面構造1241が現れる結果、酸化シリコン14の上面には、このV溝状コルゲート表面構造1241と同様な表面構造が踏襲されて形成されることになる。
【0107】
すなわち、熱不良導体特性を有する酸化物14を設けることにより、シリコン基板12におけるV溝状コルゲート表面構造1241と同様な表面構造を踏襲することができるようになるといった効果を奏する。更に、ヒータ18が生成する発熱量がシリコン基板12中に熱拡散する現象を回避し、ヒータ18が生成する発熱量を効率よくかつ短時間で触媒層24に伝導させることができる結果、高感度かつ高速応答なガス燃焼動作および測温動作または補償動作が可能な接触燃焼式ガスセンサ10を実現できるようになるといった効果を奏する。
【0108】
この場合、五酸化タンタル16の膜厚は0.5μm程度以下であるため、図1に示すように、下地のシリコン酸化物14におけるV溝状コルゲート表面構造1241が現れる結果、五酸化タンタル16の上面には、このV溝状コルゲート表面構造1241と同様な表面構造が踏襲されて形成されることになる。
【0109】
すなわち、熱不良導体特性および耐環境性を有する酸化シリコン14を設けることにより、シリコン基板12におけるV溝状コルゲート表面構造1241と同様な表面構造を踏襲することができるようになるといった効果を奏する。更に、ヒータ18が生成する発熱量がシリコン基板12中に熱拡散する現象を回避し、ヒータ18が生成する発熱量を効率よくかつ短時間で触媒層24に伝導させることができる結果、高感度かつ高速応答なガス燃焼動作および測温動作または補償動作が可能な接触燃焼式ガスセンサ10を実現できるようになるといった効果を奏する。
【0110】
この場合、ガス検知素子30におけるヒータ18は、後述するように、五酸化タンタル16のV溝状コルゲート表面構造1241上に接触した状態で積層されることになる。以降、誘電体膜14,16を誘電体膜(酸化シリコン/五酸化タンタル)14,16と総称することにする。
【0111】
これにより、ヒータ18が生成する発熱量がシリコン基板12中に熱拡散する現象を回避し、V溝状コルゲート表面構造1241を有するヒータ18が生成する発熱量を効率よくかつ短時間で触媒層24に伝導させることができる結果、高感度かつ高速応答なガス燃焼動作および測温動作が可能な接触燃焼式ガスセンサ10を実現できるようになるといった効果を奏する。
【0112】
続いて、ガス検知素子30の構造を説明する。
【0113】
ガス検知素子30は、Siダイアフラム122のV溝状コルゲート表面構造1241上に積層され可燃性ガスの燃焼を促すためのヒータ18と、ヒータ18のV溝状コルゲート表面構造1241上に熱的に接触して積層された熱良導体である熱伝導層22と、熱伝導層22のV溝状コルゲート表面構造1241を介して伝導されたヒータ18の発熱量に応じて発熱して可燃性ガスの燃焼に対して触媒として作用する触媒層24(具体的には、白金Pt、パラジウムPd等の貴金属薄膜層)を有している。以降、この様な触媒層24をPt/Pd触媒層24と総称することにする。
【0114】
なお、ガス検知素子30は、Siダイアフラム122のメサ状コルゲート表面構造上に積層され可燃性ガスの燃焼を促すためのヒータ18と、ヒータ18のメサ状コルゲート表面構造上に熱的に接触して積層された熱良導体である熱伝導層22と、熱伝導層22のメサ状コルゲート表面構造を介して伝導されたヒータ18の発熱量に応じて発熱して可燃性ガスの燃焼に対して触媒として作用するPt/Pd触媒層24から構成されていても良い。この場合、V溝状コルゲート表面構造1241よりも更に大きな表面積を有するメサ状コルゲート表面構造を有する熱伝導層22とメサ状コルゲート表面構造を有するヒータ18との間で十分な膜密着強度を実現でき、ヒータ18が加熱状態になった際に発生する熱応力に対する熱伝導層22の応力破壊耐性を実現でき、センサのガス検知感度の初期特性を経時的に維持できる結果、更に長期的に高い安定性、更に高い再現性および信頼性を有する接触燃焼式ガスセンサ10を実現できるようになるといった効果を奏する。メサ状コルゲート表面構造を有する熱伝導層22は、蒸着処理やスパッタ処理によって形成される薄膜に比べて熱容量を小さくでき、かつ、熱伝導層22の表面積を実効的を更に拡大することに大きく寄与するといった効果を奏する。すなわち、可燃性ガスの燃焼に寄与する熱伝導層22の表面積を実効的に更に拡大することができる結果、十分なガス検知感度を実現することができるようになるといった効果を奏する。更に、メサ状コルゲート表面構造により、可燃性ガスの燃焼に寄与する熱伝導層22の表面積を実効的に更に拡大することができる結果、大気中を浮遊するゴミや油粒子等の浮遊汚染粒子が熱伝導層22の表面に付着した場合であっても、ガス検知感度の急激な劣化が発生する現象を回避して汚染耐性を向上できる結果、更に長期的に高い安定性、更に高い再現性および信頼性を有する接触燃焼式ガスセンサ10を実現できるようになるといった効果を奏する。また、メサ状コルゲート表面構造を有する熱伝導層22は、大気中を浮遊するゴミや油粒子等の浮遊汚染粒子から触媒として作用するPt/Pd触媒層24を保護し白金またはパラジウムの触媒機能の劣化を回避することができる結果、接触燃焼式ガスセンサ10のガス検知感度について更に長期的に高い安定性、更に高い再現性および信頼性を有する接触燃焼式ガスセンサ10を実現できるようになるといった効果を奏する。更に、メサ状コルゲート表面構造を有する熱伝導層22は、蒸着処理やスパッタ処理によって形成される薄膜に比べて熱伝導層22に発生する熱応力を緩和しやすい特性を有し、製造途中での熱処理中にシリコン基板12と薄膜間の熱膨張率の差に起因する膜剥がれ現象や、接触燃焼式ガスセンサ10の間欠駆動時に発生し易いヒートサイクルに起因する熱伝導層22の応力破壊現象を回避して応力破壊耐性を向上させることができるようになるといった効果を奏する。
【0115】
ガス検知素子30におけるヒータ18は、酸化シリコン/五酸化タンタル14,16のV溝状コルゲート表面構造1241に接触した状態で酸化シリコン/五酸化タンタル14,16上に積層されて形成されている。
【0116】
すなわち、V溝状コルゲート表面構造1241を有し熱不良導体特性を有する酸化シリコン/五酸化タンタル14,16を設けることにより、ヒータ18が生成する発熱量がシリコン基板12中に熱拡散する現象を回避し、V溝状コルゲート表面構造1241を有するヒータ18が生成する発熱量を効率よくかつ短時間でPt/Pd触媒層24に伝導させることができる結果、高感度かつ高速応答なガス燃焼動作および測温動作または補償動作が可能な接触燃焼式ガスセンサ10を実現できるようになるといった効果を奏する。
【0117】
なお、Siダイアフラム122のメサ状コルゲート表面構造に積層された状態でSiダイアフラム122のメサ状コルゲート表面構造に接触して形成された熱不良導体特性を有する酸化シリコン/五酸化タンタル14,16を有し、ガス検知素子30におけるヒータ18が、酸化シリコン/五酸化タンタル14,16のメサ状コルゲート表面構造に接触した状態で酸化シリコン/五酸化タンタル14,16上に積層されて形成されることが望ましい。すなわち、V溝状コルゲート表面構造1241よりも更に大きな表面積を有するメサ状コルゲート表面構造を有し熱不良導体特性を有する酸化シリコン/五酸化タンタル14,16を設けることにより、ヒータ18が生成する発熱量がシリコン基板12中に熱拡散する現象を回避し、メサ状コルゲート表面構造を有するヒータ18が生成する発熱量を更に効率よくかつ短時間でPt/Pd触媒層24に伝導させることができる結果、高感度かつ高速応答なガス燃焼動作および測温動作または補償動作が可能な接触燃焼式ガスセンサ10を実現できるようになるといった効果を奏する。
【0118】
ここで、ガス検知素子30におけるヒータ18は、補償素子321,322,323におけるヒータ18と同一の抵抗材料を用いて同一形状に形成されている。これにより、ガス検知素子30と補償素子321,322,323とでホイートストーンブリッジ(後述)を構成した場合に、精度良く抵抗バランスをとることができ、その結果、ガスの検知精度を向上させることができる。
【0119】
具体的には、白金(元素記号:Pt)の薄膜を九十九折り(ジグザグ)形状に形成している。以降、Ptヒータ18と総称することにする。なお、ヒータ材料としては、Ptの他に、抵抗温度係数が大きく、高温まで熱的に安定な金属または化合物であるルテニウム(元素記号:Ru)の酸化物(RuO2)やハフニウム(元素記号:Hf)の酸化物(HfO2)等を用いることも可能である。
【0120】
これにより、ガス検知素子30と補償素子321,322,323とを用いたブリッジ回路を有する高精度のガス検出回路40を実現することができるようになるといった効果を奏する。また化学的に安定な白金をPtヒータ18に用いることにより、長期的に高い安定性、再現性および信頼性を有する接触燃焼式ガスセンサ10を実現できるようになるといった効果を奏する。
【0121】
本実施形態では、ガス検知素子30における熱伝導層22が、アルミニウム(元素記号:Al)の酸化物(Al2O3;アルミナ)を用いて形成されている点に特徴を有している。以降、熱伝導層22をアルミナ層22で代表することにする。
【0122】
アルミナ層22の均等物としては、タンタル(元素記号:Ta)の酸化物(Ta2O5)、チタン(元素記号:Ti)の酸化物(TiO2)、ジルコニウム(元素記号:Zr)の酸化物(ZrO2)、タングステン酸化物、スズ酸化物、亜鉛酸化物等の陽極酸化皮膜を形成できる金属を含む均等物ならば特に限定されることなく用いることができる。
【0123】
以上説明したように、ガス検知素子30の実施形態によれば、V溝状コルゲート表面構造1241を有するアルミナ層22とV溝状コルゲート表面構造1241を有するPtヒータ18との間で十分な膜密着強度を実現でき、Ptヒータ18が加熱状態になった際に発生する熱応力に対するアルミナ層22の応力破壊耐性を実現でき、センサのガス検知感度の初期特性を経時的に維持できる結果、長期的に高い安定性、再現性および信頼性を有する接触燃焼式ガスセンサ10を実現できるようになるといった効果を奏する。
【0124】
V溝状コルゲート表面構造1241を有するアルミナ層22は、蒸着処理やスパッタ処理によって形成される薄膜に比べて熱容量を小さくでき、かつ、アルミナ層22の表面積を実効的に拡大することに大きく寄与するといった効果を奏する。
【0125】
すなわち、可燃性ガスの燃焼に寄与するアルミナ層22の表面積を実効的に拡大することができる結果、十分なガス検知感度を実現することができるようになるといった効果を奏する。
【0126】
更に、V溝状コルゲート表面構造1241により、可燃性ガスの燃焼に寄与するアルミナ層22の表面積を実効的に拡大することができる結果、大気中を浮遊するゴミや油粒子等の浮遊汚染粒子がアルミナ層22の表面に付着した場合であっても、ガス検知感度の急激な劣化が発生する現象を回避して汚染耐性を向上できる結果、長期的に高い安定性、再現性および信頼性を有する接触燃焼式ガスセンサ10を実現できるようになるといった効果を奏する。
【0127】
また、V溝状コルゲート表面構造1241を有するアルミナ層22は、大気中を浮遊するゴミや油粒子等の浮遊汚染粒子から触媒として作用するPt/Pd触媒層24を保護し白金またはパラジウムの触媒機能の劣化を回避することができる結果、接触燃焼式ガスセンサ10のガス検知感度について長期的に高い安定性、再現性および信頼性を有する接触燃焼式ガスセンサ10を実現できるようになるといった効果を奏する。
【0128】
更に、V溝状コルゲート表面構造1241を有するアルミナ層22は、蒸着処理やスパッタ処理によって形成される薄膜に比べてアルミナ層22に発生する熱応力を緩和しやすい特性を有し、製造途中での熱処理中にシリコン基板12と薄膜間の熱膨張率の差に起因する膜剥がれ現象や、接触燃焼式ガスセンサ10の間欠駆動時に発生し易いヒートサイクルに起因するアルミナ層22の応力破壊現象を回避して応力破壊耐性を向上させることができるようになるといった効果を奏する。
【0129】
続いて、補償素子の実施形態を説明する。
【0130】
本補償素子321,322,323は、図1に示すように、ガス検知素子30に隣接してV溝状コルゲート表面構造1241上に形成され可燃性ガスの燃焼を促すためのPtヒータ18と、Ptヒータ18に熱的に積層されて設けられた熱良導体である熱伝導層22を有している。
【0131】
この場合、V溝状コルゲート表面構造1241上に、シリコン基板12上に積層されて形成された熱不良導体特性を有する酸化シリコン/五酸化タンタル14,16が形成されている。
【0132】
補償素子321,322,323におけるPtヒータ18は、酸化シリコン/五酸化タンタル14,16に接触した状態で、シリコン基板12(Siダイアフラム122)のV溝状コルゲート表面構造1241を踏襲するように酸化シリコン/五酸化タンタル14,16上に積層されて形成されている。
【0133】
すなわち、V溝状コルゲート表面構造1241上に熱不良導体特性を有する酸化シリコン14とV溝状コルゲート表面構造1241を有する五酸化タンタル16との積層を設けることにより、Ptヒータ18が生成する発熱量がシリコン基板12中に熱拡散する現象を回避し、V溝状コルゲート表面構造1241を有するPtヒータ18が生成する発熱量を効率よくかつ短時間でPt/Pd触媒層24に伝導させることができる結果、高感度かつ高速応答な補償動作が可能な接触燃焼式ガスセンサ10を実現できるようになるといった効果を奏する。
【0134】
補償素子321,322,323におけるPtヒータ18は、ガス検知素子30におけるPtヒータ18と同一の抵抗材料を用いて同一形状に形成されている。
【0135】
具体的には、白金(Pt)の薄膜を九十九折り(ジグザグ)形状に形成している。以降、Ptヒータ18をと総称することにする。なお、ヒータ材料としては、Ptの他に、ルテニウム(元素記号:Ru)の酸化物(RuO2)やハフニウム(元素記号:Hf)の酸化物(HfO2)等を用いることも可能である。
【0136】
これにより、ガス検知素子30と補償素子321,322,323とを用いたブリッジ回路を有する高精度のガス検出回路40を容易に実現することができるようになるといった効果を奏する。
【0137】
また、化学的に安定な白金をPtヒータ18に用いることにより、長期的に高い安定性、再現性および信頼性を有する接触燃焼式ガスセンサ10を実現できるようになるといった効果を奏する。
【0138】
これにより、ガス検知素子30と補償素子321,322,323とを用いたブリッジ回路を有する高精度のガス検出回路40を実現することができるようになるといった効果を奏する。化学的に安定な白金をPtヒータ18に用いることにより、長期的に高い安定性、再現性および信頼性を有する接触燃焼式ガスセンサ10を実現できるようになるといった効果を奏する。
【0139】
本実施形態では、補償素子321,322,323における熱伝導層22が、アルミナ層22で形成されている。
【0140】
アルミナ層22の均等物としては、Taの酸化物(五酸化タンタル、Ta2O5)、Tiの酸化物(TiO2)、Zrの酸化物(ZrO2)、タングステン酸化物、スズ酸化物、亜鉛酸化物等の陽極酸化皮膜を形成できる金属を含む均等物ならば特に限定されることなく用いることができる。
【0141】
続いて、ガス検知素子30および補償素子321,322,323に共通に設けられる構成要素の実施形態を説明する。
【0142】
また、本実施形態の接触燃焼式ガスセンサ10は、酸化シリコン14を介したシリコン基板12側(図1に示す裏側)に、ガス検知素子30におけるPtヒータ18の発熱量によるガス検知素子30内部の温度分布を均一化するための均熱体26が形成されている。
【0143】
すなわち、均熱体26を用いてガス検知素子30内部の温度分布を均一化することにより、高い安定性、再現性および信頼性を有するガス燃焼動作および測温動作が可能なガス検知素子30を実現できるようになるといった効果を奏する。
【0144】
同様の主旨で、酸化膜を介したシリコン基板12の裏面側に、補償素子321,322,323におけるPtヒータ18の発熱量による補償素子321,322,323内部の温度分布を均一化するための均熱体26が形成されている。
【0145】
ガス検知素子30における均熱体26と補償素子321,322,323における均熱体26は、シリコン基板12の裏面側をエッチング処理してSiダイアフラム122を形成する際に、Siの異方性エッチング処理を実行することにより、メサ形状の均熱体26をSiダイアフラム122と一体化した状態で形成することができる。なお、Siダイアフラム122を形成した後で、裏面のSiダイアフラム122にAl等の金属層を形成して均熱体26とすることも可能である。
【0146】
すなわち、均熱体26を用いて補償素子321,322,323内部の温度分布を均一化することにより、高い安定性、再現性および信頼性を有する補償動作が可能な補償素子321,322,323を実現できるようになるといった効果を奏する。
【0147】
なお、ガス検知素子30における均熱体26と補償素子321,322,323における均熱体26とを共通の均熱体26によって簡便に牽制することも可能であって、この場合も同様の効果を奏する。
【0148】
また本実施形態では、図1に示すように、ガス検知素子30におけるPtヒータ18の発熱量または補償素子321,322,323におけるPtヒータ18の発熱量によってシリコン基板12内に発生する熱応力を緩和するための熱応力緩和凹部341,342,343,344(図2参照)を、ガス検知素子30または補償素子321,322,323の少なくとも一方の周辺に形成している。
【0149】
具体的には、ガス検知素子30におけるPtヒータ18および補償素子321,322,323におけるPtヒータ18をダイアフラム122上に形成する場合、熱応力緩和凹部341,342,343,344として、ダイアフラム122を上下に貫通するように形成された貫通孔341,342,343,344を用いることが望ましい。
【0150】
すなわち、半導体プロセスを用いて作成が容易な貫通孔341,342,343,344を設けてガス検知素子30内や補償素子321,322,323内に発生する熱応力を緩和することにより、熱応力に起因する膜剥がれ現象や、接触燃焼式ガスセンサ10の間欠駆動時に発生し易いヒートサイクルに起因するガス検知素子30や補償素子321,322,323の応力破壊現象を回避して応力破壊耐性を向上させることができるようになるといった効果を奏する。
【0151】
すなわち、Ptヒータ18が加熱状態になった際に発生する熱応力に対する応力破壊耐性を実現でき、センサのガス検知感度の初期特性を経時的に維持できる結果、長期的に高い安定性、再現性および信頼性を有する接触燃焼式ガスセンサ10を実現できるようになるといった効果を奏する。
【0152】
以上説明したように、本接触燃焼式ガスセンサ10によれば、シリコン基板12よりも実効的に熱容量の小さいSiダイアフラム122上にPtヒータ18を設けることにより、Ptヒータ18が生成する発熱量がシリコン基板12中に熱拡散する現象を回避できる結果、V溝状コルゲート表面構造1241を有するPtヒータ18が生成する発熱量を効率よくかつ短時間でPt/Pd触媒層24に伝導させることができる結果、高感度かつ高速応答なガス燃焼動作および測温動作が可能な接触燃焼式ガスセンサ10を実現できるようになるといった効果を奏する。
【0153】
更に、V溝状コルゲート表面構造1241を有し熱良導体である熱伝導層22を設けることにより、V溝状コルゲート表面構造1241を有するPtヒータ18が生成する発熱量を効率よくかつ短時間でPt/Pd触媒層24に伝導させることができる結果、高感度かつ高速応答なガス燃焼動作および測温動作が可能な接触燃焼式ガスセンサ10を実現できるようになるといった効果を奏する。
【0154】
また、V溝状コルゲート表面構造1241を有する熱伝導層22とV溝状コルゲート表面構造1241を有するPtヒータ18との間で十分な膜密着強度を実現でき、Ptヒータ18が加熱状態になった際に発生する熱応力に対する熱伝導層22の応力破壊耐性を実現でき、センサのガス検知感度の初期特性を経時的に維持できる結果、長期的に高い安定性、再現性および信頼性を有する接触燃焼式ガスセンサ10を実現できるようになるといった効果を奏する。
【0155】
V溝状コルゲート表面構造1241を有する熱伝導層22は、蒸着処理やスパッタ処理によって形成される薄膜に比べて熱容量を小さくでき、かつ、熱伝導層22の表面積を実効的に拡大することに大きく寄与するといった効果を奏する。
【0156】
すなわち、可燃性ガスの燃焼に寄与する熱伝導層22の表面積を実効的に拡大することができる結果、十分なガス検知感度を実現することができるようになるといった効果を奏する。
【0157】
更に、V溝状コルゲート表面構造1241により、可燃性ガスの燃焼に寄与する熱伝導層22の表面積を実効的に拡大することができる結果、大気中を浮遊するゴミや油粒子等の浮遊汚染粒子が熱伝導層22の表面に付着した場合であっても、ガス検知感度の急激な劣化が発生する現象を回避して汚染耐性を向上できる結果、長期的に高い安定性、再現性および信頼性を有する接触燃焼式ガスセンサ10を実現できるようになるといった効果を奏する。
【0158】
また、V溝状コルゲート表面構造1241を有する熱伝導層22は、大気中を浮遊するゴミや油粒子等の浮遊汚染粒子から触媒として作用するPt/Pd触媒層24を保護し白金またはパラジウムの触媒機能の劣化を回避することができる結果、接触燃焼式ガスセンサ10のガス検知感度について長期的に高い安定性、再現性および信頼性を有する接触燃焼式ガスセンサ10を実現できるようになるといった効果を奏する。
【0159】
更に、V溝状コルゲート表面構造1241を有する熱伝導層22は、蒸着処理やスパッタ処理によって形成される薄膜に比べて熱伝導層22に発生する熱応力を緩和しやすい特性を有し、製造途中での熱処理中にシリコン基板12と薄膜間の熱膨張率の差に起因する膜剥がれ現象や、接触燃焼式ガスセンサ10の間欠駆動時に発生し易いヒートサイクルに起因する熱伝導層22の応力破壊現象を回避して応力破壊耐性を向上させることができるようになるといった効果を奏する。
【0160】
更に、V溝状コルゲート表面構造1241を有し可燃性ガスの燃焼に対して触媒として作用するPt/Pd触媒層24を設けることにより、十分なガス検知感度を実現でき、更に、長期的に高い安定性、再現性および信頼性を有する接触燃焼式ガスセンサ10を実現できるようになるといった効果を奏する。
【0161】
次に、図面に基づき、接触燃焼式ガスセンサ10の製造方法の一実施形態を説明する。
【0162】
図3は、図1の接触燃焼式ガスセンサ10の製造方法の実施形態を説明するためのプロセス図である。なお、接触燃焼式ガスセンサ10の説明において既に記述したものと同一の部分については、同一符号を付し、重複した説明は省略する。
【0163】
本製造方法は、誘電体膜形成工程、表面形成工程、ヒータ形成工程、熱伝導層形成工程、陽極酸化皮膜形成工程、触媒層形成工程、Siダイアフラム形成工程、均熱体形成工程、熱応力緩和凹部形成工程、ダイアフラム形成工程を有している。
【0164】
誘電体膜形成工程は、シリコン基板12上に酸化シリコン14と五酸化タンタル16をこの順番で形成する工程である。酸化シリコン14は、前述したように、シリコン基板12を熱酸化することによって形成することができる。
【0165】
表面形成工程は、誘電体膜形成工程とコルゲート表面形成工程を含んでいる。誘電体膜形成工程は、誘電体膜形成工程に続いて、酸化シリコン/五酸化タンタル14,16の所定部分を用いてV溝状コルゲート表面構造1241を形成する工程である。一方コルゲート表面形成工程は、異方性エッチング処理を実行してV溝状コルゲート表面構造1241を形成する工程である。
【0166】
ヒータ形成工程は、表面形成工程に続いて、補償素子321,322,323におけるPtヒータ18をV溝状コルゲート表面構造1241上に積層された状態で形成する工程と、ガス検知素子30におけるPtヒータ18をV溝状コルゲート表面構造1241上に積層された状態で形成する工程を含んでいる。
【0167】
熱伝導層形成工程は、ヒータ形成工程に続いて、ガス検知素子30におけるアルミナ層22と補償素子321,322,323におけるアルミナ層22を形成する工程である。
【0168】
触媒層形成工程は、熱伝導層形成工程に続いて、ガス検知素子30のアルミナ層22に接触した状態でPt/Pd触媒層24を積層形成する工程である。
【0169】
Siダイアフラム形成工程は、均熱体形成工程に先だって実行される工程であって、Siダイアフラム122を形成する工程である。
均熱体形成工程は、Siダイアフラム形成工程の後、ガス検知素子30または補償素子32 1 ,32 2 ,32 3 における酸化シリコン/五酸化タンタル14,16を介したシリコン基板12側に、均熱体26を形成する工程である。
熱応力緩和凹部形成工程は、貫通孔34 1 ,34 2 ,34 3 ,34 4 をガス検知素子30または補償素子32 1 ,32 2 ,32 3 の各々の周辺に形成する工程である。
【0170】
次に、図面に基づき、接触燃焼式ガスセンサ10を用いたガス検出回路の一実施形態を説明する。
図4は、図1の接触燃焼式ガスセンサ10をホイートストーンブリッジに組み込む場合のガス検出回路の回路図である。なお、接触燃焼式ガスセンサ10または接触燃焼式ガスセンサ10の製造方法の実施形態の説明において既に記述したものと同一の部分については、同一符号を付し、重複した説明は省略する。
図4に示すように、ガス検出回路40は、3個の補償素子32 1 ,32 2 ,32 3 とガス検知素子30とを用いて構成したホイートストーンブリッジに、電源36と電流検出手段38とをPtパッド20,…,20(20 1 ,20 2 ,20 3 ,20 4 )を介して組み込んだ回路構成を有している。
電源36の高電位側(すなわち、電源電位V cc 側)は、ガス検知素子30のPtパッド20 1 、補償素子32 3 のPtパッド20 6 とに接続され、低電位側(すなわち、接地電位側)は、補償素子32 2 のPtパッド20 4 と補償素子32 1 のPtパッド20 3 に接続されている。
電流検出手段38は、ガス検知素子30および補償素子32 1 の共通のPtパッド20 2 と補償素子32 2 ,32 3 の共通のPtパッド20 5 との間に接続されている。
本ガス検出回路40においては、ガス検知素子30と補償素子32 1 ,32 2 ,32 3 とで可燃性ガスを燃焼する際に発生する燃焼熱に起因して発生するガス検知素子30の抵抗値変化、および補償素子32 1 ,32 2 ,32 3 の抵抗値変化をホイートストーンブリッジとこれに接続された電流検出手段38に流れる電流値の変化によって検出することにより、可燃性ガスを検量することができる。
【0171】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、V溝状コルゲート表面構造、または、V溝状コルゲート表面構造よりも更に大きな表面積を有するメサ状コルゲート表面構造により、接触燃焼式ガスセンサを構成する各層も同様なV溝状コルゲート表面構造またはメサ状コルゲート表面構造を有するようにできるといった効果を奏する。
【0172】
これにより、V溝状またはメサ状コルゲート表面構造有する各層間で十分な膜密着強度を実現でき、ヒータが加熱状態になった際に発生する熱応力に対する積層構造の応力破壊耐性を実現でき、センサのガス検知感度の初期特性を経時的に維持できる結果、長期的に高い安定性、再現性および信頼性を有する接触燃焼式ガスセンサを実現できるようになるといった効果を奏する。
【0173】
V溝状またはメサ状コルゲート表面構造を有する積層構造は、蒸着処理やスパッタ処理によって形成される薄膜に比べて熱容量を小さくでき、かつ、積層構造の表面積を実効的に拡大することに大きく寄与するといった効果を奏する。
【0174】
すなわち、可燃性ガスの燃焼に寄与する積層構造の表面積を実効的に拡大することができる結果、十分なガス検知感度を実現することができるようになるといった効果を奏する。
【0175】
更に、V溝状またはメサ状コルゲート表面構造を有する積層構造により、可燃性ガスの燃焼に寄与する積層構造の表面積を実効的に拡大することができる結果、大気中を浮遊するゴミや油粒子等の浮遊汚染粒子が積層構造の表面に付着した場合であっても、ガス検知感度の急激な劣化が発生する現象を回避して汚染耐性を向上できる結果、長期的に高い安定性、再現性および信頼性を有する接触燃焼式ガスセンサを実現できるようになるといった効果を奏する。
【0176】
また、V溝状またはメサ状コルゲート表面構造を有する積層構造は、大気中を浮遊するゴミや油粒子等の浮遊汚染粒子から触媒として作用する触媒層を保護し白金またはパラジウムの触媒機能の劣化を回避することができる結果、接触燃焼式ガスセンサのガス検知感度について長期的に高い安定性、再現性および信頼性を有する接触燃焼式ガスセンサを実現できるようになるといった効果を奏する。
【0177】
更に、V溝状またはメサ状コルゲート表面構造を有する積層構造は、蒸着処理やスパッタ処理によって形成される薄膜に比べて積層構造に発生する熱応力を緩和しやすい特性を有し、製造途中での熱処理中に基板と薄膜間の熱膨張率の差に起因する膜剥がれ現象や、接触燃焼式ガスセンサの間欠駆動時に発生し易いヒートサイクルに起因する積層構造の応力破壊現象を回避して応力破壊耐性を向上させることができるようになるといった効果を奏する。
【0178】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の効果に加えて、V溝状またはメサ状コルゲート表面構造を有する熱伝導層とV溝状またはメサ状コルゲート表面構造を有するヒータとの間で十分な膜密着強度を実現でき、ヒータが加熱状態になった際に発生する熱応力に対する熱伝導層の応力破壊耐性を実現でき、センサのガス検知感度の初期特性を経時的に維持できる結果、長期的に高い安定性、再現性および信頼性を有する接触燃焼式ガスセンサを実現できるようになるといった効果を奏する。
【0179】
V溝状またはメサ状コルゲート表面構造を有する熱伝導層は、蒸着処理やスパッタ処理によって形成される薄膜に比べて熱容量を小さくでき、かつ、熱伝導層の表面積を実効的に拡大することに大きく寄与するといった効果を奏する。
【0180】
すなわち、可燃性ガスの燃焼に寄与する熱伝導層の表面積を実効的に拡大することができる結果、十分なガス検知感度を実現することができるようになるといった効果を奏する。
【0181】
更に、V溝状またはメサ状コルゲート表面構造により、可燃性ガスの燃焼に寄与する熱伝導層の表面積を実効的に拡大することができる結果、大気中を浮遊するゴミや油粒子等の浮遊汚染粒子が熱伝導層の表面に付着した場合であっても、ガス検知感度の急激な劣化が発生する現象を回避して汚染耐性を向上できる結果、長期的に高い安定性、再現性および信頼性を有する接触燃焼式ガスセンサを実現できるようになるといった効果を奏する。
【0182】
また、V溝状またはメサ状コルゲート表面構造を有する熱伝導層は、大気中を浮遊するゴミや油粒子等の浮遊汚染粒子から触媒として作用する触媒層を保護し白金またはパラジウムの触媒機能の劣化を回避することができる結果、接触燃焼式ガスセンサのガス検知感度について長期的に高い安定性、再現性および信頼性を有する接触燃焼式ガスセンサを実現できるようになるといった効果を奏する。
【0183】
更に、V溝状またはメサ状コルゲート表面構造を有する熱伝導層は、蒸着処理やスパッタ処理によって形成される薄膜に比べて熱伝導層に発生する熱応力を緩和しやすい特性を有し、製造途中での熱処理中に基板と薄膜間の熱膨張率の差に起因する膜剥がれ現象や、接触燃焼式ガスセンサの間欠駆動時に発生し易いヒートサイクルに起因する熱伝導層の応力破壊現象を回避して応力破壊耐性を向上させることができるようになるといった効果を奏する。
【0184】
請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の効果に加えて、V溝状またはメサ状コルゲート表面構造を有し熱不良導体特性を有する誘電体膜を設けることにより、ヒータが生成する発熱量が基板12中に熱拡散する現象を回避し、V溝状またはメサ状コルゲート表面構造を有するヒータが生成する発熱量を効率よくかつ短時間で触媒層に伝導させることができる結果、高感度かつ高速応答なガス燃焼動作および測温動作または補償動作が可能な接触燃焼式ガスセンサ10を実現できるようになるといった効果を奏する。
【0185】
請求項4に記載の発明によれば、請求項3に記載の効果に加えて、V溝状またはメサ状コルゲート表面構造1241またはメサ状コルゲート表面構造上に熱良導体である熱伝導層を設けることにより、ヒータが生成する発熱量を効率よくかつ短時間で触媒層に伝導させることができる結果、高感度かつ高速応答な補償動作が可能な接触燃焼式ガスセンサを実現できるようになるといった効果を奏する。
【0186】
請求項5に記載の発明によれば、請求項4に記載の効果に加えて、V溝状またはメサ状コルゲート表面構造上に熱不良導体特性を有する誘電体膜を設けることにより、ヒータが生成する発熱量が基板12中に熱拡散する現象を回避し、ヒータが生成する発熱量を効率よくかつ短時間で触媒層に伝導させることができる結果、高感度かつ高速応答なガス燃焼動作および測温動作または補償動作が可能な接触燃焼式ガスセンサを実現できるようになるといった効果を奏する。
【0187】
請求項6に記載の発明によれば、基板よりも実効的に熱容量の小さいダイアフラム上にヒータを設けることにより、ヒータが生成する発熱量が基板中に熱拡散する現象を回避できる結果、V溝状またはメサ状コルゲート表面構造を有するヒータが生成する発熱量を効率よくかつ短時間で触媒層に伝導させることができる結果、高感度かつ高速応答なガス燃焼動作および測温動作が可能な接触燃焼式ガスセンサを実現できるようになるといった効果を奏する。
【0188】
更に、V溝状またはメサ状コルゲート表面構造を有し熱良導体である熱伝導層を設けることにより、V溝状またはメサ状コルゲート表面構造を有するヒータが生成する発熱量を効率よくかつ短時間で触媒層に伝導させることができる結果、高感度かつ高速応答なガス燃焼動作および測温動作が可能な接触燃焼式ガスセンサを実現できるようになるといった効果を奏する。
【0189】
また、V溝状またはメサ状コルゲート表面構造を有する熱伝導層とV溝状またはメサ状コルゲート表面構造を有するヒータとの間で十分な膜密着強度を実現でき、ヒータが加熱状態になった際に発生する熱応力に対する熱伝導層の応力破壊耐性を実現でき、センサのガス検知感度の初期特性を経時的に維持できる結果、長期的に高い安定性、再現性および信頼性を有する接触燃焼式ガスセンサを実現できるようになるといった効果を奏する。
【0190】
V溝状またはメサ状コルゲート表面構造を有する熱伝導層は、蒸着処理やスパッタ処理によって形成される薄膜に比べて熱容量を小さくでき、かつ、熱伝導層の表面積を実効的に拡大することに大きく寄与するといった効果を奏する。
【0191】
すなわち、可燃性ガスの燃焼に寄与する熱伝導層の表面積を実効的に拡大することができる結果、十分なガス検知感度を実現することができるようになるといった効果を奏する。
【0192】
更に、V溝状またはメサ状コルゲート表面構造により、可燃性ガスの燃焼に寄与する熱伝導層の表面積を実効的に拡大することができる結果、大気中を浮遊するゴミや油粒子等の浮遊汚染粒子が熱伝導層の表面に付着した場合であっても、ガス検知感度の急激な劣化が発生する現象を回避して汚染耐性を向上できる結果、長期的に高い安定性、再現性および信頼性を有する接触燃焼式ガスセンサを実現できるようになるといった効果を奏する。
【0193】
また、V溝状またはメサ状コルゲート表面構造を有する熱伝導層は、大気中を浮遊するゴミや油粒子等の浮遊汚染粒子から触媒として作用する触媒層を保護し白金またはパラジウムの触媒機能の劣化を回避することができる結果、接触燃焼式ガスセンサのガス検知感度について長期的に高い安定性、再現性および信頼性を有する接触燃焼式ガスセンサを実現できるようになるといった効果を奏する。
【0194】
更に、V溝状またはメサ状コルゲート表面構造を有する熱伝導層は、蒸着処理やスパッタ処理によって形成される薄膜に比べて熱伝導層に発生する熱応力を緩和しやすい特性を有し、製造途中での熱処理中に基板と薄膜間の熱膨張率の差に起因する膜剥がれ現象や、接触燃焼式ガスセンサの間欠駆動時に発生し易いヒートサイクルに起因する熱伝導層の応力破壊現象を回避して応力破壊耐性を向上させることができるようになるといった効果を奏する。
【0195】
更に、V溝状またはメサ状コルゲート表面構造を有し可燃性ガスの燃焼に対して触媒として作用する触媒層を設けることにより、十分なガス検知感度を実現でき、更に、長期的に高い安定性、再現性および信頼性を有する接触燃焼式ガスセンサを実現できるようになるといった効果を奏する。
【0196】
請求項7に記載の発明によれば、請求項6に記載の効果に加えて、V溝状またはメサ状コルゲート表面構造を有する熱伝導層とV溝状またはメサ状コルゲート表面構造を有するヒータとの間で十分な膜密着強度を実現でき、ヒータが加熱状態になった際に発生する熱応力に対する熱伝導層の応力破壊耐性を実現でき、センサのガス検知感度の初期特性を経時的に維持できる結果、長期的に高い安定性、再現性および信頼性を有する接触燃焼式ガスセンサを実現できるようになるといった効果を奏する。
【0197】
V溝状またはメサ状コルゲート表面構造を有する熱伝導層は、蒸着処理やスパッタ処理によって形成される薄膜に比べて熱容量を小さくでき、かつ、熱伝導層の表面積を実効的に拡大することに大きく寄与するといった効果を奏する。
【0198】
すなわち、可燃性ガスの燃焼に寄与する熱伝導層の表面積を実効的に拡大することができる結果、十分なガス検知感度を実現することができるようになるといった効果を奏する。
【0199】
更に、V溝状またはメサ状コルゲート表面構造により、可燃性ガスの燃焼に寄与する熱伝導層の表面積を実効的に拡大することができる結果、大気中を浮遊するゴミや油粒子等の浮遊汚染粒子が熱伝導層の表面に付着した場合であっても、ガス検知感度の急激な劣化が発生する現象を回避して汚染耐性を向上できる結果、長期的に高い安定性、再現性および信頼性を有する接触燃焼式ガスセンサを実現できるようになるといった効果を奏する。
【0200】
また、V溝状またはメサ状コルゲート表面構造を有する熱伝導層は、大気中を浮遊するゴミや油粒子等の浮遊汚染粒子から触媒として作用する触媒層を保護し白金またはパラジウムの触媒機能の劣化を回避することができる結果、接触燃焼式ガスセンサのガス検知感度について長期的に高い安定性、再現性および信頼性を有する接触燃焼式ガスセンサを実現できるようになるといった効果を奏する。
【0201】
更に、V溝状またはメサ状コルゲート表面構造を有する熱伝導層は、蒸着処理やスパッタ処理によって形成される薄膜に比べて熱伝導層に発生する熱応力を緩和しやすい特性を有し、製造途中での熱処理中に基板と薄膜間の熱膨張率の差に起因する膜剥がれ現象や、接触燃焼式ガスセンサの間欠駆動時に発生し易いヒートサイクルに起因する熱伝導層の応力破壊現象を回避して応力破壊耐性を向上させることができるようになるといった効果を奏する。
【0202】
請求項8に記載の発明によれば、請求項7に記載の効果に加えて、V溝状またはメサ状コルゲート表面構造を有し熱不良導体特性を有する誘電体膜を設けることにより、ヒータが生成する発熱量が基板12中に熱拡散する現象を回避し、V溝状またはメサ状コルゲート表面構造を有するヒータが生成する発熱量を効率よくかつ短時間で触媒層に伝導させることができる結果、高感度かつ高速応答なガス燃焼動作および測温動作または補償動作が可能な接触燃焼式ガスセンサ10を実現できるようになるといった効果を奏する。
【0203】
請求項9に記載の発明によれば、請求項7または8に記載に記載の効果と同様の効果を奏する。
【0204】
請求項10に記載の発明によれば、請求項9に記載の効果に加えて、V溝状またはメサ状コルゲート表面構造上に熱不良導体特性を有する誘電体膜を設けることにより、ヒータが生成する発熱量が基板12中に熱拡散する現象を回避し、ヒータが生成する発熱量を効率よくかつ短時間で触媒層に伝導させることができる結果、高感度かつ高速応答なガス燃焼動作および測温動作または補償動作が可能な接触燃焼式ガスセンサを実現できるようになるといった効果を奏する。
【0205】
請求項11に記載の発明によれば、請求項4,5,9または10に記載の効果に加えて、熱不良導体特性を有する酸化物を設けることにより、ヒータが生成する発熱量が基板中に熱拡散する現象を回避し、ヒータが生成する発熱量を効率よくかつ短時間で触媒層に伝導させることができる結果、高感度かつ高速応答なガス燃焼動作および測温動作または補償動作が可能な接触燃焼式ガスセンサを実現できるようになるといった効果を奏する。
【0206】
請求項12に記載の発明によれば、請求項11に記載の効果に加えて、熱不良導体特性および耐環境性を有するシリコン酸化物を設けることにより、ヒータが生成する発熱量が基板中に熱拡散する現象を回避し、ヒータが生成する発熱量を効率よくかつ短時間で触媒層に伝導させることができる結果、高感度かつ高速応答なガス燃焼動作および測温動作または補償動作が可能な接触燃焼式ガスセンサを実現できるようになるといった効果を奏する。
【0207】
請求項13に記載の発明によれば、請求項12に記載の効果に加えて、熱不良導体特性を有するシリコン酸化物と五酸化タンタル16との積層を設けることにより、ヒータが生成する発熱量が基板中に熱拡散する現象を回避し、V溝状またはメサ状コルゲート表面構造を有するヒータが生成する発熱量を効率よくかつ短時間で触媒層に伝導させることができる結果、高感度かつ高速応答なガス燃焼動作および測温動作が可能な接触燃焼式ガスセンサを実現できるようになるといった効果を奏する。
【0208】
請求項14に記載の発明によれば、請求項12に記載の効果に加えて、V溝状またはメサ状コルゲート表面構造上に熱不良導体特性を有するシリコン酸化物とV溝状またはメサ状コルゲート表面構造を有する五酸化タンタル16との積層を設けることにより、ヒータが生成する発熱量が基板中に熱拡散する現象を回避し、V溝状またはメサ状コルゲート表面構造を有するヒータが生成する発熱量を効率よくかつ短時間で触媒層に伝導させることができる結果、高感度かつ高速応答な補償動作が可能な接触燃焼式ガスセンサを実現できるようになるといった効果を奏する。
【0209】
請求項15に記載の発明によれば、請求項13または14に記載の効果に加えて、ガス検知素子と補償素子とを用いたブリッジ回路を有する高精度のガス検出回路を実現することができるようになるといった効果を奏する。
【0210】
請求項16に記載の発明によれば、請求項15に記載の効果に加えて、化学的に安定な白金をヒータに用いることにより、長期的に高い安定性、再現性および信頼性を有する接触燃焼式ガスセンサを実現できるようになるといった効果を奏する。
【0211】
請求項17に記載の発明によれば、請求項11ないし16のいずれか一項に記載の効果に加えて、均熱体26を用いてガス検知素子内部の温度分布を均一化することにより、高い安定性、再現性および信頼性を有するガス燃焼動作および測温動作が可能なガス検知素子を実現できるようになるといった効果を奏する。
【0212】
請求項18に記載の発明によれば、請求項17に記載の効果に加えて、均熱体26を用いて補償素子内部の温度分布を均一化することにより、高い安定性、再現性および信頼性を有する補償動作が可能な補償素子を実現できるようになるといった効果を奏する。
【0213】
請求項19に記載の発明によれば、請求項11ないし18のいずれか一項に記載の効果に加えて、熱応力緩和凹部を設けてガス検知素子内や補償素子内に発生する熱応力を緩和することにより、熱応力に起因する膜剥がれ現象や、接触燃焼式ガスセンサの間欠駆動時に発生し易いヒートサイクルに起因するガス検知素子や補償素子の応力破壊現象を回避して応力破壊耐性を向上させることができるようになるといった効果を奏する。
【0214】
すなわち、ヒータが加熱状態になった際に発生する熱応力に対する応力破壊耐性を実現でき、センサのガス検知感度の初期特性を経時的に維持できる結果、長期的に高い安定性、再現性および信頼性を有する接触燃焼式ガスセンサを実現できるようになるといった効果を奏する。
【0215】
請求項20に記載の発明によれば、請求項19に記載の効果に加えて、半導体プロセスを用いて作成が容易な貫通孔を設けてガス検知素子内や補償素子内に発生する熱応力を緩和することにより、熱応力に起因する膜剥がれ現象や、接触燃焼式ガスセンサの間欠駆動時に発生し易いヒートサイクルに起因するガス検知素子や補償素子の応力破壊現象を回避して応力破壊耐性を向上させることができるようになるといった効果を奏する。
【0216】
すなわち、ヒータが加熱状態になった際に発生する熱応力に対する応力破壊耐性を実現でき、センサのガス検知感度の初期特性を経時的に維持できる結果、長期的に高い安定性、再現性および信頼性を有する接触燃焼式ガスセンサを実現できるようになるといった効果を奏する。
【0217】
請求項21に記載の発明によれば、請求項5に記載の効果と同様の効果を奏する。
【0218】
請求項22に記載の発明によれば、請求項10に記載の効果と同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の接触燃焼式ガスセンサの実施形態を説明するための断面図である。
【図2】図1の接触燃焼式ガスセンサの上面図である。
【図3】図1の接触燃焼式ガスセンサの製造方法の実施形態を説明するためのプロセス図である。
【図4】図1の接触燃焼式ガスセンサをホイートストーンブリッジに組み込む場合のガス検出回路の回路図である。
【図5】従来の接触燃焼式ガスセンサを説明するための断面図である。
【符号の説明】
10 接触燃焼式ガスセンサ
12 基板
122 ダイアフラム
124 V溝
1241 V溝状コルゲート表面構造
14 誘電体膜
16 五酸化タンタル
18 ヒータ
20 白金パッド
201,202,203,204 白金パッド
22 熱伝導層
24 触媒層
26 均熱体
30 ガス検知素子
321,322,323 補償素子
341,342,343,344 熱応力緩和凹部(貫通孔)
36電源
38 電流検出手段
40 ガス検出回路

Claims (22)

  1. 基板上にガス検知素子と補償素子とが隣接して設けられ、ガス検知素子と補償素子とで可燃性ガスを燃焼する際に発生する燃焼熱を検出することによって可燃性ガスを検量する接触燃焼式ガスセンサであって、
    前記基板は、所定の結晶方位を有するシリコン単結晶から成り、
    当該シリコン単結晶から成る基板の表面は、異方性エッチング処理されて作成されガスが燃焼する界面として、V溝が複数集積されて成るV溝状、または、メサ溝が複数集積されて成るメサ状のコルゲート表面構造を有する、
    ことを特徴とする接触燃焼式ガスセンサ。
  2. 前記ガス検知素子は、
    前記基板のV溝状またはメサ状コルゲート表面構造上に担持され前記可燃性ガスの燃焼を促すためのヒータと、当該ヒータのV溝状またはメサ状コルゲート表面構造上に熱的に接触して担持された熱良導体である熱伝導層と、当該熱伝導層のV溝状またはメサ状コルゲート表面構造を介して伝導された当該ヒータの発熱量に応じて発熱して前記可燃性ガスの燃焼に対して触媒として作用する触媒層を有する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の接触燃焼式ガスセンサ。
  3. 前記基板のV溝状またはメサ状コルゲート表面構造に担持された状態で当該基板のV溝状またはメサ状コルゲート表面構造に接触した状態で形成された熱不良導体特性を有する誘電体膜を有し、
    前記ガス検知素子におけるヒータが、前記誘電体膜のV溝状またはメサ状コルゲート表面構造に接触した状態で当該誘電体膜上に担持されて形成されている、
    ことを特徴とする請求項2に記載の接触燃焼式ガスセンサ。
  4. 前記補償素子は、
    前記ガス検知素子に隣接して前記V溝状またはメサ状コルゲート表面構造上に形成され前記可燃性ガスの燃焼を促すためのヒータと、当該ヒータに熱的に担持されて設けられた熱良導体である熱伝導層を有する、
    ことを特徴とする請求項3に記載の接触燃焼式ガスセンサ。
  5. 前記補償素子におけるヒータが、前記誘電体膜に接触した状態で当該誘電体膜上に担持されて形成されている、
    ことを特徴とする請求項4に記載の接触燃焼式ガスセンサ。
  6. 基板上にガス検知素子と補償素子とが隣接して設けられ、ガス検知素子と補償素子とで可燃性ガスを燃焼する際に発生する燃焼熱を検出することによって可燃性ガスを検量する接触燃焼式ガスセンサであって、
    前記基板は、所定の厚さで形成されたダイアフラムを有し、
    前記ダイアフラムは、所定の結晶方位を有するシリコン単結晶から成り、
    当該シリコン単結晶から成るダイアフラムの表面は、異方性エッチング処理されて作成されガスが燃焼する界面として、V溝が複数集積されて成るV溝状またはメサ溝が複数集積されて成るメサ状コルゲート表面構造を有する、
    ことを特徴とする接触燃焼式ガスセンサ。
  7. 前記ガス検知素子は、
    前記ダイアフラムのV溝状またはメサ状コルゲート表面構造上に担持され前記可燃性ガスの燃焼を促すためのヒータと、当該ヒータのV溝状コルゲート表面構造上に熱的に接触して担持された熱良導体である熱伝導層と、当該熱伝導層のV溝状またはメサ状コルゲート表面構造を介して伝導された当該ヒータの発熱量に応じて発熱して前記可燃性ガスの燃焼に対して触媒として作用する触媒層を有する、
    ことを特徴とする請求項6に記載の接触燃焼式ガスセンサ。
  8. 前記ダイアフラムのV溝状またはメサ状コルゲート表面構造に担持された状態で当該ダイアフラムのV溝状またはメサ状コルゲート表面構造に接触して形成された熱不良導体特性を有する誘電体膜を有し、
    前記ガス検知素子におけるヒータが、前記誘電体膜のV溝状またはメサ状コルゲート表面構造に接触した状態で当該誘電体膜上に担持されて形成されている、
    ことを特徴とする請求項7に記載の接触燃焼式ガスセンサ。
  9. 前記補償素子は、
    前記ガス検知素子に隣接して前記V溝状またはメサ状コルゲート表面構造上に形成され前記可燃性ガスの燃焼を促すためのヒータと、当該ヒータに熱的に担持されて設けられた熱良導体である熱伝導層を有する、
    ことを特徴とする請求項7または8に記載の接触燃焼式ガスセンサ。
  10. 前記補償素子におけるヒータが、前記誘電体膜に接触した状態で当該誘電体膜上に担持されて形成されている、
    ことを特徴とする請求項9に記載の接触燃焼式ガスセンサ。
  11. 前記誘電体膜は酸化物を用いて形成され、
    前記ガス検知素子におけるヒータと前記補償素子におけるヒータが、前記酸化物に接触した状態で当該酸化物上に担持されて形成されている、
    ことを特徴とする請求項4,5,9または10に記載の接触燃焼式ガスセンサ。
  12. 前記酸化物がシリコン酸化物である、
    ことを特徴とする請求項11に記載の接触燃焼式ガスセンサ。
  13. 前記誘電体膜は、前記酸化物と、当該酸化物のV溝状またはメサ状コルゲート表面構造に接触した状態で当該酸化物のV溝状またはメサ状コルゲート表面構造上に担持されて形成された五酸化タンタルとを有し、
    前記ガス検知素子におけるヒータのV溝状またはメサ状コルゲート表面構造が、前記五酸化タンタルに接触した状態で当該五酸化タンタルのV溝状またはメサ状コルゲート表面構造上に担持されて形成されている、
    ことを特徴とする請求項12に記載の接触燃焼式ガスセンサ。
  14. 前記誘電体膜は、前記酸化物と、当該酸化物の前記V溝状またはメサ状コルゲート表面構造に接触した状態で当該酸化物のV溝状またはメサ状コルゲート表面構造上に担持されて形成された五酸化タンタルとを有し、
    前記補償素子におけるヒータが、前記五酸化タンタルに接触した状態で当該酸化物のV溝状コルゲート表面構造またはメサ状コルゲート表面構造上に担持されて形成されている、
    ことを特徴とする請求項12に記載の接触燃焼式ガスセンサ。
  15. 前記ガス検知素子におけるヒータと前記補償素子におけるヒータとは、同一の抵抗材料を用いて同一形状に形成されている、
    ことを特徴とする請求項13または14に記載の接触燃焼式ガスセンサ。
  16. 前記ヒータは、白金を用いて形成されている、
    ことを特徴とする請求項15に記載の接触燃焼式ガスセンサ。
  17. 前記誘電体膜を介して前記ヒータと反対側に、前記ガス検知素子におけるヒータの発熱量による前記ガス検知素子内部の温度分布を均一化するための均熱体を形成する、
    ことを特徴とする請求項11ないし16のいずれか一項に記載の接触燃焼式ガスセンサ。
  18. 前記誘電体膜を介して前記ヒータと反対側に、前記補償素子におけるヒータの発熱量による前記補償素子内部の温度分布を均一化するための均熱体を形成する、
    ことを特徴とする請求項17に記載の接触燃焼式ガスセンサ。
  19. 前記ガス検知素子におけるヒータの発熱量または前記補償素子におけるヒータの発熱量によって前記基板内に発生する熱応力を緩和するための熱応力緩和凹部を当該ガス検知素子または当該補償素子の少なくとも一方の周辺に形成する、
    ことを特徴とする請求項11ないし18のいずれか一項に記載の接触燃焼式ガスセンサ。
  20. 前記ガス検知素子におけるヒータまたは前記補償素子におけるヒータを前記ダイアフラム上に形成する場合、前記熱応力緩和凹部は、当該ダイアフラムを上下に貫通するように形成された貫通孔である、
    ことを特徴とする請求項19に記載の接触燃焼式ガスセンサ。
  21. 請求項5に記載の前記接触燃焼式ガスセンサの製造方法であって、
    前記基板は、所定の結晶方位を有するシリコン単結晶から成り、
    当該シリコン単結晶から成る基板の表面に基板表面に対して異方性エッチング処理を実行して前記V溝状またはメサ状コルゲート表面構造を形成する工程を含む表面形成工程と、
    前記表面形成工程に続いて、前記V溝状またはメサ状コルゲート表面構造を含む前記基板上に前記誘電体膜を担持して形成する誘電体膜形成工程と、
    前記表面形成工程に続いて、前記補償素子におけるヒータを前記V溝状またはメサ状コルゲート表面構造上に担持された状態で形成する工程と、前記ガス検知素子におけるヒータを前記V溝状またはメサ状コルゲート表面構造上に担持された状態で形成する工程を含むヒータ形成工程と、
    前記ヒータ形成工程に続いて、酸化物の陽極酸化皮膜を形成する工程を含み、前記ガス検知素子における熱伝導層と前記補償素子における熱伝導層を形成する熱伝導層形成工程と、
    前記陽極酸化皮膜形成工程に続いて、前記ガス検知素子の前記熱伝導層に接触した状態で前記触媒層を形成する触媒層形成工程を有する、
    ことを特徴とする接触燃焼式ガスセンサの製造方法。
  22. 請求項10に記載の前記接触燃焼式ガスセンサの製造方法であって、
    前記基板上に前記誘電体膜を形成する誘電体膜形成工程と、
    前記誘電体膜形成工程に続いて、前記誘電体膜の所定部分を用いて前記V溝状またはメサ状コルゲート表面構造を形成する前記V溝状コルゲート表面構造形成工程を含み、異方性エッチング処理を実行して前記V溝状またはメサ状コルゲート表面構造を形成する表面形成工程と、
    前記表面形成工程に続いて、前記補償素子におけるヒータを前記V溝状コルゲート表面構造上に担持された状態で形成する工程と、前記ガス検知素子におけるヒータを前記V溝状またはメサ状コルゲート表面構造上に担持された状態で形成する工程を含むヒータ形成工程と、
    前記ヒータ形成工程に続いて、酸化物の陽極酸化皮膜を形成する工程を含み、前記ガス検知素子における熱伝導層と前記補償素子における熱伝導層を形成する熱伝導層形成工程と、
    前記陽極酸化皮膜形成工程に続いて、前記ガス検知素子の前記熱伝導層に接触した状態で前記触媒層を形成する触媒層形成工程を有し、
    これらの工程を前記ダイアフラムを形成するダイアフラム形成工程に先だって行う、
    ことを特徴とする接触燃焼式ガスセンサの製造方法。
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