JP3584876B2 - エッチング装置における半導体ウエハのクランプ装置及びクランプ方法 - Google Patents

エッチング装置における半導体ウエハのクランプ装置及びクランプ方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エッチングポットを用いると共に、非接触式の厚みセンサにより半導体ウエハの厚みを検出しながらエッチングを行うエッチング装置における、半導体ウエハを、位置合せ状態で上下2つのクランプ部材の間でクランプするための半導体ウエハのクランプ装置及びクランプ方法に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
例えば半導体圧力センサや半導体加速度センサ等のセンサチップを製造するにあたっては、図7(a)に概略的に示すように、半導体ウエハ(シリコンウエハ)1に数百〜数千のセンサチップ2を形成し、その後、各チップ2を切離すことが行なわれる。この場合、図7(b)に示すように、半導体ウエハ1の片面側には、エピタキシャル層が形成され、各センサチップ2に対応して信号処理回路を構成する回路素子や給電用電極等が形成されるようになっており、以てこの面が回路面1aとされている。
【0003】
そして、圧力センサの場合、センサチップ2は、図8に示すような形状をなし、前記回路面1aとは反対側の面に、周囲部を除く全体に凹部2aを形成することによりダイヤフラムが形成されるようになっている。また、加速度センサの場合も、図9に示すように、回路面1aとは反対側の面に、中央部に島状の膨らみを残した状態で凹部2aが形成されるようになっている。一般に、前記凹部2aを形成するためには、半導体ウエハ1の回路面1aと反対側のエッチング面1bを、凹部2a形成部分を除いてマスク3により覆ったうえで、そのエッチング面1bを例えば水酸化カリウムなどの強アルカリ液に浸す浸漬方式のエッチング法(例えば異方性エッチング)が用いられる。
【0004】
図10は、従来のエッチング装置を示している。ここで、前記半導体ウエハ1は、その回路面1a及びエッチング面1bの外周縁部(センサチップ2の非形成領域)がマスキング材4により覆われた状態で、例えばセラミックプレートからなるエッチング治具5に保持される。そして、その状態で、エッチング液6を収容した処理槽7に浸されることにより、エッチング面1bに対するエッチングがなされるようになる。また、所定厚みのエッチングがなされたところで、エッチング治具5に保持された半導体ウエハ1を処理槽7から取出し、水洗浄がなされることにより、エッチングが停止されるようになる。
【0005】
この場合、エッチング液6を処理に適した温度(例えば110℃)に維持するために、処理槽7には、ヒータ8が添設されていると共に、そのヒータ8は、エッチング液6の温度を検出する温度センサ9の検出に基づいて、ヒータ制御回路10により制御されるようになっている。処理槽7内には、エッチング液6を撹拌する撹拌機11も設けられる。尚、電気化学ストップエッチングを行なう場合には、更に、エッチング液6内に浸される電極12、その電極12と半導体ウエハ1(回路面1a)との間に直流電流を流すための電源13、流れる電流値を検出する電流検出器14等が設けられるようになっている。
【0006】
ところで、センサチップ2を形成する場合、図8及び図9に示す、半導体ウエハ1(センサチップ2)にエッチングにより形成される薄肉部(圧力センサの場合ダイヤフラム)の厚みTを、目標厚みとするよう精度良く加工することが、センサとしての性能面で重要となる。従って、上記エッチング処理を行なうにあたっては、凹部2aの所定のエッチング深さが得られた時点でエッチングを停止させるよう管理することが必要となる。従来では、一般に、この厚み管理の方法として時間管理方式が採用されていた。
【0007】
この時間管理方式は、エッチング時間とエッチング深さとがほぼ比例関係にあることを利用し、図11に示すように、予め単位時間あたりのエッチング量(エッチングレートという)を試験的に求めて、時間とエッチング深さの関係を示すグラフを作成しておく。そして、半導体ウエハ1の元の厚みT0 と、目標となる厚みTとから、(T0 −T)のエッチング深さが得られる時間t1をグラフより求め、実際のエッチング時間(浸漬時間)を管理するものであった。
【0008】
ところが、この方法では、エッチングレートの正確な再現性が要求されるため、エッチング液6の濃度や温度の厳密な管理を行なう必要があり、現実的には、近年求められる精度(ウエハ間平均厚みばらつき±0.5μm)を一度のエッチング処理により得ることは困難であった。そのため、実際には、エッチング処理と厚み測定とを複数回に分け、それら処理を繰返すことが行なわれていた。
【0009】
また、電気化学ストップエッチングの場合には、図12に示すように、時間経過に伴い、電流検出器14により検出される電流値が変動し、目標とする厚みTの近傍で電流のピーク値Pが現れることを利用し、ピーク値Pが現れてから所定時間t2経過後にエッチングを停止することが行なわれている。これによれば、エッチングレートの影響が少ないため、上記の時間管理方式に比べ、厚み管理の精度は高いものとなる。
【0010】
ところが、この電気化学ストップエッチングでは、20μm以上の厚いダイヤフラムのエッチングはできず、また、エピ層より薄い厚みを得ることが原理的に行なえないといった事情がある。そして、半導体ウエハ1間でのエピ層の厚みが±10%程度のばらつきがあるため、±1μm程度のウエハ間平均厚みばらつきが生じ、やはり1回の処理では十分な厚みの精度が得られないものとなっていた。このように、従来の方式では、エッチング中の半導体ウエハ1の厚みを、正確に直接把握してエッチング停止時期を制御することができないという根本的な問題があったのである。
【0011】
そこで、本出願人は、半導体ウエハ1の厚みを、非接触で直接的に検出することができる厚みセンサ51(図8,図9参照)を開発し、先に出願している(特開平7−306018号公報参照)。この厚みセンサ51により、半導体ウエハ1のエッチング部分の厚みをモニタしながら、エッチング処理を制御することができれば、厚み制御を高精度に行なうことが可能となる。しかしながら、上記した従来の浸漬方式のエッチング処理方法では、厚みセンサ51の配置自体が困難であり、仮に配置できたとしても、センサをエッチング液6から保護するための複雑な構造が必要となるなど、実用化は難しい。
【0012】
これに対し、図示はしないが、本発明者等は、従来の浸漬方式に代えて、半導体ウエハ1をその端部(外周縁部)にて2個のリング状のクランプ部材(ウエハベース及びウエハリング)により上下からクランプした状態に保持させることにより、該半導体ウエハ1の上面のエッチング面1bを内底面としたエッチング処理室(エッチングポット)を構成する、いわゆるポット工法を開発してきている。このポット工法によれば、半導体ウエハ1の回路面1a側を開放させることができ、上記した厚みセンサ51の取付けが実現可能となる。
【0013】
ところが、センサチップ2の小形化,高精度化に伴い、一辺が例えば1mm以下の微小な凹部2aを形成する場合、半導体ウエハ1の測定点kと厚みセンサ51の検出位置との水平方向の位置合せを、いかに高精度に行なうかが新たな技術的課題となってくる。この場合、1台のエッチング装置(ポット)により複数種類の半導体ウエハ1がエッチングされることになるが、エッチングポットと厚みセンサ51との間の位置調整を行う位置調整機構を設け、半導体ウエハ1が交換される都度いちいち厚みセンサ51の相対位置を微調整するものでは、構成の大型化,複雑化を招くと共に、その作業にかなりの困難性を伴い、生産性を低下させるものとなる。
【0014】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、半導体ウエハを2つのクランプ部材の間で挟み付けるエッチングポットを用いるエッチング装置にあって、エッチングポットひいては厚みセンサに対する半導体ウエハの位置合せを容易かつ高精度に行うことができるエッチング装置における半導体ウエハのクランプ装置及びクランプ方法を提供するにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1のエッチング装置における半導体ウエハのクランプ装置は、仮保持手段により、上下に間隔を開けて配置された2つのクランプ部材の間に半導体ウエハを水平方向に位置調整可能に保持し、計測手段により、クランプ部材に対する半導体ウエハの位置を計測し、その計測に基づいて、位置調整手段により、半導体ウエハ中の厚み測定点が厚みセンサの検出位置に一致するように該半導体ウエハのクランプ部材に対する位置合せを行い、締結手段により、半導体ウエハの位置合せ状態で両クランプ部材を締結するように構成したものである。
【0016】
また、本発明の請求項5のエッチング装置における半導体ウエハのクランプ方法は、上下に間隔を開けて配置された2つのクランプ部材の間に半導体ウエハを水平方向に位置調整可能に保持させる仮保持工程と、クランプ部材に対する半導体ウエハの位置を計測する計測手段の計測に基づいて、半導体ウエハ中の厚み測定点が厚みセンサの検出位置に一致するように該半導体ウエハのクランプ部材に対する位置合せを行う位置調整工程と、その半導体ウエハの位置合せ状態で、両クランプ部材を締結する締結工程とを含むところに特徴を有する。
【0017】
これらによれば、半導体ウエハを、クランプ部材に対して事前に位置合せした状態で、両クランプ部材を締結してクランプすることができ、そのエッチングポットをエッチング装置にセットした状態では、半導体ウエハの厚み測定点が、厚みセンサの検出位置に確実に一致するようになる。従って、半導体ウエハのエッチング部分の厚みを、厚みセンサによりモニタしながらエッチングを制御することができ、厚み制御を高精度に行なうことが可能となる。
【0018】
このとき、半導体ウエハを両クランプ部材によりクランプする前に、言換えれば、エッチングポットをエッチング装置にセットする前に、半導体ウエハのエッチングポットに対する位置調整が行われるので、位置合せの作業を効率的に行うことができる。これと共に、クランプ部材に対する半導体ウエハの位置調整を行うものであるから、エッチング装置に、エッチングポットと厚みセンサとの間の相対位置を調整するような構成を設ける場合のような、大掛りで複雑な構成が不用となり、比較的簡単な構成で済ませることができ、しかも、計測手段の設置も容易となり、例えば厚みセンサに対するエッチングポット全体の相対的な位置調整を行う場合に比べて、位置合せの作業を容易且つ高精度に行うことができるようになる。
【0019】
また、この場合、クランプ部材に対する半導体ウエハの位置調整を、X方向、Y方向だけでなくθ方向にも行うことができるようにすれば(請求項2,6の発明)、緻密な位置調整を行うことが可能となると共に、仮保持させる時点における半導体ウエハのクランプ部材に対する回転方向の配置等にさほど気を使わなくても済み、作業効率を高めることができる。
【0020】
そして、半導体ウエハの仮保持を、弾性部材による上方へのばね力によって両クランプ部材の中間部で水平に弾性保持し、両クランプ部材の締結時にその締結力により半導体ウエハがばね力に抗して下降されるようにすることもできる(請求項3,7の発明)。これによれば、締結時において半導体ウエハに曲げ力等の過大な力が作用することが防止され、半導体ウエハの保護を図ることができるようになる。
【0021】
さらに、検出位置の異なる複数個の厚みセンサを設けて選択的に使用されるようにすると共に、半導体ウエハの位置調整を、その厚み測定点がいずれかの検出位置に一致するように行うようにしても良い(請求項4,8の発明)。これによれば、厚み測定点を検出位置に一致させるように位置調整するにあたり、例えば最も近い検出位置へ位置調整すれば、少ない移動量で済む等、位置調整の作業を簡単且つ短時間で済ませることが可能となる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を多数個の圧力センサのセンサチップを形成する半導体ウエハのエッチング処理に適用した一実施例について、図1ないし図9を参照しながら説明する。尚、この実施例でも、図7〜図9に示したような、半導体ウエハ1をエッチング処理することにより、各センサチップ2の凹部2aを形成する場合を例としている。従って、これら半導体ウエハ1やセンサチップ2、さらには厚みセンサ51等は従来例で述べたものと共通するので、新たな図示及び詳しい説明を省略し、符号も共通して使用することとする。
【0023】
まず、図4は、本実施例におけるエッチング装置21の全体構成を示している。このエッチング装置21は、大きく分けて、半導体ウエハ1を保持するエッチングポット22、このエッチングポット22の下面側を着脱可能に支持するエッチングベース23、エッチングポット22の上面側に着脱可能に被せられるように設けられるエッチングヘッド24、を備えている。また、図示はしないが、このエッチング装置21の全体を制御(生産管理)するマイコン等からなる制御装置が設けられている。
【0024】
そのうち、まず前記エッチングポット22の構成について、図1ないし図3も参照して述べる。尚、このエッチングポット22は、後述するように、本実施例に係るクランプ装置25(図1参照)の一部を構成するようになっており、また、このクランプ装置25においては、エッチングポット22が上下反転した状態で使用されるようになっており、図1及び図2では、エッチングポット22を図4とは上下反転した状態で図示している。
【0025】
このエッチングポット22は、その底部を構成し前記半導体ウエハ1を下から支持すると共に該半導体ウエハ1を加熱するための加熱リング27を有するウエハベース26、周壁部を構成すると共に前記ウエハベース26との間で半導体ウエハ1を挟み付けて保持するウエハリング28、前記ウエハベース26とウエハリング28とを締結するための締結手段を構成するシリンダ29等を備えて構成される。前記ウエハベース26及びウエハリング28は、クランプ装置25におけるクランプ部材として機能するようになっている。
【0026】
前記ウエハベース26は、図2,図3等に示すように、例えばテフロン(PTFE)等の高い耐熱性及び耐食性を有した合成樹脂からなり、前記半導体ウエハ1よりも十分大きな外径を有し且つ中央部に前記半導体ウエハ1よりもやや径小な円形の貫通孔26aを有する比較的厚肉な円板状に構成されている。また、前記ウエハベース26の上面には、前記半導体ウエハ1(前記加熱リング27)の外周側に位置するようにして、やや深い嵌合凹部26bが全周にリング状に形成されている。
【0027】
さらに、ウエハベース26の上面の嵌合凹部26bの外周側(最外周部)には、後述するシリンダ29によって真空室を構成するリング状凹溝部33が全周に渡って形成されている。図1及び図2に示すように、このリング状凹溝部33の1か所が、連通孔33aを介してウエハベース26の外周に突出する接続口部30に接続されている。尚、図3に示すように、ウエハベース26の下面側には、4個の長円状の穴部26cが90度間隔で形成されている。
【0028】
前記加熱リング27は、熱伝導性に優れ且つ高い耐食性及び機械的強度を有し、更に半導体ウエハ1と同等の熱膨張係数を有した金属、例えばニッケルからなり、前記ウエハベース26の貫通孔26aに嵌り込むような円筒状に構成されると共に、その上端部に前記半導体ウエハ1の外径よりも若干大きい外径を有し外周部が上方に若干量立上がる鍔状部27aが一体に形成されている。そして、この加熱リング27の下端面部には、図3にも示すように、90度間隔で4個の位置決め穴27bが形成されている。この加熱リング27は、後述する発熱体(リングヒータ)と熱的に接続されるようになっている。
【0029】
これにて、前記半導体ウエハ1は、エッチング面1bを上面として前記加熱リング27の鍔状部27aに外周縁部を揃えた状態で載置されてウエハベース26に保持されるようになっている。このとき、加熱リング27の中空部及びウエハベース26の貫通孔26aによって、半導体ウエハ1の下面側は開放された状態となる。また、加熱リング27によって、半導体ウエハ1の下面側外周部を加熱することができるようになっている。
【0030】
前記ウエハリング28は、前記ウエハベース26と同等の材料からなり、上下方向に比較的短いほぼ円筒状をなすと共に、その下半部側は、前記ウエハベース26とほぼ同等の外径となるように外周方向に膨らんでいる。そして、その下面側には、ウエハベース26の嵌合凹部26bに嵌り込むリング状のガイド凸部28aが一体に設けられている。また、ウエハリング28の下面の、前記ガイド凸部28aの外周側(最外周部)には、後述するシリンダ29によって真空室を構成するリング状凹溝部32が全周に渡って形成されている。
【0031】
さらに、ウエハリング28の下部内周部には、パッキン保持部28bが設けられ、このパッキン保持部28bにパッキン31が取付けられている。このパッキン31は、耐食性を有したゴム等の弾性体から、内周形状が前記半導体ウエハ1の外周部に対応したリング状に構成されている。尚、図2(a)に隙間eで示すように、ウエハリング28の半導体ウエハ1保持部分の内径寸法は、半導体ウエハ1の外形寸法寄りも僅かに大きく構成され、例えば隙間eの寸法が、2mm程度とされるようになっている。
【0032】
このウエハリング28は、前記ガイド凸部28aが、前記嵌合凹部26bに嵌込まれることにより、前記ウエハベース26に対して中心を位置合せした状態に重ね合せられる。このとき、加熱リング27上に載置された半導体ウエハ1の上面の外周縁部(センサチップ2の形成部分の外側部位)に、前記パッキン31の内周部下部が当接してシールするようになる。そして、この状態では、ウエハリング28の下面外周部(リング状凹溝部32)と、ウエハベース26の上面外周部(リング状凹溝部33)とが、上下に所定の隙間を介して対向するようになり、この隙間部分に、前記シリンダ29が配置される。
【0033】
このシリンダ29は、例えばゴム等の弾性材からリング状に構成され、断面がほぼ正方形状をなすと共に、上面の内周縁部及び外周縁部、並びに、下面の内周縁部及び外周縁部に、4方向にいわば断面ほぼX字状に張出したシールリップ29aを一体に有して構成されている。また、このシリンダ29には、上下に貫通する連結孔29bが、例えば円周方向に等間隔に8個形成されている。
【0034】
このシリンダ29の上面側の2つのシールリップ29aがリング状凹溝部32を幅方向に跨ぐように位置されることにより、前記ウエハリング28の外周下面側のリング状凹溝部32の下面側が密閉されて真空室が形成され、下面側の2つのシールリップ29aがリング状凹溝部33を幅方向に跨ぐように位置されることにより、前記ウエハベース26の外周上面側のリング状凹溝部33の上面側が密閉されて真空室が形成されるようになっている。また、それら両真空室は前記連結孔29bによってつながった状態とされる。
【0035】
このとき、図2(a)に示すように、ウエハリング28上にシリンダ29が載置され更にその上にウエハベース26が載置された状態(後述する真空室内が減圧される前の状態)では、図2(a)に示すように、シリンダ29自体のばね力により、ウエハベース26とウエハリング28とは、上下に間隔を開けた状態とされるようになっている。
【0036】
そして、後のクランプ装置25の説明でも述べるように、前記接続口部30にはバルブ37が接続されると共に、そのバルブ37を介して真空ポンプ36が着脱可能に接続され(図1及び図2参照)、バルブ37の開放状態で真空ポンプ36が駆動されることにより、前記リング状凹溝部32,33内が真空(減圧)状態とされ、もってシリンダ29が弾性的に変形しながら、ウエハリング28とウエハベース26とが相互に引寄せられる方向に引張られて締結されるようになるのである(図2(b)参照)。このときの締結力は全周に均等に作用するようになる。その後、バルブ37を閉めれば、真空ポンプ36との接続を切離してもリング状凹溝部32,33内の真空状態が維持されるようになっている。
【0037】
これにより、半導体ウエハ1を、ウエハリング28とウエハベース26とにより上下に挟み付けて保持したエッチングポット22が構成されるようになる。このエッチングポット22内には、半導体ウエハ1のエッチング面1bを内底面とし、ウエハリング28の内周壁を内壁としたエッチング処理室34が形成されるのである。このエッチング処理室34内には、例えばKOH等のエッチング液35(図4参照)や洗浄用の純水が収容されるようになっている。これにて、エッチングポット22が半導体ウエハ1を保持するマスキング用の治具として機能すると共に、エッチング処理用の容器としても機能するのである。
【0038】
次に、前記エッチングベース23の構成について、図4を参照して述べる。このエッチングベース23は、例えばテフロン等の高い耐熱性及び耐食性を有した材料からなり、設置面上に水平に載置される設置部23aの上部に、前記エッチングポット22(ウエハベース26)を支持する支持台部23bを有した円筒状に構成されている。また、前記支持台部23bの中央部には、前記ウエハベース26の貫通孔26aに対応してそれより僅かだけ径小な円形孔23cが形成されている。尚、前記設置部23aと支持台部23bとの接合部分には、Oリング45が設けられ、気密にシールされている。
【0039】
そして、前記支持台部23bには前記ウエハベース26の底面の穴部26cに対応して、嵌合ピン46が上下に貫通するように設けられている。これら嵌合ピン46は、その下端部が、前記支持台部23bの裏面側に設けられたリング状の基準プレート47に固定されており、上端の頭部が前記穴部26cに挿入により嵌合されるように設けられている。このとき、嵌合ピン46はニッケル等の金属から構成され、基準プレート47も、SUS304等の金属から構成されている。これら嵌合ピン46と支持台部23bの貫通孔との間にも、Oリング48が設けられて気密性が確保されている。
【0040】
また、このエッチングベース23の内部には、前記加熱リング27を加熱するための加熱ユニット49、この加熱ユニット49を上下動させる主昇降部50、前記加熱ユニット49に設けられ前記半導体ウエハ1の厚みを検出するための厚みセンサ51、この厚みセンサ51の前記加熱ユニット49に対する上下位置を調整するセンサ高さ調整機構52が設けられる。本実施例では、前記厚みセンサ51は、図1に検出位置をマークMで示すように、複数個この場合前後左右に4個が、センサホルダ62により一体的に保持された状態で設けられている(図4では2個のみ図示)。これら厚みセンサ51は、選択的に使用されるようになっている。
【0041】
前記加熱ユニット49は、熱伝導性の良い金属から下面が開口した円筒状に構成された発熱ケース53、この発熱ケース53の内周部に設けられた発熱体たるリングヒータ54、このリングヒータの内側に設けられた断熱リング55、前記発熱ケース53の上面部に取付けられた断熱プレート56を備えて構成されている。前記4個の厚みセンサ51を保持するセンサホルダ62は、この断熱プレート56の中心を上下に貫通すると共に上下位置調整可能に設けられている。
【0042】
前記発熱ケース53は、前記支持台部23bの円形孔23cの内径に対応した外径を有し、その円形孔23cの内周面を上下に摺動可能に設けられている。この摺動面にもOリング57が設けられている。そして、この発熱ケース53の上面外周部には、前記加熱リング27の位置決め穴27bに対応した4個の位置決めピン53aが設けられている。
【0043】
前記主昇降部50は、エッチングベース23の内底部に設けられた昇降シリンダ58、この昇降シリンダ58のロッドに取付けられた昇降プレート59、この昇降プレートから上方に延びて設けられた複数本の支柱60、これら支柱60の上端に取付けられ前記加熱ユニット49(発熱ケース53)の下端部に連結される取付プレート61を備えている。これにて、前記昇降シリンダ58の駆動により、加熱ユニット49は、図示したような使用位置と、そこから下降した図示しない退避位置との間で水平状態を保って上下動されるようになっている。
【0044】
このとき、加熱ユニット49の使用位置では、発熱ケース53の上面が前記加熱リング27の下端面に当接して熱的に接続されるようになっていると共に、加熱リング27の位置決め穴27bに発熱ケース53の位置決めピン53aが挿入されることにより、発熱ケース53ひいては厚みセンサ51(センサホルダ62)に対して、加熱リング27ひいてはウエハベース26(エッチングポット22)が固定された位置に位置決めされるのである。また、これと共に、加熱ユニット49の使用位置では、前記断熱プレート56が加熱リング27の内周部に位置され、前記厚みセンサ51(センサホルダ62)の上端部が、前記半導体ウエハ1の下面側に所定量だけ離間して位置されるようになっている。
【0045】
前記厚みセンサ51は、図5,図6,図8,図9にも示すように、前記半導体ウエハ1の所定の測定点kの厚みを、半導体ウエハ1の下面(回路面1a)側から非接触で検出するものである。その原理については、本出願人の先の出願に係る特開平7−306018号公報に詳しいので、詳しい説明は省略するが、先端から半導体を透過する光ビーム(例えば赤外線)Bを、波長を変化させながら照射し、半導体ウエハ1の底面で反射する反射光と表面で反射する反射光との干渉光を検出して、その干渉光の位相あるいは周期の変化から半導体ウエハ1の測定点kの実際の厚みを直接的に検出するものである。
【0046】
そして、これら厚みセンサ51を保持するセンサホルダ62は、前記昇降プレート59から上方に延びて設けられたガイドバー63に沿って上下動可能に設けられ、前記センサ高さ調整機構52により上下動されることにより、前記厚みセンサ51の半導体ウエハ1に対する上下方向位置(焦点距離)が微調整されるようになっている。尚、断熱プレート56とセンサホルダ62との間にもシール用のOリング64が設けられている。
【0047】
前記センサ高さ調整機構52は、前記昇降プレート59に上方に延びて回転可能に設けられ前記センサホルダ62に螺合して上下動させる昇降ねじ65、前記昇降プレート59に取付けられたサーボモータ66、このサーボモータ66の回転を前記昇降ねじ65に伝達する歯車機構67から構成されている。これにて、前記サーボモータ66により昇降ねじ65が回転され、前記センサホルダ62ひいては厚みセンサ51が、加熱ユニット49に対して上下動するのである。
【0048】
このとき、図4に概略的に示すように、前記厚みセンサ51の検出信号は、前記制御装置の一部を構成する厚み評価ユニット68に入力され、この厚み評価ユニット68が、常に厚みセンサ51の最適な焦点を得るように前記サーボモータ66をフィードバック制御するようになっているのである。
【0049】
次いで、前記エッチングヘッド24について、図4を参照して述べる。このエッチングヘッド24は、前記エッチングポット22のウエハリング28の上面開口部を一部が嵌り込んだ状態に塞ぐ蓋状をなし、ヘッドシール69を挟んでエッチングポット22上に載置される。このエッチングヘッド24には、前記エッチング処理室34内に連通するエッチング液供給口24a及び洗浄水供給口24bが設けられていると共に、エッチング処理室34内の液を排出するための排液口24cが設けられている。
【0050】
詳しく図示はしないが、前記エッチング液供給口24aには、エッチング処理室34内にエッチング液(KOH)35を調整された温度で供給するためのエッチング液供給機構70が接続されている。また、前記洗浄水供給口24bには、エッチング処理室34内に洗浄水(純水)を供給するための洗浄水供給機構71が接続されている。さらに、図示はしないが、前記排液口24cには、エッチング処理室34内の液を強制排出するための排液装置(例えばエゼクタ等の真空排液装置)が接続されている。
【0051】
そして、このエッチングヘッド24には、エッチング処理室34内のエッチング液35を撹拌するための、モータ72a及び撹拌羽根72bからなる撹拌機72が設けられていると共に、エッチング液35を加熱するためのヒータ73が設けられている。図示はしないが、エッチング液35の温度を検出するための温度センサも設けられている。
【0052】
さらに、このエッチングヘッド24には、電気化学ストップエッチングを行なう際に使用される電極74が設けられている。この電極74は、スイッチ75、直流電源76、電流検出器77の直列接続回路の一端に接続されている。図示はしないが、その直列接続回路の他端側は、前記エッチングポット22のウエハベース26に設けられ半導体ウエハ1に接触する給電電極に接続されるようになっている。尚、エッチングヘッド24の前記撹拌機72及びヒータ73並びに電極74の取付部分には、夫々Oリング78が設けられている。
【0053】
前記制御装置は、後の作用説明でも述べるように、運転プログラム及び予め設定された製品・処理条件(製品種類、使用する厚みセンサ51(検出位置)、凹部2aにおける目標厚みT、温度等のエッチング条件など)等に基づいて、上記したエッチング装置21の各機構を制御し、予備加熱工程、エッチング工程、洗浄工程等からなるエッチング処理を実行するようになっている。
【0054】
このエッチング装置21は、エッチングベース23上にエッチングポット22をセットし、エッチングポット22の上部にエッチングヘッド24をセットすることにより構成されるのであるが、前記エッチングポット22は、予め、半導体ウエハ1を、ウエハベース26とウエハリング28との間でシリンダ29により挟み付けた状態で供されるようになっている。このとき、次に述べるクランプ装置25により、いずれかの厚みセンサ51による検出位置と半導体ウエハ1の測定点kとが一致するように、ウエハベース26に対する半導体ウエハ1の水平方向の位置合せが予めなされた状態で、ウエハベース26とウエハリング28との間でクランプされるようになっているのである。
【0055】
さて、図1は、本実施例に係るクランプ装置25の構成を示している。このクランプ装置25は、ベースプレート79上に、前記エッチングポット22(ウエハリング28)を上下反転すると共に中心軸oを一致させた状態で水平に支持する支持リング80、前記半導体ウエハ1を水平に保持するウエハ受け具81、このウエハ受け具81ひいては半導体ウエハ1を水平方向に位置調整する位置調整手段たる位置調整機構82を備えると共に、エッチングポット22(ウエハベース26)の図で上部側に対して着脱可能に配置され計測手段を構成する計測部83を備え、更に、前記真空ポンプ36等を備えて構成されている。
【0056】
前記ウエハ受け具81は、前記ウエハリング28の内径よりも一回り小さい外径寸法を有する円板状をなし、半導体ウエハ1の下面(エッチング面1b)側を受けるようになっており、その下面中心部にシャフト部81aを有し、そのシャフト部81aが、上面が開口された円筒状をなし前記位置調整機構82に連結されるホルダ部84内に、上下動可能に挿入されている。このとき、前記ホルダ部84の内底部には、弾性部材たるコイルばね85が収容されている。そして、前記シャフト部81aの外周面に上下に延びる切欠部81bが成形されていると共に、ホルダ部84には、前記切欠部81b内に挿入されるストッパ84aが設けられている。
【0057】
これにて、シャフト部81a(ウエハ受け具81)は、ストッパ84aが切欠部81b内を相対的に移動する範囲内で、上下動可能に支持されると共に、通常時(外部より下向きの力が作用しないとき)には、コイルばね85のばね力により図示した最上位置に位置されるようになっている。このとき、ウエハ受け具81の最上位置では、図示のように、支持リング80に支持されたウエハリング28とウエハベース26との中間部にて、パッキン31と加熱リング27との間で浮いた状態で半導体ウエハ1が水平に弾性保持されるようになっている。
【0058】
従って、ウエハ受け具81等から仮保持手段が構成されているのである。尚、後述するように、シリンダ29による、ウエハベース26とウエハリング28との締結時には、上側のウエハベース26が下降することになるが、その締結力により、ウエハ受け具81に保持された半導体ウエハ1が下向きの力を受けコイルばね85のばね力に抗して下降するようになっている。
【0059】
前記位置調整機構82は、詳しい説明は省略するが、前記ホルダ部84をモータの駆動力によりX方向及びY方向に自在に移動させる周知のXYテーブル86、及び、前記ベースプレート79上の中心部に設けられ前記XYテーブル86をモータの駆動力により中心軸o回りにθ方向(回転方向)に移動させる周知の回転テーブル87を備えて構成されている。
【0060】
前記XYテーブル86及び回転テーブル87は、例えば作業者による操作パネル(図示せず)のスイッチ操作により駆動されるようになっており、これにて、ホルダ部84ひいてはウエハ受け具81に保持された半導体ウエハ1を、前記隙間eの範囲内で、X方向、Y方向、θ方向に位置調整することが可能となっているのである。
【0061】
一方、前記計測部83は、外周側に前記加熱リング27の位置決め穴27bに対応する4本の位置決めピン88a(2個のみ図示)を備える位置決めリング88、この位置決めリング88の中心に下向きに取付けられた拡大カメラ89を備え、さらに、前記拡大カメラ89の撮影画像がモニタ装置90に表示されるようになっている。この計測部83は、図示のように、各位置決めピン88aを、支持リング80に支持されたウエハベース26の加熱リング27の各位置決め穴27aに挿入した状態に着脱可能にセットされるようになっている。
【0062】
この状態では、前記拡大カメラ89が半導体ウエハ1の上面(回路面1a)の中心部分を撮影し、その拡大画像(回路面1aの回路パターン)がモニタ装置90に表示されるようになっている。この場合、回路面1aの回路パターンから半導体ウエハ1の測定点k(1個のセンサチップ2の凹部2aの所定位置)を特定することができる。そして、モニタ装置90の画面には、前記各厚みセンサ51の検出位置を示す4個のマークMが設けられている。
【0063】
このとき、この拡大カメラ89と、前記エッチング装置21の加熱ユニット49ひいてはセンサホルダ62とは、共に加熱リング27(ひいてはエッチングポット22)に対して固定位置に位置決めされるので、各厚みセンサ51の検出位置と一致する位置に予めマークMを設定しておくことができる。従って、この拡大カメラ89の撮影画像に基づいて、位置調整機構82を動作させることにより、前記半導体ウエハ1中の厚み測定点kが厚みセンサ51のいずれかの検出位置(マークM)に一致するように、ウエハベース26(エッチングポット22)に対する半導体ウエハ1の位置合せを行うことができるのである。
【0064】
次に、上記構成の作用について述べる。半導体ウエハ1に対するエッチング装置21によるエッチング処理を行なうにあたっては、まず、その準備段階として、ウエハベース26とウエハリング28との間で半導体ウエハ1をクランプしてエッチングポット22を構成することが行われる。この作業は、上記クランプ装置25により以下のようにして行われ、もって本実施例に係るクランプ方法が実行されるようになっている。
【0065】
即ち、まず、上下に間隔を開けて配置されたウエハベース26とウエハリング28との間に、半導体ウエハ1を水平方向に位置調整可能に保持させる仮保持工程が実行される。この工程は、支持リング80にウエハリング28を上下反転させた状態にセットし、次いで、ウエハ受け具81に、半導体ウエハ1を回路面1aを上向きにしてセットし、ウエハリング28上に、シリンダ29を載置した上でその上にウエハベース26をセットすることに行われる。
【0066】
これにて、図1に示すように、支持リング80に支持されたウエハリング28とウエハベース26との中間部にて、パッキン31と加熱リング27との間で浮いた状態で半導体ウエハ1が水平に弾性保持される。尚、このときには、既に半導体ウエハ1の回路面1aには所定の回路パターンが形成され、エッチング処理面1bは、凹部2a形成部分を除いてマスク3により覆われていることは勿論である。
【0067】
次いで、ウエハベース26に対する半導体ウエハ1の位置を計測しながら、半導体ウエハ1中の厚み測定点kが厚みセンサ51の検出位置(マークM)に一致するように該半導体ウエハ1の位置合せを行う位置調整工程が実行される。この工程では、位置決めリング88の各位置決めピン88aを、加熱リング27の各位置決め穴27aに挿入することにより、ウエハベース26の上部に拡大カメラ89を位置決め状態でセットし、拡大カメラ89により撮影された画像をモニタ装置90に表示させる。
【0068】
そして、そのモニタ装置90の画像を見ながら、半導体ウエハ1中の厚み測定点kが、いずれかのマークMに一致するように、位置調整機構82を駆動して半導体ウエハ1の水平方向の位置調整を行う。この場合、XYテーブル86により、半導体ウエハ1のX方向及びY方向の位置調整を行うことができ、回転テーブル87により、半導体ウエハ1のθ方向の位置調整を行うことができる。
【0069】
このとき、半導体ウエハ1の位置調整を、X方向、Y方向だけでなくθ方向にも行うことができるので、緻密な位置調整を行うことが可能となると共に、仮保持させる時点における半導体ウエハ1の回転方向の配置等にさほど気を使わなくても済み、作業効率を高めることができる。また、測定点kを4個のマークMのうちいずれかに一致させれば良いので、例えば最も近いマークMへ位置調整すれば、少ない移動量で済む等、位置調整の作業を簡単且つ短時間で済ませることが可能となる。
【0070】
なお、前記測定点kは、圧力センサチップ2の場合には、図5,図6,図8に示すように、半導体ウエハ1の中心部に位置する所定のセンサチップ2の凹部2aの中心位置となり、加速度センサチップ2の場合には、図9に示すように、凹部2aのうち一つのコーナー部分になる。この位置合せは、例えば±0.05mmの精度で実行することができ、例えば凹部2aの一辺が1mm以下のセンサチップ2でも高精度に位置合せすることが可能となる。
【0071】
最後に、上記のような半導体ウエハ1の位置合せ状態で、ウエハベース26とウエハリング28とを締結する締結工程が実行される。この締結工程は、バルブ37に接続された真空ポンプ36を駆動してシリンダ29により形成される真空室(リング状凹部33,32)を真空状態とすることにより行われ、図2(b)にも示すように、ウエハベース26とウエハリング28とが半導体ウエハ1を挟んだ状態で締結され、エッチングポット22が構成される。このとき、半導体ウエハ1がコイルばね85によって弾性支持されていて、締結時にウエハベース26(加熱リング28)により下方に押圧され、ばね力に抗して下降するようになり、半導体ウエハ1に曲げ力等の過大な力が作用することが防止されるようになっている。
【0072】
これにて、半導体ウエハ1は、加熱リング27に対する位置合せ状態で、その上面の外周縁部がパッキン31によってシールされてエッチング面1b以外の部分がマスキングされた状態でエッチングポット22に保持される。このとき、シリンダ29により半導体ウエハ1の外周縁部全周が均等な力で締結され、半導体ウエハ1は安定した状態で保持されるようになる。また、半導体ウエハ1の下面外周部は、加熱リング27に熱的に接続されるようになる。この後、計測部83が取外されると共に、バルブ37が閉じられて真空ポンプ36が切離され、エッチングポット22が支持リング80から取外される。
【0073】
そして、エッチング装置21によりエッチング処理を行うにあたっては、図4に示すように、上記エッチングポット22がエッチング装置21に組込まれる。ここでは、まず、エッチングポット22を正規の上下向きとして、前記エッチングベース23上に載置するようにセットすることが行なわれる。この場合、加熱ユニット49は使用位置に位置されており、加熱リング27の位置決め穴27bに発熱ケース53の位置決めピン53aが挿入されると共に、嵌合ピン46がウエハベース26の穴部26cに嵌合するように位置決めされてセットされる。
【0074】
このとき、発熱ケース53の上面が前記加熱リング27の下端面に当接して熱的に接続されるようになっている。これと共に、加熱リング27の位置決め穴27bに発熱ケース53の位置決めピン53aが挿入されることにより、発熱ケース53ひいては厚みセンサ51(センサホルダ62)に対して、加熱リング27ひいてはウエハベース26(エッチングポット22)が固定された位置に位置決めされ、図5及び図6に示すように、予めエッチングポット22に対して位置合せ状態に保持された半導体ウエハ1の厚み測定点kが、厚みセンサ51の検出位置に確実に一致するようになるのである。
【0075】
併せて、厚み評価ユニット68によりセンサ高さ調整機構52が制御されて、厚みセンサ51の高さ位置が、半導体ウエハ1の下面に対して適切な焦点距離となるように、厚みセンサ51(センサホルダ62)の高さ位置の微調整がなされる。この後、エッチングポット22の上部にエッチングヘッド24がセットされ、エッチング装置21が構成される。
【0076】
エッチング処理では、まず、リングヒータ54(加熱ユニット49)により、加熱リング27ひいては半導体ウエハ1を加熱する予備加熱が行なわれる。予備加熱の工程後、エッチング液供給機構70により、温度,濃度が調整されたエッチング液35がエッチング液供給口24aからエッチング処理室34内に供給されてエッチング工程が開始される。このエッチング工程では、撹拌機72によりエッチング液35が撹拌されると共に、温度センサの検出に基づいてヒータ73が制御され、エッチング液35は適切な温度に維持される。これにて、半導体ウエハ1のエッチング面1bのうちマスク3の存在しない部分が食刻され、凹部2aが次第に深く形成されていくようになる。
【0077】
このエッチング工程においては、前記厚みセンサ51により半導体ウエハ1の測定点kの厚みの検出が継続的に行なわれる。このとき、本実施例では、厚みセンサ51により検出された厚みを、例えば実験的に求められ予め設定されている予測値と比較し、それらがほぼ一致していることがモニタリングされながらエッチング工程を進行させるようになっている。尚、厚みセンサ51により検出された厚みが予測値とかけ離れた値となって場合には、エッチングの進行あるいは厚みセンサ51に異常があったと判断し、半導体ウエハ1を救済すべく、処理が停止されるようになっている。
【0078】
そして、エッチングが正常に進行し、厚みセンサ51が目標厚みTを検出した時点で(実際にはエッチング停止までのタイムラグを考慮して目標厚みTとなる手前の時点で)、ヒータ73が停止されると共に、洗浄水供給機構71を動作させて洗浄水供給口24bから、エッチング処理室34内に洗浄水が供給されエッチング液35が希釈,冷却されてエッチングが停止される。このとき、エッチング処理室34内の液は、排液口24cから強制排出されるようになる。
【0079】
厚みセンサ51の検出厚みに変化がなくなったことが確認された時点で、エッチング工程が終了したと判断され、加熱ユニット49が下降されると共に、さらにエッチング処理室34内に洗浄水を供給しながら撹拌する洗浄工程が実行される。半導体ウエハ1のエッチング面1bの所定の清浄度が得られるまで(例えば3分間)洗浄工程が実行され、その後、洗浄水が排液口24cから強制排出され、乾燥が行われる。しかる後、その半導体ウエハ1がエッチングポット22から取出されて処理が完了する。
【0080】
このように本実施例によれば、半導体ウエハ1を、エッチングポット22に対して事前に位置合せしておくことができ、そのエッチングポット22をエッチング装置21にセットした状態では、半導体ウエハ1の厚み測定点kが、厚みセンサ51の検出位置に確実に一致するようになる。そして、従来の時間管理方式や電気化学ストップエッチングの方式と異なり、厚みセンサ51によりエッチング中の半導体ウエハ1の測定点kの実際の厚みを直接的に把握しながらエッチングを制御することができ、この結果、半導体ウエハ1の凹部2a部分の厚みの制御を高精度で行なうことができる。ちなみに、本実施例では、半導体ウエハ1間での凹部2a部分の厚みばらつきを、±0.5μm以下と飛躍的に改善することができた。
【0081】
このとき、半導体ウエハ1をウエハベース26とウエハリング28との間でクランプする前に、言換えれば、エッチングポット22をエッチング装置21にセットする前に、半導体ウエハ1のエッチングポット22に対する位置調整が行われるので、エッチング装置21に半導体ウエハ1をセットした後に位置合せを行う場合と異なり、位置合せの作業を効率的に行うことができる。
【0082】
これと共に、ウエハベース26に対する半導体ウエハ1の位置調整を行うものであるから、エッチング装置21に、エッチングポット22と厚みセンサ51との間の相対位置を調整するような構成を設ける場合のような、大掛りで複雑な構成が不用となり、比較的簡単な構成で済ませることができ、しかも、計測部83の設置も容易となり、例えば厚みセンサ51に対するエッチングポット22全体の相対的な位置調整を行う場合に比べて、位置合せの作業を容易且つ高精度に行うことができるようになるものである。
【0083】
尚、上記実施例では、エッチングポット22に対する半導体ウエハ1の位置調整を、作業者のスイッチ操作によりXYテーブル86及び回転テーブル87を駆動させることにより行うようにしたが、位置調整を、例えば作業者がねじ機構を操作することにより手動で行うようにしたり、あるいは、パターン認識装置等を組込むことにより全自動化することも可能である。位置調整機構82の構成としても、種々の変形が可能であり、例えば回転テーブル87はなくても良く、少なくともX方向及びY方向に位置調整できれば、所期の目的を達成できる。
【0084】
また、上記実施例では、エッチングポット22のうち加熱リング27を位置決めの基準として、ここに位置決め穴27を設けるようにしたが、ウエハベース26(あるいはウエハリング28)自体に位置決めの基準(位置決め穴等)を設けても良く、半導体ウエハ1を加熱する必要がない場合であれば、加熱リング27や加熱ユニット49を省略することもできる。エッチングポット22に対する半導体ウエハ1の可動範囲(隙間e)についても、±2mmとしたのは一例に過ぎず、製品によって自在に変更することができる。
【0085】
その他、厚みセンサ51を1個だけ設けるものであって本発明を適用することができ、仮保持手段や計測手段、締結手段の構成、またエッチング装置21そのものの構成としても種々の変形が可能であり、さらには、圧力センサや加速度センサのセンサチップの製造以外にも、半導体ウエハのエッチング処理全般に適用することができる等、本発明は要旨を逸脱しない範囲内で、適宜変更して実施し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すもので、クランプ装置の構成を示す縦断面図
【図2】ウエハベースとウエハリングとの締結前(a)及び締結後(b)の様子を示す縦断面図
【図3】エッチングポット(ウエハベース)の底面図
【図4】エッチング装置の全体構成を示す縦断面図
【図5】半導体ウエハの測定点と厚みセンサとの位置関係を示す拡大縦断面図
【図6】半導体ウエハの測定点と厚みセンサとの位置関係を示す斜視図
【図7】半導体ウエハの概略的な平面図(a)及び縦断面図(b)
【図8】圧力センサチップの平面図(a)及び縦断面図(b)
【図9】加速度センサチップの平面図(a)及び縦断面図(b)
【図10】従来のエッチング装置の構成を概略的に示す図
【図11】エッチング深さとエッチング時間との関係を示す図
【図12】電気化学ストップエッチングにおける時間経過に伴う電流値の変化の様子を示す図
【符号の説明】
図面中、1は半導体ウエハ、1aは回路面、1bはエッチング面、2はセンサチップ、2aは凹部、21はエッチング装置、22はエッチングポット、23はエッチングベース、24はエッチングヘッド、25はクランプ装置、26はウエハベース(クランプ部材)、27は加熱リング、27bは位置決め穴、28はウエハリング(クランプ部材)、29はシリンダ(締結手段)、30は接続口部、32,33はリング状凹溝部、34はエッチング処理室、35はエッチング液、36は真空ポンプ、37はバルブ、46は嵌合ピン、49は加熱ユニット、50は主昇降部、51は厚みセンサ、52はセンサ高さ調整機構、53は発熱ケース、53aは位置決めピン、54はリングヒータ、62はセンサホルダ、80は支持リング、81はウエハ受け具(仮保持手段)、82は位置調整機構(位置調整手段)、83は計測部(計測手段)、85はコイルばね(弾性部材)、86はXYテーブル、87は回転テーブル、88は位置決めリング、88aは位置決めピン、89は拡大カメラ、90はモニタ装置、kは測定点、Mはマーク(検出位置)を示す。

Claims (8)

  1. 半導体ウエハを、その外周縁部にて上下2つのクランプ部材により挟み付けた状態に保持させてなるエッチングポットを用いると共に、前記エッチングポットに対して固定的に配置される非接触式の厚みセンサにより前記半導体ウエハの厚みを検出しながらエッチングを行うエッチング装置における、前記半導体ウエハを、位置合せ状態で前記両クランプ部材の間でクランプするための半導体ウエハのクランプ装置であって、
    上下に間隔を開けて配置された前記両クランプ部材の間に、前記半導体ウエハを水平方向に位置調整可能に保持する仮保持手段と、
    前記クランプ部材に対する半導体ウエハの位置を計測する計測手段と、
    この計測手段の計測に基づいて、前記半導体ウエハ中の厚み測定点が前記厚みセンサの検出位置に一致するように該半導体ウエハの前記クランプ部材に対する位置合せを行う位置調整手段と、
    この位置調整手段による半導体ウエハの位置合せ状態で、前記両クランプ部材を締結する締結手段とを具備することを特徴とするエッチング装置における半導体ウエハのクランプ装置。
  2. 前記位置調整手段は、前記半導体ウエハのX方向、Y方向及びθ方向の位置調整が可能に構成されていることを特徴とする請求項1記載のエッチング装置における半導体ウエハのクランプ装置。
  3. 前記仮保持手段は、前記半導体ウエハを、弾性部材による上方へのばね力によって前記両クランプ部材の中間部で水平に弾性保持し、前記締結手段による締結時にその締結力により該半導体ウエハがばね力に抗して下降されるように構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のエッチング装置における半導体ウエハのクランプ装置。
  4. 前記厚みセンサは、検出位置の異なる複数個が設けられて選択的に使用されるようになっており、前記位置調整手段により、前記半導体ウエハ中の厚み測定点がいずれかの検出位置に一致するように位置合せが行われることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のエッチング装置における半導体ウエハのクランプ装置。
  5. 半導体ウエハを、その外周縁部にて上下2つのクランプ部材により挟み付けた状態に保持させてなるエッチングポットを用いると共に、前記エッチングポットに対して固定的に配置される非接触式の厚みセンサにより前記半導体ウエハの厚みを検出しながらエッチングを行うエッチング装置における、前記半導体ウエハを、位置合せ状態で前記両クランプ部材の間でクランプするための半導体ウエハのクランプ方法であって、
    上下に間隔を開けて配置された前記両クランプ部材の間に、前記半導体ウエハを水平方向に位置調整可能に保持させる仮保持工程と、
    前記クランプ部材に対する半導体ウエハの位置を計測する計測手段の計測に基づいて、前記半導体ウエハ中の厚み測定点が前記厚みセンサの検出位置に一致するように該半導体ウエハの前記クランプ部材に対する位置合せを行う位置調整工程と、
    前記半導体ウエハの位置合せ状態で、前記両クランプ部材を締結する締結工程とを含むことを特徴とするエッチング装置における半導体ウエハのクランプ方法。
  6. 前記位置調整工程において、前記半導体ウエハのX方向、Y方向及びθ方向の位置調整が可能となっていることを特徴とする請求項5記載のエッチング装置における半導体ウエハのクランプ方法。
  7. 前記仮保持工程では、前記半導体ウエハを、弾性部材による上方へのばね力によって前記両クランプ部材の中間部で水平に弾性保持されるようになっていると共に、前記締結工程におけるクランプ部材の締結時にその締結力により該半導体ウエハがばね力に抗して下降されるようになっていることを特徴とする請求項5又は6記載のエッチング装置における半導体ウエハのクランプ方法。
  8. 前記厚みセンサは、検出位置の異なる複数個が設けられて選択的に使用されるようになっており、前記位置調整工程では、前記半導体ウエハ中の厚み測定点がいずれかの検出位置に一致するように位置合せが行われることを特徴とする請求項5ないし7のいずれかに記載のエッチング装置における半導体ウエハのクランプ方法。
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