JP3584397B2 - リナカンツスナスツス抽出物を含有する育毛剤組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リナカンツスナスツス(Rhinacanthus nasutus)抽出物を含有する育毛剤組成物に係り、その目的は、優れた育毛効果を有し、しかも医薬品、医薬部外品及び化粧品に配合できる安全性の高い育毛剤組成物を提供することにある。
【0002】
【従来の技術】
近年、脱毛症の症状を訴える人が男性の中高齢者層だけでなく、女性や若年層の人の間にも広がっている。脱毛の主な原因としては、血液の循環不全,皮脂の分泌異常,ホルモンバランスの崩れ,栄養不良等の内的要因のほか、頭皮における細菌の感染等の外的要因を挙げることができる。
これらの様々な脱毛の原因に対して頭髪の健全な成長を促進して脱毛症の症状を改善する育毛剤が多数創出されている。育毛剤の有効成分としては、角質溶解剤、殺菌剤、消炎剤、血行促進剤、代謝賦活剤等の成分が用いられ、これらを複数配合することにより頭皮、頭髪の正常な働きを促して脱毛症の症状の改善が試みられている。
【0003】
一方、リナカンツスナスツス(Rhinacanthus nasutus)は、特に、タイ国において広く薬用植物として普及しており、タイ国の伝統薬の文献中には種々の薬効を有していることが記載されている。具体的には、癜風、白癬、皮膚疾患や癌などの治療薬、解熱、抗蛇毒薬として有効であるとされており、茎は健康増進にも用いられ、また、葉は膿瘍による痛みの治療薬として、更には、長寿のためにも用いられるとされている。
近年ではリナカンツスナスツス(Rhinacanthus nasutus)に含まれる有効成分に関する研究もなされており、例えば特開平4−193874号公報には、細菌や糸状菌に対する抗菌作用を示す物質が含まれていることが開示されている。また、特開平6−234694号公報には、殺菌作用を示す物質が含まれていることが開示されている。更には、ジャーナル オブ ナチュラル プロダクツ(Journal of Natural Products )第56巻、第2号、第292頁には、抗真菌性のナフトキノン誘導体が含まれることが報告されている。
また、リナカンツスナスツス(Rhinacanthus nasutus)の抽出物の新たな効果として、特開平9−143025号公報及び特開平9−143091号公報には、活性酸素消去能を有することが開示されている。
【0004】
本願出願人は、上記のリナカンツスナスツス(Rhinacanthus nasutus)の抽出物が、安全性に優れるとともに、優れた育毛効果を有することを、特願平11−66763号において既に報告している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特願平11−66763号において開示した発明には以下の問題が存在した。
特願平11−66763号において開示した発明は、単にリナカンツスナスツス(Rhinacanthus nasutus)から抽出した抽出物(以下、「粗抽出物」という。)が用いられていたために、植物中の葉緑素を始めとする様々な色素成分が含まれていた。このために、粗抽出物を育毛剤に配合すると製品は濃い色を呈し、しかも使用時に衣服や皮膚などに対して着色する危険性もあり、粗抽出物をそのまま使用することはできなかった。
また、粗抽出物は、アルコール溶液として皮膚に塗布しても皮膚刺激性はないものの、皮膚感作性等の好ましくない作用を発現する場合があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記した課題に鑑みてなされたものであって、請求項1に係る発明は、次の物理化学的性質を有するリナカンツスナスツス(Rhinacanthus nasutus)抽出物を含有することを特徴とする育毛剤組成物。
(1)性状:黄色〜褐色のペースト状
(2)リーベルマン反応:陽性
(3)サポニン定性試験:陰性
(4)アントロン反応:陽性
(5)カテキン定性反応:陰性
(6)ニンヒドリン反応:陰性
(7)フラボノイド定性反応:陰性
(8)可視部・紫外部吸収スペクトル:220〜230nmに極大吸収
請求項2に係る発明は、カラムクロマトグラフィーにより分画処理して得られた有機溶媒溶出画分が活性炭により吸着処理されてなるリナカンツスナスツス(Rhinacanthus nasutus)抽出物を含有することを特徴とする育毛剤組成物に関する。
請求項3に係る発明は、カラムクロマトグラフィーにより分画処理して得られた有機溶媒溶出画分が活性炭により吸着処理されてなり、次の物理化学的性質を有するリナカンツスナスツス(Rhinacanthus nasutus)抽出物を含有することを特徴とする育毛剤組成物に関する。
(1) 性状:黄色〜褐色のペースト状
(2) リーベルマン反応:陽性
(3) サポニン定性試験:陰性
(4) アントロン反応:陽性
(5) カテキン定性反応:陰性
(6) ニンヒドリン反応:陰性
(7) フラボノイド定性反応:陰性
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。本発明に係るリナカンツスナスツス(Rhinacanthus nasutus)抽出物は、リナカンツスナスツス(Rhinacanthus nasutus)の粗抽出物を精製処理することにより得ることができる。
用いられるリナカンツスナスツス(Rhinacanthus nasutus)は、キツネノマゴ科(Acanthaceae )リナカンツス属(Rinacanthus Nees)に属する薬用植物の一種で、高さ50〜150cmの草本植物であり、熱帯アフリカ、インド、タイ、マレーシアなどで栽培或いは野生状態で見ることができる。花は茎頂の円錐状の花序に白色のものをつける。
観賞用に垣根などにされることもあるが、インド、タイ、マレーシア、中国南部などで民間薬として広く利用されている。
【0008】
本発明においては、リナカンツスナスツス(Rhinacanthus nasutus)の地上部及び地下部の全部位が使用可能で、葉部、茎部、花部、根部等の各部位を単独で、或いは適宜混合して用いてもよく、また全草を使用することもできる。特に、本発明においては、葉部、茎部の各部位、好ましくはこれらの乾燥粉砕物を用いるとよい。
【0009】
本発明に係るリナカンツスナスツス(Rhinacanthus nasutus)抽出物を得るには、まず、リナカンツスナスツス(Rhinacanthus nasutus)(以下、「原料植物」という。)を有機溶媒により浸漬抽出することにより、若しくは原料植物を有機溶媒により還流抽出することにより、濃褐色の粗抽出液を得る。得られた粗抽出液に原料植物の残渣等が含まれる場合は、残渣等を濾別した濾液を粗抽出液とする。
尚、必要に応じて、得られた粗抽出液を濃縮後、抽出に使用した有機溶媒等の適当な有機溶媒に溶解させ、不溶物を濾別した濾液を粗抽出液としてもよい。
【0010】
用いられる有機溶媒は特に限定されないが、無水、或いは含水有機溶媒、特に一価アルコール、多価アルコール又はその誘導体、ケトン、エステル、エーテル、石油エーテル、脂肪族炭化水素又はハロゲン化物、芳香族炭化水素より選択された1種以上が含まれる無水、或いは含水有機溶媒を用いるとよい。具体的には、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、イソブタノール、n−ヘキサノール、メチルアミルアルコール、2−エチルブタノール、n−オクタノール等の炭素数1〜8の一価アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の炭素数2〜6の多価アルコール或いはその誘導体、アセトン、メチルアセトン、エチルメチルケトン、イソブチルメチルケトン、メチル−n−プロピルケトン等の炭素数3〜6のケトン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル等の炭素数4〜5のエステル、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル等の炭素数4〜8のエーテルや石油エーテル、n−ブタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン等の炭素数4〜8の脂肪族炭化水素、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロエチレン等の炭素数1〜2の脂肪族炭化水素のハロゲン化物、ベンゼン、トルエン等の炭素数6〜7の脂肪族炭化水素のうち1種或いは2種以上が含まれてなる無水或いは含水有機溶媒を好ましい例として挙げることができ、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールを用いることがより好ましい。
【0011】
また、有機溶媒の使用量は特に限定されないが、浸漬抽出の場合は原料植物に対して1〜15重量倍、好ましくは3〜10重量倍の有機溶媒を、また還流抽出の場合は原料植物に対して1〜10重量倍、好ましくは3〜7重量倍の有機溶媒を、使用することが好ましい。
抽出する際の温度や抽出時間も特に限定はされないが、浸漬抽出の場合は室温下で1〜数日間浸漬すればよく、また還流抽出の場合は用いる有機溶媒の還流温度にて1〜5時間程度還流すればよい。
【0012】
次に、得られた粗抽出液をそのまま、若しくは濃縮後、常法に従い吸着剤を用いたカラムクロマトグラフィーにより分画処理を行うことにより、主に葉緑素等の色素成分の吸着除去を行い、濃緑色を呈する画分が溶出される以前の画分を回収する。
具体的には、溶出溶媒として上記の有機溶媒(段落番号(0010)参照。)のうちの一種又は上記の有機溶媒及び水のうちから選択された二種以上の混合溶媒、好ましくはメタノール、エタノール、イソプロパノール等の一価アルコール、アセトン、酢酸エチルのうちから選択された一種又は二種以上の混合溶媒を用いて、有機溶媒溶出画分を分取する。
尚、溶出溶媒を留去して得られる有機溶媒溶出画分の回収率は特に限定されないが、分画に供した粗抽出液中の粗抽出物に対して、60〜95%、好ましくは70〜85%、より好ましくは75〜80%となるように調整するとよい。
また、有機溶媒の使用量は特に限定されないが、例えば、口径5cmのカラムクロマトグラフ管を用いた場合、分画に供した粗抽出液中の粗抽出物に対して、100〜500容量、好ましくは200〜400容量とされる。
【0013】
用いられる吸着剤としては、シリカゲル、アルミナの他、合成吸着剤であるセパビーズSP207、ダイヤイオンHP20、ダイヤイオンHP2MG(以上商品名、三菱化学社製)、Sepahadex LH−20(商品名、Pharmacia Biotech 社製)などを例示することができ、セパビーズSP207を用いることが好ましい。
吸着剤の使用量は特に限定されないが、分画に供した粗抽出液中の粗抽出物に対して、10〜50容量、好ましくは20〜40容量とされる。
【0014】
最後に、溶出溶媒を留去して得られた有機溶媒溶出画分を活性炭により吸着処理する。具体的には、得られた有機溶媒溶出画分を上記の有機溶媒(段落番号(0010)参照)のうちの一種又は上記の有機溶媒及び水のうちから選択された二種以上の混合溶媒、好ましくはメタノール、エタノール、イソプロパノール等の一価アルコール、アセトン、酢酸エチルのうちから選択された一種又は二種以上の混合溶媒に溶解した後に活性炭を加えて攪拌する。所定時間攪拌した後に、不溶物及び活性炭を濾別して得られた濾液を濃縮することにより本発明に係るリナカンツスナスツス(Rhinacanthus nasutus)抽出物(以下、「精製抽出物」という。)を得ることができる。
尚、精製抽出物の回収率は特に限定されないが、吸着処理に供した有機溶媒溶出画分に対して60〜95%、好ましくは70〜90%、より好ましくは70〜80%となるように調整するとよい。
【0015】
有機溶媒の使用量は特に限定されないが、吸着処理に供した有機溶媒溶出画分に対して5〜100容量、好ましくは、30〜50容量とされる。
また、活性炭の使用量は特に限定されないが、吸着処理に供した有機溶媒溶出画分に対して0.1〜5重量倍、好ましくは0.5〜1.5重量倍とされる。
活性炭を加えて攪拌する時間は特に限定されないが、0.1〜2時間、好ましくは、0.1〜1時間攪拌すればよい。
尚、前記のように溶出溶媒を留去して活性炭による吸着処理に供することもできるが、溶出溶媒を留去又は濃縮することなく、そのまま活性炭による吸着処理に供することもできる。
【0016】
このようにして得られた精製抽出物は、以下の物理化学的性質を有する。
▲1▼性状:黄色〜褐色のペースト状を示す。
▲2▼リーベルマン反応:陽性(精製抽出物0.2gに無水酢酸2.0mlを加えて水浴上で2分間加熱した後に濾過して得られた濾液1.0mlに、硫酸0.5mlを穏やかに加えることにより、濾液と硫酸の境界面は赤紫色を呈する。)
▲3▼サポニン定性試験:陰性(精製抽出物0.27gに水5.0mlを加え、激しく振り混ぜたとしても、持続性の微細な泡は生じない。)
▲4▼アントロン反応:陽性(精製抽出物1gを水3000mlに溶解して調製した水溶液1.0mlに、アントロン35mgを硫酸100mlに溶解して調製した液を2.0ml加えることにより、緑〜青緑色を呈する。)
▲5▼カテキン定性反応:陰性(精製抽出物0.13gを50%エタノール20mlに加えて2分間振り混ぜた後、濾過して得られた濾液1.0mlを50%エタノール9.0mlに溶解して調製したエタノール溶液1.0mlに、バニリン10mgをエタノール1.0mlに溶解した液に水1.0ml及び塩酸6.0mlを加えて調製した液を1.0ml加えたとしても、変化は観察されない。)
▲6▼ニンヒドリン反応:陰性(精製抽出物1gを水100mlに溶解して調製した水溶液5.0mlに、ニンヒドリン0.1gを水に溶かし5.0mlとしたニンヒドリン水溶液1.0mlを加えて、3分間加熱したとしても、変化は観察されない。)
▲7▼フラボノイド定性反応:陰性(精製抽出物0.25gに50%エタノール5.0mlを加え、溶解後、マグネシウムリボン0.1g及び塩酸1.0mlを加えて放置したとしても、変化は観察されない。)
▲8▼可視部・紫外部吸収スペクトル:220〜230nm付近に吸収極大を示す。尚、可視部に吸収極大を示さない。
【0017】
本発明に係るリナカンツスナスツス(Rhinacanthus nasutus)抽出物は、後述する試験例において示すように優れた育毛効果を有するとともに、極めて安全性が高いものである。
上記のリナカンツスナスツス(Rhinacanthus nasutus)抽出物を用いて本発明に係る育毛剤組成物とする場合、その配合量は特に限定されないが、少なすぎると有効成分配合による効果が充分発揮されないため、全組成物中0.01〜100重量%、好ましくは、0.1〜10.0重量%、更に好ましくは、0.5〜5.0重量%である。
【0018】
本発明に係る育毛剤組成物には、上記の有効成分以外に、育毛・養毛成分として、例えば、ビタミンE及びその誘導体、センブリエキス、ニンニクエキス、セファランチン、塩化カルプロニウム、アセチルコリン等の血行促進剤、トウガラシチンキ、カンタリスチンキ、ショウキョウチンキ、ノニル酸バニルアミド等の局所刺激剤、サリチル酸、レゾルシン、乳酸などの角質溶解剤、プラセンタエキス、ペンタデカン酸グリセリド、パントテニルエチルエーテル、ビオチン、ヒノキチオール、アラントイン等の代謝賦活剤、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸等の消炎剤、イソプロピルメチルフェノール、トリクロサン、ジンクピリチオン、ヒノキチオール等の殺菌剤、メントール、カンフル等の清涼剤、その他女性ホルモン等を適宜配合することも可能である。
【0019】
更に、本発明の効果を損なわない範囲で、アルコール、多価アルコール、水溶性高分子、酸化防止剤、pH調整剤、紫外線防止剤、金属イオン封鎖剤、増粘剤、界面活性剤、精製水、香料、防腐剤、抗菌剤、油剤、高級脂肪酸、脂肪酸エステル、保湿剤、清涼剤、色素等の通常の化粧品成分、或いはホルモン類、ビタミン類、アミノ酸類、収斂剤及び胎盤抽出物、エラスチン、コラーゲン、ムコ多糖、アロエ抽出物、ヘチマ水、ローヤルゼリー、バーチ、ニンジンエキス、カモミラエキス、甘草エキス、サルビアエキス、アルテアエキス、セイヨウノコギリソウエキス等の生薬成分をはじめとする動植物抽出成分等の特殊配合成分を目的に応じて適宜任意に配合してもよい。
【0020】
尚、前記育毛剤組成物は化粧品、医薬部外品或いは医薬品として用いることができ、例えば、ヘアトニック、ヘアクリーム、ヘアトリートメントとして用いることができる。
【0021】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
〔試料の調製〕
(比較例1)
タイ国より入手したリナカンツスナスツス(Rhinacanthus nasutus)の葉及び茎の乾燥粉砕物1.5kgに、7.5Lのメタノールを加え、還流温度にて2時間還流抽出した。不溶な植物残査を濾別し、濾液を減圧留去することにより得られた濃褐色ペースト状の抽出物60g(収率4.0%)を比較例1の試料とした。
【0022】
(比較例2)
上記調製した比較例1の試料10gを、合成吸着剤セパビーズSP207(三菱化学社製)300ccを充填した口径5.0cmのクロマトグラフ管(ガラスフィルター付)に添着し、メタノール3000mlで溶出後、減圧留去して得られた褐色〜茶褐色のペースト状の画分8.0g(収率80.0%)を比較例2の試料とした。
【0023】
(実施例1)
比較例2の試料6.0gをメタノール200mlに溶解し、比較例2の試料と略等量の粉末活性炭(和光純薬工業社製)を加え、室温下で15分間撹拌した。活性炭を濾別後、濾液を減圧留去して得られた黄褐色の精製抽出物4.8g(収率80.0%)を実施例1の試料とした。
【0024】
〔物理化学的性質の確認〕
上記調製した実施例1の試料の物理化学的性質について試験した。以下、その試験項目と試験結果及び試験方法について記載する。
▲1▼性状:黄褐色のペースト状
▲2▼リーベルマン反応:陽性(実施例1の試料0.2gに無水酢酸2.0mlを加え、水浴上で2分間加熱した後濾過して得られた濾液1.0mlに硫酸0.5mlを穏やかに加えたところ、濾液と硫酸の境界面は赤紫色を呈した。)
▲3▼サポニン定性試験:陰性(実施例1の試料0.27gに水5.0mlを加え、激しく振り混ぜたところ、持続性の微細な泡は生じなかった。)
▲4▼アントロン反応:陽性(実施例1の試料1gを水3000mlに溶解して調製した水溶液1.0mlに、アントロン35mgを硫酸100mlに溶解して調製した液2,0mlを加えたところ、緑〜青緑色を呈した。)
▲5▼カテキン定性反応:陰性(実施例1の試料0.13gを50%エタノール20mlに加えて2分間振り混ぜた後に濾過し、濾液1.0mlを50%エタノール9.0mlに溶解して得られた溶液1.0mlに、バニリン10mgをエタノール1.0mlに溶解して更に水1.0ml及び塩酸6.0mlを加えて調製した溶液を1.0ml加えたところ、変化は観察されなかった)
▲6▼ニンヒドリン反応:陰性(実施例1の試料1gを水100mlに溶解して調製した水溶液5.0mlに、ニンヒドリン0.1gを水に溶解して5.0mlとしたニンヒドリン水溶液を1.0ml加えて、3分間加熱したところ、変化は観察されなかった。)
▲7▼フラボノイド定性反応:陰性(実施例1の試料0,25gを50%エタノール5.0mlに溶解した後、マグネシウムリボン0,1g及び塩酸1.0mlを加えて放置ところ、変色は観察されなかった。)
▲8▼可視部・紫外部吸収スペクトル:220〜230nm付近に吸収極大を示した。可視部には吸収極大を示さなかった。
【0025】
〔育毛効果試験〕
(試験例1:マウスの発毛に対する効果)
1.試料溶液の調製
実施例1及び比較例1〜2の各試料を、その濃度が5%(W/V)となるようにエタノールに溶解したものを検体溶液とした。また、エタノールをコントロールの検体溶液とした。
2.マウスへの塗布
C3H/HeN Crjマウス(8週齢、体重21〜26g)を一週間以上馴化飼育を行ったあと、異常のなかったものについて、背部被毛を電気バリカンで、2cm×4cmの広さに毛刈りし、さらに電気シェーバーにて除毛し、検体溶液の投与部位とした。除毛してから3日後、実施例1及び比較例1〜2の各検体溶液を各10匹のマウスに連続19日間、100μLづつ、1日1回午前中に塗布した。試験期間中、C3H/HeN Crjマウスは、温度22±2℃、相対湿度55±15%、換気回数20回/時、照射時間を午前6時から午後6時に設定した飼育室で、プラスティックケージ(14.5cm×26cm×12.5cm)を用いて5匹ずつ飼育した。
検体塗布部位の状態を定期的に観察し、以下の評価基準に従ってスコアをつけ、10匹の平均点を算出した。結果を表1に示す。
<評価基準>
皮膚がピンク色を呈する・・・0点
皮膚が灰色に変化(100%未満)・・・1点
皮膚が灰色に変化(100%)・・・2点
発毛が茶色に変化(100%未満)・・・3点
発毛が茶色に変化(100%)・・・4点
発毛が黒色に変化・・・5点
【0026】
【表1】
【0027】
表1の結果から、本発明に係るリナカンツスナスツス(Rhinacanthus nasutus)抽出物は、粗抽出物と同様の優れた育毛効果を有していることがわかる。また、マウスの皮膚投与部位は、試験期間中を通じて影響はなく、粗抽出物並びに本発明に係るリナカンツスナスツス(Rhinacanthus nasutus)抽出物による皮膚刺激性は認められなかった。
【0028】
〔安全性試験〕
(試験例2:皮膚感作性試験)
1.試料の調製
▲1▼感作投与検体
注射用水とFreund’s Complete Adjuvant(FCA)を等量混和し、油中水型(w/o)のエマルジョンを調製した。尚、貼付投与検体は、被験物質(実施例1及び比較例1の各試料)に白色ワセリン(健栄製薬社製)を加えて25%(W/W)となるように調製した。
▲2▼誘発投与検体
被験物質を必要量分取してそのまま用いた。
2.感作方法
3週齢のモルモット(Crj:Hartley, SPF雄)を5日間の検疫後、2日間馴化飼育を行ったあと、異常のなかったものを用い、1群3匹とした。
一次感作は、モルモットの肩甲骨上約4×6cmを剪毛し、その翌日に正中線を挟んだ2×4cmの投与部位の四隅に注射用水とFCAの1:1の油中水型(w/o)乳化液を0.1ml/site皮内投与した。続いて、皮内投与部位の角質層に滅菌した23Gの注射針を用いて井型の傷を付けた。擦過傷で囲む部位に、被験物質群には被験物質の25%ワセリン軟膏100mgを硫酸紙に広げて貼付し、24時間閉塞した。皮内投与以外の操作を連続3日(1日1回)行った。
二次感作は、初回貼付感作投与から7日後に、10%ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)含有のワセリン軟膏200mgを一次感作投与部位に開放塗布した。24時間後にSLS含有のワセリン軟膏を除去した。除去後、被験物質25%ワセリン軟膏200mgを硫酸紙に広げて貼付し、一次感作と同様に48時間閉塞した。
3.誘発方法
二次感作投与の2週間後に誘発投与した。モルモットの剪毛した腹側部に、被験物質群には各被験物質の1〜10%ワセリン軟膏10mgを24時間開放塗布した。尚、無処置群の動物には各被験物質を貼付した。
4.判定方法
開放塗布後約24、48、72時間経過後に、皮膚反応(紅斑と痂皮形成、浮腫)の有無及びその程度を観察し、以下の評価基準に従ってスコアをつけた。
尚、皮膚反応の程度は、各個体の合計評点(紅斑と痂皮形成の評点+浮腫形成の判定)を基に無処置群と被験物質との間でMann−WhitneyのU検定法により検定した。
<評価基準>
紅斑と痂皮形成
紅斑なし・・・0点
ごく軽度の紅斑・・・1点
明らかな紅斑・・・2点
中〜強度の紅斑・・・3点
反応が深く、わずかに痂皮をつけた深紅色紅斑・・・4点
浮腫形成
浮腫なし・・・0点
軽度の浮腫・・・1点
中度の浮腫・・・2点
投与域を出る反応で1mm以上にもなる強い浮腫・・・3点
【0029】
結果を表2に示す。
【表2】
【0030】
表2の結果から、比較例1で得られたリナカンツスナスツス(Rhinacanthus nasutus)の粗抽出物は皮膚感作性を示すが、本発明に係るリナカンツスナスツス(Rhinacanthus nasutus)抽出物は皮膚感作性を示さないことが分かる。
【0031】
(試験例3:光毒性試験)
1.試料の調製
被験物質としては、実施例1の試料を日局注射用水(扶桑薬品工業社製)により10%(W/V)となるように調製した液を用いた。陰性対照としては日局注射用水を、陽性対照としては8−メトキシプソラレン(1%オクソラレン(商標名)ローション:大正製薬社製)をそれぞれ用いた。
2.最小紅斑量(MED)の測定
4週齢のモルモット(Slc:Hartley, SPF雄)を9日間馴化飼育を行った。馴化期間中にモルモット3匹を用いて、背部被毛を電気バリカンと電気カミソリで、できるだけ広く除毛した。翌日、除毛部に四箇所穴を開けたアルミホイルで被覆し、粘着テープで固定した後、UV−Bをそれぞれに0.2、0.4、0.6、0.8J/cm2 照射した。照射には並列6灯のFL−20SEランプ(波長280〜370nm、極大波長300nm、東芝社製)を皮膚照射面から10cm離して使用した。照射後、24、48時間経過後に照射部の紅斑の有無を観察し、紅斑が照射後24時間経過後に認められ、48時間経過後には消失した0.6J/cm2 を最小紅斑量(MED)とした。
3.投与部位及び投与方法
9日間の馴化飼育の後、最小紅斑量(MED)測定に使用していない動物のうち、異常のない動物5匹を試験に用いた。
電気バリカンと電気カミソリでモルモットの背部をできるだけ広く除毛した。翌日、背部正中線を挟んで左右対称の位置に陰性対照、陽性対照、被験物質を、1部位当たり0.05mlを1.5×1.5cmの投与部位にそれぞれ塗布した。塗布は位置による偏りを避けるため、個体ごとに配列順序を変えた。
4.光照射
投与検体塗布後約30分後に片側はアルミホイルと粘着テープで被覆して並列6灯のFL−20SEランプ(波長280〜370nm、極大波長300nm:UV−B)で皮膚塗布面から10cm離して0.28〜0.33J/cm2 を照射した。更に、FL−20BLBランプ(波長300〜430nm、極大波長365nm:UV−A)で同様に9.62〜10.76J/cm2 を照射した。この際、320nm以下の紫外線を遮るためにランプと皮膚の間にガラスフィルターを設置した。
紫外線照射量はデジタル紫外線強度計を用いて測定し、FL−20SEの紫外線照射量は最小紅斑量の1/2MEDとした。
5.皮膚反応の観察
照射後、24、48、72時間経過後に照射部位〔UV(+)〕と非照射部位〔UV(−)〕の皮膚反応の強さを以下の基準で判定した。
<評価基準>
紅斑
紅斑なし・・・0点
ごく軽度の紅斑・・・1点
明らかな紅斑・・・2点
中〜強度の紅斑・・・3点
強度の紅斑〜痂皮形成・・・4点
浮腫
浮腫なし・・・0点
軽度の浮腫・・・1点
中度の浮腫・・・2点
強度の浮腫・・・3点
【0032】
結果を表3に示す。
【表3】
【0033】
表3の結果から、実施例1の試料の塗布部は、紫外線照射及び非照射のいずれの部位にも観察期間を通じて紅斑及び浮腫は認められず、平均評価点及び反応率共に、照射後72時間まで0であった。従って、本発明に係るリナカンツスナスツス(Rhinacanthus nasutus)抽出物は光毒性を示さないことが分かる。
【0034】
(試験例4:変異原性試験(細菌))
1.試料の調製及び菌株
実施例1の試料に黄色灯下で注射用水を加えて50mg/mlの溶液を調製した。この溶液を注射用水で順次希釈して、公比2で6濃度(50、25、12.5、6.25、3.13、1.56mg/ml)の被験物質溶液を調製した。
尚、試験には、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)TA98、TA1537、TA1535、及び大腸菌(Escherichia coli)WP2uvr Aの菌株を用いた。
2.菌懸濁液の調製
L字型試験管を用いて10mlのニュートリエントブロス培養液に自然解凍した菌懸濁液20μlを接種し、37℃で8.5時間振盪培養した。培養後、菌懸濁液の濁度(OD)を紫外・可視分光光度計で測定し、増殖対数期の終期若しくは静止期の初期であることを確認した。
3.陽性対照及び陰性対照の調製
S9mix (ラット肝S9(オリエンタル酵母工業社製)0.1mlとコファクター(オリエンタル酵母工業社製)0.9mlより調製)を用いない直接法では、TA98及びWP2uvr A菌株については、陽性対照として2−(2−フリル)−3−(5−ニトロ−2−フリル)アクリルアミド(AF−2)をそれぞれ0.1及び0.01μg/プレートの濃度になるようにDMSOに溶解して調製した溶液を用いた。また、TA1537菌株については、9−アミノアクリジン(9AA)を80.0μg/プレートの濃度になるようにDMSOに溶解して調製した溶液を用いた。TA1535菌株については、ソディウムアジド(SAZ)を0.5μg/プレートの濃度になるようにDMSOに溶解して調製した溶液を用いた。
また、S9mix を用いる代謝活性化法では、TA98、TA1537、TA1535、WP2uvr A菌株については、陽性対照として2−アミノアントラセン(2AA)をそれぞれ0.5、2.0、2.0、10.0μg/プレートの濃度になるようにDMSOに溶解して調製した溶液を用いた。
また、陰性対照としては、注射用水を用いた。
尚、プレートはバイタルメディアAMT−S培地(極東製薬工業社製)を用いた。
4.軟寒天溶液(トップアガー)の調製
軟寒天溶液(Difco Laboratories社製)を加温溶解し、ネズミチフス菌用には0.5mmol/Lビオチン及び0.5mmol/Lヒスチジン混合溶液、大腸菌用には0.5mmol/Lトリプトファン溶液をそれぞれ1/10容の割合で添加した。試験には約40℃に保温して使用した。
5.試験方法
試験は黄色灯下で、プレインキュベート法を採用してS9mix を添加した代謝活性化法と添加しない直接法により行った。
▲1▼直接法
小試験管に注射用水、陽性対照物質或いは被験物質溶液0.1mlを入れた後、0.1mol/LNaリン酸緩衝液0.5ml及び菌株の懸濁培養液0.1mlを順に加え、攪拌後37℃で振盪培養した。20分後に小試験管を取り出し、トップアガー2.0mlを加えて攪拌後、プレート上に均一に撒いた。この操作は小試験管2本ずつを30秒間隔で進行させた。
トップアガーを重層後、遮光して37℃の恒温器内で48時間培養し、出現した復帰変異コロニー数を数え、平均値を求めた。
▲2▼代謝活性化法
直接法の0.1mol/LNaリン酸緩衝液0.5mlの代わりにS9mix 0.5mlを用いて同様に操作した。
尚、評価方法は、被験物質処理群において陰性対照値と比べて2倍以上の復帰変異コロニー数が出現し、かつ、用量依存性が認められる結果を得たときを陽性とした。
【0035】
結果を表4に示す。
【表4】
【0036】
表4の結果から、実施例1で得られた抽出物群のコロニー数はいずれの用量も陰性対照値の2倍以下であり、本発明に係るリナカンツスナスツス(Rhinacanthus nasutus)抽出物は、細菌を用いた変異原性試験において、変異原性を示さないことが分かる。
【0037】
(試験例5:哺乳類の培養細胞を用いる染色体異常試験)
1.試料の調製
被験物質は、実施例1の試料に培地を徐々に加えて均一に混和し、5.0、4.0、3.0mg/mlの濃度の溶液とした。
陰性対照としては同培地を用いた。陽性対照としてはジメチルニトロサミン(DMN)を日本薬局方生理食塩水に溶解し、更に培養液1%を添加して調製した。
S9mix は、全量1mlの組成が、HEPES緩衝液(pH7.2)4μmol、塩化マグネシウム5μmol、塩化カリウム33μmol、グルコース6−リン酸5μmol、NADP(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)4μmol、S9(オリエンタル酵母工業社製)0.3mlとなるように調製し、培地2.5mlに0.5mlのS9mix を添加して、培地中のS9濃度を5%とした。
尚、培地は非働化(56℃、30分)済みの仔牛血清を約10%の割合で添加したイーグルMEM培地を用い、培養は5%CO2 、37℃に調整した炭酸ガスインキュベーター内で行った。
2.試験方法
チャイニーズハムスター雌肺由来のCHL/IU細胞(継代数16)を培地5mlを入れた直径60mmのシャーレに2×104 個を播種して3日間培養した後、用量当たり2枚のシャーレを用いて培地を被験物質溶液2.5mlとS9mix 0.5mlの混合液に換え、細胞を6時間処理し、生理食塩水で洗浄し、新鮮な培地5mlを加えて更に19時間培養した。
標本作成のために、培養終了2時間前にコルセミド(最終濃度0.2μg/ml)をシャーレに添加して分裂期の細胞を蓄積した。培養終了時に、トリプシン処理で細胞を剥離し、遠心分離(1000rpm、5分)により細胞を回収した。次に、75mmol/L塩化カリウム液を加え、37℃で15分間保温した後、カルノア固定液(メタノール:酢酸=3:1)で細胞を固定した。固定した細胞をスライドグラス上に滴下し、空気乾燥させた。観察前に1.5%ギムザ溶液(pH6.8の1/15mol/Lリン酸塩緩衝液で調製)で染色した。
3.観察
それぞれ各用量当たり100個(1シャーレに付き50個)の良く拡がった分裂中期細胞を1000倍で観察し、染色体構造異常(正常な染色体数23〜27)及び倍数体を検索した。
構造異常については、染色分体型切断、染色分体型交換、染色体型切断、染色体型交換、その他(断片化、多数の異常)及びギャップ(染色分体幅より狭い非染色性部位)を顕微鏡下で識別し、それらの総異常数及びギャップの出現数を表5に記した。また、数的異常については、倍数体及び総異常細胞数を表5に記した。
尚、陰性及び陽性対照については、それぞれ50個(1シャーレに付き25個)の分裂中期細胞を同様に観察した。
評価方法は、染色体異常を持つ細胞又は倍数体の出現頻度に用量依存性が認められ、出現頻度が10%以上を陽性とした。また、出現頻度が5%以上10%未満を疑陽性、5%未満を陰性とした。
【0038】
結果を表5に示す。
【表5】
【0039】
表5の結果から、実施例1で得られた抽出物は、構造異常の頻度は3mg/mlで2.0%、4mg/mlで4.0%、5mg/mlで4.0%と、いずれの場合も5%未満であった。また、数的異常は、倍数体が1(1.0%)又は2個(2.0%)見られたが、これらも5%未満であった。従って、本発明に係るリナカンツスナスツス(Rhinacanthus nasutus)の抽出物は、哺乳類の培養細胞を用いる染色体異常試験において、変異原性を示さないことが分かる。
【0040】
〔着色性試験〕
(試験例6:白色綿布を用いた着色性試験)
1.試料の調製
比較例1〜2の試料及び実施例1の試料をそれぞれ5%の濃度になるようにエタノールに溶解して、検体溶液とした。また、比較例3〜5の試料としては、市販の育毛剤をそのまま用いた。
2.試験方法
10cm×10cmに切った木綿製の白色布をそれぞれの試料溶液3mlに浸した。風乾後、布を3枚(3cm×10cm)に切り、1片はそのまま染み等の汚れの程度を目視により評価した(方法▲1▼)。残る2片のうち1片は水による手揉み洗いを行い風乾した後に(方法▲2▼)、もう1片は漂白剤に3分間浸した後水洗いし風乾した後に(方法▲3▼)、染み等の汚れの程度を、以下の評価基準に従って目視により評価した。
<評価基準>
×:濃い染みが残る
△:染みが残る
○:ほぼ白色に近い
◎:未処理の布と区別がつかない
【0041】
結果を表6に示す。
【表6】
【0042】
表6の結果から、比較例1及び2のリナカンツスナスツス(Rhinacanthus nasutus)の抽出物は、白色木綿布への濃い着色性を示し、特に比較例1の抽出物(粗抽出物)においては、一度着色した色は漂白によっても除けなかった。
これに対して、実施例1で得られた本発明に係る抽出物は比較例2〜4の市販育毛剤と同等以上に白色木綿布への着色性は、殆ど示さないことが分かる。
【0043】
以下、本発明に係るリナカンツスナスツス(Rhinacanthus nasutus)の抽出物を用いた育毛剤組成物の処方例を示す。
【表7】
【0044】
【表8】
【0045】
【発明の効果】
以上詳述した如く、本発明に係る育毛剤組成物は、有効成分として優れた育毛効果を奏し、医薬品、医薬部外品及び化粧品に配合できる安全性の高い抽出物であるリナカンツスナスツス(Rhinacanthus nasutus)抽出物を配合するものであるから、優れた育毛効果を有するとともに、安全性が高く、しかも衣服等に付着したとしても容易に除去することができる。
Claims (3)
- 次の物理化学的性質を有するリナカンツスナスツス(Rhinacanthus nasutus)抽出物を含有することを特徴とする育毛剤組成物。
(1)性状:黄色〜褐色のペースト状
(2)リーベルマン反応:陽性
(3)サポニン定性試験:陰性
(4)アントロン反応:陽性
(5)カテキン定性反応:陰性
(6)ニンヒドリン反応:陰性
(7)フラボノイド定性反応:陰性
(8)可視部・紫外部吸収スペクトル:220〜230nmに極大吸収 - カラムクロマトグラフィーにより分画処理して得られた有機溶媒溶出画分が活性炭により吸着処理されてなるリナカンツスナスツス(Rhinacanthus nasutus)抽出物を含有することを特徴とする育毛剤組成物。
- カラムクロマトグラフィーにより分画処理して得られた有機溶媒溶出画分が活性炭により吸着処理されてなり、次の物理化学的性質を有するリナカンツスナスツス(Rhinacanthus nasutus)抽出物を含有することを特徴とする育毛剤組成物。
(1) 性状:黄色〜褐色のペースト状
(2) リーベルマン反応:陽性
(3) サポニン定性試験:陰性
(4) アントロン反応:陽性
(5) カテキン定性反応:陰性
(6) ニンヒドリン反応:陰性
(7) フラボノイド定性反応:陰性
(8) 可視部・紫外部吸収スペクトル:220〜230nmに極大吸収
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