JP3584178B2 - 加熱定着方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法、磁気記録法に用いられる熱定着に適した静電荷像現像用トナーを加熱により定着する加熱定着方法及び加熱定着用トナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真法としては米国特許第2,297,691号明細書、特公昭42−23910号公報及び特公昭43−24748号公報等に記載されている如く多数の方法が知られているが、一般には光導電性物質を利用し、種々の手段により感光体上に電気的潜像を形成し、次いで該潜像をトナーを用いて現像し、必要に応じて紙等の転写材にトナー画像を転写した後、加熱、圧力、加熱加圧或いは溶剤蒸気などにより定着し複写物を得るものであり、そして感光体上に転写せず残ったトナーは種々の方法でクリーニングされ、上述の工程が繰り返される。
【0003】
近年このような複写装置は、単なる一般にいうオリジナル原稿を複写するための事務処理用複写機というだけでなく、コンピュータの出力としてのプリンターあるいは個人向けのパーソナルコピーという分野で使われ始めた。
【0004】
そのため、より小型、より軽量そしてより高速、より高信頼性が厳しく追求されてきており、機械は種々な点でよりシンプルな要素で構成されるようになってきている。その結果、トナーに要求される性能はより高度になり、トナーの性能向上が達成できなければよりすぐれた機械が成り立たなくなってきている。
【0005】
例えばトナー像を紙などのシートに定着する工程に関して種々の方法や装置が開発されている。例えば、熱ローラーによる圧着加熱方式や、フィルムを介して加熱体に加圧部材により密着させる加熱定着方法がある。
【0006】
加熱ローラーやフィルムを介した加熱方式はトナーに対し離型性を有する材料で表面を形成した熱ローラー或いはフィルムの表面に被定着シートのトナー像面を接触させながら通過せしめることにより定着を行なうものである。この方法は熱ローラーやフィルムの表面と被定着シートのトナー像とが接触するため、トナー像を被定着シート上に融着する際の熱効率が極めて良好であり、迅速に定着を行うことができ、電子写真複写機において非常に良好である。しかしながら上記方法では、熱ローラーやフィルム表面とトナー像とが溶融状態で接触するためにトナー像の一部が定着ローラーやフィルム表面に付着、転移し、次の被定着シートにこれが再転移して所謂オフセット現象を生じ、被定着シートを汚すことがある。熱定着ローラーやフィルム表面に対してトナーが付着しないようにすることが加熱定着方式の必須条件の1つとされている。
【0007】
従来、定着ローラー表面にトナーを付着させない目的で、例えばローラー表面をトナーに対して離型性の優れた材料、シリコンゴムや弗素系樹脂などで形成し、さらにその表面にオフセット防止及びローラー表面の疲労を防止するためにシリコンオイルの如き離型性の良い液体の薄膜でローラー表面を被覆することが行われている。しかしながら、この方法はトナーのオフセットを防止する点では極めて有効であるが、オフセット防止用液体を供給するための装置が必要なため、定着装置が複雑になる等の問題点を有している。
【0008】
これは小型化、軽量化と逆方向であり、しかもシリコンオイルなどが熱により蒸発し、機内を汚染する場合がある。そこでシリコンオイルの供給装置などを用いないで、かわりにトナー中から加熱時にオフセット防止液体を供給しよという考えから、トナー中に低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレンなどの離型剤を添加する方法が提案されている。充分な効果を出すために多量にこのような添加剤を加えると、感光体へのフィルミングやキャリアやスリーブなどのトナー担持体の表面を汚染し、画像が劣化し実用上問題となる。そこで画像を劣化させない程度に少量の離型剤をトナー中に添加し、若干の離型性オイルの供給もしくはオフセットしたトナーを、巻きとり式の例えばウェブの如き部材を用いた装置でクリーニングする装置を併用することが行われている。
【0009】
しかし最近の小型化、軽量化、高信頼性の要求を考慮するとこれらの補助的な装置すら除去することが必要であり好ましい。従ってトナーの定着、オフセットなどのさらなる性能向上がなければ対応しきれず、それはトナーのバインダー樹脂、離型剤のさらなる改良がなければ実現することが困難である。
【0010】
トナー中に離型剤としてワックスを含有させることは知られている。例えば、特開昭52−3304号公報、特開昭52−3305号公報、特開昭57−52574号公報等の技術が開示されている。
【0011】
また、特開平3−50559号公報、特開平2−79860号公報、特開平1−109359号公報、特開昭62−14166号公報、特開昭61−273554号公報、特開昭61−94062号公報、特開昭61−138259号公報、特開昭60−252361号公報、特開昭60−252360号公報、特開昭60−217366号公報などにワックス類を含有させる技術が開示されている。
【0012】
ワックス類は、トナーの低温時や高温時の耐オフセット性の向上や、低温時の定着性の向上のために用いられている。
【0013】
しかしながら、高温オフセットは優れているが低温定着性が今一歩であったり、低温オフセットや低温定着性には優れているが耐高温オフセット性にやや劣ったり、低温時の高温時の耐オフセット性が両立できなかったりしていた。
【0014】
また、低分子量ポリプロピレン(例えば、三洋化成工業(株)製のビスコール550P、660P、等)を含有するトナーが市販されているが、さらに低温オフセット性の向上及び定着性の向上したトナーが待望されている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述のごとき問題点を解決したトナーの加熱定着方法を提供することにある。
【0016】
すなわち、本発明の目的は、低温時の定着性、耐オフセット性に優れたトナーの加熱定着方法を提供することにある。
【0017】
本発明の主たる目的は、上記の目的を矛盾することなく合い成り立たせるトナーの加熱定着方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段及び作用】
本発明は、加熱体と、該加熱体に対向圧接しフィルムを介して転写材を該加熱体に密着させる加圧部材とを有する定着装置を用いて、少なくとも結着樹脂及びワックス成分を含有する静電荷像現像用トナーであって、該トナーのGPCによる分子量分布で、3×103〜5×104の領域に少なくともひとつのピークが存在し、3×105〜5×106の領域に少なくともひとつのピークが存在し、105以下の成分が50%以上でありかつ、該ワックスの示差走査熱量計により測定されるDSC曲線で、昇温時の最大吸熱ピークの半値幅が10℃以上であるトナーで形成されたトナー像を、該転写材に加熱定着することを特徴とする加熱定着方法に関する。
【0020】
更に本発明に関し詳しく説明する。
【0021】
分子量5×104以下の樹脂成分は、主に定着性、ブロッキング性を支配する成分であり、分子量5×104以上の成分は、主に高温オフセット性を支配する成分である。そしてこれらの成分を適度に配合させることによって、定着性、耐オフセット性のバランスを取ることができる。更に特定のワックス成分と共にトナー化することにより、効果的に性能を向上させることができる。
【0022】
本発明は、トナーのGPCによる分子量分布において、3×103〜5×104の領域、好ましくは、3×103〜3×104の領域、特に好ましくは、5×103〜2×104の領域に少なくともひとつのピークが存在することを特徴とし、この領域のピークが最大ピークであることが好ましく、良好な定着性を得ることができる。3×103未満では、良好な耐ブロッキング性が得られず、5×104を超える場合には良好な定着性が得られない。また105以上の領域、好ましくは、3×105〜5×106の領域に少なくともひとつのピークが存在することを特徴とし、3×105〜2×106の領域に、105以上の領域での最大ピークがあることが特に好ましく、良好な耐高温オフセット性が得られる。このピーク分子量は、大きいほど高温オフセットには強くなるが、5×106以上の領域ピークが存在する場合には、圧力のかけることのできる熱ロールでは問題ないが、圧力のかけられない時には、弾性が大きくなり定着性に影響を及ぼすようになる。従って、中低速機で用いられる比較的圧力の低い加熱定着においては、3×105〜2×106の領域にピークが存在し、これが105以上の領域での最大ピークであることが好ましく、更にこのピークが全領域において第2のピークであることが、オフセットと定着のバランスを取る上で最も好ましい形態である。
【0023】
105以下の領域の成分が50%以上であることを特徴とし、60〜90%であることが好ましく、65〜85%であることが特に好ましい。この範囲内にあることで、良好な定着性を示すと共に、本発明のワックス成分の効果を十分に発揮させ良好な定着性と耐オフセット性が得られる。50%未満では、十分な定着性が得られないだけでなく粉砕性も劣るようになる。また90%を超えるような場合には、高温オフセットに対して弱くなる傾向にある。
【0024】
また本発明は、ワックス成分の示差走査熱量計による昇温時のDSC曲線において、最大吸熱ピークの半値幅が10℃以上、好ましくは15℃以上、特に好ましくは20℃以上であることを特徴とし、良好な低温定着性と耐低温及び高温オフセット性を得ることができる。吸熱ピークの始点の温度が低い時には、ワックスの変化する温度が低くなるので、結着樹脂に対する可塑効果を与える温度を低くすることができる。従って、低温定着性、耐低温オフセット性を向上させることができる。吸熱ピークの終点の温度が高い時には、ワックスの融解の終了温度が高くなるので耐高温オフセット性を向上させることができる。また、吸熱ピークの高さが高い点ほどワックスの変化は大きいので、最大ピークの半値幅が大きいほどワックスが有効に働く温度が広くなり、非オフセット領域を広くすることができ低温定着性も向上させることができる。
【0025】
半値幅が、10℃未満の場合には、ピーク温度が高ければ、高温オフセットには効果があるが低温定着性に劣り、ピーク温度が低ければ、低温オフセットには効果があるが高温オフセットに劣るようになり、バランスが取りにくくなる。半値幅を求める際に、ピークが連続していれば、その一部が、2分の1の高さを下回っても構わないが(図1に示したような場合)、2分の1の高さ以上にピークのある領域が10℃以上、好ましくは15℃以上、特に好ましくは20℃以上で、半値幅が取れるもの(図2、図3に示したような場合)がより効果的に本発明の目的を発揮できる。
【0026】
また、耐低温オフセット性、低温定着性を向上させるためには、吸熱ピークの始点のオンセット温度が100℃以下が好ましく、特に好ましくは、50〜90℃の範囲内にあることである。100℃を超える場合には低温定着、オフセット特性に劣り、50℃未満の場合には、耐ブロッキング性に劣る傾向がでてくる。一方耐高温オフセット性を向上させるためには、吸熱ピークの終点のオンセット温度が80℃以上が好ましく、更に好ましくは90〜130℃、特に好ましくは100〜130℃である。更に、この最大吸熱ピークが、70〜130℃にあることが好ましく、定着性、耐オフセット性への効果をより発揮できる。70℃未満の場合には、耐ブロッキング性に劣りやすくなる。
【0027】
すなわち広い温度領域でワックスが変化融解することにより、結着樹脂に可塑効果を与え、定着性が良好となると共に離型効果が現れ、低温オフセットや、高温オフセットに対して性能が向上する。このようなワックスは、105以下の樹脂成分に対して可塑効果が有効に働き、特に5×104以下の成分に対して有効であり、3×103〜5×104の領域にピークが存在し、105以下の成分が、50%以上である時に良好な定着性を発揮できる。
【0028】
しかしながら、3×103以下の成分に対しては、可塑効果が大きくなり耐ブロッキング性に劣るようになるので結着樹脂のピークが本発明の領域にあることが好ましい。また、ピークの終点のオンセット温度が80℃未満の時には、低温時にワックスが溶解してしまい離型効果を高温時に発現できなくなる。また、ピークの始点のオンセット温度が50℃未満の場合にも、耐ブロッキング性に劣りやすくなってくるが、105以上の成分を有する場合には、低分子部分の可塑性からの影響を抑えるので、耐ブロッキング性を補償する事ができる。更に、高温オフセット性も劣る傾向になるが、高分子部分の弾性により、耐高温オフセット性に対しても余裕が出る。ところで、130℃を超える領域にピークが存在しても構わないが、130℃以下の領域に最大吸熱ピークが存在しない場合には、ワックスの融解する温度が高過ぎ、定着性や耐低温オフセット性に劣るようになる。
【0029】
本発明に用いられるワックスは、アルキレンを高圧下でラジカル重合あるいは低圧下でチーグラー触媒で重合した低分子量のアルキレンポリマー、高分子量のアルキレンポリマーを熱分解して得られるアルキレンポリマー、一酸化炭素、水素からなる合成ガスからアーゲ法により得られる炭化水素の蒸留残分から、あるいはこれらを水素添加して得られる合成炭化水素などのワックスが用いられ酸化防止剤が添加されていてもよい。更に、プレス発汗法、溶剤法、真空蒸留の利用や分別結晶方式により炭化水素ワックスの分別を行ったものが好ましく用いられる。母体としての炭化水素は、金属酸化物系触媒(多くは2種以上の多元系)を使用した、一酸化炭素と水素の反応によって合成されるもの、例えばジントール法、ヒドロコール法(流動触媒床を使用)、あるいはワックス状炭化水素が多く得られるアーゲ法(固定触媒床を使用)により得られる炭素数が数百ぐらいまでの炭化水素や、エチレンなどのアルキレンをチーグラー触媒により重合した炭化水素が、分岐が少なくて小さく、飽和の長い直鎖状炭化水素であるので好ましい。特にアルキレンの重合によらない方法により合成されたワックスがその分子量分布からも好ましいものである。また、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エステル基、アミド基などの官能基を有していてもよい。
【0030】
また分子量分布では、分子量400〜2400の領域に、好ましくは450〜2000、特に好ましくは500〜1600の領域にピークが存在することが良い。このような分子量分布を持たせることによりトナーに好ましい熱特性を持たせることができる。
【0031】
その他の物性としては、25℃での密度が0.92(g/cm3)以上、針入度が5.0(10−1mm)以下、好ましくは4.0(10−1mm)以下である。これらの範囲をはずれると、低温時に変化しやすく保存性、現像性に劣りやすくなってくる。また140℃における溶融粘度が、100cP以下、好ましくは50cP以下、特に好ましくは20cP以下である。100cPを超えるようになると、可塑性、離型性に劣るようになり、優れた定着性、耐オフセット性に影響を及ぼすようになる。また軟化点が130℃以下であることが好ましい。130℃を超えると、離型性が特に有効に働く温度が高くなり、優れた耐オフセット性に影響を及ぼすようになる。
【0032】
ワックスの含有量は、結着樹脂100重量部に対し20重量部以内で用いられ、0.5〜10重量部で用いるのが効果的であり、他のワックス類と併用しても構わない。
【0033】
本発明におけるワックス類の針入度は、JISK−2207に準拠し測定される値である。具体的には、直径約1mmで頂角9°の円錐形先端を持つ針を一定荷重で貫入させた時の貫入深さを0.1mmの単位で表した数値である。本発明中での試験条件は試料温度が25℃、加重100g、貫入時間5秒である。
【0034】
また溶融粘度は、ブルックフィールド型粘度計を用いて測定される値であり、条件は、測定温度140℃、ずり速度1.32rpm、試料10mlである。密度は25℃でJIS K6760、軟化点はJIS K2207に準じて測定される値である。
【0035】
本発明におけるDSC測定では、測定原理から、高精度の内熱式入力補償型の示差走査熱量計で測定することが好ましい。例えば、パーキンエルマー社製のDSC−7が利用できる。
【0036】
測定方法は、ASTM D3418−82に準じて行う。本発明に用いられるDSC曲線は、1回昇温させ前履歴を取った後温度速度10℃/minで降温、昇温させた時に測定されるDSC曲線を用いる。各温度の定義は次にように定める。
・最大吸熱ピークの半値幅(プラス方向を吸熱とする)
最大吸熱ピークの、ベースラインからピークトップまでの高さの2分の1以上の高さにピークが存在する温度幅
ピークが連続していれば、半値幅すべての領域において、2分の1の高さ以上にピークが連続していなくとも良い。
【0037】
(半値幅の取り方の具体例を図1〜図3に示す)
・吸熱ピークの始点のオンセット温度
昇温時曲線の微分値が最初に極大となる点における曲線の接線とベースラインとの交点の温度
・吸熱ピークの終点のオンセット温度
昇温時曲線の微分値が最後に極小となる点における曲線の接線とベースラインとの交点の温度
本発明において炭化水素系ワックスの分子量分布はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により次の条件で測定される。
【0038】
(GPC測定条件)
装置:GPC−150C(ウォーターズ社)
カラム:GMH−HT30cm2連(東ソ−社製)
温度:135℃
溶媒:o−ジクロロベンゼン(0.1%アイオノール添加)
流速:1.0ml/min
試料:0.15%の試料を0.4ml注入
以上の条件で測定し、試料の分子量算出にあたっては単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量較正曲線を使用する。さらに、Mark−Houwink粘度式から導き出される換算式でポリエチレン換算することによって算出される。
【0039】
本発明において、トナーのTHF(テトラハイドロフラン)を溶媒としたGPCによるクロマトグラムの分子量分布は次の条件で測定される。
【0040】
すなわち、40℃のヒートチャンバ中でカラムを安定させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてTHFを毎分1mlの流速で流し、THF試料溶液を約100μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出した。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、たとえば、東ソ−社製あるいは、昭和電工社製の分子量が102〜107程度のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。また、検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。なおカラムとしては、市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良く、例えば昭和電工社製のshodex GPC KF−801,802,803,804,805,806,807,800Pの組み合わせや、東ソ−社製のTSKgelG1000H(HXL),G2000H(HXL),G3000H(HXL),G4000H(HXL),G5000H(HXL),G6000H(HXL),G7000H(HXL),TSKguard columnの組み合わせを挙げることができる。
【0041】
また試料は以下のようにして作製する。試料をTHF中に入れ、数時間放置した後十分に振とうしTHFと良く混ぜ(試料の合一体がなくなるまで)、更に12時間以上静置する。このときTHF中への放置時間が24時間以上となるようにする。その後、サンプル処理フィルタ(ポアサイズ 0.45〜0.5μm,たとえば、マイショリディスクH−25−5 東ソ−社製、エキクロディスク25CR ゲルマン サイセンス ジャパン社製などが利用できる)を通過させたものを、GPCの試料とする。また試料濃度は、樹脂成分が0.5〜5mg/mlとなるように調整する。
【0042】
本発明の特徴とする樹脂成分は、たとえば以下に示すような方法を用いて得ることができる。溶液重合、塊状重合、懸濁重合、乳化重合、ブロック共重合、グラフト化、縮重合などを応用し、分子量3×103〜5×104の領域にメインピークを有する重合体(L)と、105以上の領域にメインピークを有する重合体あるいはジェル成分を含有する重合体(H)を形成する。これらの成分を溶融混練時にあるいは溶媒中でブレンドすることによって得ることができる。ジェル成分は溶融混練時に一部あるいは全部切断することができ、THF可溶分となって105以上の領域の成分としてGPCで測定されるようになる。
【0043】
特に好ましい方法としては、重合体(L)または重合体(H)を溶液重合で形成し、重合終了時に、他方を溶媒中でブレンドする方法、一方の重合体存在下で他方の重合体を重合する方法、重合体(H)を懸濁重合で形成し、この重合体存在下で重合体(L)を溶液重合で重合して得る方法や溶液重合終了時に溶媒中で重合体(H)をブレンドする方法、重合体(L)存在下で、重合体(H)を懸濁重合で重合し得る方法などがある。これらの方法を用いることにより、低分子量と高分子量分が均一に混合した重合体が得られる。
【0044】
本発明のトナーに使用される結着樹脂としては、下記の結着樹脂の使用が可能である。
【0045】
例えば、ポリスチレン、ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレンおよびその置換体の単重合体;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体などのスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロインデン樹脂、石油系樹脂などが使用できる。好ましい結着物質としては、スチレン系共重合体もしくはポリエステル樹脂がある。
【0046】
スチレン系共重合体のスチレンモノマーに対するコモノマーとしては、例えば、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、アクリロニトリル、メタクリニトリル、アクリルアミドなどのような二重結合を有するジカルボン酸およびその置換体;例えば塩化ビニル、酢酸ビニル、安息香酸ビニルなどのようなビニルエステル類;例えばエチレン、プロピレン、ブチレンなどのようなエチレン系オレフィン類;例えばビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトンなどのようなビニルケトン類;例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのようなビニルエーテル類;等のビニル単量体が単独もしくは2つ以上用いられる。
【0047】
スチレン系重合体またはスチレン系共重合体は架橋されていてもよく、また混合樹脂でもかまわない。
【0048】
結着樹脂の架橋剤としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いてもよい。例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンなどのような芳香族ジビニル化合物;例えばエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタジオールジメタクリレートなどのような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホンなどのジビニル化合物;および3個以上のビニル基を有する化合物;が単独もしくは混合物として用いられる。
【0049】
塊状重合法では、高温で重合させて停止反応速度を早めることで、低分子量の重合体を得ることもできるが、反応をコントロールしにくい問題点がある。溶液重合法では溶媒によるラジカルの連鎖移動の差を利用して、又開始剤量や反応温度を調節することで低分子量重合体を温和な条件で容易に得ることができ、本発明で用いる樹脂組成物の中で低分子量体を得る時には好ましい。
【0050】
溶液重合で用いる溶媒としては、キシレン、トルエン、クメン、酢酸セロソルブ、イソプロピルアルコール、ベンゼン等が用いられる。スチレンモノマー混合物の場合はキシレン、トルエン又はクメンが好ましい。重合生成するポリマーによって適宜選択される。反応温度としては、使用する溶媒、開始剤、重合するポリマーによって異なるが、70℃〜230℃で行うのが良い。溶液重合に於いては溶媒100重量部に対してモノマー30重量部〜400重量部で行うのが好ましい。更に、重合終了時に溶媒中で他の重合体を混合することも好ましく、数種の重合体をよく混合できる。
【0051】
また、高分子量成分やジェル成分を得る重合法としては、乳化重合法や、懸濁重合法が好ましい。
【0052】
このうち、乳化重合法は、水にほとんど不溶の単量体(モノマー)を乳化剤で小さい粒子として水相中に分散させ、水溶性の重合開始剤を用いて重合を行う方法である。この方法では反応熱の調節が容易であり、重合の行われる相(重合体と単量体からなる油相)と水相とが別であるから停止反応速度が小さく、その結果重合速度が大きく、高重合度のものが得られる。さらに、重合プロセスが比較的簡単であること、及び重合生成物が微細粒子であるために、トナーの製造において、着色剤及び荷電制御剤その他の添加物との混合が容易であること等の理由から、トナー用バインダー樹脂の製造方法として他の方法に比較して有利である。
【0053】
しかし、添加した乳化剤のため生成重合体が不純になり易く、重合体を取り出すには塩析などの操作が必要であるので懸濁重合が簡便な方法である。
【0054】
懸濁重合においては、水系溶媒100重量部に対して、モノマー100重量部以下(好ましくは10〜90重量部)で行うのが良い。使用可能な分散剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール部分ケン化物、リン酸カルシウム等が用いられ、水系溶媒に対するモノマー量等で適当量があるが、一般に水系溶媒100重量部に対して0.05〜1重量部で用いられる。重合温度は50〜95℃が適当であるが、使用する開始剤、目的とするポリマーによって適宜選択すべきである。又開始剤種類としては、水に不溶或いは難溶のものであれば用いることが可能である。
【0055】
使用する開始剤としては、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、クミンパーピバレート、t−ブチルパーオキシラウレート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,4−ビス(t−ブチルパーオキシカルボニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バリレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシ−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、ジ−t−ブチルパーオキシα−メチルサクシネート、ジ−t−ブチルパーオキシジメチルグルタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼラート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジエチレングリコール−ビス(t−ブチルパーオキシカーボネート)、ジ−t−ブチルパーオキシトリメチルアジペート、トリス(t−ブチルパーオキシ)トリアジン、ビニルトリス(t−ブチルパーオキシ)シラン等が挙げられ、これらが単独あるいは併用して使用できる。その使用量は、モノマー100重量部に対し、0.05重量部以上(好ましくは0.1〜15重量部)の濃度で用いられる。
【0056】
本発明に用いられるトナーは、荷電制御剤を含有しても良い。
【0057】
トナーを負荷電性に制御するものとして下記物質がある。
【0058】
例えば有機金属錯体、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸系の金属錯体がある。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類などがある。
【0059】
トナーを正荷電性に制御するものとして下記物質がある。
【0060】
ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変性物。トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートなどの四級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料、(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など)高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイドなどのジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートなどのジオルガノスズボレート類;これらを単独で或いは2種類以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、ニグロシン系、四級アンモニウム塩の如き荷電制御剤が特に好ましく用いられる。
【0061】
本発明に用いられるトナーに於いては、帯電安定性、現像性、流動性、耐久性向上の為、シリカ微粉末を添加することが好ましい。
【0062】
本発明に用いられるシリカ微粉末は、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が30m2/g以上(特に50〜4000m2/g)の範囲内のものが良好な結果を与える。トナー100重量部に対してシリカ微粉体0.01〜8重量部、好ましくは0.1〜5重量部使用するのが良い。
【0063】
また、本発明に用いられるシリカ微粉末は、必要に応じ、疎水化、帯電性コントロール、などの目的でシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能基を有するシランカップリング剤、その他の有機ケイ素化合物等の処理剤で、あるいは種々の処理剤で併用して処理されていることも好ましい。
【0064】
他の添加剤としては、例えばテフロン粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリ弗化ビニリデン粉末の如き滑剤粉末、中でもポリ弗化ビニリデンが好ましい。あるいは酸化セリウム粉末、炭化ケイ素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末等の研磨剤、中でもチタン酸ストロンチウムが好ましい。あるいは例えば酸化チタン粉末、酸化アルミニウム粉末等の流動性付与剤、中でも特に疎水性のものが好ましい。ケーキング防止剤、あるいは例えばカーボンブラック粉末、酸化亜鉛粉末、酸化アンチモン粉末、酸化スズ粉末等の導電性付与剤、また逆極性の白色微粒子及び黒色微粒子を現像性向上剤として少量用いることもできる。
【0065】
さらに本発明に用いられるトナーを二成分系現像剤として用いる場合には、キャリア粉と混合して用いられる。この場合には、トナーとキャリア粉との混合比はトナー濃度として0.1〜50重量%、好ましくは0.5〜10重量%、更に好ましくは3〜10重量%である。
【0066】
本発明に使用しうるキャリアとしては、公知のものが使用可能であり、例えば鉄粉、フェライト粉、ニッケル粉の如き磁性を有する粉体、ガラスビーズ等及びこれらの表面をフッ素系樹脂、ビニル系樹脂あるいはシリコーン系樹脂等で処理したものなどが挙げられる。
【0067】
本発明に用いられるトナーは更に磁性材料を含有させ磁性トナーとしても使用しうる。この場合、磁性材料は着色剤の役割をかねることもできる。本発明において、磁性トナー中に含まれる磁性材料としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の酸化鉄;鉄、コバルト、ニッケルのような金属或いはこれらの金属のアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属の合金及びその混合物等が挙げられる。
【0068】
これらの強磁性体は平均粒子径が2μm以下、好ましくは0.1〜0.5μm程度のものが好ましい。トナー中に含有させる量としては樹脂成分100重量部に対し約20〜200重量部、特に好ましくは樹脂成分100重量部に対し40〜150重量部が良い。
【0069】
また、10エルステッド印加での磁気特性が抗磁力比(Hc)20〜300エルステッド、飽和磁化(δs)50〜200emu/g、残留磁化(δr)2〜20emu/gのものが好ましい。
【0070】
本発明に用いられるトナーに使用し得る着色剤としては、任意の適当な顔料又は染料があげられる。トナーの着色剤としては、例えば顔料としてカーボンブラック、アニリンブラック、アセチレンブラック、ナフトールイエロー、ハンザイエロー、ローダミンレーキ、アリザリンレーキ、ベンガラ、フタロシアニンブルー、インダンスレンブルー等がある。これらは定着画像の光学濃度を維持するのに必要充分な量が用いられ、樹脂100重量部に対し0.1〜20重量部、好ましくは0.2〜10重量部の添加量が良い。また同様の目的で、更に染料が用いられる。例えばアゾ系染料、アントラキノン系染料、キサンテン系染料、メチン系染料があり樹脂100重量部に対し、0.1〜20重量部、好ましくは0.3〜10重量部の添加量が良い。
【0071】
本発明に係る静電荷像現像用トナーを作製するには結着樹脂、ワックス、金属塩ないしは金属錯体、着色剤としての顔料、又は染料、磁性体、必要に応じて荷電制御剤、その他の添加剤等を、ヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合機により充分混合してから加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融混練して樹脂類を互いに相溶せしめた中に金属化合物、顔料、染料、磁性体を分散又は溶解せしめ、冷却固化後粉砕及び分級を行って本発明に係るところのトナーを得ることが出来る。
【0072】
さらに必要に応じ所望の添加剤をヘンシェルミキサー等の混合機により充分混合し、本発明に係る静電荷像現像用トナーを得ることができる。
【0073】
本発明の加熱定着方法において、トナーは、接触加熱定着手段により、普通紙またはオーバーヘッドプロジェクター(OHP)用透明シートのごとき転写材へ加熱定着される。
【0074】
本発明の加熱定着方法において用いられる接触加熱定着手段としては、固定支持された加熱体と、該加熱体に対向圧接し、かつフィルムを介して該転写材を該加熱体に密着させる加圧部材とにより、トナーを加熱定着する定着手段が用いられる。
【0075】
該定着手段の一例を図4に示す。
【0076】
図4に示す定着装置において加熱体は、従来の熱ロールに比べてその熱容量が小さく、線状の加熱部を有するもので、加熱部の最高温度は100〜300℃であることが好ましい。
【0077】
加熱体と加圧部材の間に位置するフィルムは、厚さ1〜100μmの耐熱性のシートであることが好ましく、これら耐熱性シートとしては、耐熱性の高い、ポリエステル、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ポリイミド、ポリアミドのごときポリマーシート、アルミニウムのごとき金属シート及び、金属シートとポリマーシートから構成されたラミネートシートが用いられる。
【0078】
より好ましいフィルムの構成としては、これら耐熱性シートが離型層及び/または低抵抗層を有していることである。
【0079】
図4を参照しながら、定着装置の一具体例を説明する。
【0080】
1は、装置に固定支持された低熱容量線状加熱体であって、一例として厚み1.0mm、巾10mm、長手長240mmのアルミナ基板10に抵抗材料9を巾1.0mmに塗工したもので長手方向両端より通電される。通電はDC100Vの周期20msecのパルス状波形で検温素子11によりコントロールされた所望の温度、エネルギー放出量に応じたパルスをそのパルス巾を変化させて与える。略パルス巾は0.5msec〜5msecとなる。この様にエネルギー及び温度を制御された加熱体1に当接して、図中矢印方向に定着フィルム2は移動する。
【0081】
この定着フィルムの一例として厚み20μmの耐熱フィルム(例えばポリイミド、ポリエーテルイミド、PESまたはPFAに少なくとも画像当接面側にPTFE、PAFのごときフッ素樹脂)に導電材を添加した離型層を10μmコートしたエンドレスフィルムである。一般的には総厚は100μ未満より好ましくは40μ未満が良い。フィルム駆動は駆動ローラー3と従動ローラー4による駆動とテンションにより矢印方向にシワなく移動する。
【0082】
5は、シリコーンゴムのごとき離型性の良いゴム弾性層を有する加圧ローラーで、総圧4〜20Kgでフィルムを介して加熱体を加圧し、フィルムと圧接回転する。転写材6上の未定着トナー7は、入口ガイド8により定着部に導かれ上述の加熱により定着像を得るものである。
【0083】
以上は、エンドレスベルトで説明したが、シート送り出し軸、及び巻き取り軸を使用し、定着フィルムは有端のフィルムであっても良い。
【0084】
画像形成装置としては複写機、プリンター、Faxのごときトナーを用いて画像を形成する装置の定着装置に適応するものである。
【0085】
【実施例】
以下具体的実施例によって、本発明を説明する。
【0086】
チーグラー触媒を用いて、エチレンを低圧重合し、ワックスA(本発明)、ワックスE(比較例)を得た。アーゲ法により合成された炭化水素よりワックスB(本発明)、ワックスC(本発明)、ワックスD(本発明)を得た。ワックスF(比較例)はパラフィンワックスである。ワックス類のDSC測定結果を表1、分子量物性を表2に記す。
【0087】
合成例は、実施例及び比較例に係るトナーの結着樹脂の合成例を示す。
【0088】
(合成例1)
スチレン 80重量部
n−ブチルアクリレート 20重量部
2,2−ビス(4,4−ジ−t− 0.2重量部
ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン
上記化合物より、懸濁重合法により重合体Aを得た。
スチレン 83重量部
n−ブチルアクリレート 17重量部
ジ−t−ブチルパーオキサイド 1.0重量部
上記化合物より、キシレンを溶媒とした溶液重合法により重合体Bを得、重合体Aと重合体Bを30:70の重量比で溶液混合して、結着樹脂1を得た。
【0089】
(合成例2)
スチレン 80重量部
n−ブチルアクリレート 20重量部
2,2−ビス(4,4−ジ−t− 0.1重量部
ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン
上記化合物より、懸濁重合法により重合体Cを得た。
スチレン 82重量部
ブチルアクリレート 18重量部
ジ−t−ブチルパーオキサイド 0.8重量部
上記化合物より、キシレンを溶媒とした溶液重合法により重合体Dを得、重合体Cと重合体Dを25:75の重量比で溶液混合して、結着樹脂2を得た。
【0090】
(合成例3)
スチレン 80重量部
n−ブチルアクリレート 20重量部
2,2−ビス(4,4−ジ−t− 0.2重量部
ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン
上記化合物より、懸濁重合法により重合体Eを得た。
スチレン 84重量部
n−ブチルアクリレート 16重量部
ジ−t−ブチルパーオキサイド 4.0重量部
上記化合物より、キシレンを溶媒とした溶液重合法により重合体Fを得、重合体Eと重合体Fを40:60の重量比で溶液混合して、結着樹脂3を得た。
【0091】
(合成例4)
スチレン 80重量部
n−ブチルアクリレート 20重量部
ジ−t−ブチルパーオキサイド 0.5重量部
上記化合物より、キシレンを溶媒とした溶液重合法により結着樹脂4を得た。
【0092】
(合成例5)
重合体B 30重量部
スチレン 44.7重量部
n−ブチルアクリレート 25重量部
ジビニルベンゼン 0.3重量部
ジ−t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート 0.7重量部
上記化合物より、懸濁重合法により、結着樹脂5を得た。
【0093】
実施例1
結着樹脂1 100重量部
磁性酸化鉄(平均粒径0.25μm;10Kエルステッド下で飽和磁化80emu/g,残留磁化10emu/g,抗磁力120エルステッド)80重量部
ニグロシン 2重量部
ワックスA 4重量部
上記材料を予備混合した後、130℃に設定した、2軸混練押し出し機によって溶融混練を行った。混練物を冷却後、粗粉砕し、ジェット気流を用いた粉砕機によって微粉砕し、更に風力分級機を用いて分級し、重量平均粒径8μmのトナー1を得た。このトナー100重量部に対し正帯電疎水性コロイダルシリカ0.6重量部を外添して現像剤とした。このトナーのGPC測定結果を表3に記す。
【0094】
実施例2〜4
結着樹脂及びワックスを表4及び5に示す組合わせで使用する他は、実施例1と同様にしてトナー2〜4を調製した。各トナーのGPC測定結果を表3に記す。
【0095】
比較例1〜4
結着樹脂及びワックスを表4及び5に示すような組合わせで使用する他は、実施例1と同様にしてトナー5〜8を調製した。各トナーのGPC測定結果を表3に記す。
【0096】
(定着、オフセット試験)
市販の電子写真複写機NP−1215(キヤノン社製)により未定着画像を得、得られた未定着画像を、図4に示すような、加熱体1に対向圧接し、かつフィルム2を介して転写材6を該加熱体1に密着させる加圧部材5からなる外部定着機を用いて定着、オフセット試験を行った。定着フィルム2の材質として、ポリイミドフィルムに導電材を添加したフッ素樹脂の離型層を10μmコートしたエンドレスフィルムを使用した。加圧ローラ5としては、シリコンゴムを使用し、ニップ4.0mm、加圧体1と加圧ローラ5との間の総圧10Kg、プロセススピード90mm/secとして試験を行った。フィルム駆動は駆動ローラ3と従動ローラ4による駆動とテンションにより行い、低熱容量線状である加熱体1にパルス状にエネルギーを与え温調した。試験用転写紙には、64g/m2再生紙を用いて評価した。定着性は、定着画像を50g/m2の荷重をかけlenz cleaning paper“dasper”(Ozu Papaer Co.Ltd)で擦り、擦り前後の濃度低下率が10%未満になる温度を定着開始点とした。オフセットは、目視でオフセットのでなくなる温度を低温オフセットフリー始点とし、温度を上げ、オフセットのでない最高温度を高温オフセットフリー終点とした。試験結果を表4にまとめるがここには、定着開始点、低温オフセットフリー始点、高温オフセットフリー終点、非オフセット領域を記載する。
【0097】
(ブロッキング試験)
約20gの現像剤を100ccポリコップに入れ、50℃で3日放置した後、目視で評価した。この結果を表5に記す。
優 :凝集物は見られない
良 :凝集物が見られるが容易に崩れる
可 :凝集物が見られるが振れば崩れる
不可:凝集物をつかむ事ができ容易に崩れない
【0098】
(現像性試験)
約200gの現像剤を、市販の電子写真複写機NP−2020(キヤノン社製)により、現像性を評価した。その試験の結果(画像濃度、カブリ)を表5に記す。
【0099】
【表1】
【0100】
【表2】
【0101】
【表3】
【0102】
【表4】
【0103】
【表5】
【0104】
【発明の効果】
本発明は、特定の分子量分布をもつ結着樹脂とワックスをトナー中に含有させることによって、トナーに好ましい熱特性を与える事ができるので、次の様な優れた効果を発揮するものである。
【0105】
本発明は、低温時のトナーの定着性及び耐オフセット性に優れた加熱定着方法及び加熱定着用トナーを提供し得る。
【0106】
本発明は、高温時のトナーの耐オフセット性に優れた加熱定着方法及び加熱定着用トナーを提供し得る。
【0107】
本発明は、上記の効果を矛盾することなく合い成り立たせるトナーを用いた加熱定着方法及び加熱定着用トナーを提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】昇温時のDSC曲線の吸熱ピーク部分を示す図である。
【図2】昇温時のDSC曲線の吸熱ピーク部分を示す図である。
【図3】昇温時のDSC曲線の吸熱ピーク部分を示す図である。
【図4】本発明の加熱定着方法を実施するための定着装置の一具体例を示す概略的説明図である。
【符号の説明】
1 加熱体
2 定着フィルム
3 駆動ローラー
4 従動ローラー
5 加圧ローラー
6 転写材
7 トナー
8 入口ガイド
9 抵抗材料
10 アルミナ基板
11 検出素子
Claims (7)
- 加熱体と、該加熱体に対向圧接しフィルムを介して転写材を該加熱体に密着させる加圧部材とを有する定着装置を用いて、少なくとも結着樹脂及びワックス成分を含有する静電荷像現像用トナーであって、該トナーのGPCによる分子量分布で、3×103〜5×104の領域に少なくともひとつのピークが存在し、3×10 5 〜5×10 6 の領域に少なくともひとつのピークが存在し、105以下の成分が50%以上でありかつ、該ワックスの示差走査熱量計により測定されるDSC曲線で、昇温時の最大吸熱ピークの半値幅が10℃以上であるトナーで形成されたトナー像を、該転写材に加熱定着することを特徴とする加熱定着方法。
- 該吸熱ピークの半値幅が15℃以上であることを特徴とする請求項1に記載の加熱定着方法。
- 該吸熱ピークの半値幅が20℃以上であることを特徴とする請求項1に記載の加熱定着方法。
- 該吸熱ピークの始点のオンセット温度が100℃以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の加熱定着方法。
- 該吸熱ピークの終点のオンセット温度が80℃以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の加熱定着方法。
- 該ワックス成分の含有量は、該結着樹脂100重量部に対して、20重量部以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の加熱定着方法。
- 該ワックス成分の含有量は、該結着樹脂100重量部に対して、0.5〜10重量部であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の加熱定着方法。
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